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日本薬局方
エリスロマイシン腸溶錠
処方箋医薬品注)
〈適応菌種〉本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、淋菌、髄膜炎菌、ジフテリア菌、赤痢菌、軟性下疳菌、百日咳菌、破傷風菌、ガス壊疽菌群、梅毒トレポネーマ、トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)、マイコプラズマ属、赤痢アメーバ
〈適応症〉表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎、骨髄炎、咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎を含む)、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、膿胸、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、尿道炎、淋菌感染症、軟性下疳、梅毒、性病性(鼠径)リンパ肉芽腫、感染性腸炎、子宮内感染、子宮付属器炎、涙嚢炎、麦粒腫、外耳炎、中耳炎、副鼻腔炎、歯冠周囲炎、猩紅熱、ジフテリア、百日咳、破傷風、ガス壊疽、アメーバ赤痢
「抗微生物薬適正使用の手引き」1) を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。
通常、成人にはエリスロマイシンとして1日800~1200mg(力価)を4~6回に分割経口投与する。小児には1日体重1kgあたり25~50mg(力価)を4~6回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、小児用量は成人量を上限とする。
QT延長、心室頻拍(Torsade de pointesを含む)を起こすことがある。
血中濃度が上昇するおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中へ移行することが報告されている。
嘔吐等の症状に注意すること。新生児、乳児で、肥厚性幽門狭窄があらわれたとの報告がある。
用量に留意するなど慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。
エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン
ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩
四肢の虚血、血管攣縮等が報告されている。
本剤はCYP3Aと結合し、複合体を形成するため、これらの薬剤の代謝を抑制し、血中濃度が上昇することがある。
ピモジド
QT延長、心室性不整脈(Torsade de pointesを含む)等が発現するおそれがある。
**ロミタピドメシル酸塩
ロミタピドメシル酸塩の血中濃度が著しく上昇するおそれがある。
**クリンダマイシン(注射剤、経口剤)
リンコマイシン塩酸塩水和物
併用してもこれらの薬剤の効果があらわれないと考えられる。
本剤の細菌のリボゾーム50S Subunitへの親和性がこれらの薬剤より高いと考えられる。
ジソピラミドキニジン硫酸塩水和物
QT延長、心室性不整脈(Torsade de pointesを含む)等が報告されているので、減量するなど慎重に投与すること。
テオフィリンアミノフィリン水和物
悪心・嘔吐、不整脈、痙攣等が報告されているので、減量するなど慎重に投与すること。
シクロスポリンタクロリムス水和物
腎障害等が報告されているので、減量するなど慎重に投与すること。
ワルファリンカリウム
出血傾向、プロトロンビン時間延長等が報告されているので、減量するなど慎重に投与すること。
イリノテカン塩酸塩水和物
骨髄機能抑制、下痢等の副作用を増強するおそれがあるため、減量するなど慎重に投与すること。
**ビンカアルカロイド
好中球減少、筋肉痛等が報告されているので、減量するなど慎重に投与すること。
バルプロ酸ナトリウム
傾眠、運動失調等が報告されているので、減量するなど慎重に投与すること。
フェロジピン
降圧作用の増強が報告されているので、減量するなど慎重に投与すること。
ベラパミル塩酸塩
血圧低下、徐脈性不整脈、乳酸アシドーシス等が報告されているので、減量するなど慎重に投与すること。
ミダゾラムトリアゾラム
鎮静作用の増強が報告されているので、減量するなど慎重に投与すること。
カルバマゼピン
めまい、運動失調等が報告されているので、減量するなど慎重に投与すること。
コルヒチン
下痢、腹痛、発熱、筋肉痛、汎血球減少、呼吸困難等が報告されているので、減量するなど慎重に投与すること。
シンバスタチンアトルバスタチンカルシウム水和物
シンバスタチン、アトルバスタチンカルシウム水和物との併用により、筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中および尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれたとの報告がある。
ピタバスタチンカルシウム水和物
本剤がピタバスタチンの肝臓への取り込みを阻害するためと考えられる。
ブロモクリプチンメシル酸塩ドセタキセル水和物パクリタキセルセレギリン塩酸塩シルデナフィルクエン酸塩バルデナフィル塩酸塩水和物タダラフィルシロスタゾール
減量するなど慎重に投与すること。
**ブロナンセリンクロザピンゾピクロンアルプラゾラムエプレレノンエレトリプタン臭化水素酸塩エベロリムスサキナビルメシル酸塩
これらの薬剤の作用が増強するおそれがある。
**ドンペリドン
ドンペリドンの血中濃度が上昇する。また、ドンペリドンとの併用により、QT延長が報告されている。
副腎皮質ホルモン剤
これらの薬剤の消失半減期が延長するとの報告があるので、減量するなど慎重に投与すること。
本剤はこれらの薬剤の代謝を抑制することがある。
エバスチン
エバスチンの代謝物カレバスチンの血中濃度が上昇するとの報告がある。
エドキサバントシル酸塩水和物
出血のリスクを増大させるおそれがある。併用する場合、エドキサバントシル酸塩水和物の用量は、エドキサバントシル酸塩水和物の電子添文を参照すること。
本剤がP-糖蛋白質を阻害し、エドキサバンの血中濃度を上昇させるためと考えられる。
ジゴキシン
ジゴキシンの作用増強による嘔気、嘔吐、不整脈等の中毒症状が報告されているので、減量するなど慎重に投与すること。
本剤の腸内細菌叢への影響により、ジゴキシンの代謝が抑制される。
ザフィルルカスト
ザフィルルカストの血中濃度が低下するとの報告がある。
機序は不明である。
シメチジン
難聴が報告されているので、減量するなど慎重に投与すること。
これらの薬剤のCYP3A阻害作用により、本剤の代謝が抑制され、血中濃度が上昇すると考えられる。
リトナビル
本剤のAUCが上昇することが予想される。
**クリンダマイシン(外用剤)
併用してもクリンダマイシンの効果があらわれないと考えられる。
本剤の細菌のリボゾーム50S Subunitへの親和性がクリンダマイシンより高いと考えられる。
**リバーロキサバン
リバーロキサバンの血中濃度が上昇したとの報告がある。
本剤がCYP3A4及びP-糖蛋白質を阻害することによりリバーロキサバンのクリアランスが減少する。
**フェキソフェナジン塩酸塩
フェキソフェナジンの血漿中濃度を上昇させるとの報告がある。
P-糖蛋白質の阻害によるフェキソフェナジンのクリアランスの低下及び吸収率の増加に起因するものと推定される。
**CYP3A4誘導作用を有する薬剤
セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort, セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
本剤の作用が減弱するおそれがある。
これらの薬剤のCYP3A誘導作用により、本剤の代謝を促進し、本剤の血中濃度を低下させる。
腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には、直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
呼吸困難、胸内苦悶、血圧低下等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
AST、ALT、Al-Pの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがある。
頻度不明
過敏症
**発疹、血管性浮腫
消化器
食欲不振、悪心・嘔吐、胃痛、下痢、鼓腸、胃部不快感、便秘、腹部痙攣
眼
視力低下、霧視
胃腸症状、過敏症等がみられる。また、可逆性の難聴、一過性かつ軽症の急性膵炎があらわれたとの報告がある。
エリスロマイシンは腹膜透析、血液透析では除去されない。
外国で重症筋無力症が悪化したとの報告がある。
健康成人に、エリスロマイシン錠300mg(力価)を経口投与したとき、血中濃度は2時間後に最高血中濃度1.1μg/mLを示し、6時間後には0.2μg/mLを示した2)。
エリスロマイシン錠200mg「サワイ」とアイロタイシン錠(200mg)を健康成人男子にそれぞれ2錠[エリスロマイシンとして400mg(力価)]空腹時単回経口投与(クロスオーバー法)し、血清中エリスロマイシン濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された3)。
Cmax[μg(力価)/mL]
Tmax(hr)
T1/2(hr)
AUC0-9hr[μg(力価)・hr/mL]
エリスロマイシン錠200mg「サワイ」
1.29±0.31
3.8±0.6
2.0±0.7
4.44±0.80
アイロタイシン錠(200mg)
1.27±0.28
3.7±0.6
2.8±1.6
4.36±1.10
(Mean±S.D.)
血清中濃度ならびにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
透析法にて測定された血清蛋白結合率は11%であった4)(in vitro)。経口投与後喀痰5)、肺気管支分泌液6)に移行が認められた(外国人データ6))。
エリスロマイシンの肝代謝には、CYP3Aが関与するとされている7),8)。イヌにおいて、エリスロマイシンは、肝臓で代謝を受け、脱メチル化されてデス-N-メチル-エリスロマイシンとなることが確認されている9)。
主に胆汁中へ排泄されるが、一部尿中にも排泄される。胆のう炎患者(1例)に200mg(力価)単回投与時の胆汁中濃度、尿中濃度の最高値は各々10.76μg/mL(投与8時間後)、32.68μg/mL(投与5時間後)であった10)。
エリスロマイシン500mg(力価)注1)を肝障害患者及び健康成人に空腹時単回経口投与したとき、健康成人に比べて、肝障害患者はTmaxが短く、Cmaxも高値を示した11)(外国人データ)。
対象
n
年齢(歳)
Cmax(μg/mL)
AUC0-24hr(μg・hr/mL)
T1/2α(hr)
T1/2β(hr)
肝障害患者注2)
8
57.2
2.04
4.1
11.6[6]
1.6[4]
4.5[6]
健康成人
6
30.0
1.50
6.3
9.0
1.3[5]
6.6
(測定法:bioassay)(mean)[]内は症例数
細菌のタンパク質合成阻害であり、70S系リボソームの50Sサブユニットに結合し作用する12)。
グラム陽性菌、グラム陰性球菌、マイコプラズマ、梅毒トレポネーマ、クラミジアに対して強く作用し、作用は静菌的であるが、高濃度では殺菌的に作用する場合がある12)。
エリスロマイシン(Erythromycin)
(2R,3S,4S,5R,6R,8R,10R,11R,12S,13R)-5-(3,4,6-Trideoxy-3-dimethylamino-β-D-xylo-hexopyranosyloxy)-3-(2,6-dideoxy-3-C-methyl-3-O-methyl-α-L-ribo-hexopyranosyloxy)-6,11,12-trihydroxy-2,4,6,8,10,12-hexamethyl-9-oxopentadecan-13-olide
C37H67NO13
733.93
白色~淡黄白色の粉末である。メタノール又はエタノール(95)に溶けやすく、水に極めて溶けにくい。
EM
PTP:100錠(10錠×10)
1) 厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部感染症対策課編:抗微生物薬適正使用の手引き
2) 日本薬局方 医薬品情報:じほう. 2001;220-224
3) 社内資料:生物学的同等性試験
4) 黒田善雄:Chemotherapy, 1958;6(6):343-360
5) 深谷一太他:Chemotherapy, 1970;18(3):252-258
6) Bergogne-Bérézin, E. et al.:Int. J. Clin. Pharmacol. Res., 1985;5(5):341-344
7) Watkins, P. B. et al.:Proc. Natl. Acad. Sci., 1985;82(18):6310-6314
8) Brian, W. R. et al.:Biochemistry, 1990;29:11280-11292
9) Wells, J. S. et al.:Antibiot. Annu., 1955;1954/1955:291-294
10) 小野一男:モダンテラピー, 1953;6:8-13
11) Kroboth, P. D. et al.:Antimicrob. Agents Chemother, 1982;21(1):135-140
12) 第十八改正日本薬局方解説書;廣川書店. 2021;C-1078-1085
沢井製薬株式会社 医薬品情報センター
〒532-0003 大阪市淀川区宮原5丁目2-30
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