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ラフチジン錠5mg「サワイ」/ラフチジン錠10mg「サワイ」

処方せん医薬品以外の医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.2腎機能障害患者
9.3肝機能障害患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
9.8高齢者
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.1臨床使用に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.3分布
16.4代謝
16.5排泄
16.6特定の背景を有する患者
16.8その他
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2ヒトでの作用
18.3動物での作用
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

ラフチジン錠5mg「サワイ」/ラフチジン錠10mg「サワイ」

添付文書番号

2325006F1087_1_03

企業コード

300119

作成又は改訂年月

2023年12月改訂(第1版)

日本標準商品分類番号

872325

薬効分類名

H2受容体拮抗剤

承認等

ラフチジン錠5mg「サワイ」

販売名コード

YJコード

2325006F1087

販売名英語表記

LAFUTIDINE Tablets [SAWAI]

販売名ひらがな

らふちじんじょう

承認番号等

承認番号

22400AMX00989000

販売開始年月

2012年12月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

3年

基準名

日本薬局方

ラフチジン錠

ラフチジン錠10mg「サワイ」

販売名コード

YJコード

2325006F2083

販売名英語表記

LAFUTIDINE Tablets 「SAWAI」

販売名ひらがな

らふちじんじょう

承認番号等

承認番号

22400AMX00990000

販売開始年月

2012年12月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

3年

基準名

日本薬局方

ラフチジン錠

一般的名称

ラフチジン

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者

3. 組成・性状

3.1 組成

ラフチジン錠5mg「サワイ」

1錠中
有効成分日局ラフチジン   5mg
添加剤カルナウバロウ、クロスカルメロースNa、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、酸化チタン、ステアリン酸Mg、タルク、トウモロコシデンプン、乳糖、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、マクロゴール6000

ラフチジン錠10mg「サワイ」

1錠中
有効成分日局ラフチジン   10mg
添加剤カルナウバロウ、クロスカルメロースNa、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、酸化チタン、ステアリン酸Mg、タルク、トウモロコシデンプン、乳糖、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、マクロゴール6000

3.2 製剤の性状

ラフチジン錠5mg「サワイ」

剤形フィルムコーティング錠
外形

大きさ直径5.6mm
厚さ2.6mm
質量約65mg
識別コードSW LD5
性状白色
においはないか又はわずかに特異なにおいがある

ラフチジン錠10mg「サワイ」

剤形フィルムコーティング錠
外形

大きさ直径6.1mm
厚さ2.7mm
質量約80mg
識別コードSW LD10
性状白色
においはないか又はわずかに特異なにおいがある

4. 効能又は効果

  • 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎
  • 下記疾患の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善
    急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期
  • 麻酔前投薬

5. 効能又は効果に関連する注意

重症(ロサンゼルス分類Grade C又はD)の逆流性食道炎に対する有効性及び安全性は確立していない。

6. 用法及び用量

  • 〈胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎〉

    通常、成人にはラフチジンとして1回10mgを1日2回(朝食後、夕食後または就寝前)経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減する。

  • 〈下記疾患の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善
    急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期〉

    通常、成人にはラフチジンとして1回10mgを1日1回(夕食後または就寝前)経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減する。

  • 〈麻酔前投薬〉

    通常、成人にはラフチジンとして1回10mgを手術前日就寝前及び手術当日麻酔導入2時間前の2回経口投与する。

8. 重要な基本的注意

血液像、肝機能、腎機能等に注意すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 薬物過敏症の既往歴のある患者
  2. 9.1.2 透析患者

    低用量から慎重に投与すること。透析患者では非透析時の最高血中濃度が健康人の約2倍に上昇することが報告されている。

9.2 腎機能障害患者

症状が悪化するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

症状が悪化するおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

用量あるいは投与間隔に留意するなど、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。生理機能が低下しているため。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1 重大な副作用

  1. 11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)

    顔面蒼白、血圧低下、全身発赤、呼吸困難等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  2. 11.1.2 再生不良性貧血、汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少(いずれも頻度不明)
  3. 11.1.3 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(いずれも頻度不明)
  4. 11.1.4 肝機能障害(0.06%)、黄疸(頻度不明)

    AST、ALT、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。

  5. 11.1.5 房室ブロック等の心ブロック(頻度不明)
  6. 11.1.6 横紋筋融解症(頻度不明)
  7. 11.1.7 間質性腎炎(頻度不明)

11.2 その他の副作用

0.1~5%未満

0.1%未満

頻度不明

過敏症

発疹、蕁麻疹

そう痒

血液

白血球数増加、白血球数減少、赤血球数減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット減少

好酸球上昇

肝臓

ALT上昇、AST上昇、Al-P上昇、γ-GTP上昇、LDH上昇、T-Bil上昇

TTT上昇

腎臓

尿タンパク異常

BUN上昇

精神
神経系

不眠、眠気

頭痛、めまい

可逆性の錯乱状態、幻覚、意識障害、痙攣

循環器

熱感

動悸

顔面紅潮

消化器

便秘、下痢、嘔気・嘔吐、食欲不振

硬便、腹部膨満感

口渇

その他

血清尿酸値上昇、K低下、Cl上昇、浮腫

生理遅延、Na上昇

女性化乳房、倦怠感

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報

本剤の投与が胃癌による症状を隠蔽することがあるので、悪性でないことを確認のうえ投与すること。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 健康成人男子にラフチジン10mgを空腹時に経口投与した時の血漿中未変化体の薬物動態パラメータは、下記のとおりであった1)

    Tmax
    (hr)

    Cmax
    (ng/mL)

    T1/2(hr)

    AUC0-24hr
    (ng・hr/mL)

    α

    β

    0.8±0.1

    174±20

    1.55±0.61

    3.30±0.39

    793±85

    (n=6、平均値±標準誤差)

  2. 16.1.2 生物学的同等性試験
  • 〈ラフチジン錠10mg「サワイ」〉

    ラフチジン錠10mg「サワイ」とプロテカジン錠10を健康成人男子にそれぞれ1錠(ラフチジンとして10mg)空腹時単回経口投与(クロスオーバー法)し、血漿中ラフチジン濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された2)

  • 各製剤1錠投与時の薬物動態パラメータ

    Cmax
    (ng/mL)

    Tmax
    (hr)

    T1/2
    (hr)

    AUC0-15hr
    (ng・hr/mL)

    ラフチジン錠10mg「サワイ」

    193.2±43.2

    1.0±0.4

    2.7±0.4

    802.0±186.4

    プロテカジン錠10

    185.0±49.8

    1.0±0.4

    2.7±0.4

    782.7±210.0

    (Mean±S.D.)

  • 血漿中濃度ならびにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.3 分布

蛋白結合率は、3µg/mL(ヒト血漿蛋白結合率は88.0±1.2%)まで結合の飽和は認められなかった3)in vitro)。

16.4 代謝

ラフチジンの代謝には主としてCYP3A4、一部CYP2D6が関与するとの報告がある4)

16.5 排泄

健康成人男子6名にラフチジン10mgを空腹時に経口投与した結果、投与24時間までの未変化体、代謝物M-4(ピペリジン環が酸化的脱離)、M-7(ピペリジン環が酸化)及びM-9(スルホニル化)の尿中排泄率はそれぞれ10.9±1.5%、1.7±0.2%、7.5±0.8%及び0.3±0.1%であり、尿中総排泄率は投与量の約20%であった1)

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1 高齢者の血中濃度

    高齢者では腎機能正常者(Ccr平均88.0±9.4mL/min)と腎機能低下傾向者(Ccr20~60mL/min、平均45.2±7.8mL/min)で血中動態に差を認めなかった1)

  2. 16.6.2 透析患者の血中濃度

    透析患者では非透析時の血漿中未変化体濃度は健康成人と比べてCmaxが約2倍に上昇し、T1/2が約2倍に延長し、AUCが約3倍に増加した。
    なお、ラフチジンは血液透析により7~18%が除去された1),5)

    Tmax
    (hr)

    Cmax
    (ng/mL)

    T1/2
    (hr)

    AUC
    (ng・hr/mL)

    健康成人(参考)

    0.8±0.1

    174±20

    3.30±0.39

    793±85

    高齢者

    腎機能正常

    1.0±0.2

    195±17

    3.05±0.19

    869±65

    腎機能
    低下傾向

    1.1±0.2

    196±23

    2.93±0.21

    853±113

    透析
    患者

    透析時

    2.6±0.5

    226±36

    4.57±0.241)

    853±1281)

    非透析時

    0.8±0.1

    336±40

    6.71±0.30
    (4.37±0.45)1)

    2278±306
    (1264±133)1)

    (ラフチジン10mg投与、高齢者は各n=5、他はn=6、平均値±標準誤差)
    各パラメータは透析患者の透析時は0-6時間まで、その他は0-24時間までの血漿中濃度推移より算出した。透析時のT1/2は4例より算出した。

    1) 透析時(0-6時間の値)との比較のために非透析時の0-6時間の値を( )内に示した。
    腎機能低下傾向者:Ccr=20、34、54、58、60mL/min(5例)

16.8 その他

  • 〈ラフチジン錠5mg「サワイ」〉

    ラフチジン錠5mg「サワイ」は溶出挙動に基づき、ラフチジン錠10mg「サワイ」と生物学的に同等とみなされた6)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

  • 〈胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍〉
    1. 17.1.1 国内第Ⅱ/Ⅲ相試験

      胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍患者を対象にラフチジンを1回10mg 1日2回(朝食後、夕食後または就寝前)経口投与した複数の臨床試験を合算した結果、全般改善度は胃潰瘍89.8%(88/98例)、十二指腸潰瘍92.3%(24/26例)、吻合部潰瘍84.6%(11/13例)であった7),8),9),10),11),12),13)

      全般改善度

      自他覚症状改善度

      内視鏡判定治癒率
      又は改善率

      胃潰瘍

      89.8%
      (88/98例)

      96.7%
      (87/90例)

      72.4%
      (71/98例)

      十二指腸潰瘍

      92.3%
      (24/26例)

      100%
      (29/29例)

      88.5%
      (23/26例)

      吻合部潰瘍

      84.6%
      (11/13例)

      100%
      (11/11例)

      84.6%
      (11/13例)

      全般改善度、自他覚症状改善度及び改善率は「中等度改善」以上

    2. 17.1.2 国内第Ⅲ相試験

      胃潰瘍患者を対象としたファモチジン対照二重盲検比較試験において、ラフチジン10mgを1日2回又はファモチジン20mgを1日2回8週間経口投与した結果、ラフチジンの全般改善度における著明改善率は81.7%(94/115例)で同等性が検証された。ラフチジンの副作用発現率は8.3%(11/132例)で、頭痛0.8%(1/132例)、便秘0.8%(1/132例)等であった14)
      十二指腸潰瘍患者を対象としたファモチジン対照二重盲検比較試験において、ラフチジン10mgを1日2回又はファモチジン20mgを1日2回6週間経口投与した結果、ラフチジンの全般改善度における著明改善率は89.8%(88/98例)で同等性が検証された。ラフチジンの副作用発現率は2.6%(3/116例)で、生理遅延0.9%(1/116例)等であった15)

  • 〈下記疾患の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善
    急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期〉
    1. 17.1.3 国内第Ⅱ相試験

      びらん又は出血のいずれかを呈する胃炎患者を対象にラフチジンを1回10mg 1日1回(夕食または就寝前)経口投与した複数の臨床試験を合算した結果、全般改善度は94.0%(78/83例)であった16),17)

      全般改善度

      自他覚症状改善度

      内視鏡判定治癒率
      又は改善率

      急・慢性胃炎の胃粘膜病変

      94.0%
      (78/83例)

      94.3%
      (83/88例)

      90.4%
      (75/83例)

      全般改善度、自他覚症状改善度及び改善率は「中等度改善」以上

    2. 17.1.4 国内第Ⅲ相試験

      胃炎患者を対象としたシメチジン対照二重盲検比較試験において、ラフチジン10mgを1日1回又はシメチジン400mgを1日1回2週間経口投与した結果、ラフチジンの全般改善度における改善率(中等度改善以上)は83.1%(74/89例)で同等性が検証された。ラフチジンの副作用発現率は1.0%(1/104例)で、眠気1.0%(1/104例)であった18)

  • 〈麻酔前投薬〉
    1. 17.1.5 国内第Ⅱ相試験

      全身麻酔により手術が施行される患者でASA分類1又は2の者を対象に1回10mgを手術前日就寝前及び手術当日麻酔導入2時間前の2回投与した結果、胃分泌抑制効果(pH)の総合効果は有効以上で100%(60/60例)であった19)

    2. 17.1.6 国内第Ⅲ相試験

      全身麻酔により手術が施行される患者を対象としたロキサチジン対照二重盲検比較試験において、ラフチジン10mgを手術前夜及び麻酔導入2時間前の2回又はロキサチジン75mgを手術前夜及び麻酔導入2時間前の2回経口投与した結果、ラフチジンの胃液分泌抑制効果及び胃酸分泌抑制効果(pH)の総合効果における著効率は89.1%(106/119例)で同等性が検証された。ラフチジンで副作用は認められなかった20)

  • 〈逆流性食道炎〉
    1. 17.1.7 国内第Ⅲ相試験

      内視鏡検査によりロサンゼルス分類でGrade A又はBの軽症の逆流性食道炎と診断された患者を対象にラフチジンを1回10mg 1日2回(朝食後、夕食後または就寝前)経口投与した。内視鏡判定委員会における内視鏡治癒率は、ラフチジン群71.0%(115/162例)であり、プラセボ群9.7%(14/145例)に対して有意差(p<0.001)が認められた21),22)
      安全性評価例数169例中、8.9%(15/169例)に副作用が認められ、主な副作用はγ-GTP増加、ALT増加、血中尿酸増加及び白血球数減少であった。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

H2受容体拮抗作用により胃酸分泌の抑制作用が発現する4)

18.2 ヒトでの作用

  1. 18.2.1 基礎及び各種刺激胃酸分泌

    健康成人における、基礎、テトラガストリン刺激剤及び塩酸ベタゾール刺激剤投与時の2時間胃酸分泌は、10mg経口投与によりそれぞれ、95.1%、84.0%、98.3%、ペプシン分泌量はそれぞれ69.2%、46.0%、86.8%抑制された23),24),25)

  2. 18.2.2 夜間胃酸分泌

    健康成人の午後11時から午前6時までの7時間胃酸分泌及びペプシン分泌量は、10mg経口投与によりそれぞれ95.6%、57.9%抑制された26)

  3. 18.2.3 24時間胃内pHモニター

    健康成人において、就寝前10mg経口投与により胃内pHは、投与2時間後にはpH5以上となり、10時間後までpH6~8の範囲で推移し、夜間の12時間においてpH3以上のホールディングタイムの割合が75.0%であった。また、10mg 1日2回経口投与により夜間及び日中の12時間においてそれぞれ67.8%、60.2%であり、日中も夜間と同様に胃酸分泌が抑制された27)

  4. 18.2.4 胃粘液増加作用

    健康成人において、ラフチジン10mg 1日2回3日間経口投与により、投与後1~1.5時間での胃液中のヘキソサミン量がプラセボ投与と比較し、有意に増加した28)。また、胃切除予定の患者において、ラフチジン10mg 1日2回2週間経口投与により、切除された胃体部の粘液ゲル層のムチン量が非投与の約3倍に増加した29)
    なお、胃粘膜血流増加作用については、臨床的には証明されていない。

18.3 動物での作用

  1. 18.3.1 胃酸分泌抑制作用

    幽門を結紮し各種薬剤を十二指腸内投与し4時間後の胃酸分泌抑制作用の効力は、ファモチジンの0.1倍、シメチジンの2.3倍であった(ラット)。しかし各種刺激剤による胃酸分泌抑制作用は、ファモチジン及びシメチジンよりも持続した30)(ラット、イヌ)。

  2. 18.3.2 H2受容体拮抗作用

    モルモット大脳皮質膜によるチオチジンの特異結合に対する抑制作用は、ファモチジンの1.9倍、シメチジンの85.5倍であった31)in vitro)。

  3. 18.3.3 急性胃粘膜病変に対する作用

    各種壊死物質(アンモニア、塩酸-エタノール、エタノール、塩酸、塩酸-タウロコール酸)による胃粘膜損傷に対して胃粘膜保護作用を示した。特にアンモニア損傷に対して、強い保護作用を示した32)(ラット)。

  4. 18.3.4 急性・慢性潰瘍に対する作用

    急性胃潰瘍(水浸拘束ストレス、インドメタシン、幽門結紮アスピリン、ヒスタミン)あるいは急性十二指腸潰瘍(メピリゾール、ジエチルジチオカルバメート)の発生を抑制し、また慢性潰瘍(酢酸潰瘍、焼灼潰瘍)に対して治癒促進作用及び再発抑制作用を示した33),34),35)(ラット)。

  5. 18.3.5 胃炎に対する作用

    アンモニア及びタウロコール酸による胃炎に対して、回復促進作用を示した36)(ラット)。

  6. 18.3.6 急性逆流性食道炎に対する作用

    前胃-幽門結紮による食道粘膜傷害の発生を抑制した37)(ラット)。

  7. 18.3.7 胃粘膜血流増加作用

    胃内投与で、漸増的な血流の増加作用を示した38)(ラット)。

  8. 18.3.8 胃粘液増加作用

    ラット胃粘膜の器官培養で粘液産生を促進した39)in vitro)。また経口投与で胃粘膜ゲル層のムチン量を増加させ、さらに連続投与でも幽門腺領域においてゲル層の増加傾向を示した40),41)(ラット)。

  9. 18.3.9 粘膜再構築促進作用

    アンモニアによる胃粘膜損傷の修復過程をAB染色陽性細胞の被覆率で調べた結果、比率を30分後より上昇させ、上皮細胞遊走による再構築促進作用を示した42)(ラット)。

19. 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称

ラフチジン(Lafutidine)

化学名

2-[(RS)-Furan-2-ylmethylsulfinyl]-N-{4-[4-(piperidin-1-ylmethyl)pyridin-2-yl]oxy-(2Z)-but-2-en-1-yl}acetamide

分子式

C22H29N3O4S

分子量

431.55

性状

白色~微黄白色の結晶性の粉末である。酢酸(100)に溶けやすく、メタノールにやや溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けにくく、水にほとんど溶けない。メタノール溶液(1→100)は旋光性を示さない。

化学構造式

20. 取扱い上の注意

光及び高温・高湿で着色することがあるので、開封後の保存に注意すること。

22. 包装

  • ラフチジン錠5mg「サワイ」

    PTP:100錠(10錠×10)

  • *ラフチジン錠10mg「サワイ」

    PTP:100錠(10錠×10)、500錠(10錠×50)
    バラ[乾燥剤入り]:300錠

23. 主要文献

1) 春木左千夫他:薬理と治療, 1995;23(11):3049-3059

2) 中道昇他:診療と新薬, 2012;49(8):1029-1035

3) 分布(ストガー錠/プロテカジン錠:2000年1月18日承認、申請資料概要ヘ.2.(2).5))

4) 第十八改正日本薬局方解説書, 廣川書店, 2021;C-5981-5984

5) 古橋三義他:透析会誌, 2002;35(1):35-42

6) 社内資料:生物学的同等性試験(錠5mg)

7) 森賀本幸他:臨床医薬, 1995(1998年改訂);11(Suppl.4):3-21

8) 森賀本幸他:臨床医薬, 1995(1998年改訂);11(Suppl.4):23-34

9) 中澤三郎他:臨床医薬, 1995(1998年改訂);11(Suppl.4):35-48

10) 三輪剛他:臨床医薬, 1995(1998年改訂);11(Suppl.4):49-62

11) 早川滉:臨床医薬, 1995(1998年改訂);11(Suppl.4):75-85

12) 森治樹:臨床医薬, 1995(1998年改訂);11(Suppl.4):87-96

13) 三輪剛他:臨床医薬, 1995(1998年改訂);11(Suppl.4):63-74

14) 松尾裕他:臨床医薬, 1998;14(11):2085-2102

15) 松尾裕他:臨床医薬, 1998;14(11):2103-2119

16) 三好秋馬他:臨床医薬, 1995(1998年改訂);11(Suppl.4):97-111

17) 三好秋馬他:臨床医薬, 1995(1998年改訂);11(Suppl.4):113-129

18) 三好秋馬他:臨床医薬, 1998;14(11):2121-2138

19) 野口純一他:臨床医薬, 1995(1998年改訂);11(Suppl.4):159-171

20) 野口純一他:臨床医薬, 1995;11(10):2143-2158

21) Ohara, S. et al.:J. Gastroenterol., 2010;45:1219-1227

22) 国内第Ⅲ相試験(プロテカジン錠:2010年3月12日承認、審査報告書)

23) 森治樹他:臨床医薬, 1995;11(7):1381-1393

24) 森治樹他:臨床医薬, 1995;11(7):1395-1407

25) 基礎及び各種刺激胃酸分泌(ストガー錠/プロテカジン錠:2000年1月18日承認、申請資料概要ト.1.(2).1))

26) 森治樹他:臨床医薬, 1995;11(7):1409-1422

27) 谷礼夫他:臨床医薬, 1995;11(8):1667-1678

28) 森治樹他:消化器の臨床, 2002;5(2):200-206

29) Ichikawa, T. et al.:J. Gastroenterol. Hepatol., 2007;22(11):1800-1805

30) Shibata, M. et al.:Eur. J. Pharmacol., 1993;235:245-253

31) 稲葉二朗他:日薬理誌, 1995;105(4):231-241

32) Onodera, S. et al.:Jpn. J. Pharmacol., 1995;68(2):161-173

33) 山浦哲明他:日薬理誌, 1992;99(6):401-410

34) 小野寺禎良他:日薬理誌, 1998;111(3):167-175

35) Ajioka, H. et al.:Pharmacology, 2000;61(2):83-90

36) 小野寺禎良他:日薬理誌, 1997;109(1):31-40

37) 急性逆流性食道炎に対する作用(プロテカジン錠:2010年3月12日承認、審査報告書)

38) 柴田昌裕他:実験潰瘍, 1997;24(1):33-37

39) Ichikawa, T. et al.:Eur. J. Pharmacol., 1994;251:107-111

40) Ichikawa, T. et al.:Life Sci., 1994;54(10):159-164

41) 鹿児島正豊他:日薬理誌, 1994;104(5):379-389

42) 小野寺禎良他:実験潰瘍, 1998;25(2):217-220

24. 文献請求先及び問い合わせ先

沢井製薬株式会社 医薬品情報センター

〒532-0003 大阪市淀川区宮原5丁目2-30

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26. 製造販売業者等

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