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日本薬局方
一硝酸イソソルビド錠
処方箋医薬品注)
狭心症
本剤は狭心症の発作寛解を目的とした治療には不適であるので、この目的のためには速効性の硝酸・亜硝酸エステル系薬剤を使用すること。
通常、成人には一硝酸イソソルビドとして1回20㎎1日2回を経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、効果不十分な場合には1回40㎎1日2回まで増量できる。
ただし、労作狭心症又は労作兼安静狭心症で発作回数及び運動耐容能の面で重症と判断された場合には1回40㎎1日2回を経口投与できる。
また、患者に医師の指示なしに使用を中止しないよう注意すること。
また、これらの副作用のために注意力、集中力、反射運動能力等の低下が起こることがあるので、このような場合には、自動車の運転等の危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
血管拡張作用により更に血圧を低下させるおそれがある。
心拍出量が低下しショックを起こすおそれがある。
心室内圧較差の増強をもたらし、症状を悪化させるおそれがある。
副作用が発現しやすくなる。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で大量投与により、胎児及び出生児の体重増加抑制、出生児生存率の低下、発育・分化の遅延が報告されている1)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている2)。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
頭痛等の副作用の発現がないことを確認しながら必要に応じて低用量(例えば1回10㎎)より投与を開始し、増量するなど慎重に投与すること。本剤は他の硝酸・亜硝酸エステル系薬剤に比べて肝臓での初回通過効果を受けにくいが、一般に肝・腎機能が低下していることが多い。
ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤
シルデナフィルクエン酸塩(バイアグラ、レバチオ)
バルデナフィル塩酸塩水和物
(レビトラ)
タダラフィル
(シアリス、アドシルカ、ザルティア)
併用により、降圧作用を増強することがある。
本剤投与前にこれらの薬剤を服用していないことを十分確認すること。また、本剤投与中及び投与後においてこれらの薬剤を服用しないよう十分注意すること。
本剤はcGMPの産生を促進し、一方、ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤はcGMPの分解を抑制することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介する本剤の降圧作用が増強する。
グアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤
リオシグアト
(アデムパス)
本剤とグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤は、ともにcGMPの産生を促進することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介する本剤の降圧作用が増強する。
下記の薬剤等との相互作用により、過度の血圧低下が起こった場合には、減量又は投与を中止し、下肢の挙上あるいは昇圧剤の投与等、適切な処置を行うこと。
アルコール摂取
血圧低下等が増強されるおそれがある。
血管拡張作用が増強される。
利尿剤
血圧低下作用を増強させる。
血管拡張剤
硝酸・亜硝酸エステル系薬剤
頭痛、血圧低下等の副作用が増強されるおそれがある。
AST、ALT、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
2%以上
2%未満
頻度不明
循環器
めまい・ふらつき、動悸
血圧低下、浮腫、熱感
精神神経系
頭痛(13.4%)
不眠、全身倦怠感
頭重感、しびれ
過敏症
発疹、そう痒感
消化器
胃もたれ、腹部膨満感、鼓腸、口内乾燥、嘔気
食欲不振、腹痛、下痢、嘔吐
肝臓
ALT上昇、AST上昇、LDH上昇
その他
BUN上昇
CK上昇、クレアチニン上昇、筋肉痛
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
健康成人男子(6例)に一硝酸イソソルビドとして10注1)、20及び40㎎を経口投与したとき、血漿中濃度は投与後2時間でほぼCmaxに達し、T1/2は5~6時間であった。なお、Cmax及びAUCは投与量に比例して増加した4)。
Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
AUC0→∞
(ng・hr/mL)
10mg
157.2±29.7
1.8±0.7
5.5±0.5
1701±263
20mg
373.3±29.3
1.7±0.4
5.0±0.3
3306±391
40mg
709.7±107.3
1.5±0.4
6.0±0.2
6525±951
健康成人男子(6例)に一硝酸イソソルビド20㎎を12時間間隔で7回反復経口投与したときの最低血漿中濃度は、130~150ng/mLの一定範囲内にあり、漸増する傾向は認められなかった4)。
一硝酸イソソルビド錠20mg「サワイ」とアイトロール錠20mgを健康成人男子にそれぞれ1錠(一硝酸イソソルビドとして20mg)空腹時単回経口投与(クロスオーバー法)し、血漿中一硝酸イソソルビド濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された5)。
Cmax(μg/mL)
Tmax(hr)
T1/2(hr)
AUC0-24hr(μg・hr/mL)
一硝酸イソソルビド錠20mg「サワイ」
0.44±0.11
0.8±0.5
5.7±0.6
3.04±0.40
アイトロール錠20mg
0.41±0.08
6.0±0.6
3.02±0.48
(Mean±S.D.)
血漿中濃度ならびにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
健康成人男子(3例)に12時間絶食後及び摂食1.5時間後に一硝酸イソソルビド10mg注1)を単回経口投与した結果、摂食により一硝酸イソソルビドのCmaxは低下し、Tmaxは延長する傾向を示したが、T1/2及びAUCには差が認められなかったことから、摂食による一硝酸イソソルビドの薬物動態に及ぼす影響は少ないものと考えられた4)。
虚血性心疾患患者注2)(28例)に投与したときの血漿蛋白結合率は約2~4%であった(投与3時間後、限外濾過法)6)。
健康成人男子(3例)に一硝酸イソソルビド40mgを単回経口投与したとき、投与48時間までの尿中に投与量の29.0%が一硝酸イソソルビドのグルクロン酸抱合体として、42.0%がイソソルビドとして、2.0%が未変化体としてそれぞれ排泄された7)。
主として尿中に排泄される7)。
狭心症患者(206例)を対象に、一硝酸イソソルビド錠20mg又は硝酸イソソルビド徐放錠20mgを1日2回、2週間投与した二重盲検比較試験を行った。その結果、硝酸イソソルビド徐放錠と同等であると判断された。
一硝酸イソソルビド錠投与群の副作用発現頻度は10.9%(12/110例)であり、主な副作用は頭痛9.1%(10/110例)であった。両群間の副作用発現率に有意差は認められなかった8)。
一硝酸イソソルビドは、冠血流の増加作用に加えて静脈還流量の減少による前負荷減少作用と全末梢血管抵抗の減少による後負荷減少作用が心筋酸素需給のアンバランスを改善して抗狭心症作用を発現すると考えられ、主にcGMPによって媒介される静脈血管の弛緩作用が重要であると考えられる9),10),11)。
一硝酸イソソルビドは、ウサギの摘出胸部大動脈及び腹部大静脈において用量依存的な血管弛緩作用を示し、血管組織内のcGMP含量を増加した。このような血管弛緩作用は静脈血管に対して高い選択性を有し、cGMP含量の増加も動脈より静脈において著明であった9)。
一硝酸イソソルビドは労作狭心症患者のトレッドミル運動負荷試験において、運動耐容能を有意に延長(p<0.01)し、その作用は7時間以上持続した。また、血漿中一硝酸イソソルビド濃度と運動持続時間の増加との間には正の相関が示された14)。
一硝酸イソソルビド(Isosorbide Mononitrate)
1,4:3,6-Dianhydro-D-glucitol 5-nitrate
C6H9NO6
191.14
白色~黄白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはないか、又はわずかに硝酸ようのにおいがある。水、メタノール、エタノール(95)、アセトン、酢酸(100)又は酢酸エチルに溶けやすく、トルエンに溶けにくく、ヘキサンにほとんど溶けない。
88~93℃
PTP:100錠(10錠×10)
PTP:100錠(10錠×10)、500錠(10錠×50)バラ:500錠
1) 桶谷米四郎他:基礎と臨床, 1986;20(14):6911-6928
2) 江角凱夫他:応用薬理, 1988;35(1):71-81
3) Demots, H. et al.:J. Am. Coll. Cardiol., 1989;13(4):786-793
4) 田原一二他:臨床薬理, 1984;15(2):317-328
5) 社内資料:生物学的同等性試験
6) 坂井誠他:TDM 研究, 1997;14(3):253-259
7) 千田敏他:応用薬理, 1985;29(4):517-521
8) 山田和生他:Geriat. Med., 1985;23(8):1421-1435
9) Matsuoka, I. et al.:Eur. J. Pharmacol., 1985;118(1-2):155-161
10) 古城健太郎他:日本薬理学雑誌, 1985;85(5):335-342
11) 古城健太郎他:日本薬理学雑誌, 1985;86(4):315-321
12) Kogi, K. et al.:Jpn. J. Pharmacol., 1987;44(3):249-257
13) 恒川純他:臨床薬理, 1985;16(2):427-435
14) 外畑巖他:臨床薬理, 1985;16(3):631-646
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