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劇薬
処方箋医薬品注)
マラリア
通常、1日1回アトバコン/プログアニル塩酸塩として1000mg/400mgを3日間、食後に経口投与する。
通常、体重に応じアトバコン/プログアニル塩酸塩として下記の投与量を1日1回3日間、食後に経口投与する。
通常、1日1回アトバコン/プログアニル塩酸塩として250mg/100mgを、マラリア流行地域到着24~48時間前より開始し、流行地域滞在中及び流行地域を離れた後7日間、毎日食後に経口投与する。
通常、体重に応じアトバコン/プログアニル塩酸塩として下記の投与量を1日1回、マラリア流行地域到着24~48時間前より開始し、流行地域滞在中及び流行地域を離れた後7日間、毎日食後に経口投与する。
他剤の投与を考慮するなど投与の可否を慎重に判断し、治療による有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤の配合成分であるプログアニルの排泄が遅延し、血中濃度が上昇することで副作用が発現する危険性が高い。
投与しないこと。本剤の配合成分であるプログアニルの排泄が遅延し、血中濃度が上昇することで副作用が発現する危険性が高い。,
本剤の配合成分であるプログアニルの排泄が遅延し、血中濃度が上昇する可能性がある。
出産可能年齢の女性は、本剤投与中も神経管欠損の予防のために葉酸サプリメントを継続して良い。本剤の配合成分であるプログアニルは、マラリア原虫のジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)を阻害することにより効果を発現する。葉酸サプリメントにより本剤の効果が減弱することを示すデータはない。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
ラットに投与したところ、ヒトに本剤を投与したときの血漿中濃度の約6.5倍の曝露量において生殖発生毒性はみられなかったが、ウサギでは、ヒトでの血漿中濃度の約1.4倍の曝露量において母動物毒性(体重及び摂餌量の低値)に関連すると考えられる流産及び胎児体長・体重の軽度な低値がみられた。また、ラット及びウサギでは単回経口投与により胎盤を通過して胎児に分布することが報告されている。
ラット及びウサギの胚・胎児発生に関する試験では、最高用量のそれぞれ20及び40mg/kg/日(ヒト全身曝露量の約1/25及び1倍に相当)の投与によっても悪影響は認められなかった。ラットの出生前・後の発生及び母体機能に関する試験では、最高16mg/kg/日(ヒト全身曝露量の約1/50に相当)の投与により悪影響は認められなかった。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。
わずかにヒト乳汁中に移行することが報告されている。
低出生体重児、新生児又は体重5kg未満の小児を対象とした臨床試験は実施していない。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に、肝・腎機能等の生理機能が低下している。本剤の薬物動態試験において、高齢者の全身曝露量が増加した。
クマリン系抗凝固剤
プログアニルはこれらの薬剤の抗凝固作用を増強する可能性がある。これらの薬剤を継続している患者においてマラリアの予防及び治療に対し本剤を開始又は中止する場合には、注意すること。
機序は不明である。
リファンピシンリファブチン
リファンピシンとの併用によりアトバコンの血漿中濃度が約53%低下し、t1/2は約33時間短縮した。また、リファブチンとの併用によりアトバコンの血漿中濃度が約34%低下し、t1/2は約14時間短縮した。併用する場合には、血液中のマラリア原虫数を慎重にモニターすること。
テトラサイクリン塩酸塩メトクロプラミド
アトバコンの血漿中濃度はテトラサイクリンの併用で約40%低下した。また、メトクロプラミドの併用でアトバコンの血漿中濃度は約58%低下した。併用する場合には、血液中のマラリア原虫数を慎重にモニターすること。
ジドブジン
ジドブジンのみかけの経口クリアランスはアトバコンとの併用により約25%低下し、AUCは約33%増加した。
頻度不明
血液
貧血
過敏症
血管性浮腫、血管炎
精神神経系
幻覚、頭痛、不眠症、浮動性めまい
消化器
腹痛、悪心、嘔吐、下痢、口内炎、胃障害、口腔内潰瘍形成
皮膚
発疹、脱毛、蕁麻疹
その他
低ナトリウム血症、食欲不振、アミラーゼ上昇、肝酵素上昇、発熱、咳嗽
31500mgまでの過量投与症例が報告されている。そのうちジアフェニルスルホン(投与量不明)も同時に服用した過量投与患者1例では、メトヘモグロビン血症が発現した。過量投与後に発疹も報告されている。
可逆性の脱毛、手掌及び足底部の皮膚鱗屑、可逆性のアフタ性潰瘍ならびに血液学的副作用が報告されている。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
測定対象
薬物動態パラメータ
アトバコン
Cmax(μg/mL)
7.3±2.9
tmax(hr)注)
3(2, 4)
AUC0-∞(μg・hr/mL)
466.7±200.6
t1/2(hr)
69.5±19.6
プログアニル
Cmax(ng/mL)
364.5±93.1
3(2, 6)
AUC0-∞(ng・hr/mL)
4837.2±1573.8
18.0±3.4
Cycloguanil
86.0±52.1
6(4, 8)
1396.8±603.7
18.6±4.8
平均値±標準偏差(10例)、注)中央値(範囲)
健康成人43例に、マラロン配合錠2錠及びマラロン小児用配合錠8錠をそれぞれ食後に単回経口投与した結果を表2に示す(外国人データ)。
マラロン配合錠(41例)
マラロン小児用配合錠(41例)
幾何平均比(90%信頼区間)注)
3.40
4.23
1.25(1.14, 1.36)
AUC0-t(μg・hr/mL)
265.3
353.1
1.33(1.25, 1.42)
177.2
167.2
0.94(0.89, 1.00)
AUC0-t(ng・hr/mL)
1811
1923
1.06(1.00, 1.12)
最小二乗幾何平均値注)マラロン配合錠に対するマラロン小児用配合錠の幾何平均比
tmax(hr)
絶食下
3.34±0.85
9.6±16.0
324.3±115.0
75.2±22.5
食後
11.61±3.00
4.9±1.7
800.6±319.8
69.1±19.8
平均値±標準偏差(16例)
HIV患者9例にアトバコン錠750mgを食後に単回経口投与した時の絶対的バイオアベイラビリティは23±11%であった(外国人データ)。
HIV患者9例にアトバコンの約37mgを単回静脈内投与した時の分布容積は0.62±0.19L/kgであった(外国人データ)。
健康成人9例にプログアニル塩酸塩200mgを単回経口投与した時、プログアニルは血球と結合し、血液中濃度は血漿中濃度の約5倍となった2)(外国人データ)。
In vitroで、プログアニルは肝臓でcycloguanilに代謝され、代謝には主にCYP2C19が関与する5)。
2.81±1.44
11.4±7.6
161.8±126.9
31.8±8.9
244±92
8.0±3.0
4646±1226
14.9±3.3
35.6±23.3
7.5±2.8
787±397
14.6±2.6
平均値±標準偏差(9例)
投与期間
体重
アトバコン(μg/mL)
プログアニル(ng/mL)
Cycloguanil(ng/mL)
6週
10~20kg
2.8±1.4
12.8±8.8
9.2±3.9
21~30kg
3.3±2.0
16.1±8.5
7.9±2.3
31~40kg
4.9±1.9
24.1±12.8
9.8±6.5
41kg以上
3.6±1.8
22.0±9.0
9.6±2.8
12週
2.2±1.1
13.3±7.6
6.7±1.8
3.2±1.7
16.2±7.2
8.3±4.4
3.0±1.6
37.2±37.1
11.0±5.7
2.2±1.3
21.3±12.3
9.0±2.4
平均値±標準偏差(6~36例)
アトバコン注1)
プログアニル注2)
投与量(mg)
AUC注3)(μg・hr/mL)
AUC注3)(ng・hr/mL)
治療注4)
小児(5~40kg)
125~750
2.47~4.29
52.2~86.7
50~300
169.6~328.7
2611~4706
成人(40~80kg)
1000
2.78~5.26
60.5~112.8
400
212.0~313.8
3642~5826
予防注5)
小児(20~40kg)
62.5~187.5
0.81~1.39
17.1~29.8
25~75
42.8~82.4
659~1180
250
1.06~1.85
23.1~39.8
100
54.7~84.8
940~1574
注1)東洋人及びマレー人の男性患者(テトラサイクリン非併用時)における予測値注2)東洋人の患者における予測値(小児では15歳以下、成人では15歳超)注3)治療:初回投与48~72時間後のAUC、予防:定常状態時のAUC注4)アトバコン・プログアニル塩酸塩を1日1回3日間投与した時の3日目の予測PKパラメータ注5)アトバコン・プログアニル塩酸塩を1日1回21日間投与した時の21日目の予測PKパラメータ
健康高齢者(65~79歳)13例及び健康若年者(30~45歳)13例を対象に本剤2錠(アトバコン・プログアニル塩酸塩として500mg・200mg)注)をそれぞれ食後に単回経口投与した際に高齢者での血漿中アトバコンのAUC0-∞は若年者と比べて約29%高く、t1/2は約1.8倍となった。高齢者での血漿中プログアニルのAUC0-∞は若年者と比べ約23%、Cmaxは若年者と比べ約31%増加し、血漿中cycloguanilのCmax及びAUC0-∞はそれぞれ約83及び136%増加した(外国人データ)。
重度の腎機能低下者(CLcr:<30mL/分)13例及び健康成人13例を対象に本剤2錠(アトバコン・プログアニル塩酸塩として500mg・200mg)注)をそれぞれ食後に単回経口投与した際に、腎機能低下者では健康成人と比べてアトバコンの曝露量は有意に低下した。また、重度の腎機能低下者での血漿中プログアニル及びcycloguanilのAUC0-∞は有意に増加し、t1/2も延長した(外国人データ)。,,
軽度(Child Pugh分類:5~6)~中等度(Child Pugh分類:7~9)の肝機能低下者13例及び健康成人13例を対象に本剤2錠(アトバコン・プログアニル塩酸塩として500mg・200mg)注)をそれぞれ食後に単回経口投与した時の血漿中アトバコンの曝露量に明らかな変化は認められなかった。また、肝機能低下者での血漿中プログアニルのAUC0-∞は健康成人に比べて約85%増加したが、Cmax及びt1/2に明らかな変化は認められなかった。なお、重度の肝機能低下者のデータは得られていない(外国人データ)。
健康成人12例にアトバコン懸濁液1000mgをフェニトイン600mgと単回併用投与した時のフェニトインの薬物動態にアトバコンは影響を及ぼさなかった(外国人データ)。
HIV患者13例にアトバコン懸濁液750mgを12時間ごと、リファンピシン600mgを24時間ごとに併用経口投与した時の血漿中アトバコンのCavg,ssは併用で約53%低下し、t1/2は約33時間短縮した(外国人データ)。
健康成人24例にアトバコン懸濁液750mgを1日2回及びリファブチン300mgを食後に1日1回14日間併用経口投与した時の血漿中アトバコンのAUCssは併用で約34%低下し、t1/2は約14時間短縮した(外国人データ)。
軽度~中等度のニューモシスチス肺炎を発症したAIDS患者19例にアトバコン懸濁液1000mgを1日1回、スルファメトキサゾール・トリメトプリム(1600mg・320mg)を1日3回併用投与した時の血漿中アトバコンのCavg,ssは単独群では10.7±5.9μg/mL、併用群では10.6±7.7μg/mLであった(外国人データ)。
HIV患者14例にアトバコン錠750mgを12時間ごと、ジドブジン200mgを8時間ごとに併用投与した時のアトバコンのCmax,ss、Cmin,ss及びCavg,ssはいずれも併用による影響はみられなかった。一方、ジドブジンのみかけの経口クリアランスは併用により約25%低下し、AUCは約33%増加した(外国人データ)。
血漿中アトバコン濃度はテトラサイクリンの併用で約40%低下した9)。また、血漿中アトバコンのCssは、メトクロプラミドの併用で約58%低下した(外国人データ)。
アトバコンは、高い血漿蛋白結合率(99%超)を示すことから、血漿蛋白結合率が高く治療域の狭い他の薬剤と併用する場合には慎重に行うこと。なお、アトバコンはキニーネ、フェニトイン、ワルファリン、スルファメトキサゾール、インドメタシン、ジアゼパムのin vitro血漿蛋白結合に影響を及ぼさないことから、蛋白結合の結合置換により著しい薬物相互作用が発現する可能性は低いと考えられる。注)本剤を治療に用いる場合の承認用量は、成人には1日1回アトバコン・プログアニル塩酸塩として1000mg・400mgである。本剤を予防に用いる場合の承認用量は、成人には1日1回アトバコン・プログアニル塩酸塩として250mg・100mgである。
ザンビアにて、合併症のない急性熱帯熱マラリア成人患者を対象として、アトバコン1000mg、プログアニル塩酸塩400mgを1日1回3日間投与した結果を以下に示す(表1)。
対象
投与群
被験者数
治癒例数(%)
熱帯熱マラリア成人患者(Semi-immune注))
本剤
80
80(100)
ピリメタミン・スルファドキシン
79(98.8)
注)Semi-immune:マラリア流行地域で生まれ育ち、何度もマラリアに罹患して部分的な免疫を獲得した人
アトバコン1000mg、プログアニル塩酸塩400mg投与群における副作用発現頻度は、78.0%(64/82例)であった。主な副作用は、頭痛28.0%(23/82例)、腹痛28.0%(23/82例)、無力症24.4%(20/82例)であった。
タイにて、合併症のない急性熱帯熱マラリア成人患者を対象として、アトバコン1000mg、プログアニル塩酸塩400mgを1日1回3日間投与した結果を以下に示す(表2)。
79
79(100)
メフロキン
68(86.1)
アトバコン1000mg、プログアニル塩酸塩400mg投与群における副作用発現頻度は、2.2%(2/91例)であった。その内訳は、脾腫、悪心、肝腫大各1.1%(1/91例)であった。
ブラジルにて、合併症のない急性熱帯熱マラリア成人患者を対象として、アトバコン1000mg、プログアニル塩酸塩400mgを1日1回3日間投与した結果を以下に示す(表3)。
74
73(98.6)
キニーネ+テトラサイクリン
76
76(100)
アトバコン1000mg、プログアニル塩酸塩400mg投与群における副作用発現頻度は、65.5%(57/87例)であった。主な副作用は、腹痛29.9%(26/87例)、頭痛21.8%(19/87例)であった。
ガボンにて、合併症のない急性熱帯熱マラリア成人患者を対象として、アトバコン1000mg、プログアニル塩酸塩400mgを1日1回3日間投与した結果を以下に示す(表4)。
63
62(98.4)
amodiaquine
51(81.0)
アトバコン1000mg、プログアニル塩酸塩400mg投与群における副作用発現頻度は、56.6%(43/76例)であった。主な副作用は、悪心28.9%(22/76例)、嘔吐26.3%(20/76例)、腹痛21.1%(16/76例)であった。
フランスにて、合併症のない急性熱帯熱マラリア成人患者を対象として、アトバコン1000mg、プログアニル塩酸塩400mgを1日1回3日間投与した結果を以下に示す(表5)。
熱帯熱マラリア成人患者(Non-immune注))
21
21(100)
halofantrine
18
18(100)
注)Non-immune:マラリア非流行地域に住んでいて免疫を持たない人
アトバコン1000mg、プログアニル塩酸塩400mg投与群における副作用発現頻度は、60.0%(15/25例)であった。主な副作用は、嘔吐44.0%(11/25例)、悪心16.0%(4/25例)、下痢12.0%(3/25例)であった。
フィリピンにて、合併症のない急性熱帯熱マラリア成人患者(12歳以上の小児を含む)を対象として、アトバコン1000mg、プログアニル塩酸塩400mgを1日1回3日間投与した結果を以下に示す(表6)。
熱帯熱マラリア小児(12歳以上)及び成人患者(Semi-immune注))
54
54(100)
chloroquine
23
7(30.4)
chloroquine+ピリメタミン・スルファドキシン
32
28(87.5)
アトバコン1000mg、プログアニル塩酸塩400mg投与群における副作用発現頻度は、23.6%(13/55例)であった。その内訳は、腹痛10.9%(6/55例)、嘔吐9.1%(5/55例)、悪心5.5%(3/55例)、食欲減退5.5%(3/55例)であった。
ペルーにて、合併症のない急性熱帯熱マラリア成人患者(12歳以上の小児を含む)を対象として、本剤配合錠(1錠中アトバコン250mg、プログアニル塩酸塩100mgを含む)4錠(アトバコン1000mg、プログアニル塩酸塩400mg)を1日1回3日間投与した結果を以下に示す(表7)。
19
19(100)
13
1(7.7)
7
7(100)
本剤投与群における副作用発現頻度は、45.0%(9/20例)であった。その内訳は、悪心20.0%(4/20例)、嘔吐15.0%(3/20例)、腹痛10.0%(2/20例)、下痢5.0%(1/20例)であった。
タイにて、合併症のない急性熱帯熱マラリア小児患者(5~12歳)を対象として、アトバコン20mg/kg、プログアニル塩酸塩8mg/kgを1日1回3日間投与した結果を以下に示す(表8)。
熱帯熱マラリア小児(5~12歳)患者(Semi-immune注))
26
26(100)
アトバコン20mg/kg、プログアニル塩酸塩8mg/kg投与群における副作用発現頻度は、16.1%(5/31例)であった。主な副作用は、脾腫12.9%(4/31例)であった。
ケニアにて、合併症のない急性熱帯熱マラリア小児患者(3~12歳)を対象として、アトバコン20mg/kg、プログアニル塩酸塩8mg/kgを1日1回3日間投与した結果を以下に示す(表9)。
熱帯熱マラリア小児(3~12歳)患者(Semi-immune注))
81
76(93.8)
83
75(90.4)
アトバコン20mg/kg、プログアニル塩酸塩8mg/kg投与群における副作用発現頻度は、26.2%(22/84例)であった。主な副作用は、嘔吐13.1%(11/84例)、そう痒症8.3%(7/84例)、発疹3.6%(3/84例)であった。
ガボンにて、合併症のない急性熱帯熱マラリア小児患者(体重5kg以上11kg未満)を対象として、本剤小児用配合錠(1錠中アトバコン62.5mg、プログアニル塩酸塩25mgを含む)を体重5kg以上9kg未満の小児患者には1回2錠(アトバコン125mg、プログアニル塩酸塩50mg)、体重9kg以上11kg未満の小児患者には1回3錠(アトバコン187.5mg、プログアニル塩酸塩75mg)を1日1回3日間投与した結果を以下に示す(表10)。なお、錠剤は粉砕され、コンデンスミルクと共に投与された。
熱帯熱マラリア小児(体重5kg以上11kg未満)患者(Semi-immune注))
92
87(95)
78
41(53)
本剤投与群(アトバコン125mg、プログアニル塩酸塩50mgあるいはアトバコン187.5mg、プログアニル塩酸塩75mg)における副作用発現頻度は、11.0%(11/100例)であった。主な副作用は、下痢6.0%(6/100例)、嘔吐2.0%(2/100例)であった。
タイにて、三日熱マラリア成人患者を対象として、アトバコン1000mg、プログアニル塩酸塩400mgを1日1回3日間投与した。23例のうち、投与7日後に21例で原虫の消失が認められたが、投与28日後までに13例で再発が確認された。
ガボンにて、卵形マラリアあるいは四日熱マラリア成人患者を対象として、アトバコン1000mg、プログアニル塩酸塩400mgを1日1回3日間投与した。治癒率評価対象6例(3例が四日熱マラリア、2例が卵形マラリア、1例が熱帯熱マラリアと卵形マラリアの混合感染)の全例が治癒した。
Chloroquine耐性が知られているマラリア流行地域(ザンビア)の健康成人272例を対象とした二重盲検比較試験(本剤配合錠(1錠中アトバコン250mg、プログアニル塩酸塩100mgを含む)1錠を1日1回10週間投与)における予防効果を以下に示す(表11)。
予防成功例数(%)
予防失敗例数
原虫血症
中止(有害事象)
中止(その他注))
134
100(75)
2
0
プラセボ
138
70(51)
41
27
注)主な中止理由は追跡不能、治験実施計画書の不遵守であった。
本剤投与群における副作用発現頻度は、13.2%(18/136例)であった。主な副作用は、頭痛4.4%(6/136例)、腹痛3.7%(5/136例)、下痢1.5%(2/136例)、浮動性めまい1.5%(2/136例)、咳嗽1.5%(2/136例)であった。
ガボンにて、熱帯熱マラリア感染の危険性がある4~16歳の健康小児264例を対象とした二重盲検比較試験(1日1回12週間投与)における予防効果を以下に示す(表12)。本試験の予防期では、本剤小児用配合錠(1錠中アトバコン62.5mg、プログアニル塩酸塩25mgを含む)を体重11kg以上20kg以下の被験者には1回1錠、体重20kg超30kg以下の被験者には1回2錠(アトバコン125mg、プログアニル塩酸塩50mg)、体重30kg超40kg以下の被験者には1回3錠(アトバコン187.5mg、プログアニル塩酸塩75mg)、体重40kg超の被験者には本剤配合錠(1錠中アトバコン250mg、プログアニル塩酸塩100mgを含む)を1回1錠投与した。
124
114(92)
10
140
109(78)
25
6
本剤投与群における副作用発現頻度は、41.6%(52/125例)であった。主な副作用は、腹痛31.2%(39/125例)、頭痛13.6%(17/125例)、嘔吐7.2%(9/125例)であった。
南アフリカにて、マラリアに対して免疫を有しない健康成人175例を対象とした非対照非盲検試験(本剤配合錠(1錠中アトバコン250mg、プログアニル塩酸塩100mgを含む)1錠を1日1回10週間投与)における予防効果を以下に示す(表13)。1名が原虫血症を発症したが、その1名は服薬遵守率が低かった。
175
120(69)
1
3
51
本剤投与群における副作用発現頻度は、16.6%(29/175例)であった。主な副作用は、頭痛6.9%(12/175例)、腹痛2.3%(4/175例)、咳嗽1.7%(3/175例)、皮膚障害1.7%(3/175例)であった。
ガボンにて、熱帯熱マラリア感染の危険性がある健康小児330例を対象とした二重盲検比較試験(1日1回12週間投与)における予防効果を以下に示す(表14)。本試験の予防期では、本剤小児用配合錠(1錠中アトバコン62.5mg、プログアニル塩酸塩25mgを含む)を体重11kg以上20kg以下の被験者には1回1錠、体重21kg以上30kg以下の被験者には1回2錠(アトバコン125mg、プログアニル塩酸塩50mg)、体重31kg以上40kg以下の被験者には1回3錠(アトバコン187.5mg、プログアニル塩酸塩75mg)を投与した。
165
149(90)
15
113(68)
31
本剤投与群における副作用発現頻度は、1%未満(1/165例)であり、悪心1例であった。
マラリア非流行地域からマラリア流行地域に渡航したマラリアに対して免疫を有しない健康小児(3歳以上)及び成人を対象に、本剤とメフロキンとの二重盲検実薬対照比較試験が実施された。976例が本剤及びメフロキンの投与を受け、平均投与期間はそれぞれ28日及び53日であった。両群とも原虫血症を発症しなかった。有効性評価対象となった951例の最小・最大有効率を示す(表15)。本剤群では、本剤小児用配合錠(1錠中アトバコン62.5mg、プログアニル塩酸塩25mgを含む)を体重11kg以上20kg以下の被験者には1回1錠、体重21kg以上30kg以下の被験者には1回2錠(アトバコン125mg、プログアニル塩酸塩50mg)、体重31kg以上40kg以下の被験者には1回3錠(アトバコン187.5mg、プログアニル塩酸塩75mg)、体重40kg超の被験者には本剤配合錠(1錠中アトバコン250mg、プログアニル塩酸塩100mgを含む)を1回1錠、流行地に到着する1日又は2日前から流行地を去った後7日まで1日1回投与した。
スポロゾイト周囲タンパク抗体陽性例数注1)
マラリア流行地域退去60日後のデータが得られていない例数
最小有効率注2)(95%信頼区間)
最大有効率注3)(95%信頼区間)
478
8
62.5(24.5, 91.5)
99.4(98.2, 99.9)
473
5
50.0(18.7, 81.3)
98.9(97.6, 99.7)
注1)マラリア流行地域滞在期間中にマラリアに感染した蚊に刺された可能性を示す注2)最小有効率=100×[1-(マラリア発症例数又はマラリア流行地域退去60日後の有効性データが得られていない症例/スポロゾイト周囲タンパク抗体陽性かつマラリア流行地域退去60日後の有効性データが得られている症例)]注3)最大有効率=100×[1-(マラリア発症例数又はマラリア流行地域退去60日後の有効性データが得られていない症例/マラリア流行地域退去60日後の有効性データが得られている例数)]
本剤投与群における副作用発現頻度は、30.2%(149/493例)であった。主な副作用は、下痢7.5%(37/493例)、異常な夢6.7%(33/493例)、口腔内潰瘍形成5.9%(29/493例)、腹痛5.3%(26/493例)であった。
マラリア非流行地域からマラリア流行地域に渡航したマラリアに対して免疫を有しない健康小児(14歳以上)及び成人を対象に、本剤とchloroquine+プログアニルとの二重盲検実薬対照比較試験が実施された。1022例が本剤及びchloroquine+プログアニルの投与を受け、平均投与期間はそれぞれ26日及び47日であった。本剤群では1例が原虫血症を発症し、卵形マラリアによるものであった。Chloroquine+プログアニル群では3例が原虫血症を発症した。有効性評価対象となった1013例の最小・最大有効率を示す(表16)。本剤群では、本剤配合錠(1錠中アトバコン250mg、プログアニル塩酸塩100mgを含む)を1回1錠、流行地に到着する1日又は2日前から流行地を去った後7日まで1日1回投与した。
マラリア発症例数又はマラリア流行地域退去60日後のデータが得られていない例数
507
53.8(25.1, 80.8)
98.8(97.4, 99.6)
chloroquine+プログアニル
506
12
58.3(27.7, 84.8)
99.0(97.7, 99.7)
本剤投与群における副作用発現頻度は、21.5%(110/511例)であった。主な副作用は、下痢4.7%(24/511例)、頭痛4.1%(21/511例)、異常な夢3.7%(19/511例)、口腔内潰瘍形成3.5%(18/511例)であった。
マラリア非流行地域からマラリア流行地域に渡航したマラリアに対して免疫を有しない3~16歳の健康小児(体重11~50kg)221例を対象に、本剤とchloroquine+プログアニル塩酸塩との実薬対照非盲検試験が実施された。本剤群110例、chloroquine+プログアニル塩酸塩群111例とも原虫血症を発症しなかった。本剤群では、本剤小児用配合錠(1錠中アトバコン62.5mg、プログアニル塩酸塩25mgを含む)を体重11kg以上20kg以下の被験者には1回1錠、体重21kg以上30kg以下の被験者には1回2錠(アトバコン125mg、プログアニル塩酸塩50mg)、体重31kg以上40kg以下の被験者には1回3錠(アトバコン187.5mg、プログアニル塩酸塩75mg)、体重40kg超の被験者には本剤配合錠(1錠中アトバコン250mg、プログアニル塩酸塩100mgを含む)を1回1錠、流行地に到着する1日又は2日前から流行地を去った後7日まで1日1回投与した。本剤投与群における副作用発現頻度は、8.2%(9/110例)であった。主な副作用は下痢3.6%(4/110例)であった。
アトバコンの作用機序はマラリア原虫ミトコンドリアの電子伝達系複合体Ⅲ(チトクロームbc1、complexⅢ)の選択的阻害であり、熱帯熱マラリア原虫から分離したミトコンドリアのチトクロームcレダクターゼ活性を約1nMのEC50で阻害した10)。この阻害作用を介してミトコンドリア電子伝達系とリンクしたジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼを阻害し、ピリミジンのde novo合成を阻害することにより抗マラリア原虫活性を示す11)。プログアニルの作用機序はジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)阻害であり、活性代謝物であるcycloguanilは0.78nMのKiで阻害作用を示した12)。プログアニルはDHFR阻害作用によりdTMP合成などに必要な補酵素であるテトラヒドロ葉酸の産生を低下させ、DNA合成を阻害することで抗マラリア原虫活性を示す。このように、本剤は2種類の異なる作用機序に基づき抗マラリア原虫活性を示す。
アトバコン及びcycloguanilはマラリア患者の血液から分離された熱帯熱マラリア原虫株に対して、in vitroでそれぞれ約1~2及び約18~36nMのIC50で抗マラリア原虫活性を示した13),14),15)。種々の薬剤耐性熱帯熱マラリア原虫株に対するアトバコン及びプログアニルのin vitroでの抗マラリア原虫活性は、併用により相乗的に増大した16)。
本剤の治療後にマラリアが再燃した2名の患者から本剤に対する耐性熱帯熱マラリア原虫株が分離されており、いずれの原虫株もチトクロームb遺伝子にアトバコン耐性変異(Y268N及びY268S)が検出され、1株ではさらにcycloguanil耐性のDHFR遺伝子変異も検出された17),18)。アトバコンの単独治療後の再燃患者からアトバコンに対する感受性が顕著に低下し、チトクロームb遺伝子のアトバコン結合領域に単一の変異(Y268S)を持つアトバコン耐性熱帯熱マラリア原虫株が検出された19),20)。プログアニルに関しては、DHFR遺伝子にcycloguanil耐性の遺伝子変異を持つ臨床分離熱帯熱マラリア原虫株が増加しており、S108Nの単一変異を持つ株は中等度耐性を示し、その変異にN51I、C59R又はI164Lの変異が1種類以上加わると高度耐性の傾向を示した21),22)。
アトバコン(Atovaquone)
2-[trans-4-(4-Chlorophenyl)cyclohexyl]-3-hydroxy-1,4-naphthoquinone
C22H19ClO3
366.84
本品は黄色の粉末である。
約221℃
5.3(1-オクタノール/水系)
プログアニル塩酸塩(Proguanil Hydrochloride)
1-(4-Chlorophenyl)-5-(1-methylethyl)biguanide monohydrochloride
C11H16ClN5・HCl
290.19
本品は白色の結晶性の粉末である。
250~255℃
2.5(1-オクタノール/水系)
100錠[瓶、バラ]
20錠[10錠(PTP)×2]
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東京都港区赤坂1-8-1
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