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バクスミー点鼻粉末剤3mg

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
10.相互作用
10.2併用注意(併用に注意すること)
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
13.過量投与
14.適用上の注意
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.4代謝
16.6特定の背景を有する患者
16.8その他
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
19.有効成分に関する理化学的知見
21.承認条件
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
25.保険給付上の注意
26.製造販売業者等

バクスミー点鼻粉末剤3mg

添付文書番号

2492700R1022_2_05

企業コード

252200

作成又は改訂年月

**2024年12月改訂(第4版)
2024年6月改訂(第3版)

日本標準商品分類番号

872492

薬効分類名

低血糖時救急治療剤

承認等

バクスミー点鼻粉末剤3mg

販売名コード

YJコード

2492700R1022

販売名英語表記

Baqsimi Nasal Powder 3mg

承認番号等

承認番号

30200AMX00440

販売開始年月

2020年10月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

24ヵ月

一般的名称

グルカゴン点鼻粉末

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 *褐色細胞腫又はパラガングリオーマの患者[カテコールアミンの遊離を刺激して、急激な血圧の上昇を招くおそれがある。]
  2. 2.2 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

3. 組成・性状

3.1 組成

バクスミー点鼻粉末剤3mg

有効成分1点鼻容器中グルカゴン   3mg
添加剤β-シクロデキストリン、ドデシルホスホコリン

3.2 製剤の性状

バクスミー点鼻粉末剤3mg

性状内容物は白色の粉末である。

4. 効能又は効果

  • 低血糖時の救急処置

5. 効能又は効果に関連する注意

グルカゴンの血糖上昇作用は、主として肝グリコーゲンの分解によるので、飢餓状態、副腎機能低下症、頻発する低血糖、一部糖原病、肝硬変等の場合、血糖上昇効果はほとんど期待できない。また、アルコール性低血糖の場合には、血糖上昇効果はみられない。

6. 用法及び用量

通常、グルカゴンとして1回3mgを鼻腔内に投与する。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 患者及びその看護者(家族等)が対処できるように、投与法及び保管方法について十分指導すること。また、低血糖に関する注意についても十分徹底させること。,
  2. 8.2 低血糖を生じた患者に本剤を投与しても、意識レベルの低下等の低血糖症状が改善しない場合は、直ちに、ブドウ糖等を静脈内投与するなど適切な処置を行うこと。本剤の繰り返し投与によるグルコース濃度上昇作用の増大は認められていない1)ため、本剤又は他のグルカゴン製剤の追加投与は行わないこと。なお、回復した場合でも糖質投与を行うことが望ましい。,
  3. 8.3 本剤投与で意識レベルが一時回復しても、低血糖の再発や遷延により、めまい、ふらつき、意識障害を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 インスリノーマの患者

    本剤投与後に低血糖症状が認められた場合はブドウ糖の経口投与又は静脈内投与を行うこと。本剤の投与により、一旦、血糖値が上昇した後、直接又は間接的(血糖上昇に対する反応性)に過度なインスリン分泌を促し低血糖を起こすおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。グルカゴンはヒト胎盤を通過しないことが報告されている2)

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。グルカゴンがヒト乳汁中へ移行するかどうかは不明である。グルカゴンはペプチドであり、未変化体のまま消化管から吸収されることはない。したがって、授乳により乳児がグルカゴンを経口摂取したとしても影響が生じる可能性は低いと考えられる。

9.7 小児等

小児等を対象とした国内臨床試験及び4歳未満の小児等を対象とした国内外臨床試験は実施していない。

10. 相互作用

    10.2 併用注意(併用に注意すること)

    薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子

    β遮断剤

    • ビソプロロールフマル酸塩
      カルベジロール
      アテノロール等

    脈拍数の一時的な増加及び血圧の一時的な上昇が起こることがある。

    β遮断剤の薬理作用が、グルカゴンのカテコールアミン分泌刺激に伴う臨床症状発現に影響する可能性がある。

    ワルファリンカリウム

    ワルファリンカリウムの抗凝血作用が増強することがある。

    機序は不明である。

    11. 副作用

    次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。

    11.1 重大な副作用

    1. 11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)

    11.2 その他の副作用

    10%以上

    1~10%未満

    1%未満

    頻度不明

    流涙増加、眼そう痒症

    眼充血

    消化器

    悪心、嘔吐

    臨床検査

    収縮期血圧上昇、拡張期血圧上昇

    心拍数増加

    精神神経系

    頭痛

    呼吸器

    上気道刺激症状(鼻部不快感、鼻閉、鼻痛、鼻漏等)

    皮膚

    そう痒症

    その他

    味覚異常

    13. 過量投与

    1. 13.1 症状

      過量に投与された場合は、悪心、嘔吐、消化管運動抑制、血圧上昇、脈拍数増加及び血清カリウム低下が起こる可能性がある。

    2. 13.2 処置

      急激な血圧上昇が認められた場合は、適切な血圧降下処置を行うこと。ただし、β遮断剤の投与は避けること。

    14. 適用上の注意

    14.1 薬剤交付時の注意

    1. 14.1.1 患者又は看護者(家族等)に添付の取扱説明書にしたがって、使用方法を指導すること。
    2. 14.1.2 本剤は防湿のため黄色の容器に包装されているので、投与直前に包装用フィルムを開封すること。

    14.2 薬剤投与時の注意

    1. 14.2.1 本剤は鼻腔粘膜への噴霧のみに使用すること。
    2. 14.2.2 本剤は1回使用の製剤であり、使用後は容器と噴霧器を廃棄すること。

    16. 薬物動態

    16.1 血中濃度

    1型糖尿病及び2型糖尿病患者にクロスオーバー法により本剤3mg経鼻投与又はグルカゴン注射剤1mg筋肉内投与で単回投与したときのグルカゴン(ベースライン値で補正した値)の薬物動態は以下のとおりであった。

     

    表1)本剤又はグルカゴン注射剤投与後の薬物動態パラメータ

    Cmax
    (pg/mL)

    AUC(0-tlast)
    (pg・hr/mL)

    Tmax1)
    (min)

    CL/F
    (L/hr)

    V/F
    (L)

    t1/22)
    (min)

    本剤3mg

    (71例)

    9520

    (103)

    4830

    (89)

    30

    (10, 40)

    563

    (46)

    3713)

    (92)

    273)

    (8, 85)

    グルカゴン
    注射剤1mg
    (68例)

    3290

    (37)

    3240

    (32)

    10

    (5, 40)

    303

    (31)

    235

    (43)

    32
    (14, 54)

    幾何平均値(変動係数%)

    1) 中央値(範囲)

    2) 幾何平均値(範囲)

    3) 61例

    図1)本剤又はグルカゴン注射剤投与後のグルカゴンの血漿中濃度推移(平均値+標準偏差)

     

    16.4 代謝

    グルカゴンは肝臓、腎臓及び血漿で分解されることが知られている。

    16.6 特定の背景を有する患者

    1. 16.6.1 小児

      4歳以上17歳未満の小児1型糖尿病患者に本剤を経鼻投与又はグルカゴン注射剤を筋肉内投与したときのグルカゴン(ベースライン値で補正した値)の薬物動態は以下のとおりであった3)(外国人データ)。

      表2)小児患者における本剤経鼻投与又はグルカゴン注射剤筋肉内投与後の薬物動態パラメータ

      Cmax4)

      (pg/mL)

      AUC(0-tlast)4)
      (pg・hr/mL)

      Tmax5)

      (min)

      t1/25),6)

      (min)

      4歳以上

      8歳未満

      本剤 3mg

      (12例)

      3960
      (62)

      2470
      (58)

      17
      (10, 60)

      31

      (15, 79)

      グルカゴン
      注射剤1mg7)
      (6例)

      6290
      (33)

      4080
      (51)

      17
      (5, 30)

      20

      (14, 23)

      8歳以上

      12歳未満

      本剤 3mg

      (12例)

      5660
      (37)

      2940
      (35)

      15
      (10, 30)

      21

      (13, 35)

      グルカゴン
      注射剤1mg

      (6例)

      4740
      (65)

      3640
      (57)

      17
      (5, 30)

      33

      (20, 57)

      12歳以上

      17歳未満

      本剤 3mg

      (12例)

      3100
      (74)

      2000
      (66)

      20
      (15, 30)

      24

      (13, 42)

      グルカゴン
      注射剤1mg

      (12例)

      4280
      (88)

      3110
      (92)

      17
      (5, 30)

      38

      (14, 58)

      4) 平均値(変動係数%)

      5) 中央値(範囲)

      6) グルカゴン濃度の実測値で算出した。

      7) 体重25kg以上の場合1mg、体重25kg未満の場合は0.5mg

     

    1. 16.6.2 感冒に伴う鼻閉又は鼻汁を有する患者

      感冒に伴う鼻閉及び/又は鼻汁を有する被験者を対象にオキシメタゾリン点鼻液併用、非併用時又は感冒から回復後に本剤3mgを経鼻投与したときのグルカゴン(ベースライン値で補正した値)の薬物動態は表3のとおりであった。また、血漿中グルコース濃度上昇に影響を及ぼさなかった4)(外国人データ)。

       

      表3)感冒症状を有する被験者又は回復後に本剤経鼻投与したときの薬物動態パラメータ

      Cmax

      (pg/mL)

      AUC(0-tlast)

      (pg・hr/mL)

      Tmax8)

      (min)

      感冒症状

      (18例)

      1150

      (87)

      1040

      (98)

      18

      (5, 90)

      感冒症状+点鼻液併用

      (18例)

      812

      (74)

      868

      (72)

      18

      (10, 60)

      感冒症状から回復後

      (17例)

      746

      (74)

      632

      (63)

      18

      (15, 40)

      平均値(変動係数%)

      8) 中央値(範囲)

     

    16.8 その他

    1. 16.8.1 血糖上昇作用

      1型糖尿病及び2型糖尿病患者72例にクロスオーバー法により本剤3mgを経鼻投与又はグルカゴン注射剤1mgを筋肉内投与した。本剤投与後10分までに血糖値(中央値)は約70mg/dLに達し、最大血糖値(平均値)は140mg/dLを超える値まで上昇した。,

       

      図2)本剤又はグルカゴン注射剤投与後の血糖値の推移(平均値±標準偏差)

    17. 臨床成績

    17.1 有効性及び安全性に関する試験

    1. 17.1.1 国内第III相2剤2期クロスオーバー試験

      成人1型糖尿病及び2型糖尿病患者72例(1型33例、2型39例)を対象として、インスリン誘導低血糖からの治療成功割合に関して、本剤3mg経鼻投与とグルカゴン注射剤1mg筋肉内投与を比較した。治験薬の投与は、空腹時にインスリン誘導低血糖の状態で行った。インスリンを投与し、血漿中グルコース濃度が60mg/dL未満に低下した後、本剤3mg経鼻投与又はグルカゴン注射剤1mg筋肉内投与を受けた。治療成功は、血漿中グルコース濃度を上昇させる他の処置を受けることなく、グルカゴン投与後30分以内に血漿中グルコース濃度が70mg/dL(3.9mmol/L)以上に上昇した場合、又は最低値から20mg/dL以上上昇した場合と定義した。
      有効性解析対象(68例)における本剤3mg経鼻投与及びグルカゴン注射剤1mg筋肉内投与での治療成功割合はいずれも100%であった。投与群間の差は0%(95%信頼区間: -1.5%、1.5%)であり、本剤3mg経鼻投与のグルカゴン注射剤1mg筋肉内投与に対する非劣性が検証された。なお、本剤3mg経鼻投与及びグルカゴン注射剤1mg筋肉内投与の治療成功を達成するまでの時間の平均値は、それぞれ12.0分及び11.0分であった5)

       

    • 副作用発現頻度は、本剤3mg経鼻投与(71例)では16.9%(12例)であった。主な副作用は鼻痛8.5%(6例)、悪心5.6%(4例)、血圧上昇5.6%(4例)、嘔吐2.8%(2例)及び耳痛2.8%(2例)であった。,,

     

    1. 17.1.2 外国第III相部分的クロスオーバー試験

      小児1型糖尿病患者(4歳以上17歳未満)48例を対象として、本剤2用量(2mg9)又は3mg)経鼻投与時とグルカゴン注射剤1mg10)筋肉内投与時の薬物動態、薬力学特性及びグルコース濃度上昇作用を評価した。治験薬は、空腹時にインスリンを投与した後、血漿中グルコース濃度が80mg/dL未満に低下した5分後に単回投与した。その結果は、表1のとおりであった6)

       

      表1)グルカゴン投与から治療反応を達成するまでの時間(平均値: 分)

      血漿中グルコース濃度の最低値からの上昇

      4歳以上8歳未満

      8歳以上12歳未満

      12歳以上17歳未満

      本剤

      (12例)

      グルカゴン
      注射剤
      (6例)

      本剤

      (12例)

      グルカゴン
      注射剤
      (6例)

      本剤

      (12例)

      グルカゴン
      注射剤
      (12例)

      20mg/dL

      以上上昇

      10.8

      10.0

      11.3

      12.5

      14.2

      12.5

      25mg/dL

      以上上昇

      11.7

      10.0

      12.9

      15.0

      15.8

      14.2

       

      副作用発現頻度は、本剤3mg経鼻投与(36例)では50.0%(18例)であった。主な副作用は嘔吐30.6%(11例)、頭痛22.2%(8例)、悪心16.7%(6例)及び鼻部不快感8.3% (3例)であった。,

       

      9) 本剤の承認された用法及び用量は、「通常、グルカゴンとして1回3mgを鼻腔内に投与する。」である。

      10) 体重25kg以上の場合1mg、体重25kg未満の場合は0.5mg

    18. 薬効薬理

    18.1 作用機序

    グルカゴンは肝臓のグルカゴン受容体に結合して活性化し、肝臓に蓄積されたグリコーゲンをグルコースに分解して血液中に放出させることにより血糖値を上昇させる。

    19. 有効成分に関する理化学的知見

    一般的名称

    グルカゴン(Glucagon)〔JAN〕

    分子式

    C153H225N43O49S

    分子量

    平均分子量3482.80g/mol

    性状

    白色の粉末である。
    0.1mol/L塩酸にやや溶けやすく、アセトニトリル、メタノール、エタノール及び水に極めて溶けにくい。

    化学構造式

    グルカゴンはアミノ酸29個からなる一本鎖のポリペプチドで、ヒトグルカゴンと同一の構造である。
    His-Ser-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Ser-Arg-Arg-Ala-Gln-Asp-Phe-Val-Gln-Trp-Leu-Met-Asn-Thr

    21. 承認条件

    • 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

    22. 包装

    • 1点鼻容器(乾燥剤入り)

    24. 文献請求先及び問い合わせ先

    **グローバルレギュラトリーパートナーズ合同会社 医薬情報問合せ窓口

    **〒105-0001 東京都港区虎ノ門5-13-1 虎ノ門40MTビル7F

    **電話番号 0120-126-003(医療関係者向け)

    **baqsimi.jp@globalregulatorypartners.com

    25. 保険給付上の注意

    本製剤を1回2瓶以上処方する場合は、複数必要と判断した理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。(令和2年8月25日付け保医発0825第1号厚生労働省保険局医療課長通知)

    26. 製造販売業者等

    26.1 製造販売元

    **グローバルレギュラトリーパートナーズ合同会社

    **東京都港区虎ノ門5-13-1 虎ノ門40MTビル7F



    Ⓡ:登録商標

    〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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