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劇薬
処方箋医薬品注)
*〇新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症(ただし、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分なものに限る。)〇重症熱性血小板減少症候群ウイルス感染症
通常、成人にはファビピラビルとして1日目は1回1600mgを1日2回、2日目から5日目は1回600mgを1日2回経口投与する。総投与期間は5日間とすること。
通常、成人にはファビピラビルとして1日目は1回1800mgを1日2回、2日目から10日目は1回800mgを1日2回経口投与する。総投与期間は10日間とすること。
血中尿酸値が上昇し、痛風発作があらわれることがある。
投与は推奨されない。本剤投与の可否はリスクとベネフィットを考慮して慎重に判断すること。本剤の曝露量が著しく増加し、副作用が強くあらわれるおそれがある。,
投与開始前にリスクを十分に検討し、慎重に投与すること。本剤の曝露量が増加し、副作用が強くあらわれるおそれがある。,
投与開始前に妊娠検査を行い、陰性であることを確認した上で、投与を開始すること。また、その危険性について十分に説明した上で、投与期間中及び投与終了後10日間はパートナーと共に極めて有効な避妊法の実施を徹底するよう指導すること。なお、本剤の投与期間中に妊娠が疑われる場合には、直ちに投与を中止し、医師等に連絡するよう患者を指導すること。,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験において、臨床曝露量と同程度又は下回る用量で初期胚の致死(ラット)及び催奇形性(サル、マウス、ラット及びウサギ)が認められている1),2) 。,,,
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤の主代謝物である水酸化体がヒト母乳中へ移行することが認められている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。動物実験において、幼若イヌ[8週齢]に1ヵ月間投与した試験では、若齢イヌ[7~8ヵ月齢]の致死量より低用量(60mg/kg/日)で投与20日以降に途中死亡例が認められている。幼若動物(ラット[6日齢]及びイヌ[8週齢])では、異常歩行、骨格筋線維の萎縮及び空胞化、心乳頭筋の変性/壊死及び鉱質沈着などが認められている3) 。
患者の状態を観察しながら投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。
ピラジナミド
血中尿酸値が上昇する。ピラジナミド1.5g 1日1回、本剤1200mg/400mg 1日2回が投与されたとき、血中尿酸値は、ピラジナミド単独投与時及び本剤併用投与時でそれぞれ11.6mg/dL及び13.9mg/dLであった。
腎尿細管における尿酸の再吸収を相加的に促進させる。
*CYP2C8で代謝される薬剤
左記薬剤の血中濃度が上昇し、左記薬剤の副作用が発現するおそれがある。
CYP2C8を阻害することにより、左記薬剤の血中濃度を上昇させる。
テオフィリン6)
本剤の血中濃度が上昇し、本剤の副作用が発現するおそれがある。
XOを介した相互作用により、本剤の血中濃度を上昇させることが考えられる。
ファムシクロビル
スリンダク
これらの薬剤の効果を減弱させるおそれがある。
本剤がAOを阻害する4) ことにより、これらの薬剤の活性化体の血中濃度を低下させることが考えられる。
因果関係は不明であるものの、インフルエンザ罹患時には、転落等に至るおそれのある異常行動(急に走り出す、徘徊する等)があらわれることがある。
1%以上
0.5~1%未満
0.5%未満
頻度不明
*過敏症
発疹
―
湿疹、そう痒症、紅斑
肝臓
AST増加、ALT増加、γ-GTP増加
血中ALP増加、血中ビリルビン増加
*腎臓
尿中ブドウ糖陽性
尿中血陽性
*消化器
下痢(4.5%)
悪心、腹痛、嘔吐
腹部不快感、胃炎、十二指腸潰瘍、血便排泄、口内炎
*血液
好中球数減少、白血球数減少
白血球数増加、網状赤血球数減少、単球数増加、リンパ節症
*代謝異常
血中尿酸増加(7.0%)注1) 、血中トリグリセリド増加
痛風注1) 、血中カリウム減少
*呼吸器
喘息、口腔咽頭痛、鼻炎、鼻咽頭炎、誤嚥性肺炎
*その他
味覚異常、血中CK増加、心電図QT延長、扁桃腺ポリープ、蜂巣炎、霧視、眼痛、回転性めまい、上室性期外収縮、心室性期外収縮、心電図ST-T部分異常、心電図T波逆転、色素沈着、筋肉痛、挫傷
発熱
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
動物実験において、ラット[12週齢]及び若齢イヌ[7~8ヵ月齢]で精巣の病理組織学的変化、マウス[11週齢]で精子の異常が認められている。なお、いずれも休薬により回復又は回復傾向が認められている7),8) 。
健康成人8例に本剤を1日目は1回1600mgを1日2 回、2日目から6日目は1回600mgを1日2回(6日目は1回のみ)経口投与(1600mg/600mg BID)したときの薬物動態パラメータは次のとおりであった。
投与方法
例数
Cmax注2)(μg/mL)
AUC注2),注3)(μg・hr/mL)
Tmax注4)(hr)
t1/2注5)(hr)
1600mg/600mgBID
1日目
8
64.56[17.2]
446.09[28.1]
1.5[0.75,4]
4.8±1.1
6日目
64.69[24.1]
553.98[31.2]
1.5[0.75,2]
5.6±2.3
図1 本剤の血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)
健康成人8例に本剤を1日目は1回1800mgを1日2回、2日目から22日目は1回800mgを1日2回(22日目は1回のみ)経口投与(1800mg/800mg BID)したときの薬物動態パラメータは次のとおりであった9) 。
Cmax注6)(μg/mL)
AUC注6),注7)(μg・hr/mL)
Tmax注8)(hr)
t1/2注9)(hr)
1800mg/800mgBID
8注10)
65.06[22.7]
724.56[47.1]
1.5[1,4]
7.5±2.7
12日目
7
104.08[21.3]
966.41[23.9]
1.5[0.5,2]
17.6±7.4
22日目
100.39[21.3]
932.44[24.6]
8.1±2.6
図2 本剤の血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)
アルデヒドオキシダーゼ(AO)活性がほとんどないと考えられる健康成人1例に本剤を7日間反復経口投与[本剤を1日目初回は1200mg、1日目2回目は400mg、2日目から6日目は1回400mgを1日2回、7日目は400mgを1回投与]注11) したとき、投与1日目及び投与7日目の未変化体のAUCの推定値は、それぞれ1452.73μg・hr/mL及び1324.09μg・hr/mLであった10) 。
健康成人15例にクロスオーバー法により本剤1200mgを空腹時及び食後に単回経口投与注11) したところ、本剤の空腹時に対する食後投与のCmax及びAUCの幾何平均の比[90%信頼区間]は、それぞれ0.908[0.826,0.998]及び0.963[0.888,1.044]であり、比の90%信頼区間はあらかじめ定めた範囲内(0.80~1.25)であった11) 。
健康成人男性20例に本剤を1日目は1回1200 mgを1日2回、2日目から5日目は1回800 mgを1日2回経口投与(1200mg/800 mg BID)注11) したときの本剤の精液中濃度(幾何平均)は投与3日目及び投与終了後2日目でそれぞれ18.341μg/mL及び0.053μg/mLであり、投与終了後7日目にはすべての被験者で定量下限(0.02μg/mL)未満となった12) 。また、精液/血漿中濃度比(平均値)は投与3日目及び投与終了後2日目でそれぞれ0.53及び0.45であった(外国人データ)。
本剤のヒト血清蛋白結合率は、0.3~30μg/mLの濃度において、53.4~54.4%であった(in vitro、遠心限外濾過法)。
サルに14C-ファビピラビルを単回経口投与したとき、各組織に広く移行した。各組織の放射能濃度は投与後0.5時間に最高値を示した後、血漿中放射能濃度と平行した推移を示した。投与後0.5時間の肺内放射能濃度の血漿中濃度比は0.51であり、投与後、呼吸器系組織に速やかに移行した。また、投与後0.5時間の腎臓中放射能濃度は血漿中よりも高く、血漿中濃度比は2.66であった。骨を除く各組織の放射能濃度は、投与後24時間までに最高濃度の2.8%以下に低下した13) 。
本剤はチトクロームP-450(CYP)で代謝されず、主にAO、一部はキサンチンオキシダーゼ(XO)により水酸化体に代謝された。ヒト肝サイトゾルを用いて本剤の代謝を検討した結果、水酸化体の生成は3.98~47.6pmol/mg protein/minであり、AO活性には最大で12倍の個体間差が認められた4) 。また、水酸化体以外の代謝物として、ヒト血漿中及び尿中にグルクロン酸抱合体が認められた。
本剤は主に水酸化体として尿中に排泄され、未変化体はわずかであった。健康成人6例に本剤を7日間反復経口投与[本剤を1日目初回は1200mg、1日目2回目は400mg、2日目から6日目は1回400mgを1日2回、7日目は400mgを1回投与]注11) したときの最終投与後48時間までの未変化体及び水酸化体の累積尿中排泄率は、それぞれ0.8%及び53.1%であった10) 。
軽度及び中等度肝機能障害患者(Child-Pugh分類クラスA及びB、各6例)に、本剤を1日目は1回1200mgを1日2回、2日目から5日目は1回800mgを1日2回経口投与(1200mg/800mg BID)注11) したとき、投与5日目のCmax及びAUCは、健康成人に同様の用法及び用量で投与した場合と比べて、軽度肝機能障害患者ではそれぞれ約1.6倍及び約1.7倍、中等度肝機能障害患者ではそれぞれ約1.4倍及び約1.8倍であった。重度肝機能障害患者(Child-Pugh分類クラスC、4例)に、本剤を1日目は1回800mgを1日2回、2日目から3日目は1回400mgを1日2回経口投与(800mg/400mg BID)注11) したとき、投与3日目のCmax及びAUCは、健康成人に同様の用法及び用量で投与した場合と比べて、それぞれ約2.1倍及び約6.3倍であった(外国人データ)14) 。,
軽度、中等度及び重度腎機能障害患者(CLcr:60~89mL/min、30~59mL/min及び30mL/min未満の透析していない患者、各4例)に、本剤1800mgを単回経口投与注11) したとき、Cmax及びAUCinfは、本剤1800mgを単回経口投与した健康成人と比べて、軽度腎機能障害患者ではそれぞれ約1.0倍及び約1.2倍、中等度腎機能障害患者ではいずれも約0.9倍、重度腎機能障害患者ではそれぞれ約1.0倍及び約1.2倍であった。 本剤の代謝物である水酸化体のCmax及びAUCinfは、本剤1800mgを単回経口投与した健康成人と比べて、軽度腎機能障害患者ではそれぞれ約1.1倍及び約1.2倍、中等度腎機能障害患者ではそれぞれ約1.6倍及び約2.2倍、重度腎機能障害患者ではそれぞれ約2.5倍及び約6.5倍であった(外国人データ)15) 。
本剤はAO活性を不可逆的に阻害した4) 。また、CYP2C8、CYP3A、OAT1、OAT3、MATE1及びMATE2-Kを阻害した。
臨床薬物相互作用試験の結果は次のとおりであった。
併用薬剤及び用量
本剤の用量
投与時期
本剤の薬物動態パラメータの比[90%信頼区間]
(併用投与/単独投与)
Cmax
AUC
テオフィリン6)1~9日目に200mg 1日2回、10日目に200mg 1日1回
6日目に600mg 1日2回、7~10日目に600mg 1日1回
10
1.33[1.19,1.48]
1.27[1.15,1.40]
7日目
1.03[0.92,1.15]
1.17[1.04,1.31]
オセルタミビル16)1~5日目に75mg 1日2回、6日目に75mg 1日1回
5日目に600mg 1日2回、6日目に600mg 1日1回
0.98[0.87,1.10]
1.01[0.91,1.11]
ラロキシフェン1~3日目に60mg 1日1回注12)
1日目に1200mg 1日2回、2日目に800mg 1日2回、3日目に800mg 1日1回
17
1.00[0.90,1.10]
1.03[0.95,1.12]
3日目
0.90[0.81,0.99]
0.85[0.79,0.93]
ヒドララジン1、5日目に5mg 1日1回
1日目初回に1200mg、2回目に400mg、2~4日目に400mg 1日2回、5日目に400mg 1日1回
14
0.99[0.92,1.06]
0.99[0.92,1.07]
5日目
0.96[0.89,1.04]
1.04[0.96,1.12]
併用薬剤の薬物動態パラメータの比[90%信頼区間] (併用投与/単独投与)
0.93[0.85,1.01]
0.92[0.87,0.97]
10日目
0.99[0.94,1.04]
0.97[0.91,1.03]
1.10[1.06,1.15]
1.14[1.10,1.18]
アセトアミノフェン1、5日目に650mg 1日1回注12)
1日目に1200mg 1日2回、2~4日目に800mg 1日2回、5日目に800mg 1日1回
28
1.03[0.93,1.14]
1.16[1.08,1.25]
1.08[0.96,1.22]
1.14[1.04,1.26]
ノルエチンドロン/エチニルエストラジオール配合剤
1~5日目に1mg/0.035mg 1日1回注12)
25
12日目注13)
1.23[1.16,1.30]
1.47[1.42,1.52]
12日目注14)
1.48[1.42,1.54]
1.43[1.39,1.47]
レパグリニド13日目に0.5mg 1日1回注12)
13日目
1.28[1.16,1.41]
1.52[1.37,1.68]
0.73[0.67,0.81]
0.87[0.78,0.97]
0.79[0.71,0.88]
0.91[0.82,1.01]
トリアゾラム1、4日目に0.25mg 1日1回
3日目に1800mg 1日2回、4日目に800mg 1日2回
12
4日目
1.12[0.89,1.42]
メトホルミン1、4日目に250mg 1日1回
0.96[0.87,1.07]
1.01[0.94,1.09]
A型又はB型インフルエンザウイルス感染症患者(成人)を対象として、プラセボを対照とした第I/Ⅱ相試験[本剤を1日目は1回1800mgを1日2回、2日目から5日目は1回800mgを1日2回経口投与(1800mg/800mg BID)及び本剤を1日目初回は2400mg、2回目及び3回目は1回600mg、2日目から5日目は1回600mgを1日3回経口投与(2400mg/600mg TID)]注15) を実施した。主要評価項目である罹病期間注16) について、プラセボ群(88例)と本剤1800mg/800mg BID群(101例)との対比較では、統計学的に有意な差が認められたが(p=0.01、Gehan-Wilcoxon test)、本剤2400mg/600mg TID群(82例)との対比較では、統計学的に有意な差は認められなかった(p=0.414、Gehan-Wilcoxon test)。本剤群において、副作用は認められなかった。
図1 インフルエンザ主要症状罹病期間
A型又はB型インフルエンザウイルス感染症患者(成人)を対象として、プラセボを対照とした第Ⅲ相試験[本剤を1日目は1800mgを1日2回、2日目から5日目は1回800mgを1日2回経口投与(1800mg/800mg BID)]注15) について、主要評価項目をインフルエンザ主要症状罹病期間注17) と設定し、実施した結果は以下のとおりであった。
本剤群(301例)
プラセボ群(322例)
イベント数
288
306
中央値[95%信頼区間]
(時間)
84.2[77.1,95.7]
98.6[94.6,107.1]
p値(Peto-Peto-Prentice検定)
0.004
図2 主要評価項目注17) に係るKaplan-Meierプロット図(ITTI集団)
副作用発現頻度は、本剤群で7.9%(34/428例)で、主な副作用は、浮動性めまい1.2%(5/428例)であった。
本剤群(526例)
プラセボ群(169例)
505
163
77.8[72.3,82.5]
83.9[76.0,95.5]
0.303
図3 主要評価項目注17) に係るKaplan-Meierプロット図(ITTI集団)
副作用発現頻度は、本剤群で10.2%(88/861例)で、主な副作用は、血中トリグリセリド増加2.0%(17/861例)、悪心1.5%(13/861例)、下痢1.3%(11/861例)であった。
A型又はB型インフルエンザウイルス感染症患者(成人)を対象として、オセルタミビルリン酸塩(1回75mg1日2回、5日間)を対照とした国際共同第Ⅲ相試験[本剤を1日目初回は1200mg、1日目2回目は400mg、2日目から5日目は1回400mgを1日2回経口投与]注15) を実施した[757例(日本540例、韓国78例、台湾139例)]。インフルエンザ主要症状罹病期間注18) の中央値[95%信頼区間]は、本剤群(377例)で63.1[55.5,70.4]時間、オセルタミビルリン酸塩群(380例)で51.2[45.9,57.6]時間であり、オセルタミビルリン酸塩群に対する本剤群のハザード比[95%信頼区間]は、0.818[0.707,0.948]であり、本剤の有効性は示されなかった(p=0.007、log-rank test)。副作用発現頻度は、本剤群で19.8%(75/378例)であった。主な副作用は、血中尿酸増加5.6%(21/378例)、下痢4.2%(16/378例)、血中トリグリセリド増加1.9%(7/378例)であった。
A型又はB型インフルエンザウイルス感染症患者(成人)を対象として、プラセボを対照とした海外第Ⅱ相試験[本剤を1日目は1回1000mgを1日2回、2日目から5日目は1回400mgを1日2回経口投与(1000mg/400mg BID)、本剤を1日目は1回1200mgを1日2回、2日目から5日目は1回800mgを1日2回経口投与(1200mg/800mg BID)及びプラセボを1日2回経口投与]注15) を実施した。インフルエンザ主要症状罹病期間注19) の中央値[95%信頼区間]は、本剤1000mg/400mg BID群(88例)で100.4[82.4,119.8]時間、本剤1200mg/800mg BID群(121例)で86.5[79.2,102.1]時間、プラセボ群(124例)で91.9[70.3,105.4]時間であり、プラセボ群との対比較において、本剤群のいずれにおいても、統計学的に有意な差は認められなかった(p>0.05、Gehan-Wilcoxon test、検定の多重性はStep-down法で調整)。
副作用発現頻度は、本剤1000mg/400mg BID群で18.9%(25/132例)、本剤1200mg/800mg BID群で19.6%(37/189例)であった。主な副作用は、本剤1000mg/400mg BID群で下痢2.3%(3/132例)、血中尿酸増加2.3%(3/132例)、本剤1200mg/800mg BID群で下痢3.2%(6/189例)、血中尿酸増加3.2%(6/189例)であった。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)患者を対象として、国内第Ⅲ相試験[本剤を1日目は1回1800mgを1日2回、2日目から10日目は1回800mgを1日2回経口投与]を実施した。主たる有効性解析対象例(mITTE)注20) における、主要評価項目である本剤投与開始から28日目までの累積致死率は 15.8%(3/19例)[95%信頼区間:3.4,39.6%]であり、事前設定された致死率の閾値(12.5%)注21) の点推定値を上回った。副作用発現頻度は70.0%(21/30例)で、主な副作用は、高尿酸血症23.3%(7/30例)、血中尿酸増加20.0%(6/30例)、高トリグリセリド血症10.0%(3/30例)、発疹6.7%(2/30例)、心電図QT延長6.7%(2/30例)であった。
*細胞内でリボシル三リン酸体(ファビピラビルRTP)に代謝され、ファビピラビルRTPがインフルエンザウイルスや重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルスの複製に関与するRNAポリメラーゼを選択的に阻害すると考えられている17),18) 。ヒト由来DNAポリメラーゼα、β及びγに対して、ファビピラビルRTP(1000μmol/L)は、αへの阻害作用は示さず、βに対して9.1〜13.5%、γに対して11.7〜41.2%の阻害作用を示した。また、ファビピラビルRTPのヒト由来RNAポリメラーゼⅡに対する阻害作用(IC50値)は、905μmol/Lであった19) 。
A型及びB型インフルエンザウイルス実験室株に対するEC50値は、0.014〜0.55μg/mLであり、抗ウイルス活性を示した。アダマンタン(アマンタジン及びリマンタジン)、オセルタミビル及びザナミビル耐性株を含む季節性のA型及びB型インフルエンザウイルスに対するEC50値は、それぞれ0.03〜0.94μg/mL及び0.09〜0.83μg/mLであった。豚由来A型及び高病原性株を含む鳥由来A型(H5N1、H7N9株を含む)をはじめとするA型インフルエンザウイルス(アダマンタン、オセルタミビル及びザナミビル耐性株を含む)に対するEC50値は、0.06〜3.53μg/mLであった。アダマンタン、オセルタミビル及びザナミビル全てに耐性のA型及びB型インフルエンザウイルスに対するEC50値は0.09〜0.47μg/mLであり、交差耐性を示さなかった19),20) 。SFTSウイルスの各種臨床分離株(J1型、J2型、J3型、C3型、C4型及びC5型)に対して抗ウイルス活性を示し、EC90値は14.83~38.73μmol/L(2.33~6.08μg/mL)、EC99値は48.20~79.40μmol/L(7.57~12.47μg/mL)であった。
インフルエンザウイルスA(H7N9)、A(H1N1)pdm09及びA(H3N2)によるマウス感染モデルにおいて、60mg/kg/日以下の5日間経口投与により肺内ウイルス量を低下させた21),22),23) 。インフルエンザウイルスA(H3N2)及びA(H5N1)によるマウス感染モデルにおいて、30mg/kg/日の5日間経口投与により治療効果を示した19),23) 。また、インフルエンザウイルスA(H3N2)による重症複合型免疫不全マウス感染モデルにおいて、30mg/kg/日の14日間の経口投与により治療効果を示した24) 。SFTSウイルスによるマウス感染モデルにおいて、120mg/kg/日及び200mg/kg/日の5日間経口投与により、生存率及び体重変化を指標とする治療効果を示し、血中ウイルス RNA量を低下させた25) 。
ファビピラビル存在下で30代まで継代したA型インフルエンザウイルスのファビピラビルに対する感受性に変化はなく、耐性ウイルスは選択されなかった19) 。なお、国際共同第Ⅲ相試験をはじめとする臨床試験において、本剤耐性インフルエンザウイルスの出現状況に関する情報は得られていない。ファビピラビル存在下で10代まで継代したSFTSウイルスにおいて、ファビピラビルに対する感受性の低下は観察されず、耐性ウイルスは選択されなかった。なお、国内第Ⅲ相試験において、本剤耐性SFTSウイルスの出現状況に関する情報は得られていない。
ファビピラビル(Favipiravir)
6-Fluoro-3-hydroxypyrazine-2-carboxamide
C5H4FN3O2
157.10
白色~淡黄色の粉末である。アセトニトリル又はメタノールにやや溶けにくく、水又はエタノール(99.5)に溶けにくい。
187~193℃
90錠[10錠(PTP)×9]100錠[10錠(PTP)×10]
1) 社内資料:生殖発生毒性試験・ラット(承認年月日:2014年3月24日、CTD2.6.6.6.1、2.6.6.6.2)
2) 社内資料:生殖発生毒性試験・マウスほか(承認年月日:2014年3月24日、CTD2.6.6.6)
3) 社内資料:毒性試験・幼若イヌほか(承認年月日:2014年3月24日、CTD2.6.6.9.4.3)
4) 社内資料:代謝(承認年月日:2014年3月24日、CTD2.6.4.5.3、2.6.4.7)
5) 社内資料:薬物相互作用(承認年月日:2014年3月24日、CTD2.6.4.7、2.6.4.8)
6) 社内資料:テオフィリン併用試験(承認年月日:2014年3月24日、CTD2.7.6.6.1)
7) 社内資料:毒性試験・イヌ(承認年月日:2014年3月24日、CTD2.6.6.3.3)
8) 社内資料:精巣毒性試験・マウスほか(承認年月日:2014年3月24日、CTD2.6.6.9.4.2)
9) 社内資料:22日間反復投与試験
10) 社内資料:高用量反復投与試験(承認年月日:2014年3月24日、CTD2.7.6.4.5)
11) 社内資料:食事の影響試験(承認年月日:2014年3月24日、CTD2.7.6.1.2)
12) 社内資料:精液移行性試験(承認年月日:2014年3月24日、CTD2.7.6.7.3)
13) 社内資料:体内動態・動物(承認年月日:2014年3月24日、CTD2.6.4.4)
14) 社内資料:肝機能障害患者の薬物動態
15) 社内資料:腎機能障害患者の薬物動態
16) 社内資料:オセルタミビル併用試験(承認年月日:2014年3月24日、CTD2.7.6.6.2)
17) Furuta Y,et al.:Antimicrob.Agents Chemother.2005;49:981-986
18) Yamada H,et al.:Viruses.2021;13(6):1061-1073
19) 高橋和美 ほか:医学と薬学.2011;66:429-441
20) 社内資料:抗ウイルス活性と交差耐性(承認年月日:2014年3月24日、CTD2.6.2.2.1)
21) Ito Y,et al.:Nature.2009;460:1021-1025
22) Watanabe T,et al.:Nature.2013;501:551-555
23) 社内資料:治療効果・マウス(承認年月日:2014年3月24日、CTD2.6.2.2.2)
24) 社内資料:治療効果・免疫不全マウス(承認年月日:2014年3月24日、CTD2.6.2.2.2.6)
25) Tani H,et al.:PLoS One.2018;13(10):e0206416
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