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劇薬
処方箋医薬品注)
本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される患者のみに行うこと。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫
通常、成人にはダリナパルシンとして1日1回300mg/m2(体表面積)を1時間かけて5日間点滴静注した後、16日間休薬する。この21日間を1サイクルとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
副作用
処置
Grade1又は2*のせん妄、錯乱等の精神障害、中枢神経障害
症状が回復するまで休薬する。回復後は同量で投与を再開することができる。
Grade3*の副作用(悪心・嘔吐、下痢及び臨床的意義のない無症候性の検査値異常を除く)
Grade1又は開始前のGradeに回復するまで休薬する。回復後は200mg/m2に減量して投与を再開することができる。200mg/m2に減量後に再発した場合には、投与を中止する。
Grade3*の悪心・嘔吐、下痢
対症療法で症状が改善しない場合には、回復するまで休薬する。回復後は200mg/m2に減量して投与を再開することができる。200mg/m2に減量後に再発した場合には、投与を中止する。
Grade4*の副作用(臨床的意義のない無症候性の検査値異常を除く)
投与を中止する。
*:GradeはNCI-CTCAE v4.0による
QT間隔延長が起こるおそれがある。,
本剤は主に腎臓から排泄されるため、血中濃度が上昇する可能性がある。なお、腎機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ウサギ)において、胚致死及び生存胎児数減少が認められた。また、ヒトへのヒ素の過剰な長期摂取により、自然流産及び死産のリスク増加等の生殖発生に対する有害性を示す可能性が報告されている。,
本剤投与中及び投与終了後一定期間は授乳を避けさせること。本剤のヒト乳汁中への移行は確認していないが、無機ヒ素において乳汁への移行が報告されている。また、ヒ素化合物が混入したミルクを摂取した乳児において死亡例や皮膚症状の発生が報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤クラリスロマイシン、モキシフロキサシン、ベプリジル等,
QT間隔延長を増強するおそれがあるため、患者の状態を十分に観察すること。
本剤及びこれらの薬剤はいずれもQT間隔を延長させるおそれがあり、併用によりQT間隔延長作用が増強するおそれがある。
貧血(12.3%)、好中球減少(12.3%)、血小板減少(12.3%)、白血球減少(4.6%)、リンパ球減少(4.6%)、発熱性好中球減少症(1.5%)等があらわれることがある。
肺炎(1.5%)、敗血症性ショック(1.5%)、帯状疱疹(1.5%)等があらわれることがある。
せん妄(9.2%)、錯乱(3.1%)、幻覚(3.1%)、不眠症(3.1%)、不安(1.5%)、失見当識(1.5%)等があらわれることがある。
傾眠(3.1%)、浮動性めまい(3.1%)、脳梗塞(1.5%)、回転性めまい(1.5%)、認知障害(1.5%)等があらわれることがある。
,,
5%以上
5%未満
神経系障害
味覚障害、末梢性感覚ニューロパチー
感覚鈍麻、末梢性ニューロパチー、頭痛
心臓
心筋炎、心電図PR延長
血管系
血管痛
耳
聴力低下
消化器
嘔吐
便秘、悪心、下痢、口内炎、腹痛、消化不良、口腔障害
皮膚
発疹、脱毛症、ざ瘡様皮膚炎、斑状丘疹状皮疹、爪線状隆起
泌尿器
血中クレアチニン増加
代謝
食欲減退
高カリウム血症、低カリウム血症、脱水、低マグネシウム血症、低ナトリウム血症
肝臓
AST増加、ALT増加
肝障害、γ-GTP増加
全身
疲労(倦怠感)、発熱
異常感、歩行障害、低体温、末梢性浮腫
その他
注入に伴う反応、血中ALP増加、LDH増加、CRP増加
日本人の再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫患者18例に本剤300mg/m2を約1時間かけて5日間静脈内投与したときの血漿中ヒ素濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった1) 。なお、血漿中ヒ素濃度は、本剤投与後のヒ素を含有する化合物の総濃度を表している。
Cmax(ng/mL)
Tmax(h)
AUC0-24(ng・h/mL)
t1/2(h)
Day1(N=18)
906.3±167.0
2.0(1-8)
15475.6±3425.2
NC
Day5(N=18)
1450.6±322.8
2.0(1-4)
25559.8±7987.4
22.64±6.31
平均値±標準偏差。Tmaxは中央値(範囲)として示した。NC:算出しなかった。
ダリナパルシン(ヒ素濃度:0.5~10μg/mL)添加時のヒト血漿タンパク結合率は78.3~82.9%であり、ダリナパルシン(ヒ素濃度:1~10μg/mL)添加時のヒト血液/血漿中濃度比は5.53~7.00であった。なお、ダリナパルシンは血漿中で不安定なため、複数のヒ素含有化合物が含まれた値である。ジメチルアルシン酸(ヒ素濃度:0.1~10μg/mL)はヒト血漿タンパクに結合しなかった2),3) (in vitro)。
日本人を含む再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫患者に本剤300mg/m2を5日間静脈内投与したとき、Day5の投与1~4時間後の血漿中での主成分はジメチルアルシン酸であった(試料中総ヒ素に対する割合は91.8%)1) 。ダリナパルシンからジメチルアルシン酸への変換は主に非酵素的な分解であることが示唆された(in vitro)。
日本人を含む再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫患者に本剤300mg/m2を5日間静脈内投与したとき、Day5の投与24時間後までの尿中ヒ素排泄率は67.7%であり、尿中での主成分はジメチルアルシン酸であった(試料中総ヒ素に対する割合は99%超)1) 。
ジメチルアルシン酸はCYP2B6、CYP2C8及びCYP3A4を誘導した4) (in vitro)。
再発又は難治性のPTCL患者注2) 65例(日本人37例を含む)を対象に、本剤300mg/m2を5日間静脈内投与した後に16日間休薬する21日間を1サイクルとして投与を繰り返した。有効性評価対象57例における奏効率は、19.3%(11/57例)(90%信頼区間:11.2~29.9%)であった。病理組織型別の奏効率は下表のとおりであった1) 。
病理組織型
例数
完全奏効
部分奏効
安定
病勢進行
奏効(奏効率(%))
合計
57
5
6
15
31
11(19.3)
PTCL-NOS
37
2
4
12
19
6(16.2)
AITL
17
3
9
5(29.4)
ALK陰性ALCL
0
安全性評価対象65例中45例(69.2%)に副作用が認められた。主な副作用は、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加(16.9%)、発熱(15.4%)、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加(15.4%)、倦怠感(13.8%)、貧血(12.3%)、食欲減退(10.8%)、血小板数減少(10.8%)、せん妄(9.2%)、好中球減少症(6.2%)、味覚不全(6.2%)、嘔吐(6.2%)、疲労(6.2%)、好中球数減少(6.2%)及び末梢性感覚ニューロパチー(6.2%)であった。
ダリナパルシンは、生体内における無機ヒ素化合物の代謝過程で生じる中間代謝物の一つであり、グルタチオン抱合体構造を有する有機ヒ素化合物である。ダリナパルシンは、ミトコンドリアの機能障害(膜電位の低下等)、細胞内活性酸素種の産生促進等を引き起こすことにより、アポトーシス及び細胞周期停止を誘導し、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている5),6) 。
ダリナパルシン(JAN)(Darinaparsin)
L-γ-Glutamyl-S-(dimethylarsanyl)-L-cysteinylglycine
C12H22AsN3O6S
411.31
白色~灰白色の結晶性の粉末である。
約196℃(分解)
ジメチルスルホキシドに溶けやすく、水にやや溶けやすく、エタノール(99.5)にほとんど溶けない。
1バイアル
1) 再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫を対象とした国際共同第II相試験(SP-02L02試験)(2022年6月20日承認、CTD2.7.6.7及び2.7.2.2.2.4)
2) ダリナパルシン及びジメチルアルシン酸のタンパク結合率(175048B及び202905試験)(2022年6月20日承認、CTD2.6.4.4.2)
3) ダリナパルシンの血球移行性(202908試験)(2022年6月20日承認、CTD2.6.4.4.3)
4) ダリナパルシン及びジメチルアルシン酸のCYP誘導試験(PBC473-003試験)(2022年6月20日承認、CTD2.6.4.7.2)
5) Garnier N et al. Mol Pharmacol. 2014; 85: 576-85
6) ダリナパルシンの作用機序(SP02-PD-01、SP02-PD-06及びRES-1002試験)(2022年6月20日承認、CTD2.6.2.2)
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