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処方箋医薬品注)
肺動脈性肺高血圧症
*シクロスポリンと併用する場合には、本剤は成人及び50kg以上の小児は1日1回5mg、50kg未満の小児は1日1回2.5mgを上限として投与すること。
貧血が悪化するおそれがある。
間質性肺炎が増悪することがある。
本剤を投与しないことが望ましい。心血管系の状態を著しく悪化させるおそれがある。
出血の危険性に注意すること。国内臨床試験において鼻出血など出血の副作用が認められている。
これらの患者を対象とした臨床試験は実施していない。
投与しないこと。類薬で重篤な肝障害を起こしたとの報告がある。
本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
肝機能障害を増悪させるおそれがある。
**本剤の投与に際し、妊娠する可能性のある女性には以下について説明すること。また、必要に応じて投与前又は投与期間中に定期的に妊娠検査を行うこと。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ラット及びウサギにおいて本剤の催奇形性(ラット及びウサギでは下顎・舌・口蓋の異常、さらにラットでは心室中隔欠損、動脈幹遺残、甲状腺及び胸腺の異常、底蝶形骨過剰骨化、左臍動脈)が認められている。
本剤投与中は授乳しないことが望ましい。母動物(ラット)に妊娠15日から分娩後20日まで経口投与した結果、出生児生存率の低下が認められている。
*低出生体重児、新生児、乳児、幼児、8歳未満又は体重20kg未満の小児を対象とした臨床試験は実施していない。
一般に、生理機能が低下していることが多い。海外臨床試験において、末梢性浮腫の多くは軽度から中等度であったが、高齢者では発現する可能性が高く、重症例が多い傾向が示唆された。
*シクロスポリン
シクロスポリンとの併用により本剤のAUCが約2倍になるとの報告がある。併用する場合には、本剤は成人及び50kg以上の小児は1日1回5mg、50kg未満の小児は1日1回2.5mgを上限として投与すること。
詳細な機序は不明であるが、シクロスポリンとの併用により、本剤の血中濃度が上昇する。
ヘモグロビン減少、ヘマトクリット減少があらわれることがある。
異常が認められた場合には本剤に起因するものか、基礎疾患の心不全によるものか原因を確認し、本剤の投与中止、利尿剤の投与などの処置を行うこと。
体液貯留に関連し、心不全があらわれることがある。
間質性肺炎が発現又は増悪することがある。咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には、速やかに胸部X線、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施すること。異常が認められた場合には、投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
10%以上
10%未満
頻度不明
*過敏症
過敏症反応(血管性浮腫、発疹等)
精神神経系
頭痛
めまい
循環器
潮紅
動悸、低血圧
*呼吸器
鼻閉注1)
鼻出血、喀血、呼吸困難注2)、副鼻腔炎、鼻咽頭炎
*消化器
便秘、悪心、腹痛、嘔吐
*肝臓
トランスアミナーゼ上昇
*全身症状
末梢性浮腫
疲労
無力症
眼
視覚障害(霧視等)、眼窩周囲浮腫
血液
白血球減少
本剤50mg及び100mg(推奨最高用量の5倍から10倍)を健康成人に単回投与したところ、本剤との関連性が否定できない頭痛、潮紅、浮動性めまい、悪心及び鼻閉が発現した。
適応外であるが、海外で実施された特発性肺線維症(IPF)患者492例(うち二次性肺高血圧症患者54例)を対象としたプラセボ対照臨床試験の中間解析の結果、IPFの病態の悪化(呼吸器系の障害による入院を含む)又は死亡がプラセボ群と比較して本剤投与群で多くみられ(本剤投与群329例中90例(27%)、プラセボ群163例中28例(17%))、試験が中止された。
健康成人男性に本剤2.5mg注)、5mg又は10mgを単回経口投与した時、本剤は速やかに吸収され、投与後2~2.5時間(中央値)に最高血漿中濃度(Cmax)に達した。Cmax及び血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC)は用量の増加にほぼ比例して増加した。消失半減期(t1/2)は約10~19時間であった。
投与量(例数)
Cmax(ng/mL)
tmax(h)
AUC0-∞(ng・h/mL)
t1/2(h)
2.5mg注)(11例)
178.7±32.05
2.5(1.0-4.0)
1438.8±372.60
10.0±3.62
5mg(11例)
362.0±42.53
2.0(1.0-4.0)
2944.5±608.55
13.6±4.83
10mg(12例)
766.8±90.68
6894.1±1612.50
18.8±10.98
平均値±標準偏差、tmaxは中央値(範囲)
注)本剤の成人承認用量は1日1回5mg、症状に応じて1日10mgを超えない範囲で適宜増量である。
成人肺動脈性肺高血圧症(PAH)患者に本剤5mgを1日1回12週間反復経口投与した時、投与後4時間にCmaxに達し、t1/2は11時間であった。定常状態におけるAUC0-24は8337.4ng・h/mL、Cmaxは674.3ng/mLであった。また、本剤5mg及び10mgを投与した時の定常状態時における投与前及び投与後2~4時間の血漿中アンブリセンタン濃度は表2のとおりであった。
投与群(症例数)
血漿中アンブリセンタン濃度(ng/mL):投与前
血漿中アンブリセンタン濃度(ng/mL):投与2~4時間後
5mg(28例)
147.8±157.2
635.2±260.7
10mg(17例)
263.3±265.5
1083.2±318.9
平均値±標準偏差
8歳以上の小児PAH患者に本剤を1日1回経口投与した時の用量群別の曝露量(推定値)は表3のとおりであった。
集団
投与量(症例数)
体重区分
AUCss(μg・h/mL)
Cmax, ss(ng/mL)
低用量群
日本人
2.5mg(3例)
20~35kg未満
3.94(3.03-5.11)
442(217-898)
5mg(1例)
35~50kg未満
5.60
668
50kg以上
3.87
530
外国人
2.5mg(5例)
4.09(3.11-5.39)
501(407-615)
5mg(7例)
6.56(5.00-8.62)
497(384-643)
5mg(3例)
3.84(1.98-7.45)
659(255-1700)
高用量群
5mg(9例)
8.73(7.75-9.83)
953(850-1070)
7.5mg(4例)
8.70(7.62-9.92)
1100(679-1790)
10mg(6例)
10.2(8.04-12.8)
948(791-1140)
幾何平均値(95%信頼区間)
健康成人及び成人PAH患者における母集団薬物動態解析の結果から、年齢及び性別は本剤の薬物動態に大きな影響を与えなかった(外国人データ)。
健康成人男性に本剤10mgを空腹時又は食後(標準的な朝食)単回経口投与した時、食後投与では空腹時投与と比較し、Cmaxは約17%低下したが、AUC0-48、最高血漿中濃度到達時間(tmax)及びt1/2には影響は認められなかった。
AUC0-48(ng・h/mL)
10mg(12例)空腹時
6437.3±1487.68
10mg(12例)食後
637.1±102.65
2.5(1.5-4.0)
6251.9±1389.96
19.9±11.20
In vitroでの本剤(0.2~20μg/mL)のヒト血漿蛋白結合率は98.8%であった。また、本剤は主にアルブミンと結合し(96.5%)、一部はα1-酸性糖蛋白質と結合した。
本剤はin vitroでUDP-グルクロン酸転移酵素のUGT1A9、UGT2B7及びUGT1A3によりグルクロン酸抱合され、その他に、チトクロームP450(CYP)で酸化的に代謝される。CYPによる代謝には主にCYP3A4、一部にCYP2C19及びCYP3A5が関与する。
健康成人男性を対象に2H及び14C標識した本剤を単回経口投与した時の主要排泄経路は糞中であり、投与量の約40%が未変化体、約21%が4-水酸化体として糞中に排泄された。また、尿中には、投与量の約4%が未変化体、約18%が未変化体のグルクロン酸抱合体及び4-水酸化体のグルクロン酸抱合体として排泄された(外国人データ)。
腎障害患者における本剤の薬物動態は検討されていない。本剤の主要排泄経路は糞中であるため、腎障害患者では、本剤の血中濃度が上昇する可能性は低い。
肝障害患者における本剤の薬物動態は検討されていない。本剤は、UGT及びCYPで代謝されるため、肝障害患者では、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
非臨床試験において、本剤は第Ⅰ及びⅡ相代謝酵素を阻害・誘導しなかったことから、本剤がこれらの代謝酵素で代謝される薬剤の体内動態に影響を及ぼす可能性は低いと考えられる。
本剤はin vitroでP-糖蛋白質及びorganic anion transporting polypeptide(OATP)の基質である。また、本剤はin vitroでOATP1B1、OATP1B3及びsodium taurocholate co-transporting polypeptide(NTCP)を阻害し、IC50はそれぞれ47、45及び約100μMであった。本剤はin vitroでP-糖蛋白質、bile salt export pump(BSEP)、breast cancer resistance protein(BCRP)及びmulti-drug resistance protein-2(MRP2)を阻害しなかった。
健康成人を対象に本剤がCYP3A4を誘導する可能性について尿中6β-ヒドロキシコルチゾール濃度を指標として検討した結果、本剤はCYP3A4を誘導しなかった(外国人データ)。
健康成人男女に、本剤5mg反復投与時にシクロスポリン100~150mgを併用した結果、定常状態における本剤のAUCは約2倍となった。シクロスポリン100~150mgを反復投与時に本剤5mgを併用した結果、本剤は定常状態におけるシクロスポリンの薬物動態に影響を与えなかった(外国人データ)。
健康成人男性に、ケトコナゾール400mg反復投与時に本剤10mgを併用した結果、本剤のCmax及びAUCは非併用時に比べ、それぞれ約20%及び35%増加した(外国人データ)。
健康成人男女に、本剤10mg反復投与時にリファンピシン600mgを併用した結果、リファンピシン併用初期には本剤のAUCの一過性の増加(約2倍)が認められたが、リファンピシンを8日間併用投与後には、リファンピシンは本剤の薬物動態に影響を与えなかった(外国人データ)。
健康成人女性に、本剤10mg反復投与時に経口避妊薬を併用した結果、本剤はエチニルエストラジオール及びノルエチステロンの薬物動態に影響を与えなかった(外国人データ)。
健康成人男性に、本剤10mg反復投与時にジゴキシン0.5mgを併用した結果、本剤はジゴキシンの薬物動態に影響を与えなかった(外国人データ)。
オメプラゾールによる血漿中未変化体濃度及び薬物動態に与える影響を評価するため、PAH患者での長期第Ⅲ相試験における薬物動態データを用いてpost-hoc解析を行ったところ、オメプラゾール併用投与群と非併用投与群で差は認められなかった(外国人データ)。
健康成人男女に、本剤10mgとシルデナフィル20mg、タダラフィル40mg、又はワルファリン25mgを併用した結果、本剤の薬物動態に変化は認められなかった。また、本剤はシルデナフィル、タダラフィル、ワルファリンの薬物動態に影響を与えなかった(外国人データ)。
PAH患者を対象としたオープンラベル、非対照、用量漸増試験において、本剤5mgを1日1回12週間、その後用量調節期間として本剤5~10mgを12週間投与した結果、投与12週時及び24週時の6分間歩行距離(6MWD:主要評価項目)、ボルグ呼吸困難指数(BDI)、WHOの肺高血圧症機能分類(WHO機能分類)及び血漿中脳性ナトリウム利尿ペプチド(血漿中BNP)濃度がベースラインから改善し、24週間の投与期間中にPAHの臨床的な増悪を認めた被験者は1例であった(表1)。さらに、投与12週時及び24週時の血行動態の改善も認められた(表2)1)。副作用発現頻度は、80%(20/25例)であった。主な副作用は、頭痛36%(9/25例)、鼻閉20%(5/25例)、ほてり16%(4/25例)、潮紅12%(3/25例)、末梢性浮腫、発疹、血圧低下、浮動性めまい、鼻出血、貧血各8%(各2/25例)であった。
時期
投与12週
投与24週
症例数
25例
6MWDの変化量, m, 平均値±SD
33.49±43.24
46.82±52.71
BDIの変化量, 平均値±SD
-0.60±2.16
-0.69±1.90
WHO機能分類の変化, 症例数(%)
改善
9(36)
10(40)
変化なし
16(64)
14(56)
悪化
0
1(4)
PAHの臨床的な増悪注1)を認めた被験者数(%)
BNPの変化量, ng/L, 平均値±SD
-76.86±160.94
-60.15±248.35
注1)死亡、肺移植、PAH治療のための入院、心房中隔裂開術、又は他のPAH治療薬追加のための治験中止を臨床的な増悪と定義
症例数(25例)
21例
16例
血行動態の変化, 平均値±SD
平均肺動脈圧(mPAP), mmHg
-6.29±11.20
-8.69±13.90
平均右房圧(mRAP), mmHg
-1.12±3.76
-0.69±3.68
心係数(CI)注1), L/min/m2
0.67±0.58
0.63±0.62
肺血管抵抗(PVR), mmHg/L/min
-7.26±7.43
-8.35±7.64
注1)心係数は投与12週:20例、投与24週:15例
PAH患者を対象に本剤5~10mgを投与した多施設共同、オープンラベル、用量漸増、延長試験(平均投与期間:138.6週間、最長投与期間:164.1週間)でも本剤の改善効果(6MWD、WHO機能分類、BDI、BNPの改善)が維持された。本試験期間中にPAHの臨床的な増悪を認めた被験者は1例であった2)。副作用発現頻度は、43%(9/21例)であった。主な副作用は、喀血14%(3/21例)、鼻出血、ほてり各10%(各2/21例)であった(承認申請時の中間解析結果)。
PAH患者を対象に、本剤1mg注)、2.5mg注)、5mg又は10mgを1日1回12週間盲検下で投与後注)、12週間非盲検下で本剤を投与した用量設定の第Ⅱ相試験を実施した結果、6MWD(主要評価項目)、BDI、WHO機能分類、被験者の概括評価(QOL)及び血行動態の改善が認められた3)。副作用発現頻度は、本剤併合群(1mg、2.5mg、5mg、10mg)注)で59.4%(38/64例)であった。主な副作用は、鼻閉20.3%(13/64例)、末梢性浮腫15.6%(10/64例)、頭痛14.1%(9/64例)、悪心、潮紅、ALT増加各10.9%(各7/64例)などであった。
血清アミノトランスフェラーゼ異常のため、過去に本剤以外のERA(ボセンタン、sitaxentan又は両剤)の投与を中止したPAH患者を対象とした非盲検の第Ⅱ相試験を実施した。本試験の主目的は、血清アミノトランスフェラーゼ異常のために過去にERAの投与を中止した被験者における血清アミノトランスフェラーゼ異常の発現頻度の評価であったが、有効性の評価項目のデータも得られている。本試験で投与12週後に基準値上限の3倍を超える血清アミノトランスフェラーゼ異常が認められた被験者は1例であり、本被験者では本剤の投与が一時中断された。また、本剤投与により6MWD、BDI、WHO機能分類、QOL(SF-36)の改善が認められた4)。副作用発現頻度は、55.6%(20/36例)であった。2例以上に発現した副作用は、頭痛、潮紅各13.9%(各5/36例)、末梢性浮腫11.1%(4/36例)、体液貯留8.3%(3/36例)であった(承認申請時の中間解析結果)。
PAH患者を対象に、本剤2.5mg注)、5mg又は10mgを12週間盲検下で投与した同一デザインのプラセボ対照の第Ⅲ相試験を2試験実施して併合解析した結果、本剤投与群ではプラセボ群に比べて主要評価項目の6MWDの有意な改善が認められた。また、本剤併合群ではプラセボ群に比べて他の副次評価項目の有意な改善が認められ、血漿中BNP濃度も有意に低下した(表3)。さらに、本剤併合群ではプラセボ群に比べて副次評価項目であるPAHの臨床的な増悪を認めるまでの時間が有意に遅延した(図1)。副作用発現頻度は、本剤併合群(2.5mg、5mg、10mg)注)で39.5%(103/261例)であった。主な副作用は、頭痛9.6%(25/261例)、末梢性浮腫9.2%(24/261例)、鼻閉3.8%(10/261例)であった。
投与群
プラセボ
2.5mg
5mg
10mg
本剤併合
132例
64例
130例
67例
261例
-9.0±86.22
22.2±82.67
35.7±80.18
43.6±65.91
34.4±77.51
0.40±2.46
-0.20±2.17
-0.34±1.96
-0.88±1.93
-0.45±2.01
27(20.5)
10(15.6)
28(21.5)
20(29.9)
58(22.2)
82(62.1)
51(79.7)
99(76.2)
44(65.7)
194(74.3)
23(17.4)
3(4.7)
3(2.3)
3(4.5)
9(3.4)
QOL(SF-36の身体機能), 平均値±SD
1.07±7.64
3.86±7.14
3.34±8.30
4.52±7.16
3.77±7.73
20(15.2)
6(4.6)
12(4.6)
29.17±231.19
-98.64±195.42
-90.63±304.66
-149.32±226.32
-106.99±262.45
注1)死亡、肺移植、PAH治療のための入院、心房中隔裂開術、他のPAH治療薬追加のための治験中止、又は早期中止基準に該当したための治験中止を臨床的な増悪と定義
用量設定の第Ⅱ相試験に参加したPAH患者は、その後長期投与試験に移行し、継続して有効性の各評価項目を検討した結果、本剤の改善効果(6MWD、WHO機能分類、BDIの改善)は約3年間おおむね維持された。また、PAH患者の生存期間を評価した結果、本剤投与1年後の生存率が93%、投与2年後の生存率が87%、投与3年後の生存率が85%であった。副作用発現頻度は、本剤併合群(1mg、2.5mg、5mg、10mg)注)で53.7%(29/54例)であった。5%以上に発現した副作用は、鼻閉14.8%(8/54例)、末梢性浮腫、頭痛各7.4%(各4/54例)、浮動性めまい5.6%(3/54例)であった(承認申請時の中間解析結果)。
プラセボ対照の第Ⅲ相試験に参加したPAH患者は、その後長期投与試験に移行し、継続して有効性の各評価項目を検討した結果、本剤の改善効果(6MWD、WHO機能分類、BDIの改善)は少なくとも3年間維持された。また、PAH患者の生存期間を評価した結果、本剤投与1年後の生存率が約93%、投与2年後の生存率が約85%、投与3年後の生存率が約79%であり、本剤の長期投与によりPAH患者の生存率は高いまま維持されることが示された。副作用発現頻度は、本剤併合群(2.5mg、5mg、10mg)注)で44.6%(171/383例)であった。10%以上に発現した副作用は、末梢性浮腫11.8%(45/383例)、頭痛10.2%(39/383例)であった(承認申請時の中間解析結果)。注)本剤の成人承認用量は1日1回5mg、症状に応じて1日10mgを超えない範囲で適宜増量である。
8歳以上18歳未満のPAH患者を対象としたオープンラベル試験において、アンブリセンタンの2用量群(低用量群及び高用量群)のいずれかに無作為化し、各被験者の体重区分に応じた用量にて本剤を1日1回24週間投与し、安全性及び有効性を評価した。投与開始前のWHO機能分類の内訳は、クラスⅡが32例、クラスⅢが9例であった。また、肺動脈性肺高血圧症の臨床分類の内訳は、特発性PAHが26例、先天性心疾患の外科的修復術後も持続するPAHが11例、家族性PAHが3例、結合組織病に伴うPAHが1例であった。低用量群及び高用量群ともに体重20kg以上35kg未満の患者には本剤2.5mgの用量で投与を開始し、高用量群では2週間後に5mgに増量した。体重35kg以上の患者には本剤5mgの用量で投与を開始し、高用量群は体重35kg以上50kg未満の場合は7.5mgに、体重50kg以上の場合は10mgにそれぞれ2週間後に増量した。評価例数41例(日本人症例5例含む)において、6MWDにベースラインから改善が認められ、WHO機能分類のベースラインからの変化は、表4のとおりであった。また、血行動態のベースラインからの変化は、表5のとおりであった。副作用発現頻度は、低用量群及び高用量群それぞれで、38%(8/21例)及び35%(7/20例)であった。主な副作用は、低用量群では頭痛14%(3/21例)、末梢性浮腫10%(2/21例)、鼻閉10%(2/21例)であり、高用量群では頭痛15%(3/20例)、悪心10%(2/20例)であった。
用量群
20例
55.14±102.182
26.25±62.011
6(32)
4(22)
12(63)
14(78)
1(5)
3(14)
3(15)
注1)あらゆる原因の死亡、肺移植待機リストへの登録、PAH悪化のための入院、心房中隔裂開術、又は他のPAH治療薬の追加又は増量又はPAHに関連する悪化と定義
5例注1)
mPAP, mmHg
-2.2±6.06
RAP, mmHg
1.4±2.88
CI, L/min/m2
0.94±0.658
PVR, mmHg/L/min
-3.46±1.903
肺血管抵抗係数(PVRI), mmHg/L/min/m2 注2)
-3.589±2.5998
注1)日本人被験者5例(すべて低用量群)のみで評価された注2)事後解析として算出した
8歳以上18歳未満のPAH患者を対象としたオープンラベル試験に参加したPAH患者を対象に本剤2.5mg、5mg、7.5mg又は10mgのいずれかの用量(0.25mg/kg/日を超えない範囲で患者により調整)を1日1回投与した継続試験(先行試験を含む平均投与期間:1238.5日、最長投与期間:2346日)で長期の安全性及び有効性を評価した。評価例数38例(日本人症例5例含む)において、先行試験で認められた本剤の効果(6MWD、WHO機能分類)が試験期間を通して維持された。本継続投与試験中にPAHの臨床的な増悪は11例に報告され、初回のPAHの臨床的な増悪を認めるまでの時間は791.5±650.1日(平均値±SD)であった。本試験の中間解析時までに本試験を完了又は中止した34例の本剤の最終用量の内訳は2.5mgが4例、5mgが16例、7.5mgが4例、10mgが10例であった。副作用発現頻度は、全体で39%(15/38例)であった。主な副作用は、頭痛8%(3/38例)、貧血5%(2/38例)、胃腸炎5%(2/38例)であった(承認申請時の中間解析結果)。
本剤はエンドセリン(ET)受容体のうちETA受容体に高親和性、ETB受容体には低親和性(ETA受容体に比べて1/4000以下の親和性)を示す選択的ETA受容体拮抗薬である。PAH患者において血漿中ET-1濃度は高く、右心房圧や病態の程度と相関することなどから、ET-1がPAHの発症及び進展に重要であると考えられている5)。本剤は、肺血管ETA受容体阻害作用を介して内因性のET-1による肺血管平滑筋の収縮及び増殖を抑制し、PAHの症状を改善すると考えられる。
モノクロタリン誘発肺高血圧症モデルラットにおいて、4週間の反復経口投与により肺高血圧症の症状(右心室収縮期圧の上昇、右心肥大及び肺血管中膜肥厚)をそれぞれ有意に抑制した6)。
アンブリセンタン(Ambrisentan)
(2S)-2-[(4,6-Dimethylpyrimidin-2-yl)oxy]-3-methoxy-3,3-diphenylpropanoic acid
C22H22N2O4
378.42
白色の結晶性の粉末である。
1.20(1-オクタノール/水)
*医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
60錠[10錠(PTP)×6]
1) Yoshida S,et al.:Curr Med Res Opin.2011;27:1827-1834
2) Yoshida S,et al.:Curr Med Res Opin.2012;28:1069-1076
3) Galié N,et al.:J Am Coll Cardiol.2005;46:529-535
4) McGoon MD,et al.:Chest.2009;135:122-129
5) Galié N,et al.:Cardiovasc Res.2004;61:227-237
6) Schroll S,et al.:Scand J Clin Lab Invest.2008;68:270-276
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