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日本薬局方
注射用ピペラシリンナトリウム
処方箋医薬品注)
ピペラシリンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、大腸菌、シトロバクター属、肺炎桿菌、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、インフルエンザ菌、緑膿菌、バクテロイデス属、プレボテラ属(プレボテラ・ビビアを除く)
敗血症、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、膿胸、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、胆嚢炎、胆管炎、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、子宮旁結合織炎、化膿性髄膜炎
「抗微生物薬適正使用の手引き」1)を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。
ピペラシリンナトリウムとして、通常、成人には、1日2~4g(力価)を2~4回に分けて静脈内に投与する。なお、難治性又は重症感染症には症状に応じて、1回4g(力価)を1日4回まで増量して静脈内に投与する。通常、小児には、1日50~125mg(力価)/kgを2~4回に分けて静脈内に投与する。なお、難治性又は重症感染症には症状に応じて、1日300mg(力価)/kgまで増量して3回に分けて静脈内に投与する。ただし、1回投与量の上限は成人における1回4g(力価)を超えないものとする。
,
十分な問診を行うこと。アレルギー素因を有する患者は過敏症を起こしやすい。
観察を十分に行うこと。食事摂取によりビタミンKを補給できない患者では、ビタミンK欠乏症状があらわれることがある。
出血傾向を助長するおそれがある。
溶解液(生理食塩液)により水分やナトリウム貯留が生じやすく、浮腫等の症状を悪化させるおそれがある。
溶解液(生理食塩液)により高ナトリウム血症等の電解質異常を起こすおそれがある。
投与量・投与間隔の適切な調節をするなど慎重に投与すること。高い血中濃度が持続することがある。
血中濃度が持続するおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。母乳中への移行が報告されている2)。
低出生体重児、新生児を対象とした臨床試験は実施していない。
次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
メトトレキサート3)
メトトレキサートの排泄が遅延し、メトトレキサートの毒性作用が増強される可能性がある。血中濃度モニタリングを行うなど注意すること。
腎尿細管分泌の阻害により、メトトレキサートの腎排泄を遅延させると考えられている。
抗凝血薬
血液凝固抑制作用を増強するおそれがあるので、出血傾向等に注意すること。
本剤の出血傾向や腸内細菌によるビタミンK産生抑制等により相加的に血液凝固抑制作用を増強させると考えられている。
腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には、直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、PIE症候群等があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
0.1~1.0%未満注)
0.1%未満注)
頻度不明
過敏症
発熱、発疹、そう痒
浮腫、蕁麻疹、リンパ節腫脹
-
血液
顆粒球減少、好酸球増多
血小板減少、貧血
肝臓
AST、ALT、Al-P、LDHの上昇
黄疸
消化器
悪心・嘔吐、下痢
食欲不振、腹痛
中枢神経
腎不全患者大量投与で痙攣等の神経症状
菌交代症
口内炎、カンジダ症
ビタミン欠乏症
ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)
ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)
その他
頭痛、筋肉痛、しびれ
本剤の投与により、ベネディクト試薬等の還元法による尿糖検査では、偽陽性を呈することがあるので注意すること。
健康成人にピペラシリンナトリウム1g及び2gをそれぞれ30分、1時間点滴静注にて単回投与したときの血中濃度の推移は以下のとおりであった4),5)。
投与量
例数
t1/2(hr)
Cmax(μg/mL)
AUC(μg・hr/mL)
1g
7
0.780±0.145
60.2±4.91
47.9±5.41
2g
4
0.79±0.11
85.8±1.7
111.6±4.3
(平均値±標準偏差)
成人患者にピペラシリンナトリウム4gを1日4回点滴静注したときの薬物動態パラメータ及び血漿中濃度の実測値は以下のとおりであった。
投与量[例数]
AUCτ(μg・hr/mL)
t1/2α(hr)
t1/2β(hr)
4g×4回/日[n=98]
688.4±313.0
297.3±59.8
0.6±0.1
1.7±0.6
小児患者にピペラシリンナトリウム100mg/kgを1日3回点滴静注したときの薬物動態パラメータ及び血漿中濃度の実測値は以下のとおりであった。
年齢(歳)[例数]
2未満[n=10]
350.7±44.9
231.7±25.1
0.7±0.1
3.8±0.0
2以上6未満[n=9]
322.3±32.7
211.2±7.3
6以上12未満[n=1]
555.4
247.7
1.1
3.8
12以上16未満[n=1]
375.0
240.8
0.7
胆石症患者にピペラシリンナトリウム1回2gを30分点滴静注したとき、投与終了約2時間後の胆嚢内胆汁中濃度及び胆嚢組織内濃度は、胆嚢管開存患者(n=7)ではそれぞれ330~2,280μg/mL(平均1,042μg/mL)、9.4~203μg/g(平均60μg/g)であった。また、閉塞患者(n=8)では、それぞれ0.7~34μg/mL(平均13.9μg/mL)、2.5~33μg/g(平均16.5μg/g)であった6)。子宮各組織(子宮内膜、子宮筋層、子宮頸部、子宮膣部、卵管、卵巣)内濃度は、ピペラシリンナトリウム1回2g点滴静注開始65~75分後に最高濃度(33.2~45.1μg/g)に達し、骨盤死腔液中濃度は点滴静注開始140分後に最高濃度(35.7μg/mL)に達した7)。なお、臍帯血、羊水中には良好な移行が認められ、母乳中にはわずかに移行が認められた2)。胸水、喀痰、唾液、髄液内等にも良好な移行が認められた8),9),10)。
ピペラシリンの血清蛋白との結合率は21.2%であり、結合は可逆的であった(ヒト血清、薬剤濃度:25μg/mL、遠心限外濾過法)11)。
ヒト血漿、尿中にピペラシリン(PIPC)の活性代謝物である脱エチル体(DEt-PIPC)が認められた12)。
ピペラシリンナトリウム1回1gを30分点滴静注したとき、未変化体の24時間累積尿中回収率の平均は、健康な非高齢者(20~40歳、n=7)で56.2%であり、高齢者(65歳以上、Ccr≧40mL/min、n=7)では57.7%であった4)。
腎機能障害者の血中濃度半減期は腎機能の低下とともに延長し、高度腎機能障害者(Ccr≦10)の場合4.12時間と、腎機能正常者に比べ約4倍の半減期の延長が認められた(外国人:静注、点滴静注データ)13)。
腎機能障害の程度(Ccr:mL/min)
正常者
Ccr>80
18
1.04
軽度
80≧Ccr>40
13
1.70
40≧Ccr>20
11
2.45
中等度
20≧Ccr>10
2.77
高度
Ccr≦10
4.12
血液透析中の慢性腎不全患者8例にピペラシリンナトリウム2gを投与し、投与1時間後から5時間血液透析を行ったときの血中濃度の推移は以下のとおりであった(静注データ)14)。
血中濃度(24時間後)
血中残存率注)(%)
6時間後
24時間後
非透析時
7.62
30.6μg/mL
55.2
14.0
透析時
2.37
11.0μg/mL
25.5
4.7
注)投与1時間後の血中濃度を100とした場合の値
高齢者(65歳以上、Ccr≧40mL/min、n=7)及び健康な非高齢者(20~40歳、n=7)にピペラシリンナトリウム1回1gを30分点滴静注したとき、高齢者では非高齢者と比較して総クリアランスが約70%に低下し、消失半減期は約0.3時間延長した4)。
CL(mL/min)
高齢者
247±37.3
1.10±0.155
65.5±8.39
68.9±10.4
非高齢者
352±36.8
1,005例についての一般臨床試験(静注、点滴静注、筋注)の概要は下表のとおりであった。なお、成人の1日投与量は、大部分がピペラシリンナトリウム2~6gであった。また、呼吸器感染症(ピペラシリンナトリウム2g×2回/日、2時間点滴静注)、複雑性尿路感染症(ピペラシリンナトリウム1g×2回/日、静注)を対象疾患とした二種類の二重盲検比較試験でピペラシリンナトリウムの有用性が認められた15),16)。
疾患群
疾患名
有効率(%)
全身性感染症
敗血症
75.0(27/36)
呼吸器感染症
急性気管支炎、慢性呼吸器病変の二次感染
61.1(33/54)
肺炎
80.5(140/174)
肺膿瘍、膿胸
65.0(13/20)
尿路感染症
膀胱炎
70.2(179/255)
腎盂腎炎
73.6(192/261)
胆道感染症
胆嚢炎、胆管炎
76.5(62/81)
産婦人科領域感染症
バルトリン腺炎
90.9(10/11)
子宮内感染
98.2(55/56)
子宮付属器炎
96.0(24/25)
子宮旁結合織炎
90.5(19/21)
化膿性髄膜炎
重症感染症患者を対象とした臨床試験(成人:ピペラシリンナトリウム4g×4回/日、点滴静注、小児:ピペラシリンナトリウム100mg/kg×3回/日、点滴静注)の概要は下表のとおりであった。
有効率注)(%)
77.8(7/9)
慢性呼吸器病変の二次感染
85.7(6/7)
72.5(29/40)
54.5(6/11)
72.7(8/11)
胆嚢炎
83.3(5/6)
100(1/1)
0(0/1)
小児科領域感染症
77.8(14/18)
注)投与終了時又は中止時、ただし尿路感染症は治癒判定時
成人の副作用発現頻度(臨床検査値異常を含む)は43.1%(44/102例)で、主な副作用は、下痢15.7%(16/102例)、肝機能異常6.9%(7/102例)、γ-GTP増加5.9%(6/102例)であった。小児の副作用発現頻度(臨床検査値異常を含む)は42.9%(9/21例)で、主な副作用は、下痢28.6%(6/21例)、ALT増加14.3%(3/21例)、AST増加9.5%(2/21例)であった。
細菌の細胞壁合成を阻害し、殺菌作用を有する17)。
ピペラシリンは緑膿菌をはじめとするグラム陰性菌、腸球菌属をはじめとするグラム陽性菌及び嫌気性菌であるバクテロイデス属に対し、幅広い抗菌スペクトルを有する。また、各種臨床分離株においても、グラム陰性のインフルエンザ菌に対するMIC90は2μg/mL、グラム陽性の肺炎球菌に対するMIC90は2μg/mLであり、フロモキセフより優れた抗菌力を示した(in vitro)18)。
ピペラシリンナトリウム(Piperacillin Sodium)
Monosodium(2S,5R,6R)-6-{(2R)-2-[(4-ethyl-2,3-dioxopiperazine-1-carbonyl)amino]-2-phenylacetylamino}-3,3-dimethyl-7-oxo-4-thia-1-azabicyclo[3.2.0]heptane-2-carboxylate
C23H26N5NaO7S
539.54
白色の粉末又は塊である。水に極めて溶けやすく、メタノール又はエタノール(95)に溶けやすく、アセトニトリルにほとんど溶けない。
179~182℃(分解)
0.07(n-オクタノール-McIlvaine buffer(pH7.0))
PIPC
10キット(溶解液:日局生理食塩液 100mL、プラスチック容器)
1) 厚生労働省健康局結核感染症課編:抗微生物薬適正使用の手引き
2) 松田静治ほか:Chemotherapy.1977;25(5):1429-1437
3) K. Yamamoto, et al.:Annals Pharmacotherapy.1997;31(10):1261-1262
4) 柴孝也:日本化学療法学会雑誌.2003;51(2):76-86
5) 松本慶蔵ほか:Chemotherapy.1994;42(S-2):281-299
6) 木藤光彦ほか:Jpn. J. Antibiot.1983;36(8):2077-2080
7) 高瀬善次郎ほか:産婦人科の世界.1982;34(12):1353-1367
8) 宍戸春美ほか:Chemotherapy.1977;25(5):1141-1155
9) 松本慶蔵ほか:Chemotherapy.1977;25(5):1105-1121
10) 伊藤秀夫ほか:Chemotherapy.1977;25(5):1549-1552
11) 才川勇ほか:Chemotherapy.1977;25(5):810-815
12) Y. Minami, et al.:J. Antibiot.1991;44(2):256-258
13) Morrison J. A., et al.:Drugs Exptl. Clin. Res.1981;7(4):415-419
14) 草場亮輔ほか:薬理と治療.1982;10(7):4053-4057
15) 中川圭一ほか:Chemotherapy.1978;26(2):123-166
16) 河田幸道ほか:泌尿紀要.1977;23(7):713-742
17) 植尾健次ほか:Chemotherapy.1977;25(5):700-709
18) 松崎薫ほか:Jpn. J. Antibiot.2000;53(8):573-581
富士フイルム富山化学株式会社 製品情報センター
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