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日本薬局方
ジクロフェナクナトリウム坐剤
劇薬
処方箋医薬品注)
成人:ジクロフェナクナトリウムとして通常1回25~50mgを1日1~2回、直腸内に挿入するが、年齢、症状に応じ低用量投与が望ましい。低体温によるショックを起こすことがあるので、高齢者に投与する場合には少量から投与を開始すること。小児:ジクロフェナクナトリウムとして1回の投与に体重1kgあたり0.5~1.0mgを1日1~2回、直腸内に挿入する。なお、年齢、症状に応じ低用量投与が望ましい。低体温によるショックを起こすことがあるので、少量から投与を開始すること。年齢別投与量の目安は1回量として下記のとおりである。1才以上3才未満:6.25mg3才以上6才未満:6.25~12.5mg6才以上9才未満:12.5mg9才以上12才未満:12.5~25mg
他の消炎鎮痛剤との併用は避けることが望ましい。
過度の体温下降・血圧低下によるショック症状があらわれやすい。,,
消化性潰瘍を再発させることがある。,,
血液の異常を悪化又は再発させるおそれがある。,
血小板機能異常が起こることがあるため出血傾向を助長するおそれがある。
プロスタグランジン合成阻害作用に基づくNa・水分貯留傾向があるため血圧をさらに上昇させるおそれがある。
プロスタグランジン合成阻害作用に基づくNa・水分貯留傾向があるため心機能を悪化させるおそれがある。,
SLE症状(腎機能障害等)を悪化させるおそれがある。
アスピリン喘息でないことを十分に確認すること。気管支喘息の患者の中にはアスピリン喘息患者も含まれている可能性があり、それらの患者では重篤な喘息発作を誘発させることがある。,
症状が悪化したとの報告がある。
消化管縫合不全を起こすおそれがある。
本剤を継続投与する場合には、十分経過を観察し、慎重に投与すること。ミソプロストールは非ステロイド性消炎鎮痛剤により生じた消化性潰瘍を効能又は効果としているが、ミソプロストールによる治療に抵抗性を示す消化性潰瘍もある。
必要に応じて適切な抗菌剤を併用し、観察を十分に行い慎重に投与すること。感染症を不顕性化するおそれがある。
有効循環血液量が低下傾向にあり、腎不全を誘発するおそれがある。
投与しないこと。腎血流量低下作用により、腎機能障害を悪化させることがある。,
腎血流量低下作用により、腎機能障害を悪化又は誘発することがある。,
投与しないこと。肝機能障害を悪化させることがある。,,
肝機能障害を悪化又は再発させることがある。,,
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。母乳中へ移行することが報告されている。
少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら、必要最小限の使用にとどめるなど慎重に投与すること。高齢者では副作用、特に過度の体温下降・血圧低下によるショック症状があらわれやすい。,,,
トリアムテレン(トリテレン)
急性腎障害があらわれたとの報告がある。
本剤の腎プロスタグランジン合成阻害作用により、トリアムテレンの腎機能障害を増大すると考えられる。
CYP2C9を阻害する薬剤
本剤のCmaxとAUCが増加することがある。
これらの薬剤は本剤の代謝酵素であるCYP2C9を阻害する。
ニューキノロン系抗菌剤
痙攣を起こすおそれがある。痙攣が発現した場合には、気道を確保し、ジアゼパムの静注等を行う。
ニューキノロン系抗菌剤が脳内の抑制性神経伝達物質であるGABAの受容体結合を濃度依存的に阻害し、ある種の非ステロイド性抗炎症剤との共存下ではその阻害作用が増強されることが動物で報告されている。
リチウム強心配糖体
メトトレキサート
これらの薬剤の血中濃度を高め、その作用を増強することがある。必要に応じて、これらの薬剤の用量を調節する。
本剤の腎プロスタグランジン合成阻害作用により、これらの薬剤の腎クリアランスが低下するためと考えられる。
アスピリン
相互に作用が減弱されることがある。
アスピリンは本剤の血漿蛋白結合を減少させ、血漿クリアランスを増加させることにより、その血中濃度を減少させる。逆に、本剤により、アスピリンの尿中排泄量が増加するとの報告がある。
消化器系の副作用を増強させるおそれがある。
両剤とも消化管の障害作用をもつため、併用した場合その影響が大きくなるおそれがある。
非ステロイド性消炎鎮痛剤
相互に胃腸障害等が増強されることがある。
副腎皮質ステロイド剤
相互に副作用、特に、胃腸障害等が増強されることがある。
両剤とも消化管の障害作用をもつため、併用した場合その影響が大きくなる。
降圧剤
これらの薬剤の降圧作用を減弱することがあるので、用量に注意すること。
本剤の腎プロスタグランジン合成阻害作用により、これらの薬剤の血圧低下作用を減弱するおそれがある。
腎機能を悪化させるおそれがある。
プロスタグランジン合成阻害作用により、腎血流量が低下するためと考えられる。危険因子:高齢者
利尿剤
これらの薬剤の作用を減弱させることがある。利尿効果、血圧を観察し、必要に応じてこれらの薬剤の増量を考慮する。
本剤の腎プロスタグランジン合成阻害作用により、これらの薬剤の利尿効果を減弱するおそれがある。
カリウム保持性利尿剤
抗アルドステロン剤
これらの薬剤の作用を減弱させることがある。また、腎機能障害患者における重度の高カリウム血症が発現するおそれがある。
プロスタグランジン産生が抑制されることによって、ナトリウム貯留作用による降圧作用の減弱、カリウム貯留作用による血清カリウム値の上昇が起こると考えられる。危険因子:腎機能障害
*抗凝血剤及び抗血小板薬
デフィブロチド
出血の危険性が増大するとの報告がある。血液凝固能検査等出血管理を十分に行う。
本剤の血小板機能阻害作用とこれらの薬剤の作用により、出血の危険性が増大する。
シクロスポリン
シクロスポリンによる腎機能障害を増強するとの報告がある。腎機能を定期的にモニターしながら慎重に投与する。
機序は十分解明されていないが、本剤はシクロスポリンによる腎機能障害に対して保護的な作用を有するプロスタグランジンの合成を阻害し、腎機能障害を増大すると考えられる。
高カリウム血症があらわれるおそれがあるので、血清カリウム値に注意すること。
高カリウム血症の副作用が相互に増強されると考えられる。
ドロスピレノン・エチニルエストラジオール
コレスチラミン
本剤の血中濃度が低下するおそれがある。コレスチラミンによる吸収阻害を避けるため、コレスチラミン投与前4時間若しくは投与後4~6時間以上、又は可能な限り間隔をあけて慎重に投与すること。
コレスチラミンは陰イオン交換樹脂であり、消化管内で胆汁酸、陰イオン性物質や酸性物質等と結合してその吸収を遅延・抑制させる。
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)
消化管出血があらわれることがあるので、注意して投与すること。
これらの薬剤の投与により血小板凝集が阻害され、併用により出血傾向が増強すると考えられる。
ショック(胸内苦悶、冷汗、呼吸困難、四肢冷却、血圧低下、意識障害等)、アナフィラキシー(蕁麻疹、血管浮腫、呼吸困難等)があらわれることがある。,,,,
消化管の潰瘍に伴い、狭窄・閉塞があらわれることがある。
,
乏尿、血尿、尿蛋白、BUN・血中クレアチニン上昇、高カリウム血症、低アルブミン血症等があらわれることがある。,,
項部硬直、発熱、頭痛、悪心・嘔吐あるいは意識混濁等があらわれることがある。特にSLE又は混合性結合組織病等のある患者では注意すること。
肝機能障害(劇症肝炎、広範な肝壊死等)に先行して、あるいは同時に急激な意識障害があらわれることがある。,,,
かぜ様症状に引き続き、激しい嘔吐、意識障害、痙攣等の異常が認められた場合には、ライ症候群の可能性を考慮すること。
急激な腎機能悪化を伴うことがある。筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等があらわれることがある。
心筋梗塞、脳血管障害等の心血管系血栓塞栓性事象があらわれることがある1)。
1~5%未満
1%未満
頻度不明
消化器
腹痛、下痢
悪心・嘔吐、便秘、口内炎
軟便及び直腸粘膜の刺激、消化性潰瘍、胃腸出血、食欲不振、胃炎、吐血、下血、胃痛、小腸・大腸の潰瘍、出血性大腸炎、クローン病又は潰瘍性大腸炎の悪化、膵炎、食道障害
血液
─
貧血、出血傾向、血小板機能低下(出血時間の延長)
肝臓
AST・ALT上昇、肝機能障害、黄疸
皮膚
そう痒症
光線過敏症、紫斑、多形紅斑
過敏症
発疹、顔面浮腫
蕁麻疹、喘息発作、アレルギー性紫斑、血管浮腫
精神神経系
めまい、頭痛
眠気、不眠、神経過敏、しびれ、振戦、錯乱、幻覚、痙攣、抑うつ、不安、記憶障害
感覚器
耳鳴、視覚異常(霧視等)、味覚障害、聴覚障害
循環器
血圧低下
血圧上昇、動悸、頻脈
その他
浮腫、全身けん怠感
発熱、胸痛、発汗、脱毛、血管炎
蛋白結合率が高いため、強制利尿、血液透析等は、ジクロフェナクの除去にはそれほど有用ではないと考えられる。
健康成人にボルタレンサポ25mg及び50mgを朝食1時間後に単回直腸投与した場合の平均血漿中濃度は図のように推移した5)。
Tmax(hr)
Cmax(ng/mL)
AUC0→24(ng/mL・hr)
T1/2(hr)
ボルタレンサポ25mg
0.81±0.28
570±134
864±172
1.3
ボルタレンサポ50mg
1.00±0.14
881±83
2,440±191
(n=9、平均±SE)
健康成人に経口投与した場合の尿中には未変化体の他5種水酸化体が認められており、その大部分はグルクロン酸抱合体である6),7)(外国人データ)。
健康成人に14C-ジクロフェナクナトリウム50mgを経口投与又は静脈内投与した場合、投与後12時間で投与量の約40%が尿中に96時間で約60%が尿中に、約30%が糞中に排泄される8)(外国人データ)。小児における吸収及び排泄パターンは成人での場合と類似している9),10)。
国内111施設で計1,420例について実施された二重盲検比較試験を含む臨床試験(承認時まで)の概要は次のとおりである。
疾患名
例数
有効
有効率(%)
成人
関節リウマチ
65
40
61.5
変形性関節症
84
49
58.3
腰痛症
80
57
71.3
後陣痛
33
25
75.8
手術後の疼痛・炎症
278
217
78.1
急性上気道炎
31
18
58.1
小児
83
66
79.5
発熱疾患(主に急性上気道炎)における解熱
290
266
91.7
プロスタグランジン合成阻害作用による抗炎症、鎮痛及び解熱作用が考えられている。
ジクロフェナクナトリウムは、カラゲニン浮腫(ラット)に対してインドメタシンと同等の抑制作用を示し、紫外線紅斑(モルモット)に対してはインドメタシン又はフルフェナム酸より強い抑制作用を示す。また酢酸投与による毛細血管透過性亢進(マウス)に対しインドメタシンと同等の抑制作用を示す11),12)。
ジクロフェナクナトリウムは、持続性浮腫、肉芽のう腫、肉芽腫、アジュバント関節炎等の実験的慢性炎症及び肉芽形成に対し優れた抑制作用を示す(ラット)。これらの作用は、インドメタシン及びプレドニゾロンに匹敵するものであり、フルフェナム酸、メフェナム酸あるいはフェニルブタゾンより明らかに強い13),14)。
ジクロフェナクナトリウムは、Tail pinch法(モルヒネ負荷マウス)、酢酸ストレッチ法(マウス)、Randall-Selitto法(ラット)等で、多くの場合インドメタシン及びフルフェナム酸より強い鎮痛効果を示す11),13)。
ジクロフェナクナトリウムは、直腸内投与により、ラット及びウサギにおけるイースト発熱、リポポリサッカライド発熱に対し優れた解熱作用を示し、その作用はインドメタシン(直腸内投与)より強い。成熟動物と幼若動物の間に効果の差異はなく、正常体温にもほとんど影響を及ぼさない15)。
ジクロフェナクナトリウムは、ウシ精のうミクロソーム分画におけるプロスタグランジンの合成を低濃度で阻害し、その作用はインドメタシン、ナプロキセン等より強い(in vitro)16)。
ジクロフェナクナトリウム(Diclofenac Sodium)
Monosodium 2-(2,6-dichlorophenylamino)phenylacetate
C14H10Cl2NNaO2
318.13
白色~微黄白色の結晶又は結晶性の粉末である。メタノール又はエタノール(95)に溶けやすく、水又は酢酸(100)にやや溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。吸湿性である。
13.4〔1-オクタノール/水(pH7.4のリン酸塩緩衝液)〕
50個[アルミコンテナー]
1) **データベース調査結果の概要(NDBを用いた非ステロイド性抗炎症薬による心血管系イベント発現のリスク評価):https://www.pmda.go.jp/files/000270714.pdf [20240200]
2) Akil, M. et al.:Br. J. Rheumatol. 1996; 35(1): 76-78 [19963978]
3) Smith, G. et al.:Br. J. Rheumatol. 1996; 35(5): 458-462 [19963337]
4) Mendonca, L. L. F. et al.:Rheumatology 2000; 39(8): 880-882 [20011737]
5) 水島 裕ほか:炎症 1988; 8(5): 475-482 [19880549]
6) Faigle, J. W. et al.:Xenobiotica 1988; 18(10): 1191-1197 [19883373]
7) Degen, P. H. et al.:Xenobiotica 1988; 18(12): 1449-1455 [19883399]
8) 社内資料:血中濃度、排泄および代謝に関するヒトでの実験 [19961717]
9) 浜本虎太ほか:現代の診療 1980; 22(10): 1307-1315 [19801589]
10) 東 文生:耳鼻咽喉科臨床 1982; 75(6): 1445-1453 [19820202]
11) 高島俊行ほか:基礎と臨床 1972; 6(8): 1682-1689 [19720592]
12) 鶴見介登ほか:日本薬理学雑誌 1973; 69(2): 299-318 [19730633]
13) 鶴見介登ほか:日本薬理学雑誌 1973; 69(2): 319-334 [19730634]
14) 青木隆一ほか:基礎と臨床 1972; 6(8): 1770-1780 [19720578]
15) 社内資料:成熟および幼若動物における解熱作用 [19961789]
16) Menassé, R. et al.:Scand. J. Rheumatol. 1978; Suppl. 22: 5-16 [19781018]
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