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生物学的製剤基準
組換え沈降2価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン(イラクサギンウワバ細胞由来)
劇薬
処方箋医薬品注)
生物由来製品
ヒトパピローマウイルス(HPV)16型及び18型感染に起因する子宮頸癌(扁平上皮癌、腺癌)及びその前駆病変(子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)2及び3)の予防
10歳以上の女性に、通常、1回0.5mLを0、1、6ヵ月後に3回、上腕の三角筋部に筋肉内接種する。
本剤の接種上、やむを得ず接種間隔の変更が必要な場合は、2回目の接種は1回目の接種から1~2.5ヵ月の間で、3回目の接種は1回目の接種から5~12ヵ月の間で調整すること。
医師が必要と認めた場合には、他のワクチンと同時に接種することができる。
被接種者が次のいずれかに該当すると認められる場合は、健康状態及び体質を勘案し、診察及び接種適否の判断を慎重に行い、予防接種の必要性、副反応、有用性について十分な説明を行い、同意を確実に得た上で、注意して接種すること。
本剤接種後に出血があらわれるおそれがある。
,
接種要注意者である。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ接種すること。妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、妊娠終了まで接種を延期することが望ましい。
予防接種上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト乳汁への移行性については不明であるが、ラットにおいて、抗HPV-16抗体あるいは抗HPV-18抗体が乳汁中に移行することが報告されている。
10歳未満の小児を対象とした臨床試験は実施していない。
接種に当たっては、予診等を十分に行い、被接種者の健康状態を観察すること。一般に、生理機能が低下している。
免疫抑制剤
本剤を接種しても十分な抗体産生が得られない可能性がある。
免疫抑制剤の投与を受けている者は免疫機能が低下しているため、本剤の効果が十分得られないおそれがある。
アレルギー反応、血管性浮腫等があらわれることがある。
接種後数日から2週間程度で発熱、頭痛、痙攣、運動障害、意識障害等があらわれることがある。本症が疑われる場合には、MRI等で診断し、適切な処置を行うこと。
四肢遠位から始まる弛緩性麻痺、腱反射の減弱ないし消失等の症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
10%以上
1~10%未満
0.1~1%未満
頻度不明
過敏症
瘙痒
発疹、蕁麻疹
局所症状(注射部位)
疼痛、発赤、腫脹
硬結
知覚異常
消化器
胃腸症状(悪心、嘔吐、下痢、腹痛等)
筋骨格
筋痛、関節痛
四肢痛
精神神経系
頭痛
めまい
感覚鈍麻(しびれ感)
失神・血管迷走神経反応注1),注2)
肝臓
AST、ALTの増加等
眼
ぶどう膜炎、角膜炎
その他
疲労
発熱(38℃以上を含む)、上気道感染
全身脱力
リンパ節症
20~25歳の女性1040例を対象とした二重盲検比較試験において、有効性を対照(HAV:不活化A型肝炎ワクチン)と比較した。主要評価項目解析でHPV-16又はHPV-18の持続感染(6ヵ月定義)は統計学的に有意な有効性(VE注1))が得られた(p<0.0001,両側Fisher直接確率検定)。持続感染に対する有効性を表1に示した1)。注1)VE(Vaccine Efficacy)=(1-(本剤群の発生例数/本剤群の総追跡調査期間)/(対照群の発生例数/対照群の総追跡調査期間))×100(%)
HPV-16/18に起因するエンドポイント
本剤
対照
有効性(%)(95.5%CI)
被験者数
発生例数
100(71.3,100)
持続感染(6ヵ月定義)
387
0
392
15
注2)持続感染の6ヵ月定義は最低5ヵ月間に少なくとも2検体で同型のHPVが陽性と定義注3)ワクチンを3回接種し、プロトコールに準拠した被験者のうち、1回目ワクチン接種時(0ヵ月目)に血清抗体陰性、かつ0ヵ月目及び6ヵ月目にHPV DNAが陰性の被験者集団について解析した。
試験開始時に血清抗体陰性であった被験者の3回目接種1ヵ月後の幾何平均抗体価(GMT)は、抗HPV-16抗体が7975.9 EL.U/mL(95%CI:7313.0-8698.8)及び抗HPV-18抗体が4080.9 EL.U/mL(95%CI:3740.4-4452.4)であった。本剤接種後7日間(接種当日も含む)の日誌による安全性調査を行った512例のうち、局所(注射部位)の副反応発現頻度は100.0%(512/512例)であり、疼痛99.2%(508/512例)、発赤88.9%(455/512例)、腫脹78.3%(401/512例)であった。また、全身性の副反応発現頻度は80.1%(410/512例)であった。主なものは、疲労61.7%(316/512例)、筋肉痛49.2%(252/512例)、頭痛39.3%(201/512例)であった。
HPV-032試験を完了した752例を対象に追跡調査試験を実施し、1回目ワクチン接種後4年間までの長期有効性を評価した。両試験(HPV-032及びHPV-063試験)の併合解析におけるHPV-16又はHPV-18の持続感染(12ヵ月定義)、HPV-16又はHPV-18に起因する組織病変に対する有効性を表2に示した。なお、組織病変の評価において、数例では子宮頸部に事前に検出されていない型を含む、新たな複数の癌原性HPVが病変部位に検出された。そのため病変の原因である可能性が最も高い型と、単に一時的に存在している型とを区別するためHPV型判定アルゴリズムを適用した。病変部位に検出されたHPV型及び先行する細胞検体から検出されたHPVの型を検討し、病変形成に深く関与していると考えられる型を特定し、HPV-16型及び18型以外の型に起因する組織病変は除外した。
有効性(%)(95%CI)
持続感染(12ヵ月定義)
382
383
16
100(74.8,100)
CIN1+注2)
406
404
8
100(42.2,100)
CIN2+注3)
5
100(-8.0,100)
注1)ワクチンを3回接種し、プロトコールに準拠した被験者のうち、1回目ワクチン接種時(0ヵ月目)に血清抗体陰性、かつ0ヵ月目及び6ヵ月目にHPV DNAが陰性の被験者集団について解析した。注2)CIN(Cervical Intraepithelial Neoplasia)グレード1以上注3)CINグレード2以上
1回目接種48ヵ月後のGMTは、抗HPV-16抗体が1283.2 EL.U/mL(95%CI:1150.1-1431.7)及び抗HPV-18抗体が473.0 EL.U/mL(95%CI:416.8-536.8)であり、それぞれ自然感染による抗体価の43.1倍、20.9倍であった。抗体陽性率は48ヵ月目までHPV-16及びHPV-18いずれにおいても100%を維持した。
10~15歳の女性100例を対象とした非盲検試験において、ワクチンを0、1、6ヵ月目に3回接種した1ヵ月後の免疫原性を評価した。試験開始時に血清抗体陰性であった被験者の3回目接種1ヵ月後のGMTは、抗HPV-16抗体が19513.8 EL.U/mL(95%CI:16837.7-22615.3)及び抗HPV-18抗体が8998.4 EL.U/mL(95%CI:7746.7-10452.2)であり、GMTは20~25歳の日本人女性(HPV-032試験)の2倍以上を示した2)。なお、本試験では有効性の評価は実施されていない。本剤接種後7日間(接種当日も含む)の日誌による安全性調査を行った100例のうち、局所(注射部位)の副反応発現頻度は99.0%(99/100例)であり、疼痛98.0%(98/100例)、発赤85.0%(85/100例)、腫脹81.0%(81/100例)であった。また、全身性の副反応発現頻度は65.0%(65/100例)であった。主なものは、疲労37.0%(37/100例)、頭痛31.0%(31/100例)、筋肉痛25.0%(25/100例)であった。
15~25歳の女性18665例を対象とした二重盲検比較試験において、有効性を対照(HAV)と比較した。試験終了時解析(48ヵ月目)の主要評価項目でHPV-16又はHPV-18に起因するCIN2+(CINグレード2以上)は、本剤群で5例に対して対照群は97例(VE=94.9%(95%CI:87.7%,98.4%))、追加評価項目でCIN3+(CINグレード3以上)は本剤群で2例に対して対照群で24例(VE=91.7%(95%CI:66.6%,99.1%))であった3)。また、HPV型判定アルゴリズム適用後の組織病変に対する有効性を表3に示し、持続感染に対する有効性を表4に示した。
CIN2+
7338
1
7305
92
98.9(93.8,100)
CIN3+
22
100(81.8,100)
注)ワクチンを3回接種し、プロトコールに準拠した被験者のうち、1回目ワクチン接種時(0ヵ月目)に血清抗体陰性、かつ0ヵ月目及び6ヵ月目にHPV DNAが陰性の被験者集団について解析した。
7182
35
7137
588
94.3(92.0,96.1)
7082
26
7038
354
92.9(89.4,95.4)
注)持続感染の6ヵ月定義は最低5ヵ月間に少なくとも2検体で同型のHPVが陽性、12ヵ月定義は最低10ヵ月間に少なくとも2検体で同型のHPVが陽性と定義
試験終了時(48ヵ月目)におけるその他の癌原性HPVに起因する持続感染及び組織病変に対する有効性を表5に示した4)。HPV-31、HPV-33、HPV-45及びHPV-51に起因する持続感染(6ヵ月定義)及びCIN2+に対する統計学的な有意差が全てのコホートにおいて認められた。
HPV型
HPV-16に近縁の型
HPV-31
58
247
76.8(69.0,82.9)
40
87.5(68.3,96.1)
HPV-33
65
117
44.8(24.6,59.9)
13
41
68.3(39.7,84.4)
HPV-35
67
56
-19.8(-74.1,17.2)
3
62.5(-56.5,93.6)
HPV-52
346
374
8.3(-6.5,21.0)
24
33
27.6(-26.3,59.1)
HPV-58
144
122
-18.3(-51.8,7.7)
21
28.5(-45.5,65.7)
HPV-18に近縁の型
HPV-39
175
184
4.8(-17.7,23.1)
4
74.9(22.3,93.9)
HPV-45
90
73.6(58.1,83.9)
2
11
81.9(17.0,98.1)
HPV-59
73
68
-7.5(-51.8,23.8)
80.0(-79.1,99.6)
HPV-68
165
169
2.6(-21.5,21.9)
26.8(-70.7,69.6)
その他のHPV型
HPV-51
349
416
16.6(3.6,27.9)
46
54.4(22.0,74.2)
HPV-56
226
215
-5.3(-27.5,13.1)
7
46.1(-45.2,81.8)
HPV-66
211
2.3(-18.7,19.6)
56.4(-12.1,84.8)
注)ワクチンを3回接種し、0ヵ月目及び6ヵ月目に該当するHPV DNAが陰性の被験者集団について解析した。
試験開始時に血清抗体陰性であった被験者の3回目接種1ヵ月後のGMTは、抗HPV-16抗体が9341.5 EL.U/mL(95%CI:8760.4-9961.1)及び抗HPV-18抗体が4769.6 EL.U/mL(95%CI:4491.2-5065.3)であった5)。本剤接種後7日間(接種当日も含む)の日誌による安全性調査を行った3184例のうち、局所(注射部位)の副反応発現頻度は91.2%(2805/3077例)であり、疼痛90.5%(2786/3077例)、発赤43.8%(1348/3077例)、腫脹42.0%(1292/3077例)であった。また、全身性の副反応発現頻度は57.6%(1772/3076例)であった。主なものは、疲労39.8%(1223/3076例)、筋肉痛39.3%(1209/3076例)、頭痛30.7%(943/3076例)であった。
15~25歳の女性1113例を対象とした二重盲検比較試験(HPV-001試験)において、有効性をプラセボと比較した。また、HPV-001試験で3回のワクチン接種を完了した776例を継続して追跡調査試験(HPV-007試験)に登録し、本剤の長期有効性を評価した。HPV-001及びHPV-007試験を併合解析した組織病変に対する有効性を表6に示した6)。また、HPV-001/007試験を完了した437例を対象に追跡調査試験(HPV-023試験)を実施し、更なる長期有効性を評価した。その結果、HPV-16/18に起因する6ヵ月持続感染、12ヵ月持続感染及びCIN1+について、本剤群では新たな発症例は認められなかったが、対照群ではそれぞれ4例、1例及び1例の発症が認められた。現在までに1回目接種後、最長9.4年間(平均追跡期間約8.9年)までの予防効果が持続することが確認されている。
プラセボ
481
470
9
100(51.3,100)
注)癌原性HPVに感染歴のない未感染集団
HPV-001、HPV-007及びHPV-023試験において、HPV-16及びHPV-18に対するGMTは1回目の接種から7ヵ月目にピークに達し、以後18ヵ月目からはプラトーに達し9.4年(113ヵ月)まで維持された。また、113ヵ月目時点でHPV-16及びHPV-18のいずれも、GMTは自然感染による抗体価の10倍以上であり、抗体陽性率はそれぞれ100%を維持した。本剤接種後7日間(接種当日も含む)の日誌による安全性調査を行った540例のうち、局所(注射部位)の副反応発現頻度は94.0%であり、疼痛93.4%(496/531例)、発赤35.6%(189/531例)、腫脹34.3%(182/531例)であった。また、全身性の主な副反応は、疲労40.3%(214/531例)、頭痛33.9%(180/531例)、胃腸症状16.8%(89/531例)であった。
15~55歳の女性666例を対象とした非盲検年齢層別試験において、ワクチン3回接種後の免疫原性を評価した。試験開始時に血清抗体陰性であった被験者では年齢に関係なく、1回目の接種から18ヵ月目のHPV-16及びHPV-18に対するGMTはHPV-001及びHPV-007試験のプラトー期のGMTと同じ範囲にあった。26~55歳の年齢層では15~25歳の年齢層に比べGMTがやや低値ではあったが、48ヵ月目の抗体価は、自然感染による抗体価に比べ高く維持された。なお、本試験において有効性の評価は実施されていない。本剤接種後7日間(接種当日も含む)の日誌による安全性調査を行った666例のうち、局所(注射部位)の副反応発現頻度は96.9%(220/227例)、94.7%(214/226例)、86.0%(178/207例)(それぞれ15~25歳群、26~45歳群、46~55歳群、以下同じ)であり、疼痛96.9%(220/227例)、92.9%(210/226例)、82.6%(171/207例)、発赤58.6%(133/227例)、55.8%(126/226例)、48.8%(101/207例)、腫脹42.3%(96/227例)、44.2%(100/226例)、40.1%(83/207例)であった。また、全身性の副反応発現頻度は56.4%(128/227例)、42.5%(96/226例)、41.5%(86/207例)であった。主なものは、疲労37.9%(86/227例)、26.5%(60/226例)、21.3%(44/207例)、頭痛33.9%(77/227例)、21.2%(48/226例)、22.2%(46/207例)、筋肉痛42.3%(96/227例)、27.4%(62/226例)、23.2%(48/207例)であった。
抗体価と長期間にわたる感染の予防効果及び子宮頸癌とその前駆病変の予防効果との相関性については現時点では明確ではない。
癌原性HPVは子宮頸癌(扁平上皮癌及び腺癌)の発症に関連しており、HPV-16及びHPV-18がもっとも多い型で、世界的には次いでウイルスの型が近縁のHPV-45及びHPV-31が多い。HPV-16及びHPV-18が子宮頸癌の約70%、HPV-16, 18, 31及び45を合わせて子宮頸癌の78.5~80.3%に関連している7),8)。子宮頸癌及びその前癌病変に進行する危険性は、HPVの持続的な感染により増加すると考えられている。本剤は、HPV-16型及びHPV-18型の主要カプシドL1たん白質で構成されるウイルス様粒子(VLP)を精製した非感染性の組換えワクチンである。本剤の作用メカニズムとしては、本剤により誘導された血清中抗HPV IgG抗体が子宮頸部粘膜に滲出し、子宮頸癌の主要原因である癌原性HPVの持続的な感染を予防していると考えられている。
動物に本剤を投与することによりL1 VLPに対する液性免疫及び細胞性免疫を惹起することが示されている。
0.5mL[1シリンジ](25ゲージの注射針が同梱されている。)
1) Konno R,et al.:Int J Gynecol Cancer.2010;20:847-855
2) 神谷齊ほか:小児科臨床.2009;62:2451-2460
3) Lehtinen M,et al.:Lancet Oncol.2012;13:89-99
4) Wheeler CM,et al.:Lancet Oncol.2012;13:100-110
5) Paavonen J,et al.:Lancet.2007;369:2161-2170
6) The GlaxoSmithKline Vaccine HPV-007 Study Group:Lancet.2009;374:1975-1985
7) Smith JS,et al.:Int J Cancer.2007;121:621-632
8) Muñoz N,et al.:Int J Cancer.2004;111:278-285
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