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劇薬
処方箋医薬品注)
結節性硬化症
成人の結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫の場合通常、エベロリムスとして10mgを1日1回、用時、水に分散して経口投与する。なお、患者の状態やトラフ濃度により適宜増減する。上記以外の場合通常、エベロリムスとして3.0mg/m2を1日1回、用時、水に分散して経口投与する。なお、患者の状態やトラフ濃度により適宜増減する。
グレード注)(症状)
投与の可否等
グレード1(無症候性の画像所見)
投与継続
グレード2(症候性:日常生活に支障なし)
症状が改善するまで休薬すること。投与を再開する場合は、半量の投与とする。
グレード3(症候性:日常生活に支障あり、酸素療法を要する)
本剤の投与を中止し、原則として再開しないこと。ただし、症状が改善し、かつ治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合のみ、半量の投与で再開可能とする。
グレード4(生命を脅かす:人工呼吸を要する)
投与中止
注)NCI-CTCAE v.3.0
胸部CT検査を実施し、咳嗽、呼吸困難、発熱等の臨床症状の有無と併せて、投与開始の可否を慎重に判断すること。
定期的に胸部CT検査を実施し、肺の異常所見の有無を慎重に観察すること。
なお、小児に対する胸部CT検査の実施に際しては、診断上の有益性と被曝による不利益を考慮すること。,,,
間質性肺疾患が発症、重症化するおそれがある。,,,
免疫抑制により感染症が悪化するおそれがある。,
免疫抑制により肝炎ウイルス、結核等が再活性化することがある。また、B型肝炎ウイルスキャリアの患者又はHBs抗原陰性の患者においてB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがある。,,
減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。また、本剤の血中トラフ濃度に基づいて投与量を調節すること。本剤の血中濃度が上昇するとの報告がある。,
妊娠可能な女性には、本剤投与期間中及び治療終了から最低8週間は適切な避妊法を用いるよう指導すること。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット及びウサギ)で胚・胎児毒性を含む生殖発生毒性が認められたとの報告がある。,
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)において乳汁中に移行することが報告されている。
低出生体重児、新生児又は乳児を対象とした臨床試験は実施していない。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。
生ワクチン(乾燥弱毒生麻しんワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチン、経口生ポリオワクチン、乾燥BCG等)
免疫抑制下で生ワクチンを接種すると発症するおそれがあるので併用しないこと。
免疫抑制下で生ワクチンを接種すると増殖し、病原性をあらわす可能性がある。
リファンピシンリファブチン
本剤の血中濃度が低下することがあるので、併用する場合には治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ使用すること。やむを得ず併用する場合には、本剤の有効性が減弱する可能性があることを考慮すること。
これらの薬剤の代謝酵素(CYP3A4等)誘導作用により本剤の代謝が促進されると考えられる。
抗てんかん剤
抗HIV剤
副腎皮質ホルモン剤
本剤の血中濃度が低下するおそれがある。併用する場合には、本剤の有効性が減弱する可能性があることを考慮すること。
アゾール系抗真菌
本剤の血中濃度が上昇することがあるので、併用する場合には治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ使用すること。やむを得ず併用する場合には、本剤を減量することを考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。
代謝酵素(CYP3A4等)の抑制又は競合により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。
マクロライド系抗生物質
カルシウム拮抗剤
HIVプロテアーゼ阻害剤
本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。併用する場合には、本剤を減量することを考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。
オムビタスビル・パリタプレビル・リトナビル
本剤のAUCが27倍、Cmaxが4.7倍に上昇したとの報告がある。やむを得ない場合を除き併用は避けること。やむを得ず併用する場合には、本剤を減量することを考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。
リトナビルのCYP3A4阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。
不活化ワクチン
ワクチンの効果が得られないおそれがある。
免疫抑制作用によってワクチンに対する免疫が得られないおそれがある。
セイヨウオトギリソウ(St.John’s Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
本剤の血中濃度が低下するおそれがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意すること。
セイヨウオトギリソウの代謝酵素誘導作用により本剤の代謝が促進されると考えられる。
グレープフルーツジュース
本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、本剤服用時は飲食を避けること。
グレープフルーツジュースが腸管の代謝酵素を阻害することによると考えられる。
シクロスポリン
本剤のバイオアベイラビリティが有意に増加したとの報告がある。併用する場合には、本剤を減量することを考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。
代謝酵素(CYP3A4等)の競合により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。
ミダゾラム(経口剤:国内未販売)等
ミダゾラム(経口剤:国内未販売)との併用により、ミダゾラムのCmaxが25%、AUCが30%上昇したとの報告がある。
本剤がCYP3A4の基質となる薬剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性がある。
間質性肺疾患(肺臓炎、間質性肺炎、肺浸潤、胞隔炎、肺胞出血、肺毒性等を含む)があらわれることがあり、未回復のまま死亡に至った例が報告されている。咳嗽、呼吸困難、発熱等の臨床症状がみられた患者で、感染、腫瘍及びその他の医学的な原因が適切な検査で除外された場合には、間質性肺疾患の診断を考慮し、必要に応じて肺機能検査(肺拡散能力[DLCO]、酸素飽和度等)及び追加の画像検査を実施すること。,,,
細菌、真菌、ウイルスあるいは原虫による重篤な感染症(ニューモシスチス肺炎を含む肺炎、アスペルギルス症、カンジダ症、敗血症等)や日和見感染が発現又は悪化することがあり、死亡に至った症例が報告されている。また、B型肝炎ウイルスの再活性化により、肝不全に至り、死亡した症例が報告されている。さらに、結節性硬化症患者を対象とした臨床試験において、6歳未満の患者で感染症の頻度及び重篤度が高くなったとの報告がある。これらの感染症の診断がされた場合、直ちに本剤を休薬又は中止し、適切な処置を行うこと。侵襲性の全身性真菌感染の診断がされた場合、直ちに本剤の投与を中止し、適切な抗真菌剤を投与すること。この場合は、本剤の投与は再開しないこと。,,,
重篤な腎障害があらわれることがあり、腎不全が急速に悪化した例も報告されている。
血小板減少が生じた結果、消化管出血等の出血に至った症例も報告されている。
口内炎、口腔粘膜炎及び口腔内潰瘍等があらわれることがある。
アナフィラキシー(呼吸困難、顔面紅潮、胸痛、血管浮腫等)があらわれることがある。
急速に進行する呼吸困難、低酸素症、両側性びまん性肺浸潤影等の胸部X線異常等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
悪性リンパ腫、リンパ増殖性疾患、悪性腫瘍(特に皮膚)があらわれることがある。
創傷治癒不良(0.2%)や創傷治癒不良による創傷感染(0.1%)、瘢痕ヘルニア(頻度不明)、創離開(0.1%未満)等の合併症があらわれることがある。
本剤の治療期間中及び治療終了後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状があらわれた場合は、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
溶血性尿毒症症候群(HUS:血小板減少、溶血性貧血、腎不全を主徴とする)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)様症状(血小板減少、微小血管性溶血性貧血、腎機能障害、精神症状を主徴とする)等の血栓性微小血管障害があらわれることがある。
10%以上
1%~10%未満
1%未満
頻度不明
代謝・栄養
食欲減退、高コレステロール血症
低リン酸血症、脱水、低カリウム血症、高トリグリセリド血症、高脂血症、低比重リポ蛋白(LDL)増加
鉄欠乏、低血糖症
血中カリウム増加
精神・神経系
味覚異常
頭痛、不眠症
激越、味覚消失、攻撃性、痙攣
―
眼
結膜炎
心血管系
高血圧
うっ血性心不全
呼吸器
咳嗽
鼻出血、呼吸困難
喀血、咽頭の炎症
消化器
下痢、悪心
嘔吐、口内乾燥、腹痛、消化不良、鼓腸、便秘、歯肉炎
胃腸潰瘍、嚥下障害、胃炎
肝臓
AST、ALT、γ-GTP、ALPの増加
血中ビリルビン増加
皮膚
発疹(紅斑、丘疹、斑状丘疹状皮疹、全身性皮疹、斑状皮疹)
そう痒症、皮膚乾燥、手足症候群、ざ瘡、爪の障害、ざ瘡様皮膚炎
血管浮腫
白血球破砕性血管炎
筋骨格系
関節痛
腎臓・泌尿器
血中クレアチニン増加、蛋白尿
昼間頻尿
生殖器
不規則月経、無月経
月経過多、月経遅延、男性性腺機能低下(テストステロン減少、黄体形成ホルモン増加、卵胞刺激ホルモン増加)、卵巣嚢胞、無精子症
全身症状
疲労、無力症、浮腫
体重減少、発熱、粘膜の炎症
胸痛、易刺激性、歩行障害
その他
LDH増加、出血(膣出血、網膜出血、メレナ、血尿等)注)
血中フィブリノーゲン減少、高クレアチン血症、APTT 延長、血中アルブミン減少
血中IgG減少
ラットを用いた雄性授胎能試験では、0.5mg/kg以上の用量で精巣の形態に影響が認められたほか、5mg/kg用量(治療量の範囲内)で精子運動能、精子数及び血漿中テストステロン濃度が減少し、これに伴って雄の授胎能が低下した。これらの所見は休薬による回復傾向がみられた。
進行性固形癌患者にアフィニトール錠を用い、2.5、5又は10mg注1)を1日1回反復経口投与したとき、血中濃度は投与後約1~2時間で最高濃度に達した。初回投与及び定常状態(投与開始15日目)におけるCmax及びAUC0-24hは用量に比例して増加した。初回投与及び定常状態のAUC0-24h比から計算した累積率は1.6~2.6であった1)。注1)本剤の承認された用量は10mg又は3.0mg/m2を1日1回である。
投与量
薬物動態パラメータ
2.5mg(N=3)
5mg(N=3)
10mg(N=3)
投与初日
Tmax(h)
1.98(0.98~2.00)
1.00(1.00~1.95)
2.00(1.92~2.00)
Cmax(ng/mL)
15.1±2.48
31.5±3.40
49.4±14.8
AUC0-24h(ng・h/mL)
85.2±18.7
211±50.0
401±51.6
定常状態(Day 15)
1.92(1.00~1.98)
1.98(1.93~1.98)
2.02(2.00~2.20)
16.8±1.33
57.6±17.6
65.9±1.40
134±24.1
543±189
711±113
Tmaxは中央値(最小値~最大値)、他は平均値±標準偏差
外国人健康成人にアフィニトール錠5mg又は分散錠5mg(国内における承認規格は2及び3mgである。)を単回経口投与した結果、AUC0-144hの幾何平均比の90%信頼区間は0.8~1.25の範囲内であったが、分散錠のAUC0-144hは10%低く、Cmaxは20%低かった2)。,
アフィニトール錠(N=53)
分散錠(N=53)
幾何平均比※(90%信頼区間)
32.0
25.8
0.80(0.75,0.86)
AUC0-144h(ng・h/mL)
238.3
214.3
0.90(0.85,0.95)
数値は幾何平均値※アフィニトール錠に対する分散錠の幾何平均比
外国人健康成人に臨床試験錠1mg又は分散錠5mg(国内における承認規格は2及び3mgである。)を単回経口投与した結果、分散錠のAUC0-144hは14%低く、Cmaxは36%低かった3)。
臨床試験錠(N=51)
分散錠(N=51)
39.8
25.4
0.64(0.60,0.68)
239.2
205.2
0.86(0.79,0.93)
数値は幾何平均値※臨床試験錠に対する分散錠の幾何平均比
外国人健康成人に本剤を高脂肪食摂取後に投与したときのTmaxは、空腹時に比べて2.5時間遅延した。これに伴い、Cmaxは60%低下し、AUC0-infは12%低下した。低脂肪食摂取後に投与したときにも同様の結果が得られ、Tmaxは空腹時に比べて2時間遅延し、Cmaxは50%低下、AUC0-infは30%低下した。T1/2は空腹時、高脂肪食摂取後及び低脂肪食摂取後でそれぞれ31.1、30.6及び31.5時間であり、食事による差はみられなかった4)。
エベロリムスの血球移行率は濃度に依存し、血中濃度が5ng/mLから5,000ng/mLに増加したとき、血球移行率は83%から27%に低下した(in vitro)5)。アフィニトール錠を用いて10mg/日を投与したときの血中濃度に相当する濃度では、血球移行率は約80%であった。外国人健康成人及び中等度の肝機能障害を有する外国人被験者における血漿蛋白結合率は約74%であった6)。
エベロリムスは主としてCYP3A4によって代謝される(in vitro)7)。外国人腎移植患者に14C標識したエベロリムスを単回経口投与したとき、エベロリムスは主に未変化体として血液中に存在し、その他の主な代謝物として3種の水酸化体及び環状ラクトンの加水分解による2種の開環体及びフォスファチジルコリン抱合体が検出された8)。
外国人腎移植患者に14C標識したエベロリムスを単回経口投与したとき、投与した放射能の約80%は糞中に排泄され、尿中には約5%が排泄された。なお、尿及び糞中に未変化体は検出されなかった8)。
外国人固形癌患者のデータを用いて母集団薬物動態解析を実施した結果、クレアチニンクリアランス(25~178mL/min)はエベロリムスの見かけの全身クリアランス(CL/F)に対して有意な影響を及ぼさないことが示唆された9)。
外国人成人において、エベロリムスの血中濃度は肝機能障害により上昇し、軽度(Child-Pugh分類クラスA)、中等度(Child-Pugh分類クラスB)及び重度(Child-Pugh分類クラスC)の肝機能障害を有する被験者にアフィニトール錠を用いて10mgを単回経口投与したときのAUC0-infは、肝機能の正常な被験者のそれぞれ1.6倍、3.3倍、3.6倍であった10)。小児において、エベロリムスの薬物動態に対する肝機能障害の影響は検討されていない。
外国人固形癌患者のデータを用いて母集団薬物動態解析を実施した結果、年齢(27~85歳)はエベロリムスのCL/Fに対して有意な影響を及ぼさないことが示唆された9)。
結節性硬化症又は孤発性リンパ脈管筋腫症に伴う長径3cm以上の腎血管筋脂肪腫患者注1)を対象に、プラセボを対照群としてアフィニトール錠注2)10mgを食直後に連日経口投与を行った。合計118例(日本人患者10例を含む)がエベロリムス群(79例)又はプラセボ群(39例)に無作為割付けされた。年齢の中央値は31.0(範囲:18.0~61.0)歳であった。主要評価項目である腎血管筋脂肪腫に対する奏効率は、エベロリムス群41.8%、プラセボ群0%であり、プラセボ群と比較してエベロリムス群で有意に高かった(無作為化時の酵素誘導作用性抗てんかん薬使用の有無により層別化したCochran-Mantel-Haenszelの正確検定p<0.0001)(盲検期最終解析時データ:2011年6月カットオフ)13)。副作用発現頻度は、エベロリムス投与例(プラセボからエベロリムス投与へ切り替えた患者を含む)で99.1%(111/112例、日本人10例を含む)であった。主な副作用は、口内炎(口腔内潰瘍等を含む)70.5%(79例)、感染症57.1%(64例)、高コレステロール血症30.4%(34例)、ざ瘡25.9%(29例)、出血(膣出血、網膜出血、メレナ、血尿等)20.5%(23例)、無月経16.1%(18例)、疲労15.2%(17例)、白血球減少15.2%(17例)、高脂血症13.4%(15例)、低リン酸血症13.4%(15例)、下痢12.5%(14例)、悪心11.6%(13例)、末梢性浮腫11.6%(13例)、不規則月経11.6%(13例)、頭痛10.7%(12例)、血中コレステロール増加10.7%(12例)等であった(2015年2月カットオフ)。注1)孤発性リンパ脈管筋腫症に伴う腎血管筋脂肪腫は未承認注2)本試験で使用されたアフィニトール錠と分散錠の生物学的同等性は示されていない。
結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫患者を対象に、アフィニトール錠注3)(開始用量3.0mg/m2の1日1回又は隔日投与、血中トラフ濃度を測定し5~15ng/mLを目標に投与量を調節)を同一時刻に経口投与した(投与量範囲1.25~17.5mg/日)。合計28例にエベロリムスが投与された。年齢の中央値は11.0(範囲:3~34)歳であった。主要評価項目の上衣下巨細胞性星細胞腫の最大病変の体積変化は、ベースライン時は中央値1.74(範囲:0.49~14.23)cm3であったのに対し、6ヵ月時点は中央値0.93(範囲:0.31~7.98)cm3であり、中央値で0.80(範囲:0.06~6.25)cm3の有意な縮小が認められた(片側Wilcoxon signed rank検定p<0.001)(2010年12月カットオフ)11)。副作用発現頻度は、エベロリムス群で100%(28/28例)であった。主な副作用は、感染症100%(28例)、口内炎(口腔内潰瘍等を含む)92.9%(26例)、ざ瘡28.6%(8例)、発熱28.6%(8例)、ざ瘡様皮膚炎25.0%(7例)、下痢21.4%(6例)、高トリグリセリド血症17.9%(5例)、血中コレステロール増加14.3%(4例)、血中トリグリセリド増加14.3%(4例)、咳嗽14.3%(4例)、蛋白尿14.3%(4例)、好中球減少10.7%(3例)、鼻漏10.7%(3例)等であった(2014 年1月カットオフ)。注3)本試験で使用されたアフィニトール錠と分散錠の生物学的同等性は示されていない。
結節性硬化症に伴う長径1cm以上の上衣下巨細胞性星細胞腫患者を対象に、プラセボを対照群として臨床試験錠1mg注4,5)(開始用量4.5mg/m2/日注6)、血中トラフ濃度を測定し5~15ng/mLを目標に投与量を調節)を食直後に連日経口投与を行った(投与量範囲1~22mg/日)。合計117例がエベロリムス群(78例)又はプラセボ群(39例)に無作為割付けされた。年齢の中央値は9.5(範囲:0.8~26.6)歳であった。主要評価項目である上衣下巨細胞性星細胞腫に対する奏効率は、エベロリムス群34.6%、プラセボ群0%であり、プラセボ群と比較してエベロリムス群で有意に高かった(無作為化時の酵素誘導作用性抗てんかん薬使用の有無により層別化したCochran-Mantel-Haenszelの正確検定p<0.0001)(盲検期最終解析時データ:2011年3月カットオフ)14)。副作用発現頻度は、エベロリムス投与例(プラセボからエベロリムス投与へ切り替えた患者を含む)で89.2%(99/111例)であった。主な副作用は、口内炎(口腔内潰瘍等を含む)66.7%(74例)、感染症46.8%(52例)、好中球減少14.4%(16例)、高コレステロール血症11.7%(13例)、血中コレステロール増加11.7%(13例)、発熱10.8%(12例)等であった(2014年10月カットオフ)。注4)本試験で使用された臨床試験錠1mgとアフィニトール分散錠との生物学的同等性は示されていない。注5)臨床試験錠1mgとアフィニトール分散錠の薬物動態に関しては「16.薬物動態」の項参照注6)本剤の承認された開始用量は、アフィニトール錠と同じ3.0mg/m2である。
抗てんかん薬の単剤又は併用による2種類以上のレジメンで十分な発作抑制効果が得られない結節性硬化症に伴うてんかん部分発作注7)患者を対象に、プラセボを対照群として、1~3種類の抗てんかん薬の併用下で、本剤を年齢とCYP3A4又はPgp誘導剤の併用の有無に応じた用量(10歳未満でCYP3A4又はPgp誘導剤の併用あり:9.0mg/m2/日、10歳以上18歳未満でCYP3A4又はPgp誘導剤の併用あり:8.0mg/m2/日、18歳以上でCYP3A4又はPgp誘導剤の併用あり:5.0mg/m2/日、10歳未満でCYP3A4又はPgp誘導剤の併用なし:6.0mg/m2/日、10歳以上18歳未満でCYP3A4又はPgp誘導剤の併用なし:5.0mg/m2/日、18歳以上でCYP3A4又はPgp誘導剤の併用なし:3.0mg/m2/日)注8)で投与開始し、以後は血中トラフ濃度を測定し低トラフ群では3~7ng/mL、高トラフ群では9~15ng/mLを目標に投与量を調節した注9)。本剤又はプラセボは朝食後に連日経口投与を行った(投与量範囲:低トラフ群2~14mg/日、高トラフ群2~32mg/日)。合計366例(日本人患者35例を含む)がエベロリムス群(低トラフ群:117例、高トラフ群:130例)又はプラセボ群(119例)に無作為割付けされた。年齢の中央値は10.1(範囲:2.2~56.3)歳であった。主要評価項目である50%Responder rate(てんかん部分発作の発現頻度がベースラインから50%以上減少した被験者の割合)は、エベロリムス低トラフ群で28.2%、高トラフ群で40.0%、プラセボ群で15.1%であり、プラセボ群と比較していずれのエベロリムス群でも有意に高かった(無作為化時の年齢により層別化したCochran-Mantel-Haenszelの正確検定、低トラフ群p=0.008、高トラフ群p<0.001)。副作用発現頻度は、エベロリムス投与例(プラセボからエベロリムス投与へ切り替えた患者を含む)で87.0%(314/361例、日本人35例を含む)であった。主な副作用は、口内炎(口腔内潰瘍等を含む)66.5%(240例)、感染症36.3%(131例)、下痢11.1%(40例)、発熱11.1%(40例)等であった(2017年10月カットオフ)12)。注7)本試験では運動要素が認められる発作は、発作時脳波によりその発作型が一次性全般発作であることが示される場合を除き、すべて部分発作とみなすこととした。注8)本剤の承認された開始用量は、3.0mg/m2である。注9)本剤の推奨される目標血中トラフ濃度は、5~15ng/mLである。
エベロリムスは、細胞内イムノフィリンであるFKBP(FK506 binding protein)12に結合した15)。エベロリムスとFKBP12の複合体がセリン・スレオニンキナーゼであるmTORを選択的に阻害すると考えられている。mTORは、p70S6キナーゼ及び4E-BP1をリン酸化することによって蛋白質合成を調節し、細胞の成長、増殖及び生存に関与する。エベロリムスを投与された担癌マウス16)及び担癌ラット17)の腫瘍においてp70S6キナーゼが阻害され、エベロリムスを投与された担癌ラットの腫瘍において4E-BP1のリン酸化が阻害された17)。
In vitro試験において、エベロリムスはヒト及びげっ歯類由来腫瘍細胞株の増殖を抑制した18),19),20),21),22),23)。また、in vivo試験において、エベロリムスはヒト腫瘍細胞株を異種移植したマウス24),25),26),27),28),29),30),31),32),33),34),35),36)、同系腫瘍移植マウス37)及び同系腫瘍移植ラット17),38)の腫瘍増殖を抑制した。
In vitro試験において、エベロリムスは血管内皮増殖因子(VEGF)及び塩基性線維芽細胞増殖因子によるヒト臍帯静脈内皮細胞の増殖を阻害した39)。また、エベロリムスは腫瘍細胞からのVEGF産生を阻害した37)。In vivo試験において、エベロリムスはマウスに皮下移植したVEGF含有チャンバー内の血管新生を阻害した40)。B16/BL6メラノーマ細胞を同所性移植したマウスにおいて、エベロリムスは移植部位及び転移部位の腫瘍血管密度を減少させた37)。
エベロリムスは、結節性硬化症の原因遺伝子と考えられているTuberous sclerosis(TSC)遺伝子のうち、TSC1遺伝子を神経細胞で欠損させたマウスの生存日数を延長し、脳内のリン酸化S6を低下させた41)。また、エベロリムスは、TSC2遺伝子をヘテロで欠損させたマウスでみられる腎腫瘍形成を抑制した42)。
エベロリムス(Everolimus)
(1R,9S,12S,15R,16E,18R,19R,21R,23S,24E,26E,28E,30S,32S,35R)-1,18-Dihydroxy-12-{(1R)-2-[(1S,3R,4R)-4-(2-hydroxyethoxy)-3-methoxycyclohexyl]-1-methylethyl}-19,30-dimethoxy-15,17,21,23,29,35-hexamethyl-11,36-dioxa-4-azatricyclo[30.3.1.04,9]hexatriaconta-16,24,26,28-tetraene-2,3,10,14,20-pentaone
C53H83NO14
958.22
白色~淡黄色の粉末で、エタノール(99.5)に溶けやすく、水にほとんど溶けない。
光及び湿気を避けるため、PTP包装のまま保存すること。
30錠[10錠(両面アルミニウムPTP)×3]
1) Okamoto,I.et al.:Jpn.J.Clin.Oncol.2010; 40(1): 17-23[20097220]
2) 社内資料:アフィニトール錠5mgと分散錠の生物学的同等性(2012年12月25日承認、CTD2.7.1.2)[20125987]
3) 社内資料:臨床試験錠1mgと分散錠の生物学的同等性(2012年12月25日承認、CTD2.7.1.2)[20126262]
4) 社内資料:食事の影響(X2114試験) [20155536]
5) 社内資料:[3H]-エベロリムスの血中分布に関する検討(2010年1月20日承認(アフィニトール錠)、CTD2.7.2.3)[20070985]
6) Kovarik,J.M.et al.:Clin.Pharmacol.Ther.2001 70(5), 425-430[20070575]
7) 社内資料:In vitro代謝(2010年1月20日承認(アフィニトール錠)、CTD2.7.2.3)[20100156]
8) 社内資料:維持期腎移植患者における[14C]-エベロリムス単回経口投与後の吸収、分布、動態及び生体内変換についての検討(2010年1月20日承認(アフィニトール錠)、CTD2.7.2.3)[20070986]
9) 社内資料:母集団薬物動態解析(固形癌患者対象試験)(2010年1月20日承認(アフィニトール錠)、CTD2.7.2.3)[20100157]
10) 社内資料:エベロリムスの薬物動態に対する肝機能障害の影響(2012年12月25日承認、CTD2.7.2.1)[20116501]
11) 社内資料:海外臨床試験の結果(C2485試験)(2012年12月25日承認、CTD2.7.3.3)[20190282]
12) 社内資料:国際共同臨床試験の結果(M2304試験)[20190284]
13) 社内資料:国際共同臨床試験の結果(M2302試験)(2012年12月25日承認、CTD2.7.3.3)[20190281]
14) 社内資料:海外臨床試験の結果(M2301試験)(2012年12月25日承認、CTD2.7.3.3)[20190283]
15) 社内資料:エベロリムスのFKBP12に対する結合能(2010年1月20日承認(アフィニトール錠)、CTD2.6.2.2)[20100174]
16) 社内資料:腫瘍及び皮膚のmTOR標的分子への影響(2010年1月20日承認(アフィニトール錠)、CTD2.6.2.2)[20100175]
17) Boulay, A. et al.:Cancer Res. 2004 ; 64(1): 252-261[20097365]
18) 社内資料:In vitro腫瘍増殖抑制作用(腫瘍細胞株のパネル)(2010年1月20日承認(アフィニトール錠)、CTD2.6.2.2)[20100159]
19) 社内資料:In vitro腫瘍増殖抑制作用(乳癌,非小細胞肺癌,腎癌細胞株)(2010年1月20日承認(アフィニトール錠)、CTD2.6.2.2)[20100160]
20) Missiaglia, E. et al.:J.Clin.Oncol. 2010; 28(2): 245-255 [20116640]
21) 社内資料:In vitro腫瘍増殖抑制作用(膵神経内分泌腫瘍BON細胞株)[20116503]
22) 社内資料:In vitro腫瘍増殖抑制作用(エストロゲン依存性乳癌MCF-7細胞株)[20140918]
23) 社内資料:In vitro腫瘍増殖抑制作用(アロマターゼ阻害剤併用試験・エストロゲン依存性乳癌MCF-7細胞株)[20140919]
24) 社内資料:In vivo腫瘍増殖抑制作用(膵臓癌細胞株)(2010年1月20日承認(アフィニトール錠)、CTD2.6.2.2)[20100161]
25) 社内資料:In vivo腫瘍増殖抑制作用(類上皮腫KB31細胞株)(2010年1月20日承認(アフィニトール錠)、CTD2.6.2.2)[20100162]
26) 社内資料:In vivo腫瘍増殖抑制作用(大腸癌HCT116細胞株)(2010年1月20日承認(アフィニトール錠)、CTD2.6.2.2)[20100163]
27) 社内資料:In vivo腫瘍増殖抑制作用(肺癌A549細胞株)(2010年1月20日承認(アフィニトール錠)、CTD2.6.2.2)[20100164]
28) 社内資料:In vivo腫瘍増殖抑制作用(肺癌NCI-H596細胞株)(2010年1月20日承認(アフィニトール錠)、CTD2.6.2.2)[20100165]
29) 社内資料:In vivo腫瘍増殖抑制作用(肺癌NCI-H520細胞株)(2010年1月20日承認(アフィニトール錠)、CTD2.6.2.2)[20100166]
30) 社内資料:In vivo腫瘍増殖抑制作用(類上皮腫KB-8511細胞株)(2010年1月20日承認(アフィニトール錠)、CTD2.6.2.2)[20100167]
31) 社内資料:In vivo腫瘍増殖抑制作用(ヒト腫瘍組織)(2010年1月20日承認(アフィニトール錠)、CTD2.6.2.2)[20100168]
32) 社内資料:In vivo腫瘍増殖抑制作用(ヒト腎細胞癌組織)(2010年1月20日承認(アフィニトール錠)、CTD2.6.2.2)[20100169]
33) 社内資料:In vivo腫瘍増殖抑制作用(腎癌Caki-1細胞株)(2010年1月20日承認(アフィニトール錠)、CTD2.6.2.2)[20100170]
34) 社内資料:In vivo腫瘍増殖抑制作用(膵神経内分泌腫瘍BON細胞株)[20116504]
35) 社内資料:In vivo腫瘍増殖抑制作用(気管支カルチノイド腫瘍NCI-H727細胞株)[20116505]
36) 社内資料:In vivo腫瘍増殖抑制作用(エストロゲン依存性乳癌MCF-7細胞株)[20140920]
37) Lane, H. A. et al.:Clin. Cancer Res. 2009; 15(5): 1612-1622[20097364]
38) 社内資料:In vivo腫瘍増殖抑制作用(下垂体癌GH3細胞株)(2010年1月20日承認(アフィニトール錠)、CTD2.6.2.2)[20100171]
39) 社内資料:内皮細胞及び線維芽細胞増殖抑制作用(2010年1月20日承認(アフィニトール錠)、CTD2.6.2.2)[20100172]
40) 社内資料:In vivo血管新生阻害作用(2010年1月20日承認(アフィニトール錠)、CTD2.6.2.2)[20100173]
41) Meikle, L. et al.:J. Neurosci. 2008; 28(21): 5422-5432 [20125988]
42) Pollizzi, K. et al.:Mol. Cancer 2009; 8: 38[20125989]
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