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サーバリックス

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.接種不適当者(予防接種を受けることが適当でない者)
3.製法の概要及び組成・性状
3.1製法の概要
3.2組成
3.3製剤の性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する者に関する注意
9.1接種要注意者(接種の判断を行うに際し、注意を要する者)
9.2腎機能障害を有する者
9.3肝機能障害を有する者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
9.8高齢者
10.相互作用
10.2併用注意(併用に注意すること)
11.副反応
11.1重大な副反応
11.2その他の副反応
14.適用上の注意
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
17.3その他
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2動物における免疫原性
20.取扱い上の注意
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
25.保険給付上の注意
26.製造販売業者等

サーバリックス

添付文書番号

631340QG1022_1_16

企業コード

340278

作成又は改訂年月

2023年12月改訂(第1版)

日本標準商品分類番号

876313

薬効分類名

ウイルスワクチン類

承認等

サーバリックス

販売名コード

YJコード

631340QG1022

販売名ひらがな

さーばりっくす

承認番号等

承認番号

22100AMX02268

販売開始年月

2009年12月

貯法・有効期間

貯法

2~8℃で保存

有効期間

48ヵ月

基準名

生物学的製剤基準

組換え沈降2価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン
(イラクサギンウワバ細胞由来)

規制区分

一般的名称

組換え沈降2価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン
(イラクサギンウワバ細胞由来)

2. 接種不適当者(予防接種を受けることが適当でない者)

  1. 2.1 明らかな発熱を呈している者
  2. 2.2 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者
  3. 2.3 本剤の成分に対して過敏症を呈したことがある者
  4. 2.4 上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある者

3. 製法の概要及び組成・性状

3.1 製法の概要

本剤はHPV-16型及び18型の組換えL1カプシドたん白質抗原を含有する。L1たん白質は、型別に組換えバキュロウイルス発現系を用い、無血清培地を使用して製造する。イラクサギンウワバ由来細胞内でL1をコードする組換えバキュロウイルスが増殖すると、細胞質中にL1たん白質が発現する。細胞を破壊してL1たん白質を遊離させ、一連のクロマトグラフィー及びろ過によって精製する。精製工程の最後に、L1たん白質は会合してウイルス様粒子(VLP)を形成する。次いで、精製された非感染性のVLPを水酸化アルミニウムに吸着させる。AS04アジュバント複合体はグラム陰性菌Salmonella minnesota R595株のリポ多糖の非毒性型誘導体である3-脱アシル化-4'-モノホスホリルリピッドA(MPL)と水酸化アルミニウムからなる。本剤は各HPV型の吸着VLPをAS04アジュバント複合体及び賦形剤と配合して調製する。また本剤は製造工程で、ウシの乳由来成分(カザミノ酸)を使用している。

3.2 組成

本剤は、0.5mL中に次の成分を含有する。

サーバリックス

有効成分ヒトパピローマウイルス16型L1たん白質ウイルス様粒子20μg
ヒトパピローマウイルス18型L1たん白質ウイルス様粒子20μg  
添加剤3-脱アシル化-4'-モノホスホリルリピッドA(50μg)、水酸化アルミニウム懸濁液(アルミニウムとして)(500μg)、塩化ナトリウム(等張化剤)、リン酸二水素ナトリウム水和物(緩衝剤)、pH調節剤

3.3 製剤の性状

サーバリックス

剤形・性状振り混ぜるとき白濁し、放置するとき白色の沈殿物と無色の上澄液に分離する懸濁性注射剤
pH6.0~7.0
浸透圧比(生理食塩液に対する比)約1.0

4. 効能又は効果

ヒトパピローマウイルス(HPV)16型及び18型感染に起因する子宮頸癌(扁平上皮癌、腺癌)及びその前駆病変(子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)2及び3)の予防

5. 効能又は効果に関連する注意

  1. 5.1 HPV-16型及び18型以外の癌原性HPV感染に起因する子宮頸癌及びその前駆病変の予防効果は確認されていない。
  2. 5.2 接種時に感染が成立しているHPVの排除及び既に生じているHPV関連の病変の進行予防効果は期待できない。
  3. 5.3 本剤の接種は定期的な子宮頸癌検診の代わりとなるものではない。本剤接種に加え、子宮頸癌検診の受診やHPVへの曝露、性感染症に対し注意することが重要である。
  4. 5.4 本剤の予防効果の持続期間は確立していない。

6. 用法及び用量

10歳以上の女性に、通常、1回0.5mLを0、1、6ヵ月後に3回、上腕の三角筋部に筋肉内接種する。

7. 用法及び用量に関連する注意

  1. 7.1 接種間隔

    本剤の接種上、やむを得ず接種間隔の変更が必要な場合は、2回目の接種は1回目の接種から1~2.5ヵ月の間で、3回目の接種は1回目の接種から5~12ヵ月の間で調整すること。

  2. 7.2 同時接種

    医師が必要と認めた場合には、他のワクチンと同時に接種することができる。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 本剤は、「予防接種実施規則」及び「定期接種実施要領」に準拠して使用すること。
  2. 8.2 被接種者について、接種前に必ず問診、検温及び診察(視診、聴診等)によって健康状態を調べること。
  3. 8.3 被接種者又はその保護者に、接種当日は過激な運動は避け、接種部位を清潔に保ち、また、接種後の健康監視に留意し、局所の異常反応や体調の変化、さらに高熱、痙攣等の異常な症状を呈した場合には、速やかに医師の診察を受けるよう事前に知らせること。
  4. 8.4 ワクチン接種直後又は接種後に注射による心因性反応を含む血管迷走神経反射として失神があらわれることがある。失神による転倒を避けるため、接種後30分程度は座らせるなどした上で被接種者の状態を観察することが望ましい。
  5. 8.5 発生機序は不明であるが、ワクチン接種後に、注射部位に限局しない激しい疼痛(筋肉痛、関節痛、皮膚の痛み等)、しびれ、脱力等があらわれ、長期間症状が持続する例が報告されているため、異常が認められた場合には、神経学的・免疫学的な鑑別診断を含めた適切な診療が可能な医療機関を受診させるなどの対応を行うこと。
  6. 8.6 本剤と他のHPVワクチンの互換性に関する安全性、免疫原性、有効性のデータはない。

9. 特定の背景を有する者に関する注意

9.1 接種要注意者(接種の判断を行うに際し、注意を要する者)

被接種者が次のいずれかに該当すると認められる場合は、健康状態及び体質を勘案し、診察及び接種適否の判断を慎重に行い、予防接種の必要性、副反応、有用性について十分な説明を行い、同意を確実に得た上で、注意して接種すること。

  1. 9.1.1 血小板減少症や凝固障害を有する者

    本剤接種後に出血があらわれるおそれがある。

  2. 9.1.2 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する者

    ,

  3. 9.1.3 予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者
  4. 9.1.4 過去に痙攣の既往のある者
  5. 9.1.5 過去に免疫不全の診断がされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる者

  6. 9.1.6 妊婦又は妊娠している可能性のある女性

9.2 腎機能障害を有する者

接種要注意者である。

9.3 肝機能障害を有する者

接種要注意者である。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ接種すること。妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、妊娠終了まで接種を延期することが望ましい。

9.6 授乳婦

予防接種上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト乳汁への移行性については不明であるが、ラットにおいて、抗HPV-16抗体あるいは抗HPV-18抗体が乳汁中に移行することが報告されている。

9.7 小児等

10歳未満の小児を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

接種に当たっては、予診等を十分に行い、被接種者の健康状態を観察すること。一般に、生理機能が低下している。

10. 相互作用

    10.2 併用注意(併用に注意すること)

    薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子

    免疫抑制剤

    本剤を接種しても十分な抗体産生が得られない可能性がある。

    免疫抑制剤の投与を受けている者は免疫機能が低下しているため、本剤の効果が十分得られないおそれがある。

    11. 副反応

    次の副反応があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。

    11.1 重大な副反応

    1. 11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)

      アレルギー反応、血管性浮腫等があらわれることがある。

    2. 11.1.2 急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(頻度不明)

      接種後数日から2週間程度で発熱、頭痛、痙攣、運動障害、意識障害等があらわれることがある。本症が疑われる場合には、MRI等で診断し、適切な処置を行うこと。

    3. 11.1.3 ギラン・バレー症候群(頻度不明)

      四肢遠位から始まる弛緩性麻痺、腱反射の減弱ないし消失等の症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。

    11.2 その他の副反応

    10%以上

    1~10%未満

    0.1~1%未満

    頻度不明

    過敏症

    瘙痒

    発疹、蕁麻疹

    局所症状
    (注射部位)

    疼痛、発赤、腫脹

    硬結

    知覚異常

    消化器

    胃腸症状(悪心、嘔吐、下痢、腹痛等)

    筋骨格

    筋痛、関節痛

    四肢痛

    精神神経系

    頭痛

    めまい

    感覚鈍麻(しびれ感)

    失神・血管迷走神経反応注1),注2)

    肝臓

    AST、ALTの増加等

    ぶどう膜炎、角膜炎

    その他

    疲労

    発熱(38℃以上を含む)、上気道感染

    全身脱力

    リンパ節症

    注1)血管迷走神経反応としてふらふら感、冷や汗、血圧低下、悪寒、気分不良、耳鳴り、徐脈、頻脈等の症状が発現する。
    注2)失神・血管迷走神経反応は強直間代性運動を伴うことがある。

    14. 適用上の注意

    14.1 薬剤接種時の注意

    1. 14.1.1 接種時
      1. (1) 室温に戻してから注射針を取り付けること。
      2. (2) 注射針を装着する際には、ルアーロックアダプター部を持たずに適度な力で装着すること。
      3. (3) 使用前によく振り混ぜること。振り混ぜの前後で異物の混入、その他異常を認めたものは使用せず、廃棄すること。
      4. (4) 本剤を他のワクチンと混合して接種しないこと。
      5. (5) 接種後、残液がある場合でも残液はすみやかに処分すること。
    2. 14.1.2 接種部位
      1. (1) 本剤は筋肉内注射のみに使用し、皮下注射又は静脈内注射はしないこと。
      2. (2) 接種部位は、通常、上腕三角筋とし、アルコールで消毒すること。同一接種部位に反復して接種することは避けること。
      3. (3) 筋肉内注射に当たっては、組織・神経等への影響を避けるため下記の点に注意すること。
        • 神経走行部位を避けること。
        • 注射針を刺入したとき、激痛の訴えや血液の逆流がみられた場合は直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。

    17. 臨床成績

    17.1 有効性及び安全性に関する試験

    1. 17.1.1 国内第Ⅱ相試験(HPV-032試験)

      20~25歳の女性1040例を対象とした二重盲検比較試験において、有効性を対照(HAV:不活化A型肝炎ワクチン)と比較した。主要評価項目解析でHPV-16又はHPV-18の持続感染(6ヵ月定義)は統計学的に有意な有効性(VE注1))が得られた(p<0.0001,両側Fisher直接確率検定)。持続感染に対する有効性を表1に示した1)
      注1)VE(Vaccine Efficacy)=(1-(本剤群の発生例数/本剤群の総追跡調査期間)/(対照群の発生例数/対照群の総追跡調査期間))×100(%)

      表1 持続感染注2)に対する有効性(プロトコールに準拠したコホート)注3)

      HPV-16/18に
      起因する
      エンドポイント

      本剤

      対照

      有効性(%)
      (95.5%CI)

      被験
      者数

      発生
      例数

      被験
      者数

      発生
      例数

      100
      (71.3,100)

      持続感染
      (6ヵ月定義)

      387

      0

      392

      15

      注2)持続感染の6ヵ月定義は最低5ヵ月間に少なくとも2検体で同型のHPVが陽性と定義
      注3)ワクチンを3回接種し、プロトコールに準拠した被験者のうち、1回目ワクチン接種時(0ヵ月目)に血清抗体陰性、かつ0ヵ月目及び6ヵ月目にHPV DNAが陰性の被験者集団について解析した。

      試験開始時に血清抗体陰性であった被験者の3回目接種1ヵ月後の幾何平均抗体価(GMT)は、抗HPV-16抗体が7975.9 EL.U/mL(95%CI:7313.0-8698.8)及び抗HPV-18抗体が4080.9 EL.U/mL(95%CI:3740.4-4452.4)であった。
      本剤接種後7日間(接種当日も含む)の日誌による安全性調査を行った512例のうち、局所(注射部位)の副反応発現頻度は100.0%(512/512例)であり、疼痛99.2%(508/512例)、発赤88.9%(455/512例)、腫脹78.3%(401/512例)であった。また、全身性の副反応発現頻度は80.1%(410/512例)であった。主なものは、疲労61.7%(316/512例)、筋肉痛49.2%(252/512例)、頭痛39.3%(201/512例)であった。

    2. 17.1.2 国内第Ⅱ相試験(HPV-063試験)

      HPV-032試験を完了した752例を対象に追跡調査試験を実施し、1回目ワクチン接種後4年間までの長期有効性を評価した。両試験(HPV-032及びHPV-063試験)の併合解析におけるHPV-16又はHPV-18の持続感染(12ヵ月定義)、HPV-16又はHPV-18に起因する組織病変に対する有効性を表2に示した。なお、組織病変の評価において、数例では子宮頸部に事前に検出されていない型を含む、新たな複数の癌原性HPVが病変部位に検出された。そのため病変の原因である可能性が最も高い型と、単に一時的に存在している型とを区別するためHPV型判定アルゴリズムを適用した。病変部位に検出されたHPV型及び先行する細胞検体から検出されたHPVの型を検討し、病変形成に深く関与していると考えられる型を特定し、HPV-16型及び18型以外の型に起因する組織病変は除外した。

      表2 持続感染及び組織病変に対する有効性(HPV-032/063併合解析、追跡期間4年間、プロトコールに準拠したコホート注1)/HPV型判定アルゴリズム)

      HPV-16/18に
      起因する
      エンドポイント

      本剤

      対照

      有効性(%)
      (95%CI)

      被験
      者数

      発生
      例数

      被験
      者数

      発生
      例数

      持続感染
      (12ヵ月定義)

      382

      0

      383

      16

      100
      (74.8,100)

      CIN1+注2)

      406

      0

      404

      8

      100
      (42.2,100)

      CIN2+注3)

      406

      0

      404

      5

      100
      (-8.0,100)

      注1)ワクチンを3回接種し、プロトコールに準拠した被験者のうち、1回目ワクチン接種時(0ヵ月目)に血清抗体陰性、かつ0ヵ月目及び6ヵ月目にHPV DNAが陰性の被験者集団について解析した。
      注2)CIN(Cervical Intraepithelial Neoplasia)グレード1以上
      注3)CINグレード2以上

      1回目接種48ヵ月後のGMTは、抗HPV-16抗体が1283.2 EL.U/mL(95%CI:1150.1-1431.7)及び抗HPV-18抗体が473.0 EL.U/mL(95%CI:416.8-536.8)であり、それぞれ自然感染による抗体価の43.1倍、20.9倍であった。抗体陽性率は48ヵ月目までHPV-16及びHPV-18いずれにおいても100%を維持した。

    3. 17.1.3 国内第Ⅲ相試験(HPV-046試験)

      10~15歳の女性100例を対象とした非盲検試験において、ワクチンを0、1、6ヵ月目に3回接種した1ヵ月後の免疫原性を評価した。試験開始時に血清抗体陰性であった被験者の3回目接種1ヵ月後のGMTは、抗HPV-16抗体が19513.8 EL.U/mL(95%CI:16837.7-22615.3)及び抗HPV-18抗体が8998.4 EL.U/mL(95%CI:7746.7-10452.2)であり、GMTは20~25歳の日本人女性(HPV-032試験)の2倍以上を示した2)。なお、本試験では有効性の評価は実施されていない。
      本剤接種後7日間(接種当日も含む)の日誌による安全性調査を行った100例のうち、局所(注射部位)の副反応発現頻度は99.0%(99/100例)であり、疼痛98.0%(98/100例)、発赤85.0%(85/100例)、腫脹81.0%(81/100例)であった。また、全身性の副反応発現頻度は65.0%(65/100例)であった。主なものは、疲労37.0%(37/100例)、頭痛31.0%(31/100例)、筋肉痛25.0%(25/100例)であった。

    4. 17.1.4 海外第Ⅲ相試験(HPV-008試験)

      15~25歳の女性18665例を対象とした二重盲検比較試験において、有効性を対照(HAV)と比較した。試験終了時解析(48ヵ月目)の主要評価項目でHPV-16又はHPV-18に起因するCIN2+(CINグレード2以上)は、本剤群で5例に対して対照群は97例(VE=94.9%(95%CI:87.7%,98.4%))、追加評価項目でCIN3+(CINグレード3以上)は本剤群で2例に対して対照群で24例(VE=91.7%(95%CI:66.6%,99.1%))であった3)。また、HPV型判定アルゴリズム適用後の組織病変に対する有効性を表3に示し、持続感染に対する有効性を表4に示した。

      表3 組織病変に対する有効性(プロトコールに準拠したコホート注)/HPV型判定アルゴリズム)

      HPV-16/18に
      起因する
      エンドポイント

      本剤

      対照

      有効性(%)
      (95%CI)

      被験
      者数

      発生
      例数

      被験
      者数

      発生
      例数

      CIN2+

      7338

      1

      7305

      92

      98.9
      (93.8,100)

      CIN3+

      7338

      0

      7305

      22

      100
      (81.8,100)

      注)ワクチンを3回接種し、プロトコールに準拠した被験者のうち、1回目ワクチン接種時(0ヵ月目)に血清抗体陰性、かつ0ヵ月目及び6ヵ月目にHPV DNAが陰性の被験者集団について解析した。

      表4 持続感染注)に対する有効性(プロトコールに準拠したコホート)

      HPV-16/18に
      起因する
      エンドポイント

      本剤

      対照

      有効性(%)
      (95%CI)

      被験
      者数

      発生
      例数

      被験
      者数

      発生
      例数

      持続感染
      (6ヵ月定義)

      7182

      35

      7137

      588

      94.3
      (92.0,96.1)

      持続感染
      (12ヵ月定義)

      7082

      26

      7038

      354

      92.9
      (89.4,95.4)

      注)持続感染の6ヵ月定義は最低5ヵ月間に少なくとも2検体で同型のHPVが陽性、12ヵ月定義は最低10ヵ月間に少なくとも2検体で同型のHPVが陽性と定義

      試験終了時(48ヵ月目)におけるその他の癌原性HPVに起因する持続感染及び組織病変に対する有効性を表5に示した4)。HPV-31、HPV-33、HPV-45及びHPV-51に起因する持続感染(6ヵ月定義)及びCIN2+に対する統計学的な有意差が全てのコホートにおいて認められた。

      表5 癌原性HPVに起因する持続感染及び組織病変に対する有効性(プロトコールに準拠したコホート)注)

      HPV型

      持続感染(6ヵ月定義)

      CIN2+

      本剤

      対照

      有効性(%)
      (95%CI)

      本剤

      対照

      有効性(%)
      (95%CI)

      発生
      例数

      発生
      例数

      発生
      例数

      発生
      例数

      HPV-16に近縁の型

      HPV-31

      58

      247

      76.8
      (69.0,82.9)

      5

      40

      87.5
      (68.3,96.1)

      HPV-33

      65

      117

      44.8
      (24.6,59.9)

      13

      41

      68.3
      (39.7,84.4)

      HPV-35

      67

      56

      -19.8
      (-74.1,17.2)

      3

      8

      62.5
      (-56.5,93.6)

      HPV-52

      346

      374

      8.3
      (-6.5,21.0)

      24

      33

      27.6
      (-26.3,59.1)

      HPV-58

      144

      122

      -18.3
      (-51.8,7.7)

      15

      21

      28.5
      (-45.5,65.7)

      HPV-18に近縁の型

      HPV-39

      175

      184

      4.8
      (-17.7,23.1)

      4

      16

      74.9
      (22.3,93.9)

      HPV-45

      24

      90

      73.6
      (58.1,83.9)

      2

      11

      81.9
      (17.0,98.1)

      HPV-59

      73

      68

      -7.5
      (-51.8,23.8)

      1

      5

      80.0
      (-79.1,99.6)

      HPV-68

      165

      169

      2.6
      (-21.5,21.9)

      11

      15

      26.8
      (-70.7,69.6)

      その他のHPV型

      HPV-51

      349

      416

      16.6
      (3.6,27.9)

      21

      46

      54.4
      (22.0,74.2)

      HPV-56

      226

      215

      -5.3
      (-27.5,13.1)

      7

      13

      46.1
      (-45.2,81.8)

      HPV-66

      211

      215

      2.3
      (-18.7,19.6)

      7

      16

      56.4
      (-12.1,84.8)

      注)ワクチンを3回接種し、0ヵ月目及び6ヵ月目に該当するHPV DNAが陰性の被験者集団について解析した。

      試験開始時に血清抗体陰性であった被験者の3回目接種1ヵ月後のGMTは、抗HPV-16抗体が9341.5 EL.U/mL(95%CI:8760.4-9961.1)及び抗HPV-18抗体が4769.6 EL.U/mL(95%CI:4491.2-5065.3)であった5)
      本剤接種後7日間(接種当日も含む)の日誌による安全性調査を行った3184例のうち、局所(注射部位)の副反応発現頻度は91.2%(2805/3077例)であり、疼痛90.5%(2786/3077例)、発赤43.8%(1348/3077例)、腫脹42.0%(1292/3077例)であった。また、全身性の副反応発現頻度は57.6%(1772/3076例)であった。主なものは、疲労39.8%(1223/3076例)、筋肉痛39.3%(1209/3076例)、頭痛30.7%(943/3076例)であった。

    5. 17.1.5 海外第Ⅱ相試験(HPV-001試験、HPV-007試験、HPV-023試験)

      15~25歳の女性1113例を対象とした二重盲検比較試験(HPV-001試験)において、有効性をプラセボと比較した。また、HPV-001試験で3回のワクチン接種を完了した776例を継続して追跡調査試験(HPV-007試験)に登録し、本剤の長期有効性を評価した。HPV-001及びHPV-007試験を併合解析した組織病変に対する有効性を表6に示した6)。また、HPV-001/007試験を完了した437例を対象に追跡調査試験(HPV-023試験)を実施し、更なる長期有効性を評価した。その結果、HPV-16/18に起因する6ヵ月持続感染、12ヵ月持続感染及びCIN1+について、本剤群では新たな発症例は認められなかったが、対照群ではそれぞれ4例、1例及び1例の発症が認められた。現在までに1回目接種後、最長9.4年間(平均追跡期間約8.9年)までの予防効果が持続することが確認されている。

      表6 組織病変に対する有効性(総コホート注)

      HPV-16/18に
      起因する
      エンドポイント

      本剤

      プラセボ

      有効性(%)
      (95%CI)

      被験
      者数

      発生
      例数

      被験
      者数

      発生
      例数

      CIN2+

      481

      0

      470

      9

      100
      (51.3,100)

      注)癌原性HPVに感染歴のない未感染集団

      HPV-001、HPV-007及びHPV-023試験において、HPV-16及びHPV-18に対するGMTは1回目の接種から7ヵ月目にピークに達し、以後18ヵ月目からはプラトーに達し9.4年(113ヵ月)まで維持された。また、113ヵ月目時点でHPV-16及びHPV-18のいずれも、GMTは自然感染による抗体価の10倍以上であり、抗体陽性率はそれぞれ100%を維持した。
      本剤接種後7日間(接種当日も含む)の日誌による安全性調査を行った540例のうち、局所(注射部位)の副反応発現頻度は94.0%であり、疼痛93.4%(496/531例)、発赤35.6%(189/531例)、腫脹34.3%(182/531例)であった。また、全身性の主な副反応は、疲労40.3%(214/531例)、頭痛33.9%(180/531例)、胃腸症状16.8%(89/531例)であった。

    6. 17.1.6 海外第Ⅲ相試験(HPV-014試験)

      15~55歳の女性666例を対象とした非盲検年齢層別試験において、ワクチン3回接種後の免疫原性を評価した。試験開始時に血清抗体陰性であった被験者では年齢に関係なく、1回目の接種から18ヵ月目のHPV-16及びHPV-18に対するGMTはHPV-001及びHPV-007試験のプラトー期のGMTと同じ範囲にあった。26~55歳の年齢層では15~25歳の年齢層に比べGMTがやや低値ではあったが、48ヵ月目の抗体価は、自然感染による抗体価に比べ高く維持された。なお、本試験において有効性の評価は実施されていない。
      本剤接種後7日間(接種当日も含む)の日誌による安全性調査を行った666例のうち、局所(注射部位)の副反応発現頻度は96.9%(220/227例)、94.7%(214/226例)、86.0%(178/207例)(それぞれ15~25歳群、26~45歳群、46~55歳群、以下同じ)であり、疼痛96.9%(220/227例)、92.9%(210/226例)、82.6%(171/207例)、発赤58.6%(133/227例)、55.8%(126/226例)、48.8%(101/207例)、腫脹42.3%(96/227例)、44.2%(100/226例)、40.1%(83/207例)であった。また、全身性の副反応発現頻度は56.4%(128/227例)、42.5%(96/226例)、41.5%(86/207例)であった。主なものは、疲労37.9%(86/227例)、26.5%(60/226例)、21.3%(44/207例)、頭痛33.9%(77/227例)、21.2%(48/226例)、22.2%(46/207例)、筋肉痛42.3%(96/227例)、27.4%(62/226例)、23.2%(48/207例)であった。

    17.3 その他

    抗体価と長期間にわたる感染の予防効果及び子宮頸癌とその前駆病変の予防効果との相関性については現時点では明確ではない。

    18. 薬効薬理

    18.1 作用機序

    癌原性HPVは子宮頸癌(扁平上皮癌及び腺癌)の発症に関連しており、HPV-16及びHPV-18がもっとも多い型で、世界的には次いでウイルスの型が近縁のHPV-45及びHPV-31が多い。HPV-16及びHPV-18が子宮頸癌の約70%、HPV-16, 18, 31及び45を合わせて子宮頸癌の78.5~80.3%に関連している7),8)
    子宮頸癌及びその前癌病変に進行する危険性は、HPVの持続的な感染により増加すると考えられている。
    本剤は、HPV-16型及びHPV-18型の主要カプシドL1たん白質で構成されるウイルス様粒子(VLP)を精製した非感染性の組換えワクチンである。
    本剤の作用メカニズムとしては、本剤により誘導された血清中抗HPV IgG抗体が子宮頸部粘膜に滲出し、子宮頸癌の主要原因である癌原性HPVの持続的な感染を予防していると考えられている。

    18.2 動物における免疫原性

    動物に本剤を投与することによりL1 VLPに対する液性免疫及び細胞性免疫を惹起することが示されている。

    1. 18.2.1 マウスに本剤の50μLを2回筋肉内投与(試験0及び21日)することにより、血清中の抗HPV-16抗体及び抗HPV-18抗体価(GMT)の上昇、並びに脾細胞からのサイトカイン(IFN-γ、TNF-α、IL-5及びIL-2)産生の誘導がみられた。
    2. 18.2.2 サルに本剤の500μLを3回筋肉内投与(試験0、28及び84日)することにより血清中の抗HPV-16抗体及び抗HPV-18抗体価(GMT)の上昇がみられた。

    20. 取扱い上の注意

    1. 20.1 凍結を避けて保存すること。
    2. 20.2 外箱開封後は、遮光して保存すること。
    3. 20.3 保存中において、無色澄明な液に白色の細かな沈殿物が認められる場合がある。これは、品質の変化によるものではないので、使用に差し支えないが、誤って凍結させたものは、品質が変化しているおそれがあるので、使用してはならない。

    22. 包装

    0.5mL[1シリンジ](25ゲージの注射針が同梱されている。)

    24. 文献請求先及び問い合わせ先

    グラクソ・スミスクライン株式会社

    東京都港区赤坂1-8-1

    カスタマー・ケア・センター
    TEL:0120-561-007(9:00~17:45/土日祝日及び当社休業日を除く)
    https://jp.gsk.com

    25. 保険給付上の注意

    本剤は保険給付の対象とならない(薬価基準未収載)。

    26. 製造販売業者等

    26.1 製造販売元

    グラクソ・スミスクライン株式会社

    東京都港区赤坂1-8-1



    〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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