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日本薬局方
シベンゾリンコハク酸塩錠
劇薬
処方箋医薬品注)
下記の状態で他の抗不整脈薬が使用できないか、又は無効の場合 頻脈性不整脈
通常、成人にはシベンゾリンコハク酸塩として、1日300mgより投与をはじめ、効果が不十分な場合は450mgまで増量し、1日3回に分けて経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
本剤は下記のとおり腎機能障害患者では血中濃度が持続するので、血清クレアチニン値(Scr)を指標とした障害の程度に応じ投与量を減じるなど用法・用量の調整をすること。,,
・高度障害例(Scr:3.0mg/dL以上):消失半減期が腎機能正常例に比し約3倍に延長する。
心不全を来すおそれのある患者では、少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに、頻回に心電図検査を実施すること。心停止に至ることがある。また、開始後1~2週間は入院させること。心室頻拍、心室細動が発現するおそれが高い。
血糖値に注意すること。低血糖があらわれるおそれがある。,
心電図変化に注意すること。催不整脈作用が誘発されやすい。
抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。
少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに、頻回に心電図検査を実施すること。心停止に至ることがある。併用時の有効性、安全性は確立していない。
投与しないこと。急激な血中濃度上昇により意識障害を伴う低血糖などの重篤な副作用を起こしやすい。本剤は透析ではほとんど除去されない。
少量から開始するなど投与量に十分に注意し、頻回に心電図検査を実施し、慎重に観察しながら投与すること。心停止に至ることがある。本剤は腎臓からの排泄により体内から消失する薬剤であり、血中濃度が高くなりやすい。,,,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で本剤の乳汁中移行が報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
入院させて開始することが望ましい。少量(例えば1日150mg)から開始するなど投与量に十分に注意し、頻回に心電図検査を実施し、腎機能障害のある患者に準じて慎重に観察しながら投与すること。心停止に至ることがある。肝・腎機能が低下していることが多く、また、体重が少ない傾向があるなど副作用が発現しやすい。,,,
バルデナフィル塩酸塩水和物
(レビトラ)
モキシフロキサシン塩酸塩(アベロックス)ラスクフロキサシン塩酸塩(注射剤)(ラスビック点滴静注)トレミフェンクエン酸塩(フェアストン)フィンゴリモド塩酸塩(イムセラ、ジレニア)シポニモド フマル酸(メーゼント)エリグルスタット酒石酸塩
(サデルガ)
心室頻拍(Torsades de Pointesを含む)、QT延長を起こすおそれがある。
本剤及びこれらの薬剤はいずれもQT間隔を延長させるおそれがあるため、併用により相加的に作用が増強するおそれがある。
β-受容体遮断剤プロプラノロール
本剤の作用が増強される可能性がある。
機序は明らかではないが、動物実験において本剤とこれらの薬剤との併用による作用増強の可能性が報告されている。
糖尿病用薬インスリン製剤スルホニルウレア系薬剤ビグアナイド系薬剤チアゾリジン系薬剤速効型インスリン分泌促進剤α-グルコシダーゼ阻害剤GLP-1受容体作動薬
DPP-4阻害剤
SGLT2阻害剤
等
,
低血糖があらわれるおそれがある。
動物実験において、本剤高用量投与時にインスリン分泌亢進が認められるとの報告があり、これらの薬剤との併用により血糖降下作用が増強される可能性がある。
心室細動、心室頻拍(Torsades de Pointesを含む)(いずれも頻度不明)、上室性不整脈(1%未満)があらわれ、心停止に至る場合もある。心電図に異常な変動が観察された場合には、投与を中止し、抗不整脈薬を投与するなど適切な処置を行うこと。
胸内苦悶、冷汗、呼吸困難、血圧低下、発疹、浮腫等があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
心機能検査で異常な変動が観察された場合には、投与を中止し、ドパミンの投与等適切な処置を行うこと。
低血糖が疑われる症状(脱力・倦怠感、発汗、冷感、意識障害、錯乱等)がみられた場合には、投与を中止し、必要に応じブドウ糖を投与すること。,,
本剤の心機能抑制作用及び催不整脈作用に起因する循環不全によって重篤な肝障害(トランスアミナーゼ、LDHの急激な上昇を特徴とするショック肝)があらわれることがある。このような場合には、投与を中止し、早急にドパミンの投与等心機能改善のための処置を行うとともに、必要に応じ肝庇護療法など適切な処置を行うこと。なお、このような症例では、腎障害を伴うことがある。
AST、ALT、γ-GTP等の上昇を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等を伴う間質性肺炎があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
1~2%未満
1%未満
頻度不明
循環器
PQ延長、QRS幅延長、QTc延長、房室ブロック、動悸
脚ブロック、洞結節機能低下、徐脈、血圧低下
肝臓
AST上昇、ALT上昇, Al-P上昇
泌尿器
尿閉、排尿困難等の排尿障害
腎臓
BUN上昇、クレアチニン上昇
眼
光視症、霧視等の視調節障害
過敏症
発疹、紅斑、そう痒感
精神
神経系
ふらつき
頭痛、頭重、めまい、眠気、振戦、立ちくらみ、幻覚
消化器
口渇、悪心
食欲不振、便秘、嘔吐、口内炎
腹痛、腹部不快感
その他
脱力感、倦怠感、冷汗、胸部圧迫感、息切れ、関節痛、鼻乾燥、インポテンス
本剤の投与により、ブロモフェノールブルー系試験紙法での尿蛋白検査では偽陽性を呈することがあるので、スルホサリチル酸法を用いること。
主として心電図の変化、特にQRS幅の著しい延長と心原性ショック等の心抑制症状の併発がみられる。また、腎不全があり、本剤の血中濃度が非常に高い場合は低血糖を起こしやすく、また、まれに筋無力症(呼吸筋を含む)を起こすおそれがある。
心電図、呼吸、血圧の監視及び一般的維持療法を行う。
本剤は透析ではほとんど除去されないので、中毒時の治療法としては透析は有効ではない。
・催吐、胃洗浄
・過量投与の治療法としては、乳酸ナトリウムを必要に応じカリウムとともに持続注入する。
・心抑制症状に対しては必要に応じてドパミン、ドブタミン、イソプレナリン等の投与を行う。
・ブロックがあればペースメーカーを装着する。また、薬剤で効果がみられない心電図異常に対してはペースメーカーを装着するか電気ショックを行うなど必要に応じた処置を行う。
・低血糖がみられている場合は、ブドウ糖の投与を行う。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
健康成人男子(6例)にシベンゾリンコハク酸塩100、150、200mgを単回経口投与した場合注)、薬物動態パラメータは以下のとおりであった。血漿中濃度は投与量の増加に比例して増大するが、消失半減期は投与量によって変化しない1)。
Tmax(h)
Cmax(ng/mL)
T1/2(h)
100mg
1.5±0.5
201±39
5.28±0.60
150mg
311±43
5.51±0.74
200mg
1.3±0.5
478±120
5.63±0.44
(平均値±標準偏差、n=6)
健康成人男子(6例)にシベンゾリンコハク酸塩150mgを1日3回ずつ反復経口投与した場合、2日目には定常状態に達し、そのときの血漿中濃度は単回投与時の1.5倍であった2)。
Cmax(ng/mL)
Tmax(hr)
T1/2(hr)
AUC0-28hr(ng・hr/mL)
シベンゾリンコハク酸塩錠50mg「サワイ」
79±17
1.7±0.7
5.5±1.3
577±125
シベノール錠50mg
77±14
1.5±0.4
5.6±1.6
558±130
(Mean±S.D.)
シベンゾリンコハク酸塩錠100mg「サワイ」とシベノール錠100mgを健康成人男子にそれぞれ1錠(シベンゾリンコハク酸塩として100mg)空腹時単回経口投与(クロスオーバー法)し、血漿中シベンゾリン濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された3)。
シベンゾリンコハク酸塩錠100mg「サワイ」
180±40
6.5±0.7
1273±222
シベノール錠100mg
166±34
6.5±0.6
1243±221
血漿中濃度ならびにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
外国において健康成人(18例)にシベンゾリン160mgを単回経口投与し注1)、体内動態に対する食事摂取の影響を検討した結果、食前1時間の投与では絶食時投与とパラメータ間に差はなく、食事中あるいは食後1時間投与ではCmaxのわずかな低下とTmaxの遅延傾向が認められたがT1/2とAUCに変動はなかった4)。
血漿蛋白結合率は50~53%であった5)。
14C標識シベンゾリンをヒト肝ミクロゾーム又はヒトCYP発現系ミクロゾームと反応させ、代謝反応に関与するP450分子種を検討した結果、p-ヒドロキシ体及びデヒドロ体の生成にはそれぞれCYP2D6及びCYP3A4(一部CYP2D6)が主に関与していることが示唆された6)。
健康成人(6例)に100、150、200mgを単回経口投与した場合注1)、投与後48時間までに未変化体シベンゾリンとして55~62%が尿中に排泄された1)。
また、外国において健康成人(5例)に、14C標識シベンゾリンコハク酸塩153mgを単回経口投与した場合注1)、尿中への放射能排泄率は最初の24時間で投与量の75.4%、6日間で85.7%であった。糞便中へは6日間で投与量の13.2%が排泄された。なお、ヒトでの代謝物は最初の24時間尿中にデヒドロ体とp-ヒドロキシ体がそれぞれ2.8%及び3.4%(抱合体を含む)排泄された7)。
腎機能障害患者(13例)のシベンゾリンの血漿中濃度の消失半減期は、腎機能正常患者(4例)に比べ延長した8)。,,
高齢心室期外収縮患者(14例)のシベンゾリンの血漿中濃度の消失半減期は、60歳未満の患者(9例)に比べ延長した9)。,
心室性期外収縮患者(163例)を対象に、シベンゾリンコハク酸塩投与群に1日3回150mgを毎食後2週間投与、ジソピラミド投与群にジソピラミド100mgを同一用法にて投与した二重盲検比較試験を行った。その結果、効果判定総症例72例中48例(有効率66.7%)が有効であり、シベンゾリンコハク酸塩投与群に有用性が認められた。副作用発現頻度は、シベンゾリンコハク酸塩投与群で19.5%(16/82例)であり、シベンゾリンコハク酸塩投与群がやや多かったが、両群間に有意差はなかった10)。
上室性期外収縮患者(70例)を対象に、シベンゾリンコハク酸塩投与群に1日3回150mgを毎食後2週間投与、ジソピラミド投与群にジソピラミド100mgを同一用法にて投与した二重盲検比較試験を行った。その結果、上室性期外収縮に対しては効果判定総症例28例中16例(有効率57.1%)が有効であり、シベンゾリンコハク酸塩投与群に有用性が認められた。副作用はシベンゾリンコハク酸塩投与群36例中6例(16.7%)に7件(消化器系3件、循環器系1件、抗コリン系3件)認められたが、発現頻度に関してジソピラミド投与群との間に有意差はなかった11)。
Vaughan Williamsの分類による第Ⅰ群の抗不整脈薬。Na+チャネルを抑制して、活動電位の最大脱分極速度を抑制することによって抗不整脈作用を現す。細分類ではⅠa群に属し、Na+チャネルとの結合解離速度は中程度で、活動電位持続時間を延長する。本薬はまた、Ⅰ群抗不整脈薬としての作用に加えて、特に高濃度では、Ca2+チャネルの抑制作用(第Ⅳ群の抗不整脈作用)を有する5)。
麻酔イヌにおいて、ウワバイン及びアドレナリンにより惹起された心室性不整脈を抑制する。
イヌにおいて、冠動脈二段階結紮により惹起される心室性不整脈を抑制する。
ウサギ、イヌ、モルモット及びカエルの各種摘出心筋標本で、Vaughan Williamsらの分類でのクラスⅠ型(心筋活動電位の最大脱分極速度の抑制)の作用を示し、この抑制開始速度のキネティックスは中程度である。なお、活動電位の持続時間の延長及び高濃度において内向きCa2+電流の抑制作用を示す。また、低酸素によって惹起される心房活動電位の持続時間の短縮を抑制する。
麻酔イヌにおいて、心筋虚血による心筋ATP含量の低下、乳酸含量の増加及び心筋アシドーシスに対して改善作用を示す。
心室性不整脈患者において、シベンゾリンコハク酸塩300~450mg/日を2~4週間投与した場合、左心室機能、血圧及び心拍数に特に明らかな変化はみられない17)。
シベンゾリンコハク酸塩(Cibenzoline Succinate)
2-[(1RS)-2,2-Diphenylcyclopropan-1-yl]-4,5-dihydro-1H-imidazole monosuccinate
C18H18N2・C4H6O4
380.44
白色の結晶性の粉末である。メタノール又は酢酸(100)に溶けやすく、水又はエタノール(99.5)にやや溶けにくい。メタノール溶液(1→10)は旋光性を示さない。
163~167℃
*PTP:100錠(10錠×10)
1) 寺川雅人他:薬物動態, 1988;3(6):773-789
2) 寺川雅人他:薬物動態, 1988;3(6):761-771
3) 水山和之他:診療と新薬, 2007;44(5):497-508
4) Massarella, J. W. et al.:Eur. J. Clin. Pharmacol., 1986;30(3):367-369
5) 第十八改正日本薬局方解説書, 廣川書店, 2021;C-2365-2369
6) Niwa, T. et al.:Drug Metab. Dispos., 2000;28(9):1128-1134
7) Massarella, J. W. et al.:Drug Metab. Dispos., 1986;14(1):59-64
8) 小口寿夫他:診療と新薬, 1988;25(11):2277-2282
9) 加藤林也他:臨床薬理, 1989;20(2):363-372
10) 加藤和三他:臨床評価, 1989;17(1):11-34
11) 加藤和三他:臨床評価, 1989;17(1):35-55
12) Hashimoto, K. et al.:J. Cardiovasc. Pharmacol., 1987;9(2):148-153
13) Millar, J. S. et al.:Br. J. Pharmacol., 1982;75(3):469-478
14) Satoh, H. et al.:Jpn. J. Pharmacol., 1987;44(2):113-119
15) Holck, M. et al.:Br. J. Pharmacol., 1986;87(4):705-711
16) 大見広規他:日本薬理学雑誌, 1988;92(5):325-335
17) 林輝美他:薬理と治療, 1988;16(8):3333-3341
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