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劇薬
処方箋医薬品注)
本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、本剤による治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
**慢性骨髄性白血病
**通常、成人にはアシミニブとして1回80mgを1日1回、空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
副作用
処置
好中球数が1,000/mm3未満又は血小板数が50,000/mm3未満
好中球数が1,000/mm3以上及び血小板数が50,000/mm3以上に回復するまで休薬する。2週間以内に回復した場合は、開始時の投与量で再開できる。2週間を超えて回復した場合は、1回40mgを1日1回に減量して再開できる。再開した後に再び発現した場合、好中球数が1,000/mm3以上及び血小板数が50,000/mm3以上に回復するまで休薬する。回復後は1回40mgを1日1回に減量して再開できる。
無症候性で血清リパーゼ又は血清アミラーゼが施設正常値上限の2倍超
施設正常値上限の1.5倍未満に回復するまで休薬する。回復後は1回40mgを1日1回に減量して再開できる。再開後に再発した場合は、投与を中止する。
上記以外のGrade 3以上の非血液学的副作用(臨床的意義のない無症候性の検査値異常を除く)
Grade 1以下に回復するまで休薬する。回復後は1回40mgを1日1回に減量して再開できる。
GradeはNCI-CTCAE ver 4.03に基づく。
膵炎が悪化又は再発するおそれがある。,,
本剤投与開始後は継続して肝機能検査や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行う等、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。BCR::ABL1チロシンキナーゼ阻害剤の投与によりB型肝炎ウイルスの再活性化があらわれることがある。
QT間隔延長が起こるおそれがある。,,
*妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後3日間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。
**妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験において、臨床曝露量の10.7倍(ラット)及び3.0倍(ウサギ)に相当する用量で胚・胎児毒性(ウサギ)及び催奇形性(ラット及びウサギ)が認められた。
授乳しないことが望ましい。本剤が乳汁に移行する可能性があり、乳児が乳汁を介して本剤を摂取した場合、乳児に重篤な副作用が発現するおそれがある。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
イトラコナゾール(内用液)
本剤の有効性が減弱するおそれがあるため、内用液以外のイトラコナゾール製剤への代替を考慮すること。
イトラコナゾール(内用液)に含まれるヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンが消化管内で本剤を包接することにより、本剤の吸収が低下し、本剤の血中濃度を低下させる可能性がある。
CYP2C9の基質となる薬剤
これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるため、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。
本剤がCYP2C9を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。
*BCRPの基質となる薬剤
本剤がBCRPを阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。
**治療域の狭いP-gpの基質となる薬剤
本剤がP-gpを阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。
QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤
,,
QT間隔延長を起こす又は悪化させるおそれがあるため、患者の状態を慎重に観察すること。
共にQT間隔延長に関連する副作用を有するため。
血小板減少症(26.1%)、好中球減少症(21.1%)、発熱性好中球減少症(0.6%)、貧血(6.7%)等があらわれることがある。,
膵炎(0.6%)、リパーゼ増加(6.2%)、アミラーゼ増加(4.2%)等があらわれることがある。,,
肺炎(0.3%)等があらわれることがある。
脳梗塞(0.3%)、心筋虚血(0.3%)等があらわれることがある。
5%以上
5%未満
頻度不明
感染症及び寄生虫症
―
上気道感染、下気道感染
インフルエンザ
免疫系障害
過敏症
**内分泌障害
甲状腺機能低下症
**代謝及び栄養障害
脂質異常症
食欲減退
神経系障害
頭痛
浮動性めまい
眼障害
ドライアイ
霧視
心臓障害
動悸、駆出率減少
血管障害
高血圧
呼吸器、胸郭及び縦隔障害
胸水、呼吸困難、非心臓性胸痛、咳嗽
**胃腸障害
悪心、下痢
嘔吐、腹痛、便秘
肝胆道系障害
肝酵素上昇、血中ビリルビン増加
皮膚及び皮下組織障害
発疹
蕁麻疹
光線過敏症
**筋骨格系及び結合組織障害
筋骨格痛
関節痛
**一般・全身障害及び投与部位の状態
疲労
そう痒症、浮腫、発熱
臨床検査
血中CK増加
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
日本人健康成人に本剤40mg注1)を空腹時に単回経口投与したときの薬物動態パラメータ及び血漿中濃度推移は以下のとおりであった1)。
n
Cmax(ng/mL)
AUClast(ng・h/mL)
Tmax*(h)
T1/2(h)
23
943(27.4)
9200(18.5)
2.00(1.00-4.00)
12.6(10.0)
幾何平均値(幾何CV%)*Tmaxは中央値(最小値-最大値)
日本人を含む初発の慢性骨髄性白血病患者に、本剤80mgを空腹時に1日1回反復経口投与したときの定常状態(投与開始第8日目)における薬物動態パラメータ及び血漿中濃度推移は以下のとおりであった2)。
26
1470(38.2)
8590(42.2)
2.00(0.883-3.18)
日本人を含む前治療薬に抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病患者に、本剤40mg注1)を空腹時に1日2回反復経口投与したときの薬物動態パラメータ及び血漿中濃度推移は以下のとおりであり、投与29日目の累積比は1.65であった。また、本剤10~200mg注1)を1日2回反復経口投与したとき、Cmax及びAUCは用量比を上回って増加した3)。
日
第1日目
30
537(74.3)
2250(69.3)
2.10(1.95-5.62)
第15日目
12
718(57.0)
3790(53.0)
2.11(1.97-4.03)
第29日目
793(48.9)
3970(49.6)
2.01(1.00-6.00)
健康成人(24例)に本剤40mg注1)を空腹時、低脂肪食、及び高脂肪食摂取後に単回経口投与したとき、空腹時に対するCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は低脂肪食摂取後では0.652及び0.700、高脂肪食摂取後では0.318及び0.377であった4)(外国人データ)。
アシミニブのヒト血漿蛋白結合率は97.3%であり、濃度に依存しなかった5)(in vitro)。
アシミニブの酸化には主にCYP3A4、グルクロン酸抱合には主にUGT2B7が関与し、グルクロン酸抱合の一部にはUGT2B17、1A3及び1A4が関与することが示された6)(in vitro)。健康成人(4例)に14C標識した本剤80mgを空腹時に単回経口投与したとき、投与24時間後までの血漿中には主に未変化体が検出され、主な代謝物としてM30.5(O-グルクロン酸抱合体)及びM44(酸化体)が検出された(血漿中総放射能のAUC0-24hに対する割合は、それぞれ92.7%、4.93%、及び1.88%)6)(外国人データ)。
健康成人(4例)に14C標識した本剤80mgを空腹時に単回経口投与したとき、投与放射能の80.0%が糞中に、11.0%が尿中に排泄された。糞中に排泄された未変化体は投与放射能の56.7%であった6)(外国人データ)。
本剤40mg注1)を空腹時に単回経口投与したとき、腎機能が正常な被験者(6例)に対する重度(体表面積未補正のeGFRが30mL/min未満で透析を必要としない)の腎機能障害患者(8例)における本剤のCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ1.08及び1.56であった7)(外国人データ)。
本剤40mg注1)を空腹時に単回経口投与したとき、肝機能が正常な被験者(8例)に対する軽度(Child-Pugh分類A)の肝機能障害患者(8例)における本剤のCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ1.26及び1.22であった。中等度(Child-Pugh分類B)の肝機能障害患者(8例)におけるCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ0.983及び1.03であった。また、重度(Child-Pugh分類C)の肝機能障害患者(8例)におけるCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ1.29及び1.66であった7)(外国人データ)。
健康成人(18例)にイトラコナゾール(添加剤としてヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン8gを含有する内用液)200mgを1日1回8日間反復投与し、本剤40mg注1)を空腹時に単回経口投与したとき、単独投与時に対するイトラコナゾール(内用液)併用投与時の本剤のCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ0.499及び0.598であった8)(外国人データ)。
健康成人(22例)に本剤40mg注1)を空腹時に1日2回5日間反復経口投与し、ワルファリン(CYP2C9の基質)5mgを単回投与したとき、単独投与時に対する本剤併用時のS-ワルファリンのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ1.08及び1.41であった9)(外国人データ)。
生理学的薬物動態モデルによるシミュレーションにおいて、本剤の併用によりロスバスタチン、サラゾスルファピリジン(BCRPの基質)の血中濃度が上昇する可能性が示唆された。
生理学的薬物動態モデルによるシミュレーションにおいて、本剤の併用によりジゴキシン(P-gpの基質)の血中濃度が上昇する可能性が示唆された。
注1)本剤の承認された用法及び用量は、1回80mgを1日1回である。
初発のPh陽性慢性期の慢性骨髄性白血病患者405例(日本人患者38例を含む)を対象に、本剤1回80mgを1日1回空腹時、又はランダム化前に医師が選択したチロシンキナーゼ阻害剤(TKI:イマチニブ1回400mgを1日1回、ニロチニブ1回300mgを1日2回、ダサチニブ1回100mgを1日1回又はボスチニブ1回400mgを1日1回)を経口投与した。主要目的は48週時点の分子遺伝学的大奏効(MMR)率を指標としてランダム化された全患者(全体)及びランダム化前に選択されたTKIがイマチニブの患者(イマチニブ層)での本剤の有効性を医師選択TKIと比較することとした。結果は下表のとおりであり、全体及びイマチニブ層の両方で、医師選択TKI群に対する本剤群の優越性が検証された(2023年11月28日データカットオフ)。
全体
イマチニブ層
本剤群
医師選択TKI群
例数a)
201
204
101
102
MMR達成例
136
100
70
41
MMR率(95%信頼区間)
67.66%(60.72, 74.07)
49.02%(41.97, 56.10)
69.31%(59.34, 78.10)
40.20%(30.61, 50.37)
共通リスク差(95%信頼区間)b)
18.88%(9.59, 28.17)
29.55%(16.91, 42.18)
P値c)
<0.001
a)405例がランダム化され、401例(本剤群200例、医師選択のTKI群201例)が治験薬を投与した。b)層別因子[ELTSリスクスコア(全体及びイマチニブ層)、ランダム化前に選択されたTKI(全体)]によるMantel-Haenszel法により信頼区間を推定c)層別因子による片側Cochran-Mantel-Haenszelカイ二乗検定(有意水準片側0.025)。なお多重性の調整はグラフィカルゲートキーピング法にて行い、調整後のp値を算出した。
本剤群の安全性評価対象例200例中、副作用は75.0%(150例)に発現した。主な副作用は血小板数減少14.0%(28例)、好中球数減少13.5%(27例)、血小板減少症13.5%(27例)、発疹11.0%(22例)、好中球減少症10.0%(20例)、白血球数減少10.0%(20例)等であった11)。
2つ以上のチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性又は不耐容の慢性期の慢性骨髄性白血病患者注1)233例(日本人患者16例を含む)を対象に、本剤1回40mg注2)を1日2回空腹時、又はボスチニブ500mgを1日1回食後に経口投与した。主要評価項目である24週時点の分子遺伝学的大奏効(MMR)率(2020年5月25日データカットオフ)は下表のとおりであり、ボスチニブ群に対する本剤群の優越性が検証された。
ボスチニブ群
例数
157a)
76
40
10
25.48% (18.87, 33.04)
13.16% (6.49, 22.87)
MMR群間差(95%信頼区間)
12.32%(2.11, 22.53)
12.24%(2.19, 22.30)
0.029
a)157例が本剤群にランダム化され156例が本剤を投与した。 b)層別因子(ベースライン時点での細胞遺伝学的大奏効の有無)によるMantel-Haenszel法により信頼区間を推定c)層別因子によるCochran-Mantel-Haenszel検定(有意水準両側0.05)
**本剤群の安全性評価対象例156例中、副作用は66.0%(103例)に発現した。主な副作用は血小板減少症19.9%(31例)、好中球減少症15.4%(24例)、頭痛9.0%(14例)、悪心6.4%(10例)、疲労5.8%(9例)及び貧血5.1%(8例)等であった12)(2021年1月6日データカットオフ)。注1)ABL1遺伝子のT315I又はV299L変異の既往が確認された患者は除外された。注2)本剤の承認された用法及び用量は、1回80mgを1日1回である。
アシミニブは、ABL1のチロシンキナーゼ活性を阻害する低分子化合物である。アシミニブは、ABL1のミリストイルポケットに結合することで、BCR::ABL1融合タンパクのリン酸化を阻害し、下流のシグナル伝達分子のリン酸化を阻害することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。
アシミニブ塩酸塩(Asciminib Hydrochloride)
N-[4-(Chlorodifluoromethoxy)phenyl]-6-[(3R)-3-hydroxypyrrolidin-1-yl]-5-(1H-pyrazol-3-yl)pyridine-3-carboxamide monohydrochloride
C20H18ClF2N5O3・HCl
486.30
白色~微黄色の粉末である。
20錠[10錠(PTP)×2]
1) 社内資料:制酸剤との薬物相互作用試験(A1101試験)(2022年3月28日承認、CTD2.7.2-2.3.3)[20220026]
2) **社内資料:初発の慢性骨髄性白血病患者における反復投与試験(J12301/ASC4FIRST試験)[20250030]
3) 社内資料:国際共同第Ⅰ相試験(X2101試験)(2022年3月28日承認、CTD2.7.2-2.4.1)[20220027]
4) 社内資料:最終製剤の食事の影響(E2101試験)(2022年3月28日承認、CTD2.7.1-2.2.3)[20220028]
5) 社内資料:ヒト蛋白結合(2022年3月28日承認、CTD2.7.2-3.1.6)[20220029]
6) Tran P, et al.:Xenobiotica 2020;50(2):160-179[20220047]
7) Hoch M, et al.:J Clin Pharmacol. 2021;61(11):1454-1465[20220048]
8) 社内資料:クラリスロマイシン、イトラコナゾール、リファンピシン及びキニジンとの薬物相互作用試験(A2107試験)(2022年3月28日承認、CTD2.7.2-2.3.8)[20220030]
9) 社内資料:ミダゾラム、ワルファリン及びレパグリニドとの薬物相互作用試験(A2106試験)(2022年3月28日承認、CTD2.7.2-2.3.7)[20220031]
10) 社内資料:薬物相互作用(2022年3月28日承認、CTD2.7.2-3.4)[20220041]
11) **社内資料:国際共同第Ⅲ相試験(J12301/ASC4FIRST試験)[20250031]
12) 社内資料:国際共同第Ⅲ相試験(A2301/ASCEMBL試験)(2022年3月28日承認、CTD2.7.6-4.1.1)[20220018]
13) 社内資料:in vitroにおける細胞増殖抑制作用の検討(2022年3月28日承認、CTD2.6.2-2.2.1)[20220025]
14) Manley PW, et al.:Leukemia Res. 2020;98:106458[20220050]
15) 社内資料:in vivo KCL-22細胞異種移植モデル薬理試験(1日2回投与)(2022年3月28日承認、CTD2.6.2-2.3.2)[20220019]
16) 社内資料:in vivo T315I変異株KCL-22細胞異種移植モデル薬理試験(2022年3月28日承認、CTD2.6.2-2.3.3)[20220020]
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