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ゾビラックス顆粒40%

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.2腎機能障害患者
9.3肝機能障害患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
9.8高齢者
10.相互作用
10.2併用注意(併用に注意すること)
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
13.過量投与
15.その他の注意
15.2非臨床試験に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.3分布
16.5排泄
16.6特定の背景を有する患者
16.7薬物相互作用
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2抗ウイルス作用
19.有効成分に関する理化学的知見
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

ゾビラックス顆粒40%

添付文書番号

6250002D1024_1_16

企業コード

340278

作成又は改訂年月

**2025年4月改訂(第2版)
2020年12月改訂(第1版)

日本標準商品分類番号

87625

薬効分類名

抗ウイルス化学療法剤

承認等

ゾビラックス顆粒40%

販売名コード

YJコード

6250002D1024

販売名英語表記

Zovirax Granules 40%

販売名ひらがな

ぞびらっくすかりゅう40%

承認番号等

承認番号

20600AMZ01135

販売開始年月

1994年9月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

3年

基準名

日本薬局方

アシクロビル顆粒

一般的名称

アシクロビル

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分あるいはバラシクロビル塩酸塩に対し過敏症の既往歴のある患者

3. 組成・性状

3.1 組成

ゾビラックス顆粒40%

有効成分1g中
日局アシクロビル   400mg
添加剤乳糖水和物、トウモロコシデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース

3.2 製剤の性状

ゾビラックス顆粒40%

剤形・性状白色~微黄白色の顆粒剤

4. 効能又は効果

  • [成人]
    • 単純疱疹
    • 造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制
    • 帯状疱疹
  • [小児]
    • 単純疱疹
    • 造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制
    • 帯状疱疹
    • 水痘
    • 性器ヘルペスの再発抑制

5. 効能又は効果に関連する注意

  • 〈効能共通〉
    1. 5.1 本剤は、主として免疫機能の低下を伴わない患者に適応される。悪性腫瘍、自己免疫疾患などの免疫機能の低下した患者には、アシクロビル注射剤の点滴静脈内投与等を考慮すること。
  • 〈水痘〉
    1. 5.2 16歳以上の水痘に対する本剤の使用経験はない。
  • 〈性器ヘルペスの再発抑制〉
    1. 5.3 性器ヘルペスの発症を繰り返す患者(免疫正常患者においては、おおむね年6回以上の頻度で再発する者)に対して投与すること。
    2. 5.4 体重40kg以上に限り投与すること。

6. 用法及び用量

  • [成人]
    〈単純疱疹〉

    通常、成人には1回アシクロビルとして200mgを1日5回経口投与する。

  • 〈造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制〉

    通常、成人には1回アシクロビルとして200mgを1日5回造血幹細胞移植施行7日前より施行後35日まで経口投与する。

  • 〈帯状疱疹〉

    通常、成人には1回アシクロビルとして800mgを1日5回経口投与する。

なお、年齢、症状により適宜増減する。

  • [小児]
    〈単純疱疹〉

    通常、小児には体重1kg当たり1回アシクロビルとして20mgを1日4回経口投与する。ただし、1回最高用量は200mgとする。

  • 〈造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制〉

    通常、小児には体重1kg当たり1回アシクロビルとして20mgを1日4回造血幹細胞移植施行7日前より施行後35日まで経口投与する。ただし、1回最高用量は200mgとする。

  • 〈帯状疱疹〉

    通常、小児には体重1kg当たり1回アシクロビルとして20mgを1日4回経口投与する。ただし、1回最高用量は800mgとする。

  • 〈水痘〉

    通常、小児には体重1kg当たり1回アシクロビルとして20mgを1日4回経口投与する。ただし、1回最高用量は800mgとする。

  • 〈性器ヘルペスの再発抑制〉

    通常、小児には体重1kg当たり1回アシクロビルとして20mgを1日4回経口投与する。ただし、1回最高用量は200mgとする。

なお、年齢、症状により適宜増減する。

7. 用法及び用量に関連する注意

  • 〈効能共通〉
    1. 7.1 本剤の投与は、発病初期に近いほど効果が期待できるので、早期に投与を開始することが望ましい。
    2. 7.2 腎障害を有する成人患者におけるクレアチニンクリアランスに応じた本剤の投与間隔の目安は下表のとおりである(外国人データ)。なお、腎障害を有する小児患者における本剤の投与間隔及び投与量調節の目安は確立していない。,,,,

      クレアチニンクリアランス
      (mL/min/1.73m2

      単純疱疹

      帯状疱疹

      >25

      1回200mgを1日5回

      1回800mgを1日5回

      10~25

      1回200mgを1日5回

      1回800mgを1日3回

      <10

      1回200mgを1日2回

      1回800mgを1日2回

  • 〈単純疱疹〉
    1. 7.3 本剤を5日間使用し、改善の兆しが見られないか、あるいは悪化する場合には、他の治療に切り替えること。ただし、初発型性器ヘルペスは重症化する場合があるため、本剤を10日間まで使用可能とする。
  • 〈帯状疱疹〉
    1. 7.4 原則として皮疹出現後5日以内に投与を開始すること。
    2. 7.5 本剤を7日間使用し、改善の兆しが見られないか、あるいは悪化する場合には、他の治療に切り替えること。
  • 〈水痘〉
    1. 7.6 原則として皮疹出現後3日以内に投与を開始すること。
    2. 7.7 本剤を5日間使用し、改善の兆しが見られないか、あるいは悪化する場合には、他の治療に切り替えること。
  • 〈性器ヘルペスの再発抑制〉
    1. 7.8 本剤を1年間投与後、投与継続の必要性について検討することが推奨される。

8. 重要な基本的注意

意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。なお、腎機能障害患者では、特に意識障害等があらわれやすいので、患者の状態によっては従事させないよう注意すること。,

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 脱水症状をおこしやすいと考えられる患者(腎障害のある患者又は腎機能が低下している患者、高齢者等)

    適切な水分補給を行うこと。,

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1 腎障害のある患者、腎機能が低下している患者

    投与間隔を調節し、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。本剤の曝露量が増加した場合には、精神神経症状や腎機能障害が発現する危険性が高い。,,,,,,

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1 肝障害のある患者

    肝障害が増悪するおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)の妊娠10日目に、母動物に腎障害のあらわれる大量(200mg/kg/day以上)を皮下投与した実験では、胎児に頭部及び尾の異常が認められたと報告されている1)

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。アシクロビルは、ヒト母乳中への移行が報告されている。

9.7 小児等

低出生体重児及び新生児を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

投与間隔を調節し、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。本剤は、主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため高い血中濃度が持続するおそれがある。本剤の曝露量が増加した場合には、精神神経症状や腎機能障害が発現する危険性が高い。,,,,

10. 相互作用

  • アシクロビルは、OAT1、MATE1及びMATE2-Kの基質である。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子

プロベネシド

本剤の排泄が抑制され、本剤の平均血漿中半減期が18%延長し、平均血漿中濃度曲線下面積が40%増加するとの報告がある2)。特に腎機能低下の可能性がある患者(高齢者等)には慎重に投与すること。

プロベネシドは尿細管分泌に関わるOAT1及びMATE1を阻害するため、本剤の腎排泄が抑制されると考えられる。

シメチジン

アシクロビルの排泄が抑制され、アシクロビルの平均血漿中濃度曲線下面積が27%増加するとの報告がある(バラシクロビル塩酸塩でのデータ)3)。特に腎機能低下の可能性がある患者(高齢者等)には慎重に投与すること。

シメチジンは尿細管分泌に関わるOAT1、MATE1及びMATE2-Kを阻害するため、アシクロビルの腎排泄が抑制されると考えられる。

ミコフェノール酸 モフェチル

本剤及びミコフェノール酸 モフェチル代謝物の排泄が抑制され、両方の平均血漿中濃度曲線下面積が増加するとの報告がある4)。特に腎機能低下の可能性がある患者(高齢者等)には慎重に投与すること。

本剤とミコフェノール酸 モフェチル代謝物が尿細管分泌で競合すると考えられる。

テオフィリン

本剤との併用によりテオフィリンの中毒症状があらわれることがある5)

機序は不明であるが、本剤がテオフィリンの代謝を阻害するためテオフィリンの血中濃度が上昇することが考えられる。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1 重大な副作用

  1. 11.1.1 *アナフィラキシーショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)

    アナフィラキシーショック、アナフィラキシー(呼吸困難、血管性浮腫等)があらわれることがある。

  2. 11.1.2 汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少、播種性血管内凝固症候群(DIC)、血小板減少性紫斑病(いずれも頻度不明)
  3. 11.1.3 急性腎障害、尿細管間質性腎炎 (いずれも頻度不明)

    ,,

  4. 11.1.4 精神神経症状(頻度不明)

    意識障害(昏睡)、せん妄、妄想、幻覚、錯乱、痙攣、てんかん発作、麻痺、脳症等があらわれることがある。一般に精神神経症状は本剤の投与中止により回復する。,,

  5. 11.1.5 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれも頻度不明)
  6. 11.1.6 呼吸抑制、無呼吸(いずれも頻度不明)
  7. 11.1.7 間質性肺炎(頻度不明)
  8. 11.1.8 肝炎、肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
  9. 11.1.9 急性膵炎(頻度不明)

11.2 その他の副作用

0.1%~5%未満

0.1%未満

頻度不明

過敏症

発熱、発疹、水疱、紅斑、蕁麻疹、瘙痒

固定薬疹、光線過敏症

血液

貧血、白血球増多、好酸球増多

リンパ球増多、血小板増多、顆粒球減少、血小板減少、好塩基球増多、リンパ球減少

出血、紫斑

肝臓

肝腫大、肝機能検査値異常(AST、ALT等の上昇)

腎臓・泌尿器

BUN上昇

血清クレアチニン値上昇、血尿、尿円柱、蛋白尿、膿尿、排尿困難

乏尿、結晶尿、尿閉

消化器

下痢、軟便、嘔気、嘔吐、腹痛、胃痛、心窩部痛、胃不快感

消化不良、食欲不振、舌炎

胃炎、口渇、便秘、鼓腸放屁

精神神経系

振戦、めまい、感情鈍麻、傾眠、眠気

意識障害、見当識障害、情動失禁、うつ状態、そう状態、集中力障害、徘徊、離人症、興奮、健忘、多弁、不眠、不安、言語障害、独語、異常感覚、運動失調、歩行異常、不随意運動、れん縮、しびれ感、眼振等

循環器

動悸

頻脈、不整脈、胸痛、血圧上昇、血圧低下

筋骨格

関節痛、筋肉痛

全身症状

頭痛

悪寒、発熱、全身倦怠感

失神、蒼白、ほてり、浮腫、脱力感、筋力低下

その他

血清トリグリセライド値上昇、尿糖

咽頭炎、血清アルブミン低下、血清カリウム値上昇、AG比低下、血清コレステロール値上昇

肺炎、呼吸困難、喘鳴、胸水、疼痛、難聴、結膜炎、視力異常、味覚障害、脱毛、発汗、低ナトリウム血症、血清蛋白低下

発現頻度には使用成績調査の結果を含む。

13. 過量投与

  1. 13.1 症状

    アシクロビルを数日間経口過量投与された際には、胃腸管症状(嘔気、嘔吐等)及び精神神経症状(頭痛、錯乱等)の発現が認められている。過量静脈内投与の場合は、血清クレアチニン及びBUNの上昇に続き腎不全の発現が認められている。また、過量静脈内投与後に、精神神経症状(錯乱、幻覚、興奮、てんかん発作、昏睡等)が認められている。,,,,

  2. 13.2 処置

    血液透析により、アシクロビルを血中より効率的に除去することができる。

15. その他の注意

15.2 非臨床試験に基づく情報

骨髄小核試験において、高用量(マウス腹腔内投与、180mg/kg以上)で染色体異常の誘発性を疑わせる所見が得られている。Ames試験、マウス優性致死試験等では陰性であったが、マウスに180、360、720mg/kgを腹腔内1回投与した骨髄小核試験では、小核出現頻度に用量相関性の有意な増加が認められた。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 単回投与

    健康成人にアシクロビル200mg及び800mgを単回経口投与した場合、投与約1.3時間後にそれぞれ最高血漿中濃度0.63μg/mL及び0.94μg/mLに達し、血漿中濃度半減期は約2.5時間であった6)

  2. 16.1.2 反復投与

    健康成人にアシクロビル200mgを4時間毎に1日5回、3日間反復経口投与した場合、平均ピーク濃度は0.77~0.85μg/mL、平均トラフ濃度は0.41~0.45μg/mLであった。また、800mgを同様の投与方法で反復経口投与した場合、平均ピーク濃度は2.02~2.31μg/mL、平均トラフ濃度は1.18~1.36μg/mLであった6)

16.3 分布

  1. 16.3.1 血漿蛋白結合率

    In vitroでのアシクロビルの血漿蛋白結合率は22~33%であった7)

  2. 16.3.2 水疱中アシクロビル濃度

    アシクロビル200mgの1日4時間毎反復経口投与時、水疱中アシクロビル濃度は血漿中濃度と同程度であった8)(外国人データ)。

  3. 16.3.3 膣分泌物中アシクロビル濃度

    性器ヘルペス患者へのアシクロビル200mgの1日5回10日間経口投与時、膣分泌物中への移行(投与終了0.5~1時間後:約0.43μg/g)が認められた9)(外国人データ)。

  4. 16.3.4 乳汁中アシクロビル濃度

    ヒトにアシクロビル200mgを1日5回経口投与した時の乳汁中アシクロビル濃度は血漿中濃度の0.6~4.1倍であり、最高約1.31μg/mL(200mg投与3時間後)であった10)(外国人データ)。

16.5 排泄

健康成人にアシクロビル200mg及び800mgを単回経口投与した場合、48時間以内にそれぞれ投与量の25.0%及び12.0%が未変化体として尿中に排泄された6),11)。健康成人にアシクロビル400mgを単回経口投与した場合、主な尿中代謝体9-カルボキシメトキシメチルグアニンの未変化体に対する割合は、約7.5%であった11)

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1 腎機能障害患者

    腎機能障害のある患者では点滴静注時、アシクロビルの生体内半減期の延長及び全身クリアランスの低下が認められた8)(外国人データ)。これらの結果から、患者の腎機能に対応する本剤の減量の目安を算出した。,
    重症腎機能障害患者へのアシクロビル2.5mg/kg 1時間点滴静注時、6時間の血液透析により血漿中濃度は約60%減少した12)(外国人データ)。

  2. 16.6.2 小児等

    小児患者にアシクロビル200mgを単回経口投与した場合、6歳以上では体内薬物動態は成人とほぼ同等であった13)。新生児及び月齢の低い乳児では、腎機能が未熟なため、血漿中濃度の上昇、消失半減期の若干の延長が認められた14)(外国人データ)。小児骨髄移植患者においても他の患者と同等の吸収が認められたが、クレアチニンクリアランス値が40~60mL/min/1.48m2の一部の患者では2.25μg/mL以上の血清中濃度を示した15)

16.7 薬物相互作用

In vitroにおいて、アシクロビルは、OAT1、OAT2、MATE1及びMATE2-Kの基質であった16),17),18),19)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

  • 〈単純疱疹〉
    1. 17.1.1 国内臨床試験
      1. (1) 成人及び小児を対象としたカポジ水痘様発疹症をはじめ種々の単純疱疹に対し、有効率89.6%(613/684例)を示した。
      2. (2) 成人を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験20)において本剤の有用性が認められた。
      3. (3) 小児における投与量は、6歳未満の約半数で1回100mgであった。
  • 〈造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制〉
    1. 17.1.2 国内臨床試験
      1. (1) 成人及び小児を対象とした同種骨髄移植患者におけるプラセボ対照二重盲検比較試験21)では、単純ヘルペスウイルス感染症の発症率は、本剤投与群0%(0/28例)、プラセボ投与群24.1%(7/29例)と有意に抑制された。
      2. (2) 小児における投与量は、1回200mg、1日3~5回であった。
  • 〈帯状疱疹〉
    1. 17.1.3 国内臨床試験
      1. (1) 成人及び小児を対象とした帯状疱疹に対し、有効率93.2%(192/206例)を示した。
      2. (2) 成人を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験22)において本剤の有用性が認められ、本剤群での主な副作用は嘔吐4.6%(4/87例)及び嘔気2.3%(2/87例)であった。
  • 〈水痘〉
    1. 17.1.4 国内臨床試験

      第Ⅱ相及び既存療法を対照とした第Ⅲ相試験23)等において、1ヵ月~15歳の水痘患者に対する有効率は、91.1%(112/123例)であり、既存療法に対する本剤の有用性が認められた。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

アシクロビルは単純ヘルペスウイルスあるいは水痘・帯状疱疹ウイルスが感染した細胞内に入ると、ウイルス性チミジンキナーゼにより一リン酸化された後、細胞性キナーゼによりリン酸化され、アシクロビル三リン酸(ACV-TP)となる。ACV-TPは正常基質であるdGTPと競合してウイルスDNAポリメラーゼによりウイルスDNAの3’末端に取り込まれると、ウイルスDNA鎖の伸長を停止させ、ウイルスDNAの複製を阻害する24),25),26),27),28),29)
アシクロビルリン酸化の第一段階である一リン酸化は感染細胞内に存在するウイルス性チミジンキナーゼによるため、ウイルス非感染細胞に対する障害性は低いものと考えられる。

18.2 抗ウイルス作用

  1. 18.2.1 単純ヘルペスウイルスに対する作用

    アシクロビルは、単純ヘルペスウイルス1型及び2型のin vitroにおける増殖を抑制し、IC50はそれぞれ0.01~1.25μg/mL及び0.01~3.20μg/mLであった30),31)。また、モルモットの膣内に単純ヘルペスウイルス2型を接種して性器ヘルペス感染症を発生させ、接種後1ないし2日目から5日間、アシクロビルを経口投与(125mg/kg×2/day)した実験で、病巣スコアは対照群に比し有意に低下した32)

  2. 18.2.2 水痘・帯状疱疹ウイルスに対する作用

    アシクロビルは、水痘・帯状疱疹ウイルスのin vitroにおける増殖を抑制し、IC50は0.17~7.76μg/mLであった24),33),34)

19. 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称

アシクロビル(Aciclovir)

化学名

2-Amino-9-[(2-hydroxyethoxy)methyl]-1,9-dihydro-6H-purin-6-one

分子式

C8H11N5O3

分子量

225.20

性状

白色~微黄白色の結晶性の粉末である。
水に溶けにくく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくい。0.1mol/L塩酸試液又は希水酸化ナトリウム試液に溶ける。

化学構造式

22. 包装

100g[瓶]

23. 主要文献

1) Stahlmann R,et al.:Infection.1987;15:261-262

2) Laskin OL,et al.:Antimicrob Agents Chemother.1982;21:804-807

3) De Bony F,et al.:Antimicrob Agents Chemother.2002;46:458-463

4) Bullingham RES,et al.:Clin Pharmacokinet.1998;34:429-455

5) Maeda Y,et al.:Biol Pharm Bull.1996;19:1591-1595

6) 笹 征史ほか:臨床医薬.1990;6:427-439

7) Perry CM,et al.:Drugs.1996;52:754-772

8) de Miranda P,et al.:J Antimicrob Chemother.1983;12(suppl.B):29-37

9) Van Dyke RB,et al.:Am J Med.1982;73(1A):172-175

10) Lau RJ,et al.:Obstet Gynecol.1987;69:468-471

11) 笹 征史ほか:臨床薬理.1987;18:523-536

12) Laskin OL,et al.:Am J Med.1982;73(1A):197-201

13) 南谷幹夫ほか:小児科臨床.1987;40:3153-3162

14) Surrender WM,et al.:Antimicrob Agents Chemother.1987;31:1722-1726

15) 矢部みはるほか:臨床とウイルス.1987;15:397-401

16) Cheng Y,et al.:Drug Metab Dispos.2012;40:617-624

17) Takeda M,et al.:J Pharmacol Exp Ther.2002;300:918-924

18) Nies AT,et al.:Expert Opin Drug Metab Toxicol.2012;8:1565-1577

19) Tanihara Y,et al.:Biochem Pharmacol.2007;74:359-371

20) 新村眞人ほか:臨床とウイルス.1988;16:73-84

21) 正岡 徹ほか:臨床とウイルス.1987;15:255-264

22) 新村眞人ほか:臨床とウイルス.1990;18:464-473

23) 西村昂三ほか:小児科臨床.1993;46:409-424

24) Biron KK,et al.:Antimicrob Agents Chemother.1980;18:443-447

25) Biron KK,et al.:Herpesvirus NY,NY:Alan R Liss,Inc.1984:677-685

26) Furman PA,et al.:J Virol.1979;32:72-77

27) Furman PA,et al.:Antimicrob Agents Chemother.1981;20:518-524

28) St Clair MH,et al.:Antimicrob Agents Chemother.1980;18:741-745

29) Miller WH,et al.:J Biol Chem.1980;255:7204-7207

30) Al-Hasani AM,et al.:J Antimicrob Chemother.1986;18(Suppl.B):113-119

31) McLaren C,et al.:Am J Med.1982;73(1A):376-379

32) Kern ER,et al.:Am J Med.1982;73(1A):100-108

33) 武藤茂生ほか:小児科臨床.1983;36:2785-2790

34) Machida H:Antimicrob Agents Chemother.1986;29:524-526

24. 文献請求先及び問い合わせ先

グラクソ・スミスクライン株式会社

東京都港区赤坂1-8-1
メディカル・インフォメーション

TEL:0120-561-007(9:00~17:45/土日祝日及び当社休業日を除く)
https://jp.gsk.com

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元

グラクソ・スミスクライン株式会社

東京都港区赤坂1-8-1

〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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