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日本薬局方
イルベサルタン錠
処方箋医薬品注)
高血圧症
通常、成人にはイルベサルタンとして50~100mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日最大投与量は200mgまでとする。
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。腎血流量の減少や糸球体ろ過圧の低下により急速に腎機能を悪化させるおそれがある。
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。高カリウム血症を増悪させるおそれがある。また、腎機能障害、コントロール不良の糖尿病等により血清カリウム値が高くなりやすい患者では、血清カリウム値に注意すること。
過度の降圧が脳血流不全を引き起こし、病態を悪化させるおそれがある。
低用量から投与を開始し、増量する場合は徐々に行うこと。一過性の急激な血圧低下を起こすおそれがある。
過度の降圧により腎機能を悪化させるおそれがある。
本剤は主に胆汁中に排泄されるため、血中濃度が上昇するおそれがある。
*妊娠していることが把握されずアンジオテンシン変換酵素阻害剤又はアンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤を使用し、胎児・新生児への影響(腎不全、頭蓋・肺・腎の形成不全、死亡等)が認められた例が報告されている1),2) 。
*本剤の投与に先立ち、代替薬の有無等も考慮して本剤投与の必要性を慎重に検討し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、投与が必要な場合には次の注意事項に留意すること。
*妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。妊娠中期及び末期にアンジオテンシンII受容体拮抗剤又はアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与された患者で羊水過少症、胎児・新生児の死亡、新生児の低血圧、腎不全、高カリウム血症、頭蓋の形成不全及び羊水過少症によると推測される四肢の拘縮、頭蓋顔面の奇形、肺の低形成等があらわれたとの報告がある。,
授乳しないことが望ましい。動物試験(ラット)において乳汁中への移行が認められている。また、動物試験(ラット出生前及び出生後の発生並びに母体の機能に関する試験)の50mg/kg/日以上で哺育期間において出生児の体重増加抑制が認められている。
低用量から投与を開始するなど慎重に投与すること。一般に過度の降圧は好ましくないとされている。脳梗塞等が起こるおそれがある。
アリスキレンフマル酸塩
(糖尿病患者に使用する場合。ただし、他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く)
非致死性脳卒中、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧のリスク増加が報告されている。
レニン-アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。
カリウム保持性利尿剤
カリウム補給剤
血清カリウム値が上昇することがある。
機序:本剤のアルドステロン分泌抑制によりカリウム貯留作用が増強する可能性がある。危険因子:腎機能障害のある患者
利尿降圧剤
一過性の急激な血圧低下を起こすおそれがあるので、利尿降圧剤を投与中の患者に本剤を投与する場合は、低用量から投与を開始し、増量する場合は徐々に行うこと。
利尿降圧剤で治療を受けている患者では、体液量の減少によりレニン活性が亢進しており、降圧作用が増強するおそれがある。
腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがある。なお、eGFRが60mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンフマル酸塩との併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。
アンジオテンシン変換酵素阻害剤
腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがある。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
本剤の降圧作用が減弱するおそれがある。
血管拡張作用を有するプロスタグランジンの合成阻害により、本剤の降圧作用を減弱させる可能性がある。
腎機能が低下している患者では、更に腎機能が悪化するおそれがある。
プロスタグランジンの合成阻害により、腎血流量が低下するためと考えられる。
リチウム
リチウム中毒が報告されている。
リチウムの再吸収はナトリウムと競合するため、本剤のナトリウム排泄作用により、リチウムの再吸収が促進されると考えられる。
顔面、口唇、咽頭、舌等の腫脹を症状とする血管浮腫があらわれることがある。
冷感、嘔吐、意識消失等があらわれた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。,,
AST、ALT、ALP、γ-GTPの上昇等の肝機能障害があらわれることがある。
脱力感、空腹感、冷汗、手の震え、集中力低下、痙攣、意識障害等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。糖尿病治療中の患者であらわれやすい。
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので、このような場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
0.1~5%未満
頻度不明
過敏症
発疹、じん麻疹、そう痒
循環器
動悸、血圧低下、起立性低血圧、徐脈、心室性期外収縮、心房細動
頻脈
精神神経系
めまい、頭痛、もうろう感、眠気、不眠、しびれ感
消化器
悪心、嘔吐、便秘、下痢、胸やけ、胃不快感、腹痛
肝臓
ALT上昇、AST上昇、LDH上昇、ビリルビン上昇、ALP上昇、γ-GTP上昇
腎臓
BUN上昇、クレアチニン上昇、尿中蛋白陽性、尿沈渣異常
血液
赤血球減少、ヘマトクリット減少、ヘモグロビン減少、白血球減少、好酸球増加、白血球増加
その他
咳嗽、胸痛、倦怠感、ほてり、浮腫、霧視、頻尿、味覚異常、発熱、関節痛、筋痛、背部痛、筋力低下、CK上昇、血清カリウム上昇、尿酸上昇、コレステロール上昇、総蛋白減少、CRP上昇
性機能異常、耳鳴
本剤は血液透析では除去できない。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
健康成人男性18例にイルベサルタン50、100及び200mgをクロスオーバー法により空腹時単回経口投与したとき、血漿中には主として活性を有する未変化体で存在した。その血漿中濃度及び薬物動態パラメータを図1・表1に示す3)。
投与量(mg)
n
Cmax(ng/mL)
Tmax(hr)
AUC(ng・hr/mL)
T1/2(hr)
50
18
1084±375
1.4±0.7
3821±1208
10.1±5.9
100
1758±483
1.6±0.9
6848±1974
13.6±15.4
200
2098±455
2.0±1.3
11742±3549
15.2±18.6
平均値±標準偏差(測定法:LC-MS/MS)
健康成人男性6例にイルベサルタン50、100mgを1日1回7日間食後に反復経口投与したとき、血漿中濃度は投与開始後約3~4日で定常状態に達し、両投与量とも蓄積性はみられなかった4),5)。また、高齢者を含む本態性高血圧症患者14例にイルベサルタン100、200mgを1日1回8日間食後に反復経口投与したとき、Cmax及びAUCに投与1日目と投与8日目との間で有意な差はなく、両投与量とも蓄積性はみられなかった6)。
健康成人男性14例にイルベサルタン100mgを単回経口投与(空腹時又は食後)したとき、Cmax及びAUCに食事の影響はみられなかった7)。
ヒト血清蛋白結合率は約97%であった(in vitro)。
イルベサルタンは、主としてCYP2C9による酸化的代謝とグルクロン酸抱合により代謝される。ヒト肝ミクロソームを用いて、CYP活性に対するイルベサルタンの阻害作用について検討した結果、CYP1A2、CYP2D6及びCYP2E1に対しては阻害せず、CYP2A6、CYP2C8、CYP2C9及びCYP3A4に対して阻害作用が認められたものの、いずれも阻害の程度は弱かった8),9),10)(in vitro)。
健康成人において未変化体尿中排泄率は約0.3~1.3%であった。健康成人に14C-標識イルベサルタンを経口投与した場合、放射能の約20%は尿中に排泄され、約54%は糞中に排泄された11)(外国人データ)。
軽・中等度(9例)、高度(10例)の腎機能障害患者にイルベサルタン100mgを1日1回8日間反復経口投与したとき、腎機能正常者と比較してCmax、AUCに有意な差はみられなかった。血液透析中の患者を含め、腎機能障害患者に投与した場合にも蓄積傾向はほとんどないことが示唆された12)(外国人データ)。
軽・中等度の肝硬変患者10例に、イルベサルタン300mg注1)を空腹時1日1回7日間反復経口投与したとき、健康成人と比較してCmax、AUCに有意な差はみられなかった。また蓄積傾向がほとんどないことも示唆された13)(外国人データ)。
高齢者(65~80歳、男性10例、女性10例)と若年者(18~35歳、男性10例)にイルベサルタン25mg注1)を1日1回反復経口投与したとき、Cmaxに有意な差はみられなかったが、AUCは若年者に比べて50~68%上昇することが示された14)(外国人データ)。
ワルファリン(CYP2C9の基質)と併用したとき、ワルファリンの薬物動態に変化はみられなかった15),16)(外国人データ)。
承認時における二重盲検比較試験を含む臨床試験での有効性評価対象例は871例であり、有効率は69.0%(601例)であった。
疾患名
「下降」注2)の症例数/有効性評価対象例数
有効率(%)
本態性高血圧症(軽・中等症)
563/822
68.5
重症高血圧症
18/22
81.8
腎障害を伴う高血圧症
17/23
73.9
腎実質性高血圧症
3/4
-
合計
601/871
69.0
本態性高血圧症(軽・中等症)患者165例にイルベサルタン50~200mgを1日1回1年間経口投与したとき、収縮期血圧/拡張期血圧(投与開始前の平均値164.2/98.5mmHg)は投与開始4週後より有意に下降し、安定した降圧作用が維持された。投与終了後の収縮期血圧/拡張期血圧の変化量の平均は-28.5/-14.3mmHgであった。安全性評価対象例166例中、臨床検査値の異常変動を含む副作用は18例(10.8%)に認められた。主なものは心室性期外収縮、CK上昇、ALP上昇が各2例(1.2%)であった17)。
In vitro試験においてウサギ摘出大動脈のアンジオテンシンII(AII)誘発収縮を特異的に抑制し、in vivo試験(ラット、イヌ、サル)においてもAII誘発昇圧反応に対して抑制作用を示した。In vitro結合試験から、その抑制作用はAII受容体に対する競合的拮抗に基づくものであり、更にAIIタイプ1受容体(AT1受容体)選択的であることが示唆された。その他の受容体には親和性を示さず、アンジオテンシン変換酵素も阻害しなかった18),19),20),21),22),23)。
高レニン正常血圧サル、2腎性1クリップ型高血圧ラット、脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(SHRSP)において経口投与により用量依存的かつ持続的な降圧作用を示した。イルベサルタンは心拍数に影響を及ぼさなかった24),25),26)。
高血圧進展過程の高血圧自然発症ラット(SHR)への反復経口投与により高血圧の進展を抑制した。その作用はイルベサルタン投与中止後も持続しリバウンド現象は認められなかった。更に、SHRに反復経口投与することにより高血圧の進展に伴う心肥大、並びに左心室及び大動脈の肥厚は抑制された。また、食塩負荷により高血圧性臓器障害と高い死亡率を呈するSHRSPでは、反復経口投与により、脳卒中発症、高血圧性臓器障害及び死亡の著明な抑制が認められた。脳卒中発症後のSHRSPでは、反復経口投与により死亡が抑制され、脳卒中症状も投与直後より著明に改善された26),27)。
イルベサルタン(Irbesartan)
2-Butyl-3- {[2'- (1H-tetrazol-5-yl) biphenyl-4-yl] methyl} -1,3-diazaspiro [4.4] non-1-en-4-one
C25H28N6O
428.53
白色の結晶性の粉末である。酢酸(100)に溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくく、水にほとんど溶けない。結晶多形が認められる。
182.4-184.6℃
約10.1(pH7.4、1-オクタノール/緩衝液)
100錠[10錠(PTP)×10]
1) *阿部真也ほか:周産期医学.2017;47:1353-1355
2) *齊藤大祐ほか:鹿児島産科婦人科学会雑誌.2021;29:49-54
3) 社内資料:健康成人男性における単回投与試験(アバプロ錠、2008年4月16日承認、CTD2.7.2.2)
4) 社内資料:健康成人での反復投与試験(50mg)(アバプロ錠、2008年4月16日承認、CTD2.7.6.3)
5) 社内資料:健康成人での反復投与試験(100mg)(アバプロ錠、2008年4月16日承認、CTD2.7.6.3)
6) 社内資料:本態性高血圧症患者における薬物動態試験(アバプロ錠)
7) 社内資料:バイオアベイラビリティに及ぼす食事の影響検討試験(アバプロ錠)
8) 社内資料:ヒト肝ミクロソームを用いた酸化代謝におけるCYP2C9の関与(アバプロ錠、2008年4月16日承認、CTD2.6.5.10)
9) 社内資料:グルクロン酸抱合の種差(アバプロ錠、2008年4月16日承認、CTD2.6.5.10)
10) 社内資料:ヒト肝ミクロソームを用いたCYP阻害の検討(アバプロ錠、2008年4月16日承認、CTD2.6.5.12)
11) 社内資料:バイオアベイラビリティ試験(アバプロ錠、2008年4月16日承認、CTD2.7.6.1)
12) 社内資料:腎機能障害患者における薬物動態試験(アバプロ錠、2008年4月16日承認、CTD2.7.6.3)
13) 社内資料:肝硬変患者における薬物動態試験(アバプロ錠、2008年4月16日承認、CTD2.7.6.3)
14) 社内資料:高齢者における薬物動態試験(アバプロ錠、2008年4月16日承認、CTD2.7.6.3)
15) 社内資料:ワルファリンとの薬物相互作用試験(1)(アバプロ錠、2008年4月16日承認、CTD2.7.6.3)
16) 社内資料:ワルファリンとの薬物相互作用試験(2)(アバプロ錠、2008年4月16日承認、CTD2.7.6.3)
17) 吉永馨ほか:血圧, 2011; 18: 1108-1116
18) 社内資料:ウサギ摘出大動脈における作用(アバプロ錠、2008年4月16日承認、CTD2.6.2.2)
19) 社内資料:AII誘発昇圧反応に対する作用(アバプロ錠、2008年4月16日承認、CTD2.6.2.2)
20) 社内資料:AII受容体に対する拮抗様式の検討(アバプロ錠、2008年4月16日承認、CTD2.6.2.2)
21) 社内資料:AII受容体サブタイプに対する選択性(アバプロ錠、2008年4月16日承認、CTD2.6.2.2)
22) 社内資料:各種受容体及びイオン輸送系に対する作用(アバプロ錠、2008年4月16日承認、CTD2.6.2.3)
23) 社内資料:各種酵素に対する作用(アバプロ錠、2008年4月16日承認、CTD2.6.2.3)
24) 社内資料:高レニン正常血圧サルにおける作用(アバプロ錠、2008年4月16日承認、CTD2.6.2.2)
25) 社内資料:2腎性1クリップ型高血圧ラットにおける作用(アバプロ錠、2008年4月16日承認、CTD2.6.2.2)
26) 社内資料:脳卒中易発症性高血圧自然発症ラットにおける作用(アバプロ錠、2008年4月16日承認、CTD2.6.2.2)
27) 社内資料:高血圧自然発症ラットにおける作用(アバプロ錠、2008年4月16日承認、CTD2.6.2.2)
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