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日本薬局方
イルベサルタン・アムロジピンベシル酸塩錠
劇薬
処方箋医薬品注)
高血圧症
通常、成人には1日1回1錠(イルベサルタン/アムロジピンとして100mg/5mg又は100mg/10mg)を経口投与する。本剤は高血圧治療の第一選択薬として用いない。
以下のイルベサルタンとアムロジピンベシル酸塩の用法・用量を踏まえ、患者毎に用量を決めること。
通常、成人にはイルベサルタンとして50~100mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日最大投与量は200mgまでとする。
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。イルベサルタンによる腎血流量の減少や糸球体ろ過圧の低下により急速に腎機能を悪化させるおそれがある。
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。イルベサルタンにより高カリウム血症を増悪させるおそれがある。また、腎機能障害、コントロール不良の糖尿病等により血清カリウム値が高くなりやすい患者では、血清カリウム値に注意すること。
過度の降圧が脳血流不全を引き起こし、病態を悪化させるおそれがある。
一過性の急激な血圧低下を起こすおそれがある。
非虚血性心筋症による重度心不全患者注1) を対象とした海外臨床試験において、プラセボ群と比較してアムロジピン投与群で肺水腫の発現頻度が高かったとの報告がある1)。
過度の降圧により腎機能を悪化させるおそれがある。
増量時には慎重に投与すること。アムロジピンは主として肝臓で代謝されるため、肝機能障害のある患者では、血中濃度半減期の延長及び血中濃度-時間曲線下面積(AUC)が増大することがある。アムロジピン高用量(10mg)において副作用の発現頻度が高くなる可能性がある。イルベサルタンは主に胆汁中に排泄されるため、血中濃度が上昇するおそれがある。,,
*妊娠していることが把握されずアンジオテンシン変換酵素阻害剤又はアンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤を使用し、胎児・新生児への影響(腎不全、頭蓋・肺・腎の形成不全、死亡等)が認められた例が報告されている2),3)。
*本剤の投与に先立ち、代替薬の有無等も考慮して本剤投与の必要性を慎重に検討し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、投与が必要な場合には次の注意事項に留意すること。
*妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。また、投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。妊娠中期及び末期にアンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤又はアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与された患者で羊水過少症、胎児・新生児の死亡、新生児の低血圧、腎不全、高カリウム血症、頭蓋の形成不全及び羊水過少症によると推測される四肢の拘縮、頭蓋顔面の奇形、肺の低形成等があらわれたとの報告がある。アムロジピンは動物実験で妊娠末期に投与すると妊娠期間及び分娩時間が延長することが認められている4)。,
授乳しないことが望ましい。イルベサルタンでは動物実験(ラット)において乳汁中への移行が認められている。また、動物実験(ラット出生前及び出生後の発生並びに母体の機能に関する試験)の50mg/kg/日以上で哺育期間において出生児の体重増加抑制が認められている。アムロジピンではヒト母乳中へ移行することが報告されている5)。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に過度の降圧は好ましくないとされている。脳梗塞等が起こるおそれがある。アムロジピンは、高齢者での体内動態試験で血中濃度が高く、血中濃度半減期が長くなる傾向が認められている。
アリスキレンフマル酸塩
(糖尿病患者に使用する場合。ただし、他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く)
イルベサルタンで非致死性脳卒中、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧のリスク増加が報告されている。
レニン-アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。
カリウム保持性利尿剤
カリウム補給剤
血清カリウム値が上昇することがある。
機序:イルベサルタンのアルドステロン分泌抑制によりカリウム貯留作用が増強する可能性がある。危険因子:腎機能障害のある患者
利尿降圧剤
利尿降圧剤で治療を受けている患者では、体液量の減少によりレニン活性が亢進しており、降圧作用が増強するおそれがある。
腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがある。なお、eGFRが60mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンフマル酸塩との併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。
アンジオテンシン変換酵素阻害剤
腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがある。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
イルベサルタンの降圧作用が減弱するおそれがある。
血管拡張作用を有するプロスタグランジンの合成阻害により、イルベサルタンの降圧作用を減弱させる可能性がある。
腎機能が低下している患者では、更に腎機能が悪化するおそれがある。
プロスタグランジンの合成阻害により、腎血流量が低下するためと考えられる。
リチウム
イルベサルタンによるリチウム中毒が報告されている。
リチウムの再吸収はナトリウムと競合するため、イルベサルタンのナトリウム排泄作用により、リチウムの再吸収が促進されると考えられる。
降圧作用を有する薬剤
降圧作用が増強されるおそれがある。
相互に作用を増強するおそれがある。
CYP3A4阻害剤
エリスロマイシン及びジルチアゼムとの併用により、アムロジピンの血中濃度が上昇したとの報告がある。
アムロジピンの代謝が競合的に阻害される可能性が考えられる。
CYP3A4誘導剤
アムロジピンの血中濃度が低下するおそれがある。
アムロジピンの代謝が促進される可能性が考えられる。
グレープフルーツジュース
アムロジピンの降圧作用が増強されるおそれがある。
グレープフルーツに含まれる成分がアムロジピンの代謝を阻害し、アムロジピンの血中濃度が上昇する可能性が考えられる。
シンバスタチン
アムロジピンとシンバスタチン80mg(国内未承認の高用量)との併用により、シンバスタチンのAUCが77%上昇したとの報告がある。
機序は不明である。
タクロリムス
アムロジピンとの併用によりタクロリムスの血中濃度が上昇し、腎障害等のタクロリムスの副作用が発現するおそれがある。併用時にはタクロリムスの血中濃度をモニターし、必要に応じてタクロリムスの用量を調整すること。
アムロジピンとタクロリムスは、主としてCYP3A4により代謝されるため、併用によりタクロリムスの代謝が阻害される可能性が考えられる。
顔面、口唇、咽頭、舌等の腫脹を症状とする血管浮腫があらわれることがある。
冷感、嘔吐、意識消失等があらわれた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。,,
AST、ALT、ALP、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがある。
脱力感、空腹感、冷汗、手の震え、集中力低下、痙攣、意識障害等があらわれた場合には投与を中止すること。糖尿病治療中の患者であらわれやすい。
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので、このような場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
徐脈、めまい等の初期症状があらわれることがある。
0.5~1%未満
0.5%未満
頻度不明注2)
過敏症
発疹、そう痒、じん麻疹、光線過敏症、多形紅斑
血管炎、血管浮腫
肝臓
肝機能障害、ALT上昇
AST上昇、ALP上昇、ビリルビン上昇、γ‐GTP上昇
LDH上昇、黄疸、腹水
筋・骨格系
関節痛、筋痙攣、背部痛
筋肉痛、筋力低下、筋緊張亢進
血液
貧血、紫斑、白血球増加
赤血球減少、ヘマトクリット減少、ヘモグロビン減少、白血球減少、好酸球増加、血小板減少
循環器
浮腫注3)
動悸、ほてり(熱感、顔面潮紅等)、失神、頻脈、起立性低血圧、心房細動、胸痛、期外収縮
血圧低下、徐脈、洞房又は房室ブロック、洞停止
消化器
逆流性食道炎、下痢・軟便、口内炎、心窩部痛、便秘、胃腸炎
悪心、嘔吐、胸やけ、胃不快感、口渇、消化不良、排便回数増加、膵炎、腹痛、腹部膨満
腎臓
尿管結石、頻尿・夜間頻尿、クレアチニン上昇
BUN上昇、尿中蛋白陽性、尿沈渣異常、尿潜血陽性、排尿障害
精神神経系
めまい・ふらつき、頭痛・頭重
眠気、しびれ、末梢神経障害
もうろう感、不眠、振戦、気分動揺、錐体外路症状
代謝異常
CK上昇
尿酸上昇、尿中ブドウ糖陽性、糖尿病、コレステロール上昇、血中カリウム減少
血中カリウム上昇、高血糖
その他
脳梗塞、異常感覚、倦怠感、CRP上昇、咳嗽、体重増加、脱毛、脱力感、勃起障害、鼻出血、鼻炎
霧視、味覚異常、発熱、総蛋白減少、耳鳴、疲労、視力異常、呼吸困難、多汗、(連用により)歯肉肥厚、性機能異常、女性化乳房、体重減少、疼痛、皮膚変色
アムロジピンは、過度の末梢血管拡張により、ショックを含む著しい血圧低下と反射性頻脈を起こすことがある。また、非心原性肺水腫が、アムロジピンの過量投与の24~48時間後に発現することがある。なお、循環動態、心拍出量維持を目的とした救急措置(輸液の過負荷等)が要因となる可能性もある。
アムロジピン服用直後に活性炭を投与した場合、アムロジピンのAUCは99%減少し、服用2時間後では49%減少したことから、アムロジピン過量投与時の吸収抑制処置として活性炭投与が有効であると報告されている6)。イルベサルタン及びアムロジピンは蛋白結合率が高いため、血液透析による除去は有効ではない。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
因果関係は明らかではないが、アムロジピンによる治療中に心筋梗塞や不整脈(心室性頻拍を含む)がみられたとの報告がある。
健康成人男性24例にイルベサルタン/アムロジピン100mg/10mgを配合錠又は単剤併用にて空腹時単回経口投与した場合の血漿中イルベサルタン及び血清中アムロジピンの薬物動態は以下の図及び表のとおりであった。イルベサルタン及びアムロジピンの薬物動態を配合錠と単剤併用で比較した結果、両成分とも生物学的に同等であった7)。
イルベサルタン
アムロジピン
配合錠
単剤併用
Cmax(ng/mL)
2,115.9±621.4
2,010.4±524.6
5.29±0.92
5.26±0.72
AUC0-t(ng・hr/mL)
8,635.8±2,768.4
8,426.4±2,233.0
197.19±34.24
198.58±38.25
Tmax(hr)
1.31±0.64
1.35±0.74
6.3±1.1
5.9±0.9
T1/2(hr)
11.145±3.810
9.437±2.413
37.72±5.90
38.72±7.34
平均値±標準偏差、n=24AUC0-t:イルベサルタンは0~48時間値、アムロジピンは0~96時間値
健康成人男性16例にイルベサルタン/アムロジピン100mg/10mg配合錠を単回経口投与(空腹時又は食後)した場合、空腹時投与と比べて食後投与のイルベサルタン及びアムロジピンのCmax及びAUCに差はみられなかった8)。
イルベサルタンのヒト血清蛋白結合率及びアムロジピンのヒト血漿蛋白結合率はいずれも約97%であった(in vitro)。
イルベサルタンは、主としてCYP2C9による酸化的代謝とグルクロン酸抱合により代謝される。ヒト肝ミクロソームを用いて、CYP活性に対するイルベサルタンの阻害作用について検討した結果、CYP1A2、CYP2D6及びCYP2E1に対しては阻害せず、CYP2A6、CYP2C8、CYP2C9及びCYP3A4に対して阻害作用が認められたものの、いずれも阻害の程度は弱かった9),10),11)(in vitro)。健康成人16例にアムロジピン5mgを単回経口投与した場合、24時間までに認められた主たる尿中代謝体はジヒドロピリジン環の酸化したピリジン環体及びその酸化的脱アミノ体であった。
健康成人においてイルベサルタンの未変化体尿中排泄率は約0.3~1.3%であった。また、健康成人に14C-標識イルベサルタンを経口投与した場合、放射能の約20%は尿中に排泄され、約54%は糞中に排泄された12)(外国人データ)。健康成人6例にアムロジピンとして2.5mg又は5mgを単回経口投与した場合、尿中に未変化体として排泄される割合は小さく、いずれの投与量においても尿中未変化体排泄率は投与後24時間までに投与量の約3%、144時間までに約8%であった13)。また、健康成人2例に14C-標識アムロジピン15mgを単回経口投与した場合、投与後12日までに投与放射能の59.3%が尿中に23.4%が糞中に排泄され、投与後72時間までの尿中放射能の9%が未変化体であった。その他に9種の代謝物が認められた14)(外国人データ)。なお、これら代謝物にはアムロジピンをしのぐ薬理作用は認められていない。
軽・中等度(9例)、高度(10例)の腎機能障害患者にイルベサルタン100mgを1日1回8日間反復経口投与した場合、腎機能正常者と比較してCmax、AUCに有意な差はみられなかった。血液透析中の患者を含め、腎機能障害患者に投与した場合にも蓄積傾向はほとんどないことが示唆された15)(外国人データ)。
軽・中等度の肝硬変患者10例に、イルベサルタン300mg注4)を空腹時1日1回7日間反復経口投与したとき、健康成人と比較してCmax、AUCに有意な差はみられなかった。また蓄積傾向がほとんどないことも示唆された16)(外国人データ)。成人肝硬変患者(Child A、Bクラス)5例にアムロジピンとして2.5mgを単回経口投与した場合、健康成人に比較して、投与72時間後の血中濃度が有意に上昇し、T1/2、AUCはやや高値を示したが有意差は認められなかった17)。
高齢者(65~80歳、男性10例、女性10例)と若年者(18~35歳、男性10例)にイルベサルタン25mg注4)を1日1回反復経口投与した場合、Cmaxに有意な差はみられなかったが、AUCは若年者と比べて50~68%上昇することが示された18)(外国人データ)。老年高血圧患者(平均年齢79.7歳、男性2例、女性4例)にアムロジピンとして5mgを単回経口投与した場合、若年健康成人(平均年齢22.3歳、男性6例)に比較してCmax及びAUCは有意に高値を示したが、T1/2に有意差は認められなかった。また、8日間反復経口投与した場合、老年者の血清中アムロジピン濃度は若年者よりも高く推移したが、そのパターンは若年者に類似しており、老年者でその蓄積が増大する傾向は認められなかった19)。
健康成人男性24例にイルベサルタン300mg注4)及びアムロジピンとして10mgを併用して経口単回投与した場合のイルベサルタンとアムロジピンの薬物動態は各単剤投与後と差はなく、イルベサルタンとアムロジピンの間に薬物動態に関する相互作用は認められなかった20)(外国人データ)。
イルベサルタン100mgの単独投与で血圧コントロールが不十分な本態性高血圧症患者を対象に、イルベサルタン/アムロジピン100mg/0mg、100mg/5mg又は100mg/10mgを8週間併用投与した二重盲検比較試験の結果は次表のとおりであった。トラフ時坐位収縮期血圧変化量、トラフ時坐位拡張期血圧変化量ともに、100mg/5mg投与群は100mg/0mg投与群に比べ、また、100mg/10mg投与群は100mg/0mg投与群及び100mg/5mg投与群に比べ有意な差が認められた21)。
投与群IRB/AML
100mg/0mg(n=121)
100mg/5mg(n=123)
100mg/10mg(n=116)
収縮期血圧
ベースライン
153.33±9.84
152.58±10.27
152.59±9.67
最終評価時
148.10±14.87
133.81±14.19
127.75±11.88
変化量
-5.23±11.48
-18.77±11.22
-24.84±10.86
拡張期血圧
97.10±5.77
96.92±5.75
97.44±6.44
93.33±10.58
83.79±9.51
79.30±8.57
-3.76±8.14
-13.13±7.75
-18.14±7.62
140/90mmHg達成割合
22.3%(27/121)
60.2%(74/123)
83.6%(97/116)
単位:mmHg(平均値±標準偏差)
対象:イルベサルタン100mgを8~10週間投与後に収縮期血圧140mmHg以上かつ拡張期血圧90mmHg以上であった本態性高血圧症患者IRB:イルベサルタン、AML:アムロジピン二重盲検期以降の副作用発現頻度は、100mg/0mg投与群では8.9%(11/123例)、100mg/5mg投与群では11.4%(14/123例)、100mg/10mg投与群では15.5%(18/116例)であった。主な副作用(発現頻度が2%以上)は、100mg/10mg投与群のALT増加2.6%(3/116例)であった。
アムロジピン5mgの単独投与で血圧コントロールが不十分な本態性高血圧症患者を対象に、イルベサルタン/アムロジピン0mg/5mg又は100mg/5mgを8週間併用投与した二重盲検比較試験の結果は次表のとおりであった。トラフ時坐位収縮期血圧変化量、トラフ時坐位拡張期血圧変化量ともに、100mg/5mg投与群は0mg/5mg投与群に比べ有意な差が認められた21)。
0mg/5mg(n=149)
100mg/5mg(n=143)
148.72±7.86
148.32±7.39
141.96±12.69
133.98±14.16
-6.76±11.16
-14.34±11.99
94.67±4.34
94.76±4.55
88.78±9.36
83.61±10.40
-5.89±7.92
-11.15±9.66
32.2%(48/149)
57.3%(82/143)
対象:アムロジピンとして5mgを8~10週間投与後に収縮期血圧140mmHg以上かつ拡張期血圧90mmHg以上であった本態性高血圧症患者IRB:イルベサルタン、AML:アムロジピン二重盲検期以降の副作用発現頻度は、0mg/5mg投与群では5.3%(8/151例)、100mg/5mg投与群では9.0%(13/144例)であった。
イルベサルタン100mg、アムロジピン5mg又は10mgの単独投与で血圧コントロールが不十分な本態性高血圧症患者を対象に、イルベサルタン/アムロジピン100mg/5mg配合錠又は100mg/10mg配合錠を52週間投与した試験の結果は次表のとおりであった。忍容性に問題はなく、最終評価時の収縮期血圧変化量は-22.7mmHgと良好な血圧が維持された22)。
対象
IRB100mg又はAML5mg不十分例
AML10mg不十分例
全体
開始時用量最終評価時用量IRB/AML
100mg/5mg
100mg/10mg
(n=492)
100mg/5mg(n=208)
100mg/10mg(n=221)
100mg/10mg(n=61)
148.68±7.98
158.44±13.20
152.23±10.61
153.48±11.84
128.01±10.39
132.16±10.57
135.45±9.60
130.77±10.67
-20.66±11.46
-26.28±13.84
-16.78±10.61
-22.70±12.92
95.08±4.82
99.83±8.47
96.75±5.79
97.42±7.15
80.68±8.04
82.30±8.89
84.84±7.68
81.92±8.47
-14.40±7.94
-17.53±9.12
-11.91±5.65
-15.51±8.47
対象:イルベサルタン100mg、アムロジピン5mg又は10mgを5~8週間投与後に収縮期血圧140mmHg以上かつ拡張期血圧90mmHg以上であった本態性高血圧症患者全体の集計にはAML10mg不十分例で最終投与量が100mg/5mgの患者2例を含むIRB:イルベサルタン、AML:アムロジピン副作用発現頻度は16.9%(84/496例)であった。主な副作用は末梢性浮腫で、100mg/5mg投与時が0.5%(2/432例)、100mg/10mg投与時が2.6%(8/306例)であった。
In vitro試験においてウサギ摘出大動脈のアンジオテンシンⅡ(AⅡ)誘発収縮を特異的に抑制し、in vivo試験(ラット、イヌ、サル)においてもAⅡ誘発昇圧反応に対して抑制作用を示した。In vitro結合試験から、その抑制作用はAⅡ受容体に対する競合的拮抗に基づくものであり、更にAⅡタイプ1受容体(AT1受容体)選択的であることが示唆された。その他の受容体には親和性を示さず、アンジオテンシン変換酵素も阻害しなかった23),24),25),26),27),28)。
細胞膜の電位依存性カルシウムチャネルに選択的に結合し、細胞内へのCa2+の流入を減少させて冠血管や末梢血管の平滑筋を弛緩させる29)。そのカルシウム拮抗作用は緩徐に発現するとともに持続性を示し、また心抑制作用が弱く血管選択性を示すことが認められている29)。
高血圧自然発症ラットにイルベサルタンとアムロジピンを併用して投与すると、それぞれの単独投与と比較して降圧作用の増強が認められた30)。
イルベサルタン(Irbesartan)
2-Butyl-3-{[2'-(1H-tetrazol-5-yl)biphenyl-4-yl]methyl}-1,3-diazaspiro[4.4]non-1-en-4-one
C25H28N6O
428.53
白色の結晶性の粉末である。酢酸(100)に溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくく、水にほとんど溶けない。結晶多形が認められる。
182.4-184.6℃
約10.1(pH7.4、1-オクタノール/緩衝液)
アムロジピンベシル酸塩(Amlodipine Besilate)
3-Ethyl 5-methyl(4RS)-2-[(2-aminoethoxy)methyl]-4-(2-chlorophenyl)-6-methyl-1,4-dihydropyridine-3,5-dicarboxylate monobenzenesulfonate
C20H25ClN2O5・C6H6O3S
567.05
白色~帯黄白色の結晶性の粉末。メタノールに溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けにくく、水に溶けにくい。メタノール溶液(1→100)は旋光性を示さない。
約198℃(分解)
100錠[10錠(PTP)×10]500錠[10錠(PTP)×50]
1) **Packer M., et al.: JACC Heart Fail. 2013; 1(4): 308-314
2) *阿部真也ほか: 周産期医学. 2017; 47: 1353-1355
3) *齊藤大祐ほか: 鹿児島産科婦人科学会雑誌. 2021; 29: 49-54
4) 堀本政夫ほか: 応用薬理. 1991; 42(2): 167-176
5) Naito T., et al.: J. Hum. Lact. 2015; 31(2): 301-306
6) Laine K., et al.: Br. J. Clin. Pharmacol. 1997; 43: 29-33
7) 社内資料: 健康成人における生物学的同等性試験(2012年9月28日承認、CTD2.7.6.2)
8) 社内資料: 食事による薬物動態への影響(2012年9月28日承認、CTD2.7.6.1)
9) 社内資料: ヒト肝ミクロソームを用いたイルベサルタンの酸化代謝におけるCYP2C9の関与
10) 社内資料: イルベサルタンのグルクロン酸抱合の種差
11) 社内資料: ヒト肝ミクロソームを用いたイルベサルタンのCYP阻害の検討
12) 社内資料: イルベサルタンのバイオアベイラビリティ試験
13) 中島光好ほか: 臨床医薬. 1991; 7(7): 1407-1435
14) Beresford A. P., et al.: Xenobiotica. 1988; 18(2): 245-254
15) 社内資料: 腎機能障害患者におけるイルベサルタンの薬物動態試験
16) 社内資料: 肝硬変患者におけるイルベサルタンの薬物動態試験
17) 足立幸彦ほか: 薬理と治療. 1991; 19(7): 2923-2932
18) 社内資料: 高齢者におけるイルベサルタンの薬物動態試験
19) 桑島巌ほか: 老年医学. 1991; 29(6): 899-902
20) 社内資料: イルベサルタンとアムロジピンの併用単回投与時における薬物相互作用試験
21) 島田和幸ほか: 血圧. 2011; 18(12): 1231-1243
22) 島田和幸ほか: 血圧. 2012; 19(11): 1022-1034
23) 社内資料: イルベサルタンのウサギ摘出大動脈における作用
24) 社内資料: イルベサルタンのAⅡ誘発昇圧反応に対する作用
25) 社内資料: イルベサルタンのAⅡ受容体に対する拮抗様式の検討
26) 社内資料: イルベサルタンのAⅡ受容体サブタイプに対する選択性
27) 社内資料: イルベサルタンの各種受容体及びイオン輸送系に対する作用
28) 社内資料: イルベサルタンの各種酵素に対する作用
29) 山中教造ほか: 日薬理誌. 1991; 97: 167-178
30) 社内資料: 高血圧自然発症ラットの血圧に対する作用(2012年9月28日承認、CTD2.6.2.2)
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