当ウェブサイトを快適にご覧いただくには、ブラウザのJavaScript設定を有効(オン)にしていただく必要がございます。
劇薬
処方箋医薬品注)
躁病および躁うつ病の躁状態
炭酸リチウムとして、成人では通常1日400~600mgより開始し、1日2~3回に分割経口投与する。以後3日ないし1週間毎に、1日通常1200mgまでの治療量に漸増する。改善がみられたならば症状を観察しながら、維持量1日通常200~800mgの1~3回分割経口投与に漸減する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
過量投与による中毒を起こすことがあるので、投与初期又は用量を増量したときには維持量が決まるまでは1週間に1回をめどに、維持量の投与中には2~3ヵ月に1回をめどに、血清リチウム濃度の測定結果に基づきトラフ値注1)を評価しながら使用すること。なお、血清リチウム濃度を上昇させる要因(食事及び水分摂取量不足、脱水を起こしやすい状態、非ステロイド性消炎鎮痛剤等の血中濃度上昇を起こす可能性がある薬剤の併用等)や中毒の初期症状が認められる場合には、血清リチウム濃度を測定すること。
神経毒性があらわれるおそれがある。
心機能障害を引き起こすおそれがある。
リチウムの体内貯留を起こしやすい状態にあり、リチウム中毒を起こすおそれがある。,
甲状腺機能低下を起こすおそれがあるため、甲状腺機能亢進症の診断を誤らせる可能性がある。また、甲状腺機能低下症を増悪させるおそれがある。
血清リチウム濃度が1.5mEq/L以下でも中毒症状があらわれることがある。
投与しないこと。リチウムの体内貯留を起こしやすい状態にある。リチウムの毒性を増強するおそれがある。
肝障害を増悪させるおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット・マウス)で催奇形作用が、またヒトで心臓奇形の発現頻度の増加が報告されている。妊娠末期の女性では、分娩直前に血清リチウム濃度の異常上昇を起こすことがある。
授乳を避けさせること。ヒトで母乳を介した児への移行が確認されている。母乳栄養児の血清リチウム濃度は母親の1/3から1/2であったとの報告がある1)。母乳を介したリチウム曝露により、児にチアノーゼ、嗜眠、心電図T波逆転などのリチウム中毒の兆候があらわれたとの報告がある2)(海外症例)。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。小児等には治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。
患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。一般に生理機能(腎機能等)が低下しており、リチウムの体内貯留を起こしやすい状態にあるため、リチウム中毒を起こすおそれがある。,
利尿剤〔チアジド系利尿剤ループ利尿剤等〕,,
リチウム中毒を起こすとの報告がある。
利尿剤がナトリウム排泄を促進することにより、腎におけるリチウムの再吸収が代償的に促進される可能性があるため、血清リチウム濃度が上昇すると考えられる。
カルバマゼピン
錯乱、粗大振戦、失見当識等を起こすとの報告がある。
機序は不明である。
向精神薬〔ハロペリドール等〕,
心電図変化、重症の錐体外路症状、持続性のジスキネジア、突発性のSyndrome malin、非可逆性の脳障害を起こすとの報告がある。
アンジオテンシン変換酵素阻害剤〔エナラプリルマレイン酸塩等〕,,
左記薬剤がアルドステロン分泌を抑制し、ナトリウム排泄を促進することにより、腎におけるリチウムの再吸収が代償的に促進される可能性があるため、血清リチウム濃度が上昇すると考えられる。
アンジオテンシンII受容体拮抗剤〔ロサルタンカリウム等〕,,
非ステロイド性消炎鎮痛剤〔ロキソプロフェンナトリウム水和物等〕,,
非ステロイド性消炎鎮痛剤がプロスタグランジンの合成を抑制することにより、腎の水分及び電解質の代謝に影響する可能性があるため、血清リチウム濃度が上昇すると考えられる。
選択的セロトニン再取り込み阻害剤〔フルボキサミンマレイン酸塩等〕
セロトニン症候群(錯乱、軽躁病、激越、反射亢進、ミオクローヌス、協調異常、振戦、下痢、発汗、悪寒、発熱)を起こすとの報告がある。
セロトニン作用が増強するおそれがある。
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤〔ミルナシプラン塩酸塩等〕
ノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ剤〔ミルタザピン〕
メトロニダゾール,,
機序は不明であるが、血清リチウム濃度が上昇するおそれがある。
電気けいれん療法
通電直後に数秒程度の心停止や施行後にけいれん遷延、せん妄等を起こすとの報告がある。
麻酔用筋弛緩剤〔スキサメトニウム塩化物水和物等〕
左記薬剤の筋弛緩作用が増強されることがある。
*エンパグリフロジン
*ダパグリフロジン
*カナグリフロジン
本剤の作用が減弱されるおそれがある。
なお、左記薬剤を中止する場合には、血清リチウム濃度の上昇に注意すること。
左記薬剤がリチウムの腎排泄を促進することにより、血清リチウム濃度が低下する可能性がある。
初期症状として食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢等の消化器症状、振戦、傾眠、錯乱等の中枢神経症状、運動障害、運動失調等の運動機能症状、発熱、発汗等の全身症状を示すことがあるので、このような症状が認められた場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、中毒が進行すると、急性腎障害により電解質異常が発現し、全身けいれん、ミオクローヌス等がみられることがある。処置:投与を中止し、感染症の予防、心・呼吸機能の維持とともに補液、利尿剤(マンニトール、アミノフィリン等)等により本剤の排泄促進、電解質平衡の回復を図ること。利尿剤に反応しない場合や腎障害が認められる場合は、血液透析を施行すること。血液透析を施行する場合は、施行後に低下した血清リチウム濃度が再上昇することがあるので、施行後血清リチウム濃度測定を行い再上昇がみられた場合には、再度の血液透析等の適切な処置を行うこと。,,,
向精神薬(抗精神病薬等)との併用により、悪性症候群があらわれることがあるので、無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。悪性症候群においては、筋肉障害(CK上昇)や横紋筋融解症が起こることがある。この際、急性腎障害に至る場合もあり、十分な観察を行うこと。
異常が認められた場合には、投与を中止すること。
多飲、多尿などの症状が発現した場合には、電解質濃度の測定等の観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止すること。
,
可逆性の認知症様症状、昏睡に至るような意識障害(脳波所見上、周期性同期性放電(PSD)等を伴うことがある)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止すること。
**初期症状として発疹、発熱がみられ、更に肝機能障害、リンパ節腫脹、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがある。なお、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)等のウイルスの再活性化を伴うことが多く、投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。
0.5~5%未満
0.5%未満
頻度不明
精神神経系
めまいねむけ言語障害
頭痛発熱不眠脳波異常(基礎波の徐波化等)知覚異常記憶障害焦躁感失禁悪寒耳鳴
一過性暗点ブラックアウト発作情動不安せん妄
消化器
口渇嘔気・嘔吐下痢食欲不振胃部不快感
腹痛便秘唾液分泌過多胃腸障害
循環器
心電図異常血圧低下頻脈不整脈
末梢循環障害
血液
白血球増多
泌尿器
多尿
排尿困難乏尿頻尿腎機能異常
蛋白尿
内分泌系
甲状腺機能異常(血中TSH、血中遊離T3、血中遊離T4の上昇・低下、甲状腺131I摂取率の増加及びTRH負荷後のTSH分泌反応の増大)
非中毒性甲状腺腫粘液水腫甲状腺中毒症注2)
中枢神経系
振戦
運動障害緊張亢進・低下腱反射亢進筋攣縮
運動過少舞踏病様アテトーシス頭蓋内圧亢進
皮膚
皮疹
そう痒感毛囊炎下肢潰瘍毛髪の乾燥及び粗毛化脱毛乾癬又はその悪化
肝臓
肝機能異常
その他
脱力・倦怠感
浮腫体重増加・減少性欲減退
血糖上昇脱水味覚異常(苦味等)
リチウム中毒症状があらわれる。
リチウム中毒に対応した処置を行うこと。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
健康成人に炭酸リチウム200mgを単回経口投与した場合の各パラメータを以下に示す3)。
Cmax(mEq/L)
Tmax(hr)
T1/2(hr)
AUC(mEq・hr/L)
成人(n=5)
0.22
2.6
18
2.26
ラット(Wistar系)に炭酸リチウム100mg/kgを単回投与すると、甲状腺、下垂体、腎臓へは速やかに移行し、血中濃度よりも高い濃度を示すが、大脳、筋肉へのリチウムの分布は緩徐で、血中濃度と同等もしくはそれ以下であった4),5)。また、5、12、19日間炭酸リチウム100mg/kgを反復投与した場合、血中より高いリチウム濃度が維持された臓器は、甲状腺、骨、脳であった4),5)。
健康成人に炭酸リチウムを単回経口投与したとき、200mgでは24時間以内に投与量の約60%が尿中に排泄された3)。400mgでは128時間までに投与量の94.6%が尿中に排泄された6)。
承認時に実施した二重盲検比較試験を含む臨床試験及び使用成績調査の成績は以下の通りである7),8),9),10),11),12),13),14)。
疾患名
有効率(%)【有効以上】
躁病躁うつ病の躁状態
76.5(336/439)71.9(728/1012)
リチウムは中枢神経系における、NA作動系、DA作動系、5-HT作動系において、きわだった作用機序になるものはなく、多くの作用が複合的に関連して作用するものと推測されている15)。
回転カゴ法およびAnimex法で、リチウム0.54~2.71mmol/kg/日をマウス(ddY系雄)に7日間腹腔内連続投与した場合、用量依存の自発運動抑制が認められる。しかし、回転棒法では抑制がみられないことから、その抑制作用は筋弛緩作用によるものではないことが示唆される16)。
マウス(ddN系雄)では、メタンフェタミン、メスカリン等の興奮性薬物に対して、リチウムは拮抗作用を示す17)。
Sidman型条件回避行動において、リチウムは学習良好および不良ラット(Wistar系雄)共に、回避反応回数を軽度に減少させる18)。
Foot ShockあるいはIsolationによって生ずるマウス(ddN系雄)の闘争行動に対してリチウムは強い抑制作用を示し、ED50は各々、1.49、0.75mmol/kgである。また、カタレプシー作用は弱い17)。
シナプスにおける脳内モノアミンの動態とリチウムとの関係をまとめた15)。①脳内アミンの生成抑制作用②,③シナプス小胞のアミン貯蔵能を低下させ細胞内へのアミン放出促進とMAOによる代謝増加作用④シナプス間隙への放出抑制作用⑤活性アミンの再取り込み促進作用⑥,⑦adenylate cyclaseやcyclic-AMPなどに作用し、アミンに対する受容体の感受性調節作用
炭酸リチウム(lithium carbonate)
lithium carbonate
Li2CO3
73.89
白色の結晶性の粉末で、においはない。水にやや溶けにくく、熱湯に溶けにくく、エタノール(95)又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。本品は希酢酸に溶ける。本品の水溶液(1→100)のpHは10.9~11.5である。
618℃
PTP 100錠[10錠×10]プラスチックボトル 1000錠[バラ]
PTP 100錠[10錠×10]PTP 1000錠[10錠×100]プラスチックボトル 1000錠[バラ]
1) Schou M., et al. : Br Med J. 1973 ; 2 : 138
2) Tunnessen W. W., et al. : J Pediatr. 1972 ; 81 (4) : 804-807
3) 池田 浩:基礎と臨床. 1974 ; 8 (7) : 1926-1941
4) 服部保次ほか:基礎と臨床. 1973 ; 7 (8) : 1749-1757
5) 小澤 光ほか:日薬理誌. 1976 ; 72 : 433-443
6) 本多 裕ほか:精神医学. 1982 ; 24 (2) : 199-209
7) 渡辺昌祐ほか:“6. 第IV相試験におけるリチウム製剤の使用状況”. リチウム療法の実際. 東京. 医歯薬出版. 1990;149-162
8) 高橋 良ほか:臨床評価. 1974 ; 2 (1) : 33-55
9) 伊藤耕三ほか:新薬と臨床. 1973 ; 22 (6) : 1001-1015
10) 池田 浩:東京慈恵医科大学雑誌. 1973 ; 88 : 1150-1178
11) 渡辺昌祐ほか:新薬と臨床. 1973 ; 22 (6) : 1017-1029
12) 大熊輝雄ほか:新薬と臨床. 1973 ; 22 (6) : 983-998
13) 更井啓介ほか:診療と新薬. 1974 ; 11 (1) : 225-232
14) 白川典参ほか:臨床と研究. 1973 ; 50 (7) : 2053-2059
15) 古川達雄:精神医学. 1982 ; 24 (2) : 211-221
16) 小澤 光ほか:応用薬理. 1973 ; 7 (9-10) : 1265-1275
17) 植木昭和ほか:日薬理誌. 1974 ; 70 : 285-304
18) 高折修二ほか:基礎と臨床. 1973 ; 7 (8) : 1790-1796
大正製薬株式会社 メディカルインフォメーションセンター
〒170-8633 東京都豊島区高田3-24-1
電話 0120-591-818
株式会社トクホン
東京都豊島区高田3-26-3
大正製薬株式会社
東京都豊島区高田3-24-1
Copyright © Pharmaceuticals and Medical Devices Agency, All Rights reserved.