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処方箋医薬品注)
2型糖尿病
本剤の適用はあらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行った上で効果が不十分な場合に限り考慮すること。
通常、成人にはアナグリプチンとして1回100mgを1日2回朝夕に経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら1回量を200mgまで増量することができる。
重度以上の腎機能障害患者では、下表を目安に用量調節すること。,
クレアチニンクリアランス(mL/分)
血清クレアチニン値(mg/dL)注1)
投与量
重度腎機能障害患者/末期腎不全患者
Ccr<30
男性:Cr>2.4女性:Cr>2.0
100mg、1日1回
末期腎不全患者については、血液透析との時間関係は問わない。
,
腸閉塞を起こすおそれがある。
用量調節すること。排泄の遅延により本剤の血中濃度が上昇する。,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で胎児への移行が報告されている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
副作用発現に留意し、経過を十分に観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。
糖尿病用薬
低血糖症状を発現するおそれがある。特に、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤又はインスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するため、これらの薬剤の減量を検討すること。
血糖降下作用が増強され、低血糖症のリスクが増加するおそれがある。
血糖降下作用を増強する薬剤
血糖降下作用の増強によりさらに血糖が低下するおそれがある。血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
血糖降下作用が増強されるおそれがある。
血糖降下作用を減弱する薬剤
血糖降下作用の減弱により血糖が上昇するおそれがある。血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
血糖降下作用が減弱されるおそれがある。
ジゴキシン
ジゴキシンの血漿中濃度がわずかに増加したとの報告がある。
機序不明
低血糖があらわれることがある。スルホニルウレア剤との併用で重篤な低血糖症状があらわれ、意識消失を来す例も報告されている。低血糖症状が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。ただし、α-グルコシダーゼ阻害剤との併用により低血糖症状が認められた場合には、ブドウ糖を投与すること。,,,,
高度の便秘、腹部膨満、持続する腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
持続的な激しい腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
水疱、びらん等があらわれた場合には、皮膚科医と相談し、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
0.1~5%未満
頻度不明
消化器
便秘、下痢、胃炎、腹部膨満、腹痛、腹部不快感、血中アミラーゼ上昇、悪心・嘔吐、腸炎、鼓腸、消化性潰瘍、消化不良、胃食道逆流性疾患
過敏症
発疹、そう痒
肝臓
ALT上昇、AST上昇、γ-GTP上昇
精神神経系
めまい
血液
貧血、白血球数増加
その他
便潜血陽性、鼻咽頭炎、浮腫、CK上昇、尿中血陽性、血中尿酸上昇、血中クレアチニン上昇、蜂巣炎、腎嚢胞
倦怠感
血液透析治療中の末期腎不全患者にアナグリプチン400mg注2)を単回経口投与し、投与後に血液透析を実施したとき、投与量の12.6%が透析液中に除去された1)(外国人データ)。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
雌雄ラットに本剤200、600、2000mg/kg/日(2000mg/kg/日群の雄は投与71週以降1000mg/kg/日に減量)を104週間反復経口投与したがん原性試験において、2000/1000mg/kg/日群の雄で肝臓の血管肉腫の発生頻度が増加し、2000mg/kg/日群の雌(60例中1例)で同様の血管肉腫が認められた。また、2000/1000mg/kg/日群の雄で膀胱の移行上皮乳頭腫の発生頻度に増加傾向が認められた。ラットに本剤2000又は1000mg/kg/日を反復経口投与したときの曝露量(AUC)は、臨床での最大投与量(1回200mg、1日2回)の200倍以上又は140倍以上であった。なお、マウスを用いたがん原性試験では、腫瘍の発生頻度増加は認められなかった。
健康成人男性(6例)に本剤100又は200mgを空腹時単回経口投与したときの血漿中濃度推移及び薬物動態学的パラメータを以下に示す2)。
Cmax(ng/mL)
Tmax(h)
AUC0-∞(ng・h/mL)
t1/2α(h)
t1/2β(h)
100mg
624±176
0.92±0.20
2650±586
2.02±0.208
6.20±3.11
200mg
1040±291
1.8±1.2
5360±457
1.87±0.296
5.75±1.34
平均値±標準偏差、n=6
健康成人男性(6例)に本剤200mgを1日2回、食直前に7日間反復経口投与したとき、血漿中濃度は投与2日目には定常状態に達した。投与7日目におけるCmax及びAUC0-72hの累積係数はそれぞれ0.96及び1.03であり、蓄積性は認められなかった3)。
健康成人男性(11例)に本剤100mgを食後に単回経口投与したとき、Cmax及びAUC0-24hは空腹時投与と比較してそれぞれ15%及び12%減少した4)。
健康成人男性(6例)に[14C]アナグリプチン100mgを単回経口投与したとき、総放射能の尿中排泄率から本剤の吸収率は少なくとも73.2%と見積もられた5)(外国人データ)。
[14C]アナグリプチンを10~100000ng/mLの濃度でヒト血清に添加したとき、たん白結合率は37.1~48.2%であった6)(in vitro)。
健康成人男性(6例)に[14C]アナグリプチン100mgを単回経口投与したとき、血漿中及び尿中にはアナグリプチン及びシアノ基が加水分解された不活性代謝物(SKL-12320)が存在した。糞中にはアナグリプチン及びSKL-12320の他に5種の微量代謝物(投与量の1%未満)が検出された。尿糞の総計における存在比は、アナグリプチンが投与量の50.7%、SKL-12320が29.2%であった5)(外国人データ)。アナグリプチンはヒト肝S9による代謝をほとんど受けなかった。アナグリプチンは100μg/mLにおいてCYP1A2、CYP2C8/9、CYP2C19及びCYP3A4に対するわずかな誘導を示したが、10μg/mLではいずれに対しても誘導を示さなかった。また、アナグリプチンはCYP1A、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1及びCYP3A4に対する阻害を示さなかった。アナグリプチンのSKL-12320への代謝においては、DPP-4、コリンエステラーゼ、カルボキシルエステラーゼが関与することが示唆された7)(in vitro)。
健康成人男性(6例)に本剤100mgを単回経口投与したとき、投与72時間後までのアナグリプチンの尿中排泄率は49.9%であり、投与24時間後までの腎クリアランスは315mL/h/kgであった2)。健康成人男性(6例)に本剤200mgを1日2回、7日間反復経口投与したとき、投与216時間後までのアナグリプチンの累積尿中排泄率は54.2%であった3)。健康成人男性(6例)に[14C]アナグリプチン100mgを単回経口投与したとき、総放射能の73.2%が尿中に、25.0%が糞中に排泄された。尿及び糞中に排泄されたアナグリプチンの割合はそれぞれ投与量の46.6%及び4.1%であった5)(外国人データ)。アナグリプチンはヒトP糖たん白及び有機アニオントランスポーター(hOAT1、hOAT3)等の基質であることが示された。また、有機アニオントランスポーター(hOAT3)及び有機カチオントランスポーター(hOCT2)に対する弱い阻害作用が認められた(IC50値:25.2及び33.8μg/mL)8)(in vitro)。
軽度、中等度、重度腎機能障害患者、血液透析治療中の末期腎不全患者及び健康成人(各6例)に本剤400mg注3)を単回経口投与したときの、アナグリプチンのCmax、AUC0-∞及びt1/2の比(腎機能障害患者/健康成人)を以下に示す。腎機能の低下に伴うAUC0-∞の増加が認められた1)(外国人データ)。,
軽度
中等度
重度
末期
Cmax
1.40(0.96~2.03)
1.15(0.79~1.68)
1.25(0.85~1.82)
1.41(0.97~2.06)
AUC0-∞
1.65(1.22~2.25)
1.76(1.28~2.43)
2.70(1.99~3.66)
3.22(2.37~4.38)
t1/2
0.75(0.50~1.11)
0.71(0.47~1.08)
0.76(0.51~1.13)
0.89(0.60~1.33)
幾何平均値の比(90%信頼区間)
軽度:60≦Ccr<90mL/min/1.73m2、中等度:30≦Ccr<60mL/min/1.73m2、重度:15≦Ccr<30mL/min/1.73m2
中等度肝機能障害患者(Child-Pugh Class B)及び健康成人(各8例)に本剤400mg注3)を単回経口投与したとき、アナグリプチンのCmax、AUC0-∞及びt1/2の比(肝機能障害患者/健康成人)はそれぞれ1.07(90%信頼区間:0.78~1.48)、1.17(0.93~1.47)及び0.71(0.48~1.04)であった9)(外国人データ)。
2型糖尿病の高齢者(65歳以上、13例)及び非高齢者(65歳未満、56例)に本剤100mgを1日2回、12週間投与したとき、アナグリプチンのCmax及びAUC0-2hの比(高齢者/非高齢者)はそれぞれ0.97及び1.05であった10)。
併用薬投与量
アナグリプチン投与量
幾何平均値の比併用投与時/単独投与時[90%信頼区間]
アナグリプチン
併用薬
AUC0-24h
ミグリトール11)50mg1日3回、3日間
100mg1日2回、3日間
0.42[0.38~0.46]
0.77[0.72~0.82]
1.14[1.05~1.24]
1.27[1.16~1.39]
グリベンクラミド12)注4)5mg単回投与
400mg注3)1日1回、6日間
1.01[0.91~1.13]
0.95[0.93~0.98]
1.44[1.26~1.64]
1.07注5)[0.98~1.16]
プロベネシド4)1000mg1日2回、4日間
100mg単回投与
1.54[1.23~1.93]
1.81[1.65~1.98]
-
ジゴキシン13)注4)0.25mg1日1回、定常状態
400mg注3)1日1回、5日間
1.49[1.39~1.60]
1.18[1.13~1.23]
メトホルミン塩酸塩14)、ピオグリタゾン15)注4)との薬物間相互作用を検討した結果、アナグリプチン及び併用薬の薬物動態に影響は認められなかった。シクロスポリン16)注4)との薬物間相互作用を検討した結果、アナグリプチンの薬物動態に影響は認められなかった。
食事療法又は食事療法・運動療法で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者(358例)を対象に、本剤25、50注6)、100、200mg又はプラセボを1日2回(朝夕食直前)、12週間投与したプラセボ対照二重盲検比較試験の投与12週間後における結果は下表のとおりであった10)。
投与群
HbA1c(%)
投与前からの変化量
プラセボとの差
プラセボ
0.10±0.63(n=63)
アナグリプチン25mg1日2回
-0.53±0.55(n=67)
-0.63注7)[-0.84~-0.43]
アナグリプチン50mg1日2回
-0.62±0.77(n=68)
-0.72注7)[-0.92~-0.52]
アナグリプチン100mg1日2回
-0.74±0.49(n=69)
-0.84注7)[-1.05~-0.64]
アナグリプチン200mg1日2回
-0.80±0.46(n=68)
-0.91注7)[-1.11~-0.70]
投与前からの変化量:平均値±標準偏差(症例数)、プラセボとの差:点推定[95%信頼区間]
副作用発現頻度は、本剤25mg1日2回投与群で6.8%(5/74例)、本剤50mg1日2回投与群で8.3%(6/72例)、本剤100mg1日2回投与群で12.5%(9/72例)、本剤200mg1日2回投与群で7.0%(5/71例)であった。主な副作用は、本剤50mg1日2回投与群で便秘2.8%(2/72例)であった。なお、低血糖症は本剤50mg1日2回投与群で1.4%(1/72例)、本剤100mg1日2回投与群で1.4%(1/72例)であった。
食事療法又は食事療法・運動療法で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者(244例)を対象に、本剤100又は200mgを1日2回(朝夕食前)、ボグリボース0.2mgを1日3回(食直前、参考対照)、又はプラセボを12週間投与したプラセボ及び実薬対照二重盲検比較試験の最終評価時における結果は下表のとおりであった17)。
食後2時間血糖値(mg/dL)
空腹時血糖値(mg/dL)
0.06±0.58(n=58)
-5.8±37.3(n=54)
-1.6±40.6(n=58)
-0.65±0.49(n=63)
-0.71注9)[-0.91~-0.52]
-38.4±39.3(n=62)
-32.6注9)[-50.0~-15.1]
-16.1±18.2(n=63)
-14.5注8)[-25.8~-3.3]
-0.74±0.54(n=58)
-0.80注9)[-1.00~-0.61]
-37.5±42.5(n=55)
-31.7注9)[-49.6~-13.8]
-21.5±23.0(n=57)
-19.8注9)[-31.4~-8.3]
参考対照であるボグリボース群については、最終評価時におけるHbA1cの投与前からの変化量は-0.32±0.37%(平均値±標準偏差、n=65)であった。本剤100mg、1日2回及び200mg、1日2回投与群におけるHbA1c変化量のボグリボース群との差はそれぞれ-0.33%(95%信頼区間:-0.49~-0.17%)及び-0.42%(-0.59~-0.25%)であった。
副作用発現頻度は、本剤100mg1日2回投与群が25.4%(16/63例)、本剤200mg1日2回投与群が24.1%(14/58例)であった。主な副作用は、本剤100mg1日2回投与群で下痢、鼓腸、AST増加、血中尿酸増加、便潜血陽性がいずれも3.2%(2/63例)、本剤200mg1日2回投与群で下痢5.2%(3/58例)、便潜血陽性5.2%(3/58例)、低血糖症3.4%(2/58例)であった。
食事療法又は食事療法・運動療法で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者(151例)を対象に、本剤100mgを1日2回(朝夕食前又は食後)、52週間投与した非盲検試験の結果を以下に示す18)。なお、効果不十分な場合、治療期16週以降で本剤200mg、1日2回に増量した。治療期12週までの最終評価時におけるHbA1c変化量は、食前投与群-0.62±0.67%(平均値±標準偏差、n=80)、食後投与群-0.55±0.56%(n=70)、全例-0.59±0.62%(いずれもp<0.001、1標本t検定)であり、食前投与群と食後投与群の変化量は同程度であった。また、治療期52週(最終評価時)におけるHbA1c変化量は、食前投与群-0.66±0.85%(n=80)、食後投与群-0.58±0.82%(n=70)、全例-0.62±0.84%であった。
副作用発現頻度は、食前投与群が23.5%(19/81例)、食後投与群が15.7%(11/70例)であった。主な副作用は、便秘3.3%(5/151例)、胃炎2.6%(4/151例)であった。なお、低血糖症は0.7%(1/151例)であった。
食事療法又は食事療法・運動療法に加えて、経口血糖降下剤(α-グルコシダーゼ阻害剤、ビグアナイド系薬剤、スルホニルウレア剤又はチアゾリジン系薬剤)による治療で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者(それぞれ94例、105例、136例、102例)を対象に、本剤100mg又はプラセボを1日2回(朝夕食前)、12週間併用投与したプラセボ対照二重盲検比較試験の最終評価時における結果は下表のとおりであった19),20)。
群間差
α-グルコシダーゼ阻害剤併用試験
α-グルコシダーゼ阻害剤単独投与
0.12±0.57(n=32)
-0.94注10)[-1.18~-0.69]
アナグリプチン併用投与
-0.81±0.57(n=62)
ビグアナイド系薬剤併用試験
ビグアナイド系薬剤単独投与
0.45±0.91(n=36)
-1.06注10)[-1.37~-0.74]
-0.60±0.68(n=69)
スルホニルウレア剤併用試験
スルホニルウレア剤単独投与
0.24±0.58(n=45)
-0.76注10)[-0.95~-0.58]
-0.52±0.47(n=90)
チアゾリジン系薬剤併用試験
チアゾリジン系薬剤単独投与
0.32±0.67(n=31)
-0.83注10)[-1.12~-0.54]
-0.51±0.68(n=71)
投与前からの変化量:平均値±標準偏差(症例数)、群間差:点推定[95%信頼区間]
二重盲検比較試験に引き続き、各群の経口血糖降下剤と本剤100mg、1日2回を併用して40週間投与した非盲検試験の結果を以下に示す。なお、効果不十分な場合、治療期28週以降で本剤200mg、1日2回に増量した。治療期52週(最終評価時)におけるHbA1c変化量は、α-グルコシダーゼ阻害剤併用-0.86±0.82%(平均値±標準偏差、n=62)、ビグアナイド系薬剤併用-0.49±1.15%(n=69)、スルホニルウレア剤併用-0.25±0.76%(n=90)、チアゾリジン系薬剤併用-0.73±0.78%(n=71)であった。
治療期(52週)における副作用発現頻度は、α-グルコシダーゼ阻害剤との併用試験で23.4%(22/94例)、ビグアナイド系薬剤との併用試験で24.0%(25/104例)、スルホニルウレア剤との併用試験で31.9%(43/135例)、チアゾリジン系薬剤との併用試験で22.5%(23/102例)であった。主な副作用は、α-グルコシダーゼ阻害剤との併用試験でヘモグロビン減少4.3%(4/94例)、ヘマトクリット減少3.2%(3/94例)、便秘、鼻咽頭炎、赤血球数減少がいずれも2.1%(2/94例)、ビグアナイド系薬剤との併用試験で便潜血陽性4.8%(5/104例)、ALT増加3.8%(4/104例)、AST増加、血中アミラーゼ増加、便秘がいずれも2.9%(3/104例)、スルホニルウレア剤との併用試験で低血糖症7.4%(10/135例)、便秘5.2%(7/135例)、ALT増加4.4%(6/135例)、便潜血陽性3.7%(5/135例)、γ-GTP増加2.2%(3/135例)、チアゾリジン系薬剤との併用試験で低血糖症2.9%(3/102例)、腹部膨満、便秘がいずれも2.0%(2/102例)であった。なお、低血糖症はα-グルコシダーゼ阻害剤との併用試験で1.1%(1/94例)、ビグアナイド系薬剤との併用試験で1.0%(1/104例)であった。
食事療法又は食事療法・運動療法に加えて、速効型インスリン分泌促進剤による治療で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者(63例)を対象に、本剤100mgを1日2回(朝夕食前)、52週間併用投与した非盲検試験の結果を以下に示す21)。なお、効果不十分な場合、治療期28週以降で本剤200mg、1日2回に増量した。治療期52週までの最終評価時におけるHbA1c変化量は、-0.87±0.71%(平均値±標準偏差、n=63)であった。副作用発現頻度は27.0%(17/63例)であった。主な副作用は、低血糖症9.5%(6/63例)、下痢3.2%(2/63例)であった。
食事療法又は食事療法・運動療法に加えて、インスリン製剤による治療注11)注12)で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者(123例)を対象に、本剤100mg又はプラセボを1日2回(朝夕食前)、12週間併用投与したプラセボ対照二重盲検比較試験の最終評価時における結果は下表のとおりであった22)。
インスリン製剤単独投与注12)
0.11±0.70(n=60)
-0.82注13)注14)[-1.06~-0.58]
アナグリプチン併用投与注12)
-0.71±0.63(n=61)
二重盲検比較試験に引き続き、インスリン製剤と本剤100mg、1日2回を併用して40週間投与した非盲検試験の結果を以下に示す。なお、効果不十分な場合、治療期28週以降で本剤200mg、1日2回に増量した。治療期52週(最終評価時)におけるHbA1c変化量は-0.72±0.64%(平均値±標準偏差、n=61)であった。
治療期(52週)における副作用発現頻度は55.8%(67/120例)であった。主な副作用は、低血糖症44.2%(53/120例)、便秘5.0%(6/120例)、腹部膨満2.5%(3/120例)であった。
アナグリプチンはジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)の競合的かつ可逆的な選択的阻害剤である。インクレチンであるグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)及びグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)はグルコース依存的なインスリン分泌促進作用等を有するが23)、DPP-4により分解されて活性を失う24)。アナグリプチンはDPP-4の阻害によって内因性インクレチンの分解を抑制し、その作用を高めることで血糖コントロールを改善する。
ヒトDPP-4(組換え体、血漿及びCaco-2細胞由来)の活性を選択的に阻害する(IC50値:3.3、5.4及び3.5nmol/L)25)(in vitro)。
2型糖尿病患者(成人男性)において、アナグリプチン100mgを1日2回、3日間反復経口投与したところ、血漿中のDPP-4活性を阻害し、食後の活性型GLP-1及びGIP濃度を増加させた14)。
アナグリプチン(Anagliptin)
N-[2-({2-[(2S)-2-Cyanopyrrolidin-1-yl]-2-oxoethyl}amino)-2-methylpropyl]-2-methylpyrazolo[1,5-a]pyrimidine-6-carboxamide
C19H25N7O2
383.45
本品は白色~淡黄色の結晶又は結晶性の粉末である。本品は水に極めて溶けやすく、アセトニトリル又はメタノールに溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けやすく、2-プロパノールに溶けにくく、ヘキサンに極めて溶けにくい。
117~119℃
0.46(1-オクタノール/水)
100錠(PTP10錠×10)、140錠(PTP14錠×10)、500錠(PTP10錠×50)、500錠(バラ、乾燥剤入り)
1) 社内資料:腎機能障害患者における薬物動態(承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.7.6.3.6)
2) 社内資料:健康成人における薬物動態:単回投与試験(承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.7.6.3.1)
3) 社内資料:健康成人における薬物動態:反復投与試験(承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.7.6.3.2)
4) 社内資料:健康成人における薬物動態に及ぼす食事の影響及びプロベネシドとの薬物相互作用(承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.7.6.1.1及びCTD2.7.6.3.7)
5) 社内資料:健康成人におけるマスバランス(承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.7.6.3.3)
6) 社内資料:非臨床試験-薬物動態試験:分布(承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.6.4.4)
7) 社内資料:非臨床試験-薬物動態試験:代謝(承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.6.4.5及びCTD 2.6.4.7.1)
8) 社内資料:非臨床試験-薬物動態試験:排泄(承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.6.4.6、CTD 2.6.4.7.2及びCTD 2.6.4.7.3)
9) 社内資料:肝機能障害患者における薬物動態(承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.7.6.3.5)
10) 社内資料:第Ⅱ相試験(承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.7.6.5.1及びCTD 2.7.2.3.2.5)
11) 社内資料:ミグリトールとの薬物相互作用(承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.7.6.3.8)
12) 社内資料:グリベンクラミドとの薬物相互作用(承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.7.6.3.12)
13) 社内資料:ジゴキシンとの薬物相互作用(承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.7.6.3.10)
14) 社内資料:メトホルミンとの薬物相互作用(承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.7.6.3.9)
15) 社内資料:ピオグリタゾンとの薬物相互作用(承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.7.6.3.13)
16) 社内資料:シクロスポリンとの薬物相互作用(承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.7.6.3.11)
17) 社内資料:第Ⅱ/Ⅲ相試験 単独療法(承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.7.6.5.2)
18) 社内資料:第Ⅲ相試験 単独療法長期投与(承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.7.6.5.3)
19) 社内資料:α-グルコシダーゼ阻害剤又はチアゾリジン系薬剤併用試験(承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.7.6.5.4)
20) 社内資料:スルホニルウレア剤又はビグアナイド系薬剤併用試験(承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.7.6.5.5)
21) 社内資料:速効型インスリン分泌促進剤併用試験(承認年月日:2015年12月21日、CTD 2.7.6.5.7)
22) 社内資料:インスリン製剤併用試験(承認年月日:2015年12月21日、CTD 2.7.6.5.1)
23) Drucker DJ, et al.:Lancet. 2006;368(9548):1696-1705
24) Vilsbøll T, et al.:J Clin Endocrinol Metab. 2003;88(1):220-224
25) 社内資料:DPP-4に対する阻害作用の検討(承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.6.2.2.1)
26) 社内資料:Zucker fattyラットにおける耐糖能改善作用の検討(承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.6.2.2.9)
27) 社内資料:GKラットにおける耐糖能改善作用の検討(承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.6.2.2.10)
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