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アフリベルセプトBS硝子体内注射液40mg/mL「GRP」

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.4生殖能を有する者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
13.過量投与
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.1臨床使用に基づく情報
15.2非臨床試験に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.2吸収
16.3分布
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
21.承認条件
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

アフリベルセプトBS硝子体内注射液40mg/mL「GRP」

添付文書番号

13194A5A1020_1_01

企業コード

252200

作成又は改訂年月

2024年8月作成(第1版)

日本標準商品分類番号

871319

薬効分類名

眼科用VEGF※)阻害剤
※)VEGF:vascular endothelial growth factor(血管内皮増殖因子)

承認等

アフリベルセプトBS硝子体内注射液40mg/mL「GRP」

販売名コード

YJコード

13194A5A1020

販売名英語表記

Aflibercept BS solution for intravitreal injection 40mg/mL「GRP」

販売名ひらがな

あふりべるせぷとBSしょうしたいないちゅうしゃえき40mg/mL

承認番号等

承認番号

30600AMX00140000

貯法・有効期間

貯法

凍結を避け、2~8℃で保存

有効期間

30ヵ月

規制区分

一般的名称

アフリベルセプト(遺伝子組換え)[アフリベルセプト後続1]硝子体内注射液

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  2. 2.2 眼又は眼周囲に感染のある患者、あるいは感染の疑いのある患者[眼内炎等の重篤な副作用が発現するおそれがある。]
  3. 2.3 眼内に重度の炎症のある患者[炎症が悪化するおそれがある。]
  4. 2.4 妊婦又は妊娠している可能性のある女性

3. 組成・性状

3.1 組成

アフリベルセプトBS硝子体内注射液40mg/mL「GRP」

有効成分1回の投与量(0.05mL)中アフリベルセプト(遺伝子組換え)[アフリベルセプト後続1]   2mg
1バイアル(0.278mL)中アフリベルセプト(遺伝子組換え)[アフリベルセプト後続1]   11.12mg
添加剤リン酸二水素ナトリウム水和物   0.286mg/1バイアル中
リン酸水素二ナトリウム二水和物   0.058mg/1バイアル中
精製白糖   22.24mg/1バイアル中
ポリソルベート20   0.083mg/1バイアル中
注射用水   適量/1バイアル中

※:チャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて製造される。

3.2 製剤の性状

アフリベルセプトBS硝子体内注射液40mg/mL「GRP」

pH5.9~6.5
浸透圧比約1(生理食塩液に対する比)
色・性状無色~微黄色の澄明~僅かに乳白色の液

4. 効能又は効果

  • 網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫
  • 病的近視における脈絡膜新生血管
  • 糖尿病黄斑浮腫

5. 効能又は効果に関連する注意

  • 〈効能共通〉
    1. 5.1 本剤による治療を開始するに際し、疾患・病態による視力、視野等の予後を考慮し、本剤投与の要否を判断すること。
  • 〈網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫〉
    1. 5.2 不可逆的な虚血性視機能喪失の臨床的徴候が認められる網膜中心静脈閉塞症患者への投与は、避けることが望ましい。

6. 用法及び用量

  • 〈網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫、病的近視における脈絡膜新生血管〉

    アフリベルセプト(遺伝子組換え)[アフリベルセプト後続1]として1回あたり2mg(0.05mL)を硝子体内投与する。投与間隔は、1ヵ月以上あけること。

  • 〈糖尿病黄斑浮腫〉

    アフリベルセプト(遺伝子組換え)[アフリベルセプト後続1]として2mg(0.05mL)を1ヵ月ごとに1回、連続5回硝子体内投与する。その後は、通常、2ヵ月ごとに1回、硝子体内投与する。なお、症状により投与間隔を適宜調節するが、1ヵ月以上あけること。

7. 用法及び用量に関連する注意

  • 〈効能共通〉
    1. 7.1 両眼に治療対象となる病変がある場合は、両眼同時治療の有益性と危険性を慎重に評価した上で本剤を投与すること。なお、初回治療における両眼同日投与は避け、片眼での安全性を十分に評価した上で対側眼の治療を行うこと。
  • 〈網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫〉
    1. 7.2 視力等の測定は1ヵ月に1回を目安に行い、その結果及び患者の状態を継続的に観察し、本剤投与の要否について慎重に判断すること。
    2. 7.3 投与開始後、視力が安定するまでは、1ヵ月に1回投与することが望ましい。
  • 〈病的近視における脈絡膜新生血管〉
    1. 7.4 定期的に視力等を測定し、その結果及び患者の状態を考慮し、本剤投与の要否を判断すること。
    2. 7.5 疾患の活動性を示唆する所見(視力、形態学的所見等)が認められた場合には投与することが望ましい。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 網膜疾患に関する専門知識を有し、硝子体内注射の投与手技に関する十分な知識・経験のある眼科医のみが本剤を投与すること。
  2. 8.2 硝子体内注射に際し使用される薬剤(消毒薬、麻酔薬、抗菌点眼薬及び散瞳薬等)への過敏症の既往歴について事前に十分な問診を行うこと。
  3. 8.3 本剤の硝子体内注射の際には、下記の点に注意しながら行うとともに、投与手技に起因する有害事象として結膜出血、眼痛、硝子体浮遊物等の有害事象が多く報告されているので注意すること。,
    • 硝子体内注射は、無菌条件下で行うこと。(手術用手指消毒を行い、滅菌手袋、ヨウ素系洗眼殺菌剤、滅菌ドレープ及び滅菌開瞼器等を使用すること。)
    • 本剤投与前に、十分な麻酔と広域抗菌点眼剤の投与を行うこと。
    • 添付の専用フィルター付き採液針は、硝子体内注射には絶対に使用しないこと。
    • 過量投与を防ぐため、投与量が0.05mLであることを投与前に確認すること。
    • 患者に対し、眼内炎を示唆する症状(眼痛、充血、羞明、霧視等)があらわれた場合には直ちに連絡するように指導すること。
  4. 8.4 硝子体内注射により眼圧を一過性に上昇させるおそれがあるので、本剤投与後、視神経乳頭血流の確認と眼圧上昇の管理を適切に行うこと。,
  5. 8.5 本剤の硝子体内注射後、一時的に霧視等があらわれることがあるため、その症状が回復するまで機械類の操作や自動車等の運転には従事させないよう注意すること。
  6. 8.6 定期的に視力等に基づき有効性を評価し、有効性が認められない場合には漫然と投与しないこと。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 緑内障、高眼圧症の患者

    ,

  2. 9.1.2 脳卒中又は一過性脳虚血発作の既往歴等の脳卒中の危険因子のある患者

    ,

9.4 生殖能を有する者

妊娠可能な女性には、本剤投与中(最終投与後3ヵ月以上)、適切な避妊法を用いるよう指導すること。なお、ウサギの胚・胎児毒性試験で、胎児奇形がみられた最低用量における最高血漿中濃度は259ng/mLであり、安全域は明確になっていないため、本剤投与中止後の適切な避妊期間は明らかでない。,

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ウサギの胚・胎児毒性試験(3~60mg/kgを器官形成期に静脈内投与)において、母動物の体重減少、流産、着床後胚死亡及び胎児奇形(外表、内臓及び骨格奇形)の増加が報告されている。別のウサギ胚・胎児毒性試験(0.1~1mg/kgを妊娠1日~器官形成期に皮下投与)において、胎児奇形(外表、内臓及び骨格奇形)の増加が報告されている。妊娠ウサギにおいて、本剤の胎盤通過性が認められた。,

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中への移行は不明である。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1 重大な副作用

  1. 11.1.1 眼障害

    眼内炎(0.2%)、眼圧上昇(3.4%)、硝子体はく離(1.0%)、外傷性白内障(0.5%)、網膜出血(0.5%)、網膜色素上皮裂孔(0.4%)、硝子体出血(0.3%)、網膜はく離(0.04%)、網膜裂孔(0.06%)、網膜色素上皮はく離(0.02%)があらわれることがある。,,

  2. 11.1.2 脳卒中(0.2%)

    ,

11.2 その他の副作用

5%以上

1~5%未満

1%未満

1)

(前眼部)

結膜出血(16.0%)

眼充血

白内障、角膜擦過傷、角膜浮腫、角膜びらん、角膜上皮欠損、角膜障害、角膜炎、前房内細胞、前房のフレア、結膜充血、結膜刺激、結膜浮腫、結膜炎、アレルギー性結膜炎、後のう部混濁、虹彩毛様体炎、ブドウ膜炎、前房蓄膿、虹彩炎、前房出血、点状角膜炎

1)

(後眼部)

硝子体浮遊物

硝子体細胞、硝子体混濁、黄斑線維症、黄斑浮腫、黄斑円孔、黄斑部瘢痕、網膜変性、網膜浮腫、網膜下線維症、網膜色素脱失、網膜色素上皮症、網膜分離症、硝子体炎

1)

(注射部位)

注射部位疼痛

注射部位刺激感、注射部位紅斑、注射部位不快感、注射部位乾燥、注射部位炎症、注射部位浮腫、注射部位腫脹、注射部位血腫、注射部位出血

1)

(その他)

眼痛

眼の異物感、眼刺激、流涙増加

眼脂、眼乾燥、眼そう痒症、眼の異常感、眼瞼浮腫、眼瞼縁痂皮、眼瞼痛、眼瞼炎、眼窩周囲血腫、眼部腫脹、高眼圧症、羞明、視力障害、変視症、光視症、処置による疼痛、視力低下、霧視、眼部不快感

皮膚

そう痒症、紅斑

循環器

高血圧、収縮期血圧上昇

精神神経系

会話障害、頭痛

消化器

悪心

泌尿器

タンパク尿、尿中タンパク/クレアチニン比増加

その他

不快感、鼻出血、薬物過敏症、針恐怖

13. 過量投与

  1. 13.1 症状

    臨床試験において、一過性の眼圧上昇が報告されている。投与容量の増加に伴い眼圧が上昇することがある。

  2. 13.2 処置

    眼圧を測定し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与前の注意

  1. 14.1.1 本剤は、注射前に室温に戻すこと。室温に放置した時間が2ヵ月間を超えないように使用すること。
  2. 14.1.2 目視による確認を行い、注射液に微粒子、混濁又は変色が認められる場合、容器に破損が認められる場合等、異常が認められる場合には使用しないこと。
  3. 14.1.3 包装又は製品に破損や開封された跡がある場合、又は期限切れの場合には使用しないこと。
  4. 14.1.4 正しい濃度の製剤であることをバイアルのラベルで確認すること。

14.2 薬剤投与時の注意

  1. 14.2.1 本剤は硝子体内にのみ投与すること。
  2. 14.2.2 30ゲージの眼科用針を使用すること。
  3. 14.2.3 1バイアルは1回(片眼)のみの使用とすること。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報

  1. 15.1.1 本剤投与により、全身のVEGF阻害に起因する動脈血栓塞栓に関連する有害事象(心筋梗塞、脳卒中、血管死等)が発現する可能性がある。網膜中心静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫を有する患者を対象に国内外で実施された第Ⅲ相試験[2試験(76週間と100週間)の併合解析]における動脈血栓塞栓関連事象の発現率は、本剤投与群全体で0.6%(317例中2例)であった。網膜静脈分枝閉塞症に伴う黄斑浮腫を有する患者を対象に国内外で実施された第Ⅲ相試験[1試験(52週間)]における動脈血栓塞栓関連事象の発現率は、本剤投与群全体で0.6%(158例中1例)であった。病的近視における脈絡膜新生血管患者を対象に国内外で実施された第Ⅲ相試験[1試験(48週間)]における動脈血栓塞栓関連事象の発現率は、本剤投与群全体で0.9%(116例中1例)であった。糖尿病黄斑浮腫を有する患者を対象に国内外で実施された第Ⅲ相試験[3試験(1年間)の併合解析]における動脈血栓塞栓関連事象の発現率は、本剤投与群全体で2.9%(730例中21例)であった。,
  2. 15.1.2 本剤投与により、抗アフリベルセプト抗体が発現することがある。
  3. 15.1.3 本剤単独とベルテポルフィンによる光線力学的療法の併用を比較した試験は実施されておらず、本剤とベルテポルフィンを併用した場合の有効性及び安全性が本剤単独時に比べて優れているとの結果は得られていない。

15.2 非臨床試験に基づく情報

サルに4週間間隔で8ヵ月間硝子体内反復投与後の病理組織学的検査において、2及び4mg/眼投与群の鼻粘膜(鼻甲介呼吸上皮)に軽度なびらん又は潰瘍を示す動物が観察されたが、休薬により回復する可逆性変化であった。
0.5mg/眼投与群に当該所見は認められなかった。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度

  • <本剤>
    1. 16.1.1 反復硝子体内投与

      新生血管を伴う加齢黄斑変性患者※1を対象として、日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験を実施した。最初の3ヵ月間は4週間ごとに本剤2mgまたは先行バイオ医薬品※2のいずれかを硝子体内注射し、その後は8週間ごとに1回投与した。
      測定対象は血清中遊離型アフリベルセプト濃度とし、薬物動態データが収集された40例のうち21例に本剤が投与され、19例に先行バイオ医薬品※2が投与された1)

      本剤

      先行バイオ医薬品※2

      N/N>LLOQ※3

      平均±標準偏差
      (ng/mL)

      N/N>LLOQ※3

      平均±標準偏差
      (ng/mL)

      初回投与24~72時間後

      20/17

      48.31
      ±42.13

      17/17

      56.71
      ±56.80

      5回目投与1日後

      19/18

      46.81
      ±41.81

      17/16

      49.45
      ±38.07

      5回目投与2日後

      19/19

      35.96
      ±22.46

      17/17

      57.42
      ±46.38

      5回目投与3日後

      19/19

      28.06
      ±15.33

      17/17

      47.26
      ±39.47

      ※1:本剤の効能又は効果は網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫、病的近視における脈絡膜新生血管、糖尿病黄斑浮腫である
      ※2:Eylea(米国で承認されたアフリベルセプト(遺伝子組換え)製剤)
      ※3:被験者数/血漿中遊離型薬物濃度が定量下限値(5.00ng/mL)を上回った被験者数

  • <アイリーア>
    1. 16.1.2 反復硝子体内投与

      日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験において、日本人及び外国人滲出型加齢黄斑変性患者※1にアフリベルセプト(遺伝子組換え)2mgを4週ごとに硝子体内投与したとき、初回投与1週後の血漿中遊離型アフリベルセプト濃度はそれぞれ2.21±6.24ng/mL(範囲:0-19.6ng/mL、N/N>LLOQ※2=26/3)及び5.20±9.32ng/mL(範囲:0-35.0ng/mL、N/N>LLOQ※2=143/36)であった2)。4週ごとに硝子体内投与したとき、血漿中での蓄積は認められなかった2)。また、アフリベルセプト(遺伝子組換え)2mgを4週ごとに硝子体内投与したとき、3回目投与4週後の血漿中遊離型アフリベルセプト濃度は最大27.8ng/mL(N/N>LLOQ※2=164/2)であった。
      網膜中心静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫を有する患者、糖尿病黄斑浮腫を有する患者にアフリベルセプト(遺伝子組換え)2mgを硝子体内投与したとき、アフリベルセプト(遺伝子組換え)は血漿中において滲出型加齢黄斑変性患者と同様な薬物動態を示した3),4)

      ※1:本剤の効能又は効果は網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫、病的近視における脈絡膜新生血管、糖尿病黄斑浮腫である
      ※2:被験者数/血漿中遊離型薬物濃度が定量下限値を上回った被験者数

16.2 吸収

  • <アイリーア>

    アフリベルセプトは硝子体内投与された後、全身循環血中に移行する。また、全身循環血中では、不活性で安定なVEGF複合体としてほとんどが存在する。なお、内因性VEGFと結合するのは、遊離型アフリベルセプトのみである5)

16.3 分布

  • <アイリーア>

    有色ウサギにアフリベルセプト1mg(0.5mg/眼)を硝子体内投与したとき、遊離型アフリベルセプトは主に硝子体に存在し、その濃度は網膜及び脈絡膜と比べて顕著に高かった。硝子体における最高濃度は491μg/mL、網膜及び脈絡膜中における最高濃度は、それぞれ20.8μg/g及び36.2μg/gであった。遊離型アフリベルセプトの眼内各組織における消失半減期は同様で115~132時間であった。血漿中の遊離型アフリベルセプト濃度は、眼内濃度と比べて極めて低く、硝子体中濃度のおよそ1000分の1であった6)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

  • 〈本剤〉
    1. 17.1.1 日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験

      無作為化二重盲検第Ⅲ相試験が、新生血管を伴う加齢黄斑変性患者※1を対象に実施された。本剤または先行バイオ医薬品※2いずれかを2mg投与し、最初の3ヵ月間は4週間ごと、その後は48週までは8週間ごとに1回投与した。32週目に、本剤または先行バイオ医薬品※2の投与を継続するか、先行バイオ医薬品※2から本剤に移行させた。
      本試験には日本人も含まれており、日本人12名に本剤、日本人9名に先行バイオ医薬品※2を投与した。

      有効性の主要評価項目は、8週時の最良矯正視力(BCVA)のベースラインからの変化量とした。平均変化量の群間差の95%信頼区間はあらかじめ定められた同等性マージン(-3〜3文字)の範囲内であり、本剤投与群と先行バイオ医薬品※2投与群で同等であった7),8)

      時期

      治療

      n

      最小二乗平均値
      (95% 信頼区間)

      差異
      (本剤-先行バイオ医薬品※2)

      最小二乗平均値

      95%
      信頼区間

      第8週

      本剤
      (N=224)

      224

      6.7[5.6, 7.8]

      0.1

      [−1.3, 1.4]

      先行バイオ医薬品※2
      (N=224)

      224

      6.6[5.5, 7.7]

      投与開始から試験終了(投与後56週)まで本剤を継続投与した群における副作用の発現率は2.2%(5/224例)であった。認められた副作用は、網膜色素上皮裂孔、緑内障、目の異常感、結膜出血及び黄斑円孔が各0.4%(1/224例)であった。
      先行バイオ医薬品※2を投与開始から試験終了(投与後56週)まで継続投与した群における副作用発現率は0%(0/104例)であった。
      先行バイオ医薬品※2から本剤に切り替えた群の切替時(投与後32週)から試験終了(投与後56週)までの副作用発現頻度は0.9%(1/111例)であり、認められた副作用は硝子体浮遊物であった9)

      ※1:本剤の効能又は効果は網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫、病的近視における脈絡膜新生血管、糖尿病黄斑浮腫である
      ※2:Eylea(米国で承認されたアフリベルセプト(遺伝子組換え)製剤)

  • <アイリーア>
    〈網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫〉
    1. 17.1.2 日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験(GALILEO試験)

      網膜中心静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫を有する患者を対象に、アフリベルセプト(遺伝子組換え)2mg投与群及び対照群の2群による無作為化二重遮蔽比較対照第Ⅲ相試験を実施した。アフリベルセプト(遺伝子組換え)2mg投与群は20週目まで4週ごとに計6回投与し、その後はPRN投与※1を行い、一方、対照群は48週目まで4週ごとにSham注射し、その後はPRN投与※2を行った。

      ※1:24から48週目までは4週ごとに、52週目以降は8週ごとに再投与基準に従ってアフリベルセプト(遺伝子組換え)2mgを投与又はSham注射を行った
      ※2:52週目においては、治験担当医師が投与すべきでないと判断する場合を除いて、アフリベルセプト(遺伝子組換え)2mgの投与を行った。その後、60週目と68週目は再投与基準に従ってアフリベルセプト(遺伝子組換え)2mgを投与又はSham注射を行った

      • <再投与基準>10)
        • 悪化した場合
          • OCT(光干渉断層撮影)による中心網膜厚の増加を認めるとともに、最高矯正視力スコアがそれまでの最高スコアから5文字以上の低下
          • OCTによる中心網膜厚が、既測定値の最低値よりも50μmを超える増加
          • OCTにより検出される網膜の新規又は遷延性ののう胞性変化あるいは網膜下液、若しくは中心網膜厚が250μm以上の遷延性びまん性浮腫
        • 改善した場合
          • 最高矯正視力スコアが前回来院時から5文字以上改善、並びにOCTの中心サブフィールド(中心窩から直径1mmの範囲)に網膜浮腫が存在しない

      主要評価項目であるETDRS視力表により24週目に最高矯正視力で15文字以上の視力改善がみられた患者の割合(FAS解析)は、対照群22.1%に対し、アフリベルセプト(遺伝子組換え)2mg投与群で60.2%、群間差は38.3%(95%信頼区間:24.4~52.1%)であり、アフリベルセプト(遺伝子組換え)群が有意に優れていることが示された[p<0.0001、Cochran-Mantel-Haenszel(CMH)検定]。日本人集団においても、対照群12.5%に対し、アフリベルセプト(遺伝子組換え)2mg投与群で61.5%、群間差は49.0%(95%信頼区間:3.93~80.04%)であった。
      また52週目でも、対照群32.4%に対し、アフリベルセプト(遺伝子組換え)2mg投与群で60.2%、群間差は27.9%(95%信頼区間:13.0~42.7%)であり、日本人集団においても、対照群25.0%に対し、アフリベルセプト(遺伝子組換え)2mg投与群で69.2%、群間差は44.2%(95%信頼区間:-1.57~77.36%)であった(下表参照)11)

      対照群

      アフリベルセプト(遺伝子組換え)2mg投与群

      24週目に15文字以上の視力改善がみられた患者の割合(%)
      (FAS)

      全集団

      22.1
      (15/68)

      60.2
      (62/103)

      日本人
      集団

      12.5
      (1/8)

      61.5
      (8/13)

      24週目での最高矯正視力スコアの平均変化量±標準偏差
      (LOCF、FAS)

      全集団

      3.3±14.1
      (68)

      18.0±12.2
      (103)

      日本人
      集団

      0.6±10.9
      (8)

      17.3±11.5
      (13)

      24週目までの投与回数±標準偏差
      (FAS)

      全集団

      5.3±1.5

      5.7±0.9

      日本人
      集団

      4.1±2.1

      6.0±0.0

      52週目に15文字以上の視力改善がみられた患者の割合(%)
      (LOCF、FAS)

      全集団

      32.4
      (22/68)

      60.2
      (62/103)

      日本人
      集団

      25.0
      (2/8)

      69.2
      (9/13)

      52週目での最高矯正視力スコアの平均変化量±標準偏差
      (LOCF、FAS)

      全集団

      3.8±18.1
      (68)

      16.9±14.8
      (103)

      日本人
      集団

      3.3±14.3
      (8)

      15.9±13.5
      (13)

      52週目までの投与回数±標準偏差
      (FAS)

      全集団

      10.5±4.2

      11.8±2.8

      日本人
      集団

      7.6±5.8

      12.2±1.9

      76週目に15文字以上の視力改善がみられた患者の割合(%)
      (FAS)

      全集団

      29.4
      (20/68)

      57.3
      (59/103)

      日本人
      集団

      12.5
      (1/8)

      53.8
      (7/13)

      76週目での最高矯正視力スコアの平均変化量±標準偏差
      (LOCF、FAS)

      全集団

      6.2±17.7
      (68)

      13.7±17.8
      (103)

      日本人
      集団

      4.1±14.6
      (8)

      14.0±17.1
      (13)

      ( )内は該当例数/評価例数又は評価例数
      ※:24週目までに早期中止した患者は「非改善」とした

    2. 17.1.3 海外第Ⅲ相試験(COPERNICUS試験)

      網膜中心静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫を有する患者を対象に、アフリベルセプト(遺伝子組換え)2mg投与群及び対照群の2群による無作為化二重遮蔽比較対照第Ⅲ相試験を実施した。アフリベルセプト(遺伝子組換え)2mg投与群は20週目まで4週ごとに計6回投与し、その後はPRN投与を行い、一方、対照群は20週目までは4週ごとにSham注射し、その後はPRN投与を行った12)

      ※:24から48週目までは4週ごとに、52週目以降は12週ごとに再投与基準に従ってアフリベルセプト(遺伝子組換え)2mgを投与した。また、52週目以降は、アフリベルセプト(遺伝子組換え)2mgを投与しなかった場合は、Sham注射は実施しなかった

      • <再投与基準>13)
        • 悪化した場合
          • OCT(光干渉断層撮影)による中心網膜厚の増加を認めるとともに、最高矯正視力スコアがそれまでの最高スコアから5文字以上の低下
          • OCTによる中心網膜厚が、既測定値の最低値よりも50μmを超える増加
          • OCTにより検出される網膜の新規又は遷延性ののう胞性変化あるいは網膜下液、若しくは中心網膜厚が250μm以上の遷延性びまん性浮腫
        • 改善した場合
          • 最高矯正視力スコアが前回来院時から5文字以上改善

      主要評価項目であるETDRS視力表により24週目に最高矯正視力で15文字以上の視力改善がみられた患者の割合(FAS解析)は、対照群12.3%に対し、アフリベルセプト(遺伝子組換え)2mg投与群で56.1%、群間差は44.8%(95%信頼区間:33.0~56.6%)であり、アフリベルセプト(遺伝子組換え)群が有意に優れていることが示された(p<0.0001、CMH検定)。また52週目でも、対照群30.1%に対し、アフリベルセプト(遺伝子組換え)2mg投与群で55.3%、群間差は25.9%(95%信頼区間:11.8~40.1%)であった(下表参照)14)

      対照群※1

      アフリベルセプト(遺伝子組換え)2mg投与群※2

      24週目に15文字以上の視力改善がみられた患者の割合(%)
      (LOCF※3、FAS)

      全集団

      12.3
      (9/73)

      56.1
      (64/114)

      24週目での最高矯正視力スコアの平均変化量±標準偏差
      (LOCF、FAS)

      全集団

      -4.0±17.96
      (73)

      17.3±12.78
      (114)

      24週目までの投与回数±標準偏差
      (FAS)

      全集団

      5.3±1.33

      5.8±0.66

      52週目に15文字以上の視力改善がみられた患者の割合(%)
      (LOCF※3、FAS)

      全集団

      30.1
      (22/73)

      55.3
      (63/114)

      52週目での最高矯正視力スコアの平均変化量±標準偏差
      (LOCF、FAS)

      全集団

      3.8±17.14
      (73)

      16.2±17.35
      (114)

      52週目までの投与回数±標準偏差
      (FAS)

      全集団

      10.6±3.85

      12.2±2.07

      100週目に15文字以上の視力改善がみられた患者の割合(%)
      (LOCF※3、FAS)

      全集団

      23.3
      (17/73)

      49.1
      (56/114)

      ( )内は該当例数/評価例数又は評価例数
      ※1:20週目まで4週ごとにSham注射し、その後はPRN投与
      ※2:20週目まで4週ごとに計6回投与し、その後はPRN投与
      ※3:24週目までに早期中止し、かつアフリベルセプト(遺伝子組換え)

      2mg投与又はSham注射の回数が5回未満の患者は「非改善」とした。それ以外の場合は、LOCF法によって補完した

  • 〈病的近視における脈絡膜新生血管〉
    1. 17.1.4 日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験(MYRROR試験)

      病的近視における脈絡膜新生血管患者を対象にアフリベルセプト(遺伝子組換え)2mg投与群及び対照群の2群による無作為化二重遮蔽比較対照第Ⅲ相試験を実施した。アフリベルセプト(遺伝子組換え)投与群は単回投与後、44週目までPRN投与※1、対照群は20週目までは4週ごとにSham注射※2し、24週目にアフリベルセプト(遺伝子組換え)を単回投与後、44週目までPRN投与※1を行った。

      ※1:4週ごとに評価を行い、再投与基準に従ってアフリベルセプト(遺伝子組換え)2mgを投与又はSham注射を行った
      ※2:硝子体内注射と同じ処置を行うが、注射の代わりに針のない注射シリンジを局所麻酔下で眼球に押し付ける方法15)

      • <再投与基準>

        以下の基準のうち1項目以上を満たした場合

        • 最高矯正視力スコアが前回の検査から5文字以上の低下
        • 中心網膜厚が前回の検査よりも50μm超増加
        • 新規又は遷延性の網膜ののう胞性変化、網膜下液、色素上皮はく離
        • 新規又は遷延性の脈絡膜新生血管又は出血
        • 治験担当医師の印象及び/又は標準医療の診断から、投与が必要と考えられる場合

      主要評価項目であるETDRS視力表による24週目における最高矯正視力のベースラインからの変化量(FAS解析)は、アフリベルセプト(遺伝子組換え)2mg投与群12.1文字の視力改善に対し、対照群は2.0文字の減少、群間差は14.1文字(95%信頼区間:10.8~17.4文字)であり、アフリベルセプト(遺伝子組換え)2mg投与のSham注射に対する優越性が示された(p<0.0001、共分散分析)。日本人集団においても、アフリベルセプト(遺伝子組換え)2mg投与群10.9文字の視力改善に対し、対照群は3.7文字の減少、群間差は14.8文字(95%信頼区間:10.8~18.8文字)であった。また48週目でも、アフリベルセプト(遺伝子組換え)2mg投与群では13.5文字の視力改善に対し、対照群は3.9文字の改善であり、日本人集団においても、アフリベルセプト(遺伝子組換え)2mg投与群では12.6文字の視力改善に対し、対照群は2.3文字の改善であった(下表参照)16)

      対照群

      アフリベルセプト(遺伝子組換え)2mg投与群

      24週目での最高矯正視力スコアの平均変化量±標準偏差
      (LOCF、FAS)

      全集団

      -2.0±9.7
      (31)

      12.1±8.3
      (90)

      日本人
      集団

      -3.7±10.1
      (23)

      10.9±8.0
      (67)

      24週目での15文字以上の視力改善がみられた患者の割合(%)
      (FAS)

      全集団

      9.7
      (3/31)

      38.9
      (35/90)

      日本人
      集団

      8.7
      (2/23)

      35.8
      (24/67)

      20週目までの平均投与回数±標準偏差
      (FAS)

      全集団

      0
      (31)

      2.9±1.6
      (90)

      日本人
      集団

      0
      (23)

      3.2±1.7
      (67)

      48週目での最高矯正視力スコアの平均変化量±標準偏差
      (LOCF、FAS)

      全集団

      3.9±14.3
      (31)

      13.5±8.8
      (90)

      日本人
      集団

      2.3±15.3
      (23)

      12.6±8.8
      (67)

      48週目での15文字以上の視力改善がみられた患者の割合(%)
      (FAS)

      全集団

      29.0
      (9/31)

      50.0
      (45/90)

      日本人
      集団

      21.7
      (5/23)

      47.8
      (32/67)

      44週目までの平均投与回数±標準偏差
      (FAS)

      全集団

      3.0±2.2
      (31)

      4.2±3.1
      (90)

      日本人
      集団

      3.3±2.5
      (23)

      4.7±3.3
      (67)

      ( )内は該当例数/評価例数又は評価例数
      ※:20週目まで4週ごとにSham注射し、24週目にアフリベルセプト(遺伝子組換え)を単回投与後は44週目までPRN投与

      アフリベルセプト(遺伝子組換え)2mgを投与された116例中25例(21.6%)に副作用(投与手技に起因する有害事象を含む)が認められた。主な副作用は、結膜出血10例(8.6%)、点状角膜炎7例(6.0%)、眼痛6例(5.2%)であった17)

  • 〈糖尿病黄斑浮腫〉
    1. 17.1.5 日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験(VIVID-DME試験)

      糖尿病黄斑浮腫を有する患者を対象にアフリベルセプト(遺伝子組換え)4週ごと2mg投与群、8週ごと2mg投与群(ただし、最初の5回は4週ごとに投与)及び対照群(黄斑レーザー光凝固術を実施)の3群による無作為化二重遮蔽比較対照第Ⅲ相試験を実施した。
      24週目以降は、アフリベルセプト(遺伝子組換え)投与群は追加治療の基準に合致した場合、レーザー再治療基準に従いレーザー治療を行った。対照群は追加治療の基準に従いアフリベルセプト(遺伝子組換え)2mg投与(4週ごとに5回投与し、その後は8週ごとに投与)を行った18)

      主要評価項目であるETDRS視力表による52週目における最高矯正視力のベースラインからの変化量(FAS解析)は、アフリベルセプト(遺伝子組換え)4週ごと2mg投与群では10.5文字、アフリベルセプト(遺伝子組換え)8週ごと2mg投与群では10.7文字の視力改善に対し、対照群は1.2文字の視力改善であった(下表参照)。対照群との群間差は、アフリベルセプト(遺伝子組換え)4週ごと2mg投与群では9.3文字(97.5%信頼区間:6.5~12.0文字)、アフリベルセプト(遺伝子組換え)8週ごと2mg投与群では9.1文字(97.5%信頼区間:6.3~11.8文字)であり、アフリベルセプト(遺伝子組換え)投与群のレーザー治療に対する優越性が示された(アフリベルセプト(遺伝子組換え)4週ごと2mg投与群:p<0.0001、アフリベルセプト(遺伝子組換え)8週ごと2mg投与群:p<0.0001、共分散分析)。日本人集団においても、アフリベルセプト(遺伝子組換え)4週ごと2mg投与群では9.8文字、アフリベルセプト(遺伝子組換え)8週ごと2mg投与群では9.5文字の視力改善に対し、対照群は1.1文字の視力改善であった。対照群との群間差は、アフリベルセプト(遺伝子組換え)4週ごと2mg投与群では9.0文字(97.5%信頼区間:3.9~14.0文字)、アフリベルセプト(遺伝子組換え)8週ごと2mg投与群では8.4文字(97.5%信頼区間:3.0~13.8文字)であった19)

      対照群※1

      アフリベルセプト(遺伝子組換え)2Q4投与群※2

      アフリベルセプト(遺伝子組換え)2Q8投与群※3

      52週目での最高矯正視力スコアの平均変化量±標準偏差
      (FAS、LOCF)

      全集団

      1.2±10.65
      (132)

      10.5±9.55
      (136)

      10.7±9.32
      (135)

      日本人
      集団

      1.1±9.4
      (25)

      9.8±6.1
      (26)

      9.5±7.3
      (25)

      52週目に15文字以上の視力改善がみられた被験者の割合(%)
      (FAS、LOCF)

      全集団

      9.1
      (12/132)

      32.4
      (44/136)

      33.3
      (45/135)

      日本人
      集団

      8.0
      (2/25)

      23.1
      (6/26)

      24.0
      (6/25)

      52週目までの投与回数±標準偏差
      (FAS)

      全集団

      12.2±2.6

      8.7±1.2

      日本人
      集団

      12.0±2.8

      8.9±0.3

      ( )内は該当例数/評価例数又は評価例数
      ※1:黄斑レーザー光凝固術を実施
      ※2:アフリベルセプト(遺伝子組換え)2mgを4週ごとに投与
      ※3:アフリベルセプト(遺伝子組換え)2mgを4週ごとに5回投与し、その後は8週ごとに投与

    2. 17.1.6 海外第Ⅲ相試験(VISTA-DME試験)

      糖尿病黄斑浮腫を有する患者を対象にアフリベルセプト(遺伝子組換え)4週ごと2mg投与群、8週ごと2mg投与群(ただし、最初の5回は4週ごとに投与)及び対照群(黄斑レーザー光凝固術を実施)の3群による無作為化二重遮蔽比較対照第Ⅲ相試験を実施した。24週目以降は、アフリベルセプト(遺伝子組換え)投与群は追加治療の基準に合致した場合、レーザー再治療基準に従いレーザー治療を行った。対照群は追加治療の基準に従いアフリベルセプト(遺伝子組換え)2mg投与(4週ごとに5回投与し、その後は8週ごとに投与)を行った。

      主要評価項目であるETDRS視力表による52週目における最高矯正視力のベースラインからの変化量(FAS解析)18)は、アフリベルセプト(遺伝子組換え)4週ごと2mg投与群では12.5文字、アフリベルセプト(遺伝子組換え)8週ごと2mg投与群では10.7文字の視力改善に対し、対照群は0.2文字の視力改善であった(下表参照)。対照群との群間差は、アフリベルセプト(遺伝子組換え)4週ごと2mg投与群では12.19文字(97.5%信頼区間:9.35~15.04文字)、アフリベルセプト(遺伝子組換え)8週ごと2mg投与群では10.45文字(97.5%信頼区間:7.73~13.17文字)であり、アフリベルセプト(遺伝子組換え)投与群のレーザー治療に対する優越性が示された(アフリベルセプト(遺伝子組換え)4週ごと2mg投与群:p<0.0001、アフリベルセプト(遺伝子組換え)8週ごと2mg投与群:p<0.0001、共分散分析)20)

      対照群※1

      アフリベルセプト(遺伝子組換え)2Q4投与群※2

      アフリベルセプト(遺伝子組換え)2Q8投与群※3

      52週目での最高矯正視力スコアの平均変化量±標準偏差
      (FAS、LOCF)

      全集団

      0.2±12.53
      (154)

      12.5±9.54
      (154)

      10.7±8.21
      (151)

      52週目に15文字以上の視力改善がみられた被験者の割合(%)
      (FAS、LOCF)

      全集団

      7.8
      (12/154)

      41.6
      (64/154)

      31.1
      (47/151)

      52週目までの投与回数±標準偏差(FAS)

      全集団

      11.8±2.6

      8.4±1.4

      ( )内は該当例数/評価例数又は評価例数
      ※1:黄斑レーザー光凝固術を実施
      ※2:アフリベルセプト(遺伝子組換え)2mgを4週ごとに投与
      ※3:アフリベルセプト(遺伝子組換え)2mgを4週ごとに5回投与し、その後は8週ごとに投与

    3. 17.1.7 国内外で実施された第Ⅲ相試験3試験の安全性併合解析(1年間)

      アフリベルセプト(遺伝子組換え)2mgを投与された730例中276例(37.8%)に副作用(投与手技に起因する有害事象を含む)が認められた。主な副作用は、結膜出血178例(24.4%)、眼痛51例(7.0%)、硝子体浮遊物33例(4.5%)であった21)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

アフリベルセプト(遺伝子組換え)は、ヒトVEGF受容体1及び2の細胞外ドメインをヒトIgG1のFcドメインに結合した組換え融合糖タンパク質であり、可溶性のデコイ受容体として、網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫等の眼疾患にみられる病的な血管新生及び血管漏出に関与すると考えられているVEGF-A及び胎盤増殖因子(PlGF)22),23)に、本来の受容体よりも高い親和性で結合することにより、その作用を阻害する。また、同様に眼疾患への関与が報告24)されているVEGF-Bにも結合する。

18.2 VEGFファミリーとの結合性

  • <本剤>

    本剤のVEGF-A165、VEGF-A121、VEGF-A189、PlGF-1、PlGF-2、VEGFB167、VEGF-C、VEGF-Dに対する結合活性は、硝子体内注射液のアイリーア40mg/mLと同程度であった25)

18.3 VEGFファミリーとの結合性

  • <アイリーア>

    アフリベルセプトのヒトVEGF-A165、VEGF-A121、VEGF-B及びPlGF-2に対する結合の解離定数(KD)は、それぞれ0.5pM、0.36pM、1.9pM及び39pMであった(in vitro26)

18.4 動物モデルにおける作用

マウス、ラット及びサルの眼疾患動物モデルにおいて、アフリベルセプトは、眼内の病的な血管新生及び血管漏出の発生を抑制した27),28),29)。サルのレーザー誘発脈絡膜新生血管モデルでは、アフリベルセプトの硝子体内投与により、レーザー傷害後の脈絡膜新生血管(CNV)の形成が抑制され、また既に形成されたCNV病変の血管漏出が改善した29)

19. 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称

アフリベルセプト(遺伝子組換え)[アフリベルセプト後続1]
Aflibercept(Genetical Recombination)[Aflibercept biosimilar1]

分子式

C4330H6812N1168O1306S32
(タンパク質部分、2量体)

分子量

約115,000

本質

ヒトVEGF受容体1の第2Igドメイン、ヒトVEGF受容体2の第3Igドメイン、及びヒトIgG1のFcドメインからなる432アミノ酸残基のサブユニット2分子から構成される遺伝子組換え融合糖タンパク質

20. 取扱い上の注意

遮光を保つため、本剤は外箱に入れた状態で保存すること。

21. 承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

22. 包装

1バイアル(専用フィルター付き採液針1本添付)

23. 主要文献

1) 社内資料:SB15-3001臨床試験(2024年6月24日承認、申請資料概要 5.3.5.1)

2) 日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験:VIEW2試験(アイリーア硝子体内注射液40mg/mL:2012年9月28日承認、2.7.2.2.4.5)

3) 日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験:VIEW2試験(アイリーア硝子体内注射液40mg/mL:2012年9月28日承認、申請資料概要2.7.6.12)

4) 臨床薬理試験の概要(アイリーア硝子体内注射液40mg/mL:2014年11月18日承認、審査報告書)

5) 臨床的安全性の概要(アイリーア硝子体内注射液40mg/mL:2012年9月28日承認、申請資料概要2.7.4)

6) 薬物動態試験(アイリーア硝子体内注射液40mg/mL:2012年9月28日承認、申請資料概要 2.6.4.4.2)

7) 社内資料:SB15-3001臨床試験(2024年6月24日承認、申請資料概要 2.5.4)

8) 社内資料:SB15-3001臨床試験(2024年6月24日承認、申請資料概要 2.7.3)

9) SB15-3001臨床試験(2024年6月24日承認、審査報告書)

10) 日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験GALILEO試験(アイリーア硝子体内注射液40mg/mL:2013年11月22日承認、審査報告書)

11) 日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験GALILEO試験(アイリーア硝子体内注射液40mg/mL:2013年11月22日承認、申請資料概要2.7.6.2)

12) 海外第Ⅲ相試験 COPERNICUS試験(アイリーア硝子体内注射液40mg/mL:2013年11月22日承認、申請資料概要2.7.3)

13) 海外第Ⅲ相試験 COPERNICUS試験(アイリーア硝子体内注射液40mg/mL:2013年11月22日承認、審査報告書)

14) 海外第Ⅲ相試験 COPERNICUS試験(アイリーア硝子体内注射液40mg/mL:2013年11月22日承認、申請資料概要2.7.6.1)

15) 日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験MYRROR試験(アイリーア硝子体内注射液40mg/mL:2014年9月19日承認、審査報告書)

16) 日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験 MYRROR試験(アイリーア硝子体内注射液40mg/mL:2014年9月19日承認、申請資料概要2.7.6.1)

17) 日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験MYRROR試験(アイリーア硝子体内注射液40mg/mL:2014年9月19日承認、申請資料概要1.8.2)

18) 日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験VIVID-DME試験(アイリーア硝子体内注射液40mg/mL:2014年11月18日承認、審査報告書)

19) 日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験VIVID-DME試験(アイリーア硝子体内注射液40mg/mL:2014年11月18日承認、申請資料概要2.7.6.5)

20) 海外第Ⅲ相試験VISTA-DME試験(アイリーア硝子体内注射液40mg/mL:2014年11月18日承認、申請資料概要2.7.6.4)

21) アイリーア硝子体内注射液40mg/mL:2014年11月18日承認、申請資料概要1.8.2

22) Luttun A, et al.: Biochem Biophys Res Commun. 2002; 295: 428-434

23) Cao Y: Sci Signal. 2009; 2: re1

24) Zhong X, et al.: Mol Vis. 2011; 17: 492-507

25) 社内資料:生物学的同等性試験(2024年6月24日承認、申請資料概要 3.2.R.5)

26) In vitroにおける作用(アイリーア硝子体内注射液40mg/mL:2012年9月28日承認、申請資料概要 2.6.2.2.1)

27) Cursiefen C, et al.: Invest Ophthalmol Vis Sci. 2004; 45: 2666- 2673

28) Cao J, et al.: Invest Ophthalmol Vis Sci. 2010; 51: 6009-6017

29) Nork TM, et al.: Arch Ophthalmol. 2011; 129: 1042-1052

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
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