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生物由来製品
処方箋医薬品注)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。,,
心不全等の心障害があらわれやすい。,,
胸部への放射線照射との併用時には、放射線の適切な治療計画を設定した上で、心障害の発現に留意すること。心不全等の心障害があらわれやすい。,,
症状が悪化するおそれがある。,,
症状が悪化するおそれがある。又は心不全等の心障害があらわれやすい。,,
Infusion reactionが重篤化しやすい。,,
*妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後7カ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤を投与した妊婦に羊水過少が起きたとの報告がある。また、羊水過少を発現した症例で、胎児・新生児の腎不全、胎児発育遅延、新生児呼吸窮迫症候群、胎児の肺形成不全等が認められ死亡に至った例も報告されている。動物実験(サル)において、胎盤通過(1、5、25mg/kg反復投与)が報告されている4)が、胎児への影響は報告されていない。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトでの乳汁移行に関するデータはないが、ヒトIgGは母乳中に移行することが報告されている。また、動物実験(サル)において、乳汁への移行(25mg/kg反復投与)が報告されている5)。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
特に心機能、肝・腎機能検査、血液検査を行うなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。高齢者では生理機能が低下している。
アントラサイクリン系薬剤
心障害の発現頻度が上昇することが報告されているので、特に注意すること。
心障害のリスクを増強させるおそれがある。
心不全(4.5%)(症候:呼吸困難、起座呼吸、咳嗽等、症状・異常:S3ギャロップ、駆出率低下、末梢性浮腫等)、心原性ショック(頻度不明)、肺浮腫(頻度不明)、心嚢液貯留(0.1%)、心筋症(0.4%)、心膜炎(頻度不明)、不整脈(1.4%)、徐脈(0.1%)等が報告されている。異常が認められた場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与継続を検討し、適切な処置を行うこと。ただし、症状が重篤な場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。,,,,,,,,
本剤投与中又は投与開始後24時間以内に多くあらわれるInfusion reaction(症状:発熱、悪寒、悪心、嘔吐、疼痛、頭痛、咳嗽、めまい、発疹、無力症等)が約40%の患者において報告されている(HER2過剰発現が確認された転移性乳癌の承認時)。これらの症状は、通常軽度~中等度で主に本剤の初回投与時にあらわれやすい。また、Infusion reactionのうち、ショック、アナフィラキシー、肺障害等の重篤な副作用(気管支痙攣、重度の血圧低下、急性呼吸促迫症候群、頻脈、顔面浮腫、眩暈、耳鳴、呼吸困難、喘息、喘鳴、血管浮腫、咽頭浮腫、呼吸不全、非心原性肺浮腫、胸水、低酸素症等)が発現し死亡に至った例が報告されている。本剤投与中にこれらの異常が認められた場合には直ちに投与を中止すること。なお、このような症状があらわれた患者において再投与の可否を判断する基準は確立していない。異常が認められた場合には、適切な処置(酸素吸入、β-アゴニスト・副腎皮質ホルモン剤、解熱鎮痛剤、抗ヒスタミン剤の投与等)を行うとともに症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。,,
間質性肺炎(0.2%)、肺線維症(頻度不明)、肺炎(アレルギー性肺炎等を含む)(0.3%)、急性呼吸促迫症候群(0.1%未満)等の肺障害があらわれることがある。,,
腎不全(0.2%)、腎障害(1.0%)があらわれることがある。
異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。注)発現頻度はHER2過剰発現の腫瘍に対する海外臨床試験[H0407g試験、H0452g試験、H0453g試験]、HER2過剰発現の転移性乳癌に対する海外臨床試験[H0551g試験、H0552g試験、H0648g試験、H0649g試験、H0650g試験、H0659g試験、H0693g試験]、HER2過剰発現の進行・再発乳癌に対する国内臨床試験[MKC-454-02試験]、HER2過剰発現の転移性乳癌に対する製造販売後臨床試験、HER2過剰発現の転移性乳癌に対する使用成績調査、HER2過剰発現が確認された乳癌(術後薬物療法)に対する国際共同試験[HERA試験]、HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃癌に対する国際共同試験[ToGA試験]、HER2陽性の根治切除不能な進行・再発の唾液腺癌に対する国内臨床試験[HUON-003-01試験]及びがん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌に対する国内臨床試験[TRIUMPH試験]を含む。
10%以上
2~10%未満
2%未満
頻度不明
精神神経系
頭痛、めまい、味覚異常、感覚鈍麻、ニューロパチー
錯感覚、不眠症、不安、うつ病、傾眠、筋緊張亢進
運動失調、不全麻痺、しびれ(感)、思考異常
消化器
悪心・嘔吐(16.8%)
下痢、食欲不振、口内炎、便秘、腹痛
上腹部痛、消化不良、腸炎
循環器
低血圧、頻脈、潮紅、高血圧、動悸、熱感
血管拡張
呼吸器
呼吸困難、咳嗽、鼻出血
胸水、喘息
血液
プロトロンビン減少
皮膚
発疹、脱毛症、爪の障害、瘙痒症
紅斑、皮膚乾燥、蕁麻疹、皮膚炎、斑状丘疹状皮疹、発汗、痤瘡
肝臓
AST増加、ALT増加
眼
流涙増加、結膜炎、視力障害
その他
発熱(31.5%)、悪寒(20.0%)、疲労(10.5%)
倦怠感、関節痛、疼痛、浮腫、背部痛、無力症、筋肉痛、胸痛、末梢性浮腫、四肢痛
上気道感染(鼻炎、鼻咽頭炎、咽頭炎、副鼻腔炎等)、胸部不快感、骨痛、頚部痛、尿路感染症、難聴、感染症
1%以上
0.2~1%未満
0.2%未満
頭痛
めまい、錯感覚、振戦、嗜眠、不眠症、味覚異常、不安、うつ病、回転性眩暈
感覚鈍麻、ニューロパチー
悪心、下痢、嘔吐
口内炎、腹痛、消化不良
上腹部痛、便秘、胃炎
口内乾燥、口腔内潰瘍形成、鼓腸
動悸
高血圧、頻脈、熱感
リンパ浮腫
ほてり、低血圧、潮紅
呼吸困難
鼻漏、鼻出血
咽喉頭疼痛、咳嗽、副鼻腔炎、気管支炎
鼻乾燥、鼻潰瘍、鼻部不快感
爪の障害、発疹、瘙痒症
紅斑、痤瘡
爪破損、皮膚乾燥、皮膚亀裂
腎臓
排尿困難
無力症、悪寒、発熱、疲労、関節痛、筋肉痛、インフルエンザ様疾患、上気道感染(鼻炎、鼻咽頭炎、咽頭炎等)
末梢性浮腫、背部痛、筋痙縮、胸部不快感、粘膜の炎症、倦怠感、骨痛、胸痛、インフルエンザ
浮腫、筋骨格痛、膀胱炎、尿路感染症、丹毒
帯状疱疹、乳房痛、蜂巣炎、四肢痛、流涙増加、体重増加、冷感、疼痛、粘膜乾燥、霧視、筋骨格硬直
ニューロパチー
味覚異常、浮動性めまい、不眠症、錯感覚
頭痛、嗜眠
悪心、嘔吐、食欲不振、下痢、口内炎、便秘
腹痛、上腹部痛
消化不良、口内乾燥、嚥下障害
高血圧
動悸、潮紅、起立性低血圧
しゃっくり、鼻出血
咳嗽、呼吸困難
ヘモグロビン減少
手掌・足底発赤知覚不全症候群
色素沈着障害、脱毛症、爪の障害、発疹、皮膚乾燥
瘙痒症
腎クレアチニン・クリアランス減少、中毒性ネフロパシー
疲労、無力症、粘膜の炎症、体重減少
発熱、悪寒、脱水、低カリウム血症、低ナトリウム血症、上気道感染、難聴、浮腫、末梢性浮腫、高クレアチニン血症、口腔カンジダ症、耳鳴、過敏症
倦怠感、低アルブミン血症、体重増加
20%以上
10~20%未満
10%未満
下痢(36.7%)
口内炎
食欲不振
発疹
倦怠感
健康成人男性を対象に本剤及び先行バイオ医薬品注6)の各群(日本人12例を含む35例)に、6mg/kgの用量で単回投与し、血清中濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUCinf、AUClast及びCmax)の幾何平均比の90%信頼区間は、いずれも同等性許容域80%-125%の範囲内であり、両剤の同等性が確認された6)。
薬剤
本剤
先行バイオ医薬品注6)
例数
35
AUCinf(μg・hr/mL)
19,523.05(3796.479)
19,709.36(3602.342)
AUClast(μg・hr/mL)
18,183.73(3647.479)
18,312.53(3600.430)
Cmax(μg/mL)
127.95(23.840)
132.48(21.262)
(幾何平均値(標準偏差))
日本人HER2過剰発現乳癌患者18例にトラスツズマブとして1~8mg/kg注7)を90分間点滴静注したときの血清中濃度は以下のとおりであった。トラスツズマブの血清中からの消失は緩やかで、被験者毎に1-コンパートメントモデルを当てはめて算出した半減期は投与量の増加とともに延長し、投与量1mg/kg注7)では2.4日、8mg/kgでは5.5日であった。最高血清中濃度(Cmax)は用量比例的な増加傾向を示し、クリアランス(CL)は投与量の増加に伴って低下した。分布容積(Vd)では、投与量の増加に伴う変化は認められなかった7)。
投与量(mg/kg)
症例数
t1/2(day)
CL(mL/day/kg)
Vd(mL/kg)
1
5
19±2.8
2.4±0.4
16±3.8
55±7.5
2
3
43±8.5
2.6±0.7
13±1.4
49±12
4
72±17
5.9±1.5
7.4±1.0
63±15
8
177±19
5.5±1.5
6.8±2.4
51±6.5
Mean±S.D.
Cmin(μg/mL)
6.72±0.869
26.7±3.18
2.14、24.7
60.1、64.4
74.9、116
134、220
200±20.6
327±41.6
1、8mg/kg:Mean±S.D.
症例
AUC0-21d(μg・day/mL)
CLss(L/day)
t1/2注8)(day)
日本人
203±19
2067±551
0.171±0.058
16.7±5.3
外国人
215±5
2289±297
0.188±0.027
16.3±3.8
HER2過剰発現乳癌患者476例(16例の癌腫不明の進行性固形腫瘍を含む)にトラスツズマブとして初回4mg/kg、2回目以降2mg/kgを週1回90分間反復点滴静注(16例は10~500mgを単回投与)したときの血清中濃度を用い、population pharmacokinetics解析を実施した。モデル検討の結果2-コンパートメントモデルが選択され、半減期(t1/2)は28.5日(母集団平均、95%信頼区間:25.5~32.8日)であった12),13)(外国人データ)。
Cmin注9)(μg/mL)
Cmax注9)(μg/mL)
AUC注9)(mg・day/L)
CL(L/day)
66
110
578
28.5
0.225
HER2過剰発現の腫瘍を皮下移植したヌードマウスに、125I標識トラスツズマブ(10mg/kg)を単回静脈内投与したとき、放射能の正常組織への移行性は低かった。腫瘍中の放射能は投与後24時間に最高値を示した後、正常組織に比べ高く推移し、血清中濃度とほぼ同様の濃度で漸減した14)。血清中放射能のほとんどはトラスツズマブであった15)。
日本人HER2過剰発現乳癌患者18例にトラスツズマブとして1~8mg/kg注2)を90分間点滴静注したとき、投与24時間後の未変化体の尿中排泄率は、0.01%以下であった16)。
正常マウスに125I標識トラスツズマブ(10mg/kg)を単回静脈内投与したとき、投与後7日までの放射能の尿中及び糞中排泄率は雄でそれぞれ31%及び2%であり、雌でそれぞれ28%及び5%であった。投与後76日まででは雄でそれぞれ83%及び12%であり、雌でそれぞれ65%及び29%であった17)。しかし、尿中にトラスツズマブはほとんど認められなかった15)。
HER2陽性早期乳癌患者を対象とし、化学療法注10)併用下で、本剤又は先行バイオ医薬品注11)を初回は8mg/kg投与し、2回目以降は6mg/kgを3週毎に投与した。8回の投与終了後、3~6週の間に手術を実施し、病理学的完全奏効(pCR)を評価した。pCRの割合は、本剤及び先行バイオ医薬品注11)群でそれぞれ46.8%(116/248例)及び50.4%(129/256例)であり、群間差の推定値の95%信頼区間は、予め設定した同等性許容域[-15%,15%]の範囲内に含まれ、両剤の有効性における同等性が確認された。
先行バイオ医薬品注11)
pCR割合
46.8%(116/248例)
50.4%(129/256例)
副作用発現頻度は本剤群で47.6%(129/271例)、先行バイオ医薬品注11)で52.2%(145/278例)であった。本剤群の主な副作用は、注入に伴う反応8.1%(22/271例)、脱毛症7.7%(21/271例)、駆出率減少7.0%(19/271例)、好中球減少5.9%(16/271例)、悪心5.5%(15/271例)、下痢5.2%(14/271例)であった18)。
HER2過剰発現の転移性乳癌患者を対象に、本剤を投与した(1~8mg/kg)注13)。抗腫瘍効果の成績は下表のとおりであった19)。副作用は14/18例(77.8%)に発現した。主な副作用は、発熱44.4%、AST増加22.2%、嘔吐16.7%、悪寒16.7%、倦怠感16.7%等であった。
投与量
CR
PR
MR
NC
PD
NE
計
1mg/kg
-
6
2mg/kg
4mg/kg
8mg/kg
2(11.1)
9
18
NE:Not Evaluate症例数(%)
症例数(%)
上記18例における本剤の投与期間は1~10週(中央値:10週)であった。また、高齢者(65歳以上)への投与は行われなかった。
HER2過剰発現の転移性乳癌患者を対象に、本剤を単独投与した(初回250mg、2回目以降は100mgを7日毎に10週間投与)注13)。評価可能例43例のうち奏効例は5例(11.6%)であった20)。副作用は28/46例(60.9%)に発現した。主な副作用は、さむけ21.7%、発熱17.4%、下痢15.2%等であった。
HER2過剰発現の転移性乳癌患者を対象に、本剤をシスプラチンと併用で投与した(初回250mg、2回目以降は100mgを7日毎に8週間投与)注13)。評価可能例37例のうち奏効例は9例(24.3%)であった21)。副作用は22/39例(56.4%)に発現した。主な副作用は、無力症28.2%、発熱18.0%、嘔気18.0%、さむけ15.4%、白血球減少症15.4%等であった。
HER2過剰発現の転移性乳癌患者を対象に、本剤を他の化学療法と併用で投与した(初回4mg/kg、2回目以降は2mg/kgを1週間間隔で投与)。主要評価項目である病勢進行までの期間の中央値は、アントラサイクリン+シクロホスファミド(AC)併用群が9.08カ月、AC単独群が6.48カ月、パクリタキセル併用群が6.87カ月、パクリタキセル単独群が2.89カ月であった。HER2過剰発現の程度別の病勢進行までの期間の中央値は、AC併用群では3+群が9.05カ月、2+群が9.11カ月、パクリタキセル併用群では3+群が7.14カ月、2+群が5.30カ月であった。奏効例は、AC併用群が80/143例(55.9%)、パクリタキセル併用群が38/92例(41.3%)であった22)。副作用はAC併用群では122/143例(85.3%)、パクリタキセル併用群では78/91例(85.7%)に発現した。主な副作用はAC併用群では、発熱28.7%、嘔気25.9%、無力症25.2%、さむけ23.8%、嘔吐18.9%、下痢18.2%、疼痛17.5%、呼吸困難16.1%等、パクリタキセル併用群では、さむけ36.3%、無力症35.2%、発熱29.7%、嘔気23.1%、疼痛22.0%、下痢19.8%、発疹17.6%、嘔吐17.6%等であった。
前化学療法1~2レジメン施行後に再発が認められたHER2過剰発現の転移性乳癌患者を対象に、本剤を投与した(初回4mg/kg、2回目以降は2mg/kgを1週間間隔で投与)。主要評価項目である抗腫瘍効果について、ITT解析対象集団222例のうち奏効例は34例(15.3%)、評価可能例207例のうち奏効例は34例(16.4%)であった。病勢進行までの期間の中央値は3.1カ月であった。HER2過剰発現の程度別の病勢進行までの期間の中央値は、3+群が3.3カ月、2+群が1.9カ月であった23)。副作用は182/213例(85.4%)に発現した。主な副作用は、発熱36.6%、さむけ35.2%、無力症27.2%、嘔気21.1%、疼痛17.8%、頭痛15.0%等であった。
化学療法未治療のHER2過剰発現の転移性乳癌患者を対象に、本剤を投与した(初回4mg/kg又は8mg/kg、2回目以降はそれぞれ2mg/kg又は4mg/kgを1週間間隔で投与注4))。主要評価項目である抗腫瘍効果について、評価可能例の奏効例は、4mg/kg→2mg/kg群が7/33例(21.2%)、8mg/kg→4mg/kg群が8/29例(27.6%)であった24)。副作用は4mg/kg→2mg/kg群では40/59例(67.8%)、8mg/kg→4mg/kg群では47/55例(85.5%)に発現した。主な副作用は4mg/kg→2mg/kg群では、無力症20.3%、疼痛20.3%、さむけ20.3%、発熱18.6%等、8mg/kg→4mg/kg群では、さむけ29.1%、発熱25.5%、無力症25.5%、嘔気18.2%、疼痛16.4%等であった。
海外第Ⅲ相臨床試験(H0648g試験)に参加し転移性乳癌の進行が確認された患者を対象に本剤を投与した(放射線療法、化学療法、免疫療法及びホルモン療法との併用可能)。評価可能例155例のうち奏効例は22例(14.2%)であった25)。主な副作用は、無力症18.4%、さむけ18.4%、発熱16.4%、嘔気15.6%等であった。
化学療法を3レジメン以上施行後に、再発が認められたHER2過剰発現の転移性乳癌患者を対象に、本剤を標準的癌化学療法と併用で投与した(初回4mg/kg、2回目以降は2mg/kgを1週間間隔で投与)。評価可能例の奏効例は5/154例(3.2%)であった26)。副作用は240/360例(66.7%)に発現した。主な副作用は、発熱26.7%、さむけ25.8%、無力症10.6%、嘔気10.3%等であった。
HER2過剰発現の手術可能乳癌患者で、手術、全身的な術前又は術後薬物療法及び放射線療法(適応となる場合)を完了した患者を対象注14)とし、本剤を初回8mg/kg(体重)、2回目以降6mg/kgを3週間間隔で1年間投与した群又は2年間投与した群と、本剤を投与しない対照群とで有効性を比較した。なお、本剤投与群においては、定期的なLVEF評価に基づき、本剤の投与継続あるいは中止が判断された。
中間解析結果:観察期間中央値12カ月時点で中間解析が実施され、本剤1年投与群は対照群に比べて、無病生存に関するイベント注15)発現率が有意に改善された。なお、本試験における国内からの登録被験者の同時点の解析におけるイベント発現率は、1年投与群7.3%(3/41)、対照群13.0%(6/46)であった。HERA試験のうち本剤が投与された1,678例において、副作用が600例(35.8%)に認められた。主な副作用は、悪寒75例(4.5%)、頭痛61例(3.6%)、発熱58例(3.5%)、悪心52例(3.1%)、疲労51例(3.0%)、駆出率低下51例(3.0%)等であった。そのうち、本試験に参加した国内症例41例において、副作用が23例(56.1%)に認められ、主な副作用は悪寒6例(14.6%)、発熱5例(12.2%)、疲労5例(12.2%)、頭痛5例(12.2%)、爪の障害5例(12.2%)等であった。
最終解析結果:観察期間中央値8年時点で最終解析が実施された。本剤1年投与群は対照群に比べて、無病生存に関するイベント発現率が有意に改善された。本剤2年投与群と1年投与群の比較は、ランダム化の12カ月後に無病かつ生存している被験者に対して実施された。本剤2年投与群の無病生存に関するイベント発現率は23.6%(367/1,553)で、1年投与群(23.6%[367/1,552])に比べて有意な改善は認められなかった(HR:0.99、P=0.86)27)。また、安全性については、3,355例(1年投与群1,682例、2年投与群1,673例)が解析対象とされ、グレード3又は4の有害事象及び無症候性又は軽度症候性の左室駆出率(LVEF)低下は、1年投与群に比べて2年投与群で発現率が高い傾向が認められた[グレード3又は4の有害事象:1年投与群16.3%(275/1,682例)、2年投与群20.4%(342/1,673例)、無症候性又は軽度症候性の左室駆出率低下:1年投与群4.1%(69/1,682例)、2年投与群7.2%(120/1,673例)]。
イベント注15)発現例数(発現率)
ハザード比
P値
観察期間中央値12カ月時点
対照群
1693
219(12.9%)
0.54
<0.0001
1年投与群
127(7.5%)
観察期間中央値8年時点
対照群注16)
1697注17)
570(33.6%)
0.76
1702注17)
471(27.7%)
HER2過剰発現(IHC法3+又はFISH法陽性)の進行・再発の胃又は胃食道接合部腺癌患者(化学療法未治療)584例を対象に、化学療法(カペシタビン+シスプラチン又はフルオロウラシル+シスプラチン)と化学療法+本剤を比較する第Ⅲ相臨床試験を実施した。本剤は初回8mg/kg(体重)、2回目以降6mg/kgを3週間間隔で、化学療法中止後も病勢進行が認められるまで同一の用法・用量で投与を継続した。化学療法は、カペシタビン1000mg/m2の1日2回14日間経口投与又はフルオロウラシル800mg/m2の5日間持続静脈内投与注18)とシスプラチン80mg/m2の静脈内投与を3週間間隔で行った。目標イベント数の75%時点の中間解析において、化学療法+本剤は化学療法単独に比べて、主要評価項目である全生存期間において有意な延長が認められた。なお、化学療法の内訳は584例中、カペシタビン+シスプラチンが511例、フルオロウラシル+シスプラチンが73例であった。国内では、全例(101例)においてカペシタビン+シスプラチンが使用された。ToGA試験のうち本剤が投与された294例において、副作用が283例(96.3%)に認められた。主な副作用は、悪心186例(63.3%)、好中球減少症157例(53.4%)、嘔吐129例(43.9%)、食欲不振121例(41.2%)、疲労87例(29.6%)、下痢85例(28.9%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群72例(24.5%)、口内炎66例(22.4%)等であった。そのうち、本試験に参加した国内症例51例において、副作用が50例(98.0%)に認められ、主な副作用は食欲不振43例(84.3%)、悪心41例(80.4%)、腎機能障害31例(60.8%)、好中球減少症30例(58.8%)、嘔吐29例(56.9%)、疲労29例(56.9%)、口内炎26例(51.0%)、しゃっくり20例(39.2%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群19例(37.3%)、便秘18例(35.3%)等であった。,
化学療法歴のある注19)HER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌患者注20)30例を対象に、本剤をペルツズマブと併用で投与した。本剤は初回8mg/kg(体重)、2回目以降6mg/kg、ペルツズマブは初回840mg、2回目以降420mgを3週間間隔で投与し、疾患進行又は治験中止基準に該当するまで継続した。主要評価項目であるRECISTver.1.1に基づく治験担当医師判定による奏効率[95%信頼区間]は、腫瘍組織を用いた検査でHER2陽性の患者集団では29.6%[13.8,50.2](8/27例)、血液検体を用いた検査でHER2陽性の患者集団では28.0%[12.1,49.4](7/25例)であった。副作用は24/30例(80.0%)に発現した。主な副作用は、注入に伴う反応14例(46.7%)、下痢11例(36.7%)、口内炎4例(13.3%)、倦怠感3例(10.0%)等であった。
本薬はHER2に特異的に結合した後、NK細胞、単球を作用細胞とした抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)により抗腫瘍効果を発揮する28),29)。また、HER2分子数を低下させることにより細胞増殖シグナルが低減し、その結果本薬が直接的に細胞増殖を抑制するとの機序も考えられる30)。
組換え型ヒトHER2及びHER2高発現ヒト乳癌細胞株SK-BR-3の膜結合型HER2に対して、先行バイオ医薬品注21)と同程度の結合親和性を示した31)。
HER2高発現ヒト乳癌細胞株BT-474に本剤又は先行バイオ医薬品注21)を添加し、5日間培養した後、細胞増殖阻害率を測定した。その結果、先行バイオ医薬品注21)と同程度の細胞増殖阻害活性を示した31)。
HER2高発現のヌードマウス可移植性ヒト乳癌(MCF7-HER2、BT-474(細胞当たりのHER2レセプター数=1.0×106))及びヒト胃癌(NCI-N87)に対し抗腫瘍効果が認められた32),33),34)。また、NCI-N87において、他の抗悪性腫瘍剤との併用により、抗腫瘍効果の増強が認められた35)。MCF-7-HER2に対しては総投与量3~100mg/kg(3回投与)の範囲で、NCI-N87に対しては総投与量70~280mg/kg(6回投与)の範囲で用量依存的に増殖抑制効果を示した32),34)。一方、BT-474に対しては、1日投与量0.1~30mg/kg(8~10回投与)の範囲で用量依存的に増殖抑制効果を示し、1mg/kg以上の高用量投与群では腫瘍の完全退縮も観察された33)。
ヒトInterleukin-2で処理したヒト末梢血単核球を作用細胞として、Na51CrO4で予めラベルした下記の標的細胞を作用細胞:標的細胞=25:1、12.5:1、6.25:1、3.13:1の比率で混合し、0.1μg/mLのトラスツズマブを添加し、4時間培養した(37℃、5%CO2)。chrome release assayによりADCC活性を測定した。
その結果、いずれの作用細胞:標的細胞比率においても、細胞傷害活性とHER2発現レベルの間には高い相関が認められ(作用細胞:標的細胞=25:1、12.5:1、6.25:1、3.13:1の時、それぞれR2=0.93、0.92、0.87、0.66)、トラスツズマブはHER2高発現細胞に、より強い細胞傷害活性を発揮することが示された36)。ただし、HER2低発現の腫瘍株(MCF7)では、in vitroの試験において、トラスツズマブ惹起のADCC活性は極めて微弱であり、また、直接的な細胞増殖抑制作用(トラスツズマブのマウス親抗体である4D5を用いて行われた)は認められなかった37)。
ヒト乳癌細胞SK-BR-3(HER2高レベル発現株(細胞当たりのHER2レセプター数=9.0×105))及びMCF7(HER2低レベル発現株(細胞当たりのHER2レセプター数=2.2×104))を本薬150μg/mLの存在、非存在下で1日あるいは5日間培養した後、細胞のHER2数を求めたところ、いずれの細胞でもHER2のレベルが低下した30)。
トラスツズマブ(遺伝子組換え)[トラスツズマブ後続1]Trastuzumab(Genetical Recombination)[Trastuzumab Biosimilar 1]
トラスツズマブ(遺伝子組換え)[トラスツズマブ後続1]は、遺伝子組換えヒト化モノクローナル抗体であり、マウス抗ヒト上皮増殖因子受容体2型(HER2)モノクローナル抗体の相補性決定部、ヒトフレームワーク部及びヒトIgG1の定常部からなる。トラスツズマブ(遺伝子組換え)[トラスツズマブ後続1]は、チャイニーズハムスター卵巣細胞により産生される。トラスツズマブ(遺伝子組換え)[トラスツズマブ後続1]は、450個のアミノ酸残基からなるH鎖(γ1鎖)2本及び214個のアミノ酸残基からなるL鎖(κ鎖)2本で構成される糖タンパク質(分子量:約148,000)である。
1バイアル
1) 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:トラスツズマブ(遺伝子組換え)HER2過剰発現が確認された乳癌における術前補助化学療法
2) 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:トラスツズマブ(遺伝子組換え)HER2過剰発現が確認された乳癌に対する術後補助化学療法としてのA法(1週間間隔投与)の用法・用量の追加
3) 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:トラスツズマブ(遺伝子組換え)HER2過剰発現が確認された転移性乳癌について、3週間1回投与の用法・用量の追加
4) 動物実験 胎児移行性(ハーセプチン注射用:2001年4月4日承認、申請資料概要へ.2-2-3)
5) 動物実験 乳汁中移行(ハーセプチン注射用:2001年4月4日承認、申請資料概要へ.2-4-2)
6) 社内資料:PK同等性試験
7) 国内第Ⅰ相試験-初回投与時の血中濃度(ハーセプチン注射用:2001年4月4日承認、申請資料概要へ.3-1-1-2)
8) 国内第Ⅰ相試験-反復投与時の血中濃度(ハーセプチン注射用:2001年4月4日承認、申請資料概要へ.3-1-2-4)
9) 第Ⅲ相試験(BIG01-01/BO16348試験)(ハーセプチン注射用:2008年2月29日承認、審査報告書)
10) Piccart-Gebhart MJ, et al. N Engl J Med. 2005;353:1659-72
11) 海外第Ⅲ相試験-反復投与(ハーセプチン注射用:2001年4月4日承認、申請資料概要へ.3-1-2-3)
12) Bruno R, et al.:Cancer Chemother Pharmacol. 2005;56:361-369
13) PPK解析による比較(ハーセプチン注射用:2008年2月29日承認、審査報告書)
14) 動物実験 臓器・組織中濃度(ハーセプチン注射用:2001年4月4日承認、申請資料概要へ.2-2-1)
15) 動物実験 代謝物(ハーセプチン注射用:2001年4月4日承認、申請資料概要へ.2-3-1)
16) 国内第Ⅰ相試験-排泄(ハーセプチン注射用:2001年4月4日承認、申請資料概要へ.3-2-1)
17) 動物実験 尿糞中排泄(ハーセプチン注射用:2001年4月4日承認、申請資料概要へ.2-4-1)
18) 社内資料:国際共同第Ⅲ相臨床試験
19) 国内第Ⅰ相臨床試験(MKC-454-02試験)(ハーセプチン注射用:2001年4月4日承認、申請資料概要ト.1-1-1-1)
20) 海外第Ⅱ相臨床試験(H0551g試験)(ハーセプチン注射用:2001年4月4日承認、申請資料概要ト.2-3-1)
21) 海外第Ⅱ相臨床試験(H0552g試験)(ハーセプチン注射用:2001年4月4日承認、申請資料概要ト.2-3-2)
22) 海外第Ⅲ相試験(H0648g試験)(ハーセプチン注射用:2001年4月4日承認、申請資料概要ト.2-4-1)
23) 海外第Ⅲ相試験(H0649g試験)(ハーセプチン注射用:2001年4月4日承認、申請資料概要ト.2-4-2)
24) 海外臨床試験(H0650g試験)(ハーセプチン注射用:2001年4月4日承認、申請資料概要ト.2-5-1)
25) 海外臨床試験(H0659g試験)(ハーセプチン注射用:2001年4月4日承認、申請資料概要ト.2-5-2)
26) 海外臨床試験(H0693g試験)(ハーセプチン注射用:2001年4月4日承認、申請資料概要ト.2-5-3)
27) Goldhirsch A, et al.:Lancet. 2013;382:1021-1028.
28) 作用機作〈抗体依存性細胞障害作用(ADCC)〉(ハーセプチン注射用:2001年4月4日承認、申請資料概要ホ.薬効薬理作用の概要)
29) 作用機作〈抗体依存性細胞障害作用(ADCC)〉(ハーセプチン注射用:2001年4月4日承認、申請資料概要ホ.1-1-2)
30) 作用機作〈HER2受容体数抑制作用〉(ハーセプチン注射用:2001年4月4日承認、申請資料概要ホ.1-1-5)
31) 社内資料:in vitro薬効薬理試験
32) Pietras RJ, et al.:Oncogene. 1998;17:2235-2249
33) ヌードマウス可移植性ヒト乳癌BT-474に対する効果(ハーセプチン注射用:2001年4月4日承認、申請資料概要ホ.2-2-2)
34) Fujimoto-Ouchi K,et al.:Cancer Chemother Pharmacol. 2007;59:795-805
35) HER2過剰発現胃癌細胞株に対する腫瘍増殖抑制作用(ハーセプチン注射用:2011年3月10日承認、審査報告書)
36) 作用機作〈抗体依存性細胞障害作用(ADCC)〉(ハーセプチン注射用:2001年4月4日承認、申請資料概要ホ.1-1-1)
37) Lewis GD, et al.:Cancer Immunol Immunother. 1993;37:255-263
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