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日本薬局方
ロフラゼプ酸エチル錠
向精神薬
処方箋医薬品注)
通常、成人には、ロフラゼプ酸エチルとして2mgを1日1~2回に分割経口投与する。なお、年齢、症状に応じて適宜増減する。
症状が悪化するおそれがある。
作用が強くあらわれることがある。
作用が強くあらわれる。
血中濃度が上昇するおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
授乳を避けさせること。ヒト母乳中へ移行し、新生児に嗜眠、体重減少等を起こすことがあり、また、黄疸を増強する可能性がある。
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
少量から投与を開始するなど慎重に投与すること。運動失調等の副作用が発現しやすい。
両剤の作用が増強されるおそれがある。
中枢神経抑制剤のベンゾジアゼピン系薬剤は抑制性神経伝達物質であるGABA受容体への結合を増大し、GABAニューロンの機能を亢進させる。中枢神経抑制剤との併用で相加的な作用の増強を示す可能性がある。
不明
本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
シメチジンが肝での代謝(酸化)を抑制して排泄を遅延させ、半減期を延長、血中濃度を上昇させるためと考えられている。この作用は特に肝で酸化されるベンゾジアゼピン系薬剤で起こりやすい。
本剤の作用が増強されることがある。
エタノールとの併用で相加的な中枢抑制作用を示す。アルコールの血中濃度が高い場合は代謝が阻害され、クリアランスが低下し、半減期は延長する。
併用中の本剤を急速に減量又は中止すると痙攣発作が起こるおそれがある。
本剤の抗痙攣作用が、四環系抗うつ剤による痙攣発作の発現を抑えている可能性がある。
連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、用量及び使用期間に注意し慎重に投与すること。また、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、痙攣発作(0.1%未満)、せん妄、振戦、不眠、不安、幻覚、妄想(いずれも0.1~5%未満)等の離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。
呼吸機能が高度に低下している患者に投与した場合、呼吸抑制があらわれることがある。
5%以上
0.1~5%未満
0.1%未満
頻度不明
精神神経系
眠気
ふらつき、めまい、頭がボーッとする、頭痛、舌のもつれ、しびれ感、霧視
言語障害(構音障害等)、味覚倒錯、いらいら感、複視、耳鳴、不眠
健忘
消化器
口渇、嘔気、便秘、食欲不振、腹痛
下痢、胃痛、口内炎、胸やけ、心窩部痛
肝臓
ALT、AST上昇
肝機能障害、γ-GTP、LDH上昇
血液
好酸球増多、白血球減少
貧血
泌尿器
頻尿、残尿感
過敏症
発疹、皮膚瘙痒感
骨格筋
倦怠感、脱力感、易疲労感、筋弛緩
その他
発赤、性欲減退、ウロビリノーゲン陽性、冷感、いびき
本剤の過量投与時の主な症状は過度の傾眠で、昏睡を起こすことがある。
本剤の過量投与が明白又は疑われた場合の処置としてフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を投与する場合には、使用前にフルマゼニルの使用上の注意を必ず読むこと。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
Tmax(hr)
Cmax(ng/mL)
T1/2(hr)
AUC(ng・hr/mL)
0.8±0.3
182±21.5
125±55.0(70.9~207)
4649±393
Mean±S.D.
連続投与時の血漿中濃度は1~3週間程度で定常状態に到達すると考えられており、蓄積性は認められなかった2)。
ロフラゼプ酸エチル錠1mg「サワイ」とメイラックス錠1mgを健康成人男子にそれぞれ1錠(ロフラゼプ酸エチルとして1mg)空腹時単回経口投与(クロスオーバー法)し、活性代謝物(M-1体(エチルエステル基が加水分解されたカルボン酸体)及びM-2体(M-1体の脱炭酸体))の血漿中濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された3)。
AUC0-168hr(ng・hr/mL)
ロフラゼプ酸エチル錠1mg「サワイ」
68±14
1.2±0.6
97±37
1852±391
メイラックス錠1mg
66±11
0.9±0.4
99±27
1928±381
(Mean±S.D.)
ロフラゼプ酸エチル錠2mg「サワイ」とメイラックス錠2mgを健康成人男子にそれぞれ1錠(ロフラゼプ酸エチルとして2mg)空腹時単回経口投与(クロスオーバー法)し、活性代謝物(M-1体(エチルエステル基が加水分解されたカルボン酸体)及びM-2体(M-1体の脱炭酸体))の血漿中濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された4)。
AUC0-216hr(ng・hr/mL)
ロフラゼプ酸エチル錠2mg「サワイ」
125±23
1.4±0.6
102±33
4586±1360
メイラックス錠2mg
120±22
1.3±0.5
104±33
4328±1350
血漿中濃度ならびにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
健康成人にロフラゼプ酸エチル2mgを経口投与及び静脈内投与し、それらのAUC(M-1注1)+M-2注2))から求めた吸収率は69±8%であった5)。
限外濾過法により測定したヒト血清蛋白との結合率は表4のとおりであった1)(in vitro)。
代謝物
濃度(ng/mL)
蛋白結合率(%)(平均±S.D.)
M-1注1)
100
>99
500
96.0
M-2注2)
98.6
94.3±6.7
M-3注3)
96.7±0.8
ロフラゼプ酸エチルは経口投与後速やかに吸収され、消化管通過時や肝によって初回通過効果を受け、未変化体は血中から検出されず、活性代謝物M-1注1)及びM-2注2)として血中に存在した。M-2注2)からM-3注3)の代謝には、主にCYP3A4が関与している1),6)。
尿中には、投与後14日間で投与量の50%が排泄(同定)され、主要尿中代謝物はM-3注3)の抱合体であった1)。
注1)エチルエステル基が加水分解されたカルボン酸体注2)M-1の脱炭酸体注3)M-2の3位水酸化体
ロフラゼプ酸エチルは消化管や肝で速やかに代謝され、活性代謝物であるM-1及びM-2がベンゾジアゼピン受容体に結合し、抑制性神経伝達物質GABAのシナプス伝達を増強する結果、抗不安作用等の中枢神経作用を発揮すると考えられる5)。
ロフラゼプ酸エチルはジアゼパムなどのベンゾジアゼピン系薬剤に共通した中枢神経作用を有しているが、その作用強度や薬理学的プロフィールは他のベンゾジアゼピン系薬剤とは異なっている。鎮静作用、意識水準の低下、筋弛緩作用及び協調運動抑制作用は比較的弱い反面、抗痙攣作用や抗コンフリクト作用が強い5)。
抗コンフリクト作用は5mg/kgで認められ、その強度はジアゼパムの2倍、ロラゼパムの8倍であった(ラット)7)。
嗅球摘出及び中脳縫線核破壊により誘発される攻撃行動(muricide)に対する抑制作用は、それぞれロラゼパムの1/6及び1/4で、ジアゼパムとほぼ同等であった(ラット)7)。
抗ペンテトラゾール痙攣作用はロラゼパムと同等で、ジアゼパムの7倍であった(マウス)7)。
チオペンタール麻酔増強作用はロラゼパムの1/4で、ジアゼパムの1/2であった(マウス)。ベンゾジアゼピン系睡眠導入薬で特に強く発現するクロルプロチキセン睡眠増強作用は弱く、ニトラゼパムの1/14であった(マウス)7),8)。
傾斜板法による筋弛緩作用はジアゼパムとほぼ同等であった(マウス)。回転棒法による協調運動抑制作用は極めて弱く、ロラゼパムの1/7で、ジアゼパムの1/4であった(マウス)7),8)。
脊髄多シナプス反射及び後根反射電位並びに除脳固縮による頸部筋放電に対する作用は、いずれもジアゼパムより弱かった(ネコ)8)。
ロフラゼプ酸エチル(Ethyl Loflazepate)
Ethyl (3RS)-7-chloro-5-(2-fluorophenyl)-2-oxo-2,3-dihydro-1H-1,4-benzodiazepine-3-carboxylate
C18H14ClFN2O3
360.77
白色の結晶性の粉末である。ジメチルスルホキシドに溶けやすく、アセトニトリルにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくく、水にほとんど溶けない。ジメチルスルホキシド溶液(1→50)は旋光性を示さない。
約199℃(分解)
PTP:100錠(10錠×10)、1,000錠(10錠×100)バラ:1,000錠
PTP:100錠(10錠×10)
1) 相沢一雅他:薬理と治療, 1986;14(2):535-548
2) 筒井末春他:薬理と治療, 1985;13(6):3389-3413
3) 社内資料:生物学的同等性試験(錠1mg)
4) 社内資料:生物学的同等性試験(錠2mg)
5) 第十八改正日本薬局方解説書, 廣川書店, 2021;C-6353-6359
6) 森田順他:分子精神医学, 2004;4(1):103-108
7) 植木昭和他:日薬理誌, 1983;82:395-409
8) Sakai, Y. et al.:Jpn. J. Pharmacol., 1984;36:319-328
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本剤は、厚生労働省告示第97号(平成20年3月19日付)により、投薬量が1回30日分を限度とされています。
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