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日本薬局方
フェニトイン散
劇薬
処方箋医薬品注)
フェニトインとして、通常成人1日200~300mg、小児には下記用量を毎食後3回に分割経口投与する。症状、耐薬性に応じて適宜増減する。
眼振、構音障害、運動失調、眼筋麻痺等の症状は過量投与の徴候であることが多いので、このような症状があらわれた場合には、至適有効量まで徐々に減量すること。用量調整をより適切に行うためには、本剤の血中濃度測定を行うことが望ましい。,,,
血液障害が悪化するおそれがある。,
甲状腺機能の異常をきたすおそれがある。
2型糖尿病の患者で、高血糖を起こしたとの報告がある。
連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、てんかん重積状態があらわれることがある。
肝機能障害の悪化、また、血中濃度上昇のおそれがある。,
授乳しないことが望ましい。ヒトで乳汁中への移行が報告されている1)。
タダラフィル(肺高血圧症を適応とする場合)
マシテンタン
チカグレロル
アルテメテル・ルメファントリン
ダルナビル・コビシスタット
ドラビリン
ルラシドン
**リルピビリン
**イサブコナゾニウム
**エンシトレルビル
**ニルマトレルビル・リトナビル
これらの薬剤の代謝が促進され、血中濃度が低下することがある。
本剤の肝薬物代謝酵素(CYP3A)誘導による。
**ミフェプリストン・ミソプロストール
ミフェプリストンの血中濃度が低下し、効果が減弱するおそれがある。本剤を中止してミフェプリストンを用いる場合は、本剤の影響がなくなるまで投与しないこと。
リルピビリン・テノホビル アラフェナミド・エムトリシタビン
リルピビリン及びテノホビル アラフェナミドの血中濃度が低下することがある。
本剤の肝薬物代謝酵素(CYP3A)及びP糖蛋白誘導による。
ビクテグラビル・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミド
ビクテグラビル及びテノホビル アラフェナミドの血中濃度が低下することがある。
ダルナビル・コビシスタット・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミド
ダルナビル、コビシスタット及びテノホビル アラフェナミドの血中濃度が低下することがある。
エルビテグラビル・コビシスタット・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミド
エルビテグラビル、コビシスタット及びテノホビル アラフェナミドの血中濃度が低下することがある。
ソホスブビル・ベルパタスビル
ソホスブビル及びベルパタスビルの血中濃度が低下することがある。
ソホスブビル
レジパスビル・ソホスブビル
これらの薬剤の血中濃度が低下することがある。
本剤のP糖蛋白誘導による。
ドルテグラビル・リルピビリン
ドルテグラビル及びリルピビリンの血中濃度が低下することがある。
本剤の肝薬物代謝酵素(CYP3A)誘導作用及びUGT1A1誘導作用による。
**カボテグラビル
カボテグラビルの血中濃度が低下するおそれがある。
本剤のUGT1A1誘導作用によると考えられている。
** レナカパビル
レナカパビルの血中濃度が低下するおそれがある。
本剤の肝薬物代謝酵素(CYP3A)誘導作用、P糖蛋白誘導作用及びUGT1A1誘導作用による。
ゾニサミドトピラマートボリコナゾールスチリペントール
(1)フェニトインの血中濃度が上昇することがある注1) 。(2)これらの薬剤の血中濃度が低下することがある注2) 。
(1)これらの薬剤が肝代謝を抑制すると考えられている。(2)本剤の肝薬物代謝酵素誘導によると考えられている。
クロバザムタクロリムステラプレビル
(1)機序は不明である。(2)本剤の肝薬物代謝酵素誘導による。
ルフィナミド
(1)、(2)機序は不明である。
カルバマゼピン
(1)フェニトインの血中濃度が上昇することがある注1) 。(2)フェニトインの血中濃度が低下することがある注3) 。(3)これらの薬剤の血中濃度が低下することがある注2) 。
(1)カルバマゼピンが肝代謝を抑制する。(2)カルバマゼピンの肝薬物代謝酵素誘導による。(3)本剤の肝薬物代謝酵素誘導による。
ネルフィナビル
(1)フェニトインの血中濃度が上昇することがある注1) 。
(2)フェニトインの血中濃度が低下することがある注3) 。
(3)これらの薬剤の血中濃度が低下することがある注2) 。
(1)ネルフィナビルが肝代謝を抑制すると考えられている。
(2)機序は不明である。
(3)機序は不明であるが、本剤の肝薬物代謝酵素誘導等が考えられている。
**バルプロ酸
(1)フェニトインの血中濃度が上昇することがある注1) 。(2)フェニトインの血中濃度が低下することがある注3) 。(3)バルプロ酸の血中濃度が低下することがある注2) 。
(4)バルプロ酸による高アンモニア血症のリスクが増加するとの報告がある。
(1)バルプロ酸が肝代謝を抑制する。(2)バルプロ酸による蛋白結合からの置換により、遊離フェニトイン濃度が上昇し、肝代謝が促進すると考えられている。(3)本剤の肝薬物代謝酵素誘導による。
(4)機序は不明である。
クマリン系抗凝血剤
(1)フェニトインの血中濃度が上昇することがある注1) 。(2)クマリン系抗凝血剤の作用が増強することがある。(3)クマリン系抗凝血剤の作用が減弱することがある。通常より頻回に血液凝固時間の測定を行い、クマリン系抗凝血剤の用量を調整すること。
(1)クマリン系抗凝血剤が肝代謝を抑制する。(2)本剤による蛋白結合からの置換により、クマリン系抗凝血剤の血中濃度が上昇する。(3)本剤の肝薬物代謝酵素誘導による。
**CYP2C9又はCYP2C19を阻害する薬剤
フェニトインの血中濃度が上昇することがある注1) 。
これらの薬剤又は代謝物が肝代謝を抑制すると考えられている。
アロプリノール
イソニアジド
エトスクシミド
オメプラゾール
ジスルフィラム
ジルチアゼム
スルチアム
パラアミノサリチル酸
メチルフェニデート
エソメプラゾール
フルオロウラシル系薬剤
三環系抗うつ剤
四環系抗うつ剤
トラゾドン
機序は不明である。
テオフィリンアミノフィリン
(1)フェニトインの血中濃度が低下することがある注3) 。(2)テオフィリンの血中濃度が低下することがある注2) 。
リファンピシンアパルタミドレテルモビル
フェニトインの血中濃度が低下することがある注3) 。
これらの薬剤の肝薬物代謝酵素誘導による。
ジアゾキシドシスプラチンビンカアルカロイド
シプロフロキサシンビガバトリン
イリノテカン
イリノテカンの活性代謝物の血中濃度が低下し、作用が減弱することがあるので、併用を避けることが望ましい。
本剤の肝薬物代謝酵素誘導による。
主にCYP3Aの基質となる薬剤
これらの薬剤の血中濃度が低下することがある注2) 。
パロキセチンフレカイニドメキシレチン
CYP3A及びP糖蛋白の基質となる薬剤
本剤の肝薬物代謝酵素及びP糖蛋白誘導による。
P糖蛋白の基質となる薬剤
ラモトリギンデフェラシロクスカナグリフロジンラルテグラビル
本剤がこれらの薬剤のグルクロン酸抱合を促進する。
ポサコナゾール
本剤のUGT1A4及び/又はP糖蛋白誘導による。
シクロスポリン
本剤の肝薬物代謝酵素誘導による。また、本剤が吸収を阻害する。
甲状腺ホルモン剤
カスポファンギン
本剤がカスポファンギンの取り込み輸送過程に影響し、カスポファンギンのクリアランス誘導が起こると考えられている。
ドルテグラビルドルテグラビル・ラミブジンドルテグラビル・アバカビル・ラミブジン
ドルテグラビルの血中濃度が低下することがある。
本剤の肝薬物代謝酵素(CYP3A)及びUGT1A1誘導作用による。
ドキシサイクリン
ドキシサイクリンの血中濃度半減期が短縮することがある。
アルベンダゾール
アルベンダゾールの活性代謝物の血中濃度が低下し、効果が減弱することがある。
非脱分極性筋弛緩剤
フェニトインを長期前投与した場合、非脱分極性筋弛緩剤の作用が減弱することがある。
血糖降下剤
血糖降下剤の作用が減弱され、高血糖を起こすことがあるので、血糖の上昇に注意すること。
本剤のインスリン分泌抑制作用による。
アセタゾラミド
くる病、骨軟化症があらわれやすい。
本剤によるビタミンD不活性化促進、アセタゾラミドによる代謝性アシドーシス、腎尿細管障害の影響が考えられている。
アセトアミノフェン
本剤の長期連用者は、アセトアミノフェンの代謝物による肝機能障害を生じやすくなる。
本剤の肝薬物代謝酵素誘導により、アセトアミノフェンから肝毒性を持つN-アセチル-p-ベンゾキノンイミンへの代謝が促進されると考えられている。
セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
フェニトインの代謝が促進され、血中濃度が低下するおそれがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意すること。
セイヨウオトギリソウの肝薬物代謝酵素誘導によると考えられている。
発熱、紅斑、水疱・びらん、そう痒感、咽頭痛、眼充血、口内炎等の異常が認められた場合には、投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
初期症状として発疹、発熱がみられ、さらにリンパ節腫脹、肝機能障害等の臓器障害、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがある。なお、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)等のウイルスの再活性化を伴うことが多く、発疹、発熱、肝機能障害等の症状が、投与中止後も再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。
発熱、紅斑、関節痛、肺炎、白血球減少、血小板減少、抗核抗体陽性等のSLE様症状があらわれることがある。
,
劇症肝炎、著しいAST、ALT、γ-GTPの上昇等を伴う重篤な肝機能障害、黄疸があらわれることがある。,
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎(肺臓炎)があらわれることがある。このような症状があらわれた場合には、投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
長期投与例であらわれることがある。
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等があらわれることがある。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
発熱、意識障害、筋強剛、不随意運動、発汗、頻脈等があらわれた場合には、本剤の投与中止、体冷却、水分補給、呼吸管理等の適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CKの上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。
頻度不明
過敏症
猩紅熱様・麻疹様・中毒疹様発疹
血液
巨赤芽球性貧血
肝臓
AST・ALT・γ-GTPの上昇等の肝機能障害、黄疸
腎臓
蛋白尿等の腎障害
精神神経系
不随意運動(ジスキネジア、舞踏病アテトーゼ、アステリキシス(asterixis)等)、ニューロパシー、眩暈、運動失調、注意力・集中力・反射運動能力等の低下、頭痛、神経過敏、不眠、けいれん・てんかん増悪
眼注4)
複視、視覚障害、眼振、白内障
消化器
歯肉増殖注5) 、悪心・嘔吐、便秘
骨・歯注6)
くる病注7) 、骨軟化症注7) 、歯牙の形成不全
内分泌系
甲状腺機能検査値(血清T3、T4値等)の異常、高血糖
その他
発熱、多毛、血清葉酸値の低下、CK上昇、免疫グロブリン低下(IgA、IgG等)
主な初期症状は、眼振、構音障害、運動失調、眼筋麻痺等である。その他の徴候として、振戦、過度の緊張亢進、嗜眠、言語障害、嘔気、嘔吐がみられる。重症の場合は、昏睡状態、血圧低下を認め、呼吸障害、血管系の抑制により死亡することがある。,,,
特異的解毒剤は知られていない。また、フェニトインは血漿蛋白と完全には結合していないので、重症の場合は、血液透析を考慮すること。
Tmax(h)
Cmax(μg/mL)
t1/2(h)
3.9±0.3
2.00±0.10
13.9±1.5
平均値±標準誤差
約90%(in vitro、ヒト血漿、約20μg/mL、限外ろ過法)3)
主として肝臓でフェニル基の一つが水酸化され、5-(p-hydroxyphenyl)-5-phenylhydantoin(HPPH)が生成した後、大部分はグルクロン酸抱合される4),5)。
主としてCYP2C9及び一部CYP2C196)
主として尿中7)
投与後6日間における排泄率は、尿中に総HPPHとして96.9~99.0%、フェニトインとして0.4~0.7%、糞中に総HPPHとしてtrace~1.2%、フェニトインとして0.5%であった7)(健康成人、フェニトイン100mg(アレビアチン錠100mg1錠)1回経口投与)。
フェニトインはCYP3A、CYP2B6及びP糖蛋白の誘導作用を有する8)。
てんかんの重症度や症例によって違いはあるが、一般に成人の強直間代発作に対しては10~20μg/mLが目安として示されている9),10)。,,,
定常状態におけるフェニトイン血中濃度と投与量の関係はMichaelis-Menten式(C=Km・D/(Dmax-D))を用いた曲線(図)で近似され、有効血中濃度付近では、投与量の増減が血中濃度に及ぼす影響は極めて大きい11)。また、定数Dmax、Kmの個人差は大きく、さらに成人に比較して年少児ほどDmaxの値は大きくなる12)。このため、フェニトインの血中濃度測定が、至適投与量の検討ないしは中毒症状発現防止に役立てられている。,,,
フェニトインはマウス、ラット等の最小電撃けいれん閾値やペンテトラゾールけいれん閾値に対してほとんど作用を及ぼさないが、最大電撃けいれんに対してそのパターンを変える作用があり、最大電撃けいれんの強直相を強く抑制する13),14),15),16)。また、本剤は神経膜を安定化し17)、シナプスにおけるpost-tetanic potentiation(PTP)を抑制する18)。これらのことから、本剤の抗てんかん作用は、けいれん閾値を上昇させることによってもたらされるのではなく、発作焦点からのてんかん発射のひろがりを阻止することによるものと考えられている16),19)。
フェニトイン(Phenytoin)
5,5-Diphenylimidazolidine-2,4-dione
C15H12N2O2
252.27
白色の結晶性の粉末又は粒で、におい及び味はない。エタノール(95)又はアセトンにやや溶けにくく、ジエチルエーテルに溶けにくく、水にほとんど溶けない。水酸化ナトリウム試液に溶ける。
約296℃(分解)
500g[瓶、バラ]
1) 鈴木喜八郎ほか: 周産期医学. 1979; 9: 1259-1264
2) 社内資料: アレビアチン経口剤の薬物速度論的パラメータ
3) Hooper W. D., et al.: Clin. Pharmacol. Ther. 1974; 15: 276-282
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5) Maynert E. W.: J. Pharmacol. Exp. Ther. 1960; 130: 275-284
6) Bajpai M., et al.: Drug Metab. Dispos. 1996; 24: 1401-1403
7) Kohda Y., et al.: J. Pharm. Dyn. 1983; 6: 46-55
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10) 清野昌一: 臨床精神医学. 1978; 7: 269-281
11) 西原カズヨほか: 医学のあゆみ. 1977; 103: 810-812
12) 西原カズヨほか: 医学のあゆみ. 1978; 107: 512-514
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16) Rall T. W. & Schleifer L. S.: GOODMAN and GILMAN's The Pharmacological Basis of Therapeutics 8th ed. Pergamon Press. 1990; 436-444
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18) Esplin D. W.: J. Pharmacol. Exp. Ther. 1957; 120: 301-323
19) Toman J. E. P.: Neurology. 1951; 1: 444-460
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