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パンスポリン静注用0.25g/パンスポリン静注用0.5g/パンスポリン静注用1g/パンスポリン静注用1gバッグS/パンスポリン静注用1gバッグG

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.2腎機能障害患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
9.8高齢者
10.相互作用
10.2併用注意(併用に注意すること)
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
12.臨床検査結果に及ぼす影響
14.適用上の注意
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.3分布
16.4代謝
16.5排泄
16.6特定の背景を有する患者
17.臨床成績
17.2製造販売後調査等
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2抗菌作用
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

パンスポリン静注用0.25g/パンスポリン静注用0.5g/パンスポリン静注用1g/パンスポリン静注用1gバッグS/パンスポリン静注用1gバッグG

添付文書番号

6132400F1033_2_05

企業コード

400061

作成又は改訂年月

2023年9月改訂

日本標準商品分類番号

876132

薬効分類名

セフェム系抗生物質製剤

承認等

パンスポリン静注用0.25g

販売名コード

YJコード

6132400F1033

販売名英語表記

PANSPORIN INTRAVENOUS

販売名ひらがな

ぱんすぽりんじょうちゅうよう0.25g

承認番号等

承認番号

15500EMZ01289

販売開始年月

1981年2月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

3年

基準名

日本薬局方

注射用セフォチアム塩酸塩

パンスポリン静注用0.5g

販売名コード

YJコード

6132400F2030

販売名英語表記

PANSPORIN INTRAVENOUS

販売名ひらがな

ぱんすぽりんじょうちゅうよう0.5g

承認番号等

承認番号

15500EMZ01290

販売開始年月

1981年2月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

3年

基準名

日本薬局方

注射用セフォチアム塩酸塩

パンスポリン静注用1g

販売名コード

YJコード

6132400F3036

販売名英語表記

PANSPORIN INTRAVENOUS

販売名ひらがな

ぱんすぽりんじょうちゅうよう1g

承認番号等

承認番号

15500EMZ01291

販売開始年月

1981年2月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

3年

基準名

日本薬局方

注射用セフォチアム塩酸塩

パンスポリン静注用1gバッグS

販売名コード

YJコード

6132400G3023

販売名英語表記

PANSPORIN INTRAVENOUS

販売名ひらがな

ぱんすぽりんじょうちゅうよう1gばっぐS

承認番号等

承認番号

20800AMZ10151

販売開始年月

1996年12月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

2年6ヵ月

基準名

日本薬局方

注射用セフォチアム塩酸塩

パンスポリン静注用1gバッグG

販売名コード

YJコード

6132400G4020

販売名英語表記

PANSPORIN INTRAVENOUS

販売名ひらがな

ぱんすぽりんじょうちゅうよう1gばっぐG

承認番号等

承認番号

20800AMZ10150

販売開始年月

1996年12月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

2年6ヵ月

基準名

日本薬局方

注射用セフォチアム塩酸塩

一般的名称

注射用セフォチアム塩酸塩

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  • 〈製剤共通〉
    1. 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 〈5%ブドウ糖注射液添付のバッグ製剤〉
    1. 2.2 低張性脱水症の患者[電解質を含まない糖液を投与すると脱水が増悪することがある。]

3. 組成・性状

3.1 組成

パンスポリン静注用0.25g

有効成分1バイアル中:セフォチアム塩酸塩   0.25g(力価)
添加剤1バイアル中:L-アルギニン(127mg)、無水炭酸ナトリウム(20.3mg)

パンスポリン静注用0.5g

有効成分1バイアル中:セフォチアム塩酸塩   0.5g(力価)
添加剤1バイアル中:L-アルギニン(254mg)、無水炭酸ナトリウム(40.5mg)

パンスポリン静注用1g

有効成分1バイアル中:セフォチアム塩酸塩   1g(力価)
添加剤1バイアル中:L-アルギニン(508mg)、無水炭酸ナトリウム(81mg)

パンスポリン静注用1gバッグS

注射剤本体(用時溶解)
有効成分1容器中:セフォチアム塩酸塩   1g(力価)
添加剤1容器中:L-アルギニン(712.7mg)
溶解液部分
溶解液1容器中:生理食塩液  100mL

パンスポリン静注用1gバッグG

注射剤本体(用時溶解)
有効成分1容器中:セフォチアム塩酸塩   1g(力価)
添加剤1容器中:L-アルギニン(712.7mg)
溶解液部分
溶解液1容器中:ブドウ糖注射液(5%)  100mL

3.2 製剤の性状

パンスポリン静注用0.25g

pH5.7~7.2
浸透圧比約1※※(生理食塩液に対する比)
色・剤形白色~淡黄色の粉末
※1g(力価)を10mLの注射用水にて溶解時
※※0.5g(力価)を20mLの注射用水にて溶解時

パンスポリン静注用0.5g

pH5.7~7.2
浸透圧比約1※※(生理食塩液に対する比)
色・剤形白色~淡黄色の粉末
※1g(力価)を10mLの注射用水にて溶解時
※※0.5g(力価)を20mLの注射用水にて溶解時

パンスポリン静注用1g

pH5.7~7.2
浸透圧比約1※※※(生理食塩液に対する比)
色・剤形白色~淡黄色の粉末
※1g(力価)を10mLの注射用水にて溶解時
※※※1g(力価)を20mLの注射用水にて溶解時

パンスポリン静注用1gバッグS

pH5.7~7.2
浸透圧比約1※※※※(生理食塩液に対する比)
色・剤形白色~淡黄色の粉末
※1g(力価)を10mLの注射用水にて溶解時
※※※※1g(力価)を100mLの溶解液にて溶解時

パンスポリン静注用1gバッグG

pH5.7~7.2
浸透圧比約1※※※※(生理食塩液に対する比)
色・剤形白色~淡黄色の粉末
※1g(力価)を10mLの注射用水にて溶解時
※※※※1g(力価)を100mLの溶解液にて溶解時

4. 効能又は効果

  • 〈適応菌種〉

    セフォチアムに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア・レットゲリ、インフルエンザ菌

  • 〈適応症〉

    敗血症、深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、骨髄炎、関節炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、膿胸、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、腹膜炎、胆嚢炎、胆管炎、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、子宮旁結合織炎、化膿性髄膜炎、中耳炎、副鼻腔炎

5. 効能又は効果に関連する注意

  • 〈扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、中耳炎、副鼻腔炎〉

    「抗微生物薬適正使用の手引き」1)を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。

6. 用法及び用量

  • 通常、成人にはセフォチアム塩酸塩として1日0.5~2g(力価)を2~4回に分け、また、小児にはセフォチアム塩酸塩として1日40~80mg(力価)/kgを3~4回に分けて静脈内に注射する。
    なお、年齢、症状に応じ適宜増減するが、成人の敗血症には1日4g(力価)まで、小児の敗血症、化膿性髄膜炎等の重症・難治性感染症には1日160mg(力価)/kgまで増量することができる。
  • 〈バイアル製剤〉
  • 静脈内注射に際しては、日局「注射用水」、日局「生理食塩液」又は日局「ブドウ糖注射液」に溶解して用いる。
    また、成人の場合は本剤の1回用量0.25~2g(力価)を糖液、電解質液又はアミノ酸製剤などの補液に加えて、30分~2時間で点滴静脈内注射を行うこともできる。
    なお、小児の場合は上記投与量を考慮し、補液に加えて、30分~1時間で点滴静脈内注射を行うこともできる。
  • 〈生理食塩液添付のバッグ製剤〉
  • 投与に際しては、添付の生理食塩液側を手で圧し、隔壁を開通させ、セフォチアム塩酸塩を溶解した後、30分~2時間で点滴静脈内注射を行う。
  • 〈5%ブドウ糖注射液添付のバッグ製剤〉
  • 投与に際しては、添付の5%ブドウ糖注射液側を手で圧し、隔壁を開通させ、セフォチアム塩酸塩を溶解した後、30分~2時間で点滴静脈内注射を行う。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
  2. 8.2 本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること2)
    1. 8.2.1 事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。
    2. 8.2.2 投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
    3. 8.2.3 投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。
  3. 8.3 急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。
  4. 8.4 本剤の投与に際しては、定期的に肝機能、血液等の検査を行うことが望ましい。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  • 〈製剤共通〉
    1. 9.1.1 セフェム系又はペニシリン系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者(ただし、本剤に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないこと)
    2. 9.1.2 本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者
    3. 9.1.3 経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者

      観察を十分に行うこと。ビタミンK欠乏症状があらわれることがある。

  • 〈5%ブドウ糖注射液添付のバッグ製剤〉
    1. 9.1.4 カリウム欠乏傾向のある患者

      ブドウ糖がカリウムと共に細胞内に取り込まれ、カリウム欠乏傾向を助長することがある。

    2. 9.1.5 糖尿病の患者

      静脈内へのブドウ糖の投与により血糖値が急速に上昇する可能性がある。

    3. 9.1.6 尿崩症の患者

      電解質を含まない糖液の投与により水分のみが負荷される。

  • 〈生理食塩液添付のバッグ製剤〉
    1. 9.1.7 心臓、循環器系機能障害のある患者

      ナトリウムの負荷により障害が悪化することがある。

9.2 腎機能障害患者

  • 〈製剤共通〉
    1. 9.2.1 高度の腎障害のある患者

      投与量・投与間隔の適切な調節をするなど慎重に投与すること。高い血中濃度が持続することがある。,

  • 〈5%ブドウ糖注射液添付のバッグ製剤〉
    1. 9.2.2 腎不全の患者

      電解質を含まない糖液の投与により水分のみが負荷される。

  • 〈生理食塩液添付のバッグ製剤〉
    1. 9.2.3 腎障害のある患者

      ナトリウムの貯留を助長することがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。母乳中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

低出生体重児及び新生児を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

  • 次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
    • 生理機能が低下していることが多く副作用が発現しやすい。
    • ビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。

10. 相互作用

    10.2 併用注意(併用に注意すること)

    薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子

    利尿剤

    • フロセミド等

    他のセフェム系抗生物質で併用による腎障害増強作用が報告されているので、併用する場合には腎機能に注意すること。

    機序は不明であるが、利尿時の脱水による血中濃度の上昇等が考えられている。

    11. 副作用

    次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    11.1 重大な副作用

    1. 11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)

      不快感、口内異常感、眩暈、便意、耳鳴、発汗、喘鳴、呼吸困難、血管浮腫、全身の潮紅・蕁麻疹等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

    2. 11.1.2 急性腎障害等の重篤な腎障害(頻度不明)

    3. 11.1.3 汎血球減少、無顆粒球症、顆粒球減少、溶血性貧血(いずれも頻度不明)、血小板減少(0.1%未満)
    4. 11.1.4 偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎(頻度不明)

      腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    5. 11.1.5 間質性肺炎、PIE症候群(いずれも頻度不明)

      発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、PIE症候群等があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。

    6. 11.1.6 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれも頻度不明)
    7. 11.1.7 痙攣(頻度不明)

      痙攣等の中枢神経症状があらわれることがある。特に、腎不全患者にあらわれやすい。

    8. 11.1.8 肝炎、肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)

      AST、ALTの著しい上昇等を伴う肝炎、肝機能障害、黄疸があらわれることがある。

    11.2 その他の副作用

    0.1~5%未満

    0.1%未満

    頻度不明

    過敏症

    発疹

    蕁麻疹、そう痒、発熱

    紅斑、リンパ腺腫脹、関節痛

    血液

    好酸球増多

    貧血

    肝臓

    AST、ALT、Al-Pの上昇

    LDHの上昇

    γ-GTPの上昇

    消化器

    悪心、下痢、腹痛

    嘔吐、食欲不振

    菌交代症

    口内炎、カンジダ症

    ビタミン欠乏症

    ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)

    その他

    めまい

    頭痛、倦怠感、しびれ感

    12. 臨床検査結果に及ぼす影響

    1. 12.1 テステープ反応を除くべネディクト試薬、フェーリング試薬による尿糖検査では偽陽性を呈することがあるので注意すること。
    2. 12.2 直接クームス試験陽性を呈することがあるので注意すること。

    14. 適用上の注意

    14.1 薬剤調製時の注意

    • 〈製剤共通〉
      1. 14.1.1 本剤の注射液調製時にショックを伴う接触蕁麻疹があらわれることがあるので調製時に手の腫脹・そう痒・発赤、全身の発疹・そう痒、腹痛、悪心、嘔吐等の症状があらわれた場合には以後本剤との接触を避けること。
      2. 14.1.2 溶解後は速やかに使用すること。なお、やむを得ず保存を必要とする場合でも8時間以内に使用すること。この場合、バイアル製剤では微黄色の溶液の色調が時間の経過とともに濃くなることがある。また、バッグ製剤ではわずかに微黄色の溶液の色調が時間の経過とともに濃くなることがある。
    • 〈バイアル製剤〉
      1. 14.1.3 緩衝剤として無水炭酸ナトリウムを含有し、溶解時に炭酸ガスを発生するため減圧バイアルにしてある。溶解にあたっては静注用0.25g、0.5gには約3mL、静注用1gには約5mLの溶解液をバイアル内に注入して溶解すること。なお、静脈内注射に際しては静注用0.25gは通常10mLに、静注用0.5g、1gは通常20mLに希釈して投与する。点滴静脈内注射を行う場合、注射用水を用いると溶液が等張とならないため用いないこと。溶解にあたっては、溶解方法説明書きをよく読むこと。
    • 〈バッグ製剤〉
      1. 14.1.4 溶解液部分を手で圧し、隔壁を開通させ、抗生剤部分と溶解液部分を交互に押して抗生剤を完全に溶解すること。

    14.2 薬剤投与時の注意

    • 〈製剤共通〉
      1. 14.2.1 静脈内大量投与により、まれに血管痛、血栓性静脈炎を起こすことがあるので、これを予防するために注射液の調製、注射部位、注射方法等について十分注意し、その注射速度はできるだけ遅くすること。
      2. 14.2.2 小児に点滴静脈内注射を行う際には、十分な血中濃度を得るために、30分~1時間で投与を行うこと。
    • 〈バッグ製剤〉
      1. 14.2.3 分割投与しないこと。
      2. 14.2.4 容器の液目盛りはおよその目安として使用すること。

    16. 薬物動態

    16.1 血中濃度

    腎機能正常の成人及び小児に静注あるいは点滴静注して得られた血中濃度は以下のとおりであり、用量依存性を示す3),4),5),6),7),8),9),10),11)

    16.3 分布

    胆石症患者に1回1g、2gを静注すると胆汁中濃度は2時間後にそれぞれ157.6μg/mL、720.5μg/mLと最高値を示し、6時間後までの胆汁中回収率は約1%である12)。また、扁桃13)、喀痰14)、肺15)、胸水15)、胆のう壁12)、腹水16)、骨髄血17)、髄液18)、膀胱壁19)、前立腺19)、腎19)、骨17)、骨盤死腔滲出液20)、婦人性器20)、臍帯血21)、羊水21)、耳漏13)、副鼻腔粘膜13)等への移行が認められている。なお、乳汁中への移行は痕跡程度である22)

    16.4 代謝

    尿中には抗菌活性代謝物質は認められていない5),23)

    16.5 排泄

    主として腎より排泄され、成人(腎機能正常者)に1回0.5、1、2g静注あるいは点滴静注後6時間までの尿中排泄率は約60~75%である。また、0.5gを静注後の尿中濃度は0~2時間で約2,000μg/mL、2~4時間で約350μg/mL、4~6時間で約66μg/mLを示す3),4)。小児(腎機能正常者)に1回10、20、40mg/kg静注あるいは点滴静注後6時間までの尿中排泄率は、成人とほぼ同様である5),6),7)

    16.6 特定の背景を有する患者

    1. 16.6.1 腎機能障害患者

      腎機能の低下に伴い、血中濃度の上昇、半減期の延長及び尿中排泄率の低下が認められる。従って、腎機能障害者に本剤を投与する場合には、投与量、投与間隔の適切な調節が必要である24)

    17. 臨床成績

    17.2 製造販売後調査等

    1. 17.2.1 成人感染症

      製造販売後の使用成績調査14,121例についての成績概要は下表のとおりである。

      感染症

      有効率(有効以上)

      例数

      %

      敗血症

      340/562

      60.5

      深在性皮膚感染症

      19/20

      95.0

      慢性膿皮症

      148/192

      77.1

      外傷・熱傷及び手術創等の二次感染

      551/787

      70.0

      骨髄炎

      161/204

      78.9

      関節炎

      91/112

      81.3

      扁桃炎(扁桃周囲炎・扁桃周囲膿瘍を含む)

      131/139

      94.2

      急性気管支炎、慢性呼吸器病変の二次感染

      1,024/1,289

      79.4

      肺炎

      4,082/5,213

      78.3

      肺膿瘍

      129/174

      74.1

      膿胸

      67/110

      60.9

      膀胱炎

      710/915

      77.6

      腎盂腎炎

      1,346/1,574

      85.5

      前立腺炎(急性症、慢性症)

      31/36

      86.1

      腹膜炎

      770/966

      79.7

      胆嚢炎

      785/918

      85.5

      胆管炎

      490/672

      72.9

      バルトリン腺炎

      6/6

      子宮内感染

      18/20

      90.0

      子宮付属器炎

      21/25

      84.0

      子宮旁結合織炎

      19/24

      79.2

      化膿性髄膜炎

      56/79

      70.9

      中耳炎

      37/44

      84.1

      副鼻腔炎

      37/40

      92.5

      11,069/14,121

      78.4

    2. 17.2.2 小児感染症

      製造販売後の使用成績調査416例についての成績概要は下表のとおりである。

      感染症

      有効率(有効以上)

      例数

      %

      敗血症

      20/34

      58.8

      深在性皮膚感染症

      1/1

      慢性膿皮症

      5/6

      外傷・熱傷及び手術創等の二次感染

      25/33

      75.8

      骨髄炎

      14/18

      77.8

      関節炎

      6/8

      扁桃炎(扁桃周囲炎・扁桃周囲膿瘍を含む)

      17/17

      100

      急性気管支炎、慢性呼吸器病変の二次感染

      19/23

      82.6

      肺炎

      105/125

      84.0

      肺膿瘍

      2/2

      膿胸

      3/4

      膀胱炎

      4/4

      腎盂腎炎

      21/29

      72.4

      腹膜炎

      80/90

      88.9

      胆管炎

      4/4

      子宮旁結合織炎

      1/3

      化膿性髄膜炎

      6/8

      中耳炎

      4/5

      副鼻腔炎

      2/2

      339/416

      81.5

    18. 薬効薬理

    18.1 作用機序

    細菌の細胞壁の合成を阻害する。本剤がグラム陰性菌に対し強い抗菌力を示すのは細胞外膜透過性に優れ、β-lactamaseに比較的安定であり、かつペニシリン結合蛋白画分1B及び3に対する親和性が高いため細胞壁peptidoglycan架橋形成阻害作用が強いことによると考えられる25),26),27),28)

    18.2 抗菌作用

    1. 18.2.1 グラム陰性菌及びグラム陽性菌に広い抗菌作用を示し、特に大腸菌、クレブシエラ属、プロテウス・ミラビリス、インフルエンザ菌に強い抗菌力を示す。更にエンテロバクター属、シトロバクター属、プロテウス・ブルガリス、プロビデンシア・レットゲリ、モルガネラ・モルガニーに対しても抗菌力が認められている29),30),31)in vitro)。
    2. 18.2.2 抗菌作用は殺菌的で、最小発育阻止濃度でも殺菌作用を示す31)in vitro)。

    19. 有効成分に関する理化学的知見

    一般的名称

    セフォチアム塩酸塩(Cefotiam Hydrochloride)

    化学名

    (6R,7R)-7-[2-(2-Aminothiazol-4-yl)acetylamino]-3-[1-(2-dimethylaminoethyl)-1H-tetrazol-5-ylsulfanylmethyl]-8-oxo-5-thia-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylic acid dihydrochloride

    分子式

    C18H23N9O4S3・2HCl

    分子量

    598.55

    性状

    白色~淡黄色の結晶又は結晶性の粉末である。水、メタノール又はホルムアミドに溶けやすく、エタノール(95)に溶けにくく、アセトニトリルにほとんど溶けない。

    化学構造式

    略号

    CTM

    力価

    セフォチアム(C18H23N9O4S3)としての質量(力価)で示す。セフォチアム塩酸塩標準品の1mgは0.878mg(力価)に対応する。

    20. 取扱い上の注意

    • 〈バッグ製剤〉
      1. 20.1 製品の品質を保持するため、本品を包んでいる外袋は使用時まで開封しないこと。
      2. 20.2 次の場合には使用しないこと。
        1. 20.2.1 外袋が破損しているときや溶解液が漏出しているとき。
        2. 20.2.2 隔壁の開通前に抗生物質が溶解しているとき。
        3. 20.2.3 抗生物質が変色しているときや溶解液が着色しているとき。

    22. 包装

    • 〈パンスポリン静注用0.25g〉

      10バイアル

    • 〈パンスポリン静注用0.5g〉

      10バイアル

    • 〈パンスポリン静注用1g〉

      10バイアル

    • 〈パンスポリン静注用1gバッグS〉

      10キット[1キット(生理食塩液100mL添付)×10、乾燥剤及び脱酸素剤入り]

    • 〈パンスポリン静注用1gバッグG〉

      10キット[1キット(5%ブドウ糖注射液100mL添付)×10、乾燥剤及び脱酸素剤入り]

    23. 主要文献

    1) 厚生労働省健康局結核感染症課編:抗微生物薬適正使用の手引き

    2) 日本化学療法学会:抗菌薬投与に関連するアナフィラキシー対策のガイドライン(2004年版)

    3) 山本俊夫 他:Chemotherapy. 1979;27(S-3):172-180

    4) 坂井友吉 他:Chemotherapy. 1979;27(S-3):181-191

    5) 青山恒夫:Jpn.J.Antibiotics. 1982;35:801-806

    6) 目黒英典 他:Jpn.J.Antibiotics. 1981;34:711-718

    7) 岩井直一 他:Jpn.J.Antibiotics. 1981;34:1002-1018

    8) 澤田 晃 他:Chemotherapy. 1979;27(S-3):459-466

    9) 小川道雄 他:Chemotherapy. 1979;27(S-3):452-458

    10) 清水喜八郎 他:Chemotherapy. 1979;27(S-3):255-262

    11) 西村忠史 他:Jpn.J.Antibiotics. 1981;34:1027-1036

    12) 谷村 弘 他:Chemotherapy. 1979;27(S-3):434-451

    13) 杉田麟也 他:耳鼻咽喉科臨床. 1983;76:1693-1709

    14) 松本慶蔵 他:Chemotherapy. 1979;27(S-3):373-392

    15) 小山 明:Chemotherapy. 1983;31:136-137

    16) 中口和則 他:Chemotherapy. 1983;31:942-946

    17) 菊地臣一 他:Jpn.J.Antibiotics. 1982;35:1053-1056

    18) 小島 精 他:Jpn.J.Antibiotics. 1982;35:1063-1067

    19) 加藤廣海 他:Chemotherapy. 1979;27(S-3):558-563

    20) 高瀬善次郎 他:産婦人科の世界. 1982;34(3):331-344

    21) 張 南薫 他:Chemotherapy. 1979;27(S-3):649-654

    22) 松田静治 他:Chemotherapy. 1979;27(S-3):655-660

    23) 畚野 剛 他:Chemotherapy. 1979;27(S-3):106-111

    24) 薄田芳丸 他:Chemotherapy. 1979;27(S-3):297-303

    25) 杉中秀寿 他:Chemotherapy. 1979;27(S-3):67-72

    26) 小此木研二 他:Chemotherapy. 1979;27(S-3):94-105

    27) 紺野昌俊 他:Jpn.J.Antibiotics. 1979;32:583-597

    28) Nozaki Y. et al.:Antimicrob.Agents Chemother. 1979;15:20-27

    29) 渡辺邦友 他:Chemotherapy. 1979;27(S-3):35-44

    30) 西野武志 他:Chemotherapy. 1979;27(S-3):45-66

    31) 土屋皖司 他:Chemotherapy. 1979;27(S-3):73-93

    24. 文献請求先及び問い合わせ先

    武田テバ薬品株式会社 武田テバDIセンター

    〒453-0801 名古屋市中村区太閤一丁目24番11号

    TEL 0120-923-093
    受付時間 9:00~17:30(土日祝日・弊社休業日を除く)

    26. 製造販売業者等

    26.1 製造販売元

    武田テバ薬品株式会社

    大阪市中央区道修町四丁目1番1号

    26.2 販売

    武田薬品工業株式会社

    大阪市中央区道修町四丁目1番1号

    〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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