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劇薬
処方箋医薬品注)
通常、成人にはルラシドン塩酸塩として40 mgを1日1回食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は80 mgを超えないこと。
通常、成人にはルラシドン塩酸塩として20~60 mgを1日1回食後経口投与する。なお、開始用量は20 mg、増量幅は1日量として20 mgとし、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は60 mgを超えないこと。
血清クレアチニンCr※(mg/dL)
クレアチニンクリアランス(CLcr, mL/min)
開始用量
増量幅
維持用量
最高用量
中等度の腎機能障害
男性:1.4 < Cr≦2.4女性:1.2 < Cr≦2.0
30≦CLcr < 50
20 mg
10 mg
40 mg
60 mg
重度の腎機能障害
男性:Cr > 2.4女性: Cr > 2.0
CLcr < 30
※:CLcr に相当する換算値(年齢60歳、体重65 kg)
Child-Pugh分類
中等度の肝機能障害
B
重度の肝機能障害
C
30 mg
−
※:CLcr に相当する換算値(年齢60歳、体重65 kg)、−:設定なし
−:設定なし
錐体外路症状が悪化するおそれがある。
痙攣閾値を低下させるおそれがある。
悪性症候群が起こりやすい。
自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。,,,,
血糖値が上昇することがある。,
QTが延長する可能性がある。
一過性の血圧降下があらわれるおそれがある。
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。
血中濃度が上昇するおそれがある。,,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が認められている。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に、生理機能が低下している。
**CYP3A4を強く阻害する薬剤
,
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強されるおそれがある。
本剤の代謝が阻害され血中濃度が上昇する。
CYP3A4を強く誘導する薬剤
本剤の血中濃度が低下し、作用が減弱されるおそれがある。
本剤の代謝が促進され血中濃度が低下する。
*アドレナリン(アナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)(ボスミン)
アドレナリンの作用を逆転させ、重篤な血圧降下を起こすことがある。
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される。
*アドレナリン含有歯科麻酔剤
重篤な血圧降下を起こすことがある。
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強されるおそれがある。
中枢神経抑制剤
相互に中枢神経抑制作用を増強するおそれがあるので、減量するなど慎重に投与すること。
本剤及びこれらの薬剤の中枢神経抑制作用による。
アルコール
相互に中枢神経抑制作用を増強するおそれがある。
アルコールは中枢神経抑制作用を有する。
ドパミン作動薬
相互に作用が減弱するおそれがある。
本剤はドパミン受容体遮断作用を有していることから、ドパミン作動性神経において、作用が拮抗することによる。
CYP3A4を阻害する薬剤
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強されるおそれがあるので、観察を十分に行い、患者の状態に応じて本剤の用量を通常の半量に減じるなど慎重に投与すること。
本剤の代謝が阻害され血中濃度が上昇する。ジルチアゼム併用時の本剤のCmax及びAUCは、ジルチアゼム非併用時の2倍程度に上昇した。
グレープフルーツ含有食品
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強されるおそれがあるので、本剤の服用中は摂取しないように注意すること。
CYP3A4阻害作用により、本剤の代謝が阻害され血中濃度が上昇する。
CYP3A4を誘導する薬剤
本剤の血中濃度が低下し、作用が減弱されるおそれがあるので、観察を十分に行うこと。
本剤の代謝が促進され血中濃度が低下する可能性がある。
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CKの上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡することがある。
長期投与により、口周部等の不随意運動があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合は減量又は中止を考慮すること。なお、投与中止後も症状が持続することがある。
痙攣(強直間代性、部分発作及びミオクローヌス発作等)があらわれることがある。
高血糖や糖尿病の悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがある。口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状の発現に注意するとともに、血糖値の測定を行うなど十分な観察を行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、インスリン製剤の投与等の適切な処置を行うこと。,
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
5%以上
1~5%未満
1%未満
頻度不明
過敏症
そう痒
じん麻疹、湿疹、発疹、血管浮腫、顔面腫脹
過敏症、咽頭浮腫、舌腫脹
精神神経系
統合失調症の悪化、不安、傾眠、不眠、頭痛、浮動性めまい
精神症状の悪化、易刺激性、激越、攻撃性、リビドー減退、幻覚・妄想、悪夢、鎮静、うつ症状の悪化・抑うつ、自傷行為、自殺念慮、自殺企図
失神、パニック発作、突然死、眉間反射異常
錐体外路症状注)
アカシジア(静坐不能)(8.3%)
振戦、ジストニア、パーキンソニズム、筋固縮、ジスキネジア
運動緩慢、流涎過多、眼球回転発作、構語障害、筋緊張、筋痙縮、落ち着きのなさ、錐体外路障害
開口障害、舌痙攣、嚥下障害、斜頚、運動低下
**循環器
心電図異常(QT延長、PR短縮)、房室ブロック、動悸、頻脈、徐脈、血圧上昇
脳卒中、狭心症、起立性低血圧
血液
血小板減少、好中球減少
貧血
内分泌
プロラクチン上昇
甲状腺機能異常(亢進症・低下症)、乳汁分泌、月経異常
乳房腫大、乳房痛、勃起不全
消化器
悪心、嘔吐、便秘、腹部不快感
胃腸障害、口内乾燥、口渇、上腹部痛、腹痛、食欲減退、食欲亢進、消化不良、腹部膨満、胃炎、下痢
肝臓
ALT上昇、AST上昇、肝機能異常、ビリルビン上昇、肝障害
腎臓・泌尿器
排尿困難・排尿異常、尿蛋白陽性
腎不全
その他
体重増加
体重減少、多汗、熱感、発熱、脱力、疲労、CK上昇、筋力低下、筋骨格硬直、胸内苦悶感・胸部圧迫感、疼痛、背部痛、耐糖能異常(血糖上昇、HbA1c 上昇、尿糖陽性)、脂質異常症、多飲症、摂食障害症状(拒食・過食)、咳嗽、鼻咽頭炎、アレルギー性鼻炎、色素沈着、脱毛、霧視、回転性めまい、末梢性浮腫
低ナトリウム血症、糖尿病
外国において、過量投与例で錐体外路症状、昏睡、呼吸抑制、不整脈、低血圧等があらわれたとの報告がある。
アドレナリン、ドパミン、あるいは他のβ-受容体アゴニスト活性を有する薬剤は低血圧を更に悪化させるおそれがあるので使用しないこと。重度の錐体外路症状に対しては抗コリン剤の投与を考慮すること。
健康成人男性11例に、本剤40 mgを食後又は空腹時に単回経口投与したとき、血清中ルラシドンの薬物動態パラメータは以下のとおりであった1)。,
投与時期
例数
Cmax(ng/mL)
AUC0-48(ng・h/mL)
AUC0-∞(ng・h/mL)
Tmaxa)(h)
t1/2(h)
食後
11
52.73±21.92
193.20±66.18
212.37±76.13
1.50(1.5-4.0)
22.45±6.99
空腹時
22.10± 8.65
115.99±39.10
125.64±47.06
1.50(1.0-4.0)
15.97±6.40
平均値±標準偏差、a)中央値(範囲)
統合失調症患者20例に本剤1日1回20 mgから80 mgを漸増漸減法により8週間食後経口投与した。同一用量で6日間以上反復投与した後の血清中ルラシドンのCmax、Cmin及びAUC0- 24は、いずれも投与量の増加に伴って、ほぼ線形に増加した2)。
投与量
Cmin a)(ng/mL)
AUC0-24 b)(ng・h/mL)
Tmaxc)(h)
6
16.37 ±8.99
1.60 ± 0.59
95.16 ±29.01
2.75(1.1-7.8)
9
48.33 ± 25.35
4.34 ± 2.15
285.56 ± 113.37
3.80(1.5-5.9)
8
65.97 ± 37.42
5.01 ± 1.91
362.83 ± 175.77
2.00(1.0-4.0)
80 mg
7
79.39 ± 41.39
7.32 ± 4.33
487.39 ± 211.90
2.00(0.5-3.8)
平均値±標準偏差、a)投与直前の濃度、b)20 mgの1例についてAUC0-8を用いて算出、c)中央値(範囲)
母集団薬物動態解析の結果、健康成人、統合失調症患者及び双極I型障害患者の各集団(健康成人131例、統合失調症患者1491例及び双極I型障害患者454例)で推定された経口クリアランスの平均値及びその95%信頼区間(下限-上限)はそれぞれ220.7(201.5-239.8)、220.7(210.1-231.4)及び210.5(171.6-249.3) L/hと被験者集団間で類似しており、被験者集団間で薬物動態は同様であると考えられた3)(外国人データ)。
健康成人男性に14C標識ルラシドン40 mgを食後単回経口投与したときの尿中放射能排泄率から、経口投与後9.19~19.1%が吸収されていると考えられた4),5)(外国人データ)。
血清中ルラシドンのCmax、AUC0-48及びAUC0-∞は、空腹時投与に比べて食後投与では2.4倍、1.7倍及び1.7倍に増加した1)。,
99.8%以上(in vitro、ヒト血清、100 ng/mL~1 μg/mL、平衡透析法)6)
ルラシドンは、主にCYP3A4による代謝を受け7)体内から消失する。複数の代謝経路の組み合わせにより多くの代謝物が存在する。そのうち量的に主要なものはシクロヘキシルメチル–ピペラジン間のC-N結合の開裂を受けた2種の代謝物で、AUC0-8は総放射能のそれぞれ約24%及び約11%であったが4)、いずれも薬理活性を示さなかった。また、ノルボルナン骨格の水酸化体2種は、in vivoで未変化体と同程度の薬理活性を示すが8)、いずれもヒトの血清中濃度は未変化体より低かった4),5)。
健康成人男性各6例に本剤2.5mg注3)から30 mgを食後単回経口投与したとき、投与後48時間までに、未変化体として尿中に排泄されたのは投与量の0.2%以下であり、本剤は主に代謝により体内から消失することが示された9)。健康成人男性11例に14C標識ルラシドン40 mgを食後単回経口投与したとき、尿中及び糞中放射能排泄率はそれぞれ投与量の9.19~19.1%及び67.2~80.1%であった4),5)(外国人データ)。
腎機能障害患者27例(軽度:クレアチニンクリアランス50 mL/min以上80 mL/min以下9例、中等度:30 mL/min以上50 mL/min未満9例、重度:30 mL/min未満9例)に本剤40 mgを食後単回投与したとき、健康成人に比べて、血清中ルラシドンのAUC0-∞は腎機能障害が軽度、中等度及び重度でそれぞれ1.5倍、1.9倍及び2.0倍に上昇し、Cmaxは1.4倍、1.9倍及び1.5倍に上昇した10)(外国人データ)。,,
肝機能障害患者15例(軽度:Child-Pugh分類クラスA 6例、中等度:クラスB 6例、重度:クラスC 3例)に、本剤20 mgを食後単回投与したとき、血清中ルラシドンのAUC0-∞は健康成人に比べて軽度では1.3倍、中等度では1.8倍、重度では3.0倍注1)に上昇した。肝機能障害の程度はCmaxに影響しなかった11)(外国人データ)。,,
65歳以上の健康高齢男性12例及び健康非高齢男性8例に本剤20 mgを食後単回投与したとき、血清中ルラシドン濃度は、高齢者では非高齢者よりTmaxが約1.7倍長く、Cmaxが0.7倍に低下したが、AUC0-48は同程度であった。高齢者では非高齢者に比べて吸収が遅れる傾向が認められたが、吸収量は変わらないと考えられた12)。
健康高齢者
12
22.53±10.90
97.93±41.96
19.87±4.05
健康非高齢者
31.56±12.98
86.11±29.44
1.50(1.0-2.0)
29.96±12.91
併用薬及び用法・用量
本剤の用法・用量
ルラシドンの薬物動態パラメータの比(併用時/本剤単独時)
Cmax
AUC
ケトコナゾール13)注2)(強いCYP3A4阻害剤),
400 mg/日5日間
10
10 mg単回注3)
6.8
9.3
ジルチアゼム14)注2)(CYP3A4阻害剤)
240 mg/日5日間
20 mg単回
2.1
2.2
リファンピシン15)注2)(強いCYP3A4誘導剤),
600 mg/日8日間
20
40 mg単回
0.15
0.19
リチウム16)注2)
600 mg 1日2回8日間
120 mg/日注3)定常状態
0.92
1.1
リチウム600 mg を1日2回反復投与した後の定常状態でのトラフの血清中リチウム濃度は、本剤120 mg注3)を 1日1回反復投与で併用した定常状態においても、治療濃度範囲である0.6~1.2 mmol/Lに維持されていた16)(外国人データ)。
ヒト新鮮肝細胞を用いた検討で、ルラシドンはCYP酵素(CYP1A2、CYP2B6、CYP3A4)に対する誘導能をほとんど示さなかった17)。ヒト肝ミクロソームを用いた検討でルラシドンは、CYP1A2、CYP2B6、CYP2D6、CYP2E1、CYP3A4に対して顕著な阻害能を示さなかった。CYP2C8、CYP2C9及びCYP2C19に対しては阻害作用(IC50は5.9~7.4 μmol/L)を示した18)(in vitro)が、臨床用量では上記CYP酵素を阻害しないと考えられた。
Caco-2細胞又はトランスポーター発現系細胞を用いた検討で、ルラシドンはP糖蛋白、BCRP、OATP1B1及びOATP1B3の基質ではないことが示された19),20)(in vitro)。また、BCRP、OAT3、OCT1、OCT2及びMATE1の活性に対しては阻害作用(IC50 は0.498~2.57 µmol/L)を示し、OAT1、OATP1B1、OATP1B3、MATE2-K及びBSEPの活性に対しても弱く阻害作用を示した(IC50 > 10 µmol/L)21)(in vitro)が、本剤をこれらトランスポーターの基質薬剤と併用投与しても、臨床用量では併用薬の取り込み及び排泄を阻害しないと考えられた。
急性期の統合失調症患者457例(日本人患者197例を含む)を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験において、本剤40 mg、80 mg又はプラセボを1日1回食後に6週間投与したとき、mITT集団のPositive and Negative Syndrome Scale(以下、PANSS)合計スコア変化量は下表のとおりであった(Mixed Model for Repeated Measures(以下、MMRM)解析)22)。
投与群
PANSS合計スコア
プラセボ群との比較b)
ベースライン
投与6週後におけるベースラインからの変化量b)
群間差[95%信頼区間]
両側p値c)
平均値 ±標準偏差
最小二乗平均値 ±標準誤差
プラセボ群
142
101.5 ± 14.1
-13.1 ± 1.72
-
本剤40mg群
145
102.8 ± 16.3
-17.9 ± 1.72
-4.8[-9.52, 0.00]
0.050
本剤80mg群
152
101.0 ± 15.9
-17.3 ± 1.67
-4.2[-8.91, 0.50]
a) 主要な解析集団。試験計画時に、有効性評価への影響を考慮して、ロラゼパム又は他の睡眠導入剤を服用後12時間以内のデータを除外する規定とした。b) 共変量として実施医療機関、評価時期、ベースライン値、投与群及び投与群と評価時期の交互作用を含み、共分散構造をunstructuredとしたMMRMによる解析に基づく。c) 多重性の調整には閉検定手順(40 mg→80 mg)を用いた。
本剤の副作用発現頻度は40 mg群で39.3%(59/150例)、80 mg群で36.4%(56/154例)であり、主な副作用はアカシジア(40 mg群、80 mg群の順に以降同様、6.0%、9.7%)、悪心(6.0%、3.2%)、嘔吐(5.3%、2.6%)、傾眠(5.3%、2.6%)等であった。
急性期の統合失調症患者483例(日本人患者107例を含む)を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験において、本剤40 mg又はプラセボを1日1回夕食後に6週間投与したとき、本剤40 mg群のベースラインからのPANSS合計スコアは投与6週後でプラセボと比較して有意に改善した[p<0.001、MMRM解析]23)。なお、二重盲検試験の本剤40 mg群でPANSS合計スコアの改善が20%未満であった患者のうち、本剤40 mg又は80 mgを可変用量で12週間継続投与した長期投与試験での最頻投与量が40 mg及び80 mgであった患者集団では、長期投与試験のベースラインから最終評価(LOCF)までのPANSS合計スコア変化量は−6.2±16.67及び−10.7±13.83であった24)。
プラセボ群との比較a)
投与6週後におけるベースラインからの変化量a)
両側p値
233
101.7 ± 11.45
-12.7 ± 1.15
245
102.8 ± 11.04
-19.3 ± 1.10
-6.6 [-9.7, -3.5]
<0.001
a) 共変量として実施医療機関、評価時期、ベースライン値、投与群及び投与群と評価時期の交互作用を含み、共分散構造をunstructuredとしたMMRMによる解析に基づく。
二重盲検試験の本剤40 mg群の副作用発現頻度は27.9%(69/247例)、主な副作用はアカシジア(4.0%)、頭痛(4.0%)、統合失調症(4.0%)、不眠症(3.6%)、傾眠(2.8%)等であった。長期投与試験の本剤の副作用発現頻度は全体で34.6%(100/289例)、主な副作用はアカシジア(6.6%)、悪心(3.5%)、血中プロラクチン増加(3.5%)、頭痛(2.8%)、統合失調症(2.4%)、便秘(2.4%)、不眠症(2.1%)、パーキンソニズム(2.1%)等であった。
大うつ病エピソードを有する双極I型障害患者525例(日本人患者179例を含む)を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験において、本剤20~60 mg、80~120 mg注4)又はプラセボを1日1回夕食後に6週間投与したとき、ベースラインから投与6週後のMontgomery-Asberg Depression Rating Scale(以下、MADRS)合計スコア変化量は下表のとおりであった。本剤20~60 mg群でMADRS合計スコアの変化量はプラセボ群と比較して有意に大きかった(20~60 mg群 調整p=0.007、MMRM解析)25)。
MADRS合計スコア
調整p値b)
平均値 ± 標準偏差
最小二乗平均値 ± 標準誤差
171
30.9 ± 5.39
-10.6 ± 0.72
本剤20~60 mg群
182
30.6 ± 5.57
-13.6 ± 0.69
-2.9 [-4.9, -1.0]
0.007
本剤80~120 mg群注1)
169
30.8 ± 5.09
-12.6 ± 0.73
-2.0 [-4.0, 0.1]
0.057
a) 共変量として実施医療機関、評価時期、ベースライン値、投与群及び投与群と評価時期の交互作用を含み、共分散構造をunstructuredとしたMMRMによる解析に基づく。b) Hochberg法を用いて多重性を調整。
本剤20~60 mg群の副作用発現頻度は38.6%(71/184例)、主な副作用はアカシジア(13.0%)、悪心(6.5%)等であった。
統合失調症患者又は統合失調感情障害患者(外国人)にルラシドン120 mg/日又は600 mg/日注5)(600 mg/日は漸増投与)を1 日1 回11 日間経口投与したとき、QTc 間隔のベースラインからの変化量の90%信頼区間の上限値は、ルラシドン120 mg/日及び600 mg/日でそれぞれ最大14.7 msec(投与2 時間後)及び11.5 msec(投与4 時間後)であった26)。
ルラシドンはドパミンD2受容体、セロトニン5-HT2A、5-HT1A及び5-HT7受容体に対して結合親和性を示す8)。ルラシドンはドパミンD2受容体アンタゴニスト作用、セロトニン5-HT2Aアンタゴニスト作用、5-HT7受容体アンタゴニスト作用及びセロトニン5-HT1A受容体部分アゴニスト作用を併せ持ち8)、これらの薬理作用が臨床における有用性に寄与しているものと考えられる(in vitro)。
ルラシドンは陽性症状の指標と考えられているラットメタンフェタミン誘発運動過多を抑制し8)、認知機能障害の指標と考えられているスコポラミン/MK-801誘発性の受動的回避試験におけるステップスルー潜時の短縮を改善した27)。また、ラットマイクロダイアリシスにおいて、認知機能や陰性症状に対する改善作用及び抗うつ作用発現との関連が示唆されている前頭前皮質でのドパミン遊離量を増加させた28)。
ルラシドンはラット恐怖条件付けすくみ行動評価、ラットフォーゲル型水飲みコンフリクト試験、ラット電撃プローブ埋め隠し試験及びラット社会相互行動評価でうつ・不安症状の指標とされる行動変化を抑制又は改善した29)。
ルラシドン塩酸塩(Lurasidone Hydrochloride)
(3aR,4S,7R,7aS)-2-{(1R,2R)-2-[4-(1,2-Benzisothiazol-3-yl)piperazin-1-ylmethyl]cyclohexylmethyl}hexahydro-4,7-methano-2H-isoindole-1,3-dione hydrochloride
C28H36N4O2S・HCl
529.14
白色~淡黄色の粉末である。メタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくく、水及びアセトンに極めて溶けにくく、トルエンにほとんど溶けない。
約253℃(分解)
1-オクタノール/水系において水層にほとんど分配されない。
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
100錠[10錠(PTP)×10]500錠[瓶、バラ]
1) 社内資料:食事の影響試験(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.20)
2) 社内資料:統合失調症患者PK試験(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.13)
3) 社内資料:母集団薬物動態解析(2020年3月25日承認、CTD 2.7.2.3.1.6)
4) 社内資料:海外マスバランス試験(1)(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.11)
5) 社内資料:海外マスバランス試験(2)(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.12)
6) 社内資料:ヒト血清たん白結合の検討(2020年3月25日承認、CTD 2.6.4.4.2.1)
7) 社内資料:ヒト代謝CYPの同定(2020年3月25日承認、CTD 2.6.4.5.4)
8) 社内資料:ドパミン、セロトニン、ノルアドレナリン受容体に対するルラシドン及びその代謝物の作用(2020年3月25日承認、CTD 2.6.2.2.1)
9) 社内資料:単回投与試験(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.6)
10) 社内資料:海外腎障害患者PK試験(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.18)
11) 社内資料:海外肝障害患者PK試験(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.17)
12) 社内資料:高齢者PK試験(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.16)
13) 社内資料:海外ケトコナゾールとの薬物相互作用試験(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.23)
14) 社内資料:海外ジルチアゼムとの薬物相互作用試験(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.29)
15) 社内資料:海外リファンピシンとの薬物相互作用試験(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.27)
16) 社内資料:海外リチウムとの薬物相互作用試験(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.25)
17) 社内資料:ヒトCYP誘導の検討(2020年3月25日承認、CTD 2.6.4.5.5.2)
18) 社内資料:ヒトCYP阻害の検討(2020年3月25日承認、CTD 2.6.4.5.6)
19) 社内資料:各種トランスポーター親和性の検討(1)(2020年3月25日承認、CTD 2.6.4.7.2.1)
20) 社内資料:各種トランスポーター親和性の検討(2)(2020年3月25日承認、CTD 2.6.4.7.2.2)
21) 社内資料:各種トランスポーター阻害の検討(2020年3月25日承認、CTD 2.6.4.7.2.3)
22) 社内資料:統合失調症患者を対象としたプラセボ対照二重盲検並行群間比較試験(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.33)
23) 社内資料:急性増悪期の統合失調症患者を対象としたプラセボ対照二重盲検並行群間比較試験(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.59)
24) 社内資料:統合失調症患者を対象とした非盲検継続投与試験(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.60)
25) 社内資料:双極I型障害の大うつ病エピソードの患者を対象としたプラセボ対照二重盲検並行群間比較試験(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.65)
26) 社内資料:海外T-QT試験(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.31)
27) 社内資料:認知機能に対する作用(2020年3月25日承認、CTD 2.6.2.2.2)
28) 社内資料:その他のin vivo作用(2020年3月25日承認、CTD 2.6.2.2.4)
29) 社内資料:抗うつ・抗不安作用(2020年3月25日承認、CTD 2.6.2.2.3)
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