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MELAS症候群における脳卒中様発作の抑制においては、臨床試験に組み入れられた患者のミトコンドリア遺伝子の変異型について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
タウリンとして、成人1回1gを1日3回食後に経口投与する。なお、うっ血性心不全に用いる場合、本剤は強心利尿剤で十分な効果が認められないときに、それと併用すること。
体重
1回量
15kg未満
1g
15kg以上25kg未満
2g
25kg以上40kg未満
3g
40kg以上
4g
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。
頻度不明注1)
消化器
悪心、下痢、腹部不快感、便秘、軟便、食欲減退
過敏症
発疹
その他
脱力感
20%以上注2)
20%未満注2)
精神神経系
不眠症
口内炎
便秘、下痢、胃食道逆流性疾患、裂孔ヘルニア、胃腸炎、食欲減退
頻尿、四肢痛、γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加、血中クレアチンホスホキナーゼ増加
健康成人にタウリンとして2gを空腹時単回経口投与した場合、投与約1時間後で最高血中濃度84µg/mLに達し、7時間後には通常の生体内濃度にまで減少した。血中濃度半減期は約2時間であった1) 。
ラットへの経口投与による検討では、投与3時間後で投与量の約20%が肝臓に取り込まれ、腎臓には30分後に約7%が分布し以後急速に低下した。一方、心臓、骨格筋では経日的に徐々に増加するが、脳・脊髄系にはほとんど取り込まれなかった2) 。
経口投与した場合、一部分イセチオン酸などへ代謝分解を受け、また一部はタウリン抱合型胆汁酸となるが、主に未変化体として排泄された3),4) (外国人データ)。
経口投与した場合、主に未変化体として尿中に排泄され、糞中には、投与量の2%以下が排泄されたのみであった4) (外国人データ)。
血清ビリルビン5mg/dL以上の急性肝炎を対象にタウリンとして3g/日を6週間投与した二重盲検比較試験を行った結果、肝機能改善度は「改善」以上が75.4%(49/65例)、「軽度改善」以上が100%(65/65例)であり、AST、ALTの改善が認められた。副作用は消化器症状(4/96例)、発疹(2/96例)であった5) 。
うっ血性心不全を対象にタウリンとして3g/日を6週間投与した二重盲検比較試験を行った結果、本剤の有用性が認められ、全般改善度において「中等度改善」以上が26.7%(12/45例)、「軽度改善」以上が73.3%(33/45例)であった。副作用は認められなかった6) 。
MELAS症候群患者注3) (10例)を対象に、タウリンとして、それぞれ12g/日(体重40kg以上)、9g/日(体重25kg以上40kg未満)、6g/日(体重15kg以上25kg未満)又は3g/日(体重15kg未満)を52週間投与し、主要評価項目である投与開始9週以降52週までの44週間での脳卒中様発作回数が0回であった症例の割合は60%(6/10例)であった。また、変異型別の脳卒中様発作回数が0回であった症例の割合はA3243Gが55.6%(5/9例)、T3271Cが100%(1/1例)であった7) 。副作用は、10例のうち6例(60%)に認められた。便秘、下痢、胃食道逆流性疾患、裂孔ヘルニア、口内炎、胃腸炎、γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加、食欲減退、不眠症及び頻尿が各1例に認められた8) 。
肝臓に対し、胆汁酸の抱合体形成に関与して胆汁酸分泌を亢進させる。さらに、肝細胞保護作用、肝細胞賦活作用(肝細胞の再生促進、肝ATPの増加)を有しており、これらの作用により、肝機能異常を改善する。
心臓に対し、心筋におけるCa2+動態を調節することで心筋の収縮力を調節するとともに、心筋保護・心筋代謝改善作用を合わせ持ち、心機能の低下を包括的に改善させる。
MELAS症候群の発症機序と発症における体内のタウリンの関与について、現時点で詳細に解明されていないものの、タウリン大量投与によりタウリン修飾が改善することでミトコンドリアの機能を改善する機序が考えられる。MELASモデル培養細胞をタウリン存在下で培養した結果、酸素消費量及びミトコンドリアの膜電位で改善が認められたことから、脳軟膜における小動脈の血管内皮細胞及び血管平滑筋細胞等におけるミトコンドリアの機能異常がタウリンにより改善すると考えられる。
ウサギに経口投与した場合、肝胆汁量及び総胆汁量は投与後3~6時間で約2倍に増加し、また単位胆汁量中胆汁酸濃度、単位時間内胆汁酸排泄量は、ともに増加した9) 。
四塩化炭素及び黄リン投与による肝障害ウサギに経口投与し、その肝機能の経過を観察したところ、Al-P、γ-グロブリン、BSP、血清コレステロール/血清コレステロールエステル比を改善させた。また、病理組織学的検討では、肝臓の毒性障害を急速に改善し、肝細胞の再生を促進して組織像を改善させた。さらに慢性障害群においては間質の結合組織増殖を抑制した10) 。
ラット灌流肝を用いた実験において、虚血や低酸素時にみられる肝ATPの低下を軽減することにより、胆汁分泌などの肝細胞機能維持に働いた11) 。
ウサギ生体心臓において、心拍数には影響を与えず心拍出量を増加させた12) 。また、摘出モルモット心室筋を用いた実験により低Ca2+状態では陽性変力作用を、また高Ca2+状態では陰性変力作用を示したことから、タウリンは細胞外液中のCa2+濃度に応じて二相性の作用を示しCa2+modulatorとしての役割を果たすと考えられた13),14) 。
300beats/min駆動時の摘出ラット心臓においてATP産生を亢進させた15) 。また、虚血モルモット心筋からの酵素流出を抑制し、虚血からの細胞保護作用を示した16) 。
ウサギを用いた大動脈弁閉鎖不全による慢性うっ血性心不全において死亡率の低下を示した17) 。
MELASモデル培養細胞(Cybrid細胞)において、酸素消費量、膜電位、酸化状態の改善が認められた18) (in vitro)。
タウリン(taurine)
2-Aminoethanesulfonic acid
C2H7NO3S
125.15
無色又は白色の結晶、若しくは白色の結晶性の粉末である。水にやや溶けやすく、エタノール(99.5)にほとんど溶けない。本品の水溶液(1→20)のpHは4.1~5.6である。
311~312℃
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
1kg[500g×2]
分包1.02g×90包、1.02g×1200包
1) 社内資料(薬物動態・吸収に関する資料)[T080001]
2) 岩田平太郎ほか:応用薬理. 1978 ; 16 : (2) 179-187
3) Jacobsen JG, et al. : Nature. 1967 ; 214 : 1247-1248
4) Wainer A, et al. : Proc Soc Exp Biol Med. 1966 ; 121 : 212-216
5) 伊藤 圓ほか:肝胆膵. 1985 ; 10 (5) : 819-833
6) 山村雄一ほか:医学のあゆみ. 1988 ; 147 (2) : 141-158
7) 砂田芳秀. 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等実用化研究事業 ミトコンドリア脳筋症MELASの脳卒中様発作に対するタウリン療法の開発(H24-難治等(難)-一般-068)平成24~26年度総合研究報告書. 2015
8) 社内資料:第Ⅲ相試験(2019年2月21日承認、CTD 2.5.5.1)[T080002]
9) 三宅 博ほか:福岡医学雑誌. 1962 ; 53 : 695-702
10) 松岡武恒:長崎医学会雑誌. 1960 ; 35 : 352-365
11) 中島年和ほか:含硫アミノ酸. 1987 ; 10 (2) : 259-264
12) Awata N, et al. : Cardiovascular Res. 1987 ; 21 : 241-247
13) Franconi F, et al. : Biochem Pharmacol. 1982 ; 31 (20) : 3181-3185
14) Kramer JH, et al. : Am J Physiol. 1981 ; 240 (2) : H238-H246
15) Schaffer SW, et al. : Sulfur Amino Acids : Biochemical and Clinical Aspects, Alan R. Liss, Inc., New York. 1983 ; 39-50
16) Franconi F, et al. : Taurine : Biological Actions and Clinical Perspectives, Alan R.Liss, Inc., New York. 1985 ; 177-182
17) Azuma J, et al. : Res Commun Chem Pathol Pharm. 1984 ; 45 : 261-270
18) Rikimaru M, et al. : Intern Med. 2012 ; 51 (24) : 3351-3357
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