当ウェブサイトを快適にご覧いただくには、ブラウザのJavaScript設定を有効(オン)にしていただく必要がございます。
日本薬局方
ハロペリドール錠
劇薬
処方箋医薬品注)
ハロペリドール細粒
統合失調症、躁病
ハロペリドールとして、通常成人1日0.75~2.25mgから始め、徐々に増量する。維持量として1日3~6mgを経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
一過性の血圧降下があらわれることがある。
低カリウム血症のある患者等では、QT延長が発現するおそれがある。,
痙攣閾値を低下させることがある。
錐体外路症状が起こりやすい。
悪性症候群が起こりやすい。
体温調節中枢を抑制するため、高熱反応が起こるおそれがある。
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。
血中濃度が上昇するおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。催奇形性を疑う症例がある。動物実験で口蓋裂(マウス)、脳奇形(ハムスター)等の催奇形性及び着床数の減少、胎児吸収の増加(マウス)、流産率の上昇(ラット)等の胎児毒性が報告されている。また、妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。
授乳しないことが望ましい。ヒト母乳中へ移行し、哺乳中の児の血中に検出されたと報告されている。
小児に抗精神病薬を投与した場合、錐体外路症状、特にジスキネジアが起こりやすいとの報告がある。
少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。錐体外路症状等の副作用があらわれやすい。
*アドレナリン(アナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)
アドレナリンの作用を逆転させ、重篤な血圧降下を起こすことがある。
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される。
*アドレナリン含有歯科麻酔剤
重篤な血圧降下を起こすことがある。
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強されるおそれがある。
中枢神経抑制剤
中枢神経抑制作用が増強することがあるので、減量するなど注意すること。
本剤及びこれらの薬剤の中枢神経抑制作用による。
アルコール
相互に作用を増強することがある。
アルコールは中枢神経抑制作用を有する。
*リチウム
心電図変化、重症の錐体外路症状、持続性のジスキネジア、突発性の悪性症候群、非可逆性の脳障害を起こすとの報告があるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
機序は不明であるが、併用による抗ドパミン作用の増強等が考えられている。
抗コリン作用を有する薬剤
腸管麻痺等の抗コリン系の副作用が強くあらわれることがある。また、精神症状が悪化したとの報告がある。
併用により抗コリン作用が強くあらわれる。
抗ドパミン作用を有する薬剤
内分泌機能異常、錐体外路症状が発現することがある。
併用により抗ドパミン作用が強くあらわれる。
タンドスピロン
錐体外路症状を増強するおそれがある。
タンドスピロンは弱い抗ドパミン(D2)作用を有する。
ドパミン作動薬
これらの薬剤のドパミン作動薬としての作用が減弱することがある。
ドパミン作動性神経において、作用が拮抗することによる。
薬物代謝酵素(主にCYP3A4)を誘導する薬剤
本剤の作用が減弱することがある。
薬物代謝酵素誘導作用により、本剤の血中濃度が低下する。
CYP3A4を阻害する薬剤
本剤の作用が増強し、副作用が発現するおそれがある。
薬物代謝酵素阻害作用により、本剤の血中濃度が上昇する。
CYP2D6を阻害する薬剤
QT延長を起こすことが知られている薬剤,
QT延長を起こすおそれがある。
併用によりQT延長作用が相加的に増加するおそれがある。
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それにひきつづき発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CKの上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下や、筋強剛を伴う嚥下困難から嚥下性肺炎が発現することがある。なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡した例が報告されている。,
心室細動、心室頻拍(Torsades de pointesを含む)、QT延長があらわれることがある。,
腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)をきたし、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止すること。なお、この悪心・嘔吐は、本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので注意すること。
長期投与により、遅発性ジスキネジア(口周部の不随意運動。四肢の不随意運動等を伴うことがある。)があらわれ、投与中止後も持続することがある。抗パーキンソン剤を投与しても、症状が軽減しない場合があるので、このような症状があらわれた場合には、本剤の投与継続の必要性を、他の抗精神病薬への変更も考慮して慎重に判断すること。
低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、水分摂取の制限など適切な処置を行うこと1)。
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
AST、ALT、γ-GTP、ALP、ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
5%以上注1)
5%未満注1)
頻度不明
循環器
血圧降下、起立性低血圧
心電図異常(QT間隔の延長、T波の変化等)、頻脈
肝臓
肝機能異常
錐体外路症状注2)
パーキンソン症候群(振戦(11.9%)、筋強剛、流涎、寡動、歩行障害、仮面様顔貌、嚥下障害等)、アカシジア(静坐不能)
ジスキネジア(口周部、四肢等の不随意運動等)、ジストニア(痙攣性斜頸、顔面・喉頭・頸部の攣縮、後弓反張、眼球上転発作等)
眼
眼の調節障害
長期又は大量投与による角膜・水晶体の混濁、角膜等の色素沈着
過敏症
発疹、じん麻疹、そう痒感、光線過敏症
血液
貧血、白血球減少
消化器
食欲不振、悪心・嘔吐、便秘、下痢、口渇
内分泌
月経異常、体重増加
女性型乳房、乳汁分泌、高プロラクチン血症、インポテンス、持続勃起
呼吸器
呼吸困難
喉頭攣縮
精神神経系
不眠(16.1%)、焦燥感、神経過敏
眠気、眩暈、頭痛・頭重、不安、幻覚、興奮、痙攣、性欲異常
過鎮静、抑うつ、知覚変容発作
その他
脱力感・倦怠感・疲労感、発熱、発汗、潮紅、鼻閉
浮腫、排尿困難、体温調節障害
主な症状は、低血圧、過度の鎮静、重症の錐体外路症状(筋強剛、振戦、ジストニア症状)等である。また、呼吸抑制及び低血圧を伴う昏睡状態や心電図異常(Torsades de pointesを含む)があらわれることがある。小児では血圧上昇があらわれたとの報告もある。
低血圧や循環虚脱があらわれた場合には、輸液、血漿製剤、アルブミン製剤、ノルアドレナリン等の昇圧剤(アドレナリンは禁忌)等の投与により血圧の確保等の処置を行う。また、重症の錐体外路症状に対しては、抗パーキンソン剤を投与する。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
雌マウスに長期間経口投与した試験において、臨床最大通常用量の10倍(1.25mg/kg/日)以上で乳腺腫瘍の発生頻度が、また、40倍(5mg/kg/日)以上で下垂体腫瘍の発生頻度が、対照群に比し高いとの報告がある。
健康成人男性にハロペリドールを空腹時単回経口投与した際の血漿中ハロペリドール濃度推移及び薬物動態パラメータは次のとおりである2)。
投与量
Cmax(ng/mL)
AUC0-72(ng・h/mL)
Tmax(h)
T1/2(h)
1mg(n=53)
0.184±0.105
5.989±2.275
6.0±3.0
83.155±55.634
1.5mg(n=58)
0.375±0.159
9.639±3.542
5.3±1.0
51.575±16.695
平均値±標準偏差
約60%(外国人データ)3)
約92%(in vitro、ヒト血清、限外ろ過法又は平衡透析法)約92%(統合失調症患者、ハロペリドール投与約12時間後採血、平衡透析法)(外国人データ)4)
ハロペリドールは、カルボニル基の還元化のほか、酸化的脱アルキル化、グルクロン酸抱合等により代謝される。代謝産物である還元型ハロペリドールも酸化的脱アルキル化及びグルクロン酸抱合を受け、また、ハロペリドールへ逆酸化される5)。
CYP2D6、CYP3A46),7)
健康成人及び統合失調症患者(各4例)に3H-ハロペリドール2mgを単回経口投与したところ、投与5日後までの放射能の累積尿中排泄率は健康成人群で26.2%、患者群で20.1%であった。また、投与3日後までの放射能の累積糞中排泄率は約15%であった8)(外国人データ)。
経口投与による617例についての臨床成績は次のとおりである。
対象疾患
有効率
有効以上
やや有効以上
統合失調症
43%(256/602)
64%(384/602)
躁病
60%(9/15)
80%(12/15)
中枢神経系におけるドパミン作動系、ノルアドレナリン作動系等に対する抑制作用が想定されている9),10),11)。
ハロペリドールはブチロフェノン系の抗精神病剤であり、次のような行動薬理作用を示すことが動物実験で認められている。その作用はフェノチアジン系のクロルプロマジンよりも強く、特に抗アポモルヒネ作用、抗アンフェタミン作用はクロルプロマジンの約30~40倍の強さである。
作用の種類
動物種
ED50(mg/kg)
ハロペリドール
クロルプロマジン
抗アポモルヒネ作用
gnawing
ラット12)
0.20
6.5
vomiting
イ ヌ13)
0.018
0.70
抗アンフェタミン作用
0.038
1.1
条件回避反応抑制作用(ジャンピング ボックス テスト)
0.058
0.93
自発運動抑制作用
マウス14)
0.9
7.0
ヘキソバルビタール睡眠増強作用
7.21注1)
8.63注1)
カタレプシー惹起作用
ラット14)
15.0
ハロペリドール(Haloperidol)
4-[4-(4-Chlorophenyl)-4-hydroxypiperidin-1-yl]-1-(4-fluorophenyl)butan-1-one
C21H23ClFNO2
375.86
白色~微黄色の結晶又は粉末である。酢酸(100)に溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、2-プロパノール又はエタノール(99.5)に溶けにくく、水にほとんど溶けない。
150~154℃
4.3(1-オクタノール/水系溶媒)
PTP包装は外箱開封後、バラ包装は分包後、遮光して保存すること。
100g包装は外箱開封後、500g包装は小分け後、遮光して保存すること。
100錠[10錠(PTP)×10]500錠[10錠(PTP)×50]500錠[バラ]
1,000錠[10錠(PTP)×100]500錠[バラ]
100g[バラ]500g[バラ]
1) Matuk F. & Kalyanaraman K.: Arch. Neurol. 1977; 34: 374-375
2) 社内資料: セレネース錠1mg及びセレネース錠1.5mgの生物学的同等性試験
3) Forsman A. & Öhman R.: Curr. Ther. Res. 1976; 20: 319-336
4) Forsman A. & Öhman R.: Curr. Ther. Res. 1977; 21: 245-255
5) Tsang M. W., et al.: J. Clin. Psychopharmacol. 1994; 14: 159-162
6) Tyndale R. F., et al.: Br. J. Clin. Pharmacol. 1991; 31: 655-660
7) Fang J., et al.: Cell. Mol. Neurobiol. 1997; 17: 227-233
8) Johnson P.C., et al.:Int. J. Neuropsychiatry. 1967; 3(suppl. 1): S24-S25
9) 大日本製薬総合研究所薬理研究部: JNHPA. 1975; 11: 285-288
10) Niemegeers C. J. E., et al.: Proc. R. Soc. Med. 1976; 69(suppl. 1): 3-8
11) Andén N.-E., et al.: Eur. J. Pharmacol. 1970; 11: 303-314
12) Janssen P. A. J., et al.: Arzneim.-Forsch. 1965; 15: 104-117
13) Janssen P. A. J., et al.: Arzneim.-Forsch. 1968; 18: 261-279
14) 清水当尚ほか: 応用薬理. 1973; 7: 289-316
住友ファーマ株式会社
〒541-0045 大阪市中央区道修町2-6-8
くすり情報センターTEL 0120-034-389
大阪市中央区道修町2-6-8
Copyright © Pharmaceuticals and Medical Devices Agency, All Rights reserved.