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劇薬
処方箋医薬品注)
多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制
通常、成人にはフィンゴリモドとして1日1回0.5mgを経口投与する。
感染症が増悪するおそれがある。,,,
本剤投与中に水痘又は帯状疱疹に初感染すると重症化するおそれがある。,,,,
感染症を誘発するおそれがある。,,,
投与開始時に重篤な心リズム障害があらわれるおそれがある。,,,,,
投与開始時に本剤による心拍数低下の影響を受けやすい。,,,,,,
QT間隔を過度に延長させるおそれがある。
症状が増悪するおそれがある。
黄斑浮腫が増悪するおそれがある。,,
黄斑浮腫が発現するリスクが増大するため、本剤投与開始前に眼科学的検査を実施し、投与中にも定期的な検査を実施すること。,,
血中濃度が上昇又は半減期が延長するおそれがある。また、症状が増悪するおそれがある。,
妊娠可能な女性に対しては、本剤の投与を開始する前に、患者が妊娠していないことを確認すること。患者に対して本剤が胎児に悪影響を及ぼす可能性があることを十分に説明し、本剤投与期間中及び最終投与後2ヵ月間は適切な避妊を徹底するよう指導すること。また、本剤投与中に妊娠が確認された場合には直ちに投与を中止すること。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないこと。本剤投与中に妊娠した患者において、奇形を有する児が認められたとの報告がある。動物実験において、胚・胎児死亡率の増加(ラット及びウサギ)、内臓異常(ラット:総動脈幹遺残及び心室中隔欠損等)及び骨格変異(ウサギ)を含む発生毒性が認められている。,
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)において乳汁中に移行することが報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。心機能、肝機能及び免疫機能等が低下していることが多い。
生ワクチン(乾燥弱毒生麻しんワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチン、経口生ポリオワクチン、乾燥BCG等),
免疫抑制下で生ワクチンを接種すると発症するおそれがあるので接種しないこと。本剤投与中止後も薬力学的効果が持続するため、リンパ球数の回復が確認されるまでは接種を避けること。
本剤は免疫系に抑制的に作用するため、生ワクチンを接種すると増殖し、病原性をあらわすおそれがある。
クラスⅠa抗不整脈剤
クラスⅢ抗不整脈剤
Torsades de pointes等の重篤な不整脈を生じるおそれがある。
本剤の投与により心拍数が低下するため、併用により不整脈を増強するおそれがある。
不活化ワクチン
本剤の投与中及び投与中止2ヵ月後まではワクチン接種の効果が減弱することがある。
本剤は免疫系に抑制的に作用するため、ワクチンに対する免疫が得られないおそれがある。
抗腫瘍剤、免疫抑制剤
,
本剤の投与中及び投与中止2ヵ月後までは免疫系の相加的な抑制作用により、感染症等のリスクが増大することがある。
本剤は免疫系に抑制的に作用する。
β遮断薬
カルシウム拮抗薬
本剤の投与開始時に併用すると重度の徐脈や心ブロックが認められることがある。
共に徐脈や心ブロックを引き起こすおそれがある。
細菌、真菌、ウイルス等による感染症があらわれることがある。感染症が疑われる症状が認められた場合には、本剤の投与中断を考慮するとともに、早期に適切な処置を行うこと。また、重篤な感染症が認められた場合には本剤を休薬又は中止し、適切な処置を行うこと。播種性帯状疱疹、ヘルペス脳炎の死亡例が報告されている。,,,,,,,,
心拍数低下、房室伝導の遅延等の徐脈性不整脈があらわれ、血圧低下、浮動性めまい、疲労、動悸等の症状を伴うこともある。本剤投与後に徐脈性不整脈に関連する徴候又は症状があらわれた場合には、適切な処置を行い、少なくともそれらの徴候・症状が消失し、安定化するまで患者を観察すること。,,,,,,,,
異常が認められた場合には眼科学的検査を実施すること。黄斑浮腫が確認された場合には、投与を中断すること。,,,
頭痛、意識障害、痙攣、視力障害等の症状があらわれた場合は、MRI等による画像診断を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
頭痛、嘔気、麻痺症状、言語障害等の症状があらわれた場合は、MRI等による画像診断を行うとともに、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
四肢の疼痛、しびれ等の症状があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
本剤の投与中及び投与中止後は患者の状態を十分に観察すること。意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状があらわれた場合は、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
5%以上
1%~5%未満
1%未満
頻度不明
血液・リンパ
リンパ球減少、白血球減少
-
精神系
うつ病
神経系
頭痛
浮動性めまい、傾眠
片頭痛、錯感覚
眼
霧視、眼痛
呼吸器
上気道の炎症、呼吸困難、咳嗽、一酸化炭素拡散能減少
努力呼気量減少
消化器
下痢
悪心、胃炎、腹痛、アフタ性口内炎、便秘、歯周炎、胃腸炎
肝胆道系注1)
肝機能検査値異常(29.2%)
γ-GTP増加、AST増加、ALT増加、ビリルビン増加
皮膚
発疹、脱毛症、湿疹
そう痒症
筋骨格系
背部痛、筋肉痛、関節痛
全身症状
けん怠感、疲労、発熱
無力症
その他
高コレステロール血症、血中トリグリセリド増加、高血圧注2)
体重減少
過敏症
本剤は透析又は血漿交換によりほとんど除去されない。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
健康成人(19例)にフィンゴリモド1.25、2.5、5mg注)を単回経口投与したとき、投与16時間後(中央値)に最高血中薬物濃度(Cmax)に到達し、消失半減期は5.8~7.6日間であった2)。
薬物動態パラメータ
1.25mgN=6
2.5mgN=7
5mgN=6
Tmax(h)
16(16~36)※
16(12~36)※
Cmax(ng/mL)
1.1±0.2
1.9±0.3
3.5±1.2
AUClast(ng・h/mL)
168±27
353±87
823±292
T1/2(days)
5.9±2.4
5.8±1.5
7.6±3.4
平均値±標準偏差、※中央値(最小値~最大値)
健康成人(6例)にフィンゴリモド5mg注)を1日1回7日間反復経口投与したときの、未変化体及び活性本体であるリン酸化体の投与1日目及び7日目の薬物動態パラメータは下表のとおりであった。未変化体の消失半減期は7.9日間であり、単回投与と同様であった2)。
投与1日目
投与7日目
AUCtau(ng・h/mL)
未変化体
14(6~16)※
3.1±0.8
54±12
12(6~16)※
18.2±4.8
382±106
7.9±2.0
リン酸化体
3.7±1.1
52±14
9(6~16)※
11.3±3.5
236±76
6.0±2.4
多発性硬化症患者(108例)にフィンゴリモド0.5又は1.25mg注)を1日1回6ヵ月間反復経口投与したとき、薬物濃度はいずれも投与2ヵ月後までに定常状態に到達し、定常状態における未変化体及びリン酸化体の血中濃度は下表のとおりであった3)。
評価時期
0.5mg群
1.25mg群
15日後
2.64±1.01(54)
6.76±2.59(54)
1.37±0.61(54)
3.60±1.54(54)
1ヵ月後
3.15±1.30(54)
8.01±2.55(51)
1.69±0.87(54)
4.32±1.52(51)
2ヵ月後
2.96±1.23(52)
8.77±3.08(50)
1.57±0.81(51)
4.88±1.93(50)
3ヵ月後
3.19±1.31(51)
8.61±3.02(49)
1.70±0.86(50)
4.80±1.92(49)
6ヵ月後
3.50±1.44(47)
8.92±3.55(48)
1.82±0.81(47)
4.84±2.09(48)
ng/mL(例数)
健康成人男子(29例)にフィンゴリモド1.25mg注)を空腹時又は高脂肪食摂取後30分に単回経口投与したとき、未変化体のCmax及びAUC並びにリン酸化体のAUCに食事の影響は認められなかったが、リン酸化体のCmaxは食事により34%低下した。また、未変化体及びリン酸化体ともに食事により吸収が遅延した4)(外国人のデータ)。
健康成人(40例)にフィンゴリモド1.25mg注)を単回経口投与したとき、投与後12~16時間で最高血中濃度に到達し、そのバイオアベイラビリティは93%であった4),5)(外国人のデータ)。
フィンゴリモドの血球への移行性は高く、血球移行率は約86%であった。リン酸化体の血球移行率は18%以下であった。フィンゴリモド及びリン酸化体の蛋白結合率は99.7%以上であった6)(in vitro)。
フィンゴリモドの主要代謝経路は、薬理学的に活性を有するフィンゴリモドリン酸化体(S)-エナンチオマーへの可逆的なリン酸化、主にCYP4F2を介する酸化的代謝及びその後の脂肪酸β酸化様の分解、及び非極性セラミド類似体の生成であった。
健康成人男子(4例)に14C標識したフィンゴリモド4.47mg注)を単回経口投与したとき、投与量の約81%が不活性代謝物として尿中に排泄され、未変化体及びリン酸化体は尿中には排泄されなかった。糞中には投与放射能量の約11%が排泄され、未変化体及びリン酸化体はそれぞれ投与量の2.4%及び1.7%であった。単回投与後34日間の回収率は投与量の89%であった7)(外国人のデータ)。
重度(Ccr 30mL/min未満)の腎機能障害者(9例)にフィンゴリモド1.25mg注)を単回経口投与したとき、健康成人に比べて、未変化体のCmax及びAUCがそれぞれ32%及び43%増加し、リン酸化体のCmax及びAUCがそれぞれ25%及び14%増加した。未変化体及びリン酸化体とも、消失半減期に変化はみられなかった。なお、不活性代謝物M2(カルボン酸代謝物)のCmaxは3倍以上、不活性代謝物M3(カルボン酸代謝物)のCmax及びAUCはそれぞれ8倍及び14倍に増加した8)(外国人のデータ)。
軽度(Child-Pugh分類クラスA)、中等度(Child-Pugh分類クラスB)及び重度(Child-Pugh分類クラスC)の肝機能障害者(22例)にフィンゴリモド(1又は5mg)注)を単回経口投与したとき、健康成人に比べて、未変化体のCmaxに変化はみられなかったが、AUCがそれぞれ12%、44%及び103%増加した。軽度の肝機能障害者では消失半減期に変化はみられなかったが、中等度及び重度の肝機能障害者では消失半減期がそれぞれ49%及び50%延長した。リン酸化体は重度の肝機能障害者においてのみ測定し、健康成人に比べてCmax及びAUCがそれぞれ22%及び29%減少した9),10)(外国人のデータ)。
健康成人(22例)にケトコナゾール200mgを1日2回9日間反復経口投与し、4日目にフィンゴリモド5mg注)を単回経口投与したとき、未変化体のCmax及びAUCはそれぞれ約1.2倍及び約1.7倍に増加した。リン酸化体のCmaxはケトコナゾールの影響を受けなかったが、AUCは約1.7倍に増加した。ケトコナゾールの血漿中トラフ濃度に影響は認められなかった11) (外国人のデータ)。
乾癬患者(12例)にシクロスポリン200mgを1日2回8日間反復経口投与し、5日目にフィンゴリモド1mg注)を単回経口投与したとき、未変化体のCmax及びAUCに影響は認められなかった。また、シクロスポリンのCmax及びAUCに影響は認められなかった12)(外国人のデータ)。
健康成人女性(31例)に経口避妊薬(エチニルエストラジオール30μg及びレボノルゲストレル150μgの配合剤)を1日1回28日間反復経口投与し、15日目から28日目までフィンゴリモド0.5mgを反復経口投与したとき、エチニルエストラジオールのCmax及びAUCに影響は認められなかった。レボノルゲストレルのCmax及びAUCは、フィンゴリモドの併用によりそれぞれ1.1倍及び1.2倍に増加した。また、未変化体及びリン酸化体のCmax及びAUCに影響は認められなかった13)(外国人のデータ)。
健康成人(22例)にアトロピン(初回に0.25mgを静脈内投与し、心拍数110~120bpm又は総投与量2mgに達するまで0.25mgを追加投与)とフィンゴリモド5mg注)を併用投与したとき、未変化体及びリン酸化体のCmax及びAUCに影響は認められなかった14)(外国人のデータ)。
健康成人(14例)にイソプロテレノール(1μg/mLのイソプロテレノール溶液を心拍数110±10bpm又は最大注入速度5μg/minに達するまで静脈内投与[最大投与量100μg])とフィンゴリモド5mg注)を併用投与したとき、未変化体及びリン酸化体のCmax及びAUCに影響は認められなかった15)(外国人のデータ)。
健康成人(12例)にアテノロール50mgを1日1回5日間反復経口投与し、5日目にフィンゴリモド5mg注)を単回経口投与したとき、未変化体及びリン酸化体のCmax及びAUCに影響は認められなかった。また、アテノロールのCmax及びAUCに影響は認められなかった16)(外国人のデータ)。
健康成人(13例)にジルチアゼム240mgを1日1回5日間反復経口投与し、5日目にフィンゴリモド5mg注)を単回経口投与したとき、未変化体及びリン酸化体のCmax及びAUCに影響は認められなかった。また、ジルチアゼムのCmax及びAUCに影響は認められなかった16)(外国人のデータ)。
健康成人(23例)にカルバマゼピン100~600mgを漸増投与で1日2回49日間反復経口投与し、定常状態に達した35日目にフィンゴリモド2mg注)を単回経口投与したとき、未変化体のCmax及びAUCはそれぞれ18%及び40%減少した。リン酸化体のCmax及びAUCはそれぞれ18%及び38%減少した17)(外国人のデータ)。
注)本剤の用法及び用量は1日1回0.5mgである。
再発性多発性硬化症患者を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施した。本剤0.5mg、1.25mg注)又はプラセボを1日1回6ヵ月間経口投与した結果、本剤0.5mg群における投与3及び6ヵ月後の両時点でGd造影病巣が認められなかった患者の割合は、下表のとおりであり、プラセボ群と比較して統計学的な有意差が認められた(p=0.004、投与群を因子、スクリーニング時のGd造影病巣数を共変量としたロジスティック回帰モデル)18)。
プラセボ群
Gd造影病巣の認められなかった患者の割合(ベースライン)a)
57.9%(33/57例)
投与3及び6ヵ月後の両時点でGd造影病巣が認められなかった患者の割合
40.4%(21/52例)
70.0%(35/50例)
オッズ比[95%信頼区間]b)
3.628[1.504、8.753]
p値b)
0.004
a)ランダム化された患者b)投与群を因子、スクリーニング時のGd造影病巣数を共変量としたロジスティック回帰モデル
副作用発現率は、本剤0.5mg群で75.4%(43/57例)、本剤1.25mg群で85.2%(46/54例)であった。主な副作用は、本剤0.5mg群で鼻咽頭炎26.3%(15/57例)、肝機能検査値異常21.1%(12/57例)等、本剤1.25mg群で肝機能検査値異常31.5%(17/54例)、鼻咽頭炎16.7%(9/54例)等であった。
第II相試験を完了した症例を対象に実施した継続長期投与試験において、Gd造影病巣が認められなかった患者の割合は、下表のとおりであった19)。
投与3及び6ヵ月後の両時点
投与9及び12ヵ月後の両時点
プラセボ-0.5mg群
26.1%(6/23例)
69.6%(16/23例)
0.5mg-0.5mg群
77.8%(35/45例)
84.4%(38/45例)
本試験の期間中の副作用発現率は、プラセボ-0.5mg群で74.1%(20/27例)、0.5mg-0.5mg群で57.4%(27/47例)であった。主な副作用は、プラセボ-0.5mg群で鼻咽頭炎22.2%(6/27例)、肝機能検査値異常14.8%(4/27例)等、0.5mg-0.5mg群で鼻咽頭炎21.3%(10/47例)、肝機能検査値異常6.4%(3/47例)等であった。
外国人再発寛解型多発性硬化症患者を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施した。本剤0.5mg、1.25mg注)又はプラセボを1日1回24ヵ月間経口投与した結果、本剤0.5mg群における24ヵ月間の投与期間中における年間再発率の推定値は、下表のとおりであり、プラセボ群と比較して統計学的な有意差が認められた(p<0.001、投与群を因子、国、直近2年間の再発回数及びベースラインのEDSSスコアを共変量、治験参加期間の対数値をオフセット変数としたnegative binomial regression model)。また、本剤0.5mg群におけるEDSS評価に基づく3ヵ月持続する障害進行が発現するまでの時間は、下図のとおりであり、プラセボ群と比較して延長し、統計学的な有意差が認められた(p=0.026、ログランク検定)20)。
プラセボ群(418例)
0.5mg群(425例)
推定値[95%信頼区間]
0.40[0.34、0.47]
0.18[0.15、0.22]
年間再発率の比
0.46
p値
<0.001
投与群を因子、国、直近2年間の再発回数及びベースラインのEDSSスコアを共変量、治験参加期間の対数値をオフセット変数としたnegative binomial regression model
副作用発現率は、本剤0.5 mg群で61.9%(263/425例)であった。主な副作用は、ALT増加9.2%(39/425例)、鼻咽頭炎7.3%(31/425例)、上気道感染6.8%(29/425例)等であった。
健康成人(113例)にフィンゴリモド1.25mg注)及び2.5mg注)を1日1回7日間用量漸増法で反復経口投与したとき、QTcFは延長し、90%信頼区間の上限は14msec以下であった21)(外国人のデータ)。
薬剤
QTcF延長時間(msec)#1(プラセボとの差[90%又は96%信頼区間#2])
フィンゴリモド1.25mg
10.64[7.46、13.83]
フィンゴリモド2.5mg
10.65[7.41、13.88]
モキシフロキサシン400mg
10.61[5.94、15.28]
#1 12誘導心電図は投与7日目の投与後(プラセボ群及びフィンゴリモド投与群は0、1.5、3、6、8及び12時間、モキシフロキサシン投与群は1.5、3及び6時間)に測定した。#2 フィンゴリモドは90%信頼区間、モキシフロキサシンは96%信頼区間を示す。
健康成人(各6例)を対象にフィンゴリモド5mg注)を反復経口投与したとき、心拍数は以下のとおり推移した。,,,,,,
フィンゴリモドは生体内で活性代謝物であるリン酸化体に代謝される22)。リン酸化体は、スフィンゴシン1-リン酸(S1P)受容体1(S1P1受容体)と結合し、その内在化と分解を誘導することで、S1P1受容体の機能的アンタゴニストとして作用するため、リンパ節などの二次リンパ組織からのリンパ球の移出を抑制する。ミエリン抗原特異的なTh17細胞を含む自己反応性T細胞も、同様の機序でリンパ節からの移出が抑制されるため、中枢神経系組織への浸潤が抑制される23),24)。一方、外来性病原体の感染に対し重要な役割を担うエフェクターメモリーT細胞は、二次リンパ組織を介する循環能を有さないため、フィンゴリモドはエフェクターメモリーT細胞に対しほとんど影響しない25)。また、フィンゴリモドは、ヒト及び動物の中枢神経系(CNS)への移行性を有し、アストログリオーシス、脱髄、及び神経細胞の傷害を抑制することが明らかにされている26)。
多発性硬化症の動物モデルであるマウスの再発寛解型EAEにおいて、フィンゴリモドを治療的に経口投与したとき、神経症状の再発抑制作用を示した27)。
フィンゴリモド塩酸塩(Fingolimod Hydrochloride)
2-Amino-2-[2-(4-octylphenyl)ethyl]propane-1,3-diol monohydrochloride
C19H33NO2・HCl
343.93
白色の粉末である。水、メタノール又はエタノールに溶けやすく、アセトニトリルにほとんど溶けない。
D22.26(1-オクタノール/水)
凍結を避けること。
14カプセル[14カプセル(PTP)×1]56カプセル[14カプセル(PTP)×4]
1) Lublin,F.et al.:Lancet 2016;387(10023):1075-1084 [20160315]
2) 社内資料:日本人及び白人健康成人の薬物動態(2011年9月26日承認、CTD2.7.6-3.3.3)[20114629]
3) 社内資料:日本人多発性硬化症患者での薬物動態(2011年9月26日承認、CTD2.7.6-5.1.1)[20114630]
4) 社内資料:食事の影響(2011年9月26日承認、CTD2.7.6-1.1.3)[20114631]
5) 社内資料:経口バイオアベイラビリティ(2011年9月26日承認、CTD2.7.6-1.1.2)[20114633]
6) 社内資料:In vitro血球移行率及び蛋白結合率(2011年9月26日承認、CTD2.6.4-4.1)[20114634]
7) 社内資料:ヒトADME試験(2011年9月26日承認、CTD2.7.6-3.1.2)[20114635]
8) David,O.J.et al.:Int.J.Clin.Pharmacol.Ther.2015; 53(10):847-854 [20160026]
9) Kovarik,J.M.et al.:J.Clin.Pharmacol. 2005; 45(4): 446-452 [20113389]
10) Kovarik,J.M.et al.:J.Clin.Pharmacol. 2006; 46(2) : 149-156 [20113390]
11) Kovarik,J.M.et al.:J.Clin.Pharmacol. 2009; 49(2) : 212-218 [20113392]
12) Kovarik,J.M.et al.:Ann.Pharmacother. 2004; 38(7-8) : 1153-1158 [20113391]
13) 社内資料:経口避妊薬との薬物相互作用(2011年9月26日承認、CTD2.7.6-3.4.3)[20114637]
14) Kovarik,J.M.et al.:Br.J.Clin.Pharmacol. 2008; 66(2):199-206 [20113394]
15) Kovarik,J.M.et al.:J.Clin.Pharmacol. 2008; 48(3) : 303-310 [20113395]
16) Kovarik,J.M.et al.:Eur.J.Clin.Pharmacol. 2008; 64(5): 457-463 [20113393]
17) 社内資料:カルバマゼピンとの薬物相互作用[20142314]
18) Saida,T.et al.:Mult.Scler. 2012; 18(9) : 1269-1277 [20120868]
19) Kira,J.et al.:BMC Neurol. 2014; 14: 21 [20140786]
20) Kappos,L.et al.:New Engl.J.Med. 2010; 362(5): 387-401 [20110569]
21) 社内資料:QT間隔(2011年9月26日承認、CTD2.7.6-4.1.8)[20114641]
22) Brinkmann,V.et al.:Am.J.Transplant. 2004; 4(7): 1019-1025 [20113400]
23) 千葉健治:日本臨床免疫学会会誌 2009; 32(2) : 92-101 [20104552]
24) Brinkmann,V.:Br.J.Pharmacol. 2009; 158(5) : 1173-1182 [20113921]
25) Kursar,M.:Eur.J.Immunol. 2008; 38(1): 127-138 [20113922]
26) Choi,J.W.et al.:Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 2011; 108(2): 751-756 [20142313]
27) Chiba,K.et al.:Int.Immunopharmacol. 2011; 11(3): 366-372 [20113923]
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