医療用医薬品 詳細表示

テブダック点滴静注用40mg

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
1.警告
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.3肝機能障害患者
9.4生殖能を有する者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
10.相互作用
10.2併用注意(併用に注意すること)
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.1臨床使用に基づく情報
15.2非臨床試験に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.3分布
16.4代謝
16.5排泄
16.7薬物相互作用
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2抗腫瘍作用
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
21.承認条件
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

テブダック点滴静注用40mg

添付文書番号

4291479D1028_1_01

企業コード

343257

作成又は改訂年月

2025年5月改訂(第2版)
2025年3月作成(第1版)

日本標準商品分類番号

874291

薬効分類名

抗悪性腫瘍剤/組織因子標的抗体微小管阻害薬複合体

承認等

テブダック点滴静注用40mg

販売名コード

YJコード

4291479D1028

販売名英語表記

Tivdak for Intravenous Infusion 40 mg

販売名ひらがな

てぶだっくてんてきじょうちゅうよう40mg

承認番号等

承認番号

30700AMX00085000

販売開始年月

2025年5月

貯法・有効期間

貯法

2~8℃で保存

有効期間

60箇月

規制区分

一般的名称

チソツマブ ベドチン(遺伝子組換え)

1. 警告

  1. 1.1 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
  2. 1.2 視力低下を伴う眼障害があらわれ、失明に至る可能性があることから、眼科医との連携の下で使用し、本剤の投与開始前に眼科医による診察を実施すること。また、投与中は定期的に眼の異常の有無の確認(問診、視診、眼球運動の評価等)を行い、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うとともに、眼科医による評価を行うこと。,,,

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

3. 組成・性状

3.1 組成

テブダック点滴静注用40mg

1バイアル中

有効成分チソツマブ ベドチン(遺伝子組換え)注)   40mg
添加剤L-ヒスチジン   8.46mg
L-ヒスチジン塩酸塩水和物   13.72mg
精製白糖   120mg
D-マンニトール   120mg

注)本剤は、遺伝子組換え技術により、チャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて製造される。

3.2 製剤の性状

テブダック点滴静注用40mg

剤形注射剤(バイアル)
外観白色の塊又は粉末(凍結乾燥製剤)
pH注)5.8~6.2
浸透圧比注)
(日局生理食塩液に対する比)
約1
注)本剤1バイアルに日局注射用水4.0mLを加えて溶解した場合。

4. 効能又は効果

がん化学療法後に増悪した進行又は再発の子宮頸癌

5. 効能又は効果に関連する注意

  1. 5.1 本剤の一次治療における有効性及び安全性は確立していない。
  2. 5.2 本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。

6. 用法及び用量

通常、成人にはチソツマブ ベドチン(遺伝子組換え)として1回2mg/kg(体重)を30分以上かけて、3週間間隔で点滴静注する。ただし、1回量として200mgを超えないこと。なお、患者の状態により適宜減量する。

7. 用法及び用量に関連する注意

  1. 7.1 他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
  2. 7.2 本剤投与に伴う眼障害軽減のため、副腎皮質ステロイド点眼剤を本剤の投与の24時間前から4日間、血管収縮点眼剤を本剤投与前に1回、ドライアイ治療用点眼剤を本剤投与開始日から投与終了後30日目まで投与すること。使用する血管収縮点眼剤はブリモニジン酒石酸塩点眼液0.1%とし、本剤投与直前に1~3滴点眼すること。,,
  3. 7.3 本剤投与により副作用があらわれた場合には、以下の基準を考慮して、休薬・減量・中止すること。

    減量段階

    投与量

    通常投与量

    2mg/kg(最大200mg)

    1段階減量

    1.3mg/kg(最大130mg)

    2段階減量

    0.9mg/kg(最大90mg)

    3段階減量

    投与中止

    副作用

    程度注)

    処置

    角膜炎

    Grade 1

    臨床的に安定するまで休薬し、その後、同一用量で再開できる。

    Grade 2

    Grade 1以下に回復するまで休薬し、その後、1段階減量して再開できる。

    Grade 3又は4

    投与を中止する。

    結膜潰瘍

    Grade 1又は2

    臨床的に安定するまで休薬し、その後、1段階減量して再開できる。

    Grade 3又は4

    投与を中止する。

    結膜瘢痕、角膜瘢痕又は瞼球癒着

    全Grade

    投与を中止する。

    結膜炎及びその他の眼障害

    Grade 1

    臨床的に安定するまで休薬し、その後、同一用量で再開できる。

    Grade 2

    • Grade 1以下に回復するまで休薬し、その後、同一用量で再開できる。
    • 再発した場合は、Grade 1以下に回復するまで休薬し、その後、1段階減量して再開できる。
    • 3回目の発現時には、投与を中止する。

    Grade 3又は4

    投与を中止する。

    末梢神経障害

    Grade 2又は3

    Grade 1以下に回復するまで休薬し、その後、1段階減量して再開できる。

    Grade 4

    投与を中止する。

    重度の皮膚障害

    疑い

    休薬する。

    確定

    投与を中止する。

    中枢神経系又は気道の出血

    全Grade

    投与を中止する。

    その他の出血

    Grade 3

    • 回復するまで休薬し、その後、同一用量で再開できる。
    • 再発した場合は、投与を中止する。

    Grade 4

    投与を中止する。

    好中球減少症

    Grade 3

    Grade 2以下に回復するまで休薬し、その後、同一用量で再開できる。

    Grade 4

    • Grade 2以下に回復するまで休薬し、その後、同一用量で再開できる。
    • 再発した場合は、投与を中止する、又はGrade 2以下に回復するまで休薬し、その後、1段階減量して再開できる。

    注)GradeはNCI-CTCAE ver.5.0に準じる。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 眼障害があらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては、以下の事項に注意すること。,,,
    1. 8.1.1 本剤投与開始前に眼科医による診察を実施すること。投与中は定期的に眼の異常の有無の確認(問診、視診、眼球運動の評価等)を行い、患者の状態を十分に観察すること。また、眼の異常が認められた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導し、眼科医による評価を行うこと。
    2. 8.1.2 本剤投与中はコンタクトレンズの装着を避けるよう患者に指導すること。
  2. 8.2 重度の皮膚障害があらわれることがあるので、必要に応じて医療機関を受診するよう患者に指導すること。
  3. 8.3 発熱性好中球減少症、好中球減少症等があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 活動性の眼表面疾患、瘢痕性結膜炎の既往歴若しくは素因、又は眼の徴候・症状を伴うStevens-Johnson症候群の既往歴若しくは素因のある患者

    眼障害の発現又は増悪リスクが高まるおそれがある。臨床試験では、当該患者は除外された。,,

  2. 9.1.2 出血素因や凝固系異常のある患者

    出血があらわれるおそれがある。臨床試験では、出血リスクの増加につながる凝固異常を有する患者は除外された。

9.3 肝機能障害患者

本剤を構成するモノメチルアウリスタチンE(MMAE)は主に肝代謝により消失することから、肝機能障害のある患者ではMMAEの血中濃度が上昇する可能性がある。なお、肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。

9.4 生殖能を有する者

妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後2ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。,

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物試験(ラット)において、妊娠6日目及び13日目にMMAEを投与したところ、胚・胎児毒性及び催奇形性が報告されている1)

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。ヒトでの乳汁中移行に関するデータはないが、ヒトIgGは母乳中に移行することが報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

10. 相互作用

  • MMAEは主にCYP3A4で代謝される。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子

強いCYP3A阻害剤

  • イトラコナゾール
    リトナビル
    クラリスロマイシン等

副作用の発現頻度及び重症度が増加するおそれがあるので、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。

強いCYP3A阻害剤との併用により、MMAEの代謝が阻害され、MMAEの血中濃度が上昇する可能性がある。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1 重大な副作用

  1. 11.1.1 眼障害

    結膜炎(30.8%)、角膜炎(18.8%)、潰瘍性角膜炎(0.8%)、瞼球癒着(0.8%)等があらわれることがある。,,,

  2. 11.1.2 末梢神経障害

    ギラン・バレー症候群(頻度不明)、末梢性感覚ニューロパチー(26.8%)、末梢性感覚運動ニューロパチー(2.4%)等があらわれることがある。

  3. 11.1.3 重度の皮膚障害

    皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(0.8%)等があらわれることがある。

  4. 11.1.4 出血

    消化管出血(1.2%)等があらわれることがある。

  5. 11.1.5 好中球減少症

    発熱性好中球減少症(0.8%)、好中球減少症(7.2%)があらわれることがある。

  6. 11.1.6 腸炎(1.2%)、腸閉塞(0.4%)
  7. 11.1.7 間質性肺疾患(頻度不明)

11.2 その他の副作用

20%以上

10%以上20%未満

10%未満

胃腸障害

悪心

下痢、便秘、嘔吐

腹痛(上腹部痛、下腹部痛、腹痛を含む)、腹部不快感

一般・全身障害及び投与部位の状態

疲労、発熱、無力症

代謝及び栄養障害

食欲減退

呼吸器、胸郭及び縦隔障害

鼻出血

皮膚及び皮下組織障害

脱毛症

そう痒症、ざ瘡様皮膚炎、皮膚炎

感染症及び寄生虫症

膿疱性皮疹、尿路感染

肝胆道系障害

高トランスアミナーゼ血症

臨床検査

ALT上昇、AST上昇

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意

  1. 14.1.1 溶解
    1. (1) 日局注射用水4.0mLで溶解し、10mg/mLとする。
    2. (2) 内容物が完全に溶解するまで、各バイアルをゆっくりと回転させる。溶解したバイアル内の液体が落ち着くまで、静置する。バイアルを振とうしないこと。直射日光を避けること。
    3. (3) 粒子状物質及び変色がないか目視で確認すること。溶解液は澄明~わずかに乳白光を呈し、無色~帯褐黄色で、粒子を認めない。粒子や変色が認められたバイアルは使用しないこと。
    4. (4) 本剤は保存剤を含まない。直ちに希釈しない場合、凍結を避け、2~8℃では24時間、9~25℃では8時間以内に使用すること。本剤のバイアルは1回使い切りである。未使用残液は適切に廃棄すること。
  2. 14.1.2 希釈
    1. (1) 必要量の溶解液をバイアルから抜き取り、最終濃度が0.7~2.4mg/mLとなるように5%ブドウ糖注射液、生理食塩液又はL-乳酸ナトリウムリンゲル液の輸液バッグに加える。希釈液を静かに転倒混和すること。輸液バッグは振とうしないこと。直射日光を避けること。
    2. (2) 輸液バッグに粒子や変色がないか目視で確認すること。溶解液は澄明~わずかに乳白光を呈し、無色~帯褐黄色で、粒子を認めない。粒子や変色が認められた場合は、輸液バッグを使用しないこと。
    3. (3) 調製後、希釈した液は速やかに使用すること。なお、やむを得ず希釈した液を保存する場合は、凍結を避け、下表に示す条件に従って保存すること。保存後は、4時間以内に投与を完了すること。未使用残液は適切に廃棄すること。
      希釈後点滴溶液の冷蔵保存条件

      点滴溶液の調製に使用する希釈液

      希釈後点滴溶液の保存条件(投与時間を含む)

      生理食塩液

      18時間以内、2~8℃

      5%ブドウ糖注射液

      24時間以内、2~8℃

      L-乳酸ナトリウムリンゲル液

      12時間以内、2~8℃

14.2 薬剤投与時の注意

  1. 14.2.1 0.2µmのインラインフィルターを通して投与すること。
  2. 14.2.2 同一の点滴ラインを使用して他の薬剤との同時投与は行わないこと。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報

臨床試験において、本剤に対する抗体の産生が報告されている。

15.2 非臨床試験に基づく情報

本剤の構成成分であるMMAEはin vivoラット骨髄小核試験において遺伝毒性(異数性誘発作用)を示した2)

16. 薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 単回及び反復投与

    日本人の進行又は再発の子宮頸癌患者に、本剤2mg/kgを3週間に1回点滴静注したときの、サイクル1及び2における本剤及びMMAEの血漿中濃度推移及び薬物動態(PK)パラメータを以下に示す。本剤及びMMAEの血漿中濃度に明らかな蓄積性は示されなかった3)

    本剤の血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)
    MMAEの血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)
    本剤及びMMAEのPKパラメータ

    本剤

    MMAE

    サイクル1

    N

    17

    17

    Cmax
    幾何平均値
    (% CV)

    28.6µg/mL
    (32.5%)

    5.3ng/mL
    (59.8%)

    AUC0-t注1)
    幾何平均値
    (% CV)

    47.5µg∙day/mL
    (28.0%)

    42.4ng∙day/mL
    (71.1%)

    tmax
    中央値
    (最小値,最大値)

    0.82
    (0.62, 2.62)hour

    70.6
    (25.1, 168)hour

    t1/2
    中央値
    (最小値,最大値)

    2.05
    (1.72, 2.52)day

    2.80
    (1.65, 4.29)注2)day

    サイクル2

    N

    15

    15

    Cmax
    幾何平均値
    (% CV)

    26.3µg/mL
    (26.0%)

    4.3ng/mL
    (59.3%)

    AUC0-t注1)
    幾何平均値
    (% CV)

    46.5µg∙day/mL
    (26.7%)

    34.7ng∙day/mL
    (74.8%)

    tmax
    中央値
    (最小値,最大値)

    0.77
    (0.58, 2.83)hour

    69.8
    (23.9, 167)hour

    t1/2
    中央値
    (最小値,最大値)

    2.17
    (1.37, 2.72)day

    3.05
    (2.25, 4.15)day

    注1)0時間から最終定量可能時点までの薬物濃度-時間曲線下面積
    注2)N=15
    CV:変動係数

16.3 分布

MMAEのin vitroヒト血漿タンパク結合率は68%~82%であった4)

16.4 代謝

MMAEはin vitro試験により主にCYP3A4により代謝されることが示された5)

16.5 排泄

ラットに放射性標識したMMAE 0.056mg/kgを単回静脈内投与したところ、投与672時間後までの放射能の糞中排泄率は雄及び雌でそれぞれ96.7及び102%、尿中排泄率はそれぞれ15.1及び9.4%であった6)

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1 ケトコナゾール

    MMAEを構成成分とするブレンツキシマブ ベドチン(遺伝子組換え)単独投与時に対するケトコナゾール(強いCYP3A阻害剤)併用投与時におけるMMAEのCmax及びAUCinfの幾何平均比は、それぞれ1.25及び1.34であった7)(外国人データ)。

  2. 16.7.2 その他
    1. (1) ブレンツキシマブ ベドチン(遺伝子組換え)単独投与時に対するリファンピシン(強いCYP3A誘導剤)併用投与時におけるMMAEのCmax及びAUCinfの幾何平均比は、それぞれ0.56及び0.54であった7)(外国人データ)。
    2. (2) MMAEはin vitro試験によりP-糖タンパクの基質であることが示された8)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

  1. 17.1.1 国際共同第Ⅲ相試験[SGNTV-003試験(innovaTV 301試験)]

    化学療法歴のある進行又は再発の子宮頸癌患者注1)502例(日本人患者101例を含む)を対象に、本剤2mg/kg 3週間間隔投与の有効性及び安全性を、治験担当医師が選択した化学療法注2)と比較することを目的とした無作為化非盲検比較試験を実施した。主要評価項目である全生存期間は、化学療法群と比較して本剤群で統計学的に有意な延長を示した9)
    注1)ベバシズマブ(遺伝子組換え)又はプログラム細胞死-1(PD-1)/プログラム細胞死-リガンド1(PD-L1)阻害剤による治療歴の有無にかかわらず、進行又は再発の子宮頸癌に対して標準的な1つ又は2つの化学療法歴のある患者が組み入れられた。
    注2)ノギテカン塩酸塩、ビノレルビン酒石酸塩、ゲムシタビン塩酸塩、イリノテカン塩酸塩水和物又はペメトレキセドナトリウム水和物のいずれかを選択することとされた。なお、ビノレルビン酒石酸塩、ゲムシタビン塩酸塩及びペメトレキセドナトリウム水和物は、本邦において子宮頸癌の効能又は効果では承認されていない。

    有効性成績

    評価項目

    本剤群
    (253例)

    化学療法群
    (249例)

    全生存期間(OS)

    イベント数(%)

    123(48.6)

    140(56.2)

    OS中央値(月)
    (95%信頼区間)

    11.5
    (9.8, 14.9)

    9.5
    (7.9, 10.7)

    ハザード比
    (95%信頼区間)注3)

    0.70
    (0.54, 0.89)

    両側P値注4)

    0.0038

    注3)層別Cox比例ハザードモデルによる化学療法群との比較
    注4)層別ログランク検定、有意水準0.0226(両側)

    OSのKaplan-Meier曲線

    本剤が投与された250例(日本人50例を含む)中219例(87.6%)に副作用が認められた。主な副作用は結膜炎(76例、30.4%)、悪心(73例、29.2%)、末梢性感覚ニューロパチー(67例、26.8%)、脱毛症(61例、24.4%)、鼻出血(57例、22.8%)であった。(データカットオフ:2023年7月24日)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

チソツマブ ベドチンは、組織因子(TF)に対するヒト化モノクローナル抗体と微小管重合阻害作用を有するMMAEを、リンカーを介して結合させた抗体薬物複合体である。チソツマブ ベドチンは、腫瘍細胞の細胞膜上に発現するTFに結合し、細胞内に取り込まれた後にリンカーが加水分解され、遊離したMMAEがアポトーシス誘導作用を示すこと等により、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている10),11),12),13),14)

18.2 抗腫瘍作用

  1. 18.2.1 In vitro試験

    チソツマブ ベドチンは、ヒト子宮頸癌由来細胞株(CaSki、ME-180及びSiHa)に対して増殖抑制作用を示した10)

  2. 18.2.2 In vivo試験

    チソツマブ ベドチンは、子宮頸癌患者由来腫瘍組織片(CEXF 773等)を皮下移植したヌードマウスに対して腫瘍増殖抑制作用を示した15)

19. 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称

チソツマブ ベドチン(遺伝子組換え)
(Tisotumab Vedotin (Genetical Recombination))(JAN)

化学構造式

本質

チソツマブ ベドチンは、抗体薬物複合体(分子量:約153,000)であり、遺伝子組換えモノクローナル抗体の平均4個のCys残基に、モノメチルアウリスタチンEとリンカーからなるベドチン((3RS)-1-(6-{[(2S)-1-{[(2S)-5-(カルバモイルアミノ)-1-{4-[({[(2S)-1-{[(2S)-1-{[(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル](メチル)アミノ}-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル]アミノ}-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル](メチル)カルバモイル}オキシ)メチル]アニリノ}-1-オキソペンタン-2-イル]アミノ}-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル]アミノ}-6-オキソヘキシル)-2,5-ジオキソピロリジン-3-イル基(C68H106N11O15;分子量:1,317.63))が結合している。抗体部分は、ヒト組織因子に対する遺伝子組換えヒトIgG1モノクローナル抗体であり、チャイニーズハムスター卵巣細胞により産生される。タンパク質部分は、448個のアミノ酸残基からなるH鎖(γ1鎖)2本及び214個のアミノ酸残基からなるL鎖(κ鎖)2本で構成される糖タンパク質(分子量:約147,500)である。

20. 取扱い上の注意

個装箱開封後は遮光保存すること。

21. 承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

22. 包装

1バイアル

23. 主要文献

1) 社内資料:ラットを用いた胚・胎児発生に関する試験(2025年3月27日承認、CTD 2.6.6.6.2.1)

2) 社内資料:In vivoラット骨髄小核試験(2025年3月27日承認、CTD 2.6.6.4.2.1)

3) 社内資料:国内第Ⅰ/Ⅱ相試験[GCT1015-06(innovaTV 206)試験](2025年3月27日承認、CTD 2.7.6.2)

4) 社内資料:血漿タンパク結合試験(2025年3月27日承認、CTD 2.7.2.2.1.1)

5) 社内資料:ヒト肝ミクロソームを用いた試験(2025年3月27日承認、CTD 2.7.2.2.1.4)

6) 社内資料:ラットのマスバランス試験(2025年3月27日承認、CTD 2.6.4.6.1)

7) Han TH, et al.:J Clin Pharmacol. 2013;53(8):866-77

8) 社内資料:トランスポーターとの相互作用評価試験(2025年3月27日承認、CTD 2.7.2.2.1.5)

9) 社内資料:国際共同第Ⅲ相試験[SGNTV-003(innovaTV 301)試験](2025年3月27日承認、CTD 2.7.6.1)

10) 社内資料:In vitro薬理試験(細胞傷害活性)(2025年3月27日承認、CTD 2.6.2.2.5.1)

11) 社内資料:In vitro薬理試験(バイスタンダー効果)(2025年3月27日承認、CTD 2.6.2.2.5.3)

12) 社内資料:In vitro薬理試験(抗体依存性細胞傷害)(2025年3月27日承認、CTD 2.6.2.2.7.1)

13) 社内資料:In vitro薬理試験(抗体依存性細胞貪食)(2025年3月27日承認、CTD 2.6.2.2.7.2)

14) 社内資料:In vitro薬理試験(免疫原性細胞死誘導)(2025年3月27日承認、CTD 2.6.2.2.6)

15) 社内資料:In vivo薬理試験(子宮頸癌患者由来異種移植モデル)(2025年3月27日承認、CTD 2.6.2.2.8.2)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

ジェンマブ株式会社 くすり相談室

〒107-6235 東京都港区赤坂九丁目7番1号ミッドタウン・タワー

フリーダイヤル 0120-470-317
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26.1 製造販売元

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