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毒薬
処方箋医薬品注)
生物由来製品
**○眼瞼痙攣、○片側顔面痙攣、○痙性斜頸、○上肢痙縮、○下肢痙縮、○重度の原発性腋窩多汗症、○斜視、○痙攣性発声障害、○既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁、○既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない神経因性膀胱による尿失禁
通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として初回1.25~2.5単位/部位を、1眼あたり眼輪筋6部位の筋肉内に注射する。また、眼輪筋切除術施行後の患者に投与する場合には、筋電計を用いて注意深く目標とする部位を同定すること。効果は通常3~4ヵ月間持続するが、症状再発の場合には再投与する。ただし、投与間隔は8週以上とすること。また、再投与は初回投与量の2倍までの用量を用いることができるが、本剤の薬理作用である筋麻痺作用が予想以上に強く発現した結果とみられる閉瞼不全、眼瞼下垂等の副作用があらわれた場合には、再投与時の用量を適宜減量すること。また、1ヵ月間に累積で45単位を超える投与は避けること。
通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として以下の用量を痙攣筋※に筋肉内注射する。痙攣筋が複数ある場合は、分割して投与する。
通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として以下の用量を緊張筋※に筋肉内注射する。緊張筋が複数ある場合は、分割して投与する。
通常、2歳以上の小児にはA型ボツリヌス毒素として複数の緊張筋※に合計3~6単位/kgを分割して筋肉内注射する。1回あたりの投与量は6単位/kgと200単位のいずれも超えないこととし、対象となる緊張筋の種類や数により、必要最小限となるよう適宜減量する。また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。※緊張筋:上腕二頭筋、上腕筋、腕橈骨筋、橈側手根屈筋、尺側手根屈筋、深指屈筋、浅指屈筋、長母指屈筋、母指内転筋等
通常、2歳以上の小児にはA型ボツリヌス毒素として複数の緊張筋※に合計4~8単位/kgを分割して筋肉内注射する。1回あたりの投与量は、一側下肢への投与で8単位/kgと300単位、両下肢への投与で10単位/kgと340単位のいずれも超えないこととし、対象となる緊張筋の種類や数により、必要最小限となるよう適宜減量する。また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。※緊張筋:腓腹筋(内側頭、外側頭)、ヒラメ筋、後脛骨筋等
通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として片腋窩あたり50単位を、複数の部位(10~15ヵ所)に1~2cm間隔で皮内投与する。再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は16週以上とすること。
通常、成人及び12歳以上の小児にはA型ボツリヌス毒素として以下の用量を外眼筋に筋肉内注射する。
通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として以下の用量を内喉頭筋に筋肉内注射する。
通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として100単位を排尿筋に分割して注射する。再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。
通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として200単位を排尿筋に分割して注射する。再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。
投与筋
1部位あたりの投与量(単位/部位)
投与部位数(部位)
初回投与
眼輪筋
1.25
4
その他の筋
痙攣筋に眼輪筋とあわせて合計10単位を分割投与
初回投与後の追加投与及び再投与
2.5注1)
皺眉筋
2.5
1
前頭筋
口輪筋
2
大頬骨筋
5.0
小頬骨筋
笑筋
オトガイ筋
広頸筋注2)
上限4
注1)臨床試験では、追加投与及び再投与時には眼輪筋に対して1部位あたり5単位まで投与された症例がある。なお、眼輪筋に対して2.5単位を超えて投与する場合には、特に副作用の発現に留意しながら慎重に投与すること。注2)広頸筋に対しては筋緊張によりスジ状として隆起している部位に投与する。なお、薄い皮筋であるため穿通しないよう注意すること。
初回投与量注3)、投与部位数
最高投与量注4)
胸鎖乳突筋注1)
15-50単位を2ヵ所以上に分割
100単位
僧帽筋
30-60単位を2ヵ所以上に分割
板状筋
25-50単位を2ヵ所以上に分割
斜角筋
15-25単位
50単位
僧帽筋前縁
15-30単位
肩甲挙筋注2)
20-30単位
80単位
傍脊柱筋
20単位
広頸筋
注1)胸鎖乳突筋に投与する場合は、嚥下障害発現のリスクを軽減するため、両側への投与を避けること。注2)肩甲挙筋へ投与する場合は、嚥下障害及び呼吸器感染のリスクが増大する可能性があるので注意すること。注3)各筋に対し、初めて投与する場合の投与量を示す。注4)各投与部位への投与量は30単位を上限とすること。
投与量(単位)
上腕二頭筋
70
上腕筋
45
腕橈骨筋
橈側手根屈筋
50
尺側手根屈筋
深指屈筋
浅指屈筋
長母指屈筋
20
母指内転筋
投与量(単位/kg)
1.5~3.0
1.0~2.0
0.5~1.0
腓腹筋(内側頭)
75
3
腓腹筋(外側頭)
ヒラメ筋
後脛骨筋
初回投与量(単位/筋)
投与部位数(部位/筋)
内直筋
1.25~2.5注1)又は2.5~5.0注2)
外直筋
上直筋
1.25~2.5注3)
下直筋
注1)20プリズムジオプトリー未満の水平斜視注2)20~50プリズムジオプトリーの水平斜視注3)上下斜視
本剤の投与により、病態を悪化させる可能性がある。
本剤の投与により、症状を悪化させる可能性がある。
本剤はアセチルコリンの放出抑制作用を有するため、症状を悪化させる可能性がある。
嚥下困難等を有する患者、脳性麻痺等重度の障害を有する小児患者、痙縮患者等では、投与部位以外の遠隔筋に対する影響と考えられる副作用のリスクが増加するため特に注意すること。,,,
本剤の投与手技に起因する自律神経異常反射を来すおそれがあることから、直ちに適切な処置を行えるようにしておくこと。,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。外国において、本剤を投与された患者で胎児死亡が報告されており、また、動物実験で妊娠及び胎児への影響が認められている。,,,,
投与しないこと。
少量(6. 用法及び用量の初回投与量又は承認用量の下限を参照)から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に、生理機能が低下している。
筋弛緩剤
閉瞼不全、頸部筋脱力等の過剰な筋弛緩があらわれるおそれがある。嚥下障害の発現が高まるおそれがある。
筋弛緩作用が増強されることがある。併用薬の抗コリン作用による口渇、嚥下困難等が出現するため、嚥下障害が増強されることがある。
筋弛緩作用を有する薬剤
他のボツリヌス毒素製剤,,
過剰な筋弛緩があらわれることがあり、呼吸困難、嚥下障害等を発現するリスクが高まるおそれがあるため、本剤と他のボツリヌス毒素製剤の同時投与は原則として避けること。
本剤及びこれらの薬剤は、ともに筋弛緩作用を有するため作用が増強されるおそれがある。
本剤投与後、悪心等の体調の変化がないか、患者の状態を十分観察し、異常がないことを確認すること。呼吸困難、全身潮紅、血管性浮腫、発疹等の症状が認められた場合には投与を中止し、血圧の維持、体液の補充管理、気道の確保等の適切な処置を行うこと。
重篤な角膜露出、持続性上皮欠損、角膜潰瘍、角膜穿孔の報告があるので、兎眼、閉瞼不全等があらわれた場合には、眼球の乾燥を避けるため人工涙液等の点眼剤を投与するなど適切な処置を行うこと。
嚥下障害から嚥下性肺炎を来し、重篤な呼吸困難に至ったとする報告がある。また、本剤の投与により呼吸機能低下があらわれることがある。初回及び2回目の投与後1、2週間は嚥下障害、声質の変化、呼吸困難等の発現に特に留意すること。,
痙攣発作あるいはその再発が報告されている。痙攣発作の素因のある患者に投与する場合には特に注意すること。なお、小児では大部分が脳性麻痺患者からの報告であった。
排尿困難等の症状があらわれた場合には、必要に応じて導尿を実施すること。,
混濁尿、頻尿、排尿痛、発熱、悪寒、血尿等の症状があらわれた場合には、適切な処置を行うこと。,
0.5~2%未満
0.5%未満
頻度不明
過剰な筋弛緩作用
兎眼、閉瞼不全、局所性筋力低下(頸部筋脱力、口角下垂等)、眼瞼下垂、顔面麻痺
眼瞼内反、筋力低下
眼瞼外反
眼
流涙
眼の乾燥感、複視、角膜糜爛、霧視(感)、角膜炎、結膜炎、眼痛、視力低下、眼脂、羞明、斜視、眼運動障害、眼の刺激
眼球後出血、眼の貫通性外傷、ホームズ・アディー瞳孔、硝子体出血
皮膚
発疹、そう痒感、脱毛(睫毛眉毛脱落を含む)、皮膚炎、多形紅斑
乾癬様皮疹、斑状出血、皮膚の異臭、皮下結節
**注射部位
注射部出血斑注1)、注射部腫脹、注射部疼痛、近隣筋の疼痛及び緊張亢進、注射部ひきつり感、注射部熱感、注射部不快感、注射部感染、注射部位過敏反応、注射部位紅斑
気胸注2)
血液
白血球減少、血小板減少
呼吸器
肺炎、感冒様症状、呼吸不全、発声障害、咳嗽、誤嚥
上気道性喘鳴
消化器
嚥下障害
食欲不振、嘔気、嘔吐、口内乾燥、下痢、便秘、腹痛
レッチング
精神神経系
頭痛、感覚鈍麻、めまい、失神、感覚異常、傾眠、神経根障害、不眠症
不器用、運動低下
筋骨格
筋緊張亢進、筋痛、四肢痛、筋痙縮、関節痛
弾発指、滑液包炎
泌尿器
排尿困難、残尿量増加、頻尿
細菌尿、膀胱憩室、尿失禁
その他
肝機能検査値異常、倦怠(感)、脱力(感)、CK上昇、発熱、発汗注3)、耳鳴、構語障害、ほてり、転倒、挫傷、歩行障害、ウイルス感染、疼痛、関節脱臼
聴力低下、耳感染、起立性低血圧、脱神経性萎縮/筋肉萎縮、疲労
溶解液の量(日局生理食塩液)
溶解後のボツリヌス毒素濃度
1.0mL
5.0単位/0.1mL
2.0mL
2.5単位/0.1mL
4.0mL
1.25単位/0.1mL
5.0mL
1.0単位/0.1mL
10.0単位/0.1mL
8.0mL
10.0mL
神経因性膀胱への投与に際し、本剤200単位を30mLの薬液として調製する場合は、①100単位バイアル2本をそれぞれ6mLの日局生理食塩液で溶解し、②合計12mLの薬液を3本の10mLシリンジに4mLずつ吸引した後、③各シリンジに追加で6mLの日局生理食塩液を吸引する。3本のシリンジはそれぞれ薬液10mL(約67単位)を含有する。
全身麻酔の必要な手術を予定している患者においては、本剤の作用による声帯の弛緩が周術期の誤嚥等のリスクを増加させる可能性があるため、手術が終了してから本剤を投与することが望ましい。
処置後、残った薬液は、0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液を加えて失活させた後、密閉可能な廃棄袋又は箱に廃棄する。また、薬液の触れた器具等は同様に0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液を加えて失活させた後、密閉可能な廃棄袋又は箱に廃棄する。
ラットに125I-A型ボツリヌス毒素を単回筋肉内投与したときの血漿中濃度は、2時間後に最高値となり、投与量の3%が認められ、24時間後には1%であった4)。
ラットに125I-A型ボツリヌス毒素を単回筋肉内投与したとき、投与部位の筋肉内には、投与直後に投与量の84%を認めたが、24時間後には5%に減少し、消失半減期は約10時間と推定された4)。
ラットに125I-A型ボツリヌス毒素を単回筋肉内投与したとき、投与後24時間以内に投与量の60%が尿中排泄された4)。
国内延べ6施設で総計88例を対象として実施した臨床試験において、評価可能な79例の改善率(改善以上)は89.9%(71/79例)であった5),6)。改善度は、「著明改善」、「改善」、「やや改善」、「不変」、「増悪」の5段階で行った。注)承認外の用量を含む。
国内延べ13施設で総計97例を対象として実施した臨床試験において、評価可能な94例の改善率(改善以上)は74.5%(70/94例)であった7),8)。改善度は、「著明改善」、「改善」、「やや改善」、「不変」、「増悪」の5段階で行った。なお、初回投与時の投与部位は下記のとおりである。眼輪筋94/94例、皺眉筋11/94例、前頭筋6/94例、口輪筋25/94例、大頬骨筋67/94例、小頬骨筋13/94例、笑筋15/94例、オトガイ筋7/94例、広頸筋1/94例注)承認外の用量を含む。
国内延べ15施設で総計174例を対象として実施した臨床試験において、評価可能な166例の改善率(改善以上)は41.6%(69/166例)であった8),9)。改善度は、「著明改善」、「改善」、「やや改善」、「不変」、「増悪」の5段階で行った。なお、初回投与時の投与部位は下記のとおりである。胸鎖乳突筋120/166例、僧帽筋90/166例、板状筋118/166例、斜角筋9/166例、僧帽筋前縁16/166例、肩甲挙筋8/166例、傍脊柱筋3/166例、広頸筋5/166例注)承認外の用量を含む。
国内19施設で脳卒中後の成人上肢痙縮患者109例を対象として実施したプラセボ対照二重盲検比較試験において、本剤注1)又はプラセボ(それぞれの用量に対応)を複数の緊張筋に投与したとき、主要評価項目である手関節のModified Ashworth Scale(MAS:筋痙縮の度合いを6段階で評価)の変化量に基づく時間曲線下面積(平均値±標準偏差)は、下表のとおりであり、本剤240単位群においてプラセボ群に対する統計学的な有意差が認められた(p<0.001、t検定)10)。注1)本剤は240単位群と150単位群を設定し、それぞれ以下の用量を投与した。本剤240単位群:手関節、手指関節及び母指関節屈筋群に240単位を投与(母指関節に痙縮がない場合は手関節及び手指関節屈筋群に200単位を投与)本剤150単位群:手関節、手指関節及び母指関節屈筋群に150単位を投与(母指関節に痙縮がない場合は手関節及び手指関節屈筋群に120単位を投与)
本剤240単位群(51例)
プラセボ群(26例)
本剤150単位群(21例)
プラセボ群(11例)
MASの変化量に基づく時間曲線下面積
-10.397±8.9313
-3.567±4.7189
-10.036±7.7743
-6.227±8.6584
プラセボとの差[95%信頼区間]
-6.830[-10.567, -3.093]
-3.808[-9.950, 2.333]
p値
p<0.001
-
なお、各評価時期における手関節のMASの推移は下表のとおりであった。
MAS
MAS変化量
本剤240単位群
プラセボ群
群間差[95%信頼区間]
投与前
3.31±0.469(51)
3.27±0.452(26)
投与1週後
2.66±0.822(51)
3.04±0.599(26)
-0.66±0.745(51)
-0.23±0.430(26)
-0.43[-0.74, -0.11]
投与4週後
2.26±0.885(51)
2.79±0.724(26)
-1.05±0.912(51)
-0.48±0.671(26)
-0.57[-0.97, -0.17]
投与6週後
2.17±0.869(49)
2.98±0.728(26)
-1.15±0.931(49)
-0.29±0.569(26)
-0.86[-1.26, -0.47]
投与8週後
2.32±0.914(48)
2.94±0.838(24)
-1.01±0.970(48)
-0.35±0.599(24)
-0.66[-1.09, -0.22]
投与12週後
2.51±0.894(47)
3.08±0.640(25)
-0.83±0.842(47)
-0.20±0.408(25)
-0.63[-0.99, -0.27]
本剤150単位群
3.33±0.483(21)
3.18±0.405(11)
2.48±0.915(21)
2.68±0.845(11)
-0.86±0.777(21)
-0.50±0.742(11)
-0.36[-0.94, 0.22]
2.45±0.893(21)
2.45±1.214(11)
-0.88±0.740(21)
-0.73±1.009(11)
-0.15[-0.79, 0.48]
2.38±0.907(21)
2.50±1.162(11)
-0.95±0.789(21)
-0.68±0.956(11)
-0.27[-0.92, 0.37]
2.40±1.032(21)
2.68±0.956(11)
-0.93±0.884(21)
-0.43[-1.07, 0.21]
2.62±1.071(21)
2.91±0.831(11)
-0.71±0.845(21)
-0.27±0.647(11)
-0.44[-1.04, 0.15]
平均値±標準偏差(例数)
また、二重盲検期に引き続いて非盲検下で本剤注2)を反復投与したときの各投与回における手関節のMASの推移は下表のとおりであった。注2)手関節、手指関節及び母指関節屈筋群に240単位を投与(母指関節に痙縮がない場合は手関節及び手指関節屈筋群に200単位を投与)
1回目
2回目
3回目
2.89±0.720(97)
2.57±0.696(77)
2.50±0.652(48)
1.85±0.843(96)
1.69±0.835(77)
1.86±0.608(48)
1.93±0.940(95)
1.88±0.825(75)
1.89±0.714(47)
2.22±0.903(92)
2.20±0.780(74)
2.06±0.784(47)
本剤を投与された全症例における副作用発現頻度は16%(17/106例)であった。主な副作用は、血中CK増加3%(3/106例)、無力症2%(2/106例)、末梢性浮腫2%(2/106例)であった。
国内40施設で脳卒中後の成人上肢痙縮患者124例を対象として実施したプラセボ対照二重盲検比較試験において、本剤400単位、又は、240単位及びプラセボ注1)を複数の緊張筋に投与したとき、主要評価項目である投与後6週時における肘関節のMASに基づくレスポンダー率(MASスコアがベースラインから少なくとも1減少した被験者の割合)は、下表のとおりであり、本剤240単位群(肘関節屈筋群にプラセボ)に比べ本剤400単位群(肘関節屈筋群に160単位)で高かった11)。注1)本剤は400単位群と240単位群を設定し、それぞれ以下の用量を投与した。本剤400単位群:肘関節屈筋群に160単位、手関節及び(母指を含む)手指関節屈筋群に240単位を投与(総投与量400単位)本剤240単位群:肘関節屈筋群にプラセボ、手関節及び(母指を含む)手指関節屈筋群に240単位を投与(総投与量240単位)
本剤400単位群(61例)
本剤240単位群(63例)
MASに基づくレスポンダー率(レスポンダー例数)注2)
68.9%(42)
50.8%(32)
18.1%[1.1, 35.0]
注2)二重盲検期の投与6週後
なお、各評価時期における肘関節のMAS変化量の推移は下表のとおりであった。
本剤400単位群
群間差[95%信頼区間]注4)
MAS[平均値(例数)]注3)
4.1(61)
4.1(63)
MAS変化量[調整済平均値±標準誤差(例数)]注4)
投与2週後
-1.07±0.102(60)
-0.59±0.089(63)
-0.48[-0.75, -0.22]
-1.12±0.110(59)
-0.70±0.097(63)
-0.42[-0.71, -0.13]
-1.09±0.128(59)
-0.71±0.107(63)
-0.37[-0.71, -0.04]
-0.61±0.101(57)
-0.35±0.072(60)
-0.27[-0.51, -0.02]
注3)MASスコアの0, 1, 1+, 2, 3, 4はそれぞれ0, 1, 2, 3, 4, 5として集計注4)調整済平均値及び95%信頼区間は、投与群、評価時点、投与群と評価時点の交互作用、肘関節のMASスコアのベースライン値、及び、肘関節のMASスコアのベースライン値と評価時点の交互作用を固定効果としたmixed model for repeated measuresを用いて算出
また、二重盲検期に引き続いて非盲検下で本剤注5)を反復投与したときの各投与回における肘関節のMAS変化量の推移は下表のとおりであった。注5)肘関節、手関節及び(母指を含む)手指関節屈筋群、前腕の回内筋、肩関節の内転・内旋筋に合計400単位を分割投与
MAS変化量[平均値±標準偏差(例数)]注6)
-0.4±0.55(116)
-0.5±0.54(109)
-0.6±0.56(81)
-1.4±0.88(115)
-1.4±1.08(109)
-1.3±0.97(80)
-1.5±0.95(113)
-1.4±1.16(108)
-1.4±0.98(81)
-1.3±0.99(115)
-1.3±1.12(108)
-1.4±1.06(81)
-0.8±0.92(113)
-0.9±0.89(108)
-1.1±0.94(81)
注6)ベースラインからの変化量(MASスコアの0, 1, 1+, 2, 3, 4はそれぞれ0, 1, 2, 3, 4, 5として集計)
本剤を投与された全症例における副作用発現頻度は2%(2/124例)であった。その内訳は、筋力低下<1%(1/124例)、注射部位腫脹<1%(1/124例)であった。
国内19施設で脳卒中後の成人下肢痙縮患者120例を対象として実施したプラセボ対照二重盲検比較試験において、本剤300単位又はプラセボを複数の緊張筋に投与したとき、主要評価項目である足関節のMASの変化量に基づく時間曲線下面積(平均値±標準偏差)は、本剤群-8.513±6.6904、プラセボ群-5.085±6.6496、本剤群とプラセボ群の平均値の差とその95%信頼区間は-3.428[-5.841, -1.016]であり、本剤群においてプラセボ群に対する統計学的な有意差が認められた(p=0.006、t検定)12)。なお、各評価時期における足関節のMASの推移は下表のとおりであった。
本剤群
3.28±0.451(58)
3.24±0.432(62)
2.67±0.787(57)
2.72±0.838(62)
-0.61±0.675(57)
-0.52±0.765(62)
-0.09[-0.35, 0.17]
2.40±0.828(56)
2.81±0.785(62)
-0.88±0.687(56)
-0.43±0.718(62)
-0.46[-0.71, -0.20]
2.35±0.829(57)
2.78±0.804(61)
-0.91±0.733(57)
-0.47±0.712(61)
-0.45[-0.71, -0.18]
2.45±0.735(54)
2.82±0.758(61)
-0.82±0.660(54)
-0.43±0.676(61)
-0.40[-0.65, -0.15]
2.70±0.866(54)
2.84±0.750(61)
-0.56±0.685(54)
-0.40±0.583(61)
-0.15[-0.39, 0.08]
また、二重盲検期に引き続いて非盲検下で本剤300単位を反復投与したときの各投与回における足関節のMASの推移は下表のとおりであった。
2.91±0.694(107)
2.45±0.618(92)
2.41±0.593(58)
1.95±0.699(105)
1.76±0.643(91)
1.85±0.635(58)
1.95±0.636(103)
1.88±0.631(89)
1.87±0.502(55)
2.23±0.730(104)
2.09±0.712(88)
1.90±0.556(55)
本剤を投与された全症例における副作用発現頻度は16%(18/115例)であった。主な副作用は、注射部位疼痛3%(4/115例)、筋痛3%(3/115例)、肝機能異常2%(2/115例)であった。
国内14施設で成人原発性腋窩多汗症患者152例を対象として実施したプラセボ対照二重盲検比較試験において、片腋窩あたり本剤50単位又はプラセボを複数の部位(10~15ヵ所)に皮内投与したとき、主要評価項目である投与4週後の重量測定法による発汗重量のレスポンダー率注1)は、下表のとおりであり、プラセボ群と比べ本剤群で統計学的に有意に高かった(p<0.001、Fisherの直接確率検定)13)。注1)レスポンダー率:ベースラインと比較して両腋窩の平均発汗重量が50%以上減少している被験者の割合
レスポンダー率
本剤50単位群
96.2(75/78)
45.9(34/74)
50.2[38.1, 62.3]
<0.001
レスポンダー率(%)(レスポンダー例数/評価例数)p値:Fisherの直接確率検定
また、二重盲検期に引き続いて非盲検下で片腋窩あたり本剤50単位を投与したとき、投与4週後の重量測定法による発汗重量のレスポンダー率は、93.9%(93/99例)であった。本剤を投与された全症例における副作用発現頻度は2%(3/144例)であった。その内訳は、代償性発汗2%(3/144例)、四肢痛<1%(1/144例)であった。
国内13施設で12歳以上の小児及び成人水平斜視患者41例を対象として実施した無治療対照評価者遮蔽比較試験において、初回投与量として1外眼筋あたり本剤1.25~5.0単位を投与した(無治療群は治験薬を投与せず経過観察)。主要評価項目である投与4週後の正面眼位における斜視角[遠見斜視角と近見斜視角の平均値(プリズムジオプトリー、以下PD)]のベースラインからの変化量は、下表のとおりであり、投与前の斜視角が20PD以上50PD未満の被験者層では無治療群と比べ本剤各群で統計学的に有意に減少した。投与前の斜視角が10PD以上20PD未満の被験者層では、本剤各群においてベースラインからの斜視角の減少がみられた。
投与前の斜視角
投与群
投与4週後注1)
無治療群との群間差[95%信頼区間]
10PD以上20PD未満
無治療群
16.17±2.754(3)
2.33±6.602(3)
1.25単位群
15.00±1.414(4)
-7.50±7.141(4)
-9.83[-21.81, 2.14]
0.091
2.5単位群
15.17±2.930(3)
-3.75±2.475(2)
-6.08[-20.39, 8.23]
0.338
20PD以上50PD未満
33.75±8.760(10)
-0.55±2.291(10)
30.55±6.166(10)
-13.40±15.105(10)
-12.85[-24.46, -1.24]
0.031
5.0単位群
35.27±9.152(11)
-17.27±15.476(11)
-16.72[-28.06, -5.38]
0.005
注1)ベースラインからの変化量斜視角(PD):平均値±標準偏差(例数)95%信頼区間及びp値は分散分析の併合分散を使用して算出(FisherのLSD法)
また、続けて1外眼筋あたり本剤1.25~5.0単位を投与したとき、非遮蔽下にて評価した投与4週後の正面眼位における斜視角のベースラインからの変化量は、投与前の斜視角が10PD以上20PD未満の被験者層で-5.40±4.814(5例)、20PD以上50PD未満の被験者層で-10.95±6.950(10例)であった。本剤を投与された全症例における副作用発現頻度は27%(11/41例)であった。主な副作用は、眼瞼下垂17%(7/41例)、複視5%(2/41例)、斜視5%(2/41例)であった。
国内8施設で内転型及び外転型痙攣性発声障害患者について実施された第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験の結果は下記のとおりである。内転型痙攣性発声障害患者22例を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験において、本剤2.5単位又はプラセボを片側の甲状披裂筋に投与したとき、主要評価項目である投与4週後の異常モーラ数のベースラインからの変化量は下表のとおりであり、プラセボ群と比べ本剤群で統計学的に有意な差が認められた(p=0.0148、共分散分析)。また、副次評価項目であるVoice Handicap Index(VHI)合計スコアの投与4週後のベースラインからの変化量は下表のとおりであり、プラセボ群と比べ本剤群で改善傾向が認められた14)。
本剤群(11例)
変化量の群間差注2)[95%信頼区間]
異常モーラ数
評価者1
11.1±6.25
-3.6±7.97
11.6±6.34
-0.5±3.91
-3.3[-8.4, 1.7]
評価者2
20.5±4.27
-7.0±8.04
21.5±5.91
0.2±1.66
-7.2[-12.5, -1.8]
評価者3
19.7±5.57
-7.3±7.64
22.1±6.49
-0.1±1.87
-6.9[-12.0, -1.7]
3人の中央値注3)
19.2±4.51
-7.0±7.63
21.3±6.18
-0.2±1.54
-6.5[-11.6, -1.4]
VHI注4)合計スコア
78.5±18.86
-24.0±31.94
72.5±16.63
-5.3±11.37
-15.7[-36.4, 5.0]
平均値±標準偏差注1)ベースラインからの変化量注2)ベースライン値を共変量とした共分散分析モデルに基づく。注3)規定の日本語を朗読中に異常が認められた拍数を3人の評価者が評価し、その中央値を代表値として主要評価項目の値として用いた。注4)音声障害の度合いに関する30の質問を被験者自身が5段階で評価した。
また、二重盲検期に引き続いて片側又は両側の甲状披裂筋に1つの筋あたり本剤1.25~2.5単位を非盲検下で投与したとき、投与4週後の異常モーラ数及びVHI合計スコアの変化量(平均値±標準偏差)は、二重盲検期に本剤を投与された被験者において再投与1回時-6.4±8.13及び-25.4±32.91(9例)、再投与2回時-6.4±8.52及び-16.0±22.99(7例)であった。外転型痙攣性発声障害患者2例を対象とした非盲検試験において、本剤5.0単位を片側の後輪状披裂筋に投与したとき、それぞれの被験者におけるベースライン時の異常モーラ数は15及び7であり、投与4週後の変化量は-2及び1であった。内転型痙攣性発声障害患者で本剤を投与された全症例における副作用発現頻度は81.8%(18/22例)であった。主な副作用は、発声障害77.3%(17/22例)、嚥下障害40.9%(9/22例)であった。外転型痙攣性発声障害患者で本剤を投与された全症例における副作用発現頻度は50.0%(1/2例)であり、発声障害が1例に認められた。
国内53施設で既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない成人過活動膀胱患者248例を対象として実施したプラセボ対照二重盲検比較試験において、本剤100単位又はプラセボを排尿筋の20ヵ所に分割して投与した。治験薬投与1~3日前までに抗菌薬の投与を開始し、治験薬投与後1~3日間継続した。主要評価項目である1日あたりの尿失禁回数の投与12週後のベースラインからの変化量の群間差は下表のとおりであり、プラセボ群と比べ本剤群で統計学的に有意に改善した15)。副次評価項目である1日あたりの尿意切迫感回数、排尿回数及び切迫性尿失禁回数は下表のとおりであった。
変化量の群間差[95%信頼区間]p値注1)
1日あたりの尿失禁回数
7.01±4.782(124)
3.60±4.217(122)
6.12±3.866(124)
5.23±4.255(122)
-2.16[-3.14, -1.18]p<0.001
1日あたりの尿意切迫感回数
9.18±4.780(124)
5.77±4.713(122)
9.54±4.175(124)
8.47±5.060(122)
-2.23[-3.31, -1.16]-
1日あたりの排尿回数
12.20±3.712(124)
10.23±3.644(122)
12.72±3.333(124)
12.34±3.981(122)
-1.45[-2.24, -0.66]-
1日あたりの切迫性尿失禁回数
6.56±4.722(124)
3.43±4.217(122)
5.71±3.535(124)
5.05±4.131(122)
-2.12[-3.07, -1.17]-
平均値±標準偏差(例数)注1)群間差、95%信頼区間及びp値は投与群、評価時点、ベースライン値、施設、投与群と評価時点の交互作用、及びベースライン値と評価時点の交互作用を固定効果としたmixed model for repeated measuresを用いて算出。1日あたりの尿意切迫感回数及び1日あたりの排尿回数はベースラインの切迫性尿失禁回数(10回以上又は9回以下)も固定効果に含めたmixed model for repeated measuresを用いて算出
本剤を投与された全症例における副作用発現頻度は25%(59/232例)であった。主な副作用は、尿路感染7%(17/232例)、排尿困難6%(14/232例)、残尿量増加6%(14/232例)、尿閉5%(12/232例)であった。なお、二重盲検期の本剤群における有害事象の尿閉の発現頻度は6%(7/124例)であり、尿閉又は残尿量増加のために導尿注2)を開始した症例の割合は6%(7/124例)であった。注2)残尿量が350mL以上の場合、又は残尿量200mL以上350mL未満で自覚症状があり、治験担当医師が必要と判断した場合に導尿を開始することとした。
国内12施設で既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない成人神経因性膀胱患者21例を対象として実施したプラセボ対照二重盲検比較試験において、本剤200単位又はプラセボを排尿筋の30ヵ所に分割して投与した。治験薬投与1~3日前までに抗菌薬の投与を開始し、治験薬投与後1~3日間継続した。ただし、尿路感染があると判断された場合には、適切な抗菌薬を治験薬投与5日間以上前から開始し、治験薬投与後3日間以上継続した。主要評価項目である1日あたりの尿失禁回数の投与6週後のベースラインからの変化量の群間差は下表のとおりであり、プラセボ群と比べ本剤群で改善が認められた16)。
変化量の群間差[95%信頼区間]注1)
3.91±2.034(11)
0.79±1.098(11)
5.17±2.626(10)
4.90±4.987(10)
-3.02[-5.85, -0.19]
平均値±標準偏差(例数)注1)群間差及び95%信頼区間は投与群、評価時点、ベースライン値、投与群と評価時点の交互作用、及びベースライン値と評価時点の交互作用を固定効果としたmixed model for repeated measuresを用いて算出
本剤を投与された全症例における副作用発現頻度は5%(1/21例)であり、尿閉が1例に認められた。なお、二重盲検期の本剤群における有害事象の尿閉の発現頻度は9%(1/11例)であり、治験開始時に自排尿のみで管理されていた1例は投与後に尿閉のために導尿注2)を開始した。注2)残尿量が350mL以上の場合、又は残尿量200mL以上350mL未満で自覚症状があり、治験担当医師が必要と判断した場合に導尿を開始することとした(膀胱の知覚麻痺により症状を自覚できない被験者では、治験担当医師が必要と判断した場合に導尿を開始することとした)。
海外100施設で既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない成人神経因性膀胱患者416例を対象として実施したプラセボ対照二重盲検比較試験において、本剤300単位注1)、200単位又はプラセボを排尿筋の30ヵ所に分割して投与した。治験薬投与3日前までに抗菌薬の投与を開始し、治験薬投与後3日間以上継続した。ただし、尿路感染があると判断された場合には、適切な抗菌薬を治験薬投与5日間以上前から開始し、治験薬投与後3日間以上継続した。主要評価項目である1週間あたりの尿失禁回数の投与6週後のベースラインからの変化量の群間差は下表のとおりであり、プラセボ群と比べ本剤群で統計学的に有意に改善した。注1)承認外の用量
本剤200単位群
変化量の群間差[95%信頼区間]p値注2)
1週間あたりの尿失禁回数
32.3±22.76(135)
11.2±19.79(135)
28.3±15.82(149)
19.4±17.35(149)
-9.29[-13.16, -5.42]p<0.001
平均値±標準偏差(例数)注2)群間差、95%信頼区間及びp値はベースライン値を共変量、投与群、組入れ時の原因疾患(脊髄損傷又は多発性硬化症)、スクリーニング時の抗コリン薬の使用の有無及び治験責任医師を因子とした共分散分析モデルを用いて算出
本剤200単位群の試験全体における副作用発現頻度は31.1%(42/135例)であった。主な副作用は、尿閉20.0%(27/135例)、尿路感染5.2%(7/135例)であった。なお、二重盲検期の本剤200単位群における有害事象の尿閉の発現頻度は20.0%(27/135例)であり、治験開始時に導尿を使用していなかった症例のうち、尿閉のために導尿注3)を開始した症例の割合は、本剤200単位群で35.0%(21/60例)であった。注3)導尿の開始基準は設定されていなかった。
海外81施設で既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない成人神経因性膀胱患者275例を対象として実施したプラセボ対照二重盲検比較試験において、本剤300単位注1)、200単位又はプラセボを排尿筋の30ヵ所に分割して投与した。治験薬投与3日前までに抗菌薬の投与を開始し、治験薬投与後3日間以上継続した。ただし、尿路感染があると判断された場合には、適切な抗菌薬を治験薬投与5日間以上前から開始し、治験薬投与後3日間以上継続した。主要評価項目である1週間あたりの尿失禁回数の投与6週後のベースラインからの変化量の群間差は下表のとおりであり、プラセボ群と比べ本剤群で統計学的に有意に改善した。注1)承認外の用量
32.5±18.44(92)
10.8±19.48(92)
36.7±30.67(92)
23.5±23.47(92)
-9.04[-14.77, -3.32]p=0.002
本剤200単位群の試験全体における副作用発現頻度は33.0%(30/91例)であった。主な副作用は、尿閉20.9%(19/91例)、尿路感染9.9%(9/91例)であった。なお、二重盲検期の本剤200単位群における有害事象の尿閉の発現頻度は19.8%(18/91例)であり、治験開始時に導尿を使用していなかった症例のうち、尿閉のために導尿注3)を開始した症例の割合は、本剤200単位群で25.0%(11/44例)であった。注3)導尿の開始基準は設定されていなかった。
末梢の神経筋接合部における神経終末内でのアセチルコリン放出抑制により神経筋伝達を阻害し、筋弛緩作用を示す。神経筋伝達を阻害された神経は、軸索側部からの神経枝の新生により数ヵ月後には再開通し、筋弛緩作用は消退する。また、エクリン汗腺は主にコリン作動性神経により調節されていることから、本薬はコリン作動性神経及び汗腺の接合部において、神経終末内でのアセチルコリン放出抑制により神経伝達を阻害し、発汗を抑制すると考えられる17)。
ラット大腿二頭筋に投与した試験において、坐骨神経刺激による腓腹筋収縮の抑制を認める18)。
マウス片側腓腹筋に投与した尾懸下試験において、投与後比較的早期に、本剤の筋弛緩作用に基づく運動力の低下及び不動時間の延長を用量依存的に認める19)。
ラット大腿二頭筋に投与した試験において、錘外筋及び筋紡錘(錘内筋)で機能的除神経作用を認める20)。
ラット大腿二頭筋に投与した試験において、α及びγ運動ニューロンに対する機能的除神経惹起後、錘外筋及び筋紡錘(錘内筋)ともに終板の拡大を認める20)。
A型ボツリヌス毒素(Botulinum Toxin Type A)
振り混ぜるとき、白濁する。
本剤の使用後に失活・廃棄が安全・確実に行われるよう、廃棄については薬剤部に依頼する等、所要の措置を講じ、廃棄に関する記録を保管すること。
1バイアル
1) 藤本智子ほか:日皮会誌.2023;133(2):157-188
2) 「痙攣性発声障害の診断基準および重症度分類の策定に関する研究」班:痙攣性発声障害 診断基準および重症度分類.http://www.jslp.org/index.htm
3) 社内資料:毒性試験(2019年12月20日承認、CTD2.6.6.9.1.2)
4) 社内資料:分布・排泄に関する試験
5) 岩重博康ほか:日眼会誌.1995;99(6):663-668
6) 丸尾敏夫ほか:眼科臨床医報.1995;89(3):340-344
7) 目崎高広ほか:脳と神経.1999;51(5):427-432
8) 目崎高広ほか:脳と神経.1995;47(8):749-754
9) 目崎高広ほか:脳と神経.1995;47(9):857-862
10) Kaji R,et al.:Curr Med Res Opin. 2010;26(8):1983-1992
11) Abo M,et al.:Toxins.2020;12(2):127
12) Kaji R,et al.:J Neurol. 2010;257(8):1330-1337
13) 大嶋雄一郎ほか:西日皮膚.2013;75(4):357-364
14) Hyodo M,et al.:Eur J Neurol.2021;28(5):1548-1556
15) Yokoyama O,et al.:Int J Urol.2020;27(3):227-234
16) Honda M,et al.:Int J Urol.2021;28(9):906-912
17) Campanati A,et al.:Clin Ther.2003;25(1):298-308
18) 社内資料:薬効薬理試験
19) Aoki KR,et al.:Eur J Neurol.1995;2:3-9
20) 社内資料:薬効薬理試験
グラクソ・スミスクライン株式会社
東京都港区赤坂1-8-1カスタマー・ケア・センター
TEL:0120-561-007(9:00~17:45/土日祝日及び当社休業日を除く)https://jp.gsk.com
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残った薬液は、0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液を加えて失活させます。失活後、密閉可能な廃棄袋又は箱に廃棄してください。薬液の触れた器具等も同様に0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液を加えて失活させた後、密閉可能な廃棄袋又は箱に廃棄してください。
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