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劇薬
処方箋医薬品注)
2型糖尿病ただし、アナグリプチン及びメトホルミン塩酸塩の併用による治療が適切と判断される場合に限る
通常、成人には1回1錠(アナグリプチン/メトホルミン塩酸塩として100mg/250mg又は100mg/500mg)を1日2回朝夕に経口投与する。
中等度の腎機能障害のある患者(eGFR30mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満)では、メトホルミンの血中濃度が上昇し、乳酸アシドーシスの発現リスクが高くなる可能性があるため、以下の点に注意すること。特にeGFRが30mL/min/1.73m2以上45mL/min/1.73m2未満の患者には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。,,,
推算糸球体濾過量(eGFR)(mL/min/1.73m2)
メトホルミン塩酸塩としての1日最高投与量の目安*
45≦eGFR<60
1500mg
30≦eGFR<45
750mg
*メトホルミン塩酸塩単剤の承認用法は1日量を1日2~3回分割投与であるが、本剤(アナグリプチン/メトホルミン塩酸塩として100mg/250mg又は100mg/500mg)の承認用法は1回1錠を1日2回投与である。
乳酸アシドーシスを起こすおそれがある。,
腸閉塞を起こすおそれがある。
腎臓における排泄が減少しメトホルミンの血中濃度が上昇するため、乳酸アシドーシス等の発現リスクが高くなる可能性がある。,,,,
投与しないこと。
慎重に経過を観察し、投与の適否及び投与量の調節を検討すること。特に、eGFRが30mL/min/1.73m2以上45mL/min/1.73m2未満の患者には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。,
肝臓における乳酸の代謝能が低下し、乳酸アシドーシスの発現リスクが高くなる可能性がある。,,,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。アナグリプチンでは、動物実験(ラット)で胎児への移行が報告されている。メトホルミンでは、動物実験(ラット、ウサギ)で胎児への移行が認められており、一部の動物実験(ラット)で催奇形作用が報告されている2)。また、妊婦は乳酸アシドーシスを起こしやすい。,
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)でアナグリプチン及びメトホルミンの乳汁中への移行が報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
腎機能、肝機能等が低下していることが多く、また脱水症状を起こしやすい。これらの状態では乳酸アシドーシスを起こしやすいので、以下の点に注意すること。,,,,
アルコール(過度の摂取),,
乳酸アシドーシスを起こすことがある。本剤投与中は過度のアルコール摂取(飲酒) を避けること。
肝臓における乳酸の代謝能が低下する。また、脱水状態を来すことがある。
ヨード造影剤,
乳酸アシドーシスを起こすことがある。ヨード造影剤を用いて検査を行う場合には、本剤の投与を一時的に中止すること。
腎機能が低下し、メトホルミンの排泄が低下することが考えられている。
腎毒性の強い抗生物質
乳酸アシドーシスを起こすことがある。併用する場合は本剤の投与を一時的に減量・中止するなど適切な処置を行うこと。
利尿作用を有する薬剤
,
脱水により乳酸アシドーシスを起こすことがある。脱水症状があらわれた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
利尿作用を有する薬剤により、体液量が減少し脱水状態になることがある。
糖尿病用薬
低血糖症状を発現するおそれがある。特に、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤又はインスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するため、これらの薬剤の減量を検討すること。
血糖降下作用が増強され、低血糖のリスクが増加するおそれがある。
血糖降下作用を増強する薬剤
血糖降下作用の増強によりさらに血糖が低下するおそれがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
血糖降下作用が増強されるおそれがある。
血糖降下作用を減弱する薬剤
血糖降下作用の減弱により血糖が上昇するおそれがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
血糖降下作用が減弱されるおそれがある。
*OCT2、MATE1、又はMATE2-Kを阻害する薬剤
メトホルミンの血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。観察を十分に行い、必要に応じて本剤を減量するなど慎重に投与すること。
*OCT2、MATE1、又はMATE2-Kを介したメトホルミンの腎排泄が阻害されると考えられている。
ジゴキシン
アナグリプチンとの併用によりジゴキシンの血漿中濃度がわずかに増加したとの報告がある。適切な観察を行うこと。
機序不明
*イメグリミン
*消化器症状の発現に注意すること。
*特に併用初期に多く発現する傾向が認められている。
乳酸アシドーシス(血中乳酸値の上昇、乳酸/ピルビン酸比の上昇、血液pHの低下等を示す)は予後不良のことが多い。一般的に発現する臨床症状は様々であるが、胃腸症状、倦怠感、筋肉痛、過呼吸等の症状がみられることが多く、これらの症状があらわれた場合には直ちに投与を中止し、必要な検査を行うこと。なお、乳酸アシドーシスの疑いが大きい場合には、乳酸の測定結果等を待つことなく適切な処置を行うこと。,,,,,,,,,,,,,
低血糖があらわれることがある。DPP-4阻害剤とスルホニルウレア剤との併用で重篤な低血糖症状があらわれ、意識消失を来す例も報告されている。低血糖症状が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。ただし、α-グルコシダーゼ阻害剤との併用により低血糖症状が認められた場合には、ブドウ糖を投与すること。,,,,
高度の便秘、腹部膨満、持続する腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
持続的な激しい腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
水疱、びらん等があらわれた場合には、皮膚科医と相談し、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
AST、ALT、ALP、γ-GTP、ビリルビンの著しい上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがある。
1~5%未満
1%未満
頻度不明
消化器注1)
下痢
便秘、腹部不快感、消化不良、血中アミラーゼ上昇
胃炎、腹部膨満、腹痛、悪心・嘔吐、腸炎、鼓腸、消化性潰瘍、胃食道逆流性疾患、食欲不振、胃腸障害
過敏症
発疹、そう痒
肝臓
ALT上昇、AST上昇
γ-GTP上昇、肝機能異常
腎臓
BUN上昇、血中クレアチニン上昇、腎嚢胞
代謝異常
乳酸上昇、血中尿酸上昇
血中カリウム上昇、ケトーシス
精神神経系
めまい・ふらつき、眠気、味覚異常、頭重、頭痛
血液
貧血、白血球数増加、好酸球数増加、白血球数減少、血小板数減少
その他
便潜血陽性、鼻咽頭炎、浮腫、CK上昇、尿中血陽性、蜂巣炎、倦怠感注1)、空腹感、動悸、脱力感、発汗、ビタミンB12減少注2)、筋肉痛注1)
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
インスリン又は経口血糖降下剤の投与中にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与することにより、低血糖が起こりやすいとの報告がある。
雌雄ラットにアナグリプチン200、600、2000mg/kg/日(2000mg/kg/日群の雄は投与71週以降1000mg/kg/日に減量)を104週間反復経口投与したがん原性試験において、2000/1000mg/kg/日群の雄で肝臓の血管肉腫の発生頻度が増加し、2000mg/kg/日群の雌(60例中1例)で同様の血管肉腫が認められた。また、2000/1000mg/kg/日群の雄で膀胱の移行上皮乳頭腫の発生頻度に増加傾向が認められた。ラットにアナグリプチン2000又は1000mg/kg/日を反復経口投与したときの曝露量(AUC)は、臨床での最大投与量(1回200mg、1日2回)の200倍以上又は140倍以上であった。なお、マウスを用いたアナグリプチンのがん原性試験では、腫瘍の発生頻度増加は認められなかった。
健康成人男性(30例)に本剤HD(アナグリプチン/メトホルミン塩酸塩として100mg/500mg)とアナグリプチン100mg単剤及びメトホルミン塩酸塩500mg単剤併用をクロスオーバー法により空腹時単回経口投与したときのアナグリプチンとメトホルミンの血漿中濃度推移及び薬物動態学的パラメータは以下のとおりであり、生物学的同等性が認められた4)。
アナグリプチン
メトホルミン
本剤HD
単剤併用
Cmax(ng/mL)
778±261
709±215
1360±350
1270±427
AUC0-24h(ng·h/mL)
2840±397
2720±473
8930±1940
8450±2130
Tmax(h)
2.4±0.76
2.5±1.1
2.7±0.85
2.9±1.0
t1/2(h)
2.83±0.789
2.76±0.907
3.96±0.576
3.83±0.518
平均値±標準偏差、n=30
健康成人男性(12例)に本剤HD(アナグリプチン/メトホルミン塩酸塩として100mg/500mg)を食後に単回経口投与したとき、Cmax及びAUC0-24hは空腹時投与と比較して、アナグリプチンでそれぞれ13.9%減少及び10.5%減少し、メトホルミンでそれぞれ5.6%減少及び2.3%増加した5)。
健康成人男性(6例)に[14C]アナグリプチン100mgを単回経口投与したとき、総放射能の尿中排泄率からアナグリプチンの吸収率は少なくとも73.2%と見積もられた6)(外国人データ)。
[14C]アナグリプチンを10~100000ng/mLの濃度でヒト血清に添加したとき、たん白結合率は37.1~48.2%であった7)(in vitro)。
健康成人男性(6例)に[14C]アナグリプチン100mgを単回経口投与したとき、血漿中及び尿中にはアナグリプチン及びシアノ基が加水分解された不活性代謝物(SKL-12320)が存在した。糞中にはアナグリプチン及びSKL-12320の他に5種の微量代謝物(投与量の1%未満)が検出された。尿糞の総計における存在比は、アナグリプチンが投与量の50.7%、SKL-12320が29.2%であった6)(外国人データ)。アナグリプチンはヒト肝S9による代謝をほとんど受けなかった。アナグリプチンは100μg/mLにおいてCYP1A2、CYP2C8/9、CYP2C19及びCYP3A4に対するわずかな誘導を示したが、10μg/mLではいずれに対しても誘導を示さなかった。また、アナグリプチンはCYP1A、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1及びCYP3A4に対する阻害を示さなかった。アナグリプチンのSKL-12320への代謝においては、DPP-4、コリンエステラーゼ、カルボキシルエステラーゼが関与することが示唆された8)(in vitro)。メトホルミンはほとんど代謝されず、未変化体のまま尿中に排泄されるとの報告がある9)(外国人データ)。
健康成人男性(6例)にアナグリプチン100mgを単回経口投与したとき、投与72時間後までのアナグリプチンの尿中排泄率は49.9%であり、投与24時間後までの腎クリアランスは315mL/h/kgであった10)。健康成人男性(6例)にアナグリプチン200mgを1日2回、7日間反復経口投与したとき、投与216時間後までのアナグリプチンの累積尿中排泄率は54.2%であった11)。健康成人男性(6例)に[14C]アナグリプチン100mgを単回経口投与したとき、総放射能の73.2%が尿中に、25.0%が糞中に排泄された。尿及び糞中に排泄されたアナグリプチンの割合はそれぞれ投与量の46.6%及び4.1%であった6)(外国人データ)。アナグリプチンはヒトP糖たん白及び有機アニオントランスポーター(hOAT1、hOAT3)等の基質であることが示された。また、有機アニオントランスポーター(hOAT3)及び有機カチオントランスポーター(hOCT2)に対する弱い阻害作用が認められた(IC50値:25.2及び33.8μg/mL)12)(in vitro)。健康成人(5例)にメトホルミン塩酸塩500mgを単回経口投与したとき、投与48時間後までの尿中排泄率は投与量の51.6%であったとの報告がある9)(外国人データ)。ヒトのトランスポーター発現細胞を用いた検討の結果から、メトホルミンは主にhOCT2を介して尿中に排泄されることが示唆されている13)(in vitro)。
軽度、中等度、重度腎機能障害患者、血液透析治療中の末期腎不全患者及び健康成人(各6例)にアナグリプチン400mg注1)を単回経口投与したときの、アナグリプチンのCmax、AUC0-∞及びt1/2の比(腎機能障害患者/健康成人)を以下に示す。腎機能の低下に伴うAUC0-∞の増加が認められた3)(外国人データ)。
軽度
中等度
重度
末期
Cmax
1.40(0.96~2.03)
1.15(0.79~1.68)
1.25(0.85~1.82)
1.41(0.97~2.06)
AUC0-∞
1.65(1.22~2.25)
1.76(1.28~2.43)
2.70(1.99~3.66)
3.22(2.37~4.38)
t1/2
0.75(0.50~1.11)
0.71(0.47~1.08)
0.76(0.51~1.13)
0.89(0.60~1.33)
幾何平均値の比(90%信頼区間)軽度:60≦Ccr<90mL/min/1.73m2、中等度:30≦Ccr<60mL/min/1.73m2、重度:15≦Ccr<30mL/min/1.73m2
腎機能正常者(Ccr:>90mL/min)、軽度(Ccr:61~90mL/min)及び中等度(Ccr:31~60mL/min)の腎機能障害者にメトホルミン塩酸塩850mgを空腹時に単回経口投与したときのメトホルミンの薬物動態パラメータは以下のとおりであった14)(外国人データ)。,
Cmax(µg/mL)
AUC0-∞(µg・h/mL)
t1/2(h)
CLR(mL/min)
腎機能正常者(3例)
1.64±0.50
11.22±3.19
11.2±5.2
394.7±83.8
軽度腎機能障害者(5例)
1.86±0.52
13.22±2.00
17.3±21.2
383.6±122.3
中等度腎機能障害者(4例)
4.12±1.83
58.30±36.58
16.2±7.6
108.3±57.2
平均値±標準偏差CLR:腎クリアランス
中等度肝機能障害患者(Child-Pugh Class B)及び健康成人(各8例)にアナグリプチン400mg注1)を単回経口投与したとき、アナグリプチンのCmax、AUC0-∞及びt1/2の比(肝機能障害患者/健康成人)はそれぞれ1.07(90%信頼区間:0.78~1.48)、1.17(0.93~1.47)及び0.71(0.48~1.04)であった15)(外国人データ)。
2型糖尿病の高齢者(65歳以上、13例)及び非高齢者(65歳未満、56例)にアナグリプチン100mgを1日2回、12週間投与したとき、アナグリプチンのCmax及びAUC0-2hの比(高齢者/非高齢者)はそれぞれ0.97及び1.05であった16)。
併用薬投与量
アナグリプチン投与量
幾何平均値の比併用投与時/単独投与時[90%信頼区間]
併用薬
AUC0-24h
ミグリトール17)50mg1日3回、3日間
100mg1日2回、3日間
0.42[0.38~0.46]
0.77[0.72~0.82]
1.14[1.05~1.24]
1.27[1.16~1.39]
グリベンクラミド18)注2)5mg単回投与
400mg注1)1日1回、6日間
1.01[0.91~1.13]
0.95[0.93~0.98]
1.44[1.26~1.64]
1.07注3)[0.98~1.16]
プロベネシド19)1000mg1日2回、4日間
100mg単回投与
1.54[1.23~1.93]
1.81[1.65~1.98]
-
ジゴキシン20)注2)0.25mg1日1回、定常状態
400mg注1)1日1回、5日間
1.49[1.39~1.60]
1.18[1.13~1.23]
メトホルミン塩酸塩21)、ピオグリタゾン22)注2)との薬物間相互作用を検討した結果、アナグリプチン及び併用薬の薬物動態に影響は認められなかった。シクロスポリン23)注2)との薬物間相互作用を検討した結果、アナグリプチンの薬物動態に影響は認められなかった。
以下の報告がある注2)。シメチジンとの併用により、メトホルミンのAUCが約50%増加した24)。ドルテグラビル50mg/日及び100mg/日との併用により、メトホルミンのCmaxがそれぞれ66%及び111%上昇し、AUCがそれぞれ79%及び145%増加した25)。バンデタニブとの併用により、メトホルミンのCmaxが50%上昇し、AUC0-∞が74%増加し、腎クリアランスが52%減少した26)。注1)アナグリプチンの承認された用法及び用量は、通常、1回100mgを1日2回、最大投与量は1回200mgを1日2回である。注2)外国人における成績。注3)グリベンクラミドのAUCについてはAUC0-∞を用いた。
食事療法又は食事療法・運動療法に加えてメトホルミン塩酸塩250mg又は500mg、1日2回投与による単剤治療で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者(209例)を対象に、アナグリプチン100mg又はプラセボを1日2回(朝夕食直前)、24週間併用投与したプラセボ対照二重盲検比較試験の最終評価時における結果は下表のとおりであった27)。
投与群(症例数)
HbA1c(%)[主要評価項目]
投与前値
投与前からの変化量
群間差
M250(n=44)
7.56±0.82
0.20±0.74
-0.63***[-0.93~-0.33]
A+M250(n=41)
7.74±0.71
-0.43±0.63
M500(n=41)
7.73±0.81
0.30±0.54
-0.83***[-1.07~-0.59]
A+M500(n=82)
7.79±0.81
-0.53±0.67
A:アナグリプチン100mg(1日2回)、M250:メトホルミン塩酸塩250mg(1日2回)、M500:メトホルミン塩酸塩500mg(1日2回)投与前値及び投与前からの変化量:平均値±標準偏差、群間差:点推定[95%信頼区間]、***:p<0.001(2標本t検定)
二重盲検比較試験に引き続き、メトホルミン塩酸塩500mg、1日2回投与の患者を対象に、アナグリプチン100mgを1日2回(朝夕食直前)、28週間併用投与した非盲検査試験の結果を以下に示す。アナグリプチン継続投与例での治療期52週(最終評価時)におけるHbA1c変化量は-0.47±0.81%(平均値±標準偏差、n=82)であった。治療期52週(最終評価時)における副作用発現頻度は3.6%(3/83例)であった。主な副作用は、便秘、消化不良、血中乳酸増加、血中尿酸増加がいずれも1.2%(1/83例)であった。
食事療法又は食事療法・運動療法に加えてアナグリプチン100mg、1日2回投与による単剤治療で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者(158例)を対象に、メトホルミン塩酸塩250mg又は500mg(最初の4週間は250mg)あるいはプラセボを1日2回(朝夕食直前)、24週間併用投与したプラセボ対照二重盲検比較試験の最終評価時における結果は下表のとおりであった28)。
群間差(A群との差)
群間差(M250+A群との差)
A(n=55)
7.82±0.78
0.14±0.81
M250+A(n=53)
7.93±0.69
-0.52±0.64
-0.66***[-0.97~-0.34]
M500+A(n=50)
8.02±0.98
-0.88±0.75
-1.02***[-1.34~-0.70]
-0.36*[-0.69~-0.04]
A:アナグリプチン100mg(1日2回)、M250:メトホルミン塩酸塩250mg(1日2回)、M500:メトホルミン塩酸塩500mg(1日2回)投与前値及び投与前からの変化量:平均値±標準偏差、群間差:点推定[95%信頼区間]、*:p<0.05、***:p<0.001(対比検定、A群との差は閉手順)
副作用発現頻度は、A群が9.1%(5/55例)、M250+A群が1.9%(1/53例)、M500+A群が10.0%(5/50例)であった。主な副作用は、A群で「腹部膨満」、「慢性胃炎」、「便秘」、「胃食道逆流疾患」、「心窩部不快感」、「血中血陽性」がいずれも1.8%(1/55例)、M250+A群で下痢が1.9%(1/53例)、M500+A群で「腹部不快感」が4.0%(2/50例)、「便秘」、「下痢」、「排便障害」がいずれも2.0%(1/50例)であった。
アナグリプチンはジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)の競合的かつ可逆的な選択的阻害剤である。インクレチンであるグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)及びグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)はグルコース依存的なインスリン分泌促進作用等を有するが29)、DPP-4により分解されて活性を失う30)。アナグリプチンはDPP-4の阻害によって内因性インクレチンの分解を抑制し、その作用を高めることで血糖コントロールを改善する。
メトホルミン塩酸塩は、肝臓での糖新生抑制、末梢組織での糖取り込み促進、消化管からの糖吸収抑制等の作用により、膵β細胞のインスリン分泌を介することなく血糖降下作用を示す31)。
アナグリプチンは、ヒトDPP-4(組換え体、血漿及びCaco-2細胞由来)の活性を選択的に阻害する(IC50値:3.3、5.4及び3.5nmol/L)32)(in vitro)。
2型糖尿病患者(成人男性)において、アナグリプチン100mgを1日2回、3日間反復経口投与したところ、血漿中のDPP-4活性を阻害し、食後の活性型GLP-1及びGIP濃度を増加させた17)。
アナグリプチン(Anagliptin)
N-[2-({2-[(2S)-2-Cyanopyrrolidin-1-yl]-2-oxoethyl}amino)-2-methylpropyl]-2-methylpyrazolo[1,5-a]pyrimidine-6-carboxamide
C19H25N7O2
383.45
本品は白色~淡黄色の結晶又は結晶性の粉末である。本品は水に極めて溶けやすく、アセトニトリル又はメタノールに溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けやすく、2-プロパノールに溶けにくく、ヘキサンに極めて溶けにくい。
117~119℃
0.46(1-オクタノール/水)
メトホルミン塩酸塩(Metformin Hydrochloride)
1,1-Dimethylbiguanide monohydrochloride
C4H11N5・HCl
165.62
本品は白色の結晶又は結晶性の粉末である。本品は水に溶けやすく、酢酸(100)にやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくい。融点:約221℃(分解)。
本剤とオルメサルタン メドキソミル製剤等との一包化は避けること。一包化して高温高湿度条件下にて保存した場合、本剤が変色することがある。
100錠(PTP10錠×10)、140錠(PTP14錠×10)、500錠(PTP10錠×50)、500錠(バラ、乾燥剤入り)
1) *Dubourg J, et al.:Diabetes Obes Metab. 2022;24 (4):609-619
2) Tuchmann-Duplessis H, et al.:Compt Rend. 1961;253:321-323
3) 社内資料:アナグリプチンの腎機能障害患者における薬物動態(スイニー錠 承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.7.6.3.6)
4) 社内資料:生物学的同等性試験(承認年月日:2018年9月21日、CTD 2.7.6.2)
5) 社内資料:食事の影響試験(承認年月日:2018年9月21日、CTD 2.7.6.1)
6) 社内資料:アナグリプチンの健康成人におけるマスバランス(スイニー錠 承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.7.6.3.3)
7) 社内資料:非臨床試験-アナグリプチンの薬物動態試験:分布(スイニー錠 承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.6.4.4)
8) 社内資料:非臨床試験-アナグリプチンの薬物動態試験:代謝(スイニー錠 承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.6.4.5及びCTD 2.6.4.7.1)
9) Pentikäinen PJ, et al.:Eur J Clin Pharmacol. 1979;16 (3):195-202
10) 社内資料:アナグリプチンの健康成人における薬物動態:単回投与試験(スイニー錠 承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.7.6.3.1)
11) 社内資料:アナグリプチンの健康成人における薬物動態:反復投与試験(スイニー錠 承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.7.6.3.2)
12) 社内資料:非臨床試験-アナグリプチンの薬物動態試験:排泄(スイニー錠 承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.6.4.6、CTD 2.6.4.7.2及びCTD 2.6.4.7.3)
13) Kimura N, et al.:Drug Metab Pharmacokinet. 2005;20 (5):379-386
14) Sambol NC, et al.:J Clin Pharmacol. 1995;35 (11):1094-1102
15) 社内資料:アナグリプチンの肝機能障害患者における薬物動態(スイニー錠 承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.7.6.3.5)
16) 社内資料:アナグリプチン第Ⅱ相試験(スイニー錠 承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.7.6.5.1及びCTD 2.7.2.3.2.5)
17) 社内資料:アナグリプチンとミグリトールの薬物相互作用(スイニー錠 承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.7.6.3.8)
18) 社内資料:アナグリプチンとグリベンクラミドの薬物相互作用(スイニー錠 承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.7.6.3.12)
19) 社内資料:アナグリプチンの健康成人における薬物動態に及ぼす食事の影響及びプロベネシドの薬物相互作用(スイニー錠 承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.7.6.1.1及びCTD2.7.6.3.7)
20) 社内資料:アナグリプチンとジゴキシンの薬物相互作用(スイニー錠 承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.7.6.3.10)
21) 社内資料:アナグリプチンとメトホルミンの薬物相互作用(スイニー錠 承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.7.6.3.9)
22) 社内資料:アナグリプチンとピオグリタゾンの薬物相互作用(スイニー錠 承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.7.6.3.13)
23) 社内資料:アナグリプチンとシクロスポリンの薬物相互作用(スイニー錠 承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.7.6.3.11)
24) Somogyi A, et al.:Br J Clin Pharmacol. 1987;23 (5):545-551
25) Song IH, et al.:J Acquir Immune Defic Syndr. 2016;72 (4):400-407
26) Johansson S, et al.:Clin Pharmacokinet. 2014;53 (9):837-847
27) 社内資料:メトホルミンに対するアナグリプチン追加併用長期投与試験(承認年月日:2018年9月21日、CTD 2.7.6.4)
28) 社内資料:アナグリプチンに対するメトホルミン追加併用試験(承認年月日:2018年9月21日、CTD 2.7.6.5)
29) Drucker DJ, et al.:Lancet. 2006;368 (9548):1696-1705
30) Vilsbøll T, et al.:J Clin Endocrinol Metab. 2003;88 (1):220-224
31) Lee AJ:Pharmacotherapy. 1996;16 (3):327-351
32) 社内資料:アナグリプチンのDPP-4に対する阻害作用の検討(スイニー錠 承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.6.2.2.1)
33) 社内資料:アナグリプチンのZucker fattyラットにおける耐糖能改善作用の検討(スイニー錠 承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.6.2.2.9)
34) 社内資料:アナグリプチンのGKラットにおける耐糖能改善作用の検討(スイニー錠 承認年月日:2012年9月28日、CTD 2.6.2.2.10)
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