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日本薬局方
注射用アシクロビル
処方箋医薬品注)
本剤の成分あるいはバラシクロビル塩酸塩に対し過敏症の既往歴のある患者
免疫機能の低下した患者(悪性腫瘍・自己免疫疾患など)に発症した単純疱疹・水痘・帯状疱疹脳炎・髄膜炎
通常、成人にはアシクロビルとして1回体重1kg当たり5mgを1日3回、8時間毎に1時間以上かけて、7日間点滴静注する。なお、脳炎・髄膜炎においては、必要に応じて投与期間の延長もしくは増量ができる。ただし、上限は1回体重1kg当たり10mgまでとする。
通常、小児にはアシクロビルとして1回体重1kg当たり5mgを1日3回、8時間毎に1時間以上かけて、7日間点滴静注する。なお、必要に応じて増量できるが、上限は1回体重1kg当たり20mgまでとする。さらに、脳炎・髄膜炎においては、投与期間の延長もできる。
通常、新生児にはアシクロビルとして1回体重1kg当たり10mgを1日3回、8時間毎に1時間以上かけて、10日間点滴静注する。なお、必要に応じて投与期間の延長もしくは増量ができる。ただし、上限は1回体重1kg当たり20mgまでとする。
クレアチニンクリアランス(mL/min/1.73m2)
標準1回投与量に対応する百分率(%)
投与間隔(時間)
>50
100
8
25~50
12
10~25
24
0~10
50
意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。なお、腎機能障害患者では、特に意識障害等があらわれやすいので、患者の状態によっては従事させないよう注意すること。,
適切な水分補給を行うこと。,
投与間隔及び投与量を調節し、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。本剤の曝露量が増加した場合には、精神神経症状や腎機能障害が発現する危険性が高い。,,,,,,
肝障害が増悪するおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)の妊娠10日目に、母動物に腎障害のあらわれる大量(200mg/kg/day以上)を皮下投与した実験では、胎児に頭部及び尾の異常が認められたと報告されている1) 。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。アシクロビルは、ヒト母乳中への移行が報告されている。
投与間隔及び投与量を調節し、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。本剤は、主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため高い血中濃度が持続するおそれがある。本剤の曝露量が増加した場合には、精神神経症状や腎機能障害が発現する危険性が高い。,,,,
プロベネシド
本剤の排泄が抑制され、本剤の平均血漿中半減期が18%延長し、平均血漿中濃度曲線下面積が40%増加するとの報告がある2) 。特に腎機能低下の可能性がある患者(高齢者等)には慎重に投与すること。
プロベネシドは尿細管分泌に関わるOAT1及びMATE1を阻害するため、本剤の腎排泄が抑制されると考えられる。
シメチジン
アシクロビルの排泄が抑制され、アシクロビルの平均血漿中濃度曲線下面積が27%増加するとの報告がある(バラシクロビル塩酸塩でのデータ)3) 。特に腎機能低下の可能性がある患者(高齢者等)には慎重に投与すること。
シメチジンは尿細管分泌に関わるOAT1、MATE1及びMATE2-Kを阻害するため、アシクロビルの腎排泄が抑制されると考えられる。
ミコフェノール酸 モフェチル
本剤及びミコフェノール酸 モフェチル代謝物の排泄が抑制され、両方の平均血漿中濃度曲線下面積が増加するとの報告がある4) 。特に腎機能低下の可能性がある患者(高齢者等)には慎重に投与すること。
本剤とミコフェノール酸 モフェチル代謝物が尿細管分泌で競合すると考えられる。
テオフィリン
本剤との併用によりテオフィリンの中毒症状があらわれることがある5) 。
機序は不明であるが、本剤がテオフィリンの代謝を阻害するためテオフィリンの血中濃度が上昇することが考えられる。
アナフィラキシーショック、アナフィラキシー(呼吸困難、血管性浮腫等)があらわれることがある。
,,
意識障害(昏睡)、せん妄、妄想、幻覚、錯乱、痙攣、てんかん発作、麻痺、脳症等があらわれることがある。一般に精神神経症状は本剤の投与中止により回復する。,,
0.1%~5%未満
0.1%未満
頻度不明
過敏症
発熱、発疹、紅斑、蕁麻疹
瘙痒
水疱、固定薬疹、光線過敏症
血液
貧血
紫斑、血小板減少、顆粒球減少、好酸球増多、リンパ球増多
出血、白血球増多、好塩基球増多、リンパ球減少、血小板増多
肝臓
肝機能検査値異常(AST、ALT等の上昇)
肝腫大
腎臓・泌尿器
BUN上昇、血清クレアチニン値上昇
蛋白尿、血尿、尿円柱
乏尿、膿尿、結晶尿、尿閉、排尿困難
消化器
嘔気、嘔吐、腹痛、胃痛、心窩部痛、胃不快感
下痢、軟便、食欲不振
胃炎、消化不良、舌炎、口渇、便秘、鼓腸放屁
精神神経系
意識障害、傾眠、見当識障害、情動失禁、そう状態、多弁、不安、れん縮、しびれ感、振戦、めまい、眠気
感情鈍麻、うつ状態、集中力障害、徘徊、離人症、興奮、健忘、不眠、言語障害、独語、異常感覚、運動失調、歩行異常、不随意運動、眼振等
循環器
胸痛
頻脈、動悸、血圧上昇
不整脈、血圧低下
筋骨格
関節痛、筋肉痛
全身症状
全身倦怠感、発熱、頭痛
蒼白、ほてり、悪寒
失神、浮腫、脱力感、筋力低下
適用部位
注射部壊死
注射部炎症
その他
呼吸困難、血清トリグリセライド値上昇、血清コレステロール値上昇、血清蛋白低下、尿糖
肺炎、咽頭炎、喘鳴、胸水、疼痛、難聴、結膜炎、視力異常、味覚障害、脱毛、発汗、低ナトリウム血症、血清アルブミン低下、AG比低下、血清カリウム値上昇
血清クレアチニン及びBUNの上昇に続き腎不全の発現が認められている。また、過量静脈内投与後に、精神神経症状(錯乱、幻覚、興奮、てんかん発作、昏睡等)が認められている。,,,,
血液透析により、アシクロビルを血中より効率的に除去することができる。
本剤はアルカリ性を呈し、pH等の変化により配合変化が起こりやすいので、他剤との混注は可能な限り避けること。
点滴静注に際し、ときに投与部位の血管痛を訴えたり、血管の脆弱化(血管外へ漏れやすくなる)があらわれることがあるので、薬液が血管外へ漏れないように慎重に投与すること。
高度の肥満を有する女性7例(標準体重の203±20.6%)に5mg/kgを投与したところ標準体重の女性5例(標準体重の96.3±15.4%)に比しアシクロビル血中濃度(Cmax及び投与後12時間値)が約2倍となったが、体重当たりのアシクロビルの全身クリアランス及び分布容積をそれぞれ標準体重で補正した値は両者間に差がなかった。このような高度の肥満患者に本剤を投与する場合には、標準体重に基づいた用量で投与すべきとの報告がある6) 。
骨髄小核試験において、高用量(マウス腹腔内投与、180mg/kg以上)で染色体異常の誘発性を疑わせる所見が得られている。Ames試験、マウス優性致死試験等では陰性であったが、マウスに180、360、720mg/kgを腹腔内1回投与した骨髄小核試験では、小核出現頻度に用量相関性の有意な増加が認められた。
健康成人への5又は10mg/kg 1時間点滴静注時の平均血漿中半減期は、約2.5時間、全身クリアランスは、336.6±26.9mL/min、定常状態の分布容積は、47.0±3.7Lであった7) 。
In vitroでのアシクロビルの血漿蛋白結合率は22~33%であった8) 。
水痘・帯状疱疹ウイルス感染症の患者への投与では、水疱液中のアシクロビル濃度は血漿中濃度と同程度であった9) (外国人データ)。
ヘルペス群ウイルス感染症の患者への投与では、髄液中のアシクロビル濃度は血漿中濃度の約1/2であった10) (外国人データ)。
ヒトにアシクロビル200mgを1日5回経口投与した時の乳汁中アシクロビル濃度は血漿中濃度の0.6~4.1倍であり、最高約1.31μg/mL(200mg投与3時間後)であった11) (外国人データ)。
健康成人へ5又は10mg/kgを1時間点滴静注した時、48時間以内にそれぞれ68.6%又は76.0%が未変化体として尿中排泄された7) 。
腎機能障害のある患者では点滴静注時、アシクロビルの生体内半減期の延長及び全身クリアランスの低下が認められた10) (外国人データ)。 これらの結果から、患者の腎機能に対応する本剤の投与間隔及び減量の標準的な目安を算出した 。,重症腎機能障害患者への2.5mg/kg 1時間点滴静注時の平均血漿中半減期は、約19.5時間であった。また、6時間の血液透析により血漿中濃度は約60%減少した12) (外国人データ)。
小児と成人の薬物動態の比較は下表に示したとおりである。小児患者へ、250又は500mg/m2(約5又は10mg/kgに相当)1時間点滴静注時の最高血漿中濃度は10.3又は20.7μg/mLであり、薬物動態は成人とほぼ同等であった10) (外国人データ)。新生児患者では、血漿中半減期は成人や小児患者の約1.5倍であり、やや長かったが、最高血漿中濃度は、5又は10mg/kgを1時間点滴静注時に、6.8又は13.8μg/mLであり、成人や小児患者とほぼ同等であった13) (外国人データ)。
症例数
投与量(mg/kg/回)
半減期(hr)
全身クリアランス(mL/min/1.73m2)
Vdss(L/1.73m2)
新生児(0~3ヵ月)
11
5,10
4.05±1.22
105±42
28.8±9.3
小児
1~2歳
4
1.86±0.42
325±76
31.6±4.2
2~7歳
5
2.16±1.08
366±101
42.0±13.0
7~12歳
6
2.81±1.10
353±142
51.2±18.3
12~17歳
3
3.58±0.59
263±95
53.6±14.6
成人(平均58歳)
14
2.5~15
2.63±0.52
292±82
46.6±8.5
平均値±標準偏差Vdss:定常状態の分布容積
In vitroにおいて、アシクロビルは、OAT1、OAT2、MATE1及びMATE2-Kの基質であった14),15),16),17) 。
非盲検非対照試験において、低出生体重児を含む9例の新生児患者(4日~60日齢、体重0.88~4.55kg)に対し、5~15mg/kg、1日3回、5~10日間投与された。単純ヘルペスウイルスに起因する全身感染症においては3/4例が有効であった。本剤に起因する副作用は認められなかった18) 。
アシクロビルは単純ヘルペスウイルスあるいは水痘・帯状疱疹ウイルスが感染した細胞内に入ると、ウイルス性チミジンキナーゼにより一リン酸化された後、細胞性キナーゼによりリン酸化され、アシクロビル三リン酸(ACV-TP)となる。ACV-TPは正常基質であるdGTPと競合してウイルスDNAポリメラーゼによりウイルスDNAの3’末端に取り込まれると、ウイルスDNA鎖の伸長を停止させ、ウイルスDNAの複製を阻害する19),20),21),22),23),24) 。アシクロビルリン酸化の第一段階である一リン酸化は感染細胞内に存在するウイルス性チミジンキナーゼによるため、ウイルス非感染細胞に対する障害性は低いものと考えられる。
アシクロビルは、単純ヘルペスウイルス1型及び2型のin vitroにおける増殖を抑制し、IC50はそれぞれ0.01~1.25μg/mL及び0.01~3.20μg/mLであった25),26) 。
アシクロビルは、水痘・帯状疱疹ウイルスのin vitroにおける増殖を抑制し、IC50は0.17~7.76μg/mLであった19),27),28) 。
アシクロビル(Aciclovir)
2-Amino-9-[(2-hydroxyethoxy)methyl]-1,9-dihydro-6H-purin-6-one
C8H11N5O3
225.20
白色~微黄白色の結晶性の粉末である。水に溶けにくく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくい。0.1mol/L塩酸試液又は希水酸化ナトリウム試液に溶ける。
250mg×5 バイアル
1) Stahlmann R,et al.:Infection.1987;15:261-262
2) Laskin OL,et al.:Antimicrob Agents Chemother.1982;21:804-807
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7) 笹 征史ほか:臨床薬理.1983;14:471-479
8) Perry CM,et al.:Drugs.1996;52:754-772
9) Spector SA,et al.:Am J Med.1982;73(1A):275-280
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12) Laskin OL,et al.:Am J Med.1982;73(1A):197-201
13) Hintz M,et al.:Am J Med.1982;73(1A):210-214
14) Cheng Y,et al.:Drug Metab Dispos.2012;40:617-624
15) Takeda M,et al.:J Pharmacol Exp Ther.2002;300:918-924
16) Nies AT,et al.:Expert Opin Drug Metab Toxicol.2012;8:1565-1577
17) Tanihara Y,et al.:Biochem Pharmacol.2007;74:359-371
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19) Biron KK,et al.:Antimicrob Agents Chemother.1980;18:443-447
20) Biron KK,et al.:Herpesvirus NY,NY:Alan R Liss,Inc.;1984:677-685
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22) Furman PA,et al.:Antimicrob Agents Chemother.1981;20:518-524
23) St Clair MH,et al.:Antimicrob Agents Chemother.1980;18:741-745
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25) Al-Hasani AM,et al.:J Antimicrob Chemother.1986;18(Suppl.B):113-119
26) McLaren C,et al.:Am J Med.1982;73(1A):376-379
27) 武藤茂生ほか:小児科臨床.1983;36:2785-2790
28) Machida H:Antimicrob Agents Chemother.1986;29:524-526
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