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劇薬
処方箋医薬品注)
本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法及び肝細胞癌に対する局所療法(経皮的エタノール注入療法、ラジオ波熱凝固療法、マイクロ波凝固療法、肝動脈塞栓療法・肝動脈化学塞栓療法、放射線療法等)に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤が適切と判断される症例にのみ使用すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから実施すること。
肝細胞癌におけるリピオドリゼーション
ミリプラチン70mgを本剤懸濁用液3.5mLに懸濁し、1日1回肝動脈内に挿入されたカテーテルより投与する。本剤の投与は、腫瘍血管に懸濁液が充満した時点で終了すること。ただし、上限を1回6mL(ミリプラチンとして120mg)とする。また、繰り返し投与する場合には、4週間以上の観察期間をおくこと。
本剤懸濁用液はヨード化合物であり、ヨード摂取量の増加により甲状腺障害を増悪させるおそれがある。
本剤が肝内シャントを介して正常組織に流入し、血管塞栓による重篤な副作用を起こすおそれがある。
門脈血が遮断されているため、本剤の投与により投与部位の血流が低下し、肝不全を起こすおそれがある。
腎機能が低下しているので、副作用が強くあらわれるおそれがある。
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。肝不全を起こすことがある。,
妊娠する可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤投与10~14ヵ月後でも、Cmaxの約17%の血漿中ミリプラチン由来白金濃度が検出された。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット)で胎児への移行が報告されている。,
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。
小児等を対象にした臨床試験は実施していない。
投与量及び投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能(骨髄機能、肝機能、腎機能等)が低下している。
本剤投与直後よりAST、ALT、ビリルビン、ALP、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。また、肝不全に至ることがある。,
胆嚢炎、胆汁性嚢胞、肝膿瘍等の肝・胆道障害があらわれることがある。
重症化して敗血症(1%未満)があらわれることがある。発熱の遷延が認められ、感染症の兆候がある場合は、感染症に対する処置も行うこと。
好中球減少(1%未満)等の骨髄抑制があらわれることがある。
呼吸困難、血圧低下等の異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
異常が認められた場合には、胸部X線、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施すること。間質性肺炎が疑われた場合には、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、BUN、血清クレアチニン値等の異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。
10%以上
10%未満
頻度不明
感染症
鼻咽頭炎、腎盂腎炎、唾液腺炎
肝臓
AST上昇(58.4%)、ALT上昇(53.1%)、LDH増加(49.6%)、血中ビリルビン増加(48.7%)、γ-GTP上昇(39.8%)、血中アルブミン減少(37.2%)、ALP上昇(26.5%)、ウロビリン尿(18.6%)
腹水
LAP上昇、HPT値減少
筋骨格系
背部痛(10.6%)
関節痛、肩部痛、顎関節症、頚部痛、四肢痛
血液
好酸球増多(80.5%)注1)、リンパ球減少(42.5%)、血小板減少(37.2%)、好中球減少(37.2%)、白血球減少(29.2%)、単球増多(28.3%)、プロトロンビン時間延長(26.5%)、好塩基球増多(18.6%)、赤血球減少(17.7%)、白血球増多(16.8%)、ヘモグロビン減少(11.5%)
白血球分画異常、好中球増多、単球減少、リンパ球増多、好酸球減少、好塩基球減少、血小板増多
ヘマトクリット減少
呼吸器
咳嗽、呼吸困難、咽頭不快感、湿性咳嗽
循環器
血圧上昇、血圧低下、心電図異常、ほてり、徐脈、潮紅、動悸
消化器
悪心・嘔吐(52.2%)、食欲不振(32.7%)、血中アミラーゼ増加(16.8%)、下痢(13.3%)
腹痛、便秘、胃部不快感、腹部不快感、口内炎、腹部膨満感、口渇、胃炎、胃潰瘍、血中アミラーゼ減少、心窩部不快感
リパーゼ増加
精神神経系
頭痛、不眠、めまい、感覚鈍麻、肝性脳症、頭部不快感
全身症状
発熱(94.7%)注2)、倦怠感(29.2%)、悪寒(27.4%)
浮腫、脱力感
投与部位
疼痛(39.8%)
静脈周囲炎
泌尿器
NAG上昇(76.1%)、カリウム、カルシウム、ナトリウム、クロール等の電解質異常(37.2%)、尿中クレアチニン上昇(31.9%)、尿中クレアチニン減少(28.3%)、総蛋白減少(26.5%)、総蛋白増加(17.7%)、尿中蛋白陽性(15.0%)
BUN上昇、血中クレアチニン上昇、尿潜血、排尿困難、乏尿
皮膚
発疹・湿疹、紅斑、そう痒
その他
CRP上昇(91.2%)、血糖上昇(23.9%)
尿糖陽性、インスリン分泌能低下、HbA1c増加、血糖低下、高アンモニア血症、眼瞼出血、胸痛、耳鳴、糖尿病
本剤は、細菌に対する遺伝子突然変異誘発能が認められている。また、活性体であるジクロロ1,2-ジアミノシクロヘキサン白金は、マウス小核試験で遺伝毒性を示すことが報告されている。
肝細胞癌患者の肝動脈内にミリプラチン懸濁液20mg/mL(最大投与液量6mL)を1回又は2回投与したとき、血漿中ミリプラチン由来白金濃度は、1回目投与後(15例)は18~37日に6.3~22ng/mLの、2回目投与後(11例)は7~34日に8.9~54ng/mLのCmaxに達した後、緩やかに減少し、投与12~15週後、投与6~8ヵ月後、投与10~14ヵ月後に、それぞれCmaxの47.3±12.5%(13例、平均値±標準偏差)、31.0±6.4%(8例)、17.1±3.7%(5例)が検出された1)。
肝細胞癌患者2例の肝動脈内にミリプラチン懸濁液20mg/mLを2回(1例は総投与量60mg1)、他の1例は200mg)投与したとき、肝臓中にミリプラチン由来白金が高濃度で検出され、非腫瘍部位よりも腫瘍部位がより高濃度であった。
症例
総投与量(1回目、2回目)
2回目投与後日数
試料
総白金濃度(ng/g tissue)
腫瘍部位
非腫瘍部位
1
60mg(40mg、20mg)
3ヵ月
/
250,000
29,000
2
200mg(100mg、100mg)
172日
試料1
62,000
22,000
試料2
260,000
67,000
ヒト凍結肝細胞で、肝細胞癌患者における血漿中ミリプラチン由来白金濃度の最大値(54ng/mL)の14倍の曝露レベルにおいても、ミリプラチン懸濁液はCYP3A4活性に影響を及ぼさなかった(in vitro)。
肝切除術、経皮的エタノール注入療法、経皮的マイクロウエーブ凝固療法又はラジオ波焼灼療法の適応とならない進行度分類(Stage)がⅡ又はⅢの肝細胞癌患者を対象に、ミリプラチン懸濁液20mg/mL(最大投与液量6mL)を肝動脈内に投与し、1回目投与後5週(±10日)の画像診断において懸濁液の停滞が不十分でかつ腫瘍濃染像がある場合には、1回目投与後4週以降12週以内のできるだけ早期に追加投与(2回目投与)が行われた。主要評価項目である肝癌治療直接効果判定基準のTE V(壊死効果100%又は腫瘍縮小率100%)の割合は、26.5%(22/83例)であった2)。なお、ミリプラチン懸濁液の延命効果は検証されていない。副作用発現頻度は、100.0%(83/83例)であった。発現頻度が60%以上の副作用は、発熱96.4%(80例)、CRP増加92.8%(77例)、好酸球百分率増加84.3%(70例)、β-NアセチルDグルコサミニダーゼ増加80.7%(67例)、AST増加61.4%(51例)であった。
ミリプラチンは生体内でジクロロ1,2-ジアミノシクロヘキサン白金等に変換され、癌細胞内のDNA鎖と共有結合した白金-DNA架橋を形成すると考えられた3),4),5),6)。
ヒト肝癌株HepG2、Li-7及びラット肝癌株AH109Aに対して、細胞増殖抑制作用を示した3),7)。
ラット肝臓に移植したラット肝癌株AH109A及びヒト肝癌株Li-7に対して、肝動脈内単回投与により用量依存的な抗腫瘍作用を示した3),4),8)。
ミリプラチン水和物(Miriplatin Hydrate)
(SP-4-2)-[(1R,2R)-Cyclohexane-1,2-diamine-N,N']bis(tetradecanoato-O)platinum monohydrate
C34H68N2O4Pt・H2O
782.01
白色~微黄色の塊又は粉末である。水にほとんど溶けず、エタノール(99.5)に溶けにくい。
70mg[1バイアル]
1) 社内資料: ミリプラチンの肝細胞癌患者における薬物動態(2009年10月16日承認、CTD2.7.6.2)
2) Okusaka T., et al.: Invest. New Drugs. 2012; 30: 2015-2025
3) Hanada M., et al.: Cancer Sci. 2009; 100: 189-194
4) Hanada M., et al.: Cancer Chemother. Pharmacol. 2009; 64: 473-483
5) Kishimoto S., et al.: Biol. Pharm. Bull. 2000; 23: 637-640
6) Kishimoto S., et al.: Jpn. J. Cancer Res. 2000; 91: 99-104
7) Kishimoto S., et al.: Biol. Pharm. Bull. 2000; 23: 487-491
8) Kishimoto S., et al.: Biol. Pharm. Bull. 2000; 23: 344-348
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