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劇薬
処方箋医薬品注)
発作性夜間ヘモグロビン尿症
通常、成人にはイプタコパンとして1回200mgを1日2回経口投与する。
髄膜炎菌感染症に罹患しやすくなるおそれがある。,,
特に莢膜形成細菌(髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌等)による感染症が悪化するおそれがある。,,,
患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。本剤の血中濃度が上昇し、本剤の副作用が増強されるおそれがある。
患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。非結合型の血中イプタコパン濃度が上昇し、本剤の副作用が増強されるおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。雌ラットを用いた受胎能及び着床までの初期胚発生試験において、臨床用量の5.4倍の曝露(AUC)で、着床前及び着床後胚死亡率の高値、並びに生存胎児数の低値が認められている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤の母乳中への移行は不明である。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
CYP2C8を阻害する薬剤
本剤の副作用が増強されるおそれがあるため、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。
これらの薬剤のCYP2C8阻害作用により、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
OATP1B1及びOATP1B3を阻害する薬剤
これらの薬剤のOATP1B1及びOATP1B3阻害作用により、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
CYP3A4の基質となる薬剤
これらの薬剤の有効性が減弱するおそれがある。
本剤のCYP3A4誘導作用により、これらの薬剤の血中濃度が低下する可能性がある。
CYP2C8の基質となる薬剤
これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるため、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。
本剤のCYP2C8阻害作用により、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
髄膜炎又は敗血症を発症し、急速に生命を脅かす、あるいは死亡に至るおそれがある。本剤の投与に際しては、当該感染症の初期徴候(発熱、頭痛、項部硬直、羞明、精神状態の変化、痙攣、悪心・嘔吐、紫斑、点状出血等)等の観察を十分に行うこと。髄膜炎菌感染症が疑われた場合には、直ちに診察し、抗菌剤の投与等の適切な処置を行うこと。,,,,
肺炎球菌、インフルエンザ菌等の莢膜形成細菌による重篤な感染症があらわれることがある。,,,
5%以上
5%未満
頻度不明
血液およびリンパ系障害
血小板数減少
―
胃腸障害
下痢、腹痛、悪心
感染症および寄生虫症
上気道感染、尿路感染、気管支炎
細菌性肺炎
筋骨格系および結合組織障害
関節痛
神経系障害
頭痛
浮動性めまい
皮膚および皮下組織障害
蕁麻疹
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
日本人健康成人(24例)に本剤25、100及び400mg注1)を単回経口投与したとき、投与1.5~2.25時間後(中央値)にCmaxに到達し、曝露量は用量比を下回った。T1/2は13.2~24.7時間であった1)。
薬物動態パラメータ
25mgn=8
100mgn=8
400mgn=8
Cmax(ng/mL)
1160 ± 254
2460 ± 735
7990 ± 1360
AUClast(ng・h/mL)
12400 ± 3240
28300 ± 8930
78300 ± 23600
Tmax(h)※
1.50(1.00~3.00)
1.75(1.00~2.50)
2.25(1.00~3.00)
T1/2(h)
13.2 ± 2.15
15.1 ± 3.64
24.7 ± 15.6
平均値±標準偏差 ※中央値(最小値~最大値)
健康成人(6例)に本剤200mgを1日2回反復経口投与したとき、投与約2時間後(中央値)にCmaxに到達した。トラフ濃度の推移から投与約5日目で定常状態に達し、投与14日目の累積率は約1.4であった。本剤200mgを1日2回反復経口投与したときの、定常状態におけるイプタコパンのT1/2は、25時間であった。本剤25mg~200mg注1)1日2回反復経口投与したとき、25~100mgの用量間では曝露量の増加は用量比を下回ったが、100mg及び200mg間では概ね用量に比例して曝露量が増加した2)(外国人データ)。
健康成人(12例)に本剤100mg注1)を空腹時及び高脂肪食摂取後に単回経口投与したとき、イプタコパンの曝露量は食事による影響を受けなかった2)(外国人データ)。
イプタコパンは全身循環血中でB因子に結合することにより濃度依存的な血漿蛋白結合を示した。イプタコパンの1000~10000ng/mLの血漿中濃度において、血漿蛋白結合率は75%~93%であった3)(in vitro)。
健康成人(6例)に本剤200mgを1日2回反復経口投与したとき、定常状態における見かけの分布容積は288Lであった2)(外国人データ)。
イプタコパンの主な消失経路は代謝であった。イプタコパンの代謝にはN-脱アルキル化、O-脱エチル化、酸化等があり、主にCYP2C8(酸化的代謝における寄与率98%)により代謝される4)。健康成人に14C標識した本剤100mg注1)を単回経口投与したときの血漿中の主な成分は未変化体であるイプタコパンであり、血漿中総放射能のAUC0-48hの83.0%であった5)(外国人データ)。
健康成人に14C標識した本剤100mg注1)を単回経口投与したときの、総放射能(イプタコパン及び代謝物)の平均総排泄率は、投与量のそれぞれ便中71.5%及び尿中24.8%であり、投与量の96%以上が排泄された。未変化体として投与量の17.9%が尿中に、16.8%が便中に排泄された5)(外国人データ)。
母集団薬物動態解析を用いて、発作性夜間ヘモグロビン尿症患者における腎機能障害がイプタコパンの曝露量に及ぼす影響を評価した結果、腎機能が正常な患者(98例)、軽度(eGFR60以上、90mL/min/1.73m2未満)(45例)、中等度(eGFR 30以上、60mL/min/1.73m2未満)(17例)及び重度(eGFR 30mL/min/1.73m2未満)(1例)の腎機能障害患者におけるイプタコパンのAUCtauの平均値は、それぞれ32100、37500、43800及び47000ng・h/mL、Cmaxの平均値はそれぞれ3940、4480、5170及び5610ng/mLと推定された。なお、透析患者については評価を行っていない。
軽度(Child-Pugh分類A)、中等度(Child-Pugh分類B)又は重度(Child-Pugh分類C)の肝機能障害患者に本剤200mgを単回経口投与し、肝機能障害がイプタコパンの曝露量に及ぼす影響を評価した。血漿中のイプタコパンについて、軽度の肝機能障害患者(8例)ではCmaxが約1.04倍に増加したが、中等度(8例)又は重度(6例)の肝機能障害患者では変化は認められなかった。軽度及び重度の肝機能障害患者ではいずれもAUCinfが1.03倍に増加したが、中等度の肝機能障害患者では変化は認められなかった。その一方、血漿中の非結合型のイプタコパンについて、軽度、中等度及び重度の肝機能障害患者でCmaxはそれぞれ1.38倍、1.67倍及び2.11倍に増加した。また、AUCinfはそれぞれ1.48倍、1.58倍及び3.71倍に増加した6)(外国人データ)。
健康成人(18例)にクロピドグレル(CYP2C8阻害剤)を投与初日に300mg、2日目から75mgを1日1回4日間反復経口投与し、2日目に本剤100mg注1)を単回投与したとき、本剤の単独投与時に対するクロピドグレル併用時のイプタコパンのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ1.05及び1.36であった7)(外国人データ)。
健康成人(20例)にシクロスポリン(OATP1B1/1B3阻害剤)175mgを1日2回4日間反復経口投与し、1日目に本剤100mg注1)を単回投与したとき、本剤の単独投与時に対するシクロスポリン併用時のイプタコパンのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ1.41及び1.50であった7)(外国人データ)。
健康成人(17例)に本剤200mgを1日2回15日間反復経口投与し、投与6日目にジゴキシン(P-gpの基質)0.25mg及びロスバスタチン(OATP1B1/1B3の基質)10mgを単回投与したとき、ジゴキシンの単独投与時に対する本剤併用時のCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ1.08及び1.02であった。ロスバスタチンの単独投与時に対する本剤併用時のCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ1.00及び1.01であった7)(外国人データ)。
In vitro試験においてイプタコパンはCYP2C8の阻害作用及びCYP3A4の誘導作用を示した8)。
注1)本剤の承認された用法及び用量は、「通常、成人にはイプタコパンとして1回200mgを1日2回経口投与する」である。
補体C5阻害剤(エクリズマブ又はラブリズマブ)による治療を行ってもヘモグロビン(Hb)値が10g/dL未満である発作性夜間ヘモグロビン尿症患者97例(日本人9例を含む)を対象として、多施設共同ランダム化非盲検実薬対照並行群間比較試験を実施した。なお、治験薬初回投与2週間前までの髄膜炎菌ワクチン接種を必須とし、肺炎球菌及びインフルエンザ菌に対するワクチンも、実施国又は地域で使用可能であれば接種することとした。また、接種から2週間以内に本剤の投与を開始する必要がある場合は、抗菌剤を予防投与することとした。試験は24週間の主要評価期(本剤又は補体C5阻害剤を投与)、及び24週間の継続投与期(本剤を投与)で構成された。本剤は、1回200mgを1日2回経口投与した。主要評価項目である「無輸血でDay126~168にHb値のベースラインから2g/dL以上の増加」及び「無輸血でDay126~168にHb値12g/dL以上」と定義する奏効の有無について、奏効患者数及び調整群間差は以下のとおりであり、いずれにおいても補体C5阻害剤に対する本剤の優越性が検証された。
本剤群(62例、うち日本人6例)
補体C5阻害剤群(35例、うち日本人3例)
無輸血でHb値2g/dL以上の増加
奏効患者数a)
51/60例
0/35例
調整群間差(本剤群-補体C5阻害剤群)[95%信頼区間]p値b) c)
80.2%[71.2, 87.6]<0.0001
無輸血でHb値12g/dL以上
42/60例
67.0%[56.4, 76.9]<0.0001
a) 観察データに基づく評価可能症例のうちの奏効患者数b) 投与群を独立変数とし、前治療の補体C5阻害剤の種類、無作為化前6ヵ月の輸血歴の有無、性、年齢(45歳以上/未満)、ベースラインのヘモグロビン値(9g/dL以上/未満)を共変量とするFirth補正を用いた共通の切片を持つロジスティック回帰モデルにより算出。調整群間差はモデルから算出した各被験者の予測奏効確率に対する群ごとの平均値の差であり、95%信頼区間はbootstrap法を用いた。c) 有意水準は片側0.0125
継続投与期終了時の本剤投与による副作用発現割合は、21.9%(21/96例)であった。主な副作用は頭痛5.2%(5/96例)、血小板数減少及び悪心4.2%(4/96例)、下痢及び関節痛3.1%(3/96例)であった9)。,,
イプタコパンは補体B因子に結合してその活性を阻害することで、C3転換酵素の活性を阻害して補体第二経路の活性化を阻害し、下流のC5転換酵素形成を含むカスケード反応を阻止する。発作性夜間ヘモグロビン尿症患者において、イプタコパンは膜侵襲複合体形成を阻害して血管内溶血を抑制するとともに、C3フラグメントのオプソニン化を阻害して血管外溶血を抑制する。
イプタコパンは競合結合アッセイでレポーター分子の補体B因子触媒ドメインへの結合を阻害した(IC50値:9.6nM)10)(in vitro)。
イプタコパン塩酸塩水和物(Iptacopan Hydrochloride Hydrate)
4-{(2S,4S)-4-Ethoxy-1-[(5-methoxy-7-methyl-1H-indol-4-yl)methyl]piperidin-2-yl}benzoic acid monohydrochloride monohydrate
C25H30N2O4・HCl・H2O
476.99
白色~薄い帯紫赤白色の粉末である。
14カプセル[14カプセル(PTP)×1]
1) 社内資料:日本人健康被験者を対象とした単回投与試験(X1102試験)(2024年6月24日承認、CTD2.7.2-2.2.1)[20240082]
2) 社内資料:外国人健康被験者を対象とした単回又は反復投与試験及び食事の影響試験(X2101試験)(2024年6月24日承認、CTD2.7.2-2.2.2)[20240083]
3) 社内資料:血球移行性及び血漿蛋白結合(2024年6月24日承認、CTD2.7.2-2.1.1)[20240084]
4) 社内資料:代謝(2024年6月24日承認、CTD2.7.2-2.1.2)[20240085]
5) 社内資料:マスバランス試験(A2101試験)(2024年6月24日承認、CTD2.7.2-2.2.3)[20240086]
6) 社内資料:肝機能障害患者を対象とした薬物動態試験(A2105試験)(2024年6月24日承認、CTD2.7.2-2.4.1)[20240089]
7) 社内資料:薬物間相互作用試験(A2104試験)(2024年6月24日承認、CTD2.7.2-2.5.1)[20240090]
8) 社内資料:In vitro試験(2024年6月24日承認、CTD2.7.2-3.4.1)[20240095]
9) 社内資料:国際共同第III相試験(C12302/APPLY-PNH試験)(2024年6月24日承認、CTD2.7.6-4.1.1)[20240096]
10) 社内資料:In vitro活性の検討(2024年6月24日承認、CTD2.6.2-2.1)[20240092]
11) Schubart A, et al.: PNAS. 2019;116(16):7926-7931[20240093]
12) 社内資料:In vivoラット受動的ヘイマン腎炎モデルの検討(2024年6月24日承認、CTD2.6.2-2.3.2.2)[20240094]
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*本剤は新医薬品であるため、厚生労働省告示第97号(平成20年3月19日付)に基づき、2025年8月末日までは、投薬期間は1回14日分を限度とされています。
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