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タリムス点眼液0.1%

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
承認等
一般的名称
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
9.8高齢者
11.副作用
11.2その他の副作用
14.適用上の注意
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.2吸収
16.3分布
16.6特定の背景を有する患者
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2遅発型(Ⅰ型)アレルギー反応抑制作用
18.3遅延型(Ⅳ型)アレルギー反応抑制作用
19.有効成分に関する理化学的知見
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

タリムス点眼液0.1%

添付文書番号

1319755Q1028_1_09

企業コード

380086

作成又は改訂年月

2023年2月改訂(第1版)

日本標準商品分類番号

871319

承認等

タリムス点眼液0.1%

販売名コード

YJコード

1319755Q1028

販売名英語表記

TALYMUS OPHTHALMIC SUSPENSION 0.1%

販売名ひらがな

たりむすてんがんえき0.1%

承認番号等

承認番号

22000AMX00017

販売開始年月

2008年5月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

3年

一般的名称

タクロリムス水和物

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  2. 2.2 眼感染症のある患者

3. 組成・性状

3.1 組成

タリムス点眼液0.1%

有効成分1mL中 タクロリムス水和物   1.02mg
(タクロリムスとして   1mg )
添加剤ポリビニルアルコール(部分けん化物)、リン酸水素ナトリウム水和物、リン酸二水素ナトリウム水和物、ベンザルコニウム塩化物、等張化剤、pH調節剤

3.2 製剤の性状

タリムス点眼液0.1%

pH4.3〜5.5
浸透圧比生理食塩液に対する比:0.9~1.1
性状白色の無菌水性懸濁性点眼剤

4. 効能又は効果

春季カタル(抗アレルギー剤が効果不十分な場合)

5. 効能又は効果に関連する注意

眼瞼結膜巨大乳頭の増殖が認められ、抗アレルギー剤により十分な効果が得られないと判断した場合に使用すること。

6. 用法及び用量

用時よく振り混ぜたのち、通常、1回1滴を1日2回点眼する。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 本剤の使用は、春季カタルの治療法に精通している医師のもとで行うこと。
  2. 8.2 本剤投与により感染症が発現又は増悪するおそれがあり、他の免疫抑制作用を有する薬剤との併用時には、その可能性が更に高まるおそれがあるので十分注意すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 緑内障のある患者

    本剤投与中は定期的に眼圧検査を実施すること。眼圧が上昇することがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ウサギ:経口投与)で催奇形作用、胎児毒性が認められたとの報告がある1) 。ヒト(経口投与)で胎盤を通過することが報告されている2)

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトで母乳中へ移行する可能性がある3)

9.7 小児等

低出生体重児、新生児、乳児又は6歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

一般に生理機能が低下している。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.2 その他の副作用

5%以上

0.1~5%未満

頻度不明

過敏症

接触皮膚炎

眼の異常感(眼部熱感、眼の異物感、眼の違和感)(21.4%)、眼刺激(21.4%)

眼精疲労、眼乾燥

流涙増加、眼脂、眼痛、眼充血、羞明、点状角膜炎、眼そう痒症、眼部不快感、上眼瞼重圧感、眼瞼そう痒症、眼瞼浮腫、眼瞼炎、霰粒腫、瞼板腺炎、結膜充血、結膜浮腫、結膜炎、結膜びらん、結膜沈着物、角膜びらん、角膜潰瘍、角膜混濁、前房のフレア、前房内細胞、閃輝性融解、霧視、視力低下、緑内障増悪、眼圧上昇

呼吸器

咽喉刺激感

咽喉頭疼痛、咽頭感覚鈍麻、鼻部不快感

感染症

ヘルペス性角膜炎

眼瞼ヘルペス、膿痂疹、麦粒腫、細菌性結膜炎、単純ヘルペスウイルス結膜炎、流行性角結膜炎、細菌性角膜炎

その他

熱感[顔面]、手指のしびれ感、AST(GOT)増加、γ-GTP増加、LDH増加、白血球数増加、白血球数減少、好中球増加、好中球減少、単球増加、リンパ球減少、血中尿酸増加

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意

患者に対し以下の点に注意するよう指導すること。

  • 使用時、キャップを閉じたままよく振ってからキャップを開けて点眼すること。
  • 薬液汚染防止のため、点眼のとき、容器の先端が直接目に触れないように注意すること。
  • 患眼を開瞼して結膜嚢内に点眼し、1~5分間閉瞼して涙嚢部を圧迫させた後、開瞼すること。
  • 点眼のとき、液が眼瞼皮膚等についた場合には、すぐにふき取ること。
  • 他の点眼剤を併用する場合には、少なくとも5分以上間隔をあけてから点眼すること。
  • 使用後、眼部熱感、眼刺激等が高頻度に認められること。
  • 遮光性のあるフィルムにより、製品の品質を保持しているため、容器本体のフィルム(キャップ部分は含まない)を取り除かないよう注意すること。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 健康成人

    健康成人(7例)の片眼に本剤を1滴単回点眼したとき、全血中タクロリムス濃度は表1のとおりであった。最高全血中濃度(Cmax)は0.086~0.23ng/mL、最高全血中濃度到達時間(tmax)は1又は3時間であった4)

    表1

    被験者No.

    全血中濃度(ng/mL)

    点眼後時間(h)

    0

    0.5

    1

    3

    6

    9

    12

    24

    1

    nd

    nd

    0.11

    0.23

    0.076

    0.071

    0.075

    nd

    2

    nd

    nd

    0.051

    0.094

    nd

    nd

    nd

    nd

    3

    nd

    nd

    0.066

    0.15

    0.080

    0.073

    0.051

    nd

    4

    nd

    nd

    0.086

    0.084

    nd

    nd

    nd

    nd

    5

    nd

    nd

    nd

    0.13

    0.065

    nd

    nd

    nd

    7

    nd

    nd

    0.17

    0.15

    0.078

    nd

    nd

    nd

    8

    nd

    0.057

    0.18

    0.22

    0.097

    0.053

    nd

    nd

    nd:定量限界(0.051ng/mL)未満

    健康成人(7例)の両眼に本剤を1回1滴、4時間間隔で1日4回1) 、10日間反復点眼したとき、全血中タクロリムス濃度の薬物動態パラメータは表2のとおりであった。初回投与後7日及び10日の濃度- 時間曲線下面積(AUC)及びCmaxが、同程度であったことから初回投与後7日までに定常状態に達していたと考えられた5)

    表2

    測定時期

    測定例数

    Cmax
    (ng/mL)

    tmax
    (h)

    AUC
    (ng・h/mL)

    t1/2
    (h)

    第1日

    7

    0.41±0.22

    13±5

    6.20±3.57

    第7日

    7

    1.04±0.54

    9±4

    20.47±10.21

    第10日

    7

    1.15±0.67

    11±6

    22.49±12.68

    35.2±14.9

    平均値±標準偏差
    †:各時期の第1回点眼後の時間。第1回点眼後13、9、11時間は、それぞれ第4回点眼後1時間、第3回点眼後1時間、第3回点眼後3時間に相当。
    ‡:第1日、第7日及び第10日のAUCはそれぞれAUC0-23h、AUC-1-23h、AUC-1-24h

  2. 16.1.2 春季カタル患者

    春季カタル患者に本剤を1回1滴、1日2回、4週間点眼したときの血中タクロリムス濃度は表3のとおりであった。

    表3

    測定時期

    測定例数

    血中濃度(ng/mL)

    平均値±標準偏差

    最小値〜最大値

    1週後

    2

    0.315±0.445

    nd〜0.63

    2週後

    56

    0.219±0.367

    nd〜1.34

    4週後

    53

    0.297±0.446

    nd〜1.36

    nd:定量限界(0.50ng/mL)未満

    春季カタル患者に本剤を1回1滴、1日2回、約12週間(70~97日間)点眼したときの血中タクロリムス濃度は表4のとおりであった。

    表4

    測定時期

    測定例数

    血中濃度(ng/mL)

    平均値±標準偏差

    最小値〜最大値

    4週後

    50

    0.286±0.485

    nd〜1.69

    12週後

    51

    0.305±0.525

    nd〜1.83

    投与終了時

    51

    0.305±0.525

    nd〜1.83

    nd:定量限界(0.50ng/mL)未満

16.2 吸収

ウサギに0.1%タクロリムス点眼液を1滴単回点眼したときのバイオアベイラビリティは11.1%であった6)

16.3 分布

ウサギに0.1%、0.3%又は1.0%タクロリムス点眼液を1滴単回点眼したとき、眼組織中タクロリムス濃度は投与量の増加とともに上昇する傾向を示した。投与後1時間の結膜及び角膜中タクロリムス濃度は全血中濃度に比べて高値であった。
ウサギに0.3%タクロリムス点眼液を1回1滴、1日4回、14日間反復点眼したとき、水晶体以外の眼組織中タクロリムス濃度は初回投与後7日までにほぼ定常状態に達した7)
ウサギに0.1%又は0.3%タクロリムス点眼液を1回1滴、1日4回、6ヵ月間反復点眼したとき、水晶体中タクロリムス濃度は初回投与後3ヵ月までにほぼ定常状態に達した7)

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1 腎機能障害患者2)


    成人腎移植患者(9例)にタクロリムスカプセル0.16mg/kgを反復経口投与したとき、全血中タクロリムスの薬物動態パラメータは表5のとおりであった8)

    表5

    測定例数

    tmax
    (h)

    Cmax
    (ng/mL)

    AUC0-12h
    (ng・h/mL)

    トラフ値
    (ng/mL)

    F※※
    (%)

    9

    4.2±2.9

    44±45

    274±198

    16±12

    20±17.8

    平均値±標準偏差
    ※12時間後血中濃度
    ※※生体内利用率

    成人腎移植患者(9例)にタクロリムスカプセル及び顆粒を同用量投与したとき、全血中タクロリムスの薬物動態パラメータは表6のとおりであった9)

    表6

    症例番号

    投与量
    (mg/kg/回)

    カプセル

    顆粒

    比(顆粒/カプセル)

    Cmax
    (ng/mL)

    AUC0-12h
    (ng・h/mL)

    Cmax
    (ng/mL)

    AUC0-12h
    (ng・h/mL)

    Cmax

    AUC0-12h

    1

    0.03

    10

    42.7

    18

    94.4

    1.80

    2.21

    2

    0.02

    10

    70.2

    9.3

    68.6

    0.93

    0.98

    3

    0.06

    27

    165.4

    23

    113.3

    0.85

    0.69

    4

    0.02

    14

    105.6

    7.2

    41.8

    0.51

    0.40

    6

    0.02

    9.9

    61.5

    14

    69.2

    1.41

    1.13

    7

    0.03

    13

    92.0

    13

    103.8

    1.00

    1.13

    8

    0.02

    6.2

    36.7

    6.8

    27.6

    1.10

    0.75

    9

    0.02

    4.1

    32.6

    3.8

    34.1

    0.93

    1.05

    10

    0.04

    20

    230.8

    42

    320.0

    2.10

    1.39

    平均値±標準偏差

    1.18±0.50

    1.08±0.51

  2. 16.6.2 肝機能障害患者

    小児肝移植患者及び成人肝移植患者にタクロリムスを経口投与するとき、小児と成人で同程度の血中濃度を達成するための小児への体重当たりの投与量は、成人への体重あたりの投与量に比べて2.7~4.4倍高用量が必要であると考えられた10) (外国人データ)。

1) 本剤の承認された用法及び用量は「用時よく振り混ぜたのち、通常、1回1滴を1日2回点眼する。」である。
2) 血中トラフ濃度が20ng/mLを超える期間が長い場合、副作用が発現しやすくなる。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

  1. 17.1.1 国内第Ⅲ相比較試験

    抗アレルギー点眼液で効果不十分な6歳以上の春季カタル患者を対象に、本剤又はプラセボを片眼又は両眼に1回1滴、1日2回、4週間点眼した無作為化二重遮蔽並行群間比較試験を実施した。その結果、主要評価項目である最終時(投与開始後4週又は投与中止時)の臨床所見合計スコア3) の変化量の平均値±標準偏差は、本剤群で-5.6±5.1(28例)、プラセボ群で-0.1±4.5(28例)であり、本剤群のプラセボ群に対する優越性が示された(P<0.001、t検定)11)
    本剤群の副作用は28例中13例(46.4%)に認められ、主な副作用は眼の異常感6例(21.4%)、眼刺激6例(21.4%)であった。

3) 眼瞼結膜充血、眼瞼結膜腫脹、眼瞼結膜濾胞、眼瞼結膜乳頭、眼瞼結膜巨大乳頭、眼球結膜充血、眼球結膜浮腫、輪部トランタス斑、輪部腫脹及び角膜上皮の重症度スコアの総和

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

タクロリムスはカルシニューリン阻害により、in vitroにおけるヒト末梢血由来単核球からのサイトカイン(IL-2,IL-4,IL-5,IFN-γ)産生を抑制することが確認されている(IC50値:0.02〜0.11ng/mL)12),13) 。これにより遅発型及び遅延型アレルギー反応を抑え、角結膜炎の進展を抑制するものと考えられている。

18.2 遅発型(Ⅰ型)アレルギー反応抑制作用

タクロリムスの点眼は、ラットの卵白アルブミン誘発遅発型(Ⅰ型)アレルギー性結膜炎モデルにおいて、結膜の好酸球及びT細胞の増加を抑制した14)

18.3 遅延型(Ⅳ型)アレルギー反応抑制作用

タクロリムスの点眼は、ウサギのツベルクリン誘発遅延型(Ⅳ型)アレルギー性結膜炎モデルにおいて、結膜の充血及び浮腫の発症を抑制した14)

19. 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称

タクロリムス水和物(Tacrolimus Hydrate)〔JAN〕

化学名

(3S,4R,5S,8R,9E,12S,14S,15R,16S,18R,19R,26aS)-5,19-Dihydroxy-3-{(1E)-2-[(1R,3R,4R)-4-hydroxy-3-methoxycyclohexyl]-1-methylethenyl}-14,16-dimethoxy-4,10,12,18-tetramethyl-8-(prop-2-en-1-yl)-15,19-epoxy-5,6,8,11,12,13,14,15,16,17,18,19,24,25,26,26a-hexadecahydro-3H-pyrido[2,1-c][1,4]oxaazacyclotricosine-1,7,20,21(4H,23H)-tetrone monohydrate

分子式

C44H69NO12・H2O

分子量

822.03

性状

タクロリムス水和物は白色の結晶又は結晶性の粉末である。
メタノール又はエタノール(99.5)に極めて溶けやすく、N,N-ジメチルホルムアミド又はエタノール(95)に溶けやすく、水にほとんど溶けない。

化学構造式

22. 包装

プラスチック点眼容器 5mL×1

24. 文献請求先及び問い合わせ先

千寿製薬株式会社 カスタマーサポート室

〒541-0048 大阪市中央区瓦町三丁目1番9号

TEL 0120-069-618 FAX 06-6201-0577
受付時間 9:00〜17:30(土、日、祝日を除く)

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元

千寿製薬株式会社

大阪市中央区瓦町三丁目1番9号

26.2 販売

武田薬品工業株式会社

大阪市中央区道修町四丁目1番1号

〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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