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日本薬局方
シクロホスファミド錠
劇薬
処方箋医薬品注)
多発性骨髄腫、悪性リンパ腫(ホジキン病、リンパ肉腫、細網肉腫)、乳癌急性白血病、真性多血症、肺癌、神経腫瘍(神経芽腫、網膜芽腫)、骨腫瘍ただし、下記の疾患については、他の抗腫瘍剤と併用することが必要である。慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、咽頭癌、胃癌、膵癌、肝癌、結腸癌、子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌、睾丸腫瘍、絨毛性疾患(絨毛癌、破壊胞状奇胎、胞状奇胎)、横紋筋肉腫、悪性黒色腫
全身性エリテマトーデス、全身性血管炎(顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、結節性多発動脈炎、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、高安動脈炎等)、多発性筋炎/皮膚筋炎、強皮症、混合性結合組織病、及び血管炎を伴う難治性リウマチ性疾患
診療ガイドライン2),3),4)等の最新の情報を参考に、本剤の投与が適切と判断される患者に投与すること。
通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日100~200mgを経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
単独で使用する場合に準じ、適宜減量する。
再生医療等製品の用法及び用量又は使用方法に基づき使用する。
他の薬剤との併用において、通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として週1回300mg/m2(体表面積)を経口投与する。投与量の上限は、1回量として500mgとする。
通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日50~100mgを経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日50~100mgを8~12週間経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
通常、小児にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日2~3mg/kgを8~12週間経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、通常1日100mgまでとする。原則として、総投与量は300mg/kgまでとする。
本剤の投与スケジュールについて、国内のガイドライン2),3),4)等の最新の情報を参考にすること。
骨髄抑制が増強するおそれがある。,
骨髄抑制作用により、感染症が増悪するおそれがある。
致命的な全身障害があらわれることがある。
腎障害が増悪するおそれがある。
肝障害が増悪するおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。妊娠中に本剤を使用するか、本剤を使用中に妊娠した場合は、胎児に異常が生じる可能性があることを患者に説明すること。催奇形性を疑う症例報告があり、動物試験では、本剤2.5mg/kgを投与した雌ラットで胚・胎児の死亡及び催奇形作用が報告されている7)。
用量並びに投与間隔に留意すること。生理機能が低下していることが多く、副作用があらわれやすい。
,
骨髄移植の患者で、本剤投与中にペントスタチンを単回投与したところ、錯乱、呼吸困難、低血圧、肺水腫等が認められ、心毒性により死亡したとの報告がある。また、動物試験(マウス)においてペントスタチン(臨床用量の10倍相当量)とシクロホスファミド(LD50前後)又はその類縁薬であるイホスファミド(LD50前後)を同時期に単回投与したとき、それぞれを単独投与したときに比べて死亡率の増加が認められた1)。
明らかな機序は不明である。本剤は用量依存性の心毒性があり、ペントスタチンは心筋細胞に影響を及ぼすATPの代謝を阻害する。両剤の併用により心毒性が増強すると考えられている1)。
骨髄抑制等の副作用が増強することがあるので、異常が認められた場合には、減量、休薬等の適切な処置を行うこと。
共に骨髄抑制作用を有する。
本剤の作用が増強することがある。
フェノバルビタールの酵素誘導により本剤の活性型への変換が促進される。
本剤の作用が減弱することがある。
副腎皮質ホルモン、クロラムフェニコールは肝における本剤の代謝を競合的に阻害し、活性化を抑制する。
血糖降下作用が増強されることがある。
本剤がインスリン抗体の生成を阻害するため、遊離のインスリン量が多くなり、血糖降下作用が増強される。
オキシトシンの作用が増強されることがある。
機序は不明である。
バソプレシンの作用が減弱されることがある。
本剤がバソプレシンの排泄を増加させる。
心筋障害が増強されるおそれがある。また、これらの薬剤との併用療法終了後に遅発性心毒性が発現したとの報告があるため、治療終了後も長期間経過を観察するなど十分注意すること。
明らかな機序は不明であるが、共に心筋障害を有する。
脱分極性筋弛緩剤の作用が増強され、遷延性無呼吸を起こすおそれがある。
本剤がコリンエステラーゼによる脱分極性筋弛緩剤の分解を阻害すると考えられている。
血圧低下、呼吸困難、喘鳴、蕁麻疹、不快感等があらわれることがある。
汎血球減少、貧血、白血球減少、血小板減少、出血があらわれることがあるので、本剤投与期間中には末梢血液の観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与間隔の延長、減量、休薬等の適切な処置を行うこと。,
低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。
急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがある。
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがある。
5%以上又は頻度不明
0.1~5%未満
0.1%未満
肝臓
肝障害、黄疸、コリンエステラーゼ値の低下等
腎臓
乏尿による尿浸透圧の上昇、蛋白尿、浮腫等
消化器
悪心・嘔吐
食欲不振、味覚異常、口渇、潰瘍性口内炎、胸やけ、おくび、腹部膨満感、腹痛、便秘、下痢等
過敏症
発疹等
皮膚
脱毛、皮膚炎、色素沈着、爪の変形・変色等
精神神経系
倦怠感
頭痛、眩暈、不眠
運動失調等
呼吸器
肺水腫等
循環器
心電図異常、心悸亢進、低血圧等
内分泌
副腎皮質機能不全、甲状腺機能亢進等
性腺
無精子症、卵巣機能不全、無月経等
その他
低ナトリウム血症
発熱、創傷の治癒遅延、高血糖、CK上昇
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
シクロホスファミドの血漿蛋白結合率は12~24%であった10)(外国人データ)。
未治療の全身性ALアミロイドーシスを有する18歳以上の患者388例(日本人28例を含む)を対象にシクロホスファミド、ボルテゾミブ及びデキサメタゾンの併用療法(CyBorD療法)とダラツムマブを上乗せしたDCyBorD療法を比較するランダム化非盲検群間比較試験を実施した。いずれの療法も28日間を1サイクルとし、CyBorD群ではシクロホスファミド300mg/m2(無水物換算、経口又は静脈内)注4)、ボルテゾミブ1.3mg/m2(皮下)及びデキサメタゾン40mg(経口)を1週間間隔で投与し、最大6サイクルまで施行した。DCyBorD群ではCyBorDに上乗せしダラツムマブ1800mg(皮下)をサイクル1~2は1週間隔、サイクル3~6は2週間隔、サイクル7以降は4週間隔で投与し、最大24サイクルまで施行した。各薬剤は症状に応じ適宜減量した。
有効性主要評価項目である血液学的完全奏功(CR)率はDCyBorD群(195例)53.3%(95%信頼区間:46.1-60.5)、CyBorD群(193例)18.1%(95%信頼区間:13.0-24.3)であり、両群間のオッズ比は5.13(95%信頼区間:3.22-8.16)、p<0.0001でありDCyBorD群が統計的に有意に高かった(層別Cochran-Mantel-Haenszel検定、有意水準0.04999)。日本人サブグループ解析においても全体と同様の傾向であった。
安全性評価対象例(DCyBorD群193例)の副作用発現率は90.2%であった。主な副作用は末梢性感覚ニューロパチー27.5%、便秘20.7%、疲労20.2%、下痢19.7%、不眠症18.1%、貧血16.6%、リンパ球減少症16.1%、血小板減少症15.5%、悪心15.0%及び末梢性浮腫14.5%であった。DCyBorD群の72.5%がベースライン時に全身性ALアミロイドーシスに関連する心臓障害を有していた。心臓障害関連の有害事象は、心不全8.3%、動悸5.7%、心房細動5.7%であり、重篤又は致死的な心臓障害関連の有害事象は心不全6.2%、心停止3.6%、心房細動2.1%であった。重篤又は致死的な心臓障害を発現した患者はベースライン時に全身性ALアミロイドーシスに関連する心臓障害を有していた。なお、臨床試験ではMayo Clinic Cardiac Staging Systemに基づく心臓病期stage Ⅲb(NT-proBNP>8500pg/mL)、NYHA分類クラスⅢB又はⅣの患者は除外された15)。
シクロホスファミドは生体内で活性化された後、腫瘍細胞のDNA合成を阻害し、抗腫瘍作用をあらわすことが認められている。
マウスのEhrlich癌、Bashford癌、ラットの吉田肉腫、Walker癌、Jensen肉腫等に対して明らかな腫瘍増殖抑制効果を示し、マウスL1210白血病、ラット腹水肝癌AH13等のほか多くの動物移植性腫瘍に対して延命効果を認めている18),19),20),21)(in vivo)。
ラット吉田肉腫の試験において、短時間内に分裂像の減少、異常分裂像がみられ、細胞の膨化、核の崩壊、細胞質の融解を認めた22)(in vitro)。
シクロホスファミド水和物(Cyclophosphamide Hydrate)(JAN)[日局]
N,N-Bis(2-chloroethyl)-3,4,5,6-tetrahydro-2H-1,3,2-oxazaphosphorin-2-amine 2-oxide monohydrate
C7H15Cl2N2O2P・H2O
279.10
白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはない。酢酸(100)に極めて溶けやすく、エタノール(95)、無水酢酸又はクロロホルムに溶けやすく、水又はジエチルエーテルにやや溶けやすい。
45~53℃
4.27[1-オクタノール/水]
100錠[10錠(PTP)×10]
1) Gryn,J. et al.: Bone Marrow Transplantation. 1993;12:217-220〔199302440〕
2) 小児ネフローゼ症候群薬物治療ガイドライン作成委員会.小児特発性ネフローゼ症候群薬物治療ガイドライン1.0版:日本小児腎臓病学会雑誌.2005;18:170〔201101118〕
3) 厚生労働省難治性疾患克服研究事業進行性腎障害に関する調査研究班 難治性ネフローゼ症候群分科会.ネフローゼ症候群診療指針:日本腎臓学会誌.2011;53:78-122〔201101119〕
4) エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2009:日本腎臓学会編.2009〔201101194〕
5) Philibert,D. et al.: Nat.Clin.Pract.Nephrol. 2008;4:550-559〔201101120〕
6) Trasler,J.M. et al. : Nature. 1985;316:144-146〔198503489〕
7) 永岡隆晴ほか:基礎と臨床.1982;16:517-541〔198200663〕
8) *Durodola,J.I. : J.Natl.Med.Assoc. 1979;71:165-166〔202100094〕
9) *Amato,D. et al.: Med.J.Aust. 1977;1:383-384〔202100095〕
10) 藤田浩:抗癌剤の薬理動態.1986;9-22:メディカルレビュー社,大阪
11) Chang,T.K.H. et al.: Cancer Res. 1993;53:5629-5637〔199302712〕
12) Bagley,C.M. et al.: Cancer Res. 1973;33:226-233〔197300522〕
13) Wagner,T. et al.: J.Cancer Res.Clin.Oncol. 1981;100:95-104〔198101631〕
14) Wagner,T. et al.: Contr.Oncol. 1987;26:69-75〔198702357〕
15) *社内資料:国際共同第Ⅲ相試験(試験番号AMY3001試験)(2021/8/25承認、ダラツムマブ皮下注製剤 申請資料概要2.7.6.1)〔202100080〕
16) Liss,E. et al.: Antimicrob.Agents Chemother. 1965;493-496〔196500117〕
17) Palme,G. et al.: Antimicrob.Agents Chemother. 1965;497-502〔196500116〕
18) Sugiura,K. et al.: Cancer Res. 1961;21:1412-1420〔196100101〕
19) 山口健二ほか:基礎と臨床.1982;16:2997-3008〔198200661〕
20) 桜井欽夫ほか:最新医学.1961;16:1729-1732〔196100102〕
21) Venditti,J.M. et al.: Cancer Res. 1959;19:986-995〔195900062〕
22) 海老名敏明ほか:日本臨牀.1961;19:1990-1998〔196100005〕
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