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日本薬局方
トスフロキサシントシル酸塩錠
処方箋医薬品注)
トスフロキサシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌(ペニシリン耐性肺炎球菌を含む)、腸球菌属、淋菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、炭疽菌、大腸菌、赤痢菌、サルモネラ属、チフス菌、パラチフス菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、コレラ菌、インフルエンザ菌、緑膿菌、バークホルデリア・セパシア、ステノトロホモナス(ザントモナス)・マルトフィリア、アシネトバクター属、ペプトストレプトコッカス属、バクテロイデス属、プレボテラ属、アクネ菌、トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)
表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、ざ瘡(化膿性炎症を伴うもの)、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎、肛門周囲膿瘍、骨髄炎、関節炎、咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、精巣上体炎(副睾丸炎)、尿道炎、胆嚢炎、胆管炎、感染性腸炎、腸チフス、パラチフス、コレラ、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、涙嚢炎、麦粒腫、瞼板腺炎、外耳炎、中耳炎、副鼻腔炎、化膿性唾液腺炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎、炭疽
「抗微生物薬適正使用の手引き」1)を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。
通常、成人に対して、トスフロキサシントシル酸塩水和物として1日300~450mg(トスフロキサシンとして204~306mg)を2~3回に分割して経口投与する。
通常、成人に対して、トスフロキサシントシル酸塩水和物として1日450mg(トスフロキサシンとして306mg)を3回に分割して経口投与する。
通常、成人に対して、トスフロキサシントシル酸塩水和物として1日600mg(トスフロキサシンとして408mg)を4回に分割して14日間経口投与する。
なお、腸チフス、パラチフスを除く症例においては、感染症の種類及び症状により適宜増減するが、重症又は効果不十分と思われる症例にはトスフロキサシントシル酸塩水和物として1日600mg(トスフロキサシンとして408mg)を経口投与する。
痙攣を起こすことがある。
フルオロキノロン系抗菌薬で症状を悪化させるとの報告2)がある。
必要に応じて画像検査の実施を考慮すること。海外の疫学研究において、フルオロキノロン系抗菌薬投与後に大動脈瘤及び大動脈解離の発生リスクが増加したとの報告がある。,
投与量・投与間隔の適切な調節をするなど慎重に投与すること。高い血中濃度が持続することがある。
授乳しないことが望ましい。母乳中への移行が報告されている。
低出生体重児、新生児及び乳児を対象とした臨床試験は実施していない。
健康成人にテオフィリン1日400mgと本剤1日450mgを併用したところ、テオフィリンの最高血中濃度は、併用3日目で1.13倍、5日目では1.23倍の上昇を示したとの報告がある。テオフィリンの中毒症状(消化器障害、頭痛、不整脈、痙攣等)があらわれるおそれがあるため、観察を十分に行い、血中濃度モニタリングを行うなど注意すること。
機序:テオフィリンの肝での代謝を抑制し、血中濃度を上昇させることが報告されている。
危険因子:高齢者、高度の腎障害患者
痙攣があらわれることがある。観察を十分に行い、症状があらわれた場合には両剤の投与を中止し、気道確保と抗痙攣薬の使用など痙攣に対する治療を実施すること。
機序:中枢神経におけるGABAA受容体への結合阻害作用が非ステロイド性消炎鎮痛剤により増強されることが主な機序と考えられている。
危険因子:高齢者、てんかん等痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者、高度の腎障害患者
本剤の効果が減弱されるおそれがある。同時投与を避けるなど注意すること。
機序:金属カチオンと難溶性の錯塩を形成し、本剤の消化管からの吸収が低下することが報告されている。
腱障害のリスクが増大するとの報告がある。これらの薬剤との併用は、治療上の有益性が危険性を上回る場合のみとすること。
機序不明
急性腎障害、間質性腎炎、腎性尿崩症等の重篤な腎障害があらわれることがある。
発熱、咽頭痛、皮下・粘膜出血等があらわれた場合には血液検査を行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には、直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、好酸球性肺炎等があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれることがある。筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
高齢者、腎障害患者、糖尿病患者であらわれやすい。
,
しびれ、筋力低下、痛み等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
腱周辺の痛み、浮腫、発赤等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
幻覚、せん妄等の精神症状があらわれることがある。
0.1~1%未満注1)
0.1%未満注1)
頻度不明
過敏症
発疹
そう痒感、蕁麻疹、発熱
光線過敏症
腎臓
―
BUN上昇、血尿
クレアチニン上昇
肝臓
AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇、LDH上昇、γ-GTP上昇、ビリルビン上昇
消化器
胃・腹部不快感、悪心、下痢・軟便、胃・腹痛
嘔吐、腹部膨満感、食欲不振、便秘、口内炎、口渇、舌炎
血液
白血球減少、好酸球増多、血小板減少、貧血
精神神経系
頭痛、めまい、しびれ、不眠、振戦
幻覚
その他
倦怠感
関節痛、味覚異常
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
動物実験(幼若犬)で50mg/kg、500mg/kgを14日間経口投与した結果、関節異常(上腕骨近位端軟骨に微小水疱あるいはびらん)が認められたとの報告がある3)。
健康成人に150mg又は300mgを食後単回経口投与したときのトスフロキサシンの血中濃度は以下のとおりである4)。
投与量
例数
Cmax(μg/mL)
Tmax(hr)
T1/2(hr)
AUC(μg・hr/mL)
150mg
34
0.54
2.00
4.85
4.95
300mg
5
1.06
2.16
4.44
8.97
口蓋扁桃摘出術施行患者3例に150~300mgを空腹時単回経口投与したとき、組織内濃度は130~195分で0.66~1.08μg/gを示した5)。
慢性気管支炎及び肺気腫の感染合併患者2例に150mgを食後単回経口投与したとき、最高喀痰中濃度は2~3時間後に0.31μg/mL及び0.34μg/mLの値が得られ、6~8時間後にも0.20μg/mL前後であった6)。
前立腺肥大症手術患者5例に150mgを空腹時単回経口投与したとき、組織内濃度は2時間で0.120μg/g、4時間で0.245μg/gを示した7)。
皮膚疾患患者2例に450mg(150mg×3/日)を7日又は10日連続で食後経口投与したとき、皮膚組織内濃度は最終投与後135分で2.5μg/g、225分で1.43μg/gを示した8)。
女性性器組織9)、胆汁、胆嚢組織10)、耳漏5)、唾液11)、涙液12)、抜歯創11)、関節液13)等に良好な移行が認められている。また、乳汁中へも移行する14)。
健康成人6例に150mgを食後単回経口投与したとき、大部分が未変化体として尿中及び糞中に排泄されたが、未変化体以外に2種の代謝物及びこれらの抱合体が尿中に確認された15)。
健康成人6例に150mgを食後単回経口投与したとき、24時間までの未変化体の尿中排泄率は45.8%であった16)。また、代謝物も含めた24時間までの尿中総回収率は50.7%であった15)。
腎機能障害者に150mgを食後単回経口投与したとき、次表のとおり、腎機能の低下に伴い血中半減期(T1/2)の延長が認められた17)。,
腎機能障害の程度(Ccr:mL/min)
正常者(Ccr≧80)
3.9
軽度(80>Ccr≧50)
3
4.0
中等度(50>Ccr≧20)
2
9.8
高度(20>Ccr)
4
10.5
血液透析患者2例に150mgを食後単回経口投与したとき、それぞれ投与1.5時間後に1.65μg/mL、3時間後に1.6μg/mLの血中濃度ピーク値を示し、5時間の透析で透析液中に7.31%及び8.33%が回収された17)。
国内の医療機関で実施された一般臨床試験及び感染性腸炎研究会で調査された腸チフス、パラチフスでは、総症例3,232例について本剤の効果が検討され、その概要は次表のとおりである。また、二重盲検比較試験で、呼吸器感染症18)、複雑性尿路感染症19)、産婦人科領域感染症20)、皮膚科領域感染症21)、中耳炎22)、歯科・口腔外科領域感染症23)について本剤の有用性が認められている。なお、炭疽に関する臨床症例は国内外において報告されていない。
疾患群
疾患名
有効率(%)
皮膚科領域感染症
表在性皮膚感染症
82.1(32/39)
深在性皮膚感染症
87.0(141/162)
リンパ管・リンパ節炎
87.5(7/8)
慢性膿皮症
88.6(132/149)
ざ瘡(化膿性炎症を伴うもの)
100(4/4)
外科領域感染症
外傷・熱傷及び手術創等の二次感染
86.4(38/44)
乳腺炎
87.0(20/23)
肛門周囲膿瘍
85.7(18/21)
整形外科領域感染症
骨髄炎
86.5(32/37)
関節炎
90.9(10/11)
呼吸器感染症
咽頭・喉頭炎
95.2(20/21)
扁桃炎(扁桃周囲膿瘍を含む)
89.6(69/77)
急性気管支炎
84.9(129/152)
肺炎
90.2(111/123)
慢性呼吸器病変の二次感染
77.2(305/395)
尿路感染症
膀胱炎
84.3(601/713)
腎盂腎炎
70.3(109/155)
前立腺炎(急性症、慢性症)
63.6(7/11)
精巣上体炎(副睾丸炎)
100(20/20)
尿道炎
96.6(170/176)
胆道感染症
胆嚢炎
85.2(23/27)
胆管炎
66.7(14/21)
腸管感染症
感染性腸炎
95.2(119/125)
腸チフス
100(8/8)
パラチフス
100(7/7)
産婦人科領域感染症
バルトリン腺炎
96.6(28/29)
子宮内感染
96.6(56/58)
子宮付属器炎
90.4(47/52)
眼科領域感染症
涙嚢炎
66.7(12/18)
麦粒腫
90.0(54/60)
瞼板腺炎
93.9(31/33)
耳鼻科領域感染症
外耳炎
94.1(32/34)
中耳炎
73.2(82/112)
副鼻腔炎
77.3(51/66)
化膿性唾液腺炎
90.0(9/10)
歯科・口腔外科領域感染症
歯周組織炎
81.4(70/86)
歯冠周囲炎
83.7(41/49)
顎炎
85.4(82/96)
細菌のDNAジャイレース及びトポイソメラーゼⅣを阻害し、殺菌的に作用する24)。
トスフロキサシンはグラム陽性・陰性菌に対し、幅広い抗菌スペクトルを有し、その作用は殺菌的である。ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌(ペニシリン耐性肺炎球菌を含む注2))、大腸菌、クレブシエラ属、インフルエンザ菌、緑膿菌、バクテロイデス属に対して優れた抗菌力を示した25)。また、トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)、チフス菌、パラチフス菌に対しても優れた抗菌力を示した26),27),28)。コレラ菌に対するMIC50、MIC90はそれぞれ≦0.006μg/mL、0.05μg/mLであった29)。なお、炭疽菌に対するMICは0.012μg/mL(106cell/mL接種時)であった30)。
実験的に作成したマウスの全身感染症、皮下膿瘍、骨髄炎、肺炎、尿路感染症、免疫低下時の全身感染症に対し、抗菌力を反映する治療効果を示した25),30),31),32),33)。また、ヒト胎児肺由来の線維芽細胞でのサルモネラ・エンテリティディスの細胞内感染実験において、細胞内移行と細胞内での殺菌力はオフロキサシン、ノルフロキサシンより優れていた34)。
黄色ブドウ球菌、大腸菌、セラチア・マルセスセンス、緑膿菌を用い自然耐性菌出現頻度を検討した結果、その頻度は低く25)、また、バクテロイデス・フラジリスの増量的継代法による耐性獲得は低く、MICの上昇は8代継代まで認められなかった35)。
トスフロキサシントシル酸塩水和物(Tosufloxacin Tosilate Hydrate)
7-[(3RS)-3-Aminopyrrolidin-1-yl]-1-(2,4-difluorophenyl)-6-fluoro-4-oxo-1,4-dihydro-1,8-naphthyridine-3-carboxylic acid mono-4-toluenesulfonate monohydrate
C19H15F3N4O3・C7H8O3S・H2O
594.56
白色~微黄白色の結晶性の粉末である。N,N-ジメチルホルムアミドに溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、水又はエタノール(99.5)にほとんど溶けない。メタノール溶液(1→100)は旋光性を示さない。
約254℃(分解)
TFLX(トスフロキサシン)
100錠[10錠(PTP)×10]
100錠[10錠(PTP)×10]300錠[15錠(PTP)×20]500錠[10錠(PTP)×50]900錠[15錠(PTP)×60]
1) 厚生労働省健康局結核感染症課編:抗微生物薬適正使用の手引き
2) Sieb,J.P.:Neurology.1998;50:804-807
3) 社内資料:関節に及ぼす影響
4) 橋本 茂一:化学療法の領域.1990;6(8):1694-1705
5) 河村 正三ほか:Chemotherapy.1988;36(S-9):1341-1353
6) 那須 勝ほか:Chemotherapy.1988;36(S-9):699-709
7) 津川 昌也ほか:Chemotherapy.1988;36(S-9):1074-1090
8) 高橋 久ほか:Chemotherapy.1988;36(S-9):1288-1327
9) 張 南薫ほか:Chemotherapy.1988;36(S-9):1214-1228
10) 谷村 弘ほか:Chemotherapy.1988;36(S-9):814-841
11) 佐々木次郎ほか:Chemotherapy.1988;36(S-9):1488-1507
12) 矢田 浩二ほか:Chemotherapy.1988;36(S-9):1426-1429
13) 鳴嶋 眞人ほか:基礎と臨床.1992;26(8):2731-2734
14) 中村 孝ほか:Chemotherapy.1988;36(S-9):710-726
15) 田井 賢ほか:Chemotherapy.1988;36(S-9):208-215
16) 中島 光好ほか:Chemotherapy.1988;36(S-9):158-180
17) 前田 浩志ほか:Chemotherapy.1988;36(S-9):187-194
18) 藤森 一平ほか:Chemotherapy.1989;37(8):1086-1118
19) 河田 幸道ほか:Chemotherapy.1989;37(5):646-669
20) 松田 静治ほか:Chemotherapy.1989;37(7):923-968
21) 高橋 久ほか:Chemotherapy.1989;37(6):796-837
22) 馬場 駿吉ほか:耳鼻と臨床.1989;35(3):540-562
23) 佐々木次郎ほか:歯科薬物療法.1989;8(1):31-56
24) 神山 朋子ほか:あたらしい眼科.2006;23(別巻):3-11
25) 藤巻 一雄ほか:Chemotherapy.1988;36(S-9):1-18
26) 中尾 偕主ほか:西日本泌尿器科.1994;56(4):461-464
27) 守殿 貞夫:“16-2,前立腺炎,精巣上体炎”,上田泰ほか編,キノロン薬.ライフ・サイエンス.1991:182-188
28) 大西 健児ほか:綜合臨牀.1993;42(8):2571-2577
29) 入交昭一郎ほか:感染症学雑誌.1996;70(7):727-745
30) 西野 武志ほか:Chemotherapy.1988;36(S-9):68-88
31) 保田 隆ほか:Chemotherapy.1988;36(S-9):110-115
32) 五島瑳智子ほか:Chemotherapy.1988;36(S-9):36-58
33) 山城 芳子ほか:Chemotherapy.1994;42(3):297-304
34) Noumi,T.,et al.:Antimicrob.Agents Chemother.1990;34(6):949-953
35) 加藤 直樹ほか:Chemotherapy.1988;36(S-9):59-67
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