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日本薬局方
注射用スキサメトニウム塩化物
毒薬
処方箋医薬品注)
○麻酔時の筋弛緩
○気管内挿管時・骨折脱臼の整復時・喉頭痙攣の筋弛緩
○精神神経科における電撃療法の際の筋弛緩
○腹部腫瘤診断時
通常成人は下記用量を用いる。
用時溶解し、スキサメ卜ニウム塩化物水和物の脱水物として、1回10~60mgを静脈内注射する。この用量で筋弛緩が得られないときは、筋弛緩が得られるまで適宜増量する。
持続性効果を求める場合は、0.1~0.2%となるように生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液に溶かし、持続注入する。通常2.5mg/分ぐらいの速さで注入する。
また、乳幼児及び小児に対する投与法として、静脈内注射の場合1mg/kgを、静脈内注射が不可能な場合は2~3mg/kgを筋肉内注射する。
本剤の分解能又は排泄能が低い患者あるいは感受性が高い患者の場合には、注入量及び注入速度に注意し、完全に回復するまで監視を行う必要がある。
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。血中カリウムの増加作用により、心停止を起こすおそれがある。
本剤には眼内圧亢進作用がある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
悪性高熱症、ミオグロビン血症及び循環器系副作用(徐脈、不整脈等)があらわれやすい。,
注入量及び注入速度に注意し、患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。一般に、生理機能が低下していることが多い。
本剤との併用により重篤な不整脈を起こすおそれがある。
スキサメトニウム塩化物水和物の血中カリウム増加作用又はカテコールアミン放出が原因と考えられている。
本剤の作用が増強し、遷延性無呼吸(持続性呼吸麻痺)を起こすことがある。
コリンエステラーゼによる本剤の分解が阻害されると考えられている。
本剤の筋弛緩作用が持続し、遷延性無呼吸(持続性呼吸麻痺)を起こすことがある。
本剤の神経-筋遮断作用に対して、抵抗性を増加することがある。それゆえ、筋弛緩を得るには大量の本剤が必要となり、終板の感受性低下や手術後の無呼吸を延長するかもしれない。
本剤の筋弛緩作用が増強するので、併用する場合には、本剤を減量すること。
併用により本剤の筋弛緩作用が増強される。
本剤の作用が増強又は遷延することがある。
アプロチニンはコリンエステラーゼ活性を阻害すると考えられている。
相加的に抗痙攣作用、中枢神経抑制作用が増強する可能性がある。
これらの抗生剤を投与した外科手術後に突発的に呼吸困難を起こすことがある。
両薬剤ともに神経遮断作用を有しており、併用によりその作用が増強する。
本剤の筋弛緩作用が増強する。
リンコマイシン系抗生剤は神経筋弛緩作用を持ち、本剤の作用が相加されると考えられている。
本剤の筋弛緩作用が減弱することがある。
イリノテカンはアセチルコリン受容体への結合能を持っていると考えられている。
ショック、アナフィラキシー(気道内圧上昇、血圧低下、頻脈、全身発赤等)を起こすことがある。
原因不明の頻脈・不整脈・血圧変動、急激な体温上昇、筋硬直、血液の暗赤色化(チアノーゼ)、過呼吸、ソーダライムの異常過熱・急激な変色、発汗、アシドーシス、高カリウム血症、ミオグロビン尿(ポートワイン色尿)などを伴う重篤な悪性高熱がまれにあらわれることがある。また、これらの症状の悪化により、横紋筋融解症があらわれることがある。本剤を使用中、悪性高熱に伴うこれらの症状を認めた場合は、直ちに中止し、ダントロレンナトリウムの静注、全身冷却、純酸素での過換気、酸塩基平衡の是正等適切な処置を行うこと。
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本剤によって十分な筋弛緩を得ようとする時、全く呼吸抑制が起こらないように施術することは困難であり、また呼吸停止を警戒しすぎると所要の筋弛緩が得られないことがある。呼吸停止が起こった場合には、薬液の注入を筋弛緩維持に必要な量に減ずるか、一旦中止し、人工呼吸によって積極的に酸素を補給しないと危険である。20~40mgの本剤投与によって発生する呼吸停止は、通常およそ2~5分で回復する。,
体温の上昇がない場合においても、高カリウム血症、ミオグロビン尿、血清逸脱酵素の著明な上昇、筋肉痛等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
頻度不明
循環器
徐脈、頻脈、不整脈、血圧降下
筋肉
術後筋肉痛
皮膚
発疹
その他
眼内圧上昇、アレルギー症状
バルビツール酸系薬剤と混合すると沈殿を生じるので、同じ注射筒を使用しないこと。
筋肉内注射にあたっては、組織・神経などへの影響を避けるため、下記の点に注意すること。
スキサメトニウム塩化物水和物はコリンエステラーゼにより加水分解され、サクシニルモノコリンとコリンに、さらにサクシニルモノコリンはコリンとコハク酸に分解され効力を失う1)(in vitro)。
呼吸・循環系、肝・腎機能等の障害がない外科、整形外科、形成外科患者にスキサメトニウム塩化物水和物100mgを静脈内投与したとき、投与5分までに投与量の39.4%が、60分までに投与量の71%が尿中に排泄された2)。
スキサメトニウム塩化物水和物は、神経の終板に働き、脱分極持続時間を延長させることにより筋弛緩作用を発現する3)。
また、筋弛緩発現前に、一過性の筋興奮をあらわす。
ツボクラリンに比べ作用時間は短く、10~30mg静注した場合の筋弛緩は通常1分以内にあらわれ、2分以内に最大となり、約5分後には消失する4)。
スキサメトニウム塩化物水和物(Suxamethonium Chloride Hydrate)[JAN]
2,2'-Succinyldioxybis(N,N,N-trimethylethylaminium) dichloride dihydrate
C14H30Cl2N2O4・2H2O
397.34
本品は白色の結晶性の粉末である。本品は水、メタノール又は酢酸(100)に溶けやすく、エタノール(95)に溶けにくく、無水酢酸に極めて溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
159~164℃(未乾燥)
10バイアル[溶解液10mL、10アンプル添付]
1) Whittaker, V.P. et al. :Biochem. J. 1952 ;52(3) :475-479
2) 早川聿朗. :麻酔. 1971 ;20(11) :1039-1048
3) 岩月賢一. :筋弛緩剤の基礎と臨床. 克誠堂出版. 1976 :15-29
4) 第十二改正日本薬局方解説書. 廣川書店. 1991 :C-341
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