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劇薬
処方箋医薬品注)
本剤は徐放剤であり、重度の狭心症には効果が得られない場合がある。
プロプラノロール塩酸塩として1日60mg未満の経口投与で効果が不十分な場合に、下記の用法及び用量に基づき使用する。
通常成人1日1回1カプセルを経口投与する。なお、症状により1日1回2カプセルまで増量することができる。
通常成人1日1回1カプセルを経口投与する。
*褐色細胞腫又はパラガングリオーマの患者では、α遮断剤で初期治療を行った後に本剤を投与し、常にα遮断剤を併用すること。,
ジギタリス剤を併用するなど、慎重に投与すること。心機能を抑制し、うっ血性心不全が発現するおそれがある。
中毒症状をマスクするおそれがある。
血糖値に注意すること。低血糖症状を起こしやすく、かつその症状をマスクしやすい。
症状が悪化するおそれがある。
徐脈が悪化するおそれがある。
房室伝導時間が延長し、症状が悪化するおそれがある。
本剤の単独投与により急激に血圧が上昇することがある。,
薬物の代謝・排泄が影響をうける可能性がある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、緊急やむを得ない場合以外は投与しないことが望ましい。妊娠中の投与により新生児の発育遅延、血糖値低下、呼吸抑制が認められたとの報告があり、また、動物実験で胎児に対して、母体より長時間β遮断作用を示すことが報告されている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。母乳中へ移行することが報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
次の点に注意し、少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
リザトリプタン安息香酸塩
リザトリプタンの消失半減期が延長、AUCが増加し、作用が増強する可能性がある。本剤投与中あるいは本剤投与中止から48時間以内の患者にはリザトリプタンを投与しないこと。
相互作用のメカニズムは解明されていないが、本剤がリザトリプタンの代謝を阻害する可能性が示唆されている。
**交感神経系に対し抑制的に作用する他の薬剤
交感神経系の過剰の抑制(徐脈、心不全等)をきたすことがあるので、減量するなど慎重に投与すること。
相互に作用(交感神経抑制作用)を増強させる。
**血糖降下剤
血糖降下作用が増強されることがある。また、低血糖症状(頻脈等)をマスクすることがあるので血糖値に注意すること。
血糖値が低下するとカテコールアミンが副腎から分泌され、肝でのグリコーゲンの分解を促し、血糖値を上昇させる。このとき、肝臓のβ受容体が遮断されていると、カテコールアミンによる血糖上昇作用が抑えられ、血糖降下作用が増強する可能性がある。また、カテコールアミンによる頻脈のような低血糖症状がマスクされると考えられている。
カルシウム拮抗剤
ベラパミル、ジルチアゼム等では、低血圧、徐脈、房室ブロック等の伝導障害、心不全が発現するおそれがあるので減量するなど注意すること。また、ジヒドロピリジン系薬剤でも、低血圧、心不全が発現するおそれがあるので注意すること。本剤からカルシウム拮抗剤の静脈投与に変更する場合には48時間以上あけること。
相互に作用(心収縮力や刺激伝導系の抑制作用、降圧作用等)を増強させる。薬物動態的な相互作用のメカニズムは解明されていないが、肝血流量の変化によって本剤の代謝が影響をうけると考えられている。
クロニジン
クロニジンの投与中止後のリバウンド現象(血圧上昇、頭痛、嘔気等)を増強する可能性がある。クロニジンを中止する場合には、本剤を先に中止し、その後数日間観察した後、クロニジンを中止すること。また、クロニジンから本剤へ投与を変更する場合にはクロニジンを中止した数日後から本剤を投与すること。
クロニジンを投与されている患者でクロニジンを中止すると、血中カテコールアミンが上昇し、血圧上昇をきたす。β遮断剤が投与されていると、カテコールアミンによるα刺激作用が優位になり、血管収縮がさらに増強される。
**クラスⅠ抗不整脈剤
クラスⅢ抗不整脈剤
過度の心機能抑制(徐脈、心停止等)があらわれることがあるので、減量するなど慎重に投与すること。
抗不整脈剤は陰性変力作用及び陰性変時作用を有する。β遮断剤もカテコールアミンの作用を遮断することにより心機能を抑制するため、併用により心機能が過度に抑制される。
交感神経刺激剤
相互の薬剤の効果が減弱する。また、血管収縮、血圧上昇をきたすことがあるので注意すること。
非選択性のβ遮断剤により末梢血管のβ受容体が遮断された状態でアドレナリンなどの交感神経作動薬が投与されると、α受容体を介する血管収縮作用のみがあらわれる。また、徐脈は副交感神経の反射によるものである。
麻酔剤
反射性頻脈が弱まり、低血圧のリスクが増加することがある。陰性変力作用の小さい麻酔剤を選択すること。また、心筋抑制作用を有する麻酔剤との併用は出来るだけ避けること。
麻酔剤により低血圧が起こると反射性の頻脈が起こる。β遮断剤が併用されていると、反射性の頻脈を弱め、低血圧が強められる可能性がある。また、陰性変力作用を有する麻酔剤では、相互に作用を増強させる。
リドカイン
リドカインの代謝を遅延させ、血中濃度を上昇させることがあるので併用は避けること。
本剤が肝血流量を減らし、また肝の薬物代謝酵素を阻害するために、リドカインの代謝が遅れると考えられている。
ジギタリス製剤
房室伝導時間が延長し、徐脈、房室ブロック等が発現することがあるので注意すること。
ジギタリス、β遮断剤はともに房室結節伝導時間を延長させる。ジギタリス中毒時には特に注意を要する。
シメチジン
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強する可能性があるので注意すること。
シメチジンが肝血流量を低下させ、また、肝の薬物代謝酵素を阻害することにより、肝での本剤の分解が低下し、血中濃度が上昇すると考えられている。
クロルプロマジン
本剤とクロルプロマジンの作用がそれぞれに増強することがある。
本剤とクロルプロマジンが薬物代謝酵素を競合するために、本剤、クロルプロマジンともに血中濃度が上昇すると考えられている。
ヒドララジン
ヒドララジンが肝血流量を増加させるためと考えられている。
麦角アルカロイド
下肢の疼痛、冷感、チアノーゼ等が発現することがあるので注意すること。
麦角アルカロイドとβ遮断剤が相乗的に末梢灌流を低下させると考えられている。
非ステロイド性抗炎症剤
本剤の降圧作用が減弱することがある。
非ステロイド性抗炎症剤は血管拡張作用を有するプロスタグランジンの合成を阻害する。
アルコール
本剤の血中濃度の変動により、作用が減弱または増強する可能性があるので注意すること。
アルコールにより本剤の吸収、代謝が変動するためと考えられている。
リファンピシン
本剤の血中濃度が低下し、作用が減弱する可能性があるので注意すること。
リファンピシンが肝酵素を誘導し、本剤の代謝・消失を促進すると考えられている。
キニジンプロパフェノン
本剤はチトクロームP450によって代謝をうける。このため、チトクロームP450によって代謝をうける薬剤との間で、血中濃度が影響をうける可能性がある。
ワルファリン
ワルファリンの血中濃度が上昇し、作用が増強する可能性があるので注意すること。
相互作用のメカニズムは解明されていないが、本剤がワルファリンの肝代謝を阻害することが考えられている。
フィンゴリモド
フィンゴリモドの投与開始時に本剤を併用すると重度の徐脈や心ブロックが認められることがある。
共に徐脈や心ブロックを引き起こすおそれがある。
このような症状があらわれた場合には、減量又は中止し、必要に応じてβ2作動薬を用いるなど適切な処置を行うこと。
0.1~5%未満
0.1%未満
過敏症
発疹、蕁麻疹等
循環器
低血圧、胸痛
精神神経系
頭痛、めまい
傾眠、不眠、幻覚、抑うつ、悪夢、錯乱、しびれ、気分の変化、精神変調等
眼注1)
視力異常、霧視、涙液分泌減少
消化器
嘔気
食欲不振、腹痛、口内乾燥、嘔吐、便秘、下痢等
肝臓
AST、ALT、Al-Pの上昇等
その他
倦怠感、浮腫、高脂血症
無力症状、疲労、筋痛、可逆的脱毛、頻尿、知覚減退、高尿酸血症、LDH上昇、血中尿素上昇、血糖値低下、乾癬様皮疹、乾癬悪化、抗核抗体陽性化、重症筋無力様症状、重症筋無力症悪化
心血管系:徐脈、低血圧、及び心原性ショックが発現することがある。QRS延長、1度から3度のAVブロック、心停止が発現することがある。中枢神経系:眠気、発作、重症の場合は昏睡が生じることがある。その他:気管支痙攣、高カリウム血症、及び中枢神経系を介した呼吸抑制が生じるおそれがある。
過度の徐脈をきたした場合には、まずアトロピン硫酸塩水和物(1~2mg)を静注し、更に必要に応じてβ1刺激剤であるドブタミン(毎分2.5~10μg/kgを静注)を投与する。グルカゴン(10mgを静注)が有効であったとの報告もある。気管支痙攣は高用量のβ2作動薬(静注及び吸入-患者の反応に応じて投与量を増減)により消失させることができる。アミノフィリン水和物(静注)、イプラトロピウム(吸入)も考慮すること。グルカゴン(1~2mgを静注)が気管支拡張を促すという報告がある。重度である場合には、酸素又は人工換気が必要である。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
健康男子にプロプラノロール塩酸塩徐放カプセルを単回経口投与した場合、最高血漿中濃度は投与約5時間後にみられ、投与後3~14時間にわたって高い血漿中濃度が持続した。1日1カプセルを8日間経口投与した場合の消失半減期は約10時間であった1)。なお、本態性高血圧症患者においても健康人と同様の安定した血漿中濃度の持続性がみられている2)。
プロプラノロール塩酸塩徐放カプセル60mg「サワイ」とインデラルLAカプセル60mgを健康成人男子にそれぞれ1カプセル(プロプラノロール塩酸塩として60mg)空腹時及び食後単回経口投与(クロスオーバー法)し、血漿中プロプラノロール濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された3)。
Cmax(ng/mL)
Tmax(hr)
T1/2(hr)
AUC0-56hr(ng・hr/mL)
空腹時
プロプラノロール塩酸塩徐放カプセル60mg「サワイ」
8.04±3.07
7.5±1.5
14.8±9.3
150.0±50.2
インデラルLAカプセル60mg
8.27±3.75
7.3±1.8
11.2±3.8
146.4±50.8
食後
9.83±3.22
7.6±1.5
9.7±2.6
176.0±65.2
9.22±2.98
7.3±1.3
12.1±7.6
170.7±55.6
(Mean±S.D.)
血漿中濃度ならびにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
プロプラノロールの代謝は主として肝臓で行われ、尿中にナフトキシ乳酸、グルクロン酸抱合体、4-ヒドロキシプロプラノロールなどの代謝物が認められた4)。
本態性高血圧症に対する有効率は44.2%(42例/95例)であった5)。
6~12ヶ月間の長期投与試験において、プロプラノロール塩酸塩徐放カプセル投与により安定した血圧のコントロールが得られた6),7)。血圧の日内変動に及ぼす影響をみた試験において、安定した降圧作用が認められた8)。
狭心症に対する有効率は46.7%(14例/30例)で、発作回数、亜硝酸剤使用量の減少、心電図所見の改善等がみられた9)。
狭心症に対する有効率は62.5%(25例/40例)で、発作回数、亜硝酸剤使用量の減少、心電図所見の改善等がみられた10)。
交感神経β受容体においてカテコールアミンと競合的に拮抗し、β受容体遮断作用を示すことによって、抗狭心症作用を発揮するものと考えられる。
プロプラノロール塩酸塩徐放カプセルは、健康成人男子への1回投与により、運動負荷による心拍数上昇に対し24時間にわたりほぼ一定した抑制を示した1)。また、狭心症患者にプロプラノロール塩酸塩徐放カプセルを1日1回2週間投与した場合、運動負荷時の心拍数、血圧及び心仕事量(収縮期血圧×心拍数)は投与前に比較し有意に低下した11)。プロプラノロール塩酸塩を健康成人男女に経口投与した場合、イソプレナリン負荷による心拍数の増加を抑制し、心仕事量を減少させ交感神経β受容体遮断作用を示した12)。
本態性高血圧症患者にプロプラノロール塩酸塩を1日1回投与した場合、血圧の日内の変動幅が減少する傾向が認められ、降圧効果も安定していた8)。プロプラノロール塩酸塩の降圧作用機序については、心拍出量に対する作用13)、レニン分泌抑制作用14)、末梢血管抵抗減少作用15)が高血圧症患者において認められているほか、ネコを用いた実験で中枢作用16)、モルモット心房標本を用いたin vitroの実験で交感神経末梢からのノルアドレナリン遊離減少作用17)等が示されている。
プロプラノロール塩酸塩はウサギ心房筋標本を用いた電気生理学的実験において膜安定化作用を示した18)。
プロプラノロール塩酸塩はラットを用いた実験で内因性交感神経刺激作用を示さなかった19)。
プロプラノロール塩酸塩(Propranolol Hydrochloride)
(2RS)-1-(1-Methylethyl)amino-3-(naphthalen-1-yloxy)propan-2-ol monohydrochloride
C16H21NO2・HCl
295.80
白色の結晶性の粉末である。メタノールに溶けやすく、水又は酢酸(100)にやや溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けにくい。メタノール溶液(1→40)は旋光性を示さない。光によって徐々に帯黄白色~淡褐色になる。
163~166℃
アルミピロー包装開封後は、遮光して保存すること。
PTP:100カプセル(10Cap×10)
1) Ohashi, K. et al.:Arzneim.-Forsch., 1984;34(1):507-512
2) 川崎晃一他:臨床と研究, 1983;60(9):3041-3046
3) 社内資料:生物学的同等性試験
4) 第十八改正日本薬局方解説書, 廣川書店, 2021;C-5087-5093
5) 大島研三他:医学のあゆみ, 1983;127(4):330-358
6) 吉田茂夫他:薬理と治療, 1983;11(2):409-419
7) 仁木敏晴他:薬理と治療, 1983;11(4):1321-1335
8) 池田正男他:心臓, 1983;15(8):879-894
9) 酒井章他:医学と薬学, 1984;12(5):1530-1543
10) 河合忠一他:薬理と治療, 1983;11(2):421-434
11) Kambara, H. et al.:Jpn. Circ. J., 1984;48(10):1066-1073
12) Cleaveland, C. R. et al.:Arch. Intern. Med., 1972;130:47-52
13) Frohlich, E. D. et al.:Circulation, 1968;37:417-423
14) Bühler, F. R. et al.:N. Engl. J. Med., 1972;287(24):1209-1214
15) Tarazi, R. C. et al.:Am. J. Cardiol., 1972;29:633-640
16) Day, M. D. et al.:Nature New Biol., 1973;242:30-31
17) Adler-Graschinsky, E. et al.:Br. J. Pharmacol., 1975;53:43-50
18) Morales-Aguilera, A. et al.:Br. J. Pharmacol., 1965;24:332-338
19) Barrett, A. M. et al.:Br. J. Pharmacol., 1970;40:373-381
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