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劇薬
処方箋医薬品注)
グルカゴンの血糖上昇作用は、主として肝グリコーゲンの分解によるので、飢餓状態、副腎機能低下症、頻発する低血糖、一部糖原病、肝硬変等の場合、血糖上昇効果はほとんど期待できない。また、アルコール性低血糖の場合には、血糖上昇効果はみられない。
通常、グルカゴンとして1回3mgを鼻腔内に投与する。
本剤投与後に低血糖症状が認められた場合はブドウ糖の経口投与又は静脈内投与を行うこと。本剤の投与により、一旦、血糖値が上昇した後、直接又は間接的(血糖上昇に対する反応性)に過度なインスリン分泌を促し低血糖を起こすおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。グルカゴンはヒト胎盤を通過しないことが報告されている2)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。グルカゴンがヒト乳汁中へ移行するかどうかは不明である。グルカゴンはペプチドであり、未変化体のまま消化管から吸収されることはない。したがって、授乳により乳児がグルカゴンを経口摂取したとしても影響が生じる可能性は低いと考えられる。
小児等を対象とした国内臨床試験及び4歳未満の小児等を対象とした国内外臨床試験は実施していない。
β遮断剤
脈拍数の一時的な増加及び血圧の一時的な上昇が起こることがある。
β遮断剤の薬理作用が、グルカゴンのカテコールアミン分泌刺激に伴う臨床症状発現に影響する可能性がある。
ワルファリンカリウム
ワルファリンカリウムの抗凝血作用が増強することがある。
機序は不明である。
10%以上
1~10%未満
1%未満
頻度不明
眼
流涙増加、眼そう痒症
眼充血
消化器
悪心、嘔吐
臨床検査
収縮期血圧上昇、拡張期血圧上昇
心拍数増加
精神神経系
頭痛
呼吸器
上気道刺激症状(鼻部不快感、鼻閉、鼻痛、鼻漏等)
皮膚
そう痒症
その他
味覚異常
過量に投与された場合は、悪心、嘔吐、消化管運動抑制、血圧上昇、脈拍数増加及び血清カリウム低下が起こる可能性がある。
急激な血圧上昇が認められた場合は、適切な血圧降下処置を行うこと。ただし、β遮断剤の投与は避けること。
1型糖尿病及び2型糖尿病患者にクロスオーバー法により本剤3mg経鼻投与又はグルカゴン注射剤1mg筋肉内投与で単回投与したときのグルカゴン(ベースライン値で補正した値)の薬物動態は以下のとおりであった。
Cmax(pg/mL)
AUC(0-tlast)(pg・hr/mL)
Tmax注1)(min)
CL/F(L/hr)
V/F(L)
t1/2注2)(min)
本剤3mg
(71例)
9520
(103)
4830
(89)
30
(10, 40)
563
(46)
371注3)
(92)
27注3)
(8, 85)
グルカゴン注射剤1mg(68例)
3290
(37)
3240
(32)
10
(5, 40)
303
(31)
235
(43)
32(14, 54)
幾何平均値(変動係数%)
グルカゴンは肝臓、腎臓及び血漿で分解されることが知られている。
4歳以上17歳未満の小児1型糖尿病患者に本剤を経鼻投与又はグルカゴン注射剤を筋肉内投与したときのグルカゴン(ベースライン値で補正した値)の薬物動態は以下のとおりであった3)(外国人データ)。
Cmax注4)
(pg/mL)
AUC(0-tlast)注4)(pg・hr/mL)
Tmax注5)
(min)
t1/2注5),注6)
4歳以上
8歳未満
本剤 3mg
(12例)
3960(62)
2470(58)
17(10, 60)
31
(15, 79)
グルカゴン注射剤1mg注7)(6例)
6290(33)
4080(51)
17(5, 30)
20
(14, 23)
8歳以上
12歳未満
5660(37)
2940(35)
15(10, 30)
21
(13, 35)
グルカゴン注射剤1mg
(6例)
4740(65)
3640(57)
33
(20, 57)
12歳以上
17歳未満
3100(74)
2000(66)
20(15, 30)
24
(13, 42)
4280(88)
3110(92)
38
(14, 58)
感冒に伴う鼻閉及び/又は鼻汁を有する被験者を対象にオキシメタゾリン点鼻液併用、非併用時又は感冒から回復後に本剤3mgを経鼻投与したときのグルカゴン(ベースライン値で補正した値)の薬物動態は表3のとおりであった。また、血漿中グルコース濃度上昇に影響を及ぼさなかった4)(外国人データ)。
Cmax
AUC(0-tlast)
(pg・hr/mL)
Tmax注8)
感冒症状
(18例)
1150
(87)
1040
(98)
18
(5, 90)
感冒症状+点鼻液併用
812
(74)
868
(72)
(10, 60)
感冒症状から回復後
(17例)
746
632
(63)
(15, 40)
平均値(変動係数%)
1型糖尿病及び2型糖尿病患者72例にクロスオーバー法により本剤3mgを経鼻投与又はグルカゴン注射剤1mgを筋肉内投与した。本剤投与後10分までに血糖値(中央値)は約70mg/dLに達し、最大血糖値(平均値)は140mg/dLを超える値まで上昇した。,
成人1型糖尿病及び2型糖尿病患者72例(1型33例、2型39例)を対象として、インスリン誘導低血糖からの治療成功割合に関して、本剤3mg経鼻投与とグルカゴン注射剤1mg筋肉内投与を比較した。治験薬の投与は、空腹時にインスリン誘導低血糖の状態で行った。インスリンを投与し、血漿中グルコース濃度が60mg/dL未満に低下した後、本剤3mg経鼻投与又はグルカゴン注射剤1mg筋肉内投与を受けた。治療成功は、血漿中グルコース濃度を上昇させる他の処置を受けることなく、グルカゴン投与後30分以内に血漿中グルコース濃度が70mg/dL(3.9mmol/L)以上に上昇した場合、又は最低値から20mg/dL以上上昇した場合と定義した。有効性解析対象(68例)における本剤3mg経鼻投与及びグルカゴン注射剤1mg筋肉内投与での治療成功割合はいずれも100%であった。投与群間の差は0%(95%信頼区間: -1.5%、1.5%)であり、本剤3mg経鼻投与のグルカゴン注射剤1mg筋肉内投与に対する非劣性が検証された。なお、本剤3mg経鼻投与及びグルカゴン注射剤1mg筋肉内投与の治療成功を達成するまでの時間の平均値は、それぞれ12.0分及び11.0分であった5)。
小児1型糖尿病患者(4歳以上17歳未満)48例を対象として、本剤2用量(2mg注9)又は3mg)経鼻投与時とグルカゴン注射剤1mg注10)筋肉内投与時の薬物動態、薬力学特性及びグルコース濃度上昇作用を評価した。治験薬は、空腹時にインスリンを投与した後、血漿中グルコース濃度が80mg/dL未満に低下した5分後に単回投与した。その結果は、表1のとおりであった6)。
血漿中グルコース濃度の最低値からの上昇
4歳以上8歳未満
8歳以上12歳未満
12歳以上17歳未満
本剤
グルカゴン注射剤(6例)
グルカゴン注射剤(12例)
20mg/dL
以上上昇
10.8
10.0
11.3
12.5
14.2
25mg/dL
11.7
12.9
15.0
15.8
副作用発現頻度は、本剤3mg経鼻投与(36例)では50.0%(18例)であった。主な副作用は嘔吐30.6%(11例)、頭痛22.2%(8例)、悪心16.7%(6例)及び鼻部不快感8.3% (3例)であった。,
グルカゴンは肝臓のグルカゴン受容体に結合して活性化し、肝臓に蓄積されたグリコーゲンをグルコースに分解して血液中に放出させることにより血糖値を上昇させる。
グルカゴン(Glucagon)〔JAN〕
C153H225N43O49S
平均分子量3482.80g/mol
白色の粉末である。0.1mol/L塩酸にやや溶けやすく、アセトニトリル、メタノール、エタノール及び水に極めて溶けにくい。
グルカゴンはアミノ酸29個からなる一本鎖のポリペプチドで、ヒトグルカゴンと同一の構造である。His-Ser-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Ser-Arg-Arg-Ala-Gln-Asp-Phe-Val-Gln-Trp-Leu-Met-Asn-Thr
1) 社内資料: 成人1型及び2型糖尿病患者を対象とした外国第I相試験(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.3)
2) Moore WM, et al.: Clin. Sci. Mol. Med. 1974; 46(1): 125-129
3) 社内資料: 小児1型糖尿病患者を対象とした外国第III相試験(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.7)
4) Guzman CB, et al.: Diabetes Obes. Metab. 2018; 20(3): 646-653
5) Matsuhisa M, et al.: Diabetes Obes. Metab. 2020; 22(7): 1167-1175
6) Sherr JL, et al.: Diabetes Care. 2016; 39(4): 555-562
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