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処方箋医薬品注)
慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解
本剤は慢性閉塞性肺疾患の症状の長期管理に用いること。本剤は慢性閉塞性肺疾患の増悪時における急性期治療を目的として使用する薬剤ではない。
通常、成人には1回1吸入(アクリジニウム臭化物として400μg)を1日2回吸入投与する。
心不全、心房細動、期外収縮が発現することがある。
抗コリン作用により排尿障害が発現することがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で胎児に移行することが認められている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが認められている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。
2%以上
頻度不明
呼吸器
鼻咽頭炎、副鼻腔炎、鼻炎、発声障害、口腔咽頭不快感、咳嗽
臨床検査
尿中ブドウ糖陽性、CK増加、血中カリウム増加
循環器
不整脈
消化器
下痢、歯痛、嘔吐、便秘、口内乾燥
皮膚
発疹、そう痒症
その他
めまい
霧視、転倒、尿閉、過敏症、血管浮腫、頭痛
抗コリン作用性の徴候及び症状(口内乾燥、動悸等)が発現するおそれがある。
本剤の投与にあたって、吸入器の操作方法、吸入方法等の正しい使用方法を患者に十分に説明すること。
本剤と他の抗コリン作用性気管支拡張剤との併用に関する臨床試験成績はなく、有効性及び安全性は確立していないことから、併用は推奨されない。
慢性閉塞性肺疾患患者13例にアクリジニウム臭化物400μgを単回吸入投与したときのアクリジニウム臭化物の血漿中濃度は、速やかにCmaxに達した1)。
投与量
Cmax
(pg/mL)
tmax
(hr)
AUCinf
(pg・hr/mL)
t1/2
400μg
144
±57.0
0.340
±0.395
330
±115
4.91
±4.49
(n=13、平均値±標準偏差)
慢性閉塞性肺疾患患者13例にアクリジニウム臭化物400μgを1回1吸入1日2回7日間反復投与したとき、アクリジニウム臭化物の血漿中濃度は投与7日目の最終投与時までに定常状態に達した。定常状態におけるCmax及びAUCは単回投与後に比べ、それぞれ1.77倍であった1)。
AUCτ
224
±93.6
0.212
±0.267
482
±121
13.6
±9.11
健康成人にアクリジニウム臭化物200μg注1)を単回吸入投与したときの絶対的バイオアベイラビリィティは5%未満であった2)(外国人データ)。
健康成人にアクリジニウム臭化物200μg注1)を単回吸入投与したときのアクリジニウム臭化物の投与量に対する肺全体への沈着率は30.1%であった3)(外国人データ)。
In vitro試験において、アクリジニウム臭化物の主な代謝物はアルコール代謝物及びカルボン酸代謝物であった。エステル結合の加水分解は酵素的及び非酵素的に進行し、酵素的には主に血漿中に存在するブチリルコリンエステラーゼが関与することが示唆された4)。ヒト血漿中の主な代謝物は、エステル結合の加水分解により生じるアルコール代謝物及びカルボン酸代謝物であった。排泄物中には更にアルコール代謝物が水酸化された代謝物や、カルボン酸代謝物の還元体などが認められた5)(外国人データ)。
健康成人に14Cで標識したアクリジニウム臭化物400μgを単回静脈内投与したとき、投与量の65%が尿中に排泄され、33%が糞中に排泄された。アクリジニウム臭化物としては1%が尿中にのみ排泄され、残りは加水分解した代謝物として排泄された5)(外国人データ)。
腎機能障害患者にアクリジニウム臭化物400μgを単回吸入投与したとき、腎機能障害によりアクリジニウム臭化物の尿中排泄率は低下したが(健康成人:0.09%、中等度腎機能障害患者:0.06%、高度腎機能障害患者:0.02%)、健康成人と腎機能障害患者でCmax及びAUCに明らかな差はなかった6)(外国人データ)。
慢性閉塞性肺疾患患者である非高齢者(40~59歳)と高齢者(70歳以上)にアクリジニウム臭化物400μgを単回吸入投与した時のアクリジニウム臭化物のCmax及びAUCの高齢者/非高齢者比はそれぞれ86.4%及び88.5%であり、高齢者と非高齢者間で明らかな差は認められなかった7)(外国人データ)。
In vitroにおける薬物相互作用試験では、アクリジニウム臭化物及びその主要代謝物であるアルコール代謝物及びカルボン酸代謝物は、主要なCYPアイソザイムに対して、アクリジニウム臭化物がCYP2D6(IC50値:2.4μmol/L)及びCYP3A4/5(IC50値:約90μmol/L)、アルコール代謝物がCYP2D6(IC50値:20.6μmol/L)で阻害を示した以外、100μmol/Lまでの基質濃度で阻害を示さなかった。ヒト培養肝細胞を用いたCYP誘導の検討では、アクリジニウム臭化物及びその主要代謝物はそれぞれ2.30、3.80及び172nmol/Lまでの濃度でCYP1A2、2B6、2C8、2C9、2C19及び3A4/5に対して誘導作用を示さなかった8)。アクリジニウム臭化物はブチリルコリンエステラーゼに対して阻害を示した(Ki値2.7μmol/L)4)。また、アクリジニウム臭化物は47.8μmol/LまでP糖タンパク質を阻害しなかった9)。
慢性閉塞性肺疾患患者384例を対象に、用量設定試験として無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験を実施し、アクリジニウム臭化物100注2)、200注2)又は400μgを1回1吸入1日2回4週間投与した。アクリジニウム臭化物400μg投与群とプラセボ投与群の投与4週後のトラフFEV1のベースラインからの変化量は表1のとおりであり、アクリジニウム臭化物400μg投与群とプラセボ投与群との比較において、統計学的に有意な差が認められた10)。副作用発現頻度は、アクリジニウム臭化物400μg投与群で5.4%(5/93例)、プラセボ投与群で9.9%(10/101例)であった。主な副作用は、アクリジニウム臭化物400μg投与群で尿中ブドウ糖陽性2.2%(2/93例)であった。
アクリジニウム
臭化物400μg
プラセボ
ベースライン
1.307±0.422(93)
1.313±0.453(101)
投与4週後
1.387±0.431(93)
1.296±0.461(99)
変化量
0.080±0.158(93)
-0.024±0.143(99)
プラセボ群との差
[95%信頼区間]a)
p値a)
0.105
[0.059, 0.150]
p<0.0001
平均値±標準偏差(例数)
a)投与群を説明変数とした分散分析モデル
慢性閉塞性肺疾患患者(外国人)819例を対象に、無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験を実施し、アクリジニウム臭化物200注2)又は400μgを1回1吸入1日2回24週間投与した。アクリジニウム臭化物400μg投与群とプラセボ投与群の投与24週後のトラフFEV1のベースラインからの変化量は表2のとおりであり、アクリジニウム臭化物400μg投与群とプラセボ投与群との比較において、統計学的に有意な差が認められた。また、アクリジニウム臭化物400μg投与群はプラセボ投与群と比較して、疾患特異的な健康関連QOL(St. George’s Respiratory Questionnaireでの評価)、呼吸困難(Transitional Dyspnea Indexでの評価)及びCOPD増悪頻度を改善した11)。副作用発現頻度は、アクリジニウム臭化物400μg投与群で4.5%(12/269例)、プラセボ投与群で5.5%(15/273例)であった。主な副作用は、アクリジニウム臭化物400μg投与群で鼻咽頭炎及び頭痛0.7%(2/269例)であった。
1.508±0.525(269)
1.500±0.489(273)
投与24週後
1.573±0.537(269)
1.442±0.502(273)
0.066±0.274(269)
-0.058±0.244(273)
0.128
[0.085, 0.170]
a)投与群、性別、ベースラインのFEV1及び年齢を説明変数とした共分散分析モデル
慢性閉塞性肺疾患患者146例を対象に、アクリジニウム臭化物400μgを1回1吸入1日2回52週間投与した。有効性の評価項目であるトラフFEV1のベースラインからの変化量は表3のとおりである12)。副作用発現頻度は10.3%(15/146例)であった。主な副作用は浮動性めまい1.4%(2/146例)であった。
治療期
ベースラインからの変化量
投与12週後
0.015±0.141(146)
0.031±0.158(146)
投与36週後
0.023±0.165(146)
投与52週後
0.010±0.175(146)
アクリジニウム臭化物は、長時間作用性のムスカリン受容体拮抗薬であり、気道平滑筋のムスカリンM3受容体に結合することによってアセチルコリンによる収縮効果を抑制する。
アクリジニウム臭化物は、ムスカリンM1~M5受容体すべてに対して高い親和性を有し、これらの親和性はチオトロピウム臭化物と同程度であった。また、アクリジニウム臭化物のM3受容体からの解離はM2受容体よりも遅かった13)(in vitro)。
アクリジニウム臭化物は、カルバコールで誘発したモルモットの摘出気管収縮に対して抑制作用を示した13)(in vitro)。
アクリジニウム臭化物は、モルモットにおけるアセチルコリン誘発気道収縮を抑制した。その作用発現はチオトロピウム臭化物より速く、イプラトロピウム臭化物と同程度であった。また、その持続時間はチオトロピウム臭化物より短く、イプラトロピウム臭化物より長かった13)。
アクリジニウム臭化物(Aclidinium Bromide)[JAN]
(3R)-3-[2-Hydroxy-2,2-di(thiophen-2-yl)acetyloxy]-1-(3-phenyloxypropyl)-1-azoniabicyclo[2.2.2]octanebromide
C26H30BrNO4S2
564.56
白色又はほとんど白色の粉末である。メタノールにやや溶けにくく、水及びエタノールに極めて溶けにくく、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン及びトルエンにほとんど溶けない。
224~229℃
地方自治体により定められた廃棄処理法に従うこと。
吸入器:1個
1) 永井厚志, 他. :臨床医薬. 2015 ;31 :197-206
2) Stephan, O. et al. :J. Clin. Pharmacol. 2012 ;52 :819-827
3) Newman, S.P. et al. :Respiration. 2009 ;78 :322-328
4) Joan, A. et al. :Drug Metab. Dispos. 2010 ;38 :1202-1210
5) Stephan, O. et al. :Biopharm. Drug Dispos. 2012 ;33 :39-45
6) Karin, S. et al. :Clin. Ther. 2010 ;32 :1798-1812
7) Stephan, M. et al. :Int. J. Clin. Pharmacol. Ther. 2012 ;50(6) :403-412
8) 社内資料 :アクリジニウム臭化物のP450代謝酵素に関する検討(2015年3月26日承認、CTD2.6.4.5)
9) 社内資料 :アクリジニウム臭化物のP糖タンパク質との相互作用検討(輸送及び阻害)(2015年3月26日承認、CTD2.6.4.5)
10) 巽浩一郎, 他. :臨床医薬. 2015 ;31 :207-220
11) Jones, P.W. et al. :Eur. Respir. J. 2012 ;40 :830-836
12) 社内資料 :国内第Ⅲ相長期投与試験(2015年3月26日承認、CTD2.7.6.2.31)
13) Gavaldà, A. et al. :J. Pharmacol. Exp. Ther. 2009 ;331 :740-751
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