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処方箋医薬品注)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
ニューモシスチス・イロベチー
通常、成人には1回5mL(アトバコンとして750mg)を1日2回21日間、食後に経口投与する。
通常、成人には1回10mL(アトバコンとして1500mg)を1日1回、食後に経口投与する。
本剤は絶食下では吸収量が低下するため、食後に投与すること。
臨床試験では除外されている。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ラットではヒトでの推定血漿中濃度の約3倍の曝露量において生殖発生毒性はみられなかったが、ウサギでは、ヒトでの推定血漿中濃度の約3/4の曝露量において母動物毒性(体重及び摂餌量の低値)に関連すると考えられる流産及び胎児体長・体重の軽度な低値がみられた。また、ラット及びウサギでは単回経口投与により胎盤を通過して胎児に分布することが報告されている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
リファンピシンリファブチン
リファンピシンとの併用により本剤の血漿中濃度が約53%低下し、t1/2は約33時間短縮した。また、リファブチンとの併用により本剤の血漿中濃度が約34%低下し、t1/2は約14時間短縮した。
機序は不明である。
テトラサイクリン塩酸塩メトクロプラミド
本剤の血漿中濃度はテトラサイクリンの併用で約40%低下した。また、メトクロプラミドの併用で本剤の血漿中濃度は約58%低下した。
ジドブジン
ジドブジンのみかけの経口クリアランスは併用により約25%低下し、AUCは約33%増加した。
アセトアミノフェンベンゾジアゼピン系薬剤アシクロビルオピオイド系鎮痛薬セファロスポリン系抗生物質止しゃ薬緩下剤
臨床試験において本剤の血漿中濃度のわずかな減少(平均3.8μg/mL以下)が報告されているが、因果関係は不明である。
頻度不明
血液
貧血
*過敏症
血管性浮腫、気管支痙攣、咽喉絞扼感
精神神経系
頭痛、不眠症
消化器
悪心・嘔吐、下痢
その他
肝酵素上昇、低ナトリウム血症、アミラーゼ上昇、発疹、発熱
31500mgまでの過量投与症例が報告されている。そのうちジアフェニルスルホン(投与量不明)も同時に服用した過量投与患者1例では、メトヘモグロビン血症が発現した。過量投与後に発疹も報告されている。
マウスのがん原性試験において、種特異的と考えられる肝薬物代謝酵素の誘導に関連した肝臓腫瘍の増加がみられた。
健康成人に本剤の750及び1500mg(各群10例)を食後にそれぞれ単回経口投与した時の血漿中アトバコン濃度推移を図1に、薬物動態パラメータを表1に示す1)。
投与量
Cmax(μg/mL)
tmax(hr)
AUC0-∞(μg・hr/mL)
t1/2(hr)
750mg
14.0±3.4
4.0(3, 8)
934.4±242.9
70.2±11.6
1500mg
15.7±5.4
4.0(3, 10)
1109.6±646.7
59.7±14.1
平均値±標準偏差(各群10例)、tmax:中央値(範囲)
HIV患者(9~19例)に本剤500注1)、750及び1000mg注1)を1日1回食後に反復経口投与した時のCavg,ss(平均値±標準偏差)は、それぞれ11.7±4.8、12.5±5.8及び13.5±5.1μg/mLであり、血漿中濃度は500~1000mgの範囲では投与量に比例した増加がみられなかった。また、HIV患者5例に本剤750mgを1日2回食後に反復経口投与した時の血漿中アトバコンのCavg,ssは21.0±4.9μg/mL、Cmax,ssは24.0±5.7μg/mL、Cmin,ssは16.7±4.6μg/mLであった(外国人データ)。
絶食下
3.34±0.85
9.6±16.0
324.3±115.0
75.2±22.5
食後
11.61±3.00
4.9± 1.7
800.6±319.8
69.1±19.8
平均値±標準偏差(16例)
HIV患者9例に本剤750mgを食後に単回経口投与した時の絶対的バイオアベイラビリティは47±15%であった(外国人データ)。
HIV患者9例に約37mgを単回静脈内投与注1)した時のVzは0.62±0.19L/kgであった(外国人データ)。
In vitroでのヒト血漿蛋白結合率は99.9%超であり、約1~90μg/mLの範囲で一定であった。
本剤の薬物動態は検討していない。
小児患者(年齢:3ヵ月~12歳)注1)11例にアトバコン錠を投与した。成人とほぼ同用量である40mg/kgを投与した時のCavg,ssは14.28~15.60μg/mL、t1/2は約57~61時間であった(外国人データ)。
健康成人12例に本剤1000mg注1)をフェニトイン600mgと単回併用投与した時のフェニトインの薬物動態にアトバコンは影響を及ぼさなかった(外国人データ)。
HIV患者13例に本剤750mgを12時間ごと、リファンピシン600mgを24時間ごとに併用経口投与した時の血漿中アトバコンのCavg,ssは併用で約53%低下し、t1/2は約33時間短縮した(外国人データ)。
健康成人24例に本剤750mgを1日2回及びリファブチン300mgを食後に1日1回14日間併用経口投与した時の血漿中アトバコンのAUCssは併用で約34%低下し、t1/2は約14時間短縮した(外国人データ)。
軽度~中等度のニューモシスチス肺炎を発症したAIDS患者19例に本剤1000mg注1)を1日1回、スルファメトキサゾール・トリメトプリム(1600mg・320mg)を1日3回併用投与した時の血漿中アトバコンのCavg,ssは単独群では10.7±5.9μg/mL、併用群では10.6±7.7μg/mLであった(外国人データ)。
HIV患者14例にアトバコン錠750mgを12時間ごと注2)、ジドブジン200mgを8時間ごとに併用投与した時のアトバコンのCmax,ss、Cmin,ss及びCavg,ssはいずれも併用による影響はみられなかった。一方、ジドブジンのみかけの経口クリアランスは併用により約25%低下し、AUCは約33%増加した(外国人データ)。
血漿中アトバコン濃度はテトラサイクリンの併用で約40%低下した2)。また、血漿中アトバコンのCssは、メトクロプラミドの併用で約58%低下した(外国人データ)。
有効性を検討した臨床試験2試験において、ニューモシスチス肺炎患者にアトバコン錠750mgを1日3回注2)21日間経口投与した時の血漿中アトバコンのCssは、アセトアミノフェン、ベンゾジアゼピン系薬剤、アシクロビル、オピオイド系鎮痛薬、セファロスポリン系抗生物質、止しゃ薬及び緩下剤の併用でわずかに減少(7種の併用薬で平均3.8μg/mL以下)し、メトクロプラミド及びリファンピシンの併用で有意に減少(それぞれ平均8.1及び8.9μg/mL)した(外国人データ)。
アトバコンは、高い血漿蛋白結合率(99%超)を示すことから、血漿蛋白結合率が高く治療域の狭い他の薬剤と併用する場合には慎重に行うこと。なお、アトバコンはキニーネ、フェニトイン、ワルファリン、スルファメトキサゾール、インドメタシン、ジアゼパムのin vitro血漿蛋白結合に影響を及ぼさないことから、蛋白結合の結合置換により著しい薬物相互作用が発現する可能性は低いと考えられる。
注1)本剤を治療に用いる場合の承認用量は、成人には1回5mL(アトバコンとして750mg)、1日2回21日間食後に経口投与である。本剤を発症抑制に用いる場合の承認用量は、成人には1回10mL(アトバコンとして1500mg)、1日1回食後に経口投与である。注2)アトバコン錠は販売されていない。
軽症から中等症(肺胞気・動脈血酸素分圧較差[(A-a)DO2]が45mmHg以下かつPaO2が60mmHg以上)のニューモシスチス肺炎を有するAIDS患者を対象としてアトバコン錠をST合剤と比較した多施設共同、無作為化、二重盲検試験において、アトバコン250mg錠1回3錠を1日3回注)、又はST合剤錠(スルファメトキサゾール・トリメトプリム(800mg・160mg))1回2錠を1日3回、21日間投与した。有効率を表1に示した。ニューモシスチス肺炎の確定診断例322例の21日間の治療期間中及び4週間の追跡期間中の死亡は、アトバコン錠群が11/160例(7%)、ST合剤群が1/162例(0.6%)で、両群の死亡率に有意な差(p=0.003)が認められた。投与終了4週から8週後の追跡期間中の死亡は、アトバコン錠群が2例、ST合剤群が3例であった。アトバコン錠群の死因は、ニューモシスチス肺炎が4例、細菌感染症が6例、クリプトコッカス髄膜炎、播種性のヒストプラスマ症、HIVの合併症が各1例であった。ST合剤群の死因は、ニューモシスチス肺炎、栄養失調、肺アスペルギルス症、播種性カポジ肉腫が各1例であった。
アトバコン錠(160例)
ST合剤(162例)
p値
有効
99例(62%)
103例(64%)
0.75
無効
効果不足
28例(17%)
10例(6%)
<0.01
有害事象
11例(7%)
33例(20%)
評価不能
22例(14%)
16例(10%)
0.28
アトバコン錠投与群で発現した主な副作用は、発疹19%(38/203例)、悪心17%(35/203例)、嘔吐11%(22/203例)、頭痛7%(14/203例)及び下痢7%(14/203例)であった。
トリメトプリム又はサルファ剤に不耐容の軽症から中等症のニューモシスチス肺炎を有するAIDS患者を対象としアトバコン錠とペンタミジンを比較した多施設共同、無作為化、非盲検試験において、アトバコン250mg錠1回3錠を1日3回注)、又はペンタミジンイセチオン酸塩(静注)3~4mg/kgを1日1回、21日間投与した。初回治療集団での有効率を表2に示した。
アトバコン錠(56例)
ペンタミジン(53例)
32例(57%)
21例(40%)
0.09
16例(29%)
9例(17%)
0.18
2例(4%)
19例(36%)
6例(11%)
4例(8%)
0.74
アトバコン錠投与群で発現した主な副作用は、発疹12%(9/73例)、悪心11%(8/73例)、嘔吐8%(6/73例)、発熱7%(5/73例)、頭痛7%(5/73例)及び下痢5%(4/73例)であった。
ニューモシスチス肺炎のリスク(CD4+細胞数が200/mm3以下又はニューモシスチス肺炎の既往歴がある)がある患者を対象にジアフェニルスルホン(ダプソン)と比較した多施設共同、無作為化、非盲検試験において、本剤1500mgを1日1回、又はダプソン100mgを1日1回投与した。試験終了/中止30日後までのニューモシスチス肺炎の発症率を表3に示した。
本剤1500mg/日(527例)
ダプソン100mg/日(510例)
発症率(%)
15%
19%
相対リスク(95%信頼区間)
0.77(0.57, 1.04)
ニューモシスチス肺炎のリスク(CD4+細胞数が200/mm3未満又はニューモシスチス肺炎の既往歴がある)がある患者を対象にペンタミジン吸入と比較した多施設共同、無作為化、非盲検試験において、本剤1500mgを1日1回経口投与、又はペンタミジン300mgを1ヵ月ごとに1回吸入投与した。試験終了/中止30日後までのニューモシスチス肺炎の発症率を表4に示した。
本剤1500mg/日(172例)
ペンタミジン吸入300mg/月(169例)
18%
17%
1.14(0.68, 1.91)
本剤投与群における副作用発現頻度は、51%(90/175例)であった。主な副作用は、発疹23%(41/175例)、下痢19%(34/175例)、悪心10%(18/175例)、そう痒症6%(10/175例)及び腹痛5%(8/175例)であった。
注)アトバコン錠は販売されていない。
アトバコンの作用部位はミトコンドリア呼吸鎖であることが示唆されており、P. cariniiミトコンドリアの電子伝達系複合体Ⅲ(complex Ⅲ)を0.015μMのIC50で抑制した。アトバコンは、ミトコンドリア内膜蛋白質ユビキノンのチトクロームb(complex Ⅲの構成成分)への結合を阻害し、その結果としてATPレベルを顕著に低下させることにより抗P. jirovecii活性を示すと考えられている4)。
In vitroにおいて、ヒト胎児肺線維芽細胞に感染させたP. cariniiの増殖を抑制し、そのMICは約0.3μM、3H-p-aminobenzoate取込みを指標としたときIC50は1.4μMであった5)。デキサメタゾン誘発免疫不全ラットにおいて予防的反復経口投与により潜伏感染しているP. cariniiの再活発化を完全に抑制し、治療的反復経口投与により、ラット肺病巣のP. cariniiシスト数を用量依存的に軽減した6)。
アトバコン無効例の複数のニューモシスチス肺炎患者から分離したP. jiroveciiのチトクロームbDNA配列を解析したところ、ユビキノンが結合するQ0部位に耐性に関連すると思われる変異が数種類認められた7),8)。しかし、これらの変異はアトバコン無効例の一部でしか認められていないことから、臨床におけるアトバコン耐性に関してのチトクロームb遺伝子変異の意義は明らかではない。
アトバコン(Atovaquone)
2-[trans-4-(4-Chlorophenyl)cyclohexyl]-3-hydroxy-1,4-naphthoquinone
C22H19ClO3
366.84
本品は黄色の粉末である。
約221℃
5.3(1-オクタノール/水系)
凍結を避けて保存すること。
5mL[1包]×14
1) 井野比呂子ほか:日化療会誌.2013;61:335-342
2) Boggild AK,et al.:Am J Trop Med Hyg.2007;76:208-223
3) Hughes W,et al.:N Engl J Med.1993;328:1521-1527
4) Cushion MT,et al.:Antimicrob Agents Chemother.2000;44:713-719
5) Comley JCW,et al.:Antimicrob Agents Chemother.1991;35:1965-1974
6) Hughes WT,et al.:Antimicrob Agents Chemother.1990;34:225-228
7) Walker DJ,et al.:J Infect Dis.1998;178:1767-1775
8) Kazanjian P,et al.:J Infect Dis.2001;183:819-822
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本製剤をHIV感染患者におけるニューモシスチス肺炎の治療及び発症抑制のために使用した場合は、本製剤を使用した患者に係る診療報酬明細書等の取扱いにおいては、当該患者の秘密の保護に十分配慮すること。
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