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処方箋医薬品注)
本剤の耐性菌の発現を防ぐため、「8.重要な基本的注意」の項を熟読の上、適正使用に努めること。
セフィデロコルに感性の大腸菌、シトロバクター属、肺炎桿菌、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア・マルセスセンス、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、緑膿菌、バークホルデリア属、ステノトロホモナス・マルトフィリア、アシネトバクター属
ただし、カルバペネム系抗菌薬に耐性を示す菌株に限る。
各種感染症
通常、成人には、セフィデロコルとして1回2gを8時間ごとに3時間かけて点滴静注する。なお、腎機能に応じて適宜増減する。
Ccr(mL/min)/血液透析患者
1回投与量
投与間隔
投与時間
30≦Ccr<60
1.5g
8時間毎
3時間
15≦Ccr<30
1g
Ccr<15
0.75g
12時間毎
血液透析患者
Ccr:クレアチニンクリアランス
※:血液透析患者では、透析実施後できるだけ速やかに投与すること。
Ccr(mL/min)
120≦Ccr
2g
6時間毎
痙攣、意識障害等の中枢神経症状が起こるおそれがある。
観察を十分に行うこと。他の抗生物質でビタミンK欠乏症状があらわれたことが報告されている。
本剤は腎排泄型の薬剤であり、高い血漿中濃度が持続するおそれがある。
減量等を考慮すること。,,
3~4時間の血液透析によって約60%の血漿中セフィデロコルが除去された2)(外国人データ)。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で胎盤への移行が報告されている。
授乳中の女性には、治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
ショック、アナフィラキシーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、呼吸困難、全身潮紅、蕁麻疹、血圧低下等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎があらわれることがあるので、腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には直ちに投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
痙攣、てんかん発作等の中枢神経症状があらわれることがある。
1%以上
1%未満
頻度不明
過敏症
発疹、そう痒
呼吸器
咳嗽
肝臓
ALT上昇、γ-GTP上昇
AST上昇、肝機能異常
*腎臓
着色尿
消化器
下痢
悪心、嘔吐
菌交代症
カンジダ症
投与部位
疼痛・紅斑・静脈炎等の注射部位反応
本剤は血液透析により血漿中から除去されることが報告されている。
必要瓶数
瓶から分取する溶解液量
100mL点滴バッグに注入する溶解液総量
2本
各瓶の全量(11.2mL)
22.4mL
1本目の全量(11.2mL)及び2本目の5.6mL
16.8mL
1本
全量(11.2mL)
11.2mL
8.4mL
健康成人6例に100mg注1)、250mg注1)、500mg注1)、1g注1)、2gを1時間注1)かけて単回点滴静注したときの血漿中濃度3)を図16-1に、2gを単回又は8時間ごとに反復点滴静注したときの薬物動態パラメータ3),4)を表16-1に示す。Cmax及びAUCは用量比例的に増大した。反復投与での体内動態は単回投与時とほとんど変わらず、蓄積性は認められなかった(外国人データを含む)。
投与量(g)
点滴時間(hr)
例数
Cmax(μg/mL)
AUC(μg・hr/mL)
T1/2(hr)
単回投与
2
1注
6※1
156 (7.9)
389.7 (9.0)
2.74 (10.2)
3
43※2
89.7 (20.5)
386.1 (17.2)
2.41 (14.0)
反復投与(10日目)
8※3
153 (12.9)
366.5 (14.0)
2.72 (21.6)
※1:日本人データ
※2:外国人データ
※3:日本人6例及び外国人2例
(測定法:LC/MS/MS)(幾何平均値[%幾何変動係数])
ヒト血漿蛋白結合率は、1~1000μg/mLの濃度範囲において40.8~60.4%であった5)(in vitro試験)。健康成人43例にセフィデロコル2gを3時間かけて単回点滴静注したときの終末相における分布容積の幾何平均(%幾何変動係数)は18.0L(18.1%)であった。
人工呼吸器を装着している肺炎患者7例に、セフィデロコル2g(又は腎機能に応じた用量)を8時間ごと、あるいは腎機能が亢進している患者では6時間ごとに3時間点滴静注したときの気道上皮被覆液中濃度は、点滴開始3時間後(点滴終了時)で3.10~20.7μg/mL、点滴開始5時間後(点滴終了2時間後)で7.19~15.9μg/mLであった。
健康成人男性6例に[14C]-セフィデロコル1g注1)を1時間かけて注1)単回点滴静注したとき、血漿中では主にセフィデロコル未変化体が検出された(総放射能AUCの92.3%)6)(外国人データ)。
健康成人男性6例に[14C]-セフィデロコル1g注1)を1時間かけて注1)単回点滴静注したとき、投与された放射能の98.6%及び2.8%がそれぞれ尿中及び糞中に排泄され、未変化体尿中排泄率は90.6%であった7)(外国人データ)。
腎機能正常患者、軽度、中等度及び高度腎機能障害患者並びに血液透析を必要とする末期腎不全患者にセフィデロコル1g注1)を1時間かけて注1)単回点滴静注したとき、表16-2に示すとおり本薬のAUCは腎機能の程度に応じて増大した。持続的腎代替療法施行時の膜透過クリアランスは、in vitro透析実験においてろ過液又は透析液の流入速度に依存した8)。持続的腎代替療法施行中の患者において本薬の曝露量が低下する恐れがある。
腎機能の程度(推算糸球体ろ過量)(mL/min/1.73m2)
AUC0-inf(μg・hr/mL)
幾何平均値
腎機能正常被験者との比[90%信頼区間]
腎機能正常被験者
8
213.4
軽度腎機能障害被験者(60以上90未満)
218.7
1.025[0.817, 1.287]
中等度腎機能障害被験者(30以上60未満)
7
312.3
1.464[1.157, 1.852]
重度腎機能障害被験者(15以上30未満)
6
543.2
2.546[1.992, 3.254]
末期腎不全被験者(血液透析後投与)
880.7
4.128[3.289, 5.181]
母集団薬物動態解析9),10)の結果を基に、国際共同第Ⅲ相院内肺炎患者対象試験における腎クリアランス亢進患者(Ccr≧120mL/min)及び腎機能正常患者(90≦Ccr<120mL/min)のセフィデロコルの全身クリアランス(CL)推定値を表16-3に示す。腎クリアランス亢進患者でCLの増大が認められた。
CL(L/hr)※1
19
6.46(38.0)
90≦Ccr<120
27
4.48(66.0)
※1:ベイジアン推定による幾何平均値(%幾何変動係数)
セフィデロコルは、本剤の用法・用量で投与したときの濃度においてOAT1、OAT3、及びMATE2-Kを阻害した(in vitro試験)。
健康成人を対象に薬物相互作用を検討した。併用薬の薬物動態に及ぼすセフィデロコルの影響を表16-4に示す11),12)(外国人データ)。
表16-4 併用薬の薬物動態に及ぼすセフィデロコルの影響
併用薬
用法・用量
例数(併用投与/単独投与)
併用薬の薬物動態パラメータの比
[90%信頼区間]
(併用投与/単独投与)
本剤
Cmax
AUC0-inf
フロセミド(OAT1及びOAT3基質)
20mg
単回
2gを8時間ごとに3時間点滴静注
12/12
1.00
[0.71, 1.42]
0.92
[0.73, 1.16] ※1
メトホルミン(OCT1、OCT2、MATE1及びMATE2-K基質)
12/13
1.09
[0.92, 1.28]
1.03
[0.93, 1.15]
ロスバスタチン(BCRP、OATP1B1及びOATP1B3基質)
10mg
1.28
[1.12, 1.46]
1.21
[1.08, 1.35] ※2
ミダゾラム(CYP3A基質)
5mg
12/14
1.09[0.97, 1.21]
1.12[0.99, 1.28]
※1:単独投与のAUC0-infは10例,併用投与のAUC0-infは11例
※2:単独投与のAUC0-infは10例
カルバペネム耐性グラム陰性菌による感染症患者注2)150例(日本人2例を含む)を対象に、本剤(セフィデロコル2gを8時間ごとに3時間かけて点滴静注)を7~14日間(ただし、患者の状態によって最大21日間)投与したときの有効性及び安全性を、標準治療〔各地域の既存薬を用いて、患者の症状に応じて最善の治療(1~3剤)が決定された〕と比較する国際共同第Ⅲ相非盲検並行群間試験を実施した。感染部位別の有効率及び原因菌別の有効率は表17-1及び表17-2のとおりであった。
感染部位
評価項目
本剤群
標準治療群
院内肺炎/人工呼吸器関連肺炎/医療ケア関連肺炎
臨床効果
50.0(20/40)[33.8, 66.2]
52.6(10/19)[28.9, 75.6]
敗血症を含む血流感染症
43.5(10/23)[23.2, 65.5]
42.9(6/14)[17.7, 71.1]
複雑性尿路感染症
細菌学的効果
52.9(9/17)[27.8, 77.0]
20.0(1/5)[0.5, 71.6]
有効率(%)(有効例数/評価例数)[95%信頼区間※]、※Clopper-Pearson method
カルバペネム耐性Microbiological Intent-to-treat集団(118例)
菌属/菌種
解析対象集団
CR Micro-ITT集団
Micro-ITT集団
大腸菌
0(0/2)
33.3(2/6)
50(1/2)
50(3/6)
肺炎桿菌
48.1(13/27)
50(17/34)
66.7(18/27)
64.7(22/34)
クレブシエラ属
-
エンテロバクター属
セラチア・マルセスセンス
0(0/1)
100(1/1)
緑膿菌
8.3(1/12)
11.8(2/17)
58.3(7/12)
52.9(9/17)
ステノトロホモナス・マルトフィリア
0(0/5)
アシネトバクター属
25.6(10/39)
28.6(12/42)
41(16/39)
42.9(18/42)
有効率(%)(有効例数/評価例数)
CR Micro-ITT集団:カルバペネム耐性Microbiological Intent-to-treat集団(本剤群:80例、重複感染を含む)
Micro-ITT集団:Microbiological Intent-to-treat集団(本剤群:86例、重複感染を含む)
安全性解析対象集団における本剤群の副作用発現頻度は、14.9%(15/101例)であった。主な副作用はアラニンアミノトランスフェラーゼ増加及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加3.0%(各3/101例)であった。試験終了時(投与終了時から約28日後)の全死因死亡率(安全性解析対象集団)は、本剤群で33.7%(34/101例)、標準治療群で18.4%(9/49例)であり、死亡に至った有害事象のうち本剤群の20.8%(21/101例)、標準治療群の6.1%(3/49例)は、MedDRA/Jの器官別大分類「感染症及び寄生虫症」に分類される事象(敗血症性ショック等)であった。組入れ時にアシネトバクター属に感染していた被験者において、治験薬投与開始後49日目までの全死因死亡率は本剤群で50.0%(21/42例)、標準治療群で23.5%(4/17例)であったが、治癒判定時の臨床効果による有効率(カルバペネム耐性 Microbiological Intent-to-treat集団)は本剤群で41.0%(16/39例)、標準治療群で52.9%(9/17例)、細菌学的効果による有効率は本剤群で25.6%(10/39例)、標準治療群で29.4%(5/17例)と同程度であった13),14)。
セフィデロコルは3位側鎖に3価鉄と結合できるシデロフォア構造を有するセファロスポリンであり、ポーリンチャネルを介する受動拡散と、鉄取り込み系を介する能動輸送により外膜からペリプラズム内に取り込まれ、ペニシリン結合蛋白に結合することで細胞壁合成を阻害する。本薬はAmblerクラスA~Dのβ-ラクタマーゼに対する安定性を有する15)。
セフィデロコルは大腸菌、シトロバクター属、肺炎桿菌、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア・マルセスセンス、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、緑膿菌、バークホルデリア属、ステノトロホモナス・マルトフィリア、アシネトバクター属に抗菌活性を示す。
基質拡張型β-ラクタマーゼ(TEM、SHV、CTX-M、OXA)、セリン型カルバペネマーゼ(KPC、OXA、GES)、メタロ型カルバペネマーゼ(IMP、VIM、NDM)の産生、AmpC高産生、ポーリン欠損や排出ポンプの産生亢進によるカルバペネム耐性及び多剤耐性を呈する緑膿菌並びにアシネトバクター属、広域スペクトルセファロスポリン耐性及びカルバペネム耐性腸内細菌目細菌に対して、セフィデロコルは抗菌活性を示す15),16)。
なお、セフィデロコルは、グラム陽性菌及び嫌気性グラム陰性菌に対しては十分な抗菌活性を有していない。
セフィデロコルトシル酸塩硫酸塩水和物(Cefiderocol Tosilate Sulfate Hydrate)(JAN)
Tris[(6R,7R)-7-[(2Z)-2-(2-amino-1,3-thiazol-4-yl)-2-{[(2-carboxypropan-2-yl)oxy]imino}acetamido]-3-({1-[2-(2-chloro-3,4-dihydroxybenzamido)ethyl]pyrrolidin-1-ium-1-yl}methyl)-8-oxo-5-thia-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylate] tetrakis(4-methylbenzenesulfonate) monosulfate hydrate
(C30H34ClN7O10S2)3・(C7H8O3S)4・H2SO4・xH2O
3043.50(anhydrous)
白色~微黄白色の粉末である。N,N-ジメチルホルムアミド及びメタノールに溶けやすく、水及びエタノールに溶けにくく、アセトニトリルにほとんど溶けない。
150.9℃(分解)
logP=-1.47(Advanced Chemistry Development Incのソフトウェアにて算出)
1瓶中にNa 175.7mg(7.6mEq)を含有する。
外箱開封後は遮光して保存すること。
10瓶[1g×10]
1) *厚生労働省健康・生活衛生局編:抗微生物薬適正使用の手引き
2) Katsube T. et al.: J Clin Pharmacol. 2017;57(5):584-591〔202300026〕
3) 社内資料:セフィデロコルの単回及び反復漸増用量試験における薬物動態(2023/11/30承認、申請資料概要2.7.2.2、2.7.2.3.1、2.7.1.1.3)〔202300316〕
4) 社内資料:セフィデロコルのThorough QT/QTc試験における薬物動態(2023/11/30承認、申請資料概要2.7.2.2、2.7.2.3.1、2.7.1.1.3)〔202300317〕
5) 社内資料:セフィデロコルの蛋白結合に関する試験(2023/11/30承認、申請資料概要2.6.4.4.1.1)〔202300299〕
6) Miyazaki S. et al.: J Clin Pharmacol. 2019;59(7):958-967〔202300043〕
7) 社内資料:セフィデロコルのマスバランス試験(2023/11/30承認、申請資料概要2.7.2.2、2.7.2.3.2)〔202300323〕
8) Wenzler E. et al.: Clin Pharmacokinet. 2022;61(4):539-552〔202300057〕
9) Kawaguchi N. et al.: Antimicrob Agents Chemother. 2021;65(3):e01437-20〔202300052〕
10) 社内資料:セフィデロコルの母集団薬物動態解析(2023/11/30承認、申請資料概要2.7.2.3.8.1)〔202300325〕
11) Katsube T. et al.: Eur J Clin Pharmacol. 2018;74(7):931-938〔202300036〕
12) 社内資料:セフィデロコルのミダゾラムとの薬物相互作用試験(2023/11/30承認、申請資料概要2.7.2.2.4.2)〔202300318〕
13) Bassetti M. et al.: Lancet Infect Dis. 2021;21(2):226-240〔202300049〕
14) 社内資料:セフィデロコルの第Ⅲ相カルバペネム耐性グラム陰性菌による重症感染症患者を対象とした非盲検試験(2023/11/30承認、申請資料概要2.7.6.8)〔202300314〕
15) 社内資料:セフィデロコルの作用機序(2023/11/30承認、申請資料概要2.7.2.4)〔202300281〕
16) 社内資料:セフィデロコルの抗菌作用(2023/11/30承認、申請資料概要2.7.2.4)〔202300285〕
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