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劇薬
処方箋医薬品注)
二次性進行型多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制
通常、成人にはシポニモドとして1日0.25mgから開始し、2日目に0.25mg、3日目に0.5mg、4日目に0.75mg、5日目に1.25mg、6日目に2mgを1日1回朝に経口投与し、7日目以降は維持用量である2mgを1日1回経口投与するが、患者の状態により適宜減量する。
本剤の血中濃度が上昇する。,,,,
重度の活動性感染症のある患者では、感染症が消失するまで本剤の投与開始を延期すること。,,,
黄斑浮腫が発現するリスクが増大するため、本剤投与開始前に眼科学的検査を実施し、投与中にも定期的な眼科学的検査を実施すること。,
本剤投与による有益性と危険性を考慮した上で、投与の可否を慎重に検討すること。本剤の投与を考慮する場合は、投与開始前に、患者の状態に応じた最適なモニタリング方法について、循環器を専門とする医師と相談すること。,,,,,
本剤の投与を考慮する場合は、投与開始前に、患者の状態に応じた最適なモニタリング方法について、循環器を専門とする医師と相談すること。QT間隔が延長するおそれがある。,,
これらの薬剤を投与中の患者には、本剤の投与を避けることが望ましい。本剤の投与を考慮する場合は、心拍数減少作用のない薬剤への切替え又は投与開始時の患者の状態に応じた適切なモニタリング方法について、循環器を専門とする医師と相談すること。,,,,,
長期にβ遮断薬が投与されており、安静時心拍数が50bpmを超える場合は、本剤の投与を開始してもよい。安静時心拍数が50bpm以下の場合は、β遮断薬を休薬し、ベースラインの心拍数が50bpmを超えた後に本剤の投与を開始してもよい。β遮断薬の投与は、本剤を維持用量まで漸増後に再開してもよい。,,,,,,
症状が悪化するおそれがある。
痙攣をおこすおそれがある。
肝機能障害が悪化するおそれがある。,
妊娠可能な女性に対しては、動物実験で本剤が発達中の胎児に有害であることが示されていることを説明すること。本剤の投与中及び投与中止後少なくとも10日間は適切な避妊法(妊娠率が1%未満の方法)を行うよう指導すること。また、本剤投与中に妊娠が確認された場合には直ちに投与を中止すること。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないこと。動物実験において、胚・胎児毒性(ラット及びウサギ)及び催奇形性(ラット)が認められている。ラットでは吸収胚数の増加、外表異常(異常回転肢及び口蓋裂)、内臓異常(巨心及び雄生殖器異常)並びに骨格異常(鎖骨形態異常)が、ウサギでは母動物で流産、胎児で吸収胚数並びに骨格及び内臓変異の増加がみられている。これらの変化は、臨床用量(2mg)投与時のヒト曝露量の約2倍以上の曝露量で認められている。,
授乳しないことが望ましい。ラットに本剤10mg/kgを単回経口投与したとき、本剤及びその代謝物が乳汁中に移行した。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
生ワクチン(乾燥弱毒性麻しんワクチン、乾燥弱毒性風しんワクチン、乾燥BCG等)
,
生ワクチンを接種すると発症するおそれがある。本剤の投与中及び投与終了後最低4週間は接種を避けること。
本剤は免疫系に抑制的に作用するため、生ワクチンを接種すると増殖し、病原性をあらわすおそれがある。
クラスⅠa抗不整脈剤
クラスⅢ抗不整脈剤
べプリジル塩酸塩
(ベプリコール)
Torsades de pointes等の重篤な不整脈を生じるおそれがある。
本剤の投与により心拍数が減少するため、併用により不整脈を増強するおそれがある。
抗腫瘍薬、免疫抑制剤
過剰な免疫系の抑制により、感染症などのリスクが増大するおそれがある。これらの薬剤と併用する場合、及びこれらの薬剤の投与中止後数週間以内に本剤を投与する場合は注意すること。
本剤の最終投与後3~4週間以内にこれらの薬剤を投与する場合も同様に注意すること。
相加的に免疫系に作用するリスクがある。なお、本剤と抗腫瘍薬又は免疫抑制剤との併用の試験は行われていない。
多発性硬化症治療剤
過剰な免疫系の抑制により、感染症などのリスクが増大するおそれがある。
インターフェロンβ又はグラチラマー酢酸塩であれば、通常、これらの薬剤の投与中止直後に本剤の投与を開始してもよい。また、他の薬剤から本剤に切り替える場合は、他の薬剤の消失半減期及び作用機序を考慮すること。
相加的に免疫系に作用するリスクがある。なお、本剤と他の多発性硬化症治療剤との併用の試験は行われていない。
心拍数を低下させる可能性のある薬剤
心拍数減少作用のあるカルシウムチャネル拮抗薬
不整脈原性を有することが知られているQT延長作用のある薬剤
,,,
心拍数の減少により、徐脈、QT延長、房室ブロックなどの徐脈性不整脈が発現するおそれがある。本剤の投与開始時に、これらの薬剤と併用しないことが望ましい。
心拍数に対して潜在的な相加作用がある。
β遮断薬
心拍数の減少により、徐脈、QT延長、房室ブロックなどの徐脈性不整脈が発現するおそれがある。β遮断薬を投与中の患者に、本剤の投与を開始する場合は注意すること。なお、本剤の維持用量を投与されている患者には、β遮断薬の投与を開始してもよい。
心拍数減少に相加的な作用がある。
**不活化ワクチン
ワクチン接種の効果が減弱するおそれがある。本剤の投与中及び投与終了後最低4週間は不活化ワクチンの接種を避けること。
本剤は免疫系に抑制的に作用するため、ワクチン接種の効果が減弱する可能性がある。4価インフルエンザワクチン接種の1週間前から4週間後まで本剤を休薬した場合、奏効率はプラセボと比較して低下しなかったが、本剤の休薬期間を短くした場合(ワクチン接種の10日前から2週間後まで)及び本剤投与中にワクチン接種した場合、奏効率はプラセボと比較して約15~30%低下した。
*中程度のCYP2C9阻害作用かつ中程度のCYP3A4阻害作用を有する薬剤
中程度のCYP2C9阻害作用を有する薬剤と中程度以上のCYP3A4阻害作用を有する薬剤の両方を併用
本剤の曝露量が増加し、副作用が発現するおそれがあるため、併用しないことが望ましい。
本剤の代謝が阻害され曝露量が増加する。
*中程度のCYP2C9阻害作用を有する薬剤
,,
*中程度のCYP2C9誘導作用かつ強力なCYP3A4誘導作用を有する薬剤
中程度のCYP2C9誘導作用を有する薬剤と強力なCYP3A4誘導作用を有する薬剤の両方を併用
本剤の曝露量が低下し、有効性が減弱するおそれがある。これらの薬剤と併用する際には注意すること。
本剤の代謝が促進され曝露量が低下する。
中程度以上のCYP3A4誘導作用を有する薬剤
本剤の曝露量が低下し、有効性が減弱するおそれがある。CYP2C9*1/*3又は*2/*3を保有する患者では、これらの薬剤と併用する際には注意すること。
帯状疱疹(2.6%)、クリプトコッカス性髄膜炎(頻度不明)等の感染症があらわれることがある。感染症の症状がみられた場合には、本剤の投与中断を考慮するとともに、適切な診断及び処置を行うこと。また、重篤な感染症が認められた場合には本剤を休薬又は中止し、適切な処置を行うこと。,,,,,,,,
異常が認められた場合には眼科学的検査を実施すること。黄斑浮腫が確認された場合には、投与を中断すること。ほとんどの黄斑浮腫が、本剤の投与開始後3~4ヵ月以内にみられたが、6ヵ月以上投与された患者でも報告されている。,,
本剤の投与開始で一過性の心拍数減少があらわれ、房室伝導の遅延を伴うことがある。,,,,,,,,,,,,
四肢の疼痛、しびれ等の症状があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
本剤の投与中及び投与中止後は患者の状態を十分に観察すること。意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状があらわれた場合は、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
他のスフィンゴシン1-リン酸(S1P)受容体調節薬で、可逆性後白質脳症症候群が報告されているため、本剤の投与中及び投与中止後は患者の状態を十分に観察すること。頭痛、意識障害、痙攣、視力障害等の症状があらわれた場合は、MRI等による画像診断を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
5%以上
1~5%未満
1%未満
良性、悪性及び詳細不明の新生物(嚢胞及びポリープを含む)
―
メラノサイト性母斑
血液及びリンパ系障害
リンパ球減少症
神経系障害
頭痛、浮動性めまい
痙攣発作、振戦
血管障害
高血圧
胃腸障害
悪心、下痢
筋骨格系及び結合組織障害
四肢痛
一般・全身障害及び投与部位の状態
末梢性浮腫
無力症
臨床検査
肝機能検査値上昇
肺機能検査値低下
本剤の初回投与時又は漸増期間中に過量投与した場合は、徐脈の徴候及び症状の観察を行い、入院下での経過観察も考慮すること。経過観察中は、脈拍数及び血圧を定期的に測定し、心電図も測定すること。なお、本剤は透析又は血漿交換でほとんど除去されない。
健康成人(40例)に本剤0.5、2.5、5、10mg注1)を単回経口投与したとき、投与約4時間後(中央値)に最高血漿薬物濃度(Cmax)に到達した。消失半減期(t1/2)は28.5~39.7時間であった。Cmax及び血漿中薬物濃度-時間曲線下面積(AUC)は用量に比例して増加した1)。
薬物動態パラメータ
0.5mgn=8
2.5mgn=8
5mgn=8
10mgn=8
Tmax(h)
4(3~6)※
4(3~4)※
3.5(2~12)※
Cmax(ng/mL)
4.55±0.7124.5
21.5±2.7321.3
46.1±9.9645.2
102±18.1100
AUCinf(ng・h/mL)
162±47.5156
686±60.5684
1290±2621270
3330±10003200
t1/2(h)
30.2±9.2329.0
28.6±2.2028.5
29.9±7.1629.1
42.2±14.339.7
平均値±標準偏差、幾何平均値 ※中央値(最小値~最大値)
健康成人(50例)に本剤0.3mg~20mg注1)を1日1回反復経口投与したとき、投与4時間後(中央値)にCmaxに到達した。t1/2は68.8~110時間であった。血漿中トラフ濃度は約6日で定常状態に達し、累積率は約2~3倍であった。Cmax及びAUCは用量に比例して増加した2)。健康成人(304例)に本剤2mgを6日間の漸増期間を設け1日1回反復経口投与したとき、投与開始10日目には定常状態に到達し、Cmax及びAUCtauはそれぞれ30.4ng/mL及び558ng・h/mLであった3)(外国人データ)。二次性進行型多発性硬化症患者(1,651例)に6日間の漸増期間を設け本剤2mgを1日1回反復経口投与したときの定常状態における血漿中トラフ濃度は下表のとおりであった4)。
評価時期
28日目投与前
12ヵ月目投与前
試験終了時最終投与24時間後
n
1011
775
488
ng/mL
23.2
23.6
20.1
幾何平均値
健康成人(16例)に本剤0.25mgを単回経口投与したときのバイオアベイラビリティは約84%であった5)(外国人データ)。
健康成人(60例)に本剤0.25又は4mg注1)を空腹時又は高脂肪食摂取後30分に単回経口投与したとき、Cmax、AUC及びt1/2に食事の影響は認められなかった6)(外国人データ)。
健康成人(15例)に本剤0.25mgを3時間点滴静脈内投与したときの分布容積は124Lであった5)。
シポニモドの全血におけるin vitro血漿中分布率は68%であった。
シポニモドのex vivo血漿蛋白結合率は99.9%を上回った7)。
動物試験の結果、シポニモドの血液脳関門の通過は速やかであった8)。
本剤の主な代謝酵素はチトクロームP450(CYP)2C9(代謝における寄与率:79.3%)であり、その他CYP3A4(代謝における寄与率:18.5%)が関与する9)。
本剤は主に代謝、その後の胆汁及び糞中排泄により全身循環から消失した。健康成人(4例)に、14C標識した本剤10mg注1)を単回経口投与したとき、糞中には投与放射能の9.2%が未変化体として排泄され、45.1%が主代謝物M5(水酸化代謝物)として排泄された。また尿中には未変化体は認められず、投与放射能の2.1%が主代謝物M3(M5のグルクロン酸抱合体)として排泄された10)(外国人データ)。
高度(eGFRが30mL/min/1.73m2未満)の腎機能障害者(8例)並びに健康成人(8例)に本剤0.25mgを単回経口投与したとき、高度の腎機能障害者の総シポニモド(血漿蛋白非結合型+血漿蛋白結合型)及び非結合型シポニモドのCmaxは、健康成人と同程度であったが、AUCは1.24倍(90%信頼区間:0.90,1.72)及び1.33倍(90%信頼区間:1.02,1.75)高かった。健康成人及び高度の腎機能障害者の総シポニモドのt1/2はそれぞれ、25.4及び36.2時間であった11)(外国人データ)。
軽度(Child-Pughスコア5~6)、中等度(Child-Pughスコア7~9)及び高度(Child-Pughスコア10~15)の肝機能障害者(24例)並びに健康成人(14例)に本剤0.25mgを単回経口投与したとき、肝機能障害による総シポニモドの薬物動態への影響は認められなかった。非結合型シポニモドのAUCは、軽度の肝機能障害による影響は認められなかったが、中等度及び高度の肝機能障害者では、健康成人よりもAUCがそれぞれ1.15倍(90%信頼区間:1.05,1.27)及び1.50倍(90%信頼区間:0.968,2.33)高かった。Cmaxは軽度、中等度、高度でそれぞれ1.22倍(90%信頼区間:0.953,1.57)、1.17倍(90%信頼区間:1.08,1.27)及び1.11倍(90%信頼区間:0.878,1.40)高かった。t1/2は肝障害者と健康成人で同程度であった12)(外国人データ)。
CYP2C9の遺伝子型*1/*1、*2/*3及び*3/*3を保有する健康成人(24例)に本剤0.25mgを単回経口投与したとき、*2/*3及び*3/*3を保有する健康成人のシポニモドのAUCは、*1/*1を保有する健康成人に比べて、それぞれ2.05倍(90%信頼区間:1.71,2.45)及び3.84倍(90%信頼区間:3.22,4.59)高かった(Cmaxはそれぞれ1.21倍[90%信頼区間:1.02,1.44]及び1.16倍[90%信頼区間:0.98,1.37]高かった)。*1/*1、*2/*3及び*3/*3を保有する健康成人におけるシポニモドのt1/2はそれぞれ28、51及び126時間であった13)(外国人データ)。二次性進行型多発性硬化症患者を対象とした母集団薬物動態解析から、CYP2C9*1/*1及び*1/*2を保有する被験者のCL/Fが3.11L/hと推定されたのに対し、*2/*2、*1/*3、*2/*3を保有する被験者ではそれぞれ2.5、1.9及び1.6L/hと推定された。AUCはそれぞれ1.25、1.61、1.91倍に増加すると予測された14),15)。また、第Ⅰ相及び第Ⅱ相試験結果を用いた母集団薬物動態解析から、*3/*3を保有する被験者のCL/Fは0.9L/hと推定され、AUCは3.84倍に増加すると予測された15),16)。,,,,
健康成人(14例)に、フルコナゾール200mgを19日間1日1回反復経口投与し(1日目は1日2回投与)、3日目に本剤4mg注1)を併用で単回経口投与したとき、シポニモドのCmaxは同程度であったが、AUCは1.98倍(90%信頼区間:1.87,2.10)に増加し、t1/2は1.51倍(90%信頼区間:1.34,1.71)に延長した13)(外国人データ)。生理学的薬物動態モデルによるシミュレーション結果から、フルコナゾール200mgを19日間1日1回反復経口投与し(1日目は1日2回投与)、3日目に本剤4mgを併用で単回経口投与したとき、本剤の曝露量は最大で約2.7倍に増加すると予測された。
健康成人(16例)に、本剤2mgを5日間の漸増期間を設け24日間(漸増投与期間を含む)1日1回反復経口投与し、13日目からリファンピシン600mgを併用で1日1回12日間反復経口投与したとき、Cmaxが45%(90%信頼区間:42,48)減少し、AUCが57%(90%信頼区間:55,59)減少した17)(外国人データ)。生理学的薬物動態モデルによるシミュレーション結果から、本剤2mgを単独で12日間1日1回反復経口投与したときと、リファンピシン600mgを1日2回併用投与したときで比較すると、本剤の曝露量は最大で76%低下すると予測された。
健康成人女性(24例)に経口避妊薬(エチニルエストラジオール30µg及びレボノルゲストレル150µgの配合剤)を21日間反復投与し、その後本剤4mg注1)を6日間の漸増期間を設け27日間(漸増投与期間を含む)1日1回反復経口投与し、7日目から経口避妊薬を21日間併用反復投与した。経口避妊薬の薬物動態及び薬力学的作用に臨床的に重要な影響は認められなかった。経口避妊薬の効果は本剤併用下でも保たれた18)(外国人データ)。
健康成人(76例)に、本剤2mgを5日間の漸増期間を設け20日間(漸増投与期間を含む)1日1回反復経口投与し、11日目からプロプラノロール80mgを併用で1日1回10日間反復経口投与、又はプロプラノロール80mgを20日間1日1回反復経口投与し、11日目から本剤2mgを5日間の漸増期間を設け10日間(漸増投与期間を含む)1日1回反復経口投与し、本剤とプロプラノロールの併用投与の負の変時作用を評価した。本剤の定常状態時にプロプラノロールを併用投与したときは相加的な心拍数減少は認められなかったのに対し、プロプラノロールの定常状態時に本剤を併用投与したときの心拍数の減少は相加的であった19)(外国人データ)。,
生理学的薬物動態モデルによるシミュレーション結果から、本剤2mgを単独で12日間1日1回反復経口投与したときと、エファビレンツ600mgを1日1回併用投与したときで、本剤の曝露量はCYP2C9*1/*3及び*2/*3を保有する患者で、それぞれ51%及び44%低下すると予測された。
二次性進行型多発性硬化症患者(1,645例、うち日本人患者23例)を対象として、プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施した。二次性進行型多発性硬化症患者を「時折みられる再発、軽微な寛解及び停滞期を伴うことはあっても、発症初期の再発寛解型の疾患経過後に進行型の経過を示す病型」と定義し、「再発とは無関係な神経学的障害の増大(6ヵ月以上持続)」及び「Expanded Disability Status Scale(EDSS)が3.0以上6.5以下で、試験開始前2年間にEDSSに基づく障害進行が認められた患者」が選択基準として設定された。本剤2mg/日又はプラセボを2:1の比で割り付け、最初の患者が無作為化されてから3年経過した時点で終了とした。なお、本剤の投与開始時の心臓への影響を軽減させるため、本剤の用法及び用量は、1及び2日目に0.25mg、3日目に0.5mg、4日目に0.75mg、5日目に1.25mg、6日目以降は2mgが1日1回経口投与され、漸増期間の6日間は朝に経口投与された。主要評価項目であるEDSSに基づく3ヵ月持続する障害進行は下表のとおりであり、本剤群においてプラセボ群と比較して障害進行の発現リスクが21.2%減少した(p=0.0134)。
投与群
評価例数
障害進行例数
障害進行例の割合
ハザード比(95%信頼区間)
p値
本剤2mg/日群
1096
288
26.3%
0.79(0.65, 0.95)
0.0134
プラセボ群
545
173
31.7%
評価例数:共変量データに欠測のない被験者数
投与群、国又は地域、スクリーニング前2年間の再発の有無、及びベースラインのEDSSスコアを共変量としたCox比例ハザードモデルでハザード比及びその95%信頼区間、p値を算出した。
本試験では、漸増期間中の本剤投与による心拍数減少作用等により盲検性に影響を及ぼさないよう、評価者に応じて独立したデータベースで管理する計画としていたが、一部の評価者に対し誤って異なるデータベースへのアクセス権が付与された。該当する患者を除外した解析においても、全体集団と比較して大きく異なる傾向は認められなかった。
Kaplan-Meier法で推定したEDSSに基づく3ヵ月持続する障害進行の累積発現率は下図のとおりであり、本剤群ではプラセボ群に比べ障害進行が有意に遅延した(p=0.0129、log-rank検定)。
年間再発率(副次的評価項目)の負の二項回帰モデルによる推定値は下表のとおりであり、本剤群において、プラセボ群と比較して年間再発率が55.5%低下した(p<0.0001)。
年間再発率の推定値
年間再発率の低下率
年間再発率比(95%信頼区間)
0.071(0.055、0.092)
55.5%
0.445(0.337、0.587)
<0.0001
0.160(0.123、0.207)
負の二項回帰モデルを用いて解析した。投与群、国又は地域、スクリーニング前2年間の再発の有無、ベースラインのEDSSスコア、及びベースラインのガドリニウム(Gd)造影病変数を共変量とし、コアパート参加年数の自然対数をオフセット変数としてモデルに含めた。
コアパートでの副作用発現率は、本剤群で47.7%(524/1,099例)であった。主な副作用は、頭痛5.3%(58/1,099例)、高血圧4.5%(50/1,099例)、徐脈4.5%(49/1,099例)等であった。
健康成人(304例)に本剤2mg及び10mg注2)又はプラセボを漸増期間を設け1日1回反復投与したとき、時間を一致させたベースライン値及びプラセボ群の値で補正したQTcF変化量(ΔΔQTcF)の平均値と両側90%信頼区間は、本剤投与3時間後に最大値(2mg群で7.83msec[5.80, 9.86]、10mg群で7.20msec[4.72, 9.69])を示し、両側90%信頼区間の上限は閾値の10msecを下回った。なお、国際共同第Ⅲ相試験では、500msec超又はベースラインから60msec超のQTcF延長を示した患者が本剤群で、各々、漸増期間に0.1%及び0.3%、維持期間に0%及び0.3%認められた。,
健康成人(各14例)を対象にシポニモドを0.25mg及び10mg注2)を反復経口投与したとき、心拍数は以下のように推移した(外国人データ)。,,,,,,,,
シポニモドは5種類のスフィンゴシン1-リン酸(S1P)受容体サブタイプのうちS1P1及びS1P5受容体に選択性を示す。S1P1受容体に結合し内在化を誘導することで、S1P1受容体の機能的アンタゴニストとして作用する20)。S1P5受容体に結合するものの、内在化を誘導せず、S1P5受容体のアゴニストとして作用する21)。
シポニモドはS1P1受容体に対する機能的アンタゴニスト作用により二次リンパ組織からのリンパ球の移出を抑制し、血中リンパ球数を減少させる。自己反応性リンパ球も同様に二次リンパ組織からの移出が抑制されるため、中枢神経系(CNS)局所への浸潤が抑制される8),20)。
シポニモドはCNSへの移行性を有し22)、in vitroの検討においてS1P1受容体を介してアストロサイトの活性化を抑制すること23)、及びin vitro又はアフリカツメガエルのオタマジャクシの検討においてS1P5受容体を介してオリゴデンドロサイトの再ミエリン化を促進することが明らかにされている24),25)。
多発性硬化症の動物モデルであるマウスの慢性型EAEにおいて、血中リンパ球数に有意な影響を与えない用量を脳室内投与したとき、シポニモドは神経症状スコアを改善し、CNSに対して直接的な神経保護作用を示した26)。
シポニモド フマル酸(Siponimod Fumaric Acid)
1-({4-[(1E)-1-({[4-Cyclohexyl-3-(trifluoromethyl)phenyl]methoxy}imino)ethyl]-2-ethylphenyl}methyl)azetidine-3-carboxylic acid hemifumaric acid
(C29H35F3N2O3)2・C4H4O4
1,149.26
白色の粉末。水にほとんど溶けず、エタノール(99.5)に溶けにくい。
(0.25mg×12錠)×1パック
14錠(PTP)×1シート
1) 社内資料:日本人の薬物動態試験(2020年6月29日承認、CTD2.7.6-2.1.1)[20200203]
2) 社内資料:反復投与時の薬物動態試験(2020年6月29日承認、CTD2.7.2-2.2.1.3)[20200204]
3) Shakeri-Nejad K, et al.:Clin Ther. 2015;37(11):2489-2505[20200205]
4) 社内資料:第Ⅲ相試験での血漿中濃度(2020年6月29日承認、CTD2.7.6-4.1.1)[20200206]
5) 社内資料:絶対バイオアベイラビリティ試験(2020年6月29日承認、CTD2.7.6-1.1.1)[20200207]
6) 社内資料:食事の影響試験(2020年6月29日承認、CTD2.7.6-1.2.2)[20200208]
7) 社内資料:血球移行の評価試験(2020年6月29日承認、CTD2.7.2-2.1)[20200209]
8) 社内資料:マウスEAEに対する急性期投与での効果(経口)(2020年6月29日承認、CTD2.6.2-2.3.2.2)[20200223]
9) Glaenzel U, et al.:Drug Metab Dispos. 2018;46(7):1001-1013[20200210]
10) 社内資料:ADME試験(2020年6月29日承認、CTD2.7.6-2.1.5)[20200212]
11) Gardin A, et al.:Int J Clin Pharmacol Ther. 2017;55(1):54-65[20200213]
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15) 社内資料:特別な患者集団での薬物動態(2020年6月29日承認、CTD2.7.2-1.2.1.3)[20200220]
16) 社内資料:第Ⅰ相及び第Ⅱ相試験の母集団薬物動態解析(2020年6月29日承認、CTD2.7.2-3.1.8.1)[20200216]
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