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劇薬
処方箋医薬品注)
本剤投与により、急激な水利尿から脱水症状や高ナトリウム血症を来し、意識障害に至った症例が報告されており、また、急激な血清ナトリウム濃度の上昇による浸透圧性脱髄症候群を来すおそれがあることから、入院下で投与を開始又は再開すること。また、特に投与開始日又は再開日には血清ナトリウム濃度を頻回に測定すること。,,,,
通常、成人にはトルバプタンとして15mgを1日1回経口投与する。
通常、成人にはトルバプタンとして7.5mgを1日1回経口投与する。
急激な利尿があらわれた場合、急速な循環血漿量減少、血液濃縮を来し、血栓塞栓症を誘発するおそれがある。,,
本剤の水利尿作用により高カリウム血症が増悪するおそれがある。
24時間以内に12mEq/Lを超える上昇がみられた場合には、投与を中止すること。急激な血清ナトリウム濃度の上昇により、浸透圧性脱髄症候群を来すおそれがある。,,,
利尿に伴う腎血流量の減少により腎機能が更に悪化するおそれがある。
投与しないこと。循環血漿量の減少により高ナトリウム血症及び脱水のおそれがある。
意識レベルが低下した場合、適切な水分補給に支障を来すおそれがある。
妊娠する可能性のある女性には、適切な避妊を行うよう指導すること。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ウサギ)で催奇形性及び胚・胎児死亡が報告されている1)。また、動物実験(ウサギ1)、ラット2))で胚あるいは胎児移行が報告されている。,
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている2)。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
CYP3A4阻害作用を有する薬剤
グレープフルーツジュース
,,,
代謝酵素の阻害により、本剤の作用が増強するおそれがあるので、これらの薬剤との併用は避けることが望ましい。
本剤の代謝酵素であるCYP3A4を阻害し、本剤の血漿中濃度を上昇させる。
CYP3A4誘導作用を有する薬剤
セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort、セントジョーンズワート)含有食品
代謝酵素の誘導により、本剤の作用が減弱するおそれがあるので、本剤投与時はこれらの薬剤及び食品を摂取しないことが望ましい。
本剤の代謝酵素であるCYP3A4を誘導し、本剤の血漿中濃度を低下させる。
ジゴキシン
本剤によりジゴキシンの作用が増強されるおそれがある。
本剤はP糖蛋白を阻害し、ジゴキシンの血漿中濃度を上昇させる。
P糖蛋白阻害作用を有する薬剤
本剤の作用が増強するおそれがある。
これらの薬剤がP糖蛋白を阻害することにより、本剤の排出が抑制されるため血漿中濃度が上昇するおそれがある。
カリウム製剤カリウム保持性利尿薬
抗アルドステロン薬
アンジオテンシン変換酵素阻害薬
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬
レニン阻害薬
これらの薬剤と併用する場合、血清カリウム濃度が上昇するおそれがある。
本剤の水利尿作用により循環血漿量の減少を来し、相対的に血清カリウム濃度が上昇するおそれがある。
バソプレシン誘導体
本剤によりバソプレシン誘導体の止血作用が減弱するおそれがある。
本剤のバソプレシンV2-受容体拮抗作用により、血管内皮細胞からのvon Willebrand因子の放出が抑制されるおそれがある。
重度の腎障害があらわれることがある。
急激な利尿により血液濃縮を来した場合、血栓症及び血栓塞栓症を誘発するおそれがある。,
本剤の水利尿作用により血液濃縮を来し、高ナトリウム血症があらわれることがあり、意識障害を伴うこともある。投与中は、飲水量、尿量、血清ナトリウム濃度及び口渇、脱水等の症状の観察を十分に行うこと。口渇感の持続、脱水等の症状がみられた場合には、本剤の投与を減量又は中止し、症状に応じて、輸液を含めた水分補給等の適切な処置を行うこと。また、正常域を超える血清ナトリウム濃度の上昇がみられた場合には、直ちに本剤の投与を中止し、症状に応じて、輸液を含めた水分補給等の適切な処置を行うこと。,,,
本剤の水利尿作用により、急激な血清ナトリウム濃度の上昇があらわれることがある。これにより麻痺、発作、昏睡等に至るような浸透圧性脱髄症候群を来すおそれがあるため、投与中は、血清ナトリウム濃度及び体液量の観察を十分に行うこと。本剤投与後24時間以内に12mEq/Lを超える等の血清ナトリウム濃度の急激な上昇がみられた場合には、直ちに本剤の投与を中止し、症状に応じて、輸液を含めた水分補給等の適切な処置を行うこと。,,,,
AST、ALT、γ-GTP、Al-P、ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害があらわれ、急性肝不全に至ることがある。また、肝機能障害が回復するまでは頻回に血液検査を実施するなど観察を十分に行うこと。
ショック、アナフィラキシー(全身発赤、血圧低下、呼吸困難等)があらわれることがある。
肝硬変患者の場合、意識障害を伴う肝性脳症があらわれるおそれがある。なお、肝性脳症は、主に肝性浮腫患者において報告されているので、これらの患者に投与する場合は、意識障害等の臨床症状を十分に観察すること。
5%以上
1~5%未満
1%未満
頻度不明
精神神経系
頭痛、めまい
不眠症
失神、意識消失、睡眠障害、嗜眠、傾眠、ナルコレプシー、注意力障害、感覚鈍麻、不随意性筋収縮、錯感覚、不安、うつ病、リビドー減退、神経過敏、パニック発作
消化器
口渇(56.9%)、便秘
食欲不振、悪心、嘔吐、下痢、味覚異常、消化不良、腹痛、腹部膨満
胃食道逆流性疾患、食道炎、裂孔ヘルニア、腹部不快感、心窩部不快感、口唇乾燥、鼓腸、胃腸炎、胃炎、胃腸障害、憩室炎、結腸ポリープ、嚥下障害、消化管運動障害、舌痛、舌苔、舌変色、口唇炎、口内炎、口の感覚鈍麻、臍ヘルニア、食欲亢進、呼気臭、痔核
過敏性腸症候群
循環器
血圧上昇、血圧低下、動悸
頻脈、期外収縮、不整脈、起立性低血圧、不安定血圧
血液
貧血、ヘモグロビン低下、平均赤血球容積増加、血小板減少、白血球増多、好酸球増多
代謝
血中尿酸上昇
脱水、高カリウム血症、糖尿病、高血糖、脂質異常症、痛風
血液浸透圧上昇、血液量減少症、低カリウム血症、高カルシウム血症、低ナトリウム血症、低血糖、低リン酸血症、CK上昇
血中抗利尿ホルモン増加
腎臓・泌尿器
頻尿(38.8%)、多尿(26.2%)、血中クレアチニン上昇
腎臓痛、BUN上昇、腎機能障害、血尿
尿浸透圧低下、尿失禁、尿意切迫、排尿困難、尿閉、乏尿、尿路感染、膀胱痛、腎結石、シスタチンC上昇
過敏症
発疹、そう痒
蕁麻疹
皮膚
皮膚乾燥
脱毛、ざ瘡、皮膚炎、色素沈着障害、爪の障害、多汗、乏汗、寝汗
呼吸器
咳嗽、呼吸困難
鼻咽頭炎、上気道感染、扁桃炎、副鼻腔炎、喘息、気管支炎、口腔咽頭痛、咽喉乾燥、鼻乾燥、鼻出血、発声障害
眼
眼乾燥、緑内障、霧視、結膜出血
その他
疲労、多飲症
体重変動(増加、減少)、無力症、倦怠感、浮腫、筋骨格痛、筋痙縮、胸痛
背部痛、関節痛、四肢痛、疼痛、側腹部痛、冷感、発熱、ほてり、熱感、粘膜乾燥、ウイルス感染、カンジダ症、真菌感染、筋硬直、関節腫脹、勃起不全、月経過多、不規則月経、乳房嚢胞、易刺激性、LDH上昇、耳鳴
不正子宮出血
血液透析は有効ではないと考えられる。
適応外であるが、常染色体優性多発性のう胞腎患者を対象とした第Ⅲ相二重盲検比較試験(国際共同試験)3)において、本剤60~120mg/日又はプラセボを3年間投与した結果、基準値上限の2倍を超える総ビリルビン上昇、かつ基準値上限の3倍を超える血清ALT上昇又は血清AST上昇が、本剤投与群の2例に認められた。また、基準値上限の2.5倍を超えるALT上昇の発現頻度が、プラセボ群と比較して本剤投与群で高かった(本剤投与群960例中47例(4.9%)、プラセボ群483例中6例(1.2%))。なお、本剤投与群における基準値上限の3倍を超えるALT上昇の多くは、投与開始3~14ヵ月の間に認められた。
健康成人にトルバプタン15~120mg注)を空腹時単回経口投与した時の薬物動態パラメータを表16-1に示す4)。
投与量
tmax(h)
Cmax(ng/mL)
AUCt(ng・h/mL)
t1/2(h)
15mg
2.0(1.0~4.0)
135±53
645±367
3.3±1.2
30mg
2.0(1.5~6.0)
213±76
1,302±553
3.9±1.7
45mg
2.5(1.0~3.0)
363±318
2,098±1,950
2.9±0.8
60mg
3.0(1.5~4.0)
315±105
2,321±634
4.6±0.8
90mg
2.0(1.0~3.0)
429±146
3,600±922
5.8±1.4
120mg
2.0(2.0~3.0)
661±276
5,908±2,091
9.3±3.2
(平均値±標準偏差、tmaxのみ中央値(範囲)、6例、30mg群のみ12例)
健康成人にトルバプタン30~120mg注)を空腹時1日1回7日間反復経口投与した時のトルバプタンの血漿中濃度に累積はみられなかった4)。
心性浮腫患者にトルバプタン15mgを1日1回7日間反復経口投与した時のトルバプタンの薬物動態パラメータを表16-2に示す5)。
AUC24h(ng・h/mL)
投与1日目
4.0(1.8~5.9)
258±95
2,057±795
6.6±2.1
投与7日目
3.9(2.0~6.0)
256±102
2,173±1,188
6.8±2.2
(平均値±標準偏差、tmaxのみ中央値(範囲)、10例)
肝性浮腫患者にトルバプタン7.5mgを1日1回7日間反復経口投与した時のトルバプタンの薬物動態パラメータを表16-3に示す6)。
4.2(3.8~11.8)
100±54
1,061±732※1
9.1±5.4※1
4.0(1.7~7.9)※1
112±60※1
1,370±1,165※2
8.5±4.1※2
(平均値±標準偏差、tmaxのみ中央値(範囲)、20例(※1:16例、※2:15例))
トルバプタンOD錠15mg「サワイ」とサムスカOD錠15mgを健康成人男性にそれぞれ1錠(トルバプタンとして15mg)空腹時及び食後単回経口投与(クロスオーバー法)し、S-トルバプタン及びR-トルバプタンの血漿中濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された7)。
Cmax(ng/mL)
Tmax(hr)
T1/2(hr)
AUC0-24hr(ng・hr/mL)
空腹時投与(n=54)
S体
トルバプタンOD錠15mg「サワイ」
109.8±34.5
1.9±0.9
2.9±0.9
475.9±185.9
サムスカOD錠15mg
93.3±29.1
1.9±0.5
3.2±1.0
466.7±191.2
R体
35.7±14.4
1.8±0.9
2.8±0.9
137.3±63.2
30.2±12.2
1.8±0.5
2.9±1.1
135.3±66.2
食後投与(n=66)
88.6±39.1
4.6±1.2
3.7±1.1
567.5±219.7
87.8±38.8
4.8±1.5
3.8±1.0※1
555.6±215.8
32.1±16.2
4.5±1.1
3.8±1.6※2
174.5±68.0
32.4±16.0
4.6±1.4
4.7±4.1※1
169.3±67.3
(※1:n=64、※2:n=63)(Mean±S.D.)
106.4±38.5
1.8±1.0
3.4±1.1
515.5±206.3
92.7±30.7
1.6±0.8
3.5±1.2
480.3±183.6
36.6±15.8
1.6±0.9
3.2±1.4
146.3±63.3
31.1±11.4
1.4±0.8
3.2±1.5
134.6±55.0
(Mean±S.D.)
トルバプタン顆粒1%「サワイ」とサムスカ顆粒1%を健康成人男性にそれぞれ1.5g(トルバプタンとして15mg)空腹時及び食後単回経口投与(クロスオーバー法)し、S-トルバプタン及びR-トルバプタンの血漿中濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された8)。
空腹時投与(n=49)
トルバプタン顆粒1%「サワイ」
73.1±20.1
2.3±1.0
5.6±2.6
498.9±182.6
サムスカ顆粒1%
80.8±28.6
5.0±1.2
507.4±214.3
24.6±8.6
6.7±2.4
153.6±63.5
27.5±11.7
2.1±1.1
6.3±1.6
154.4±73.1
食後投与(n=26)
114.3±36.1
3.9±0.6
5.0±1.4
759.5±228.3
113.0±36.9
4.3±0.9
749.6±202.4
32.3±10.9
3.9±0.7
5.6±1.2
192.9±57.6
32.3±11.5
4.2±0.7
5.5±1.1
190.1±50.5
血漿中濃度ならびにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
健康成人にトルバプタン15mgを単回経口投与した時、空腹時投与に比べ食後投与ではCmax及びAUCはそれぞれ1.3倍及び1.1倍であった4)。
健康成人における経口投与時の絶対的バイオアベイラビリティは56%であった9)(外国人データ)。
ヒト血漿蛋白結合率は、98.0%以上であった2)(in vitro、限外ろ過法)。
トルバプタンは、ヒト肝ミクロゾームチトクロームP450の分子種のうち、主としてCYP3A4により代謝される10)(in vitro)。
健康成人に、14C-トルバプタン60mg注)を空腹時に単回経口投与した時、糞中及び尿中にそれぞれ投与した放射能の58.7%及び40.2%が排泄された。未変化体の糞中及び尿中の回収率は、それぞれ投与量の18.7%及び1%未満であった11)(外国人データ)。
腎機能の程度の異なる被験者(クレアチニンクリアランス<30mL/min、クレアチニンクリアランス=30~60mL/min及びクレアチニンクリアランス>60mL/min)にトルバプタン60mg注)を投与した時のAUCは、それぞれ7,360ng・h/mL、6,980ng・h/mL及び3,890ng・h/mLであった。また、血漿中遊離型分率は、それぞれ1.2%、0.6%及び1.0%であった。血漿中遊離型分率を用いて算出した血漿中遊離型濃度のAUCは、クレアチニンクリアランス<30mL/min、クレアチニンクリアランス=30~60mL/min及びクレアチニンクリアランス>60mL/minでそれぞれ71.8ng・h/mL、36.4ng・h/mL及び37.5ng・h/mLであった12)(外国人データ)。
肝性浮腫患者にトルバプタン15mgを投与した時のAUCは、中等度肝障害患者(Child-Pugh分類A又はB)で1,618ng・h/mL、重度肝障害患者(Child-Pugh分類C)で2,172ng・h/mLであった13)(母集団解析)。
トルバプタンの薬物動態には年齢及び性別による影響は認められなかった14)。
健康成人において、強力なCYP3A4の阻害作用を有するケトコナゾール200mgとトルバプタン30mg注)の併用により、トルバプタンのCmax及びAUCはそれぞれ3.5倍及び5.4倍になった15)(外国人データ)。,
健康成人において、中等度のCYP3A4の阻害作用を有するフルコナゾール200mgとトルバプタン30mg注)の併用により、トルバプタンのCmax及びAUCはそれぞれ1.8倍及び3.0倍になった16)(外国人データ)。,
健康成人において、トルバプタン60mg注)をCYP3A4の阻害作用を有するグレープフルーツジュースにより服用した時、トルバプタンのCmax及びAUCはそれぞれ1.9倍及び1.6倍になった17)(外国人データ)。,
健康成人において、CYP3A4の誘導作用を有するリファンピシン600mgとトルバプタン240mg注)の併用により、トルバプタンのCmax及びAUCはそれぞれ1/6及び1/8になった15)(外国人データ)。
健康成人において、P糖蛋白の基質であるジゴキシン0.25mgとトルバプタン60mg注)の併用により、ジゴキシンのCmax及びAUCは、それぞれ1.3倍及び1.2倍になった。トルバプタンのCmaxとAUCは、いずれも1.1倍になった18)(外国人データ)。
注)本剤の承認された1日用量は、心不全における体液貯留15mg及び肝硬変における体液貯留7.5mgである。
トルバプタン錠の成績を以下に示す。
他の利尿薬を投与しても体液貯留が認められるうっ血性心不全患者を対象とした二重盲検比較試験において、トルバプタン15mg又はプラセボを1日1回7日間経口投与した。主要評価項目である最終投与時の体重変化量は、トルバプタン15mg群-1.54±1.61kg(ベースライン:59.42±12.30kg、53例)(平均値±標準偏差、以下同様)、プラセボ群-0.45±0.93kg(ベースライン:55.68±12.60kg、57例)であり、トルバプタン群では、プラセボ群に比較して有意な体重減少が認められた(p<0.0001、t検定)。体重減少は投与翌日よりみられ投与期間を通じて継続した(図17-1)。また、最終投与時における心性浮腫に伴う所見(頚静脈怒張、肝腫大、下肢浮腫)が改善した(表17-1)。
心性浮腫に伴う所見
トルバプタン15mg群
プラセボ群
頚静脈怒張変化量(cm)[例数]
-2.03±2.81[27]
-0.51±1.18[19]
肝腫大変化量(cm)[例数]
-1.07±0.89[18]
-0.35±1.00[17]
下肢浮腫改善率(%)[例数]
63.9[23/36]
42.1[16/38]
(平均値±標準偏差)
副作用発現頻度は、53例中29例(54.7%)であった。主な副作用は、口渇9例(17.0%)、便秘6例(11.3%)、頻尿5例(9.4%)及び倦怠感3例(5.7%)であった25),26)。
他の利尿薬を投与しても体液貯留が認められる肝硬変患者を対象とした二重盲検比較試験において、トルバプタン7.5mg又はプラセボを1日1回7日間経口投与した。主要評価項目である最終投与時の体重変化量は、トルバプタン7.5mg群-1.95±1.77kg(ベースライン:59.35±12.69kg、82例)(平均値±標準偏差、以下同様)、プラセボ群-0.44±1.93kg(ベースライン:59.15±13.15kg、80例)であり、トルバプタン群では、プラセボ群に比較して有意な体重減少が認められた(p<0.0001、t検定)。体重減少は投与翌日よりみられ投与期間を通じて継続した(図17-2)。最終投与時における肝性浮腫に伴う所見(腹水量、腹囲、下肢浮腫)が改善した(表17-2)。また、臨床症状(腹部膨満感、倦怠感、臥位での圧迫感、呼吸困難感、全身状態)も改善した。
肝性浮腫に伴う所見
トルバプタン7.5mg群
腹水変化量(mL)[例数]
-492.4±760.3[82]
-191.8±690.8[80]
腹囲変化量(cm)[例数]
-3.38±3.56[81]
-1.11±3.67[79]
54.8[23/42]
28.3[13/46]
副作用発現頻度は、82例中37例(45.1%)であった。主な副作用は、口渇11例(13.4%)、頻尿6例(7.3%)、便秘3例(3.7%)及び不眠症3例(3.7%)であった27)。
トルバプタンは、バソプレシンV2-受容体拮抗作用を薬理学的特徴とする薬剤であり、腎集合管でのバソプレシンによる水再吸収を阻害することにより、選択的に水を排泄し、電解質排泄の増加を伴わない利尿作用(水利尿作用)を示す28)。
トルバプタンは、ヒトバソプレシンV2-受容体発現細胞及びラット、イヌ腎臓膜標本において、標識バソプレシンのV2-受容体への結合を濃度依存的に阻害した。また、ヒトバソプレシンV2-受容体発現細胞において、それ自身ではcAMPの産生増加を示さず、バソプレシンによるcAMPの産生を抑制したことから、バソプレシンV2-受容体拮抗作用を有していることが示された。ヒトバソプレシンV2-受容体に対する阻害定数は、0.43±0.06nmol/Lであった29),30)(in vitro)。
トルバプタンは、覚醒ラット及びイヌにおいて、用量依存的に尿量を増加させ、尿浸透圧を低下させた。このとき、ループ利尿薬とは異なり、自由水クリアランスが正の値となり、自由水の排泄を増加させた(水利尿作用)30),31)。
トルバプタンは、ラット浮腫モデルにおいて、カラゲニン誘発足浮腫及びヒスタミン誘発毛細血管透過性の亢進を用量依存的に抑制した。また、覚醒心不全犬において水利尿作用を示し、前負荷を軽減させた32),33)。
トルバプタンは、ラット肝硬変腹水モデルにおいて、腹水の指標である体重及び腹囲を減少させた34)。
トルバプタン(Tolvaptan)
N-{4-[(5RS)-7-Chloro-5-hydroxy-2,3,4,5-tetrahydro-1H-benzo[b]azepine-1-carbonyl]-3-methylphenyl}-2-methylbenzamide
C26H25ClN2O3
448.94
白色の結晶又は結晶性の粉末である。ジメチルスルホキシドに溶けやすく、メタノール又はエタノール(99.5)にやや溶けにくく、水にほとんど溶けない。メタノール溶液(1→100)は旋光性を示さない。
224~228℃
PTP:20錠(10錠×2)、100錠(10錠×10)
バラ:30g
1) Oi, A. et al.:Cardiovasc. Drugs Ther., 2011;25(Suppl.1):S91-S99
2) Furukawa, M. et al.:Cardiovasc. Drugs Ther., 2011;25(Suppl.1):S83-S89
3) Torres, V. E. et al.:N. Engl. J. Med., 2012;367(25):2407-2418
4) Kim, S. R. et al.:Cardiovasc. Drugs Ther., 2011;25(Suppl.1):S5-S17
5) 心性浮腫患者における臨床薬理試験(サムスカ錠:2010年10月27日承認、申請資料概要2.7.6.5)
6) 肝性浮腫患者における臨床薬理試験(サムスカ錠:2013年9月13日承認、申請資料概要2.7.6.4)
7) 社内資料:生物学的同等性試験(OD錠15mg)
8) *社内資料:生物学的同等性試験(顆粒1%)
9) Shoaf, S. E. et al.:Int. J. Clin. Pharmacol. Ther., 2012;50(2):150-156
10) ヒトにおける推定代謝経路(サムスカ錠:2010年10月27日承認、申請資料概要2.7.2.2)
11) 吸収、分布、代謝、排泄試験(サムスカ錠:2010年10月27日承認、申請資料概要2.7.6.3)
12) Shoaf, S. E. et al.:Kidney Int., 2014;85(4):953-961
13) 肝性浮腫患者を対象とした母集団薬物動態解析(サムスカ錠:2010年10月27日承認、申請資料概要2.7.2.3)
14) 年齢、性別による影響(サムスカ錠:2010年10月27日承認、申請資料概要2.7.6.3)
15) Shoaf, S. E. et al.:Br. J. Clin. Pharmacol., 2011;73(4):579-587
16) FDA Center for Drug Evaluation and Research:Application No. 204441Orig1s000:Clinical Pharmacology Review
17) Shoaf, S. E. et al.:Eur. J. Clin. Pharmacol., 2012;68(2):207-211
18) Shoaf, S. E. et al.:J. Clin. Pharmacol., 2011;51(5):761-769
19) ロバスタチンとの相互作用1(サムスカ錠:2010年10月27日承認、申請資料概要2.7.6.3)
20) ロバスタチンとの相互作用2(サムスカ錠:2010年10月27日承認、申請資料概要2.7.6.2)
21) Shoaf, S. E. et al.:J. Cardiovasc. Pharmacol. Ther., 2005;10(3):165-171
22) Shoaf, S. E. et al.:Clinical Pharmacology in Drug Development, 2012;1(2):67-75
23) Shoaf, S. E. et al.:J. Cardiovasc. Pharmacol., 2007;50(2):213-222
24) 社内資料:生物学的同等性試験(OD錠7.5mg)
25) Matsuzaki, M. et al.:Cardiovasc. Drugs Ther., 2011;25(Suppl.1):S33-S45
26) うっ血性心不全患者を対象としたプラセボとの二重盲検比較試験(サムスカ錠:2010年10月27日承認、申請資料概要2.7.6.5)
27) 肝性浮腫患者におけるプラセボを対照とした二重盲検比較試験(サムスカ錠:2013年9月13日承認、申請資料概要2.7.6.4)
28) 作用機序(サムスカ錠:2010年10月27日承認、申請資料概要2.6.1.2)
29) Yamamura, Y. et al.:J. Pharmacol. Exp. Ther., 1998;287(3):860-867
30) Miyazaki, T. et al.:Cardiovasc. Drug Rev., 2007;25(1):1-13
31) Hirano, T. et al.:J. Pharmacol. Exp. Ther., 2000;292(1):288-294
32) Miyazaki, T. et al.:Cardiovasc. Drugs Ther., 2011;25(Suppl.1):S77-S82
33) Onogawa, T. et al.:Cardiovasc. Drugs Ther., 2011;25(Suppl.1):S67-S76
34) Miyazaki, T. et al.:Hepatol. Res., 2013;43(11):1224-1230
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