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処方箋医薬品注)
本剤の耐性菌の発現を防ぐため、「5.効能又は効果に関連する注意」、「8.重要な基本的注意」の項を熟読の上、適正使用に努めること。
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
〈適応症〉敗血症、深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、肺炎
〈適応症〉各種感染症
通常、成人及び12歳以上の小児にはリネゾリドとして1日1200mgを2回に分け、1回600mgを12時間ごとに経口投与する。通常、12歳未満の小児にはリネゾリドとして1回10mg/kgを8時間ごとに経口投与する。なお、1回投与量として600mgを超えないこと。
注射剤からリネゾリドの投与を開始した患者において、経口投与可能であると医師が判断した場合は、同じ用量の錠剤に切り替えることができる。
血液検査値に注意すること。貧血、白血球減少症、汎血球減少症、血小板減少症等の骨髄抑制の傾向や悪化が認められた場合には、本剤の投与中止等の適切な処置を行うこと。,
貧血の発現頻度が高くなる傾向が認められている。
血小板減少症の発現頻度が高くなるおそれがある。,
血小板減少症の発現頻度が高くなるおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが認められている。
投与間隔を12時間ごとにすることを考慮すること。生後7日目までの早産(在胎34週未満)新生児においてクリアランスが低い値を示し、7日目以降にクリアランスは迅速に増加するとの報告がある。
モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤
両薬剤が相加的に作用し血圧上昇等があらわれるおそれがある。
本剤は非選択的、可逆的MAO阻害作用を有する。
アドレナリン作動薬
血圧上昇、動悸があらわれることがあるので、患者の状態を観察しながら、これらの薬剤の初回量を減量するなど用量に注意すること。
セロトニン作動薬
セロトニン症候群の徴候及び症状(錯乱、せん妄、情緒不安、振戦、潮紅、発汗、超高熱)があらわれるおそれがあるので、十分に注意すること。これらの徴候や症状が認められた場合には、本剤と併用薬の両方あるいはいずれか一方の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、セロトニン作動薬の急激な減量又は投与中止により離脱症状があらわれることがあるので注意すること。
リファンピシン
リファンピシンとの併用により本剤のCmax及びAUCがそれぞれ21%及び32%低下した。
機序不明
チラミンを多く含有する飲食物
血圧上昇、動悸があらわれることがあるので、本剤投与中には、チラミン含有量の高い飲食物の過量摂取(1食あたりチラミン100mg以上)を避けさせること。
投与中止によって回復しうる貧血(4.8%)・白血球減少症(1.9%)・汎血球減少症(0.8%)・血小板減少症(11.9%)等の骨髄抑制があらわれることがある。なお、本剤の臨床試験において、14日を超えて本剤を投与した場合に血小板減少症の発現頻度が高くなる傾向が認められている。,,,,
乳酸アシドーシス等の代謝性アシドーシスがあらわれることがある。嘔気、嘔吐の症状が繰り返しあらわれた場合や原因不明のアシドーシスもしくは血中重炭酸塩減少等の症状があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
クレアチニン上昇、BUN上昇等を伴う腎不全があらわれることがある。
意識障害、嘔気、嘔吐、食欲不振等を伴う低ナトリウム血症があらわれることがある。
腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には直ちに投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
AST、ALT、LDH、Al-P、γ-GTP等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがある。
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
1%以上
0.1~1%未満
0.1%未満
頻度不明
血液
好酸球増加症
血小板血症、白血球増加症
好中球減少症、紫斑
代謝・栄養
リパーゼ増加、アミラーゼ増加、低クロール血症、高血糖、高カリウム血症、低カリウム血症、高尿酸血症
CK増加、脱水
痛風、低カルシウム血症、体重増加
神経
浮動性めまい
痙攣、意識消失、振戦、落ち着きのなさ、傾眠、失見当識
末梢神経障害、一過性脳虚血発作、回転性めまい、感覚鈍麻、錯感覚、不眠症、不安、多幸症、幻覚
感覚器
霧視、眼の障害、視覚異常、瞳孔反射障害、耳鳴、耳の障害、味覚消失、味覚倒錯
循環器
上室性期外収縮、高血圧、動悸、血栓性静脈炎
QT延長、頻脈、低血圧、血管拡張、静脈炎
呼吸器
呼吸困難
肺炎、肺水腫、気胸
咳嗽、喘鳴、咽頭炎、気管炎、気管支炎、胸水、鼻出血
消化器
下痢
悪心、嘔吐、食欲不振、食道炎・胃腸炎
胃腸出血、腹痛、麻痺性イレウス、口渇、胃食道逆流
腹部膨満、口唇炎、口内炎、口腔内潰瘍、口腔内白斑症、舌障害、舌炎、舌変色、歯の変色、食欲亢進、膵炎、消化不良、便秘、メレナ
肝臓
肝機能検査値異常
ビリルビン血症、AST増加、ALT増加、γ-GTP増加、ALP増加
LDH増加、肝炎
皮膚
発疹
水疱
皮膚炎、斑状丘疹状皮疹、剥脱性皮膚炎、皮膚単純疱疹、湿疹、紅斑、蕁麻疹、皮膚感染、真菌性皮膚炎、皮膚びらん、そう痒、皮膚刺激、過敏性血管炎
筋・骨格
筋痛
泌尿器・生殖器
排尿困難、頻尿、多尿
腟痛、腟感染、性器分泌物、不正子宮出血、陰茎感染
その他
網状赤血球減少症、血管痛、浮腫、倦怠感、網状赤血球数増加
頭痛、背部痛、発熱、カンジダ症、下肢脱力、β-HCG増加
血管神経性浮腫、顔面浮腫、アレルギー反応、光線過敏性反応、無力症、疲労、悪寒、発汗、粘膜乾燥、膿瘍、真菌感染、注射部/血管カテーテル部浮腫、注射部/血管カテーテル部そう痒感、注射部/血管カテーテル部疼痛、注射部/血管カテーテル部静脈炎/血栓性静脈炎、注射部/血管カテーテル部反応
本剤の過量投与が疑われた場合は、必要に応じ糸球体ろ過能を維持させる支持療法を行うことが望ましい。血液透析ではリネゾリドの急速な消失が認められた。,
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
リネゾリドを単回又は反復経口投与又は点滴静注した後の平均薬物動態パラメータを、表1に要約する。リネゾリド600mgの錠剤を12時間ごとに反復経口投与したときのリネゾリドの平均最低血漿中濃度(Cmin)は6.15μg/mL、平均最高血漿中濃度(Cmax)は21.2μg/mLであり、反復経口投与後の血漿中濃度は適応菌種におけるMIC90(≦4μg/mL)を上回った1),2),3)(外国人及び日本人データ)。
投与量
Cmax(μg/mL)
Cmin a)(μg/mL)
Tmax(h)
AUC b)(μg・h/mL)
t1/2(h)
CL(mL/min)
600mg静脈内投与c)
単回投与1日2回反復投与
12.90(1.60)
15.10(2.52)
-
3.68(2.36)
0.50(0.10)
0.51(0.03)
80.20(33.30)
89.70(31.00)
4.40(2.40)
4.80(1.70)
138(39)
123(40)
600mg経口投与(錠剤)
12.70(3.96)
21.20(5.78)
6.15(2.94)
1.28(0.66)
1.03(0.62)
91.40(39.30)
138.00(42.10)
4.26(1.65)
5.40(2.06)
127(48)
80(29)
a:Cmin=反復投与時の最低血漿中濃度(投与後12時間値)b:単回投与時のAUC=AUC0-∞(0時間から無限大までのAUC)、反復投与時のAUC=AUC0-τ(0時間から12時間(投与間隔)までのAUC)c:625mg投与時の結果より換算し表示した。
なお、日本人健康成人にリネゾリド600mg1日2回反復静脈内投与した後の定常状態における薬物動態パラメータ(平均値±標準偏差)については、Cmaxは19.9±0.7μg/mL、AUCは111±10μg・h/mL、t1/2は5.3±0.6hであった。
日本人及び外国人の患者から得られたリネゾリド血漿中濃度を用いて母集団薬物動態解析法により検討したところ、リネゾリドの薬物動態は、体重及び年齢の影響を受け、体重70kg年齢40歳、及び体重40kg年齢80歳のそれぞれの患者にリネゾリド1時間の静脈内持続注入後におけるAUCはそれぞれ241.3及び473.5μg・h/mL、Cmaxはそれぞれ16.5及び30.1μg/mL、t1/2は6.9及び8.2hと推定されるが、この薬物動態の変化により、忍容性の範囲を超えることはないと考えられる4)。
腎機能障害により、リネゾリドの薬物動態は変化しなかった。しかし、2種の主要代謝物、アミノエトキシ酢酸代謝物(A)及びヒドロキシエチルグリシン代謝物(B)については、腎機能障害の程度が高くなるに従い、AUCの増加がみられた(表2)。腎機能障害により、リネゾリドの血漿中濃度推移は変化せず、腎機能障害患者において、投与量調節の必要はないものと考えられるが、主要代謝物の蓄積性については、臨床的に十分に検討されていない。血液透析によりリネゾリドと2種の主要代謝物は除去される。血液透析患者において、リネゾリドを投与した3時間後から血液透析を開始したところ、投与量の約30%が血液透析により消失した。血液灌流によるリネゾリドの除去については、データが得られていない。また、腹膜透析時におけるリネゾリドの薬物動態については検討していない5),6)(外国人データ)。,,
薬物動態パラメータ
健康成人CLCR>80(mL/min)
中等度腎機能障害患者30<CLCR<80(mL/min)
重度腎機能障害患者10<CLCR<30(mL/min)
血液透析患者
非透析時
透析時
リネゾリド
AUC0-∞(μg・h/mL)
110(22)
128(53)
127(66)
141(45)
83(23)
6.4(2.2)
6.1(1.7)
7.1(3.7)
8.4(2.7)
7.0(1.8)
代謝物A
AUC0-48(μg・h/mL)
7.6(1.9)
11.7(4.3)
56.5(30.6)
185(124)
68.8(23.9)
6.3(2.1)
6.6(2.3)
9.0(4.6)
代謝物B
30.5(6.2)
51.1(38.5)
203(92)
467(102)
239(44)
6.6(2.7)
9.9(7.4)
11.0(3.9)
-:計算せず
軽度ないし中等度の肝機能障害患者におけるリネゾリドの薬物動態は、健康成人と比較し、変化しなかった。重度肝機能障害患者におけるリネゾリドの薬物動態については検討していない7)(外国人データ)。
高齢者(65歳以上)におけるリネゾリドの薬物動態は、それ以外の成人と同様であった8)(外国人データ)。
女性におけるリネゾリドの血漿中濃度は男性よりも高値を示し、分布容積は男性よりも低値を示した。リネゾリドを600mg単回経口投与した後の平均クリアランスは、女性のほうが男性よりわずかに低値を示したが、平均の見かけの消失速度定数又は平均半減期に有意な性差は認められなかった。したがって、女性において血漿中濃度が増加しても、忍容性が認められる範囲を超えることはないと考えられる8)(外国人データ)。
年齢区分
CL(mL/min/kg)
生後7日未満の早産(在胎齢34週未満)新生児(n=9)
12.7(30%)
108(47%)
5.6(46%)
2.0(52%)
生後7日未満の(在胎齢34週以上)新生児(n=10)
11.5(24%)
55(47%)
3.0(55%)
3.8(55%)
7-28日(n=10)
12.9(28%)
34(21%)
1.5(17%)
5.1(22%)
29日-2ヵ月齢(n=12)
11.0(27%)
33(26%)
1.8(28%)
5.4(32%)
3ヵ月齢-11歳(n=59)
15.1(30%)
58(54%)
2.9(53%)
3.8(53%)
12-17歳(n=36)a)
16.7(24%)
95(44%)
4.1(46%)
2.1(53%)
a:10mg/kg、最大600mg
リネゾリド錠600mg「サワイ」とザイボックス錠600mgを健康成人男子にそれぞれ1錠(リネゾリドとして600mg)空腹時単回経口投与(クロスオーバー法)し、血漿中リネゾリド濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された11)。
Tmax(hr)
T1/2(hr)
AUC0-24hr(μg・hr/mL)
リネゾリド錠600mg「サワイ」
22.19±5.29
0.6±0.3
7.7±1.9
146.34±28.63
ザイボックス錠600mg
19.73±3.73
0.8±0.5
8.0±1.9
147.81±21.51
(Mean±S.D.)
血漿中濃度ならびにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
リネゾリドは、経口投与後に速やかに吸収された。最高血漿中濃度には投与後1~2時間で到達し、生物学的利用率は約100%であった。リネゾリドを高脂肪食摂取直後に投与したとき、Tmaxは投与後1.5時間から2.2時間に遅れ、Cmaxは約18%減少したが、AUC値は空腹時投与と同様の値を示した12)(外国人データ)。
リネゾリドは、ヒトにおいて生体中広範囲に速やかに分布した。リネゾリドの血漿蛋白結合率は約31%で、0.1~100μg/mLの広範囲において一定値を示した。定常状態時の分布容積は、健康成人において平均40~50Lであった。健康成人において、リネゾリドの唾液中濃度と血漿中濃度は同程度であり、汗中濃度と血漿中濃度の比率は0.55:1であった2),13),14),15)(外国人データ)。
リネゾリドは、生体中にて主にモルホリン環の酸化によりモルホリン環が開環し2種の抗菌活性を示さない代謝物、アミノエトキシ酢酸代謝物(A)及びヒドロキシエチルグリシン代謝物(B)が生成する。代謝物Bは、in vitro試験の結果より、非酵素的酸化反応により生成するものと考えられる16)。
腎外クリアランスは、リネゾリドの全身クリアランスの約65%を占めた。定常状態では、投与量の約30%がリネゾリドとして、40%が代謝物Bとして、10%が代謝物Aとして尿中に排泄された。糞中にはリネゾリドとしてはほとんど排泄されず、投与量の約6%が代謝物Bとして、約2%が代謝物Aとして排泄された。リネゾリドの用量増加に伴って、クリアランスにわずかな減少が認められた。また、投与量が増加するに伴い、リネゾリドの腎クリアランス及び腎外クリアランスはわずかに低下したが、見かけの消失半減期に変化はみられなかった17),18)(外国人データ)。
リネゾリドはヒトチトクロームP450(CYP)により代謝されないと考えられ、ヒトCYP1A2、2C9、2C19、2D6、2E1、3A4の活性を阻害しなかった。リネゾリドの併用投与は、主にCYP2C9によって代謝される(S)-ワルファリンの薬物動態をほとんど変化させなかった。リネゾリドは、動物実験(ラット)においてCYPを誘導しなかった19),20),21)。
VRE感染症あるいはVRE感染症が疑われる成人患者を対象として、注射剤、錠剤あるいは注射剤から錠剤への切り替え投与によって、高用量(600mg1日2回)と低用量(200mg1日2回注))を比較する無作為化多施設二重盲検試験(投与期間7~28日)を行った24)。この試験(注射剤、錠剤あるいは注射剤から錠剤への切り替えを用いた試験)における有効率は以下のとおりである。
疾患名
リネゾリド600mg1日2回n/N(%)
対照薬b)1日2回n/N(%)
VRE感染症a)
39/58(67)
24/46(52)
a:Enterococcus faecium、Enterococcus faecalis等(適応はEnterococcus faeciumのみ)。病原菌ごとの有効率は、600mg投与群におけるE. faeciumによる感染症患者:38/57(66.7%)、E. faecalisによる感染症患者:3/4(75%)、200mg投与群におけるE. faeciumによる感染症患者:24/45(53.3%)、E. faecalisによる感染症患者:0/2(0.0%)であった(一部、両病原菌による感染症患者を含む)。b:対照薬はリネゾリド200mg
このうち、菌血症を伴うVRE感染症に対する有効率は、600mg1日2回投与で59%(10/17)、200mg1日2回投与で29%(4/14)であった。高用量(600mg1日2回)投与群における安全性評価対象例79例中、副作用の発現症例は20例(25.3%)であった。その主なものは、血小板減少3例(3.8%)、便失禁2例(2.5%)、嘔吐2例(2.5%)及び発疹2例(2.5%)等であった25)。注)本剤の承認用量は、1回600mgを12時間ごとに投与(ただし、12歳未満の小児には1回10mg/kgを8時間ごとに投与)
MRSA感染症あるいはMRSA感染症が疑われる成人患者を対象として、注射剤から錠剤への切り替え投与を可能とした臨床試験(投与期間7~28日)を行った。投与終了時の有効率は以下のとおりである。
n/N(有効率)
投与終了時
敗血症
4/9
深在性皮膚感染症
1/1
慢性膿皮症
2/3
外傷・熱傷及び手術創の二次感染
11/14(78.6%)
肺炎
21/35(60.0%)
安全性評価対象例100例中、副作用の発現症例は55例(55.0%)であった。その主なものは、血小板減少症19例(19.0%)、貧血13例(13.0%)、下痢10例(10.0%)、白血球減少症7例(7.0%)及び低ナトリウム血症7例(7.0%)等であった26)。
リネゾリドは細菌リボソームと結合し、翻訳過程の70S開始複合体の形成を妨げ、細菌の蛋白合成を阻害する。一方、ポリソームの伸長あるいはペプチド結合の合成は阻害せず、作用機序は従来の抗菌薬と異なる27)。
リネゾリドはバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)及びメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対して抗菌力を有する。日本、米国及び欧州で実施された試験における検討で、VRE(Enterococcus faecium, Enterococcus faecalis)及びMRSAに対するリネゾリドのMIC90値は、いずれも≦4μg/mL(Clinical and Laboratory Standards Institute(CLSI)の標準法に準ずる)であった。なお、Enterococcus faecalisは臨床経験が少ないため、適応外である26),28)。
VRE及びMRSAのうちリネゾリド感受性菌とする際の試験法・判定基準は、CLSIの標準法に準ずる29),30)。
病原菌
感受性判定基準
希釈法による最小発育阻止濃度(μg/mL)
ディスク拡散法による阻止円径(mm)
S
I
R
Enterococcus spp.
≦2
4
≧8
≧23
21-22
≦20
Staphylococcus spp.
≦4
≧21
S:感受性、I:中等度耐性、R:耐性
リネゾリド(Linezolid)
(-)-N-[[(S)-3-(3-Fluoro-4-morpholinophenyl)-2-oxo-5-oxazolidinyl]methyl]acetamide
C16H20FN3O4
337.35
白色~微黄白色の粉末である。ジメチルスルホキシドに溶けやすく、メタノール又はエタノール(95)にやや溶けにくく、水に溶けにくい。
LZD
光を避けるため、PTPシートのまま保存し、服用直前にPTPシートから取り出すこと。
PTP[乾燥剤入り]:10錠(10錠×1)
1) 健常成人男性における薬物動態パラメータ(米国人)(ザイボックス錠/注射液:2006年4月20日承認、申請資料概要2.5.3)
2) Stalker, D. J. et al.:J. Antimicrob. Chemother., 2003;51(5):1239-1246
3) 健常成人男性における血中濃度推移と薬物動態パラメータ(日本人)(ザイボックス錠/注射液:2001年4月4日承認、申請資料概要へ(ヒト).1.1)
4) 母集団解析法による薬物動態パラメータの検討(日本人及び外国人患者)(ザイボックス錠/注射液:2006年4月20日承認、申請資料概要2.7.2.2.1)
5) 腎機能障害患者における薬物動態(米国人)①(ザイボックス錠/注射液:2001年4月4日承認、申請資料概要へ(ヒト).1.2)
6) 腎機能障害患者における薬物動態(米国人)②(ザイボックス錠/注射液:2001年4月4日承認、審査報告書)
7) 肝機能障害患者における薬物動態(米国人)(ザイボックス錠/注射液:2001年4月4日承認、申請資料概要へ(ヒト).1.3)
8) Sisson, T. L. et al.:Eur. J. Clin. Pharmacol., 2002;57(11):793-797
9) 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:リネゾリド(小児用法・用量の追加)
10) Yogev, R. et al.:Pediatr. Infect. Dis. J., 2010;29(9):827-830
11) 田中孝典他:新薬と臨床, 2017;66(10):1279-1286
12) Welshman, I. R. et al.:Biopharm. Drug Dispos., 2001;22(3):91-97
13) 反復静脈内投与時の薬物動態パラメータ(英国人)(ザイボックス錠/注射液:2001年4月4日承認、申請資料概要へ(ヒト).1.1.2)
14) 体内分布(ザイボックス錠/注射液:2001年4月4日承認、申請資料概要へ(ヒト).1.1.4)
15) 分布(健康成人)(ザイボックス錠/注射液:2006年4月20日承認、申請資料概要2.5.3)
16) Slatter, J. G. et al.:Drug Metab. Dispos., 2001;29(8):1136-1145
17) 血漿中濃度の用量依存性の検討(米国人)(ザイボックス錠/注射液:2001年4月4日承認、申請資料概要へ(ヒト).1.1.3, へ(ヒト).1.1.5)
18) 排泄(健康成人)(ザイボックス錠/注射液:2006年4月20日承認、申請資料概要2.5.3)
19) チトクロームP450の誘導(ザイボックス錠/注射液:2001年4月4日承認、申請資料概要へ(ヒト).2.3.2.1)
20) Wynalda, M. A. et al.:Drug Metab. Dispos., 2000;28(9):1014-1017
21) チトクロームP450 2C9(CYP2C9)の誘導(ワルファリンとの相互作用、米国人)(ザイボックス錠/注射液:2001年4月4日承認、申請資料概要へ(ヒト).1.6.3)
22) Sisson, T. L. et al.:J. Clin. Pharmacol., 1999;39(12):1277-1282
23) ゲンタマイシンとの相互作用(英国人)(ザイボックス錠/注射液:2001年4月4日承認、申請資料概要へ(ヒト).1.6.2.2)
24) 海外第Ⅲ相試験(ザイボックス錠/注射液:2001年4月4日承認、申請資料概要)
25) VRE感染症症例を対象とした試験(ザイボックス錠/注射液:2001年4月4日承認、申請資料概要ト.3.1.1)
26) メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症患者に対する非盲検多施設共同試験(ザイボックス錠/注射液:2006年4月20日承認、申請資料概要2.7.3.4, 2.7.6.2)
27) Shinabarger, D.:Expert Opin. Investig. Drugs, 1999;8(8):1195-1202
28) Eliopoulos, G. M. et al.:Antimicrob. Agents Chemother., 1996;40(7):1745-1747
29) CLSI:M100 Performance Standards for Antimicrobial Susceptibility Testing, 30th Edition, 2020;68-72
30) CLSI:M100 Performance Standards for Antimicrobial Susceptibility Testing, 30th Edition, 2020;58-66
31) オキサゾリジノン系抗菌薬に対する耐性発現及び交叉耐性(ザイボックス錠/注射液:2001年4月4日承認、申請資料概要ホ.1.3.2)
32) 耐性(ザイボックス錠/注射液:2006年4月20日承認、申請資料概要2.6.2.2)
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