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歯科用シタネスト-オクタプレシンカートリッジ

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
6.用法及び用量
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.2腎機能障害患者
9.3肝機能障害患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
9.8高齢者
10.相互作用
10.2併用注意(併用に注意すること)
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
13.過量投与
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.2非臨床試験に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.3分布
16.4代謝
16.5排泄
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2麻酔効果
18.3フェリプレシン(オクタプレシン)の作用
18.4併用効果(プロピトカイン塩酸塩とフェリプレシンの作用)
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

歯科用シタネスト-オクタプレシンカートリッジ

添付文書番号

2710813U1030_3_05

企業コード

300174

作成又は改訂年月

2022年10月改訂(第1版)

日本標準商品分類番号

87271

薬効分類名

局所麻酔剤

承認等

歯科用シタネスト-オクタプレシンカートリッジ

販売名コード

YJコード

2710813U1030

販売名英語表記

Citanest-Octapressin Cartridge for Dental Use

販売名ひらがな

しかようしたねすと-おくたぷれしんかーとりっじ

承認番号等

承認番号

22100AMX01010

販売開始年月

1975年8月

貯法・有効期間

貯法

凍結を避けて15℃以下に保存

有効期間

2年

一般的名称

プロピトカイン塩酸塩
フェリプレシン

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 メトヘモグロビン血症のある患者[代謝産物のオルト-トルイジンがメトヘモグロビンを産生し症状が悪化する。]
  2. 2.2 本剤の成分又はアミド型局所麻酔薬に対し過敏症の既往歴のある患者

3. 組成・性状

3.1 組成

歯科用シタネスト-オクタプレシンカートリッジ

1mL中

有効成分プロピトカイン塩酸塩   30mg
フェリプレシン   0.03単位
(バソプレシン昇圧活性として  )
添加剤塩化ナトリウム   6mg
パラオキシ安息香酸メチル   1mg
酢酸ナトリウム水和物   微量
氷酢酸   微量
クロロブタノール   微量
pH調節剤   適量

1管中
(1.8mL)

有効成分プロピトカイン塩酸塩   54mg
フェリプレシン   0.054単位
(バソプレシン昇圧活性として  )
添加剤塩化ナトリウム   10.8mg
パラオキシ安息香酸メチル   1.8mg
酢酸ナトリウム水和物   微量
氷酢酸   微量
クロロブタノール   微量
pH調節剤   適量

3.2 製剤の性状

歯科用シタネスト-オクタプレシンカートリッジ

剤形注射剤
pH3.5~5.5
浸透圧比1~2(生理食塩液に対する比)
色・形状無色澄明の液

4. 効能又は効果

歯科・口腔外科領域の手術・処置における浸潤、伝達麻酔

6. 用法及び用量

一般に成人に対して1回1管(1.8mL:プロピトカイン塩酸塩として54mg、フェリプレシンとして0.054単位)を注射する。
ただし、麻酔部位、麻酔手技、手術術式、年齢等により用量を適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 まれにショックあるいは中毒症状を起こすことがあるので、本剤の投与に際しては、十分な問診により患者の全身状態を把握するとともに、異常が認められた場合に直ちに救急処置のとれるよう、常時準備をしておくこと。
  2. 8.2 本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、以下の点に留意すること。
    1. 8.2.1 患者の全身状態の観察を十分に行うこと。
    2. 8.2.2 できるだけ必要最少量にとどめること。
    3. 8.2.3 血管の多い部位(顔面等)に注射する場合には、吸収が速いので、できるだけ少量を投与すること。
    4. 8.2.4 注射針が、血管に入っていないことを確かめること。
    5. 8.2.5 注射の速度はできるだけ遅くすること。
    6. 8.2.6 前投薬や術中に投与した鎮静薬、鎮痛薬等による呼吸抑制が発現することがあるので、これらの薬剤を使用する際は少量より投与し、必要に応じて追加投与することが望ましい。なお、高齢者、小児、全身状態が不良な患者、肥満者、呼吸器疾患を有する患者では特に注意し、異常が認められた際には、適切な処置を行うこと。,,
  3. 8.3 注射針が適切に位置していないなどにより、神経障害が生じることがあるので、穿刺に際し異常を認めた場合には本剤の注入を行わないこと。
  4. 8.4 本剤の投与により、誤嚥・口腔内咬傷の危険性を増加させるおそれがあるので注意すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 全身状態が不良な患者

    生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下していることがある。

  2. 9.1.2 心刺激伝導障害のある患者

    症状を悪化させることがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1 重症の腎機能障害のある患者

    中毒症状が発現しやすくなる。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1 重症の肝機能障害のある患者

    中毒症状が発現しやすくなる。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.7 小児等

小児等に対する有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の全身状態の観察を十分に行いながら慎重に投与すること。一般に生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下している。

10. 相互作用

    10.2 併用注意(併用に注意すること)

    薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
    • クラスIII抗不整脈薬
      • アミオダロン等

    心機能抑制作用が増強するおそれがある。

    作用が増強することが考えられる。

    11. 副作用

    次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    11.1 重大な副作用

    1. 11.1.1 ショック(頻度不明)

      徐脈、不整脈、血圧低下、呼吸抑制、チアノーゼ、意識障害等を生じ、まれに心停止を来すことがある。また、まれにアナフィラキシーショックを起こしたとの報告がある。

    2. 11.1.2 意識障害、振戦、痙攣(いずれも頻度不明)

      意識障害、振戦、痙攣等の中毒症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。

    3. 11.1.3 メトヘモグロビン血症(頻度不明)

      チアノーゼ等の症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。

    4. 11.1.4 異常感覚、知覚・運動障害(いずれも頻度不明)

      注射針の留置時に神経に触れることにより一過性の異常感覚が発現することがある。また、神経が注射針や薬剤あるいは虚血によって障害を受けると、まれに持続的な異常感覚、疼痛、知覚障害、運動障害等の神経学的疾患があらわれることがある。

    11.2 その他の副作用

    頻度不明

    中枢神経1)

    眠気、不安、興奮、霧視、眩暈等

    消化器1)

    悪心・嘔吐等

    過敏症

    蕁麻疹等の皮膚症状、浮腫等

    1) このような症状があらわれた場合は、ショックあるいは中毒へ移行することがあるので、患者の全身状態の観察を十分に行い、必要に応じて適切な処置を行うこと。

    13. 過量投与

    局所麻酔薬の血中濃度の上昇に伴い、中毒が発現する。特に誤って血管内に投与した場合には、数分以内に発現することがある。その症状は、主に中枢神経系及び心血管系の症状としてあらわれる。

    1. 13.1 症状
      1. 13.1.1 中枢神経系の症状

        初期症状として不安、興奮、多弁、口周囲の知覚麻痺、舌のしびれ、ふらつき、聴覚過敏、耳鳴、視覚障害、振戦等があらわれる。症状が進行すると意識消失、全身痙攣があらわれ、これらの症状に伴い低酸素血症、高炭酸ガス血症が生じるおそれがある。より重篤な場合には呼吸停止を来すこともある。

      2. 13.1.2 心血管系の症状

        血圧低下、徐脈、心筋収縮力低下、心拍出量低下、刺激伝導系の抑制、心室性頻脈及び心室細動等の心室性不整脈、循環虚脱、心停止等があらわれる。

    2. 13.2 処置

      振戦や痙攣が著明であれば、ジアゼパム又は超短時間作用型バルビツール酸製剤(チオペンタールナトリウム等)を投与する。

    14. 適用上の注意

    14.1 使用回数

    本品は一回限り使用のディスポーザブル製剤であるので、再度の使用は避けること。

    14.2 薬剤投与時の注意

    1. 14.2.1 使用前にカートリッジの頭部(アルミキャップ)メンブランをアルコールで軽く消毒すること。
    2. 14.2.2 本剤は、金属を侵す性質があるので、長時間注射針に接触させないことが望ましい。
    3. 14.2.3 強圧をかけずにできるだけゆっくり注射すること。骨膜下への強圧注射は組織の損傷又はガラスチューブの破折2) につながるおそれがある。

      2) 注射器のプランジャーを20kgの力で押すと構造上約55kg/cm2の内圧がガラスチューブに加わる。本品は使用に際して20kg以上の力が加わると、ガラスチューブが破損したりあるいは液もれを生じることがある。

    15. その他の注意

    15.2 非臨床試験に基づく情報

    動物実験(ラット・マウス)でプロピトカイン塩酸塩の代謝産物であるオルト-トルイジンの長期大量投与により肝、皮下、膀胱等に腫瘍が発生したとの報告がある。

    16. 薬物動態

    16.1 血中濃度

    外国人健康人に3%プロピトカイン塩酸塩18mgにフェリプレシンを添加し、歯根膜内注入したとき、血漿中の最高濃度は非添加群の約1/4であった1)

    外国健康人にプロピトカイン塩酸塩をフェリプレシン添加又は非添加で静脈内投与あるいは歯根膜内注入後の血漿中濃度推移(n=1)

    16.3 分布

    プロピトカインの蛋白結合率は血清中濃度1~100μg/mLの範囲で40~55%と変動は小さく、α1-酸性糖蛋白及びアルブミンと結合する2) 。血液/血漿中濃度比は1.1であることから、血球に分布すると考えられる3) 。妊婦にプロピトカイン塩酸塩を硬膜外投与したとき、臍帯静脈血中濃度と母体血漿中濃度の比は0.7~1.2で、胎盤を通過する3)

    16.4 代謝

    プロピトカイン塩酸塩は、肝臓でN-propylalanineとo-toluidineに代謝された後、o-toluidineは2-amino-3-hydroxytoluene及び2-amino-5-hydroxytolueneに代謝される。

    16.5 排泄

    14C標識プロピトカインをラットに20mg/kg腹腔内投与したとき、投与放射能の25%が6時間で尿中に回収され、その大部分は代謝物であった4)

    18. 薬効薬理

    18.1 作用機序

    プロピトカイン塩酸塩は、神経膜のナトリウムチャネルをブロックし、神経における活動電位の伝導を可逆的に抑制し、知覚神経及び運動神経を遮断する局所麻酔薬である。

    18.2 麻酔効果

    動物実験(ウサギ、モルモット等)で、浸潤・伝達麻酔によるプロピトカイン塩酸塩の局所麻酔効果は、リドカイン塩酸塩とほぼ同程度であった5),6),7)

    18.3 フェリプレシン(オクタプレシン)の作用

    1. 18.3.1 作用部位

      フェリプレシンの血管収縮作用は、主として毛細血管系の静脈側に作用するため、組織酸素圧の低下を来さず、アドレナリンよりも局所障害性が少ない8)

    2. 18.3.2 麻酔効果

      3%プロピトカイン塩酸塩に0.03単位/mLフェリプレシンを配合したとき、従来のアドレナリン配合の局所麻酔剤と同等の麻酔作用を示した9)

    3. 18.3.3 心臓

      ハロゲン化炭化水素、cyclopropaneによる全身麻酔時には心筋の感受性が増大するため、アドレナリンを併用すると不整脈を起こすことがあるが、フェリプレシンは心室細動の危険性を伴うことなく、血管収縮剤として併用することができる10)

    18.4 併用効果(プロピトカイン塩酸塩とフェリプレシンの作用)

    3%プロピトカイン塩酸塩のフェリプレシン併用時の麻酔発現率、潜伏時間、鎮痛作用の拡散力及び深度は、2%リドカインのアドレナリン併用時とほぼ同等であった。上顎の伝達麻酔による歯髄、軟組織に対する鎮痛力も、2%リドカインのアドレナリン併用時とほぼ同等であった。また、プロピトカイン塩酸塩の浸潤麻酔における麻酔持続時間は、フェリプレシン併用時の方が、アドレナリン併用時よりも長かった6),8),11)

    19. 有効成分に関する理化学的知見

    19.1 プロピトカイン塩酸塩

    一般的名称

    プロピトカイン塩酸塩
    Propitocaine Hydrochloride(JAN)

    化学名

    N-(2-Methylphenyl)-2-(propylamino)propanamide monohydrochloride

    分子式

    C13H20N2O・HCl

    分子量

    256.77

    性状

    プロピトカイン塩酸塩は無色の結晶又は白色の結晶性の粉末で、においはない。
    水、メタノール、氷酢酸又はエタノールに溶けやすく、無水酢酸、アセトン又はクロロホルムにほとんど溶けない。

    化学構造式

    融点

    167~171℃

    19.2 フェリプレシン(商標名:オクタプレシン)

    一般的名称

    フェリプレシン Felypressin

    化学名

    2-(Phenylalanine)-8-lysine vasopressin

    分子式

    C46H65N13O11S2

    分子量

    1040.22

    性状

    本品は無色の澄明な液である。
    フェリプレシンは、vasopressin様の作用を有する合成下垂体後葉ホルモンで化学的には天然に存在するvasopressinの2の位置のtyrosineをphenylalanineで置換したpolypeptideである。

    化学構造式

    20. 取扱い上の注意

    1. 20.1 凍結するとゴム栓の飛び出し又はカートリッジの破損が起こることがあるので注意すること。
    2. 20.2 外箱開封後は遮光して保存すること。
    3. 20.3 廃棄の際は感染防止に配慮すること。

    22. 包装

    1.8mL×50管(カートリッジ)

    24. 文献請求先及び問い合わせ先

    デンツプライシロナ株式会社

    *東京都中央区銀座八丁目21番1号 住友不動産汐留浜離宮ビル

    カスタマーサービス TEL 0120-789-123
    FAX 0120-120-659

    26. 製造販売業者等

    26.1 製造販売元

    デンツプライシロナ株式会社

    *東京都中央区銀座八丁目21番1号 住友不動産汐留浜離宮ビル

    〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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