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アプレース錠100mg/アプレース細粒20%

処方せん医薬品以外の医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
6.用法及び用量
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
9.8高齢者
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.2非臨床試験に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.4代謝
16.5排泄
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2組織修復促進作用
18.3実験胃炎に対する治療効果
18.4急性胃粘膜病変に対する作用
18.5各種実験潰瘍抑制作用
19.有効成分に関する理化学的知見
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

アプレース錠100mg/アプレース細粒20%

添付文書番号

2329015C1100_2_02

企業コード

231099

作成又は改訂年月

2024年5月改訂(第2版)
2022年7月改訂

日本標準商品分類番号

872329

薬効分類名

胃炎・胃潰瘍治療剤

承認等

アプレース錠100mg

販売名コード

YJコード

2329015F2022

販売名英語表記

APLACE Tablets100mg

販売名ひらがな

あぷれーすじょう

承認番号等

承認番号

16100AMZ03249000

販売開始年月

1986年7月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

5年

基準名

日本薬局方

トロキシピド錠

アプレース細粒20%

販売名コード

YJコード

2329015C1100

販売名英語表記

APLACE Fine Granules 20%

販売名ひらがな

あぷれーすさいりゅう

承認番号等

承認番号

22000AMX00662000

販売開始年月

1989年2月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

3年

基準名

日本薬局方

トロキシピド細粒

一般的名称

トロキシピド

3. 組成・性状

3.1 組成

アプレース錠100mg

有効成分1錠中
日局 トロキシピド   100mg
添加剤トウモロコシデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、カルナウバロウ

アプレース細粒20%

有効成分1g中
日局 トロキシピド   200mg
添加剤低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、乳酸カルシウム水和物、トウモロコシデンプン、香料、アスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)

3.2 製剤の性状

アプレース錠100mg

剤形フィルムコーティング錠
色調白色
外形表面
側面
大きさ直径8.1mm
厚さ4.1mm
質量約200mg
識別コードアプレース100(薬物本体)
KP-296(包装)
におい

アプレース細粒20%

剤形細粒剤
色調帯黄白色~微黄色
外形
識別コードKP-315(包装)
においわずかに芳香がある
初めわずかに甘く、後に味はないか、又は、わずかに苦い

4. 効能又は効果

〇胃潰瘍

〇下記疾患の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善
急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期

6. 用法及び用量

通常、成人には卜ロキシピドとして1回100mgを1日3回食後に経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)において乳汁への移行が認められている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

一般に、生理機能が低下していることが多い。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1 重大な副作用

  1. 11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)

    蕁麻疹、呼吸困難、血圧低下等の異常が認められる場合がある。

  2. 11.1.2 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)

    AST、ALT、Al-P、γ-GTP、LDHの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがある。

11.2 その他の副作用

0.1~5%未満

頻度不明

消化器

便秘、腹部膨満感、胸やけ、嘔気 等

過敏症

そう痒、発疹 等

その他

頭重感、動悸、全身倦怠感 等

浮腫

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意

  • 〈アプレース錠100mg〉

    PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

15. その他の注意

15.2 非臨床試験に基づく情報

  1. 15.2.1 ラット亜急性毒性試験で1,000mg/kg/日以上を経口投与したとき、膀胱での炎症及び出血によると考えられる尿潜血が対照群に比較して多いという報告がある1)
  2. 15.2.2 動物実験(ラット)でプロラクチン分泌異常に由来すると推定される性周期の乱れが報告されている2)ので、月経異常、乳汁分泌などの観察を十分に行い、異常が認められた場合には、休薬又は中止等の適切な処置を行うこと。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度

健康成人にトロキシピド100mgを単回経口投与した時の血中濃度及び薬物速度論的パラメータは次のとおりである3),4)

血中濃度(健康成人)
薬物速度論的パラメータ

投与量
(mg)

Tmax
(hr)

Cmax
(μg/mL)

t1/2
(hr)

AUC0→24
(μg・hr/mL)

アプレース錠100mg

100

2.1

0.84

7.4

7.13

アプレース細粒20%

100

2.7

1.09

7.0

7.94

16.4 代謝

健康成人にトロキシピド100mgを単回経口投与した結果、尿中排泄物の96%以上は未変化体であり、その他に一種の代謝物(6-オキソ体)が認められた5)

16.5 排泄

健康成人にトロキシピド100mgを単回経口投与した結果、24時間で投与量の約61%、48時間で投与量の約67%が尿中に排泄された6)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

  • 〈胃炎〉
    1. 17.1.1 国内プラセボ対照二重盲検比較試験

      出血又はびらんを呈する胃炎患者72例を対象に、トロキシピド100mg1日3回(300mg/日)2週間経口投与における胃炎に対する有効性及び安全性を評価する目的で、プラセボを対照とした無作為化二重盲検並行群間比較試験を行った。
      全般改善度解析対象集団69例(本剤群36例、プラセボ群33例)における胃炎の改善率は本剤群が80.6%(29/36例)、プラセボ群が60.6%(20/33例)であり、本剤群ではプラセボ群と比較して有意に高かった(p<0.05)。
      本剤群では、副作用及び臨床検査値異常例ともに認められなかった7)

    1. 17.1.2 国内実薬対照二重盲検比較試験

      胃炎(急性胃炎又は慢性胃炎の急性胃粘膜変化)患者259例を対象に、トロキシピド100mg1日3回(300mg/日)2週間(未治癒の場合は4週まで可)経口投与における胃炎に対する有用性を評価する目的で、セトラキサート塩酸塩を対照とした無作為化二重盲検並行群間比較試験を行った。
      全般改善度解析対象集団233例(本剤群117例、セトラキサート塩酸塩群116例)における胃炎の改善率は本剤群が82.1%(96/117例)、セトラキサート塩酸塩群が75.9%(88/116例)であり、両群間に有意差は認められなかった。
      副作用発現頻度は本剤群が0.8%(1/120例)、セトラキサート塩酸塩群が1.6%(2/127例)であった。本剤群で認められた副作用は、下痢0.8%(1/120例)であった。また、臨床検査値異常例は総ビリルビン上昇が1例、尿蛋白陽性が1例、アルカリホスファターゼ上昇が1例であった8)

  • 〈胃潰瘍〉
    1. 17.1.3 国内実薬対照二重盲検比較試験

      胃潰瘍患者321例を対象に、トロキシピド100mg1日3回(300mg/日)12週間経口投与における消化性胃潰瘍に対する有効性及び安全性を評価する目的で、セトラキサート塩酸塩を対照とした無作為化二重盲検並行群間比較試験を行った。
      解析対象集団312例(本剤群154例、セトラキサート塩酸塩群158例)における胃潰瘍の改善率は本剤群が68.8%(106/154例)、セトラキサート塩酸塩群が71.5%(113/158例)であり、両群間に有意差は認められなかった。
      副作用発現頻度は本剤群が4.5%(7/154例)、セトラキサート塩酸塩群が1.9%(3/158例)であった。本剤群で認められた主な副作用は、便秘1.9%(3/154例)であった。また、個々の臨床検査値異常例の発現頻度について、両群間で有意差は認められなかった9)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

本剤は作用機序として、胃粘膜の血流増加作用、胃粘膜構成成分の正常化作用、胃粘膜内のプロスタグランジン量増加作用、及び胃粘膜の代謝賦活作用により、胃粘膜の組織修復を促進させる。

  1. 18.1.1 胃粘膜血流量増加作用

    交叉熱電対法10)(ウサギ、イヌ)及び水素ガスクリアランス法(ラット11)、イヌ12))において、胃粘膜血流量の増加が認められた。また、臓器反射スペクトル解析法(ラット)で、脱血時の胃粘膜及び酢酸潰瘍辺縁部粘膜の血流量を増加させた13)

  2. 18.1.2 胃粘膜構成成分正常化作用

    ラットの胃粘膜に含まれるムコ多糖体を増加し、また抗炎症薬等又はストレス負荷によるムコ多糖体の減少を抑制して胃粘膜バリヤーを増強した14),15)

  3. 18.1.3 胃粘膜内プロスタグランジン量増加作用

    ラットの胃粘膜内で細胞保護作用のあるプロスタグランジン量を増加させた16)

  4. 18.1.4 胃粘膜代謝賦活作用

    ラットの胃粘膜酸素消費量を増加させ、ATP含量を増加させることにより、胃粘膜エネルギー代謝を賦活した。特に、血流量が減少している潰瘍辺縁部粘膜で、その作用が強く認められた17),18)

18.2 組織修復促進作用

ラットのクランピング・コルチゾン潰瘍、酢酸潰瘍及びクランピング潰瘍の組織学的検討において、胃粘膜再生と潰瘍底膠原線維発育に調和のとれた修復促進作用を示し、慢性潰瘍の治癒を促進させた19),20)
またラットの酢酸潰瘍において、シメチジンとの併用効果が認められた21)

18.3 実験胃炎に対する治療効果

タウロコール酸ナトリウムによって惹起されるラットの実験的慢性(萎縮性)胃炎に対し治療及び予防効果を示した22)

18.4 急性胃粘膜病変に対する作用

ラットのアスピリン、0.6mol/L塩酸及びエタノール(99.5)、水浸拘束ストレスによる胃粘膜病変に対し予防効果を示した23),24),25)

18.5 各種実験潰瘍抑制作用

ラットの水浸拘束ストレス、ストレス・レセルピン、インドメタシン、脱血アスピリン、ヒドロコルチゾン、幽門結紮ストレス潰瘍の発生を各々抑制し、粘膜保護作用を示した25),26)

19. 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称

トロキシピド(Troxipide)[JAN]

化学名

3,4,5-Trimethoxy-N-[(3RS)-piperidin-3-yl]benzamide

分子式

C15H22N2O4

分子量

294.35

性状

本品は白色の結晶性の粉末である。
本品は酢酸(100)に溶けやすく、メタノールにやや溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けにくく、水に溶けにくい。
本品は0.1mol/L塩酸試液に溶ける。
本品の1mol/L塩酸試液溶液(1→5)は旋光性を示さない。

化学構造式

融点

177~181℃

分配係数

有機溶媒相

水相

分配係数

1-オクタノール

リン酸塩緩衝液

17.9

クロロホルム

リン酸塩緩衝液

159

(25℃)

22. 包装

  • 〈アプレース錠100mg〉

    100錠[10錠(PTP)×10]

    500錠[10錠(PTP)×50]

    1,000錠[10錠(PTP)×100]

    1,050錠[21錠(PTP)×50]

    500錠[ポリ瓶、バラ]

  • 〈アプレース細粒20%〉

    0.5g×600包[3包×200]

    100g[ポリ瓶、バラ]

    500g[ポリ瓶、バラ]

23. 主要文献

1) 社内資料 :トロキシピドのラットにおける亜急性毒性試験

2) 社内資料 :トロキシピドの血中プロラクチンと性周期に及ぼす影響

3) 社内資料 :トロキシピド錠の生物学的同等性試験

4) 社内資料 :トロキシピド細粒の生物学的同等性試験

5) 入倉勉, 他. :応用薬理. 1979 ;18(4) :619-634

6) 川原富美男, 他. :基礎と臨床. 1984 ;18(7) :2859-2870

7) 渋江正, 他. :医学と薬学. 1989 ;22(4) :1029-1040

8) 三好秋馬, 他. :臨床医薬. 1990 ;6(1) :85-108

9) 後藤由夫, 他. :医学と薬学. 1984 ;12(2) :487-539

10) 阿部泰夫, 他. :日本薬理学雑誌. 1980 ;76 :355-361

11) 松尾裕, 他. :薬理と治療. 1982 ;10(6) :3129-3139

12) 中村欣一, 他. :薬理と治療. 1982 ;10(10) :5939-5945

13) 中川彰史, 他. :診療と新薬. 1982 ;19(7) :1803-1808

14) 阿部泰夫, 他. :応用薬理. 1984 ;27(3) :521-531

15) 阿部泰夫, 他. :日本薬理学雑誌. 1984 ;84 :11-18

16) 望月利郎, 他. :応用薬理. 1986 ;32(2) :387-395

17) 阿部泰夫, 他. :日本薬理学雑誌. 1984 ;83 :317-324

18) 阿部泰夫, 他. :基礎と臨床. 1983 ;17(12) :4073-4076

19) 入倉勉, 他. :応用薬理. 1978 ;15(4) :641-651

20) 百々研次郎. :実験潰瘍-病態モデルとその病因-. 日本メディカルセンター. 東京. 1976 :197-207

21) 関口治男, 他. :薬理と治療. 1987 ;15(6) :2425-2436

22) 岸本眞也, 他. :薬理と治療. 1989 ;17(11) :5443-5460

23) 関口治男, 他. :日本薬理学雑誌. 1987 ;89 :111-119

24) 関敦子, 他. :薬理と治療. 1990 ;18(3) :1071-1078

25) 桑山肇, 他. :応用薬理. 1990 ;40(1) :63-66

26) 入倉勉, 他. :応用薬理. 1979 ;17(3) :371-382

24. 文献請求先及び問い合わせ先

杏林製薬株式会社 くすり情報センター

*〒160-0017 東京都新宿区左門町20番地

電話 0120-409341
受付時間 9:00~17:30(土・日・祝日を除く)

26. 製造販売業者等

26.1 *製造販売元

杏林製薬株式会社

*東京都千代田区大手町一丁目3番7号

〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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