医療用医薬品 詳細表示

エプキンリ皮下注4mg/エプキンリ皮下注48mg

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
1.警告
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.4生殖能を有する者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
10.相互作用
10.2併用注意(併用に注意すること)
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.1臨床使用に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2抗腫瘍効果
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
21.承認条件
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

エプキンリ皮下注4mg/エプキンリ皮下注48mg

添付文書番号

4291469A1028_1_03

企業コード

343257

作成又は改訂年月

**2025年2月改訂(第4版、用法及び用量変更)
2024年6月改訂(第3版)

日本標準商品分類番号

874291

薬効分類名

抗悪性腫瘍剤
二重特異性抗体製剤

承認等

エプキンリ皮下注4mg

販売名コード

YJコード

4291469A1028

販売名英語表記

EPKINLY Subcutaneous Injection

販売名ひらがな

えぷきんりひかちゅう4mg

承認番号等

承認番号

30500AMX00259000

販売開始年月

2023年11月

貯法・有効期間

貯法

2~8℃で保存

有効期間

24箇月

規制区分

エプキンリ皮下注48mg

販売名コード

YJコード

4291469A2024

販売名英語表記

EPKINLY Subcutaneous Injection

販売名ひらがな

えぷきんりひかちゅう48mg

承認番号等

承認番号

30500AMX00260000

販売開始年月

2023年11月

貯法・有効期間

貯法

2~8℃で保存

有効期間

24箇月

規制区分

一般的名称

エプコリタマブ(遺伝子組換え)

1. 警告

  1. 1.1 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して、十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
  2. 1.2 重度のサイトカイン放出症候群があらわれることがあり、死亡に至る例が報告されている。特に治療初期は入院管理等の適切な体制下で本剤の投与を行うこと。また、サイトカイン放出症候群に対する前投与薬の投与等の予防的措置を行うとともに、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、製造販売業者が提供するサイトカイン放出症候群管理ガイダンス等に従い、適切な処置を行うこと。,,,,
  3. 1.3 免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群があらわれることがあり、死亡に至る例が報告されている。観察を十分に行い、異常が認められた場合には、製造販売業者が提供する免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群管理ガイダンス等に従い、適切な処置を行うこと。,,

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

3. 組成・性状

3.1 組成

1バイアル(0.8mL)中

エプキンリ皮下注4mg

有効成分エプコリタマブ(遺伝子組換え)注)   4.0mg
添加剤酢酸ナトリウム水和物   2.82mg
氷酢酸   0.19mg
D-ソルビトール   21.9mg
ポリソルベート80   0.32mg
注)本剤は、遺伝子組換え技術により、チャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて製造される。

エプキンリ皮下注48mg

有効成分エプコリタマブ(遺伝子組換え)注)   48.0mg
添加剤酢酸ナトリウム水和物   2.82mg
氷酢酸   0.19mg
D-ソルビトール   21.9mg
ポリソルベート80   0.32mg
注)本剤は、遺伝子組換え技術により、チャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて製造される。

3.2 製剤の性状

エプキンリ皮下注4mg

剤形注射剤(バイアル)
pH5.2~5.8
外観無色~淡黄色の澄明または僅かに乳白色を呈する液である。
浸透圧比
(日局生理食塩液に対する比)
約0.8

エプキンリ皮下注48mg

剤形注射剤(バイアル)
pH5.2~5.8
外観無色~淡黄色の澄明または僅かに乳白色を呈する液である。
浸透圧比
(日局生理食塩液に対する比)
約0.8

4. 効能又は効果

  • 以下の再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫

    びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
    高悪性度B細胞リンパ腫
    原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫

  • 再発又は難治性の濾胞性リンパ腫

5. 効能又は効果に関連する注意

**本剤による治療は、抗CD20モノクローナル抗体製剤を含む少なくとも2つの標準的な治療が無効又は治療後に再発した患者を対象とすること。,,,,

6. 用法及び用量

  • **〈再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫/高悪性度B細胞リンパ腫/原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫)、再発又は難治性の濾胞性リンパ腫(Grade 3B)〉
    • 2ステップ漸増

      通常、成人にはエプコリタマブ(遺伝子組換え)として、28日間を1サイクルとして、1サイクル目は1日目に1回0.16mg、8日目に1回0.8mg、15日目及び22日目に1回48mgを皮下投与する。その後は1回48mgを、2及び3サイクル目は1、8、15、22日目、4から9サイクル目には1、15日目、10サイクル目以降は1日目に皮下投与する。

  • **〈再発又は難治性の濾胞性リンパ腫(Grade 1~3A)〉
    • 3ステップ漸増

      通常、成人にはエプコリタマブ(遺伝子組換え)として、28日間を1サイクルとして、1サイクル目は1日目に1回0.16mg、8日目に1回0.8mg、15日目に1回3mg、22日目に1回48mgを皮下投与する。その後は1回48mgを、2及び3サイクル目は1、8、15、22日目、4から9サイクル目には1、15日目、10サイクル目以降は1日目に皮下投与する。

7. 用法及び用量に関連する注意

  1. 7.1 本剤と他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
  2. 7.2 本剤投与によるサイトカイン放出症候群及び腫瘍崩壊症候群を予防するため、本剤投与時は水分補給を十分に行うこと。,,,,
  3. 7.3 本剤投与によるサイトカイン放出症候群を軽減させるため、本剤投与前後に下表のとおり薬剤投与を行うこと。,,

    サイクル

    対象患者

    薬剤

    投与スケジュール

    1サイクル目(1、8、15及び22日目)

    全ての患者

    • 副腎皮質ホルモン剤

    本剤の週1回投与毎:

    • 本剤投与30~120分前
    • 本剤投与後1、2及び3日目
    • 抗ヒスタミン剤
    • 解熱鎮痛剤

    本剤の週1回投与毎:

    • 本剤投与30~120分前

    2サイクル目以降

    本剤の前回投与後にGrade 2又は3注)のサイトカイン放出症候群があらわれた患者

    • 副腎皮質ホルモン剤

    サイトカイン放出症候群発現後、次回の本剤投与時:

    • 本剤投与30~120分前
    • 本剤投与後1、2及び3日目

    本剤の投与後にGrade 2以上のサイトカイン放出症候群があらわれなくなるまで投与を行う。

    注)Gradeは米国移植細胞治療学会(ASTCT)コンセンサス1)に基づく。

  4. 7.4 本剤投与により副作用が発現した場合には、以下の基準を参考に、本剤を休薬又は中止すること。

    副作用

    程度注)

    処置

    サイトカイン放出症候群

    Grade 3以下

    回復するまで休薬する。

    Grade 4

    投与を中止する。

    免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群

    Grade 2以下

    回復するまで休薬する。

    Grade 3

    回復するまで休薬する。
    再発した場合、投与を中止する。

    Grade 4

    投与を中止する。

    血小板減少

    50,000/mm3未満

    50,000/mm3以上になるまで休薬する。

    好中球減少

    500/mm3未満

    500/mm3以上になるまで休薬する。

    腫瘍崩壊症候群

    回復するまで休薬する。

    注)Gradeは米国移植細胞治療学会(ASTCT)コンセンサス1)に基づく。

  5. 7.5 **以下のいずれかに該当する投与遅延があった場合は、サイトカイン放出症候群を軽減するために、1サイクル目の投与方法に戻して再び投与を開始すること。,,
    • 〈再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫/高悪性度B細胞リンパ腫/原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫)、再発又は難治性の濾胞性リンパ腫(Grade 3B)〉
      • 0.16mgと0.8mgの投与間隔が8日を超えた場合
      • 0.8mgと48mgの投与間隔が14日を超えた場合
      • 48mgの投与間隔が6週間を超えた場合
        その後は、予定されていた次の投与サイクル(投与を延期したサイクルの次の投与サイクル)の1日目から投与を再開すること。
    • 〈再発又は難治性の濾胞性リンパ腫(Grade 1~3A)〉
      • 0.16mgと0.8mg又は0.8mgと3mgの投与間隔が8日を超えた場合
      • 3mgと48mgの投与間隔が14日を超えた場合
      • 48mgの投与間隔が6週間を超えた場合
        その後は、予定されていた次の投与サイクル(投与を延期したサイクルの次の投与サイクル)の1日目から投与を再開すること。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 サイトカイン放出症候群があらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては、以下の事項に注意すること。,,,,
    1. 8.1.1 サイトカイン放出症候群に対する前投与薬の投与等の予防的措置を行うこと。
    2. 8.1.2 本剤の投与中は発熱、低血圧、低酸素症、悪寒、頻脈、頭痛、呼吸困難等について、観察を十分に行うこと。
    3. 8.1.3 *サイトカイン放出症候群は投与初期に多く認められることから、1サイクル目の各投与後には入院管理を検討すること。ただし、少なくとも1サイクル目の初回の48mg投与後48時間は必ず入院管理とすること。
    4. 8.1.4 サイトカイン放出症候群が疑われる症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。
    5. 8.1.5 緊急時に備えてトシリズマブ(遺伝子組換え)を速やかに使用できるように準備しておくこと。
  2. 8.2 免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群があらわれることがあるので、本剤の投与中は、失語症、意識レベルの変化、認知能力の障害、筋力低下、痙攣発作、脳浮腫等について、観察を十分に行うこと。また、免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群が疑われる症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。,
  3. 8.3 免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群として意識レベルの変化、痙攣発作等があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。,
  4. 8.4 感染症(日和見感染症を含む)の発現若しくは悪化、又は帯状疱疹等の再活性化があらわれることがあるので、本剤投与に先立ってニューモシスチス・イロベチイ等の感染の有無を確認すること。本剤投与前に適切な処置を行い、本剤投与中は感染症の発現又は悪化に十分注意すること。,
  5. 8.5 血球減少があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。
  6. 8.6 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行う等、患者の状態を十分に観察すること。,

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 感染症を合併している患者

    血球減少により感染症が悪化するおそれがある。,

9.4 生殖能を有する者

妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後4ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤を用いた生殖発生毒性試験は実施されていない。IgG1モノクローナル抗体に胎盤通過性があることが知られており、本剤の作用機序から、本剤の妊娠中の曝露により、B細胞リンパ球減少症及び正常な免疫反応の変化等、胎児に有害な影響を及ぼす可能性がある。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒト母乳中への移行に関するデータはないが、ヒトIgGは母乳中に移行することが知られている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

10. 相互作用

    10.2 併用注意(併用に注意すること)

    薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子

    **治療域が狭いCYP基質
    ワルファリン
    シクロスポリン
    ボリコナゾール等

    これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるため、本剤の初回投与から最初の48mg投与の14日後まで、並びにサイトカイン放出症候群の発現中及び発現後は、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。

    本剤の投与によりサイトカインが放出され、CYPが抑制されることにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。

    生ワクチン又は弱毒生ワクチン

    接種した生ワクチンの原病に基づく症状が発現した場合には適切な処置を行う。

    本剤のBリンパ球傷害作用により発病するおそれがある。

    11. 副作用

    次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    11.1 重大な副作用

    1. 11.1.1 **サイトカイン放出症候群(62.6%注1)、48.8%注2)

      異常が認められた場合には、製造販売業者が提供するサイトカイン放出症候群管理ガイダンス等に従い、本剤の投与中止、副腎皮質ホルモン剤、トシリズマブ(遺伝子組換え)の投与等の適切な処置を行うこと。,,,,
      注1)本剤を2ステップ漸増で投与した大細胞型B細胞リンパ腫及び濾胞性リンパ腫(Grade 1~3A及び3B)患者を対象とした臨床試験(GCT3013-04試験のDLBCLコホート及びFLコホート、GCT3013-01試験のaNHLコホート及びiNHLコホート)における発現頻度の集計に基づき記載した。
      注2)本剤を3ステップ漸増で投与した濾胞性リンパ腫(Grade 1~3A)患者を対象とした臨床試験(GCT3013-01試験のFL最適化コホート)における発現頻度の集計に基づき記載した。

    2. 11.1.2 **免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(4.4%)

      異常が認められた場合には、製造販売業者が提供する免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群管理ガイダンス等に従い、本剤の投与中止、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。,,

    3. 11.1.3 **感染症(23.1%)

      肺炎(COVID-19肺炎を含む)(3.3%)、敗血症(0.2%)、ニューモシスチス・イロベチイ肺炎(0.2%)、上気道感染(鼻炎、喉頭炎、咽頭炎、ライノウイルス感染、RSウイルス感染を含む)(2.6%)等の感染症があらわれることがある。また、サイトメガロウイルス感染、帯状疱疹等が再活性化することがある。,

    4. 11.1.4 **血球減少(35.7%)

      好中球減少(24.3%)、血小板減少(7.7%)、貧血(5.6%)、発熱性好中球減少症(0.7%)、リンパ球減少(7.7%)等があらわれることがある。

    5. 11.1.5 **腫瘍崩壊症候群(0.9%)

      異常が認められた場合には、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。,

    6. 11.1.6 **進行性多巣性白質脳症(PML)(0.5%)

      本剤の投与中及び投与終了後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、認知機能障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、構音障害、失語等の症状があらわれた場合には、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。

    11.2 その他の副作用

    10%以上

    5%以上10%未満

    5%未満

    **一般・全身障害及び投与部位の状態

    注射部位反応(注射部位紅斑、注射部位疼痛、注射部位そう痒感、注射部位肥厚、注射部位炎症、注射部位発疹、注射部位内出血、注射部位腫瘤、注射部位腫脹、注射部位蕁麻疹、注射部位結節、注射部位浮腫を含む)(44.4%)

    発熱(体温上昇を含む)

    胃腸障害

    悪心、下痢

    嘔吐

    **皮膚及び皮下組織障害

    発疹(斑状丘疹状皮疹、膿疱性皮疹、紅斑性皮疹、斑状皮疹、丘疹性皮疹、そう痒性皮疹、小水疱性皮疹を含む)

    そう痒症

    **神経系障害

    頭痛

    *良性、悪性及び詳細不明の新生物(嚢胞及びポリープを含む)

    腫瘍フレア

    14. 適用上の注意

    14.1 薬剤調製時の注意

    • 〈エプキンリ皮下注4mg〉
      1. 14.1.1 希釈(本剤0.16mg及び0.8mg投与時の調製)
        1. (1) 本剤0.16mg及び0.8mg投与時は、以下のように希釈溶液を調製し、その1.0mLを投与する。
          0.8mg投与時は、本剤皮下注4mgバイアルより0.8mLを抜き取り、日局生理食塩液4.2mLで希釈し、エプコリタマブ(遺伝子組換え)として0.8mg/mLの溶液とする。0.16mg投与時は、その0.8mg/mLの溶液2.0mLを日局生理食塩液8.0mLで更に希釈し、エプコリタマブ(遺伝子組換え)として0.16mg/mLの溶液とする。調製時は静かに容器を回転させて混和すること。
        2. (2) 希釈後の溶液が澄明であることを目視で確認する。微粒子が認められた場合は使用しないこと。
        3. (3) 調製後は速やかに使用すること。希釈後直ちに使用できない場合は、2~8℃で遮光保存し、24時間以内に使用すること。室温保存する場合、溶液の調製開始から投与まで12時間以内とすること。本剤のバイアルは1回使い切りである。未使用残液は適切に廃棄すること。

    14.2 薬剤投与時の注意

    • **〈製剤共通〉
      1. 14.2.1 繰り返し皮下投与する場合、特に週1回投与(1から3サイクル目)では、左右の大腿部、腹部等に交互に投与するなど同一注射部位を避けること。
    • **〈エプキンリ皮下注4mg〉
      1. 14.2.2 3mg投与時は、本剤皮下注4mgバイアルより0.6mLを抜き取り使用すること。本剤のバイアルは1回使い切りである。未使用残液は適切に廃棄すること。

    15. その他の注意

    15.1 臨床使用に基づく情報

    臨床試験において、本剤に対する抗体の産生が報告されている。

    16. 薬物動態

    16.1 血中濃度

    1. 16.1.1 反復投与
      1. (1) 日本人非ホジキンリンパ腫患者に本剤を28日間を1サイクルとして、1サイクル目は1日目に0.16mg、8日目に0.8mg、15日目及び22日目に24mg注)あるいは48mgを皮下投与したときの本剤の血漿中濃度推移を図に示す2)。また、サイクル1の22日目に24mg注)あるいは48mgを投与した後の本剤の血漿中の薬物動態パラメータを表に示す2)。外国人患者及び日本人患者327例のデータに基づく母集団薬物動態解析により、半減期は22.0~24.4日と推定された3)
        本剤を反復投与したときのサイクル1の血漿中濃度推移
        反復投与時(サイクル1の22日目)の本剤の薬物動態パラメータ

        投与量

        N

        Cmax (μg/mL)

        AUClast (μg・h/mL)

        Tmax (h)

        24mg

        3

        2.227 (51.03)

        276.2 (41.14)

        95.83 (95.0, 96.0)

        48mg

        6

        5.465 (35.59)

        610.8 (66.74)

        94.68 (92.2, 96.2)

        幾何平均値(変動係数%)。ただし、Tmaxは中央値(最小値、最大値)を記載。

      2. (2) **再発又は難治性の濾胞性リンパ腫(Grade 1~3A)患者に本剤を2ステップ漸増注)又は3ステップ漸増で皮下投与したときの本剤の血漿中濃度推移を図に示す(外国人データ)4)
        本剤を2ステップ漸増又は3ステップ漸増で反復投与したときのサイクル1の血漿中濃度推移

        注)本剤の承認された用法及び用量は、下記のとおりである。

        • 〈再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫/高悪性度B細胞リンパ腫/原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫)、再発又は難治性の濾胞性リンパ腫(Grade 3B)〉
          • 2ステップ漸増

            通常、成人にはエプコリタマブ(遺伝子組換え)として、28日間を1サイクルとして、1サイクル目は1日目に1回0.16mg、8日目に1回0.8mg、15日目及び22日目に1回48mgを皮下投与する。その後は1回48mgを、2及び3サイクル目は1、8、15、22日目、4から9サイクル目には1、15日目、10サイクル目以降は1日目に皮下投与する。

        • 〈再発又は難治性の濾胞性リンパ腫(Grade 1~3A)〉
          • 3ステップ漸増

            通常、成人にはエプコリタマブ(遺伝子組換え)として、28日間を1サイクルとして、1サイクル目は1日目に1回0.16mg、8日目に1回0.8mg、15日目に1回3mg、22日目に1回48mgを皮下投与する。その後は1回48mgを、2及び3サイクル目は1、8、15、22日目、4から9サイクル目には1、15日目、10サイクル目以降は1日目に皮下投与する。

    17. 臨床成績

    17.1 有効性及び安全性に関する試験

    • 〈再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫/高悪性度B細胞リンパ腫/原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫)、再発又は難治性の濾胞性リンパ腫(Grade 3B)〉
      1. 17.1.1 国内第Ⅰ/Ⅱ相試験(GCT3013-04試験、第Ⅱ相パート DLBCLコホート)

        再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)患者注1)36例に、本剤を投与した注2)。主要評価項目とされた中央判定による奏効率は下表のとおりであった(データカットオフ:2022年1月31日)5)

        総合最良効果

        第Ⅱ相パートDLBCLコホート
        (36例)

        完全奏効(CR)

        16(44.4)

        部分奏効(PR)

        4(11.1)

        安定(SD)

        3(8.3)

        病勢進行(PD)

        13(36.1)

        奏効(奏効率[95%信頼区間])

        20(55.6[38.1, 72.1])

        例数(%)

        本剤が投与された36例中36例(100.0%)に副作用が認められた。主な副作用は、サイトカイン放出症候群(30例、83.3%)、注射部位反応(21例、58.3%)、好中球数減少(11例、30.6%)、リンパ球数減少(7例、19.4%)、食欲減退(7例、19.4%)、血小板数減少(7例、19.4%)、発疹(7例、19.4%)、低カリウム血症(5例、13.9%)、倦怠感(5例、13.9%)、白血球数減少(5例、13.9%)、低アルブミン血症(4例、11.1%)、注射部位紅斑(4例、11.1%)等であった。

        注1) 1つ以上の抗CD20モノクローナル抗体製剤を含む少なくとも2つ以上の全身化学療法による治療歴を有する患者。なお、直近の病理検査の報告書に基づきCD20陽性が確認されたことが組入れ要件であった。
        注2)本剤の用法及び用量:
        ・2ステップ漸増
        28日間を1サイクルとして、1サイクル目は1日目に1回0.16mg、8日目に1回0.8mg、15日目及び22日目に1回48mgを皮下投与した。その後は1回48mgを、2及び3サイクル目は1、8、15、22日目、4から9サイクル目には1、15日目、10サイクル目以降は1日目に皮下投与した。疾患進行又は許容できない有害事象が認められるまで投与を継続した。

      2. 17.1.2 海外第Ⅰ/Ⅱ相試験(GCT3013-01試験、第Ⅱ相パート aNHLコホート)

        再発又は難治性のアグレッシブB細胞性非ホジキンリンパ腫(aNHL)患者注1),注3)157例に、本剤を投与した注2)。主要評価項目とされた中央判定による奏効率は63.1%(99/157例)(95%信頼区間:55.0~70.6%)であった6)。組み入れられた患者の組織型別の奏効率は、下表のとおりであった(データカットオフ:2022年1月31日)5)

        組織型

        例数

        総合最良効果

        奏効
        (奏効率)

        CR

        PR

        SD

        PD

        NE

        合計

        157

        61
        (38.9)

        38
        (24.2)

        5
        (3.2)

        37
        (23.6)

        16
        (10.2)

        99
        (63.1)

        DLBCL

        139

        54
        (38.8)

        32
        (23.0)

        4
        (2.9)

        33
        (23.7)

        16
        (11.5)

        86
        (61.9)

        HGBCL

        9

        2
        (22.2)

        2
        (22.2)

        1
        (11.1)

        4
        (44.4)

        0

        4
        (44.4)

        PMBCL

        4

        2
        (50.0)

        2
        (50.0)

        0

        0

        0

        4
        (100)

        FL3B

        5

        3
        (60.0)

        2
        (40.0)

        0

        0

        0

        5
        (100)

        例数(%)、NE:評価不能、HGBCL:高悪性度B細胞リンパ腫、PMBCL:原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、FL3B:Grade 3Bの濾胞性リンパ腫

        本剤が投与された157例中130例(82.8%)に副作用が認められた。主な副作用は、サイトカイン放出症候群(78例、49.7%)、注射部位反応(31例、19.7%)、好中球減少症(28例、17.8%)、疲労(21例、13.4%)、発熱(19例、12.1%)等であった。

        注3) WHO分類第4版(2008年)又はWHO分類改訂第4版(2016年)に基づく、大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL、HGBCL、PMBCL)又はFL3Bのいずれかと診断された患者

    • 〈再発又は難治性の濾胞性リンパ腫(Grade 1~3A)〉
      1. 17.1.3 **国内第Ⅰ/Ⅱ相試験(GCT3013-04試験、第Ⅱ相パート FLコホート)

        再発又は難治性の濾胞性リンパ腫Grade 1~3A(FL1~3A)患者注1)21例に、本剤を投与した注2),注4)。主要評価項目とされた中央判定による奏効率は下表のとおりであった(データカットオフ:2023年4月21日)7)

        総合最良効果

        第Ⅱ相パートFLコホート
        (21例)

        完全奏効(CR)

        16(76.2)

        部分奏効(PR)

        4(19.0)

        安定(SD)

        1(4.8)

        病勢進行(PD)

        0

        奏効(奏効率[95%信頼区間])

        20 (95.2 [76.2, 99.9])

        例数(%)

        本剤が投与された21例中21例(100%)に副作用が認められた。主な副作用は、サイトカイン放出症候群(19例、90.5%)、注射部位反応(15例、71.4%)、発疹(6例、28.6%)、好中球数減少(6例、28.6%)、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加(5例、23.8%)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加(5例、23.8%)、紅斑(3例、14.3%)、リンパ球数減少(3例、14.3%)等であった。

      2. 17.1.4 **海外第Ⅰ/Ⅱ相試験(GCT3013-01試験、第Ⅱ相パート iNHLコホート)

        再発又は難治性のインドレントB細胞性非ホジキンリンパ腫(iNHL)患者注1),注5)128例に、本剤を投与した注2),注4)。主要評価項目とされた中央判定による奏効率は82.0%(105/128例)(95%信頼区間:74.3~88.3%)であった。組み入れられた患者の奏効率は、下表のとおりであった(データカットオフ:2023年4月21日)7)

        組織型

        例数

        総合最良効果

        奏効
        (奏効率)

        CR

        PR

        SD

        PD

        NE

        FL1~3A

        128

        80
        (62.5)

        25
        (19.5)

        5
        (3.9)

        13
        (10.2)

        5
        (3.9)

        105
        (82.0)

        例数(%)、FL1~3A:Grade 1~3Aの濾胞性リンパ腫

        本剤が投与された128例中119例(93.0%)に副作用が認められた。主な副作用は、サイトカイン放出症候群(85例、66.4%)、注射部位反応(47例、36.7%)、疲労(24例、18.8%)、好中球減少症(24例、18.8%)、注射部位紅斑(22例、17.2%)、発熱(16例、12.5%)、下痢(14例、10.9%)等であった。

        注4) 本剤のFL1~3A患者に対して承認された用法及び用量は下記のとおりである。
        ・3ステップ漸増
        通常、成人にはエプコリタマブ(遺伝子組換え)として、28日間を1サイクルとして、1サイクル目は1日目に1回0.16mg、8日目に1回0.8mg、15日目に1回3mg、22日目に1回48mgを皮下投与する。その後は1回48mgを、2及び3サイクル目は1、8、15、22日目、4から9サイクル目には1、15日目、10サイクル目以降は1日目に皮下投与する。
        注5) WHO分類第4版(2008年)又はWHO分類改訂第4版(2016年)に基づくFL1~3Aと診断された患者

      3. 17.1.5 **海外第Ⅰ/Ⅱ相試験(GCT3013-01試験、FL最適化コホート)

        再発又は難治性の濾胞性リンパ腫Grade 1~3A(FL1~3A)患者注1),注5)86例に、本剤を投与した注6)結果、治験責任医師の判定による奏効率は86.0%(74/86例)(95%信頼区間:76.9~92.6%)であった。(データカットオフ:2024年1月8日)8)

        本剤が投与された86例中78例(90.7%)に副作用が認められた。主な副作用は、サイトカイン放出症候群(42例、48.8%)、注射部位反応(23例、26.7%)、疲労(12例、14.0%)、好中球減少症(12例、14.0%)等であった。

        注6)本剤の用法及び用量:
        ・3ステップ漸増
        28日間を1サイクルとして、1サイクル目は1日目に1回0.16mg、8日目に1回0.8mg、15日目に1回3mg、22日目に1回48mgを皮下投与した。その後は1回48mgを、2及び3サイクル目は1、8、15、22日目、4から9サイクル目には1、15日目、10サイクル目以降は1日目に皮下投与した。疾患進行又は許容できない有害事象が認められるまで投与を継続した。

    18. 薬効薬理

    18.1 作用機序

    エプコリタマブは、CD3及びCD20に結合するヒト化免疫グロブリン(Ig)G1二重特異性モノクローナル抗体である。エプコリタマブは、T細胞の細胞膜上に発現するCD3とB細胞性腫瘍の細胞膜上に発現するCD20の両者に結合することによりT細胞の増殖及び活性化を誘導し、CD20陽性の腫瘍細胞を傷害すると考えられる9)

    18.2 抗腫瘍効果

    エプコリタマブは、CD20を発現するびまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者由来LY2214腫瘍組織片を皮下移植し、ヒト臍帯血由来のCD34陽性造血前駆細胞を静脈内移植したインターロイキン2受容体γ鎖の部分的欠損を有する非肥満型糖尿病/重症複合型免疫不全マウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した10)

    19. 有効成分に関する理化学的知見

    一般的名称

    エプコリタマブ(遺伝子組換え)
    (Epcoritamab (Genetical Recombination))(JAN)

    本質

    エプコリタマブは、CD3ε鎖及びCD20に対する遺伝子組換え二重特異性モノクローナル抗体であり、抗CD3ε鎖抗体の可変部はマウス抗体に、その他はヒトIgG1に由来し、抗CD20抗体はヒトIgG1に由来する。抗CD3ε-H鎖の4つのアミノ酸残基が置換(L242F、L243E、D273A、F413L)され、C末端のK455は除去されている。また、抗CD20-H鎖の4つのアミノ酸残基が置換(L239F、L240E、D270A、K414R)され、C末端のK452は除去されている。エプコリタマブは、CHO細胞により産生される。エプコリタマブは、454個のアミノ酸残基からなる抗CD3ε-H鎖(γ1鎖)1本、215個のアミノ酸残基からなる抗CD3ε-L鎖(λ鎖)1本、451個のアミノ酸残基からなる抗CD20-H鎖(γ1鎖)1本及び214個のアミノ酸残基からなる抗CD20-L鎖(κ鎖)1本で構成される糖タンパク質(分子量約149,000)である。

    20. 取扱い上の注意

    1. 20.1 凍結を避けて保存すること。
    2. 20.2 個装箱開封後は遮光保存すること。
    3. 20.3 本剤を振とうしないこと。

    21. 承認条件

    1. 21.1 **医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
    2. 21.2 **緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍に関する十分な知識・経験を持つ医師のもとで、サイトカイン放出症候群の管理等の適切な対応がなされる体制下で本剤が投与されるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じること。
      • 〈再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫 (びまん性大細胞型B細胞リンパ腫/高悪性度B細胞リンパ腫/原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫)、再発又は難治性の濾胞性リンパ腫(Grade 3B)〉
    3. 21.3 **国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。

    22. 包装

    • 〈エプキンリ皮下注4㎎〉

      1バイアル

    • 〈エプキンリ皮下注48㎎〉

      1バイアル

    24. 文献請求先及び問い合わせ先

    ジェンマブ株式会社 くすり相談室

    〒107-6235 東京都港区赤坂九丁目7番1号ミッドタウン・タワー

    フリーダイヤル 0120-470-317
    受付時間 9:00~17:30(土日祝日・会社休業日を除く)

    アッヴィ合同会社 くすり相談室

    〒108-0023 東京都港区芝浦3-1-21

    フリーダイヤル 0120-587-874
    受付時間 9:00~17:30(土日祝日・会社休業日を除く)

    26. 製造販売業者等

    26.1 製造販売元(輸入)

    ジェンマブ株式会社

    東京都港区赤坂九丁目7番1号ミッドタウン・タワー

    26.2 販売提携

    アッヴィ合同会社

    東京都港区芝浦3-1-21

    〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

    画面を閉じる

    Copyright © Pharmaceuticals and Medical Devices Agency, All Rights reserved.