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処方箋医薬品注)
高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症
通常、成人には1日1回1錠(ピタバスタチンカルシウム/エゼチミブとして2mg/10mg又は4mg/10mg)を食後に経口投与する。
通常、成人にはピタバスタチンカルシウムとして1~2mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減し、LDL-コレステロール値の低下が不十分な場合には増量できるが、最大投与量は1日4mgまでとする。
通常、成人にはエゼチミブとして1回10mgを1日1回食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜減量する。
エゼチミブでは空腹時血糖の上昇が報告されている。
**重症筋無力症(眼筋型、全身型)が悪化又は再発することがある。
本剤とフィブラート系薬剤を併用する場合には、治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用すること。急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。やむを得ず併用する場合には、定期的に腎機能検査等を実施し、自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること。,
ピタバスタチンの横紋筋融解症の報告例の多くが腎機能障害を有する患者であり、また、横紋筋融解症に伴って急激な腎機能の悪化が認められている。,
投与しないこと。これらの患者ではピタバスタチンの血漿中濃度が上昇し、副作用の発現頻度が増加するおそれがある。また、肝障害を悪化させるおそれがある。,
投与しないことが望ましい。エゼチミブの血漿中濃度が上昇するおそれがある。,
ピタバスタチンは主に肝臓に多く分布して作用するので、肝障害を悪化させるおそれがある。エゼチミブでは肝機能障害の程度に応じて血漿中薬物濃度の上昇が認められた。,,,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ピタバスタチンでは、動物実験(ラット)での周産期及び授乳期投与試験(1mg/kg以上)において分娩前又は分娩後の一時期に母動物の死亡が認められている。また、ウサギでの器官形成期投与試験(0.3mg/kg以上)において母動物の死亡が認められている。ラットに他のHMG-CoA還元酵素阻害剤を大量投与した場合に胎児の骨格奇形が報告されている。更にヒトでは、他のHMG-CoA還元酵素阻害剤で、妊娠3ヵ月までの間に服用したとき、胎児に先天性奇形があらわれたとの報告がある。
投与しないこと。ピタバスタチンでは、動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。エゼチミブでは、ヒト母乳中への移行の有無は不明であるが、妊娠後から授乳期まで投与したラットで乳児への移行が認められている。
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
副作用が発現した場合には減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある。
シクロスポリン(サンディミュン)(ネオーラル),,,
急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症等の重篤な有害事象が発現しやすい。また、副作用の発現頻度が増加するおそれがある。
ピタバスタチンとの併用によりピタバスタチンの血漿中濃度が上昇(Cmax6.6倍、AUC4.6倍)する。また、エゼチミブとの併用によりエゼチミブ及びシクロスポリンの血中濃度の上昇がみられたとの報告がある。
フィブラート系薬剤
,,
急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること。
フィブラート系薬剤、ピタバスタチン、エゼチミブでは、横紋筋融解症が報告されている。危険因子:腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者
ニコチン酸,
危険因子:腎障害がある場合
陰イオン交換樹脂
ピタバスタチンの血中濃度が低下する可能性がある。また、エゼチミブとの併用により、エゼチミブの血中濃度の低下がみられたとの報告がある。本剤は陰イオン交換樹脂の投与前2時間あるいは投与後4時間以上の間隔をあけて投与すること。
同時投与によりピタバスタチンの吸収が低下する可能性がある。また、エゼチミブが陰イオン交換樹脂と結合し、吸収が遅延あるいは減少する可能性がある。
エリスロマイシン,
急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれるおそれがある。自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること。
左記薬剤によりピタバスタチンの肝臓への取り込みが阻害されるためと考えられる。
リファンピシン
ピタバスタチンとの併用によりピタバスタチンのCmaxが2.0倍、AUCが1.3倍に上昇したとの報告がある。
クマリン系抗凝固剤
エゼチミブとの併用によりプロトロンビン時間国際標準比(INR)の上昇がみられたとの報告がある。併用する場合には適宜INR検査を行うこと。
機序不明
エゼチミブでは、アナフィラキシー、血管神経性浮腫、発疹を含む過敏症状があらわれたとの報告がある。
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれ、これに伴って急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。,,,,,,
広範な筋肉痛、筋肉圧痛や著明なCKの上昇があらわれた場合には投与を中止すること。
HMG-CoA還元酵素阻害剤では、近位筋脱力、CK高値、炎症を伴わない筋線維の壊死、抗HMG-CoA還元酵素(HMGCR)抗体陽性等を特徴とする免疫介在性壊死性ミオパチーがあらわれることがある。また、投与中止後も持続する例が報告されているので、患者の状態を十分に観察すること。なお、免疫抑制剤投与により改善がみられたとの報告例がある。
AST、ALTの著しい上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査等の観察を十分に行うこと。,
血液検査等の観察を十分に行うこと。
長期投与であっても、発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
**重症筋無力症(眼筋型、全身型)が発症又は悪化することがある。
1%以上
1%未満
頻度不明
皮膚
発疹、そう痒、じん麻疹、紅斑、多形紅斑、血管性浮腫、脱毛、皮膚疼痛
消化器
口渇、口内乾燥、口内炎、舌炎、嘔気・悪心、嘔吐、逆流性食道炎、胃炎、胃不快感、消化不良、腹痛、腹部膨満感、アミラーゼ上昇、膵炎、胆石症、胆のう炎、鼓腸放屁、便秘、下痢、食欲不振
肝臓
ALT上昇
γ-GTP上昇
AST上昇、LDH上昇、ビリルビン上昇、コリンエステラーゼ上昇、AL-P上昇、肝炎
腎臓
蛋白尿
頻尿、BUN上昇、血清クレアチニン上昇
循環器
期外収縮、動悸、血圧上昇、胸痛、ほてり
筋肉注)
CK上昇
筋肉痛、背部痛、四肢痛、脱力感、筋痙縮、筋力低下、ミオグロビン上昇
精神神経系
頭痛・頭重感、しびれ、めまい、こわばり感、眠気、不眠、坐骨神経痛、抑うつ、錯感覚
血液
白血球増多
貧血、血小板減少、顆粒球減少、白血球減少、好酸球増多、グロブリン上昇、クームス試験の陽性化
内分泌
テストステロン低下、アルドステロン低下、アルドステロン上昇、ACTH上昇、コルチゾール上昇、TSH上昇
その他
倦怠感、疲労感、無力症、関節痛、浮腫、霧視、眼のちらつき、耳閉感、味覚異常、帯状疱疹、単純疱疹、結膜炎、咳嗽、疼痛、抗核抗体の陽性化、尿潜血、着色尿、尿酸値上昇、血清K上昇、血清P上昇
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
複合型高脂血症患者を対象にした海外の多施設二重盲検プラセボ対照試験(625例が12週間以内、576例が1年以内の投与)において、血清トランスアミナーゼの上昇(基準値上限の3倍を超える連続した上昇)の発現率(曝露期間で調整)は、フェノフィブラート単独群で4.5%、エゼチミブとフェノフィブラート併用群で2.7%であった。同様に、胆のう摘出術の発現率は、フェノフィブラート単独群で0.6%、エゼチミブとフェノフィブラート併用群で1.7%であった。CK上昇(基準値上限の10倍を超える)については、本試験のいずれの群でも認められなかった。また、エゼチミブとフェノフィブラート併用における一般的な有害事象は腹痛であった。なお、本試験は、頻繁に発現しない有害事象を群間で比較するようにはデザインされていない1),2)。
健康成人男性55例に本剤HD1錠又はピタバスタチンカルシウム錠4mg及びエゼチミブ錠10mg各1錠(単剤併用)を、クロスオーバー法により空腹時に単回経口投与したときの薬物動態パラメータ及び血漿中濃度推移を示す3)。
AUC0-t(ng・h/mL)
Cmax(ng/mL)
Tmax(h)
T1/2(h)
ピタバスタチン(未変化体)
本剤HD
140.745±48.794(55)
64.215±29.056(55)
1.000[0.50, 2.00](55)
12.227±2.886(38)
単剤併用
143.664±49.904(54)
66.353±31.811(54)
1.000[0.50, 2.00](54)
14.061±4.225(45)
エゼチミブ(非抱合体)
89.9823±41.0849(55)
5.7285±3.4775(55)
4.000[0.50, 12.00](55)
16.950±6.663(38)
94.7826±43.6560(54)
6.6849±4.6191(54)
5.000[0.50, 24.00](54)
20.199±12.952(41)
AUC0-t, Cmax, T1/2:平均値±標準偏差(例数)Tmax:中央値[最小値, 最大値](例数)
健康成人男性14例に本剤HD1錠を空腹時又は朝食後に単回経口投与したとき、ピタバスタチン(未変化体)の薬物動態に対する食事の影響は、食後投与では空腹時投与に比べCmaxが42.5%低下したが、AUCに大きな差は認められなかった3)。
健康成人男性14例に本剤HD1錠を空腹時又は朝食後に単回経口投与したとき、エゼチミブ(非抱合体)の薬物動態に対する食事の影響は、食後投与では空腹時投与に比べCmaxが32.2%上昇したが、AUCに大きな差は認められなかった3)。
ピタバスタチンの血漿蛋白結合率は高く、ヒト血漿及び4%ヒト血清アルブミンで99.5~99.6%、0.06%ヒトα1酸性糖蛋白で94.3~94.9%であった4)(in vitro)。
ヒト血漿に添加したときの蛋白結合率は、3H-エゼチミブ(非抱合体)99.5~99.8%、3H-エゼチミブ(グルクロン酸抱合体)87.8~92.0%であった。肝機能障害や腎機能障害による血漿蛋白結合率への影響は認められていない5)(in vitro)。
ピタバスタチンは、体内でラクトン体への環化、側鎖のβ酸化、キノリン環の水酸化及びグルクロン酸あるいはタウリン抱合化等により代謝された6),7)(ラット、ウサギ、イヌ)。
健康成人男性にピタバスタチンを投与したとき、血液中では未変化体及び主代謝物であるラクトン体が認められ、その他の代謝物としてはプロパン酸誘導体、8位水酸化体がわずかに認められた。尿中では未変化体、ラクトン体、デヒドロラクトン体、8位水酸化体及びこれらの抱合体がいずれもわずかに認められた8),9)。
ピタバスタチンは、ヒト肝ミクロゾームを用いた代謝試験においてわずかに代謝され、主にCYP2C9により8位水酸化体を生じた4)(in vitro)。
エゼチミブは、主に小腸における初回通過効果によって主要活性代謝物であるエゼチミブ(グルクロン酸抱合体)に代謝される。外国人健康成人男性8例に14C-エゼチミブカプセル20mg注)を単回経口投与したとき、血漿中の総放射能に占めるエゼチミブ(非抱合体)及びエゼチミブ(グルクロン酸抱合体)の割合(AUC比)はそれぞれ11%及び82%(合計93%)であった10)。注)本剤の承認用量は1日1回1錠(ピタバスタチンカルシウム/エゼチミブとして2mg/10mg又は4mg/10mg)である。
ピタバスタチンの主たる排泄経路は糞中排泄であった7)(ラット、イヌ)。
健康成人男性各6例にピタバスタチンカルシウムとして2mg、4mgを単回経口投与したとき、尿中排泄率は低く、未変化体で0.6%未満、ラクトン体で1.3%未満、合計でも2%未満であった。また、健康成人男性6例にピタバスタチンカルシウムとして4mgを1日1回7日間反復経口投与したとき、未変化体及びラクトン体の尿中排泄量は初回から7回目の投与まで増加を示さず、投与終了とともに速やかに減少した11)。
外国人健康成人男性8例に14C-エゼチミブカプセル20mg注)を単回経口投与したとき、投与後240時間までの放射能排泄率は糞中に78%、尿中に11%であった10)。健康成人男性各6例にエゼチミブ10mg、20mg注)、40mg注)を単回経口投与したとき、投与後72時間までのエゼチミブ(非抱合体)としての尿中排泄率は0.05%未満であり、尿中総エゼチミブ(非抱合体+グルクロン酸抱合体)排泄率は8.7~11%であった12)。注)本剤の承認用量は1日1回1錠(ピタバスタチンカルシウム/エゼチミブとして2mg/10mg又は4mg/10mg)である。
エゼチミブ(グルクロン酸抱合体)は胆汁中に排泄されたのち、腸内細菌叢による脱抱合をうけ、一部はエゼチミブ(非抱合体)として再吸収される(腸肝循環)10),13)。
腎機能障害(血清クレアチニン基準値上限の1.5倍以上3倍以下)を有する高コレステロール血症患者6例と腎機能が正常な高コレステロール血症患者6例にピタバスタチンカルシウムとして2mgを1日1回7日間反復経口投与したとき、腎機能障害患者の投与7日目の血漿中濃度は腎機能正常者に比しCmaxで1.7倍、AUCで1.9倍を示した14)。
重度の外国人慢性腎機能障害患者8例(クレアチニンクリアランス10~29mL/min)にエゼチミブ10mgを単回経口投与したとき、外国人健康成人9例(クレアチニンクリアランス>80mL/min)と比較して血漿中エゼチミブ(非抱合体)及びエゼチミブ(グルクロン酸抱合体)濃度のAUCにそれぞれ約1.6倍及び1.5倍の上昇が認められた13)。
外国人肝硬変患者12例と外国人健康成人6例にピタバスタチンカルシウムとして2mgを単回経口投与したとき、血漿中濃度は健康成人に比しChild-Pugh grade Aの患者ではCmaxで1.3倍、AUCで1.6倍、Child-Pugh grade Bの患者ではCmaxで2.7倍、AUCで3.9倍を示した15)。,,,,肝機能障害患者(脂肪肝)6例と肝機能正常者6例に1日1回ピタバスタチンカルシウムとして2mgを7日間反復経口投与したとき、薬物動態への影響は少なかった16)。
軽度、中等度又は重度の外国人慢性肝機能障害患者各4例と外国人健康成人8例にエゼチミブ10mgを単回経口投与したとき、健康成人と比較して中等度及び重度の肝機能障害患者においては、血漿中エゼチミブ(非抱合体)濃度のAUCは4.8~5.8倍高値であり、血漿中エゼチミブ(グルクロン酸抱合体)濃度のAUCは肝機能障害の重症度に応じて1.7~4倍高値であった13)。,,
高齢男性6例(年齢65~71歳)と非高齢男性5例(年齢22~24歳)に1日1回ピタバスタチンカルシウムとして2mgを5日間反復経口投与したとき、両群の薬物動態パラメータに差は認められなかった8)。
高齢者12例(年齢65~75歳)にエゼチミブ10mgを1日1回10日間反復経口投与したとき、非高齢対照群11例(年齢20~24歳)と比較して血漿中エゼチミブ(グルクロン酸抱合体)濃度のAUCに約2.4倍の上昇が認められたが、血漿中エゼチミブ(非抱合体)濃度のAUCに明らかな変化は認められなかった17)。
健康成人男性6例に1日1回ピタバスタチンカルシウムとして2mgを6日間反復経口投与し、6日目の投与1時間前にシクロスポリン2mg/kgを単回経口投与したとき、ピタバスタチンの血漿中濃度はCmaxで6.6倍、AUCで4.6倍に上昇した18)。,
外国人健康成人18例に1日4回エリスロマイシン500mgを6日間反復経口投与し、4日目の朝にピタバスタチンとして4mgを併用投与したとき、単独投与と比しピタバスタチンの血漿中濃度はCmaxで3.6倍、AUCで2.8倍に上昇した19)。
外国人健康成人18例に1日1回リファンピシン600mgを15日間反復経口投与し、11~15日目に1日1回ピタバスタチンとして4mgを併用投与したとき、単独投与と比しピタバスタチンの血漿中濃度はCmaxで2.0倍、AUCで1.3倍に上昇した20)。
外国人健康成人24例に1日1回ピタバスタチンカルシウムとして4mgを6日間反復経口投与し、8日目からフェノフィブラート又はゲムフィブロジルを7日間併用投与したとき、ピタバスタチンの血漿中濃度(AUC)はフェノフィブラートで1.2倍、ゲムフィブロジルで1.4倍に上昇した21)。
ピタバスタチンはCYP分子種のモデル基質に対する阻害試験では、CYP2C9の基質のトルブタミド、CYP3A4の基質のテストステロンの代謝に影響しなかった4)。また、ピタバスタチンの肝臓への取り込みに有機アニオントランスポーターOATP1B1(OATP-C/OATP2)が関与しており、シクロスポリン、エリスロマイシン及びリファンピシンによって取り込みが阻害された22)。
外国人健康成人12例にエゼチミブ20mg注)と各種チトクロームP450酵素系の基質となる代表的な指標薬を併用したとき、CYP1A2、CYP2C8/9、CYP2D6及びCYP3A4活性、並びにN-アセチルトランスフェラーゼ活性への影響は認められなかった5)。注)本剤の承認用量は1日1回1錠(ピタバスタチンカルシウム/エゼチミブとして2mg/10mg又は4mg/10mg)である。
外国人成人8例(LDL-コレステロール値≧130mg/dL)にコレスチラミン4g(1日2回)とエゼチミブ10mg(1日1回)を14日間併用投与したとき、血漿中総エゼチミブ(非抱合体+グルクロン酸抱合体)濃度のAUCが低下した。エゼチミブ単独投与と比較したコレスチラミン併用投与時の相対的バイオアベイラビリティは45%であった5)。
外国人成人8例(LDL-コレステロール値≧130mg/dL)にフェノフィブラート200mg(1日1回)とエゼチミブ10mg(1日1回)を14日間併用投与したとき、血漿中総エゼチミブ(非抱合体+グルクロン酸抱合体)濃度のCmax及びAUCがそれぞれ約64%及び48%上昇したが、臨床上意味のあるものではなかった。フェノフィブラートの薬物動態に及ぼすエゼチミブの影響は認められなかった5)。
クレアチニンクリアランスが50mL/minを超え、かつ、一定用量(75~150mg1日2回)のシクロスポリン製剤を服用中の外国人腎移植患者8例にエゼチミブ10mgを単回投与したとき、血漿中総エゼチミブ(非抱合体+グルクロン酸抱合体)濃度のAUCは健康成人と比較して約3.4倍高値を示した23)。別の試験で、重度の腎機能障害のため腎移植を行い、シクロスポリン製剤による治療を受けていた外国人患者1例にエゼチミブ10mgを単回経口投与したとき、血漿中総エゼチミブ濃度のAUCが健康成人と比較して約12倍に上昇した報告がある5)。外国人健康成人12例にエゼチミブ20mg注)を1日1回8日間反復経口投与し、7日目にシクロスポリン製剤100mgを単回経口投与したとき、血液中シクロスポリン濃度のCmax及びAUCはシクロスポリン単独投与と比較してそれぞれ10%及び15%上昇した24)。,注)本剤の承認用量は1日1回1錠(ピタバスタチンカルシウム/エゼチミブとして2mg/10mg又は4mg/10mg)である。
薬物相互作用に関する臨床試験(外国人)で、エゼチミブ10mgとワルファリン、ジゴキシン、経口避妊薬(エチニルエストラジオール、レボノルゲストレル)を併用したとき、これらの薬物動態への影響は認められなかった。シメチジンとエゼチミブ10mgを併用したとき、エゼチミブのバイオアベイラビリティに対する影響は認められなかった。制酸剤(水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウムを含有)とエゼチミブ10mgを併用したとき、血漿中総エゼチミブ(非抱合体+グルクロン酸抱合体)濃度のAUCへの影響は認められなかったが、Cmaxは55.9ng/mLから37.1ng/mLに低下した5)。
高コレステロール血症患者を対象に、本剤LD又は本剤HD若しくはピタバスタチンカルシウム2mg又は4mgを1日1回1錠食後に12週間投与した実薬対照二重盲検比較試験の結果は以下のとおりであった。治療期12週時のLDL-コレステロール(Friedewald式)のベースラインからの変化率について、MMRM(Mixed model for repeated measurements)により、本剤HD群のピタバスタチンカルシウム4mg群に対する優越性、本剤LD群のピタバスタチンカルシウム2mg群に対する優越性及び本剤HD群の変化率が本剤LD群の変化率を下回ることが検証された。
PS2mg
PS4mg
本剤LD
ベースライン(mg/dL)
166.18±19.11(n=72)
162.14±21.94(n=72)
168.92±19.88(n=72)
167.01±19.51(n=72)
最終評価12週時(mg/dL)
100.24±15.61
88.73±16.92
81.48±21.18
69.99±14.16
変化率(%)
-39.481(-41.752 , -37.209)
-45.152(-47.439 , -42.866)
-51.423(-53.700 , -49.146)
-57.843(-60.130 , -55.556)
群間差
vs.PS2mg
-
-11.942**a(-15.159 , -8.726)
vs.PS4mg
-12.690**a(-15.932 , -9.449)
vs.本剤LD
-6.420(-9.642 , -3.197)
PS:ピタバスタチンカルシウムベースラインと最終評価12週時については平均値±標準偏差、変化率については最小二乗平均値又は最小二乗平均値の差(95%信頼区間)を示した。a:Model (MMRM): 投与群、時点、投与群と時点との交互作用、割付時の層別因子である動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版に基づくカテゴリー分類を固定効果、LDL-コレステロールのベースライン値を共変量とした解析モデル。4週、8週では各群72例、12週ではPS2mg群、PS4mg群、本剤LD群は72例、本剤HD群70例の被験者のデータが解析モデルに含まれる。**:p≤0.01
本剤投与による副作用発現割合は、本剤LD群5.6%(4/72例)、本剤HD群6.9%(5/72例)であった。主な副作用はALT増加(本剤LD群1.4%(1/72例)、本剤HD群5.6%(4/72例))等であった25)。
ピタバスタチンカルシウム2mg又は4mg投与で効果不十分の高コレステロール血症患者を対象に、それぞれ本剤LD又は本剤HDを1日1回1錠食後に52週間投与したとき、最終評価時のLDL-コレステロール(Friedewald式)のベースラインからの変化率(LOCF(Last observation carried forward)法を適用)は、本剤投与例全体-30.28±14.30%(平均値±標準偏差(以下同様)、n=109)、本剤LD群-29.50±11.71%(n=62)、本剤HD群-31.32±17.20%(n=47)であった。また、治療期4週から52週までの各時点では、本剤投与例全体-26.68±15.52%~-30.38±14.48%、本剤LD群-25.55±14.45%~-30.62±11.13%、本剤HD群-26.93±15.16%~-31.33±17.39%であり、その効果は持続した。副作用発現割合は、本剤投与例全体で0.9%(1/109例)であり、その内訳は本剤HD群で血中クレアチンホスホキナーゼ増加2.1%(1/47例)であった26)。
ピタバスタチンは、コレステロール生合成の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素を拮抗的に阻害することにより、肝臓でのコレステロール合成を阻害する。その結果、肝臓のLDL受容体の発現が促進し、血液中から肝臓へのLDLの取り込み促進により血漿総コレステロールが低下する。また、肝臓での持続的なコレステロール合成阻害により血液中へのVLDL分泌が減少し、血漿トリグリセリドが低下する。
ピタバスタチンは、ヒト肝癌由来細胞(HepG2細胞)においてLDL受容体mRNAの発現を促進し、LDLの結合量、取り込み量、アポB分解量が増加した27),28)(in vitro)。また、経口投与により用量依存的にLDL受容体の発現を促進した29)(モルモット)。
ピタバスタチンの経口投与により、VLDL-トリグリセリドの分泌は有意に低下した29)(モルモット)。
エゼチミブは食事性及び胆汁性コレステロールの吸収を阻害する。エゼチミブの作用部位は小腸であり、ハムスター等を用いた動物試験において、小腸でのコレステロールの吸収を選択的に阻害し、その結果、肝臓のコレステロール含量を低下させ、血中コレステロールを低下させた30),31),32),33)。エゼチミブは小腸壁細胞に存在する蛋白質(Niemann-Pick C1 Like 1)を介してコレステロール及び植物ステロールの吸収を阻害する34),35),36)。このことから、エゼチミブの作用機序は他の高脂血症治療剤(HMG-CoA還元酵素阻害剤、陰イオン交換樹脂、フィブラート系薬剤、植物ステロール)とは異なる。18例の高コレステロール血症患者を対象とした海外の臨床薬理試験において、エゼチミブは2週間の投与により小腸でのコレステロール吸収をプラセボ群に比し54%阻害した37)。エゼチミブは小腸でのコレステロール吸収阻害により肝臓のコレステロール含量を低下させるが、肝臓でのコレステロールの生合成が代償的に亢進する。コレステロールの生合成を抑制するHMG-CoA還元酵素阻害剤との併用により、血中コレステロールが相補的に低下することが、イヌを用いた試験32)及び海外の高コレステロール血症患者を対象とした試験38),39),40)において示された。また、ラット等において、エゼチミブはコレステロールの吸収を選択的に阻害するが、脂肪酸、胆汁酸、プロゲステロン、エチニルエストラジオール並びに脂溶性ビタミンA及びDの吸収には影響しなかった30)。
ピタバスタチンは、ラット肝ミクロゾームを用いた試験において、HMG-CoA還元酵素を拮抗的に阻害し、阻害作用のIC50値は6.8nMであった41)(in vitro)。
ピタバスタチンは、HepG2細胞を用いた試験において、コレステロール合成を濃度依存的に阻害した27)(in vitro)。また、経口投与した場合のコレステロール合成阻害作用は肝臓に選択的であった41)(ラット)。
ピタバスタチンの経口投与により、血漿総コレステロール、血漿トリグリセリドは有意に低下した29),41)(モルモット、イヌ)。
ピタバスタチンは、酸化LDLを負荷したマクロファージ(マウス単球由来株細胞)においてコレステロールエステルの蓄積を抑制した42)(in vitro)。また、経口投与により頚動脈擦過モデルにおける内膜肥厚を有意に抑制した43)(ウサギ)。
高脂飼料負荷イヌ及びアカゲザルを用いて、エゼチミブのコレステロール低下作用を検討した。エゼチミブは反復混餌投与により血漿総コレステロールの上昇を抑制した32),33)。
エゼチミブは反復混餌投与により粥状動脈硬化モデルにおける大動脈又は頸動脈の粥状動脈硬化病変の進展を抑制した31)(マウス)。
ピタバスタチンカルシウム水和物(Pitavastatin Calcium Hydrate)
Monocalcium bis{(3R,5S,6E)-7-[2-cyclopropyl-4-(4-fluorophenyl)quinolin-3-yl]-3,5-dihydroxyhept-6-enoate}pentahydrate
C50H46CaF2N2O8・5H2O
971.06
白色~微黄色の粉末である。メタノールに溶けにくく、水又はエタノール(99.5)に極めて溶けにくい。希塩酸に溶ける。結晶多形が認められる。
エゼチミブ(Ezetimibe)
(3R,4S)-1-(4-Fluorophenyl)-3-[(3S)-3-(4-fluorophenyl)-3-hydroxypropyl]-4-(4-hydroxyphenyl)azetidin-2-one
C24H21F2NO3
409.43
白色の粉末で、エタノール(99.5)に溶けやすく、アセトニトリルにやや溶けやすく、水又はヘキサンにほとんど溶けない。
アルミピロー包装開封後は、湿気を避けて遮光して保存すること。
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
PTP:100錠(10錠×10)、500錠(10錠×50)
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