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ニセルゴリン錠5mg「サワイ」/ニセルゴリン細粒1%「サワイ」

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
9.8高齢者
11.副作用
11.2その他の副作用
14.適用上の注意
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.3分布
16.5排泄
18.薬効薬理
18.1作用機序
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

ニセルゴリン錠5mg「サワイ」/ニセルゴリン細粒1%「サワイ」

添付文書番号

2190021C1058_1_05

企業コード

300119

作成又は改訂年月

2023年12月改訂(第1版)

日本標準商品分類番号

87219

薬効分類名

脳循環・代謝改善剤

承認等

ニセルゴリン錠5mg「サワイ」

販売名コード

YJコード

2190021F1437

販売名英語表記

NICERGOLINE Tablets [SAWAI]

販売名ひらがな

にせるごりんじょう

承認番号等

承認番号

22400AMX00140000

販売開始年月

2000年7月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

3年

基準名

日本薬局方

ニセルゴリン錠

ニセルゴリン細粒1%「サワイ」

販売名コード

YJコード

2190021C1058

販売名英語表記

NICERGOLINE Fine Granules [SAWAI]

販売名ひらがな

にせるごりんさいりゅう

承認番号等

承認番号

22400AMX00139000

販売開始年月

2000年7月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

3年

基準名

日本薬局方

ニセルゴリン散

一般的名称

ニセルゴリン

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

頭蓋内出血後、止血が完成していないと考えられる患者[出血を助長するおそれがある。]

3. 組成・性状

3.1 組成

ニセルゴリン錠5mg「サワイ」

1錠中
有効成分日局ニセルゴリン   5mg
添加剤カルナウバロウ、酸化チタン、ステアリン酸Ca、タルク、トレハロース、白糖、ヒプロメロース、マクロゴール6000

ニセルゴリン細粒1%「サワイ」

1g中
有効成分日局ニセルゴリン   10mg
添加剤軽質無水ケイ酸、トレハロース、乳糖、ヒドロキシプロピルセルロース

3.2 製剤の性状

ニセルゴリン錠5mg「サワイ」

剤形フィルムコーティング錠
外形

大きさ直径6.1mm
厚さ3.7mm
質量約105mg
識別コードSW 528
性状白色~帯黄白色

ニセルゴリン細粒1%「サワイ」

剤形コーティング細粒
性状白色

4. 効能又は効果

脳梗塞後遺症に伴う慢性脳循環障害による意欲低下の改善

6. 用法及び用量

ニセルゴリンとして、通常成人1日量15mgを3回に分けて経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

7. 用法及び用量に関連する注意

  1. 7.1 本剤の投与期間は、臨床効果及び副作用の程度を考慮しながら慎重に決定するが、投与12週で効果が認められない場合には投与を中止すること。
  2. 7.2 成人1日量の剤形換算は、以下のとおりである。

    成人1日量(15mg)

    ニセルゴリン錠5mg「サワイ」

    3錠

    ニセルゴリン細粒1%「サワイ」

    1.5g

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で胎児及び出生児の発育抑制が報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.2 その他の副作用

0.1~1%未満

頻度不明

消化器

食欲不振、下痢、便秘、悪心、腹痛、口渇

肝臓

肝機能障害

循環器

めまい、立ちくらみ

動悸、ほてり

精神神経系

眠気、倦怠感、頭痛、耳鳴

不眠

過敏症

発疹、そう痒

蕁麻疹

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意

  • 〈錠〉

    PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 健康成人にニセルゴリン15mgを経口投与した場合、吸収は速やかで、血漿中濃度は投与2~4時間後に最高に達した1)
  2. 16.1.2 生物学的同等性試験
    • 〈ニセルゴリン錠5mg「サワイ」〉

      ニセルゴリン錠5mg「サワイ」とサアミオン錠5mgを健康成人男子にそれぞれ3錠(ニセルゴリンとして15mg)空腹時単回経口投与(クロスオーバー法)し、ニセルゴリンの代謝物である1-MMDLの血漿中濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された2)

      各製剤3錠投与時の薬物動態パラメータ

      Cmax
      (ng/mL)

      Tmax
      (hr)

      T1/2
      (hr)

      AUC0-24hr
      (ng・hr/mL)

      ニセルゴリン錠5mg「サワイ」

      6.8±4.6

      1.1±0.5

      3.2±1.1

      26.7±15.6

      サアミオン錠5mg

      6.6±3.5

      1.1±0.5

      3.3±1.7

      27.0±17.7

      (Mean±S.D.)

    • 〈ニセルゴリン細粒1%「サワイ」〉

      ニセルゴリン細粒1%「サワイ」とサアミオン散1%を健康成人男子にそれぞれ1.5g(ニセルゴリンとして15mg)空腹時単回経口投与(クロスオーバー法)し、ニセルゴリンの代謝物である1-MMDLの血漿中濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された3)

      各製剤1.5g投与時の薬物動態パラメータ

      Cmax
      (ng/mL)

      Tmax
      (hr)

      T1/2
      (hr)

      AUC0-24hr
      (ng・hr/mL)

      ニセルゴリン細粒1%「サワイ」

      6.1±4.0

      1.1±0.9

      4.8±5.0

      25.7±15.3

      サアミオン散1%

      5.9±3.0

      0.9±0.5

      5.5±5.7

      25.8±15.5

      (Mean±S.D.)

      血漿中濃度ならびにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.3 分布

  1. 16.3.1 組織移行性

    3H-ニセルゴリン(5mg/kg)をSD系雄ラットに経口投与した時、全身の放射能は投与後30~60分の時点で最高値を示し、肝臓、唾液腺、腎臓、肺及び心筋で高く、血液及び筋肉では中程度、脳では低かった4)

  2. 16.3.2 蛋白結合率

    ヒト血漿蛋白への3H-ニセルゴリンの結合率は10~100ng/mLの濃度範囲で93~95%であった4)in vitro、限外濾過法)。

16.5 排泄

健康成人にニセルゴリン錠5mg 8錠を経口投与したとき、大部分が代謝物として排泄され、24時間までの尿中排泄率は51%であった5)

注)本剤の承認用法及び用量は、通常成人1日量15mgを3回に分けて経口投与である。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

脳血管を拡張し脳血流を増加させると共に、血小板凝集抑制作用、赤血球変形能改善作用及びPAF産生能抑制作用等により血液流動性を改善し脳循環を改善する。また、脳内アセチルコリン系及びドーパミン系の神経伝達機能を促進し、脳虚血時のグルコース、ATP及びピルビン酸等の各種脳エネルギー関連物質の代謝改善作用により脳代謝を改善する6),7),8),9),10),11),12)

18.2 脳循環改善作用

  1. 18.2.1 脳血管障害患者において、内頸及び椎骨動脈の血流量増加13),14)が、また、虚血病巣部での脳血流増加15)が認められている。
  2. 18.2.2 ネコの内顎動脈血流量を用量依存的に増加させる16)

18.3 血液流動性改善作用

健康成人6)及び脳血管障害患者11),17)において、ADP、コラーゲン等による血小板凝集抑制作用及び赤血球変形能亢進作用が認められている。

18.4 神経伝達系に対する作用

  1. 18.4.1 ラットにおいて、加齢により低下した脳内コリンアセチルトランスフェラーゼ(CAT)活性及びムスカリン性アセチルコリン受容体の結合能を大脳皮質及び海馬において回復させる18)
  2. 18.4.2 ラットにおいて、加齢により低下した海馬のアセチルコリン遊離を回復させる19)
  3. 18.4.3 アセチルコリンエステラーゼ(AChE)に選択的なコリンエステラーゼ阻害活性を有し、マウスにおいて、脳内AChE活性阻害と海馬アセチルコリン量の増加作用を示す7)
  4. 18.4.4 ラットにおいて、連続経口投与によりドーパミンの代謝回転の促進作用が認められている8)

18.5 脳エネルギー代謝改善作用

  1. 18.5.1 マウスの脳虚血モデル9)及び低酸素モデル20)において、脳エネルギー代謝障害に対し改善作用を示す。
  2. 18.5.2 老齢ラットの脳梗塞モデル21)において、グルコースの取込み及び消費に対し改善作用を示す。

18.6 脳神経機能改善作用

  1. 18.6.1 マウスの脳虚血モデル9)及び低酸素モデル20)において、脳障害に対し保護作用を示す。
  2. 18.6.2 ラット海馬CA1領域神経細胞において、低閾値(T-type)カルシウムチャンネル遮断作用を示す22)
  3. 18.6.3 スナネズミの一過性脳虚血モデルにおいて、海馬CA1領域神経細胞の遅発性壊死を抑制する23)
  4. 18.6.4 老齢ラットの脳梗塞モデル21)及びマウスのスコポラミンによる健忘症モデル24)において、学習・記憶障害に対し改善作用を示す。

18.7 脳波改善作用

脳血管障害患者において、脳波異常の改善が認められている17)

19. 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称

ニセルゴリン(Nicergoline)

化学名

[(8R,10S)-10-Methoxy-1,6-dimethylergolin-8-yl]methyl 5-bromopyridine-3-carboxylate

分子式

C24H26BrN3O3

分子量

484.39

性状

白色~淡黄色の結晶又は結晶性の粉末である。アセトニトリル、エタノール(99.5)又は無水酢酸にやや溶けやすく、水にほとんど溶けない。光によって徐々に淡褐色となる。

化学構造式

融点

約136℃(分解)

20. 取扱い上の注意

  • 〈細粒〉

    容器開封後は遮光し湿気を避けて保存すること。

22. 包装

  • 〈ニセルゴリン錠5mg「サワイ」〉

    PTP:100錠(10錠×10)、1,000錠(10錠×100)
    バラ:1,000錠

  • 〈ニセルゴリン細粒1%「サワイ」〉

    バラ[乾燥剤入り]:100g

23. 主要文献

1) 第十八改正日本薬局方解説書, 廣川書店, 2021;C-3891-3895

2) 社内資料:生物学的同等性試験(錠5mg)

3) 社内資料:生物学的同等性試験(細粒1%)

4) 藤原充雄他:応用薬理, 1986;32(1):31-48

5) 河合喜孝他:基礎と臨床, 1986;20(2):1054-1064

6) 葛谷文男他:薬理と治療, 1983;11(9):3627-3635

7) Matsuoka, Y. et al.:Basic, Clinical, and Therapeutic Aspects of Alzheimer's and Parkinson's Diseases, 1990;Vol.2:415-419

8) Moretti, A. et al.:Proof of Therapeutical Effectiveness of Nootropic and Vasoactive Drugs, 1985;103-110

9) 新冨敬一他:日薬理誌, 1986;87(4):427-434

10) Moretti, A.:Arzneimittelforschung, 1979;29(8a):1213-1223

11) Nagakawa, Y. et al.:Arzneimittelforschung, 1990;40(8):862-864

12) 仲村恒敬他:医学のあゆみ, 1990;154(7):447-448

13) 宮崎学:薬理と治療, 1984;12(1):401-407

14) 宮崎学:薬理と治療, 1985;13(11):6817-6821

15) 谷本道則他:薬理と治療, 1985;13(4):2075-2084

16) 新冨敬一他:日薬理誌, 1986;87(5):537-549

17) 浮田義一郎他:薬理と治療, 1985;13(4):2085-2096

18) 小川紀雄他:Geriatric Medicine, 1989;27(8):1198-1204

19) Carfagna, N. et al.:Neurosci. Lett., 1995;197(3):195-198

20) 新冨敬一他:日薬理誌, 1986;87(4):445-456

21) Le Poncin-Lafitte, M. et al.:Gerontology, 1984;30(2):109-119

22) Takahashi, K. et al.:Br. J. Pharmacol., 1990;100(4):705-710

23) 岩崎仁他:薬理と治療, 1990;18(5):1995-2004

24) 工藤幸司他:薬理と治療, 1985;13(11):6489-6493

24. 文献請求先及び問い合わせ先

沢井製薬株式会社 医薬品情報センター

〒532-0003 大阪市淀川区宮原5丁目2-30

*TEL:0120-381-999 FAX:06-7708-8966

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元

沢井製薬株式会社

大阪市淀川区宮原5丁目2-30

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